JPH0949282A - 外壁パネルの取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 地震時に外壁パネルの下端面が自重受け金物
によって削られるのを確実に防ぐことのできる外壁パネ
ルの取付構造を提供する。 【解決手段】 構造躯体の柱に外壁パネルを取付金具で
取付け、前記柱に固定された断面略Ｌ字形の自重受け金
物４０で外壁パネルの下端を支持する外壁パネルの取付
構造において、前記外壁パネルの配筋材１１に固定した
埋め込みナット１５を当該外壁パネルの下端に設け、該
埋め込みナットに螺着した調節ボルト２０の下端を前記
自重受け金物に当接させて、前記外壁パネルの下端面１
０ｕを自重受け金物から浮かせて支持する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、カーテンウォー
ルを形成する外壁パネルの取付構造に関し、特には軽量
気泡コンクリート（ＡＬＣ）等からなる外壁パネルを横
長にして構造躯体の柱に取付ける、いわゆる横張り式の
取付構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、前記横張り式の取付構造として、
特開昭６３−２６８８４７号公報に見られるように、構
造躯体の柱側に上下方向にアングル材を設け、該アング
ル材を前記外壁パネルの内壁面との間で挟持するイナズ
マ形状の取付金具を外壁パネルの内壁面側に横向きに取
付け、一方、前記柱には外壁パネルの下端面を支持する
断面略Ｌ字形の自重受け金物を取り付けた構造が知られ
ている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、前記の取付構
造にあっては、外壁パネルの下端面が自重受け金物に直
接接触して支持されるため、外壁パネルがＡＬＣの場合
は、地震時に外壁パネルの下端面が自重受け金物により
擦られて削られたりクラック又は欠け等により破損した
りするおそれがある。

【０００４】また、特開平５−３２１３８２号公報に見
られるように、前記外壁パネルの下端面と接触する自重
受け金物の表面に、摩擦係数の小さい硬質ゴム板を固着
することも知られている。この場合にあっても、外壁パ
ネルの下端面は直接自重受け金物のゴム板と接触し、互
いに圧着状態となる。したがって、前記ゴム板が摩擦係
数の小さいものであっても、地震時には前記ゴム板と外
壁パネルの下端面間に少なからず摩擦を生じ、外壁パネ
ルの下端面が削られたり破損したりするのを完全に防止
するのは容易ではなかった。

【０００５】そこで、この発明は、地震時の際に外壁パ
ネルの下端面が自重受け金物によって削られたり破損し
たりするのを確実に防ぐことのできる外壁パネルの取付
構造を提供しようとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明は、構造躯体の
柱に外壁パネルを取付金具で取付け、前記柱に固定され
た断面略Ｌ字形の自重受け金物で外壁パネルの下端を支
持する外壁パネルの取付構造において、前記外壁パネル
の配筋材に固定した埋め込みナットを当該外壁パネルの
下端に設け、該埋め込みナットに螺着した調節ボルトの
下端を前記自重受け金物に当接させて、前記外壁パネル
の下端面を自重受け金物から浮かせて支持することを特
徴とする外壁パネルの取付構造に係る。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下添付の図面に従ってこの発明
を詳細に説明する。図１はこの発明に係る外壁パネルの
取付構造例を示す外壁パネルの内面側斜視図、図２はそ
の２−２線で切断した縦断面図、図３は図１の３−３線
で切断した拡大断面図で外壁パネルの下端部の支持を示
す図、図４は外壁パネルの一部を切り欠いて示す斜視
図、図５は自重受け金物の取り付けられた柱を示す斜視
図、図６は外壁パネルの横の取付けを示す横断面図であ
る。

【０００８】この発明の外壁パネルの取付構造にあって
は、図１ないし図３に示すように、構造躯体の柱Ｐに外
壁パネル１０が取付金具３０と自重受け金物４０によっ
て取り付けられる。なお、図中符号６１，６２は、隣接
する外壁パネル間の目地部分を塞ぐための目地材であ
る。

【０００９】柱Ｐの表側面（建物外側面）には、図５か
らよく理解されるように、アングル材５０，５０が上下
方向に沿って固定されている。このアングル材５０は、
各々縦片５１と横片５２とで形成される断面Ｌ字形から
なるもので、前記柱Ｐの表側面に補助金具５５を介し
て、互いに横片５２を反対方向に向けて固定されてい
る。その補助金具５５は、開放側端部が前記柱Ｐの表側
面に溶接された断面コの字形の金具からなるもので、そ
の左右両側面に、前記アングル材５０，５０の縦片５
１，５１が溶接されている。

【００１０】前記アングル材５０，５０の横片５２，５
２には、外壁パネル１０の下端面が位置することとなる
部分に自重受け金物４０が溶接により固定される。自重
受け金物４０は、外壁パネル１０の下端を支持するため
のもので、図５に示すように、パネルの下端を支持する
水平片４１と前記アングル材５０に固定される垂直片４
２とからなる断面Ｌ字形の金具が用いられる。この自重
受け金物４０は、その水平片４１を前記柱Ｐの表側面か
ら突出させて前記垂直片４２がアングル材５０，５０の
横片５２，５２に固定される。

【００１１】一方、外壁パネル１０は、軽量気泡コンク
リート（ＡＬＣ）からなる横長のもので、前記柱Ｐの表
側面に横方向および上下方向に所定数並べて取り付けら
れカーテンウォールを形成する。

【００１２】前記外壁パネル１０の内部には、強度を高
める目的で配筋材１１が埋設されている。この実施例で
用いられる配筋材１１は、図４に示す構造からなる。す
なわち、細長い複数の金属製板体１２がその幅方向を外
壁パネル１０の厚み方向にして格子状に組み立てられた
フレーム１３と、そのフレーム１３の両面１３ａ，１３
ｂに溶接等により固定されたメッシュ筋１４とよりな
る。

【００１３】前記フレーム１３の下辺を形成する板体１
２ａの両横端付近には、埋め込みナット１５がそのねじ
孔を上下方向にして溶接等により固定されている。この
埋め込みナット１５には、図２および図３に示すよう
に、調節ボルト２０がその頭部を下にして螺合される。
そして、該調節ボルト２０の螺合程度を調節することに
よって、前記埋め込みナット１５周囲の外壁パネル１０
下端面１０ｕから調節ボルト２０の下端が所望量突出し
た状態にされる。

【００１４】なお、この実施例においては、前記埋め込
みナット１５周囲の外壁パネル１０下端面１０ｕには、
前記調節ボルト２０の頭部を収納するための凹部１６が
すり鉢状に形成されている。従って、外壁パネル１０の
輸送あるいは保管等の際には、前記凹部１６に調節ボル
ト２０の頭部を収納でき、該調節ボルト２０の頭部が邪
魔になるのを防ぐことができる。

【００１５】また、図４に示すように、前記配筋材１１
の略四隅には、外壁パネル１０の内面と垂直な別の埋め
込みナット１７が、溶接等により固定されてそのねじ孔
が外壁パネル１０の内面で開口している。この埋め込み
ナット１７のねじ孔には、外壁パネル１０を柱Ｐに取り
付ける際に、図２に示すように、取付金具固定用ボルト
２１が螺着され、それにより取付金具３０が外壁パネル
１０の内面略四隅に固定される。なお、前記埋め込みナ
ット１７は、図示するようないわゆる普通のナットでは
なく、矩形の金属ブロックに雌ねじを形成したようなも
のであってもよい。

【００１６】さらに、前記外壁パネル１０の内面上端
は、図３に示すように、一つ上の位置に配設される外壁
パネルのために用いられる自重受け金物４０の垂直片４
２が当接する部分に、切り欠き凹部１８が形成され、外
壁パネル１０の取付け時に前記自重受け金物４０の垂直
片４２との干渉が防止されている。

【００１７】前記外壁パネル１０は、次のようにして柱
Ｐに取り付けられる。まず、前記外壁パネル１０は、そ
の下端面から突出する前記調節ボルト２０の下端を自重
受け金物４０の水平片４１に当接させてその水平片４１
上に載置される。前記調節ボルト２０下端の突出量Ｔ
は、この実施例では２ｍｍに設定されている。そのた
め、外壁パネル１０の下端面１０ｕは、自重受け金物４
０の水平片４１から浮いた（離れた）状態となる。

【００１８】なお、前記調節ボルト２０と埋め込みナッ
ト１５との螺合部は、接着剤等で固めてもよい。使用す
る接着剤は、固化前に前記調節ボルト２０の外壁パネル
の下端面からの突出量を調節できるように、瞬間的に固
まるもの以外のものが望ましい。このように接着剤で固
めることにより、建物の振動等による調節ボルト２０の
不測の回転を防ぐことができる。また、前記調節ボルト
２０と自重受け金物４０との間に、フッ素系樹脂シート
のような摩擦係数の小さいすべりシートを介在させても
よい。そうすれば、地震等に際して、外壁パネル１０下
端の調節ボルト２０を自重受け金物４０に対してより滑
らかにスライドさせることができ、外壁パネル１０に局
部的な応力が発生するのをより確実に防ぐことができ
る。その場合、すべりシートは前記調節ボルト２０の下
端面（頭部表面）と自重受け金物４０の水平片４１の上
面とのいずれかまたは両方に設けられる。

【００１９】次いで、前記外壁パネル１０の内面略四隅
に設けられている埋め込みナット１７のねじ孔に、後記
する取付金具３０が固定ボルト２１で取り付けられ、外
壁パネル１０の両横部が前記アングル材５０に取り付け
られる。

【００２０】取付金具３０は、図５および図６からよく
理解されるように、断面略Ｚ字形のイナズマ形からな
り、その一端の片３１に固定用ボルト挿通孔３２，３２
が形成されている。そして、他端の片３４を外壁パネル
１０の横端部に向け、前記固定用ボルト挿通孔３２に挿
通した固定用ボルト２１を、前記外壁パネル１０の内面
略四隅に位置する埋め込みナット１７に螺合することに
より、この取付金具３０が外壁パネル１０の内面略四隅
に横向きに固定される。その際、前記柱Ｐに固定されて
いるアングル材の横片５２は、前記取付金具３０の他端
の片３４と外壁パネル１０の内面間で挟持され、外壁パ
ネル１０の横部が柱Ｐに取り付けられる。符号２２はワ
ッシャである。

【００２１】これと同様にして他の外壁パネルも柱Ｐに
取り付けられ、柱の表面部側にカーテンウォールが形成
される。前記柱Ｐに取り付けられた外壁パネル１０は、
その下端面から突出する調節ボルト２０によって自重受
け金物４０の水平片４１から浮いた状態で支持され、自
重受け金物４０と外壁パネル下端面１０ｕとが接触しな
い。そのため、たとえ、地震によって外壁パネル１０が
柱Ｐに対してスライドする場合でも、自重受け金物４０
に外壁パネルの下端面１０ｕが接触せず、自重受け金物
４０によって外壁パネルの下端面１０が削られたり破損
したりすることを防ぐことができる。

【００２２】さらに、前記調節ボルト２０と螺合する埋
め込みナット１５は、外壁パネル１０内の堅牢な配筋材
１１に固定されている。そのため、前記外壁パネル１０
全体の自重は、外壁パネル１０内部の配筋材１１から埋
め込みナット１５および調節ボルト２０を介して自重受
け金物４０で支持されることになる。従って、外壁パネ
ル１０の自重が集中する埋め込みナット１５付近におい
て、外壁パネル１０を構成するＡＬＣに重みによる欠け
あるいは亀裂等を生じるおそれがない。しかも、地震時
にも、前記配筋材１１を介して外壁パネル１０の自重が
自重受け金物４０で支持されているため、前記外壁パネ
ル１０を構成するＡＬＣに直接力が加わらず、破損を防
ぐことができる。

【００２３】なお、前記取付金具３０については、外壁
パネル１０の下側に位置するものを前記アングル材の横
片５２に溶接して固定してもよい。その場合でも、外壁
パネル１０の上部は、取付金具３０と外壁パネル１０内
面間でアングル材の横片５２を挟持した構造のため、地
震の際には外壁パネル１０の上部が柱Ｐに対して横方向
にスライドでき、外壁パネル１０の破損を防ぐことがで
きる。また、前記自重受け金物４０は、前記のような外
壁パネル１０一枚毎に設けず、上下方向の複数枚の外壁
パネルを一組とし、その組の最下部の外壁パネルの下端
位置に設けて、前記複数枚の外壁パネルをまとめて支持
してもよい。その場合には、各組の最下部に位置する取
付金具のみをアングル材の横片に溶接してもよい。

【００２４】

【発明の効果】以上図示し説明したように、この発明の
外壁パネルの取付構造によれば、外壁パネルの下端面か
ら突出した調節ボルトの下端を自重受け金物と当接させ
て、外壁パネルの下端面を自重受け金物から浮かせて支
持するため、地震によって外壁パネルがスライドして
も、外壁パネルの下端面が自重受け金物によって削られ
たり破損したりすることを防止できる。

【００２５】さらに、前記調節ボルトと螺合する埋め込
みナットが、外壁パネル内の堅牢な配筋材に固定されて
いるため、配筋材を介して外壁パネルの自重が支持され
ることになる。従って、外壁パネルを構成するＡＬＣ
は、外壁パネルの自重が集中する埋め込みナット付近に
おいても破損を生じ難く、しかも地震により外壁パネル
がスライドする場合でも、前記のように堅牢な配筋材を
介して外壁パネルが支持されているため、ＡＬＣが破損
することを防ぐことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係る外壁パネルの取付構造例を示す
外壁パネルの内面側斜視図である。

【図２】その２−２線で切断した縦断面図である。

【図３】図１の３−３線で切断した拡大断面図で外壁パ
ネルの下端部の支持を示す図である。

【図４】外壁パネルの一部を切り欠いて示す斜視図であ
る。

【図５】自重受け金物が取り付けられた柱を示す斜視図
である。

【図６】外壁パネルの横の取付けを示す横断面図であ
る。

【符号の説明】

１０ 外壁パネル １１ 配筋材 １５ 埋め込みナット ２０ 調節ボルト ３０ 取付金具 ４０ 自重受け金物 Ｐ 構造躯体の柱

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 構造躯体の柱に外壁パネルを取付金具で
   取付け、前記柱に固定された断面略Ｌ字形の自重受け金
   物で外壁パネルの下端を支持する外壁パネルの取付構造
   において、前記外壁パネルの配筋材に固定した埋め込み
   ナットを当該外壁パネルの下端に設け、該埋め込みナッ
   トに螺着した調節ボルトの下端を前記自重受け金物に当
   接させて、前記外壁パネルの下端面を自重受け金物から
   浮かせて支持することを特徴とする外壁パネルの取付構
   造。
2. 【請求項２】 調節ボルトと自重受け金物の間にすべり
   シートを介在させたことを特徴とする請求項１記載の外
   壁パネルの取付構造。