JPH0935737A - 固体高分子電解質型燃料電池 - Google Patents

固体高分子電解質型燃料電池

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JPH0935737A
JPH0935737A JP7181240A JP18124095A JPH0935737A JP H0935737 A JPH0935737 A JP H0935737A JP 7181240 A JP7181240 A JP 7181240A JP 18124095 A JP18124095 A JP 18124095A JP H0935737 A JPH0935737 A JP H0935737A
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fuel cell
polymer electrolyte
solid polymer
heat medium
unit
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JP7181240A
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Akihiro Kabasawa
明裕 樺澤
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Publication date
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
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    • H01M8/04Auxiliary arrangements, e.g. for control of pressure or for circulation of fluids
    • H01M8/04082Arrangements for control of reactant parameters, e.g. pressure or concentration
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    • H01M8/04119Arrangements for control of reactant parameters, e.g. pressure or concentration of gaseous reactants with simultaneous supply or evacuation of electrolyte; Humidifying or dehumidifying
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
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    • H01M2300/0017Non-aqueous electrolytes
    • H01M2300/0065Solid electrolytes
    • H01M2300/0082Organic polymers
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Abstract

(57)【要約】 【目的】単位燃料電池の積層方向における温度分布の均
一化が容易な固体高分子電解質型燃料電池を提供する。 【構成】固体高分子電解質型燃料電池(スタック)1
は、従来例が持つ集電板,電気絶縁板,加圧板に替え、
集電板51,51、加湿器2A,2Bと加圧板53,5
4を用いている。各集電板51、加圧板53,54は、
単電池8の積層体に形成された入口側の通流路部90
A,出口側の通流路部90Bに連通する貫通穴を備えて
いる。それぞれの加圧板53,54が備えるこれ等の貫
通穴に装着された配管接続体991からスタック1に熱
媒99が供給される。加湿器2Aは3個の単位加湿体6
を、また加湿器2Bは2個の単位加湿体6を積層して構
成され、加湿器2Aが持つ溝631には酸化剤ガス98
が、加湿器2Bが持つ溝631には燃料ガスが、両加湿
器2A,2Bが持つ溝641には通流路部90Bから流
出された熱媒99が、それぞれ通流される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、固体高分子電解質型
燃料電池に係わり、単位燃料電池が持つ燃料電池セルの
温度の,単位燃料電池の積層方向における温度分布の均
一化が容易となるように改良されたその構造に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は水素と酸素とを利用して直流
電力を発生する一種の発電装置であり、すでによく知ら
れているとおり、他のエネルギー機関と比較して、電気
エネルギーへの変換効率が高く,しかも,炭酸ガスや窒
素酸化物等の大気汚染物質の排出量が少ないことから、
いわゆるクリーン・エネルギー源として期待されてい
る。この燃料電池としては、使用される電解質の種類に
より、固体高分子電解質型,りん酸型,溶融炭酸塩型,
固体酸化物型などの各種の燃料電池が知られている。
【0003】これ等の燃料電池の内、固体高分子電解質
型燃料電池は、分子中にプロトン(水素イオン)交換基
を有する高分子樹脂膜を飽和に含水させると、低い電気
抵抗率を示してプロトン導電性電解質として機能するこ
とを利用した燃料電池である。分子中にプロトン交換基
を有する高分子樹脂膜(以降、固体高分子電解質膜また
は単にPE膜と略称することがある。)としては、パ−
フルオロスルホン酸樹脂膜(例えば、米国のデュポン社
製、商品名ナフィオン膜)を代表とするフッ素系イオン
交換樹脂膜が現時点では著名であるが、この他に、炭化
水素系イオン交換樹脂膜、複合樹脂膜等が用いられてい
る。これ等の固体高分子電解質膜(PE膜)は、飽和に
含水されることにより、常温で20〔Ω・cm〕以下の
電気抵抗率を示し、いずれも、プロトン導電性電解質と
して機能する膜である。
【0004】まず、従来例の固体高分子電解質型燃料電
池が備える単位燃料電池を、図9を用いて説明する。こ
こで、図9は、従来例の固体高分子電解質型燃料電池が
備える単位燃料電池の要部を展開した状態で模式的に示
したその上部側から見た断面図である。図9において、
8は、燃料電池セル7と、その両主面のそれぞれに対向
させて配置されたセパレータ81,82などで構成され
た単位燃料電池(以降、単電池と略称することがあ
る。)である。燃料電池セル7は、シート状の固体高分
子電解質膜7Cと、シート状の燃料電極膜(アノード極
でもある。)7Aと、シート状の酸化剤電極膜(カソー
ド極でもある。)7Bとで構成されている。この燃料電
池セル7は、燃料電極膜7Aに後記する燃料ガス97
の、また、酸化剤電極膜7Bに後記する酸化剤ガス98
の供給をそれぞれ受けて、後記する電気化学反応によっ
て直流電力を発生する。固体高分子電解質膜7Cには、
前記のPE膜が用いられている。このPE膜7Cは、
0.1〔mm〕程度の厚さ寸法と、電極膜7A,7Bの
面方向の外形寸法よりも大きい面方向の外形寸法とを持
つものであり、従って、電極膜7A,7Bの周辺部に
は、PE膜7Cの端部との間にPE膜7Cの露出面が存
在することになる。燃料電極膜7Aの外側面が,燃料電
池セル7の一方の側面7aであり、酸化剤電極膜7Bの
外側面が,燃料電池セル7の他方の側面7bである。
【0005】燃料電極膜7Aおよび酸化剤電極膜7Bは
共に、触媒活物質を含む触媒層と電極基材とを備えて構
成されており、前記の触媒層側でPE膜7Cの両主面に
ホットプレスにより密着させるのが一般である。電極基
材は、触媒層を支持すると共に反応ガス(以降、燃料ガ
スと酸化剤ガスを総称してこのように言うことが有
る。)の供給および排出を行い、しかも、集電体として
の機能も有する多孔質のシート(使用材料としては、例
えば、カーボンペーパーが用いられる。)である。
【0006】燃料電極膜7A,酸化剤電極膜7Bに反応
ガスが供給されると、それぞれの電極膜7A,7Bに備
えられた触媒層と、PE膜7Cとの界面に、気相(燃料
ガスまたは酸化剤ガス)・液相(固体高分子電解質)・
固相(燃料電極膜,酸化剤電極膜が持つ触媒)の三相界
面が形成され、電気化学反応を生じさせることで直流電
力を発生させている。なお、触媒層は多くの場合に、微
小な粒子状の白金触媒とはっ水性を有するフッ素樹脂と
から形成されており、しかも層内に多数の細孔が形成さ
れるようにすることで、反応ガスの三相界面までの効率
的な拡散を維持すると共に、十分広い面積の三相界面が
形成されるように構成されている。
【0007】この三相界面では、次記する電気化学反応
が生じる。まず、燃料電極膜7A側では(1)式による
電気化学反応が起こる。
【0008】
【化1】
【0009】また、酸化剤電極膜7B側では(2)式に
よる電気化学反応が起こる。
【0010】
【化2】
【0011】すなわち、これらの電気化学反応の結果、
燃料電極膜7Aで生成されたH+ イオン(プロトン)
は、PE膜7C中を酸化剤電極膜7Bに向かって移動
し、また、電子(e- )は、固体高分子電解質型燃料電
池の図示しない負荷を通って酸化剤電極膜7Bに移動す
る。一方、酸化剤電極膜7Bでは、酸化剤ガス98中に
含有される酸素と、PE膜7C中を燃料電極膜7Aから
移動してきたH+ イオンと、図示しない負荷装置を通っ
て移動してきた電子とが反応し、H2 O(水蒸気)が生
成される。かくして、固体高分子電解質型燃料電池は、
水素と酸素とを得て直流電力を発生し、そうして、副生
成物としてH2 O(水蒸気)を生成している。
【0012】前記の機能を備える燃料電池セル7の厚さ
寸法は、多くの場合に1〔mm〕前後程度あるいはそれ
以下であり、燃料電池セル7においてPE膜7Cは、燃
料ガス97と酸化剤ガス98との混合を防止するため
の、シール用膜の役目も兼ねていることになる。また、
セパレータ81とセパレータ82とは、燃料電池セル7
への反応ガスの供給と、余剰となった反応ガスの燃料電
池セル7からの排出、燃料電池セル7で発生された直流
電力の燃料電池セル7からの取り出し、直流電力の発生
に関連して燃料電池セル7で発生する熱を燃料電池セル
7から除去する役目などを担うものである。セパレータ
81は、その側面81aを燃料電池セル7の側面7aに
密接させて、また、セパレータ82は、その側面82a
を燃料電池セル7の側面7bに密接させて、それぞれ燃
料電池セル7を挟むようにして配設されている。セパレ
ータ81,82は共に、ガスを透過せず,かつ、良好な
熱伝導性と良好な電気伝導性を備え、しかも、生成水を
汚損させることの無い材料(例えば、炭素系の材料,金
属材料が使用されている。)を用いて製作されている。
【0013】セパレータ81,82には、燃料電池セル
7に反応ガスの供給,排出を行うための手段として、そ
れぞれガス通流用の溝が備えられている。すなわち、セ
パレータ81は、燃料電池セル7の側面7aに接する側
面81a側に、燃料ガス97を通流させると共に,未消
費の水素を含む余剰となった燃料ガス97を排出するた
めの間隔を設けて設けられた凹状の溝(ガス通流用の
溝)811Aと、この溝811A間に介在する凸状の隔
壁812Aとが、互いに交互に形成されている。セパレ
ータ82は、燃料電池セル7の側面7bに接する側面8
2a側に、酸化剤ガス98を通流させると共に,未消費
の酸素を含む余剰となった酸化剤ガス98を排出するた
めの間隔を設けて設けられた凹状の溝(ガス通流用の
溝)821Aと、この溝821A間に介在する凸状の隔
壁822Aとが、互いに交互に形成されている。なお、
凸状の隔壁812A,822Aの頂部は、それぞれ、セ
パレータ81,82のそれぞれの側面81a,82aと
同一面になるように形成されている。
【0014】セパレータ81,82には、燃料電池セル
7で発生した熱を燃料電池セル7から除去するための熱
交換体として、熱媒99を通流させる溝が備えられてい
る。すなわち、セパレータ82には、その側面82b側
に熱媒99を通流させる凹状の溝(熱媒通流用の溝)8
21Bが形成され、セパレータ81にも、その側面81
b側に熱媒99を通流させる凹状の溝(熱媒通流用の
溝)811Bが形成されている。
【0015】さらに、73は、前記したガス通流路中を
通流する反応ガスが、ガス通流路外に漏れ出るのを防止
する役目を負う弾性材製のガスシール体(例えば、Oリ
ングである。)である。ガスシール体73は、それぞれ
のセパレータ81,82の周縁部に形成された凹形状の
溝819,829内に収納されて装着されている。ま
た、セパレータ81の側面81b,セパレータ82の側
面82bには、溝811B,821Bを取り巻いて、凹
形状の溝818B,828Bがそれぞれ形成されてい
る。これ等の凹形状の溝は、熱媒99が漏れ出るのを防
止するための、弾性材製のシール体(例えば、Oリング
である。)を収納するためのものである。
【0016】ところで公知のごとく、1個の燃料電池セ
ル7が発生する電圧は、1〔V〕程度以下と低い値であ
る。このため、前記の構成を持つ単電池8は、その複数
個(数十個から数百個であることが多い。)を、燃料電
池セル7の発生電圧が互いに直列接続されるように積層
した単電池の積層体として構成し、電圧を高めて実用に
供されるのが一般である。次に、この単電池の積層体で
ある固体高分子電解質型燃料電池の従来例について説明
する。
【0017】図10は、従来の一例の固体高分子電解質
型燃料電池を模式的に示した要部の構成図で,(a)は
その側面図であり、(b)はその上面図であり、図11
は、図10におけるQ部の詳細断面図である。図12
は、図10,図11に示した固体高分子電解質型燃料電
池における熱媒の通流経路を説明する説明図である。な
お、図10,図11中には、図9で付した符号について
は、代表的な符号のみを記した。なおまた、図12中に
は、図9〜図11で付した符号については、代表的な符
号のみを記した。
【0018】図10〜図12において、9は、複数(図
10では、単電池8の個数が8個である場合を例示し
た。)の単電池8を積層して構成された、単電池8の積
層体を主体とした固体高分子電解質型燃料電池(以降、
スタックと略称することがある。)である。スタック9
は、単電池8の積層体の両端部に、単電池8で発生した
直流電力をスタック9から取り出すための,銅材等の導
電材製の集電板91,91と、単電池8,集電板91を
構造体から電気的に絶縁するための電気絶縁材製の電気
絶縁板92,92と、両電気絶縁板92の両外側面側に
配設される鉄材等の金属製の加圧板93,94とを順次
積層して構成されている。そうして、加圧板93,94
にそれぞれの外側面側から複数の締付けボルト95によ
り適度の加圧力を与えるようにしている。
【0019】図11において、825Aは、溝821A
に連通している酸化剤ガス98が通流される通流路であ
り、溝827Aは、通流路825Aの側面82bへの開
口部を取り巻いて、酸化剤ガス98がこの部位からガス
通流路外に漏れ出るのを防止する役目を負う弾性材製の
ガスシール体(例えば、Oリングである。)982を収
納するための凹形状の溝である。集電板91,電気絶縁
板92,加圧板93には、図11中に示されているよう
に、通流路825Aと合致される部位に、貫通穴91
1,921,および管用めねじ付きの貫通穴931がそ
れぞれ形成されている。また、集電板91,電気絶縁板
92,加圧板93にはその図示を省略したが、溝811
Aに連通している通流路825Aと同様の,燃料ガス9
7の通流路と合致される部位に、貫通穴911,921
と同様の貫通穴,および管用めねじ付きの貫通穴931
と同様の貫通穴932がそれぞれ形成されている。さら
に、加圧板94にも、貫通穴931,932と同様の貫
通穴941,942がそれぞれ形成されており、加圧板
94と隣接されている電気絶縁板92,集電板91に
も、貫通穴941,942と合致される部位に、貫通穴
921,911と同様の貫通穴がそれぞれ形成されてい
る。
【0020】これ等により、複数の単電池8を積層する
際に、全部の単電池8がそれぞれに持つ溝811Aは、
燃料ガス97用のガス通流路に関して互いに連通される
ことになる。このことは、酸化剤ガス98用の溝821
Aに関しても同様である。そうして、加圧板94のスタ
ック9の外側面となる側面の貫通穴941には、燃料ガ
ス97が供給され、貫通穴942からは、余剰分の酸化
剤ガス98が排出される。また、加圧板93のスタック
9の外側面となる側面の貫通穴931には、酸化剤ガス
98が供給され、貫通穴932からは、余剰分の燃料ガ
ス97が排出される。そうして、集電板91の一方の側
面の貫通穴911の開口部、および、電気絶縁板92が
持つ貫通穴921の一方の側面側の開口部には、それぞ
れの貫通穴を取り巻いて、凹形状の溝912,922が
形成されている。そうして、それぞれの溝827A,9
12,922には、シール体982が装着されている
(図11を参照)。
【0021】また、スタック9においては、複数の単電
池8を積層する際に、全部の単電池8がそれぞれに持つ
溝811B,821Bは、熱媒99の通流に関して互い
に並列となるようにして、その熱媒99の流入部同志お
よび流出部同志が、互いに連通されて接続される。した
がって、全部の単電池8がそれぞれに持つ溝811B,
821Bの熱媒99の流入部は、熱媒99の通流路に関
して連続させて接続されて、熱媒99の入口側の通流路
部90Aを形成している。また同様に、全部の溝811
B,821Bの熱媒99の流出部は、熱媒99の通流路
に関して連続させて接続されて、熱媒99の出口側の通
流路部90Bを形成している。加圧板94と加圧板94
に隣接している電気絶縁板92,集電板91とには、通
流路部90Aに連通している明示しない貫通穴が形成さ
れている。また、加圧板93と加圧板93に隣接してい
る電気絶縁板92,集電板91とには、通流路部90B
に連通している明示しない貫通穴が形成されている。こ
れ等の貫通穴の内、加圧板93,94に形成された貫通
穴には、熱媒99用の配管接続体991がそれぞれ装着
されている。
【0022】そうして、配管接続体991を介してスタ
ック9に供給される熱媒99は、図12中に代表的な部
位について点線で示したように、まず、通流路部90A
にその加圧板94側の端部から流入し、通流路部90A
から複数の単電池8に分流される。分流された熱媒99
は、続いて各単電池8が持つ溝811B,821B内を
通流して単電池8との間で熱交換を行った上で、通流路
部90Bにおいて順次合流し、その加圧板93側の端部
から流出し、配管接続体991を介してスタック9の外
部に排出されることになる。
【0023】なお、スタック9として示した事例の場合
には、各単電池8がそれぞれ2個持つ溝811B,82
1B毎に、通流路部90Aおよび通流路部90Bが形成
されるように構成している。このために、加圧板93と
加圧板94とには、それぞれ2個の配管接続体991が
装着されているのである。なお、それぞれ複数ある溝8
11B,821Bに対して、入口側通流路部,出口側通
流路部を、スタック9の内部で各1個に集約させて形成
できることは勿論のことであって、この場合には、加圧
板93,94には、それぞれ1個の配管接続体991が
装着されればよいことになる。
【0024】締付けボルト95は、加圧板93,94に
跨がって装着される六角ボルト等であり、それぞれの締
付けボルト95は、これ等と嵌め合わされる六角ナット
等と、安定した加圧力を与えるための皿ばね等と協同し
て、単電池8をその積層方向に加圧する。この締付けボ
ルト95が単電池8を加圧する加圧力は、燃料電池セル
7の見掛けの表面積あたりで、5〔kg/cm2〕内外程度で
あるのが一般である。
【0025】前述のように構成されたスタック9におい
て、燃料電池セル7に供給される反応ガスは、それぞれ
のセパレータ81,82に形成されたガス通流用の溝8
11A,821A中を、図10(a)中に矢印で示した
ごとく、その供給側を重力方向に関して上側に、その排
出側を重力方向に関して下側になるように配置されるの
が一般である。これは、燃料電池セル7においては、前
記したように、発電時の副生成物として水蒸気が生成さ
れるが、この水蒸気のために、下流側の反応ガスほど多
量に水蒸気が含有されることとなり、この結果、排出端
付近の反応ガスでは過飽和に相当する水蒸気が凝縮して
液体状態の水として存在することとなる可能性が有るた
めである。反応ガスの供給側を重力方向に関して上側
に,反応ガスの排出側を重力方向に関して下側になるよ
うに配置することで、凝縮した水は、反応ガス通流用の
溝811A,821A中を重力により自力で流下できる
ので、それぞれの単電池8からの凝縮した水の除去が容
易になるのである。
【0026】そうして、燃料電池セル7に使用されてい
るPE膜7Cは、前述したとおりに飽和に含水させるこ
とにより良好なプロトン導電性電解質として機能する膜
であり、乾燥して含水量が低下した場合には、その電気
抵抗値が増大することでスタック9の発電性能は低下す
る。こうしたことの発生を防止するために、反応ガス
は、適度の湿度値に加湿され、しかも70〜80〔℃〕
程度の温度に加熱されてスタック9に供給されている。
【0027】ところで、PE膜7C部の温度,従って,
単電池8の温度は、発電時に燃料電池セル7で生成され
る水分を円滑に蒸発させるなどのために、70〜80
〔℃〕程度の温度で使用されるのが一般である。また、
燃料電池セル7で行われる前記の(1)式,(2)式で
記述した電気化学反応は、発熱反応である。従って、燃
料電池セル7で(1)式,(2)式による電気化学反応
によって発電を行う際には、発生される直流電力値とほ
ぼ同等値の熱が発生することも避けられないものであ
る。単電池8の温度を70〜80〔℃〕程度に維持する
ためには、この損失による熱を燃料電池セル7から除去
する必要が有る。
【0028】始動時におけるまだ低温のスタック9を7
0〜80〔℃〕程度の温度に加熱したり、また、運転時
温度を70〜80〔℃〕程度の温度に維持するために,
発電運転中のスタック9から発熱反応による発生した熱
量を除去するのが、例えば、市水である熱媒99の主た
る役目である。単電池8では、この70〜80〔℃〕程
度の温度に調整された熱媒99が、セパレータ81,8
2に形成された溝811B,821B中を通流すること
で、燃料電池セル7は、その適温に維持されて運転され
るのである。この熱媒99は、この事例の場合には、加
圧板94に装着された配管接続体991からスタック9
に流入し、加圧板93に装着された配管接続体991か
らスタック9の外部に流出されている。
【0029】なおセパレータとして、一方の側面に燃料
ガス97を通流させる溝811Aを、また、他方の側面
に酸化剤ガス98を通流させる溝821Aを、それぞれ
形成するようにしたものも知られている。さらにまた、
単電池として、熱交換体としての熱媒99を通流させる
溝が備えられていないセパレータを用い、その替わり
に、単電池の積層体中に、熱交換体としての専用の冷却
体を介挿するようにしたスタックも知られている。この
場合には、冷却体には適宜の配管を介して熱媒99の供
給を行うことが一般である。
【0030】次に、前記のスタック9を用いた燃料電池
発電装置について、スタック9に供給される反応ガスの
供給経路を主体に、図13を用いて説明する。ここで図
13は、従来例の固体高分子電解質型燃料電池を用いた
燃料電池発電装置の固体高分子電解質型燃料電池に対す
る反応ガスの供給経路を説明する説明図である。図13
において、図10〜図12に示した従来例による固体高
分子電解質型燃料電池(スタック)と同一部分には同じ
符号を付し、その説明を省略する。なお、図13中に
は、図10〜図12で付した符号については、代表的な
符号のみを記した。
【0031】図13において、7Dは、スタック9と、
燃料ガス97用の加湿器71,除滴器72,凝縮器73
と、酸化剤ガス98用の加湿器74,除滴器75,凝縮
器76とを備えた燃料電池発電装置である。加湿器7
1,74は、それぞれの反応ガスの供給を受けてこれ等
の反応ガスを加湿する公知の装置であり、例えば、水を
貯留した容器を有しており、供給された反応ガスを管路
を介してこの水中に吐出させ、いわゆるバブリングを行
うことで加湿するのである。除滴器72,75は、加湿
器71,74で加湿されることなどでそれぞれの反応ガ
スに含まれた水蒸気が、凝縮されることで生成された水
滴を除去する公知の装置である。除滴器72,75は、
例えば、除去された水滴を貯留する容器と、容器の側壁
に装着され,それぞれの反応ガスが流入される流入管
と、容器の側壁に装着され,それぞれの反応ガスが流出
される流出管とを有している。この事例の除滴器72,
75の容器は、流出管を流入管よりも高い位置に装着し
ており、これによって流入管から容器に流入してきた反
応ガスをまず容器の側壁に衝突させ、衝突させることで
水滴を側壁に付着させて反応ガスから除去するようにし
ている。
【0032】スタック9から排出された燃料ガス97
a,酸化剤ガス98a中には、前述したところにより、
電気化学反応により生成されるなどした水蒸気と、この
水蒸気が凝縮されることで生成された水とが含まれてい
る。凝縮器73,76は、反応ガス97a,98a中の
水蒸気を凝縮することでその量を低減することと、この
反応ガス中の水の除去とを行う公知の装置である。凝縮
器73,76は、例えば、前記の水を貯留する容器と、
この容器の側壁に、それぞれの反応ガス97a,98a
が流入される流入管と、それぞれの反応ガス97a,9
8aが流出される流出管と、水冷管とを有している。こ
の事例の場合には、まず、流入管内を通流してきて容器
内に吐出された反応ガス97a,98aは、水冷管によ
って冷却される。この反応ガスに含まれる水蒸気は、反
応ガスの温度の低下度に応じた量が凝縮される。この凝
縮によって生成された水と、反応ガスにもともと含まれ
ていた水とは、反応ガスから除去されて容器内に貯留さ
れる。前記の除滴器72,75と凝縮器73,76とに
は、容器内に貯留された水を排出するための、ドレイン
弁を含む排水管路が備えられている。
【0033】また、燃料電池発電装置7では、反応ガス
97a,98aを含む反応ガスを通流させる配管として
は、例えば、ステンレス鋼材製の金属管が用いられるの
が一般である。そうして、この金属管を用いた燃料ガス
97,酸化剤ガス98を通流させる配管の外面には、燃
料ガス97,酸化剤ガス98の温度の低下を防止するた
め、図示しない断熱層の形成、または、この断熱層に加
えて、リボン状ヒータなどの図示しない電気発熱体の層
の形成が施されるのが一般である。これによって、燃料
ガス97,酸化剤ガス98の温度が低下されることで、
スタック9に供給される反応ガス内に水滴が含まれるこ
とがないように配慮されている。
【0034】次に、異なる固体高分子電解質型燃料電池
の従来例について説明する。図14は、異なる従来例の
固体高分子電解質型燃料電池を模式的に示した要部の構
成図で,(a)はその側面図であり、(b)はその上面
図である。図15は、図14に示した固体高分子電解質
型燃料電池における熱媒の通流経路を説明する説明図で
あり、図16は、図14中に示した加湿器が有する単位
加湿体の要部を展開した状態で模式的に示した縦断面図
である。図14〜図16において、図9〜図12に示し
た従来例による固体高分子電解質型燃料電池と同一部分
には同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、図1
4中には、図9〜図12で付した符号については、代表
的な符号のみを記した。なおまた、図15中には、図9
〜図12,図14で付した符号については、代表的な符
号のみを記した。
【0035】図14〜図16において、9Aは、図10
〜図12に示した従来例によるスタック9に対して、加
圧板93側の電気絶縁板92の使用を止め、その部位に
加湿器6Aを追加して備えるようにした固体高分子電解
質型燃料電池(スタック)である。加湿器6Aは、複数
個(図14では、単位加湿体6の個数が5個である場合
を例示した。)の単位加湿体6を積層して構成されてお
り、加圧板93と集電板91との間に図示のように介挿
されて、スタック9Aに組み込まれている。
【0036】ただし、スタック9Aが持つ加圧板93,
94においては、図14中に示したごとくに、形成され
ている前記の管用めねじ付きの貫通穴931,貫通穴9
32,貫通穴941,および貫通穴942の位置と,こ
れ等に通流される反応ガスとが、図10〜図12に示し
たスタック9の場合と一部異なっている。すなわち、ス
タック9Aの場合には、加圧板93では、貫通穴931
は、上下方向の位置をスタック9の場合における位置に
対して対称となる位置に、かつ、貫通穴932は、水平
方向の位置をスタック9の場合における位置に対して対
称となる位置に、それぞれ形成されている。また、加圧
板94では、貫通穴941は、上下方向の位置をスタッ
ク9の場合における位置に対して対称となる位置に、か
つ、貫通穴942は、水平方向の位置をスタック9の場
合における位置に対して対称となる位置に、それぞれ形
成されている。そうして、燃料ガス97は、貫通穴93
2から流入し、貫通穴941から流出するようにしてい
る。
【0037】加湿器6Aが備えるそれぞれの単位加湿体
6は、シート状の水透過膜61と、水透過膜61を両面
から挟持する支持板62,62と、支持板62,62の
外側面側のそれぞれに配置されるセパレータ63,64
と、ガスシール体65,65とを備えている。水透過膜
61には、固体高分子電解質膜7Cにも用いられてい
る,分子中にプロトン交換基を有する高分子樹脂膜(固
体高分子電解質膜)が使用されている。固体高分子電解
質膜には、プロトン導電性電解質として機能する前記し
た性質と共に、水を膜を通して移動できる性質も有して
いる。単位加湿体6は、固体高分子電解質膜が持つこの
性質を利用するものである。
【0038】支持板62には、反応ガスおよび水が容易
に通過できるように多孔質のシート材が用いられてお
り、このシート材には、例えば、電極膜7A,7Bの電
極基材としても用いられているカーボンペーパーが用い
られている。そうして、それぞれの支持板62は、水透
過膜61の面方向の外形寸法よりも小さい面方向の外形
寸法を持つものであり、両支持板62の周辺部には、水
透過膜61の端部との間に水透過膜61の露出面が存在
することになる。この部位の構成は、燃料電池セル7に
おける、PE膜7Cに対する、燃料電極膜7A,酸化剤
電極膜7Bが持つ構成と同等である。
【0039】セパレータ63,64には、適宜の電気絶
縁材,金属材などを用いることが可能であるが、この事
例では、耐熱性の硬質塩化ビニル樹脂材が用いられてい
る。セパレータ63,64が電気絶縁材である硬質塩化
ビニル樹脂材製であることにより、単位加湿体6が装着
されている部位では、電気絶縁板92を不要とすること
ができるのである。セパレータ63の支持板62と対向
する側面には、燃料ガス97または酸化剤ガス98を通
流させる凹形状の溝631が形成されており、セパレー
タ64の支持板62と対向する側面には、熱媒99また
は水を通流させる凹形状の溝641が形成されている。
セパレータ63,64の周縁部には、溝631,641
をを取り巻いて、凹形状の溝632,642が形成され
ている。溝632,642には、溝631,641中を
通流する反応ガスや熱媒99などが、その通流路の外に
漏れ出るのを防止する役目を負う弾性材製のガスシール
体(例えば、Oリングである。)65が装着される。
【0040】セパレータ63では、溝631のそれぞれ
の両端部は、反応ガスの通流路に関して並列に接続され
たうえで、反応ガスの入口部,出口部となる図示しない
貫通穴が形成されている。セパレータ63には、前記の
両貫通穴とは対称となる部位に、溝631には連通して
いない図示しない貫通穴が形成されている。さらに、セ
パレータ63には、セパレータ64に形成された後記す
る溝641と連通している貫通穴と対向する部位に、図
示しない貫通穴が形成されている。また、セパレータ6
4では、溝641のそれぞれの両端部は、熱媒99など
の通流路に関して適宜に並列に接続されるなどされたう
えで、熱媒99などの入口部,出口部となる図示しない
貫通穴が形成されている。また、セパレータ64には、
セパレータ63に形成された溝631と連通している前
記の貫通穴、および、溝631とは連通していない前記
の貫通穴のそれぞれと対向する部位に、図示しない貫通
穴がそれぞれ形成されている。
【0041】そうして、この事例の場合には、単位加湿
体6の外形寸法は、燃料電池セル7の外形寸法と同一に
設定されている。また、単位加湿体6に形成された前記
の貫通穴は、加圧板93,94に形成された前記の貫通
穴931,932,941,942および配管接続体9
91装着用の図示しない貫通穴のそれぞれと合致する位
置に形成されている。
【0042】前記の構成を持つ単位加湿体6は、セパレ
ータ63,64に形成されている前記の貫通穴を適宜に
合致させて、スタック9Aに組み込まれている。5個備
えられた単位加湿体6の内の2個については、溝631
と連通している貫通穴の内の一方の貫通穴は、加圧板9
3に形成された貫通穴932に連通されるように組み込
まれる。また、残りの3個の単位加湿体6については、
溝631と連通している貫通穴の内の一方の貫通穴は、
加圧板93に形成された貫通穴931に連通されるよう
に組み込まれる。
【0043】そうして、各単位加湿体6が持つセパレー
タ64の溝641には、単電池8の積層体中を通流した
熱媒99が通流する。ここでスタック9Aに供給された
熱媒99のスタック9A内の通流経路の概要を、図15
を用いて説明する。スタック9Aに供給された熱媒99
は、図15中に代表的な部位について点線で示したよう
に、まず、通流路部90Aに加圧板94側の端部から流
入し、複数の単電池8との間で熱交換を行った上で通流
路部90Bの加圧板93側の端部から流出し、続いて加
湿器6が持つ溝641に通流されるのである。そうし
て、単位加湿体6が持つセパレータ63の溝631に
は、2個の単位加湿体6に関しては燃料ガス97が、3
個の単位加湿体6に関しては酸化剤ガス98が通流して
いる。溝631に通流しているこれ等の反応ガスは、水
透過膜61を介して移動してくる熱媒99(例えば市水
である。)によって加湿されるのである。
【0044】スタック9Aは、前述の構成を備えてお
り、反応ガスの加湿に供される加湿器6Aがスタック9
Aに内蔵されているので、前述のスタック9を用いた燃
料電池発電装置7Dでは必要であった,加湿器とスタッ
クとの間を接続するための配管が不要になる。これと共
に、加湿器によって加湿された反応ガスに含まれている
水蒸気が、反応ガスがスタックに流入される前に凝縮さ
れるということも発生しない。このために、スタック9
Aを用いる燃料電池発電装置では、スタック9を用いて
いる燃料電池発電装置7Dにおいて必要としていた除滴
器72,75が不要になるなど、反応ガスのスタック9
Aに対する供給系統の構成を、燃料電池発電装置7Dの
場合よりも簡単化することができるという特長を持つの
である。
【0045】なお、単電池の積層体中に専用の冷却体を
介挿するようにしたスタック内に加湿器6Aを備える場
合には、専用の冷却体中を通流することで昇温された熱
媒99を、加湿器6Aに供給するようにしている。
【0046】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来技術によ
る固体高分子電解質型燃料電池(スタック)において
は、例えば、前述のスタック9では、燃料電池セル7等
がセパレータ等を介して熱媒99により冷却され、スタ
ックの運転にとって適温に保持されることで、直流発電
の機能を十分に発揮し、また、前述のスタック9Aで
は、スタック9の前記の動作に加えて、反応ガスの供給
系統の構成を簡単化することができている。しかしなが
ら、なお次記する問題が残存している。すなわち、
(1)従来技術によるスタック9,9Aにおいては、そ
れぞれの単電池8が持つ燃料電池セル7の温度の、単電
池8の積層方向の分布が、積層方向の中央部で高く、か
つ、積層方向の両端部で低いという事実が有る。単電池
積層方向における温度分布が一様ではないことで高い温
度となった燃料電池セル7では、燃料電池セル7に使用
されているPE膜7Cは水の蒸発が促進されるために乾
燥する。他方、単電池積層方向における温度分布が一様
ではないことで低い温度となった燃料電池セル7におい
ては、燃料電極7A,酸化剤電極7Bからの水の蒸発量
が低減されることで、その表面に水分が凝結する度合い
が高くなる。
【0047】乾燥したPE膜7Cは、前述したPE膜が
持つ特有の性質によりその電気抵抗率値が増大する。P
E膜の電気抵抗率値が増大すると、その結果、PE膜の
電気抵抗値が増大するので、燃料電池セル7におけるジ
ュール損失が増大し、その発電効率は低下することにな
る。また、表面が水で覆われた燃料電極7A,酸化剤電
極7Bでは、この水が電極7A,7B中に含浸されて反
応ガスの電極7A,7B中における拡散を阻害すること
で、その発電性能が低下することになるのである。
【0048】これ等のスタックの性能の低下をもたらす
単電池の積層方向における温度分布の不均一性の原因
は、第1には、スタック9,9A等における単電池の積
層方向の両端部には、熱の良導体である金属製の集電板
91,加圧板93,94が装着されていることにある。
これ等の熱良導体の存在は、この部位からの熱放散量を
増大させることになるので、スタック9,9Aの両端部
の燃料電池セル7の温度が低下するのである。また、原
因の第2は、加圧板94と加圧板94に隣接する集電板
91を貫通して通流する熱媒99の温度と、加圧板93
と加圧板93に隣接する集電板91を貫通して通流する
熱媒99の温度とが異なることにある。すなわち、加圧
板94等を貫通して通流する熱媒99は、単電池8の積
層体から熱を除去する前の、まだ昇温していない熱媒9
9であるので、加圧板94等の温度は、加圧板93等の
温度よりも低温となるのである。また、(2)従来技術
によるスタック9Aにおいては、加圧板93側に加湿器
6Aが装着されており、スタック9Aの発電運転中に
は、この加湿器6Aが備える単位加湿体6には、単電池
8の積層体中を通流して昇温した熱媒99が通流する。
このために、前記の積層体の加圧板93側の端部は、そ
の熱伝導条件に関しては、加湿器6Aによって外部から
ほぼ遮断されることとなり、その温度値は、単電池8の
積層方向の中央部の温度値に対してほとんど低下されな
いことになるのである。このことは、加圧板93側の積
層体の端部の温度と、加圧板94側の積層体の端部の温
度との差異が、前記(1)項による原因による場合より
も増大することであり、この結果、後記する図4中に点
線で例示したような温度分布になってしまうのである。
このような温度分布のために、前記(1)項で述べたと
同様に、スタック9Aの発電性能が低下することになる
のである。
【0049】この発明は、前述の従来技術の問題点に鑑
みなされたものであり、その目的は、単位燃料電池の積
層方向における温度分布の均一化が容易な、固体高分子
電解質型燃料電池を提供することにある。
【0050】
【課題を解決するための手段】この発明では前述の目的
は、 1)複数個の単位燃料電池と,単位燃料電池で発生した
熱を除去する熱媒が通流される熱交換体の複数個とが積
層された積層体と、この積層体の両端末部に配置され,
それぞれの単位燃料電池をその積層方向に加圧する加圧
力を与える加圧板とを備え、単位燃料電池は、シート状
の固体高分子電解質材の電解質膜と,その両主面のそれ
ぞれに接合された燃料電極膜および酸化剤電極膜とを持
ち,燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給を受けて直流電力
を発生する燃料電池セルと、燃料電池セルの両主面のそ
れぞれに対向させて配置されて,燃料電池セルと対向さ
れる側の面に燃料電池セルに供給される燃料ガスまたは
酸化剤ガスを通流させるための溝が形成されているセパ
レータとを有し、熱交換体は、熱媒が通流される通流路
と、この通流路に関する熱媒の入口部・出口部とを有す
る、固体高分子電解質型燃料電池において、複数個備え
られた熱交換体が有する入口部・出口部は、それぞれの
熱交換体が有する前記の通流路が熱媒の通流に関して並
列となるように互いに連通させて接続されて,それぞれ
入口側の通流路部と出口側の通流路部とを形成してな
り、熱媒は、前記の入口側の通流路部の両端部のそれぞ
れから流入され、また、前記の出口側の通流路部の両端
部のそれぞれから流出されてなる構成とすること、また
は、 2)複数個の単位燃料電池と,単位燃料電池で発生した
熱を除去する熱媒が通流される熱交換体の複数個とが積
層された積層体と、この積層体の両端末部に配置され,
それぞれの単位燃料電池をその積層方向に加圧する加圧
力を与える加圧板とを備え、単位燃料電池は、シート状
の固体高分子電解質材の電解質膜と,その両主面のそれ
ぞれに接合された燃料電極膜および酸化剤電極膜とを持
ち,燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給を受けて直流電力
を発生する燃料電池セルと、燃料電池セルの両主面のそ
れぞれに対向させて配置されて,燃料電池セルと対向さ
れる側の面に燃料電池セルに供給される燃料ガスまたは
酸化剤ガスを通流させるための溝が形成されているセパ
レータとを有し、熱交換体は、熱媒が通流される通流路
と、通流路に関する熱媒の入口部・出口部とを有する、
固体高分子電解質型燃料電池において、積層体と加圧板
との間のそれぞれに介挿され,加熱された水を用いて燃
料ガス,酸化剤ガスを加湿する加湿器を備える構成とす
ること、または、 3)前記2項に記載の手段において、複数個備えられた
熱交換体が有する入口部・出口部は、それぞれの熱交換
体が有する前記の通流路が熱媒の通流に関して並列とな
るように互いに連通させて接続されて,それぞれ入口側
の通流路部と出口側の通流路部とを形成してなり、熱媒
は前記の入口側の通流路部の両端部のそれぞれから流入
され、また、前記の出口側の通流路部の両端部のそれぞ
れから流出されてなり、それぞれの加湿器に供給される
加熱された水には、前記の出口側の通流路部の両端部か
ら流出された熱媒がそれぞれに用いられてなる構成とす
ること、さらにまたは、 4)前記2項に記載の手段において、それぞれの加湿器
に供給される加熱された水は、固体高分子電解質型燃料
電池の外部から供給される、加熱された加湿用の水であ
る構成とすること、により達成される。
【0051】
【作用】この発明においては、固体高分子電解質型燃料
電池において、 (1)複数個備えられた熱交換体が有する入口部・出口
部は、それぞれの熱交換体が有する前記の通流路が熱媒
の通流に関して並列となるように互いに連通させて接続
されて,それぞれ入口側の通流路部と出口側の通流路部
とを形成してなり、熱媒を、前記の入口側の通流路部の
両端部のそれぞれから流入し、また、前記の出口側の通
流路部の両端部のそれぞれから流出してなる構成とする
ことにより、単電池の積層体の両端部に配置される加圧
板等を貫通して通流する熱媒の温度条件は、それぞれの
端部で同等になし得ることになる。これによって、熱媒
は、単電池の積層体の端部を、同等条件で加熱すること
が可能となる。
【0052】(2)積層体と加圧板との間のそれぞれに
介挿され,加熱された水を用いて燃料ガス,酸化剤ガス
を加湿する加湿器を備え、複数個備えられた熱交換体が
有する入口部・出口部は、それぞれの熱交換体が有する
前記の通流路が熱媒の通流に関して並列となるように互
いに連通させて接続されて,それぞれ入口側の通流路部
と出口側の通流路部とを形成してなり、熱媒は、前記の
入口側の通流路部の両端部のそれぞれから流入され、ま
た、前記の出口側の通流路部の両端部のそれぞれから流
出されてなり、それぞれの前記の加湿器に供給される加
熱された水には、例えば、前記の出口側の通流路部の両
端部から流出された熱媒がそれぞれに用いられてなる構
成とすることにより、単電池の積層体の両端部のそれぞ
れに介挿された加湿器には、単電池の積層体中を通流す
ることで昇温した熱媒が、同等の条件で供給されること
になる。これにより、それぞれの加湿器の温度は同等値
になる。このことによって、単電池の積層体の両端部は
共に、その熱伝導条件に関してはそれぞれの加湿器によ
って、外部からほぼ遮断されることとなる。
【0053】(3)前記の(2)項において、それぞれ
の前記の加湿器に供給される加熱された水は、固体高分
子電解質型燃料電池の外部から供給される、加熱された
加湿用の水である構成とすることにより、それぞれの加
湿器の温度は加湿用の水の温度とほほ同等値になる。こ
のことによって、単電池の積層体の両端部は共に、その
熱伝導条件に関してはそれぞれの加湿器によって、外部
からほぼ遮断されることとなる。また、これと共に、加
湿用の水の温度値を制御することで、反応ガスの加湿度
を人為的に最適値に設定することが可能となる。
【0054】
【実施例】以下この発明の実施例を図面を参照して詳細
に説明する。 実施例1;図5は、請求項1に対応するこの発明の一実
施例による固体高分子電解質型燃料電池を模式的に示し
た要部の構成図で,(a)はその側面図であり、(b)
はその上面図である。図6は、図5に示した固体高分子
電解質型燃料電池における熱媒の通流経路を説明する説
明図である。図5,図6において、図9〜図12に示し
た従来例による固体高分子電解質型燃料電池と同一部分
には同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、図5
中には、図9〜図12で付した符号については、代表的
な符号のみを記した。なおまた、図6中には、図5,図
9〜図12で付した符号については、代表的な符号のみ
を記した。
【0055】図5,図6において、5は、図9〜図12
に示した従来例による固体高分子電解質型燃料電池9に
対して、各集電板91、各電気絶縁板92および加圧板
93,94に替えて、それぞれ、集電板51,51、電
気絶縁板52,52および加圧板53,54を用いるよ
うにした固体高分子電解質型燃料電池(スタック)であ
る。各集電板51、各電気絶縁板52および加圧板5
3,54のそれぞれには、単電池8の積層体に形成され
ている入口側の通流路部90Aに連通する明示しない貫
通穴と、単電池8の積層体に形成されている出口側の通
流路部90Bに連通する明示しない貫通穴とが、それぞ
れに形成されている。すなわち、加圧板53,54につ
いて説明すれば、反応ガス用の貫通穴931,932,
941および942は、前述の従来例によるスタック9
が持つ加圧板93,94に形成された反応ガス用の貫通
穴931,932,941および942と同等の位置に
形成されている。ただし、加圧板53,54に形成され
る熱媒99用の貫通穴の個数は、この事例の場合には、
スタック9が持つ加圧板93,94の場合の2倍にな
る。加圧板53,54に形成されたこれ等の熱媒99用
の貫通穴には、熱媒99用の配管接続体991がそれぞ
れ装着されている。これ等の配管接続体991の内の通
流路部90Aに連通されたそれぞれの配管接続体991
から、スタック5に熱媒99が流入され、この熱媒99
は、加圧板53,54に装着され,しかも,通流路部9
0Bに連通されたそれぞれの配管接続体991から、ス
タック5の外部に流出されることになる。
【0056】図5,図6に示す実施例では前述の構成と
したので、スタック5の内部を通流する熱媒99は、図
6中に代表的な部位について点線で示したように、ま
ず、通流路部90Aにその両端部のそれぞれから流入
し、複数の単電池8がそれぞれに持つ溝811B,82
1Bに分流される。各単電池8との間で熱交換を行った
上で、溝811B,821Bから排出された熱媒99
は、通流路部90Bの両端部のそれぞれから流出する。
熱媒99はスタック5内を前記のごとくに通流されるの
で、加圧板53,54等を貫通して通流する熱媒99の
温度条件は、スタック5のそれぞれの端部で同等になし
得ることになる。これによって、熱媒99は、スタック
5の端部である、各集電板51、各電気絶縁板52およ
び加圧板53,54を、ほぼ均等に加熱することができ
ることになるのである。この結果、それぞれの単電池8
が持つ燃料電池セル7の温度の、単電池8の積層方向の
分布の均一化を図ることができるのである。
【0057】また、スタック5が持つ前述の構成では、
通流路部90A,通流路部90Bに対する、熱媒99の
流入部,流出部における熱媒99の流量,したがって,
その流速は、従来例のスタック9,9Aの場合に対する
1/2になることによって、通流路部90A内および通
流路部90B内を通流する熱媒99の圧力降下値が低減
され、両通流路部90A,90B内の熱媒99の圧力値
を、それそれの通流路部内でほぼ同一値になし得る。こ
れにより、熱媒99は、各単電池8がそれぞれに持つ溝
811B,821B中をほぼ均等に通流することができ
ることとなり、各単電池8との間で行う熱交換をほぼ同
一条件とすることができる。また、この構成では、通流
路部90A,90B内の熱媒99の流速値を従来例のス
タック9,9Aの場合と同等値に設定すれば、通流路部
90A,90Bの通流面積値を、従来例のスタック9,
9Aの場合に対する1/2にすることができ、各単電池
8の面積,したがって,スタック5の外形を小形化する
ことができることとなる。
【0058】実施例2;図1は、請求項2,3に対応す
るこの発明の一実施例による固体高分子電解質型燃料電
池を模式的に示した要部の側面図であり、図2は、図1
に示した固体高分子電解質型燃料電池を模式的に示した
要部の上面図である。図3は、図1,図2に示した固体
高分子電解質型燃料電池における熱媒の通流経路を説明
する説明図である。図1〜図3において、図5,図6に
示した請求項1に対応するこの発明の一実施例による固
体高分子電解質型燃料電池、および、図9〜図12,図
14〜図16に示した従来例による固体高分子電解質型
燃料電池と同一部分には同じ符号を付し、その説明を省
略する。なお、図1,図2中には、図5,図9〜図1
2,図14〜図16で付した符号については、代表的な
符号のみを記した。なおまた、図3中には、図1,図
2,図5,図9〜図12,図14〜図16で付した符号
については、代表的な符号のみを記した。
【0059】図1〜図3において、1は、図5,図6に
示したこの発明による固体高分子電解質型燃料電池5に
対して、各電気絶縁板52の使用を止め、その部位に加
湿器2Aと加湿器2Bとを追加して備えるようにした固
体高分子電解質型燃料電池(スタック)である。ただ
し、スタック1が持つ加圧板53,54においては、図
1中に示したごとくに、形成されている前記の管用めね
じ付きの貫通穴931,貫通穴932,貫通穴941,
および貫通穴942の位置と,これ等に通流される反応
ガスとが、図5,図6に示したスタック5の場合と一部
異なっている。すなわち、スタック1が備える加圧板5
3,54の場合には、貫通穴931,932,941お
よび942が形成される位置は、前述の従来例によるス
タック9Aが持つ加圧板93,94に形成された反応ガ
ス用の貫通穴931,932,941および942と同
等の位置に形成されている。
【0060】スタック1が備えるそれぞれの加湿器2
A,2Bは、複数個(図1〜図3中では、加湿器2Aは
単位加湿体6の個数が3個であり、加湿器2Bは、単位
加湿体6の個数が2個である場合を例示した。)の単位
加湿体6を積層して構成されている。これ等の内、加湿
器2Aは、加圧板53と集電板51との間に、加湿器2
Bは、加圧板54と集電板51との間に、図示のように
介挿されて、スタック1に組み込まれている。その際、
加湿器2Aの溝631と連通している貫通穴の内の一方
の貫通穴は、加圧板53に形成された貫通穴931に連
通されるように組み込まれ、加湿器2Bの溝631と連
通している貫通穴の内の一方の貫通穴は、加圧板54に
形成された貫通穴941に連通されるように組み込まれ
る。また、両加湿器2A,2Bが備える単位加湿体6が
持つセパレータ64の溝641には、単電池8の積層体
中を通流し通流路部90Bの両端部のそれぞれから流出
した熱媒99が、それぞれに通流されるように組み込ま
れる。
【0061】図1〜図3に示す実施例では前述の構成と
したので、スタック1に供給される燃料ガス97と酸化
剤ガス98とは、それぞれ加湿器2B,加湿器2A内を
通流したうえで、単電池8内に流入することとなる。ま
た、スタック1に供給される熱媒99は、図3中に代表
的な部位について点線で示したように、まず、通流路部
90Aにその両端部から流入し、複数の単電池8との間
で熱交換を行った上で、通流路部90Bの両端部から流
出し、加湿器2Aと加湿器2Bとに供給される。熱媒9
9は、スタック1内を前記のごとくに通流されるので、
加湿器2Aと加湿器2Bとのそれぞれに通流する熱媒9
9の温度条件はほぼ同等であり、両加湿器2A,2Bを
ほぼ同一の温度に、しかも、スタック1が備えた単電池
8の温度とほぼ同等の温度に加熱することができるので
ある。
【0062】このことによって、スタック1が備える単
電池8の積層体の両端部は、その熱伝導条件に関しては
それぞれの加湿器2A,2Bによって、外部からほぼ遮
断されることとなり、この結果、それぞれの単電池8が
持つ燃料電池セル7の温度の単電池8の積層方向の分布
を、図4に例示したように均一化を図ることができるの
である。ここで図4は、実施例2によるこの発明になる
固体高分子電解質型燃料電池の単位燃料電池積層方向に
おける、各単位燃料電池が持つ燃料電池セルの面積方向
における中心部の温度分布の測定例を、従来例の場合と
比較して示すグラフである。図4において、実線は、ス
タック1の場合を示し、点線は、従来例のスタック9A
の場合を示している。図4によれば、スタックの中央部
と端部との間の温度差値は、スタック9Aの場合には5
〔℃〕程度であるが、スタック1の場合には0.5
〔℃〕程度以下に改善されている。前記のことから、ス
タック1では、それぞれの単電池8が持つ燃料電池セル
7の温度の単電池8の積層方向の分布を、均一化できて
いることが明らかである。
【0063】なお、スタック1の場合でも、スタック5
の場合と同様に、熱媒99は、通流路部90Aおよび通
流路部90Bそれぞれの両端部から流入・流出するの
で、その外形を小形化することが可能である。実施例2
における今までの説明では、スタック1が備える単電池
8は、熱媒99を通流させる溝811B,821Bが備
えられているセパレータ81,82を有しているとして
きたが、これに限定されるものではなく、例えば、燃料
電池セル7の冷却用として、熱媒99を通流させる専用
の冷却体を用いるようにしてもよく、この場合には、専
用の冷却体中を通流することで昇温された熱媒99を、
加湿器2A,2Bに供給するようにすればよい。
【0064】実施例3;図7は、請求項2,4に対応す
るこの発明の一実施例による固体高分子電解質型燃料電
池を模式的に示した要部の構成図で,(a)はその側面
図であり、(b)はその上面図である。図8は、図7に
示した固体高分子電解質型燃料電池における熱媒の通流
経路を説明する説明図である。図7,図8において、図
5,図6に示した請求項1に対応するこの発明の一実施
例による固体高分子電解質型燃料電池、図1〜図3に示
した請求項2,3に対応するこの発明の一実施例による
固体高分子電解質型燃料電池、および、図9〜図12,
図14〜図16に示した従来例による固体高分子電解質
型燃料電池と同一部分には同じ符号を付し、その説明を
省略する。なお、図7中には、図1,図2,図5,図9
〜図12,図14〜図16で付した符号については、代
表的な符号のみを記した。なおまた、図8中には、図
1,図2,図5,図7,図9〜図12,図14〜図16
で付した符号については、代表的な符号のみを記した。
【0065】図7,図8において、3は、図1〜図3に
示したこの発明による固体高分子電解質型燃料電池1に
対して、加圧板53,54に替えて加圧板33,34を
用いるようにした固体高分子電解質型燃料電池(スタッ
ク)である。加圧板33,34には、前述のスタック1
が備た加圧板53,54に形成されている諸貫通穴(燃
料ガス97,酸化剤ガス98,熱媒99用の貫通穴であ
る。)に加えて、加湿水4用の図示しない貫通穴がそれ
ぞれ形成されている。この貫通穴は、加湿水4用の流入
用と流出用の少なくとも1対分が形成されており、この
貫通穴には、加湿水4用の配管接続体41がそれぞれ装
着される。
【0066】そうして、加湿器2A,2Bは、それぞれ
の加湿器2A,2Bが備える単位加湿体6が持つセパレ
ータ64の溝641には、スタック3の外部から供給さ
れた加湿水4がそれぞれに通流されるようにしてスタッ
ク3に組み込まれている。また、単電池8の積層体中を
通流し通流路部90Bの両端部のそれぞれから流出した
熱媒99は、加湿器2A,2Bが持つセパレータ64の
溝641内を通流することなく、配管接続体991から
スタック3の外部に排出される。ここで加湿水4は、例
えば市水であり、その温度を、通流路部90Bから流出
する熱媒99が持つ温度と同程度レベルの温度範囲で、
しかも、反応ガスに含ませるべき水蒸気量に対応させた
温度値に設定されてスタック3に供給される。加湿器2
A,2B中を通流する反応ガスは、加湿水4の温度の影
響を受けてその温度値が変化し、そのことによって反応
ガスの飽和水蒸気量値が変化する。そうして、反応ガス
は、このように変化した飽和水蒸気量値に対応させて、
水透過膜61を介して移動してくる加湿水4によって加
湿されることになり、反応ガスに含有される水蒸気量値
が調整されるのである。
【0067】図7,図8に示す実施例では前述の構成と
したので、スタック3に供給される燃料ガス97と酸化
剤ガス98とは、それぞれ加湿器2B,加湿器2A内を
通流したうえで、加湿水4によって加湿されて単電池8
内に流入することとなる。その際に、この実施例3によ
る特徴的な構成として加湿水4の温度が可変であるの
で、反応ガスは、加湿水4の温度値を調整することで、
スタック3の運転にとって最適な加湿度とされる。この
加湿水4は、図8中に代表的な部位について点線で示し
たように、加湿水4の流入用の配管接続体41から、そ
れぞれの加湿器2B,加湿器2Aに流入し、セパレータ
64の溝641内を通流する。そうして、セパレータ6
3の溝631内を通流している反応ガスを加湿後、加湿
水4の流出用の配管接続体41から、スタック3の外部
に排出される。また、熱媒99は、複数の単電池8との
間で熱交換を行った後、通流路部90Bの両端部から流
出し、そのまま配管接続体991からスタック3の外部
に排出される。
【0068】これにより、加湿器2Aと加湿器2Bと
は、それぞれに通流する加湿水4の温度値に従う同等値
の温度に加熱されることとなる。この温度値は、燃料電
池セル7の温度とさして変わらない値であるので、単電
池8の積層体の両端部は共に、その熱伝導条件に関して
はそれぞれの加湿器2A,2Bによって、外部からほぼ
遮断されることとなる。そうして、スタック3では、加
湿水4の温度値を適宜に制御することによって、反応ガ
スの加湿度を人為的に最適値に設定することができるの
である。この結果、この実施例3では、燃料電池セル7
の温度の単電池8の積層方向の分布の均一化に関して、
実施例2の場合とほぼ同等の作用・効果を得ながら、燃
料電池セル7の加湿状態を最適化することによって、ス
タック3の発電特性の一層の向上を図ることができるの
である。
【0069】実施例2,3における今までの説明では、
スタック1,3では、加湿器2A,2Bの両側に位置す
る集電板と加圧板との間には、電気絶縁板は介挿されて
いないとしてきたが、これに限定されるものではなく、
例えば、加湿器を構成する単位加湿体が備えるセパレー
タが金属製である場合などでは、電気絶縁板の介挿が必
要となるものである。
【0070】
【発明の効果】この発明においては、前記の課題を解決
するための手段の項で述べた構成とすることにより、次
記する効果を奏する。 単位燃料電池の積層体の両端部の温度を積層体の積層
方向の中央部の温度に近い値に保持することができて、
積層体の積層方向における温度分布の均一化を図ること
が可能となり、固体高分子電解質型燃料電池の発電性能
を改善することが可能となる。またこれと共に、燃料電
池セルの面積を低減することも可能となり、固体高分子
電解質型燃料電池の小形化が可能となる。また、 前記の課題を解決するための手段の項の(2),
(3)項による構成とすることにより、単位燃料電池の
積層体の両端部の温度を、積層体の積層方向の中央部の
温度とほとんど一致したレベルに保持することができ
て、積層体の積層方向における温度分布の均一度の向上
を図ることが可能となる。この結果、固体高分子電解質
型燃料電池の発電性能の向上を図ることが可能となる。
【0071】前記の課題を解決するための手段の項の
(2),(4)項による構成とすることにより、前記の
項による効果に加えて、単位燃料電池が有する燃料電
池セルの加湿度を最適値に設定することが可能となる。
この結果、固体高分子電解質型燃料電池の発電性能の一
層の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項2,3に対応するこの発明の一実施例に
よる固体高分子電解質型燃料電池を模式的に示した要部
の側面図
【図2】図1に示した固体高分子電解質型燃料電池を模
式的に示した要部の上面図
【図3】図1,図2に示した固体高分子電解質型燃料電
池における熱媒の通流経路を説明する説明図
【図4】実施例2によるこの発明になる固体高分子電解
質型燃料電池の単位燃料電池積層方向における、各単位
燃料電池が持つ燃料電池セルの面積方向における中心部
の温度分布の測定例を、従来例の場合と比較して示すグ
ラフ
【図5】請求項1に対応するこの発明の一実施例による
固体高分子電解質型燃料電池を模式的に示した要部の構
成図で,(a)はその側面図、(b)はその上面図
【図6】図5に示した固体高分子電解質型燃料電池にお
ける熱媒の通流経路を説明する説明図
【図7】請求項2,4に対応するこの発明の一実施例に
よる固体高分子電解質型燃料電池を模式的に示した要部
の構成図で,(a)はその側面図、(b)はその上面図
【図8】図7に示した固体高分子電解質型燃料電池にお
ける熱媒の通流経路を説明する説明図
【図9】従来例の固体高分子電解質型燃料電池が備える
単位燃料電池の要部を展開した状態で模式的に示したそ
の上部側から見た断面図
【図10】従来の一例の固体高分子電解質型燃料電池を
模式的に示した要部の構成図で,(a)はその側面図、
(b)はその上面図
【図11】図10におけるQ部の詳細断面図
【図12】図10,図11に示した固体高分子電解質型
燃料電池における熱媒の通流経路を説明する説明図
【図13】従来例の固体高分子電解質型燃料電池を用い
た燃料電池発電装置の固体高分子電解質型燃料電池に対
する反応ガスの供給経路を説明する説明図
【図14】異なる従来例の固体高分子電解質型燃料電池
を模式的に示した要部の構成図で,(a)はその側面
図、(b)はその上面図
【図15】図14に示した固体高分子電解質型燃料電池
における熱媒の通流経路を説明する説明図
【図16】図14中に示した加湿器が有する単位加湿体
の要部を展開した状態で模式的に示した縦断面図
【符号の説明】 1 固体高分子電解質型燃料電池(スタック) 2A 加湿器 2B 加湿器 51 集電板 53 加圧板 54 加圧板 6 単位加湿体 631 溝 641 溝 90A 通流路部 90B 通流路部 98 酸化剤ガス 99 熱媒 991 配管接続体

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数個の単位燃料電池と,単位燃料電池で
    発生した熱を除去する熱媒が通流される熱交換体の複数
    個とが積層された積層体と、この積層体の両端末部に配
    置され,それぞれの単位燃料電池をその積層方向に加圧
    する加圧力を与える加圧板とを備え、 単位燃料電池は、シート状の固体高分子電解質材の電解
    質膜と,その両主面のそれぞれに接合された燃料電極膜
    および酸化剤電極膜とを持ち,燃料ガスおよび酸化剤ガ
    スの供給を受けて直流電力を発生する燃料電池セルと、
    燃料電池セルの両主面のそれぞれに対向させて配置され
    て,燃料電池セルと対向される側の面に燃料電池セルに
    供給される燃料ガスまたは酸化剤ガスを通流させるため
    の溝が形成されているセパレータとを有し、 熱交換体は、熱媒が通流される通流路と、この通流路に
    関する熱媒の入口部・出口部とを有する、固体高分子電
    解質型燃料電池において、 複数個備えられた熱交換体が有する入口部・出口部は、
    それぞれの熱交換体が有する前記の通流路が熱媒の通流
    に関して並列となるように互いに連通させて接続され
    て,それぞれ入口側の通流路部と出口側の通流路部とを
    形成してなり、熱媒は、前記の入口側の通流路部の両端
    部のそれぞれから流入され、また、前記の出口側の通流
    路部の両端部のそれぞれから流出されてなることを特徴
    とする固体高分子電解質型燃料電池。
  2. 【請求項2】複数個の単位燃料電池と,単位燃料電池で
    発生した熱を除去する熱媒が通流される熱交換体の複数
    個とが積層された積層体と、この積層体の両端末部に配
    置され,それぞれの単位燃料電池をその積層方向に加圧
    する加圧力を与える加圧板とを備え、 単位燃料電池は、シート状の固体高分子電解質材の電解
    質膜と,その両主面のそれぞれに接合された燃料電極膜
    および酸化剤電極膜とを持ち,燃料ガスおよび酸化剤ガ
    スの供給を受けて直流電力を発生する燃料電池セルと、
    燃料電池セルの両主面のそれぞれに対向させて配置され
    て,燃料電池セルと対向される側の面に燃料電池セルに
    供給される燃料ガスまたは酸化剤ガスを通流させるため
    の溝が形成されているセパレータとを有し、 熱交換体は、熱媒が通流される通流路と、通流路に関す
    る熱媒の入口部・出口部とを有する、固体高分子電解質
    型燃料電池において、 積層体と加圧板との間のそれぞれに介挿され,加熱され
    た水を用いて燃料ガス,酸化剤ガスを加湿する加湿器を
    備えることを特徴とする固体高分子電解質型燃料電池。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の固体高分子電解質型燃料
    電池において、 複数個備えられた熱交換体が有する入口部・出口部は、
    それぞれの熱交換体が有する前記の通流路が熱媒の通流
    に関して並列となるように互いに連通させて接続され
    て,それぞれ入口側の通流路部と出口側の通流路部とを
    形成してなり、熱媒は前記の入口側の通流路部の両端部
    のそれぞれから流入され、また、前記の出口側の通流路
    部の両端部のそれぞれから流出されてなり、それぞれの
    加湿器に供給される加熱された水には、前記の出口側の
    通流路部の両端部から流出された熱媒がそれぞれに用い
    られてなることを特徴とする固体高分子電解質型燃料電
    池。
  4. 【請求項4】請求項2に記載の固体高分子電解質型燃料
    電池において、 それぞれの加湿器に供給される加熱された水は、固体高
    分子電解質型燃料電池の外部から供給される、加熱され
    た加湿用の水であることを特徴とする固体高分子電解質
    型燃料電池。
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