JPH093538A - 加工性にすぐれた熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

加工性にすぐれた熱延鋼板の製造方法

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JPH093538A
JPH093538A JP6321996A JP6321996A JPH093538A JP H093538 A JPH093538 A JP H093538A JP 6321996 A JP6321996 A JP 6321996A JP 6321996 A JP6321996 A JP 6321996A JP H093538 A JPH093538 A JP H093538A
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less
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JP6321996A
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Inventor
Tokiaki Nagamichi
常昭 長道
Nozomi Komatsubara
望 小松原
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱間圧延法にて、従来の冷延鋼板に匹敵するr
値と伸びの高い、加工性に優れた鋼板を安定して製造す
る。 【解決手段】重量割合で、C:0.02%以下、Si: 2.0
%以下、Mn:0.05〜0.20%、S:0.03%以下、N:0.
01%以下、P:0.10%以下、sol.Al: 0.002〜0.10
%、Ti:0.01〜0.20%、Nb: 0.1%以下、V: 0.5
%以下、B: 0.003%以下を含有し、かつ下記 (1)およ
び (2)式を満足し、残部がFeおよび不可避的不純物か
らなる鋼を、熱間圧延の際、Ar3 点未満〜 550℃の温
度域で合計圧下率を50%以上とする圧延をおこない、圧
延加工後、再結晶することを特徴とする加工性にすぐれ
た熱延鋼板の製造方法。さらに、Ar3 点未満〜 550℃
の温度域の圧延をおこなう際、仕上げのタンデム圧延機
におけるスタンド間加熱を2ヶ所以上で施すこと特徴と
する上記の熱延鋼板の製造方法。 Ti/48≧(C/12)+(N/14)+(S/32) (1) 0.7 ≦(S/32)/(C/12)≦2.0 (2)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車、家電製品、鋼
構造物などに使用される加工性、特に深絞り性と延性に
優れた熱延鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、鋼材コスト低減の要望があり、こ
れと熱延鋼板の製造技術の向上とが相まって、従来は冷
延鋼板が使用されていた分野にも熱延鋼板の使用が試み
られるようになってきた。
【0003】冷延鋼板は、表面が美麗で、板厚精度がよ
く、深絞り性がすぐれているが、熱延鋼板に比較すれば
製造工程が長く、コストも高くなる。これに対し、熱延
鋼板は短工程で低コストであり、表面状況や板厚精度が
多少劣っていても、加工性、特に深絞り性が充分良好で
あれば、適用用途の拡大が考えられる。
【0004】一般の熱延鋼板の深絞り性が冷延鋼板に比
して劣る最大の理由は、深絞り性の指標であるr値が
1.0をこえることはほとんどないためである。このr値
は、引張り変形の際、板の面方向に対して板厚方向が変
形しにくいという塑性異方性を示す指標であり、大きい
ほどよい。冷延鋼板は通常 1.0以上であって、深絞り用
になると 1.5以上の値になる。熱延鋼板は、通常、圧延
加工をオーステナイト域でおこなうため圧延集合組織が
できにくく、その上変態してランダム化するので、塑性
的に等方な状態になりやすい。
【0005】これに対して、熱間圧延の圧延条件の改良
による熱延鋼板のr値の向上方法が考えられた。たとえ
ば、特開昭 61ー3844号公報には、Ar3 点以上のオース
テナイト温度域で圧延後、Ar3 点以下のフェライト域
で50%以上の潤滑圧延をおこない、その後再結晶させて
1.0以上のr値を得る製造方法の発明が提示されてい
る。また、極低炭素鋼に微量のTi又はNbを添加し、
固溶Cや固溶Nを炭窒化物として固定した組成の鋼片
を、Ar3 点以上の温度域で粗圧延した後、 800℃以下
のフェライト域で合計圧下率73%の仕上げ圧延を行う方
法も報告されている(鉄と鋼:74(1988),1617〜1624.
参照)。
【0006】これらの方法はいずれも、通常は冷間圧延
でおこなわれるフェライト域での圧延加工を、ホットス
トリップミルなどによる熱間圧延工程においておこなわ
せるものである。したがって、コールドストリップミル
などによる冷間圧延に比較すればフェライト域での充分
な加工度は得にくいため、そのr値は冷延鋼板にはおよ
ばぬ場合が多い。しかしながら、工程を省略し工期を短
くして、低コストにて深絞り性のよい鋼板を提供できる
可能性があり、用途によっては充分使用できるので、こ
の製造方法によるその特性のより一層の向上や安定性が
望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、熱間
圧延工程でフェライト域(α域)の圧延加工をおこなっ
て絞り加工に適した熱延鋼板を得ようとする場合、より
一層深絞り性と延性にすぐれた鋼板を得る製造方法を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】熱延鋼板のr値を向上さ
せる方法は、基本的には冷延鋼板と同じくフェライト域
において圧延集合組織を導入し、それを焼鈍等により再
結晶させてr値向上に好ましい方位を持った再結晶粒を
発達させるものである。この観点から、本発明者らは熱
間圧延工程の後半でAr3 点以下の温度域での圧延をお
こない、巻取り後焼鈍等により再結晶させる場合の成分
や、Ar3 点に至るまでの条件の影響を詳細に検討し
た。なお、本発明で対象とする極低炭素鋼においては、
Ar3 点を下回ると、実質的にフェライト一相となる。
【0009】その結果は、r値を 1.0以上にするには、
鋼としては固溶Cや固溶Nが最終焼鈍時に実質的に存在
しない、いわゆるIF(Interstitial Free) 鋼が必須で
あった。そして、Ar3 点より高い温度での圧延はAr
3 点に近い温度域においてある程度以上の加工度があれ
ばよいが、Ar3 点未満の温度、すなわちフェライト域
での圧延加工は、できるだけ圧下率を大きくすることが
得られた熱延鋼板のr値向上に有効であった。
【0010】これらの製造工程において、さらにより一
層r値を向上させるべく、結晶の成長を阻害する析出物
の挙動に着目して検討を進めたところ、Ti4 22
の生成析出を積極的に利用して析出物を粗大化させ、微
細なTiCの析出を抑制するのが効果的であり、そのた
めにはC、TiおよびSの含有量を適量制御することが
重要であることを知った。
【0011】これら元素の適量限界を知るため、重量%
にて、0.12%Mn− 0.007%P−0.03%Al− 0.002%
N−0.04%Tiの化学組成を目標とする、Cが 0.001〜
0.006%にて、S量を種々変えた鋼を実験室的に溶製し
た。これらの鋼はいずれもAr3 点が約 870℃であるの
で、 880℃以上にて十分な圧下率の粗圧延後、 550〜78
0℃の温度範囲で潤滑油を用いて合計圧下率80%の圧延
をおこない、 1.0mmの厚さに仕上げ、脱スケール後 820
℃、 1 min均熱の連続焼鈍相当の焼鈍により再結晶させ
た。得られた鋼板からJIS5号の引張り試験片を採取し引
張り特性およびr値を測定した。
【0012】図1にSとCとの原子濃度比〔S(%)/
32〕/〔C(%)/12〕〔以下、元素記号のあとの
(%)は省略して表記することあり〕と、伸びおよびr
値の測定結果との関係を示す。この図から明らかなよう
に、伸びおよびr値が最もよくなる濃度比の範囲がある
ことがわかる。金属組織の顕微鏡的観察をおこなった結
果、伸びおよびr値が向上している鋼板では、微細なT
iC析出物がほとんど見られず、結晶粒が大きくなって
いることが認められた。Ti4 22 の効果的な形成
により、微細なTiCの析出が抑止されたものと思われ
る。
【0013】次に、Ar3 点未満の温度域での圧延の圧
下率の効果を見るため、上記の目標組成の、SとCとの
原子濃度比がほぼ 1の鋼を選び、この温度域での圧下率
を変え、巻取温度目標を 550℃として板厚 1.0〜 1.6mm
に仕上げた。この場合、とくに大きな圧下率でしかも仕
上げ厚さを薄くしようとすると、圧延温度の低下によ
り、圧延困難となる場合があった。そこで、圧延途中の
加熱を想定し、圧延スタンド間に相当するパス間にて短
時間の高周波加熱を施す圧延もおこなった。結果として
圧延の温度範囲は 550〜 800℃であった。これらの鋼板
は脱スケール後 820℃、 1 min均熱の連続焼鈍相当の条
件にて焼鈍をおこない、JIS5号の引張り試験片を採取し
て、主にr値を測定した。
【0014】図2にこのAr3 点未満から 550℃までの
温度域における圧下率と、得られた鋼板のr値の測定結
果との関係を示す。圧下率増加と共にr値が向上してい
ることは明らかであり、ことに50%以上になってくると
冷延鋼板相当のr値のものが得られている。
【0015】スタンド間加熱をおこなった場合、よりr
値が改善されると思われる効果が認められたので、さら
に検討を進めた。その結果、一回の加熱では効果が認め
られたり認められなかったりして明確ではなかったが、
スタンド間加熱を2回以上施すと、明らかな改善効果が
あった。この理由はよくわからないが、加熱と圧延加工
を繰り返すことにより、板厚方向の歪みが均一化し、r
値向上をもたらす好ましい方位を持った結晶粒が、板厚
全体に広がって形成されるためではないかと思われる。
【0016】さらに、スタンド間加熱を2ヶ所以上とす
れば、圧延中の鋼板の温度維持が1ヶ所でおこなうより
もはるかに安定することがわかった。これによってAr
3 点未満の温度での大圧下圧延が容易になるので、圧下
率が大きくなるほどr値が向上するという効果をも有効
に活用することができる。
【0017】図2中に、同じ鋼を用いてスタンド間加熱
を2回おこなった場合の、合計圧下率とその鋼板のr値
との関係を記入してあるが、同じ圧下率でもr値の向上
効果があることがわかる。
【0018】以上の知見に基づき、その実施の際の条件
の限界を明らかにして、本発明に至ったのである。本発
明の要旨とするところは以下のとおりである。
【0019】(1) 重量割合で、C:0.02%以下、Si:
2.0%以下、Mn:0.05〜0.20%、S:0.03%以下、
N:0.01%以下、P:0.10%以下、sol.Al: 0.002〜
0.10%、Ti:0.01〜0.20%、Nb: 0.1%以下、V:
0.5%以下、およびB: 0.003%以下を含有し、かつ下
記 (1)式および (2)式を満足し、残部がFeおよび不可
避的不純物からなる鋼を、熱間圧延する際、仕上げ圧延
の過程でAr3 点未満〜550℃の温度域で合計圧下率を5
0%以上とする加工をおこない、その後、再結晶させる
ことを特徴とする加工性にすぐれた熱延鋼板の製造方
法。
【0020】 Ti/48≧(C/12)+(N/14)+(S/32)・・・・・・・・・・(1) 0.7 ≦(S/32)/(C/12)≦2.0 ・・・・・・・・・・(2) (2) 熱間圧延する際、仕上げ圧延の過程でAr3 点未満
〜 550℃の温度域で合計圧下率が50%以上の加工をおこ
なうとき、仕上げのタンデム圧延におけるスタンド間加
熱を2ヶ所以上で施すこと特徴とする上記(1) の加工性
にすぐれた熱延鋼板の製造方法。
【0021】ここで、熱間圧延とは、加熱された鋼素材
を粗圧延、仕上げ圧延により所要板厚とし、コイルに巻
取る一般的な熱延鋼板の圧延方法である。また、近年実
用化された粗圧延と仕上げ圧延の間にコイルボックスを
設置し、粗圧材を一時期滞留させる熱間圧延法や、厚さ
60mm以下の薄鋳片を素材として粗圧延相当の圧延を省略
した熱間圧延法においても、上記の本発明で定める化学
組成、および限定温度域の合計圧下率を満足するなら
ば、十分な効果を発揮する。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の化学組成、およ
び製造条件の限定理由につき、詳細に説明する。
【0023】(1) C Cは鋼板の深絞り性に悪影響をおよぼす元素なので、そ
の含有量は少ない方が好ましい。特に焼鈍の過程では、
固溶Cも少なければ少ないほどよく、そのためにTiを
添加してCと結合させ、実質的に固溶状態のCが無いよ
うにする。このCを固定するのに必要なTiの添加量を
できるだけ少なくするにも、Cは少ない方がよい。そこ
でCの含有量は0.02%以下とする。
【0024】(2) Si Siの含有は鋼を硬くし、薄鋼板の表面性状を劣化させ
るので、その量は少なければ少ないほどよい。実質的に
影響をおよぼさない範囲として、0.05%以下が望まし
い。ただし、表面性状の劣化がそれほど問題にならない
用途では、加工性を大幅に低下させることなく強度を向
上させ得る手段として添加してもよい。しかしその場
合、多すぎると硬くなって加工性が低下するため、含有
量の限界は2.0 %までである。
【0025】(3) Mn Mnは、一般的には鋼のSによる熱間脆性防止の目的で
添加される。しかし、本発明の方法ではTi4 22
の生成、析出を積極的に利用するので、その生成を阻害
する傾向にあるMnの含有量は低く抑える必要がある。
このため含有量の上限を0.20%までとする。また、少な
くしすぎると、酸化物の増加など鋼質を劣化させるた
め、少なくても0.05%以上は必要である。したがってM
nの含有量範囲は0.05〜0.20%とする。
【0026】(4) sol.Al Alは健全な鋳片を得るための脱酸、およびTiなど添
加元素の歩留確保を目的に添加する。その含有量は鋼中
に酸可溶Al(sol.Al)として、 0.002%以上ないと
その作用効果は十分に得られない。一方、0.10%を超え
て含有させても効果が飽和するので、Al含有量はsol.
Alとして0.002〜0.10%と定める。
【0027】(5) Ti TiはCやNと強固に結合するので、鋼中の固溶Cや固
溶Nを排除するために添加する。さらに本発明の方法で
は、SとともにTi4 22 を形成させ、Cとの結合
でできる微細なTiCの形態変化の作用をおこなわせ
る。この目的には0.01%以上必要であるが、CやNおよ
びSの含有量に対応し、充分な量含まれていることが重
要で、次式を満足していなければならない。
【0028】 Ti/48≧(C/12)+(N/14)+(S/32) (1) 一方、0.20%を超える添加は、化成処理性などの表
面性状を劣化させるので好ましくない。したがってTi
の含有量は、0.01〜0.20%であって、かつ上記 (1)式を
満足する範囲とする。
【0029】(6) B Bの含有は、深絞り性を劣化させる傾向があるので添加
しなくてもよいが、極低炭素鋼板を絞り加工する際問題
となる「二次加工割れ」を防止する効果があるため、必
要により添加する。その含有量は、添加してその効果を
期待する場合、0.0002%以上が好ましく、一方、 0.003
%を超えて含有させてもその効果が飽和し、脆化するこ
とがあるので、B含有量は 0.003%以下と定めた。
【0030】(7) NbおよびV NbおよびVは、添加しなくてもよいが、鋼の結晶粒を
細かくしてその強度を上昇させる効果があり、必要によ
り添加する。多く添加しすぎると、Ti4 22 の生
成を阻害するので、含有させる場合の限界は、Nbは
0.1%以下、Vは0.5 %以下とする。
【0031】(8) S Sは不可避的不純物元素であり、加工性など鋼の品質に
は少なければ少ないほど好ましい。ただし、本発明の方
法では、TiやCとともにTi4 22 析出物を形成
させる必要があるので、C含有量に応じて次式 0.7 ≦(S/32)/(C/12)≦2.0 (2) を満足する範囲、すなわち、CとSの原子濃度比を 0.7
〜 2.0の範囲に管理する必要がある。すなわち、その含
有量は、0.03%以下が望ましく、かつC含有量に応じて
上記 (2)式で示される範囲内に規制する。
【0032】(9) P Pは鋼を硬くし脆くする傾向があるので、強度が不要の
場合は少なければ少ないほどよい。しかしながら、少量
の添加により、加工性を大きくは阻害することなく強度
を上昇させることができるので、必要により添加する。
添加する場合、多すぎると脆化が目立ってくるので、含
有量は0.10%までとする。
【0033】(10) N NはSと同じく不可避的不純物元素であり、鋼の加工性
を悪くし、その上Tiと結合してTiNを形成する分T
iを消費することになるので、少なければ少ないほどよ
い。その影響が顕著でない許容できる限度として、Nは
0.01%以下とする。
【0034】(11) 熱間圧延条件 熱間圧延は、その条件をAr3 点より上の温度域におけ
る圧延と、それに続くAr3 点未満の温度域における圧
延とに区分して制御することが望ましい。通常のホット
ストリップミルによる圧延の過程は、粗圧延および仕上
げ圧延の2つに区分できるが、粗圧延をAr3 点以上の
温度域での圧延とし、仕上げ圧延をAr3 点未満の温度
域でおこなってもよいし、仕上げ圧延のタンデムトレイ
ンの前段の方まではAr3 点以上で、途中から変態して
Ar3 点未満の温度での圧延になるというように連続し
ていてもよい。
【0035】実際の圧延工程におけるAr3 点は、成分
ばかりでなく、そこに至る鋼の熱履歴、圧延速度、圧下
率等の影響を受け、タンデムミルによる熱間圧延工程で
は変形抵抗の変化からその存在がわかる。したがって、
厳密には熱間圧延過程で検知されるAr3 点を基準に圧
延温度範囲を規制すべきであるが、一般に適用される成
分からの推定値を用いてもよい。
【0036】1200℃以下このAr3 点までの温度域での
合計圧下率は40%以上が望ましい。この温度域の圧延
は、鋳造の凝固過程において生じた粗大粒を破壊し歪を
導入することにより、析出物の析出や成長を促進する効
果がある。合計圧下率が40%より小さいか、あるいはそ
の圧延加工の温度が1200℃より高い場合は、目的とする
効果が充分得られない。しかしながら、通常の連続鋳造
による 200mm厚前後のスラブから圧延を開始する場合、
とくに配慮しなくてもこの条件は十分に満足できるもの
になっている。
【0037】一方、溶湯から直接厚さ60mm以下の薄鋳片
を鋳造し、そのライン内で連続的に熱間圧延して熱延コ
イルとするような熱間圧延方法の場合、本発明を適用し
てその効果を発揮させるには、ライン内におけるAr3
点までの温度域での合計の圧下率を40%以上にすること
が好ましい。
【0038】Ar3 点未満 550℃以上の温度域での圧延
は、合計圧下率を50%以上とする。この条件での圧延の
目的は、最終板厚に加工すること、およびフェライト相
の結晶粒を圧延加工して圧延集合組織を形成させるとと
もに加工による歪みを導入し、次の工程で再結晶させる
際に、r値の向上と面内異方性低減に好ましい{111}再
結晶集合組織を発達させ、最終製品の加工性(r値、伸
び)を向上させることにある。圧延加工の温度がAr3
点以上では、圧延集合組織の形成および歪みの蓄積が不
十分であり、高いr値の鋼板が得られない。また温度が
低くなりすぎると変形抵抗が増大し、圧延が困難となる
のでその温度の下限を 550℃とする。
【0039】このAr3 点未満 550℃以上の温度域での
圧延をおこなう場合、一部のパスまたは全部のパスで圧
延潤滑油を用いることが望ましい。圧延潤滑油を用いれ
ば、板厚方向の加工変形が均一化されるので、再結晶後
の鋼板の板厚表層部まで含めてr値が向上する。この結
果板全体のr値も向上する。圧延潤滑油を用いてこの圧
延を行う場合は、圧延ロールと鋼板との摩擦係数μが
0.2以下となるようにするのがよい。
【0040】(12) スタンド間加熱 Ar3 点未満 550℃以上の温度域での圧延は、通常 6〜
7スタンドある仕上げ圧延のタンデムトレインの中でお
こなう。その際、50%以上の大圧下率の圧延を容易にす
るためと、スタンド間の加熱によるr値の向上効果を安
定して得るために、スタンド間加熱を2ヶ所以上とす
る。
【0041】その加熱する場所は、トレイン内のスタン
ド間であり、かつその加熱温度がAr3 点未満 550℃以
上の温度域内でさえあれば、どの位置であってもよい。
後段になるほど薄くなり、温度降下も大きくなるので、
後段の方に加熱の重点をおくのが実施上好ましい。
【0042】また、加熱の方法はバーナーなどによる輻
射加熱、高周波加熱等、鋼板の温度を上げられれば何で
もよいが、高速で圧延される薄くなってきた鋼板を効果
的に加熱するには、ロールを接触電極とし、鋼板に直接
通電してジュール熱で加熱する方法が望ましい。
【0043】(13) 再結晶 Ar3 点未満のフェライト域の圧延加工工程で導入され
た圧延集合組織から、深絞り性に好ましい集合組織を発
達させるため充分に再結晶させる必要がある。その方法
として、熱間圧延終了後の冷却中あるいはコイルに巻取
った状態での自己保有熱によるか、または巻取後に加熱
焼鈍して再結晶させる。
【0044】巻取り後の自己保有熱による場合、充分に
再結晶させるには 650℃以上の高温巻取りが望ましい。
しかし、フェライト域にて合計圧下率50%以上の圧延を
おこなうと、温度低下が大きくなり、充分な温度で巻取
るのが困難になってくる。その場合は600 〜 900℃の温
度範囲に加熱し焼鈍する。 600℃より低い温度では、長
時間の焼鈍でも再結晶が充分に進行せず、一方、 900℃
を超える温度ではr値が低下する。この焼鈍方法はコイ
ルの状態での箱焼鈍法や連続焼鈍法、あるいは溶融亜鉛
メッキ処理の際の焼鈍でもよい。
【0045】
【実施例】表1に化学組成を示す鋼を用い、熱間圧延を
おこなった。表1にはAr3 点の温度、式(1) に対応す
るC、SおよびNのTi当量、および式 (2)に対応する
CとSの含有量の原子濃度比を示してある。本発明の方
法では、Ti含有量はこのTi当量より大きい範囲に、
C/Sの含有量原子濃度比は 0.7〜 2.0の規制範囲に、
それぞれ入っていなければならない。
【0046】
【表1】
【0047】表2に示すように、熱間圧延はAr3 点未
満 550℃以上のフェライト域の圧下率を制御し、厚さ
1.0mmの鋼板に仕上げて巻取った。素材は、連続鋳造ス
ラブで200mm前後のものを用いており、Ar3 点までに
十分な加工が加えられている。表2にはスタンド間加熱
をおこなった場合の加熱位置も示した。なお、巻取り温
度が充分高い場合は、巻取り後の自己保有熱による焼鈍
効果でその後の焼鈍を省略できるが、圧下率を高くした
場合や、圧延開始温度が低い場合は巻取り温度を高くで
きないので、脱スケール後焼鈍した。焼鈍は、 820℃の
温度で 1分間保持の連続焼鈍法、 840℃で40秒間保持の
連続焼鈍と同等な溶融亜鉛めっき処理相当の焼鈍方法、
または 700℃の温度で 5時間保持の箱焼鈍法とした。
【0048】
【表2】
【0049】得られた鋼板から試験片を採取して、降伏
強さ、引張強さ、伸びおよびr値を調査した。表2に結
果を併せて示す。r値は、圧延方向に対して 0度、45
度、90度の方向から採取した試験片により測定したr値
を、各々r0 、r45、r90とした時(r0 + 2r45+r
90)/ 4で求めた平均値である。
【0050】表2の結果から明らかなように、本発明で
規定する成分ならびに圧延条件で製造された鋼板は、そ
うでない条件による鋼板に比較して、高いr値および伸
びを示している。本発明で定める化学組成を外れる場合
は、Ar3 点未満の温度域での圧下率が十分大きくて
も、r値の高い鋼板は得られない。また、試験番号23
〜27のように、化学組成が本発明で定める範囲の鋼で
あっても、フェライト域での圧延の圧下率が小さければ
鋼板の加工性は劣ることがわかる。
【0051】フェライト域での圧延の圧下率が同じ場
合、スタンド間加熱を適用することによって、r値の向
上効果も期待できるが、それよりも圧下率を大きく取る
ことが容易となり、より加工性のすぐれたより板厚の薄
い熱延鋼板を得られることが明らかである。
【0052】
【発明の効果】本発明の方法によれば、操業上無理のな
い熱間圧延工程と、その後の焼鈍により、従来の冷延鋼
板に匹敵するr値と伸びの高い加工性に優れた鋼板を安
定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼板中のSとCの原子濃度比〔S(%)/32〕
/〔C(%)/12〕と鋼板のr値および伸びとの関係を
示す図である。
【図2】Ar3 点未満から 550℃までの温度範囲での合
計圧下率と鋼板のr値との関係を示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量割合で、C:0.02%以下、Si: 2.0
    %以下、Mn:0.05〜0.20%、S:0.03%以下、N:0.
    01%以下、P:0.10%以下、sol.Al: 0.002〜0.10
    %、Ti:0.01〜0.20%、Nb: 0.1%以下、V: 0.5
    %以下、およびB: 0.003%以下を含有し、かつ下記
    (1)式および (2)式を満足し、残部がFeおよび不可避
    的不純物からなる鋼を、熱間圧延する際、仕上げ圧延の
    過程でAr3 点未満〜 550℃の温度域で合計圧下率を50
    %以上とする加工をおこない、その後、再結晶させるこ
    とを特徴とする加工性にすぐれた熱延鋼板の製造方法。 Ti(%)/48≧〔C(%)/12〕+〔N(%)/14〕+〔S(%)/32〕 ・・・・・・・・・・(1) 0.7 ≦〔S(%)/32〕/〔C(%)/12〕≦2.0 ・・・・・(2)
  2. 【請求項2】熱間圧延する際、仕上げ圧延の過程でAr
    3 点未満〜 550℃の温度域で合計圧下率が50%以上の加
    工をおこなうとき、仕上げのタンデム圧延におけるスタ
    ンド間加熱を2ヶ所以上で施すこと特徴とする請求項1
    の加工性にすぐれた熱延鋼板の製造方法。
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