JPH093266A - エチレン・α−オレフィン共重合体組成物 - Google Patents

エチレン・α−オレフィン共重合体組成物

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JPH093266A
JPH093266A JP18200995A JP18200995A JPH093266A JP H093266 A JPH093266 A JP H093266A JP 18200995 A JP18200995 A JP 18200995A JP 18200995 A JP18200995 A JP 18200995A JP H093266 A JPH093266 A JP H093266A
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▲あつ▼夫 徳竹
Masayoshi Isoda
正義 磯田
Akihiro Komatsubara
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた強度、耐環境応力劣化性、透明性等を
保持しながら、加工時の熱安定性、色安定性、耐腐食性
などの改善されたエチレン・α−オレフィン共重合体組
成物を提供する。 【構成】 下記(a)〜(f)を満足するエチレン・α
−オレフィン共重合体に、酸化防止剤を配合し、さらに
好ましくは高級脂肪酸金属塩又はハイドロタルサイト
類、さらにはピペリジル基含有ヒンダード化合物を配合
する。(a)密度0.86〜0.96g/cm(b)
メルトフローレート(MFR) 0.01〜50g/1
0min(c)分子量分布(MW/Mn)1.8〜3.
5(d)組成分布パラメーターCb1.10〜2.00
(e)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODC
B)可溶分の量X(重量%)と密度dおよびMFRが一
定の関係を満足する(f)連続昇温溶出分別法(TRE
F)による溶出温度−溶出量曲線のピークが複数個

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエチレン・α−オレフィ
ン共重合体組成物に関し、詳しくは、優れた強度、耐環
境応力劣化性(ESCR)、透明性等を保持しながら、
加工時の熱安定性、色安定性、耐腐食性などの改善され
たエチレン・α−オレフィン共重合体組成物に関するも
のであり、射出成形、中空成形、フィルム成形に適し、
各種容器、蓋、瓶、パイプ、包装材等に使用するに適す
る組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のチグラー型高活性触媒で製造され
た線状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、成形加工
性や強度に優れるため、射出成形、中空成形、フィルム
成形などによって各種容器や蓋、瓶、パイプ、包装材な
ど様々な用途に用いられている。特に線状低密度ポリエ
チレン重合体は分岐状低密度ポリエチレン(HPLDP
E)に比べて強度が強く薄肉化できるため、使用される
用途範囲が広がっている。しかし最近は成形品を更に薄
肉化してコストダウンを図りたいとの要望があり、より
強い強度が要求されている。しかし従来のチグラー型触
媒を用いたものは組成分布が広くなお強度が不十分で薄
肉化に限度がある。また低分子量成分の成形品表面への
にじみ出しのため成形品のべたつきがあるなどの欠点も
ある。
【0003】この要望に対応するために、いわゆるシン
グルサイト触媒が開発され、これを用いた分子量分布お
よび組成分布の狭いエチレン・α−オレフィン共重合体
が提案されている。しかし該エチレン・α−オレフィン
共重合体は従来のLLDPEに比べ強度が更に強く、低
温ヒートシール性、透明性が優れ、フィルム表面のべた
つきが少ないものの、狭い分子量分布を有するため、高
速成形時における粘度が高くなるため、加工時の発熱が
激しくなり、成形品に熱劣化によるゲルが発生したり、
成形品の外観不良の原因となる。また狭い組成分布を有
するために成形加工の許容範囲が狭く、成形温度が少し
の低下でショートショットを起こし外観不良の原因とな
ったりする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、優れた衝撃強度、耐環境応力劣化性(ESCR)、
外観や透明性あるいは成形条件の許容範囲が広い等の特
性を損なわず加工時の熱劣化が少なくなおかつ長期保存
後の色相の悪化をきたさない、エチレン・α−オレフィ
ン共重合体組成物を提供することにある。また第2の目
的は前記組成物を用い衝撃強度、耐環境応力劣化性、透
明性、広い成形条件の許容範囲を有し加工時の熱劣化
性、色相が良好で押出機や金型の腐食性の少ない組成物
を提供することにある。さらに第3の目的は前記組成物
を用い、前記の特性を損なうことなく、さらに相乗的に
耐熱劣化性を向上させることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のエチレン・α
−オレフィン共重合体から衝撃強度、耐環境応力劣化
性、透明性等の特性を損なわず加工時の熱劣化が少ない
組成物およびより優れた熱安定性を有し長期保存時の黄
変防止、金属腐食防止などに優れる組成物を得ることに
成功し本発明に到達した。
【0006】すなわち本発明は第1に、(A)(a)密
度0.86〜0.96g/cm、(b)メルトフロー
レート(MFR)0.01〜50g/10min、
(c)分子量分布パラメーターMw/Mn1.8〜3.
5、(d)組成分布パラメーターCb1.10〜2.0
0、(e)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(O
DCB)可溶分の量X(重量%)と密度dおよびMFR
が次の関係を満足する、イ)d−0.008×logM
FR≧0.93の場合 X<2.0、ロ)d−0.00
8×logMFR<0.93の場合 X<9.8×10
×(0.9300−d+0.008×logMFR)
+2.0、(f)連続昇温溶出分別法(TREF)に
よる溶出温度−溶出量曲線のピークが複数個存在するエ
チレン・α−オレフィン共重合体、および(B)酸化防
止剤を含むエチレン・α−オレフィン共重合体組成物で
ある。
【0007】本発明は第2に、(A)(a)密度0.8
6〜0.96g/cm、(b)メルトフローレート
(MFR)0.01〜50g/10min、(c)分子
量分布パラメーターMw/Mn1.8〜3.5、(d)
組成分布パラメーターCb1.10〜2.00、(e)
25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可
溶分の量X(重量%)と密度dおよびMFRが次の関係
を満足する、イ)d−0.008×logMFR≧0.
93の場合 X<2.0、ロ)d−0.008×log
MFR<0.93の場合 X<9.8×10×(0.
9300−d+0.008×logMFR)+2.
0、(f)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出
温度−溶出量曲線のピークが複数個存在するエチレン・
α−オレフィン共重合体、(B)酸化防止剤、および
(C)高級脂肪酸金属塩またはハイドロタルサイト類か
ら選ばれる1種以上の化合物を含むエチレン・α−オレ
フィン共重合体組成物である。
【0008】本発明は第3に、前記組成物にさらに
(D)ピペリジル基を有するヒンダードアミン系化合物
を含ませてなるエチレン・α−オレフィン共重合体組成
物である。
【0009】以下に本発明の詳細を説明する。
【0010】本発明における(A)エチレン・α−オレ
フィン共重合体はエチレンと炭素数3〜20のα−オレ
フィンより選ばれた一種以上との共重合体である。この
炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、好ましくは
炭素数3〜12のものであり、具体的にはプロピレン、
1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、などが
挙げられる。また、これらのα−オレフィンの含有量
は、合計で通常30モル%以下、好ましくは20モル%
以下の範囲で選択されることが望ましい。
【0011】本発明の(A)エチレン・α−オレフィン
共重合体の密度(a)は、0.86〜0.96g/cm
、好ましくは0.88〜0.945g/cm、より
好ましくは0.90〜0.93g/cmの範囲であ
る。密度が0.86未満では剛性、耐熱性が劣り、0.
96を超えると耐衝撃性、耐環境応力劣化(ESCR)
が十分でない。
【0012】本発明のエチレン・α−オレフィン共重合
体のMFR(b)は0.01〜50g/10min、好
ましくは0.1〜20g/10min、さらに好ましく
は0.5〜10g/10minの範囲にあることが望ま
しい。MFRが0.01g/10min未満では成形加
工性が劣り、50g/10minを超えると耐衝撃性、
耐環境応力劣化などの機械的強度が低下する。
【0013】本発明のエチレン・α−オレフィン共重合
体の分子量分布Mw/Mn(c)の算出方法は、ゲルパ
ーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により重
量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、
この比Mw/Mnを求めるものである。
【0014】本発明のエチレン・α−オレフィン共重合
体のMw/Mnは1.8〜3.5であり、好ましくは
2.0〜3.0、さらに好ましくは2.2〜2.8の範
囲にあることが望ましい。Mw/Mnが1.8未満では
成形加工性が劣り、3.5を超えると耐衝撃性が劣る。
【0015】本発明のエチレン・α−オレフィン共重合
体の組成分布パラメーターCb(d)は1.10〜2.
00であり、好ましくは1.12〜1.70、さらに好
ましくは1.15〜1.50の範囲にあることが望まし
い。1.10未満では成形温度の低下による流動性が悪
化しやすく外観不良を起こし易く、2.00を超えるも
のは、透明性、酎衝撃性、耐環境応力劣化性の悪化や、
成形品のべたつき、熱収縮が大となったり、成形条件の
許容範囲が狭くなるなどの問題がある。
【0016】本発明のエチレン・α−オレフィン共重合
体の組成分布パラメーターCbの測定法は下記の通りで
ある。
【0017】試料に耐熱安定剤を加え、ODCBに試料
濃度が0.2重量%となるように135℃で加熱溶解す
る。この加熱溶液を、けい藻土(セライト545)を充
填したカラムに移送し充満後0.1℃/minで25℃
まで冷却し、試料をセライト表面に析出沈着する。次
に、このカラムにODCBを一定流量で流しながら、カ
ラム温度を5℃きさみに120℃まで段階的に昇温しな
がら、各温度において、試料を溶解した溶液を採取す
る。この溶液を冷却後メタノールで試料を再枕後、濾
過、乾燥し、各溶出温度における試料を得る。この分別
された試料の重量分率および分岐度(炭素数1000個
あたりの分岐数)を測定する。分岐度の測定は13C−
NMRにより求める。
【0018】このような方法で30℃から90℃で採取
した各フラクションについては次のような、分岐度の補
正を行う。すなわち、溶出温度に対して測定した分岐度
をプロットし、相関関係を最小自乗法で直線に近似し、
検量線を作成する。この近似の相関係数は十分大きい。
この検量線により求めた値を各フラクションの分岐度と
する。なお、溶出温度95℃以上で採取したフラクショ
ンについては溶出温度と分岐度に必ずしも直線関係が成
立しないのでこの補正は行わない。
【0019】次にそれぞれのフラクションの重量分率w
iを、溶出温度5℃当たりの分岐度bの変化量(b
−bi−1)で割って相対濃度cを求め、分岐度に対
して相対濃度をプロットし、組成分布曲線を得る。この
組成分布曲線を一定の幅で分割し、次式より組成分布パ
ラメーターCbを算出する。
【0020】
【式1】
【0021】ここでcとbはそれぞれj番目の区分
の相対濃度と分岐度である。組成分布パラメーターCb
は試料の組成が均一である場合に1.0となり、組成分
布が広がるに従って値が大きくなる。
【0022】なお、エチレン・α−オレフィン共重合体
の組成分布を記述する方法は多くの提案がなされてい
る。例えば特開昭60−88016号では、試料を溶剤
分別して得た各分別試料の分岐数に対して、累積重量分
率が特定の分布(対数正規分布)をすると仮定して数値
処理を行い、重量平均分岐度(Cw)と数平均分岐度
(Cn)の比を求めている。この近似計算は、試料の分
岐数と累積重量分率が対数正規分布からずれると精度が
下がり、市販のLLDPEについて測定を行うと相関係
数Rはかなり低く、値の精度は充分でない。このCw
/Cnと本発明のCbとは、定義および測定方法が異な
る。
【0023】本発明の(A)エチレン・α−オレフィン
共重合体の、25℃におけるODCB可溶分の量X
(e)は、エチレン・α−オレフィン共重合体に含まれ
る高分岐度成分および低分子量成分の割合を示すもので
あり、耐性性の低下や成形品表面のベタツキの原因とな
るため少ないことが望ましい。ODCB可溶分の量は、
共重合体全体のα−オレフィンの含有量および平均分子
量、すなわち密度とMFRに影響される。従って、前記
ODCB可溶分の量X(重量%)は密度dとMFRの関
係が、d−0.008×logMFR≧0.93を満た
す場合は2重量%未満、好ましくは1重量%未満、さら
に好ましくは0.5重量%未満である。
【0024】また、dとMFRの関係が、d−0.00
8×logMFR<0.93を満たす場合はX<9.8
×10×(0.9300−d+0.008×logM
FR)+2.0の関係を満足し、好ましくはX<7.
4×10×(0.9300−d+0.008×log
MFR)+1.0、さらに好ましくはX<5.6×1
×(0.9300−d+0.008×logMF
R)+0.5の範囲である。
【0025】密度、MFRとODCB可溶分の量が上記
の関係を満たすことは、共重合体全体に含まれているα
−オレフィンが遍在していないことを示している。
【0026】なお、前記の25℃におけるODCB可溶
分量Xは、下記の方法により測定する。
【0027】すなわち試料0.5gを20mlのODC
Bに加え135℃で2時間加熱し、試料を完全に溶解し
た後、25℃まで冷却する。この溶液を25℃で一晩放
置後、テフロン製フィルターで濾過して濾液を採取す
る。試料溶液である濾液を赤外分光器によりメチレンの
非対称伸縮振動の波数2925cm−1付近の吸収ピー
ク強度を測定し、あらかじめ作成した検量線により濾液
中の試料濃度を算出する。この値より、25℃における
ODCB可溶分を求める。
【0028】本発明のエチレン・α−オレフィン共重合
体は、連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶
出温度−溶出量曲線において、ピークが複数個ある
(f)ことが好ましく、さらにその高温側のピークが8
5℃から100℃の間に存在することが特に好ましい。
このピークが存在することにより、融点が高くなりまた
結晶化度が上昇し成形体の耐熱性および剛性が向上す
る。図1に本発明の共重合体の溶出温度−溶出量曲線を
示し、図2に市販のメタロセン触媒による共重合体の溶
出温度−溶出量曲線を示す。両者は顕著に異なる。
【0029】TREFの測定方法は下記の通りである。
即ち、試料に耐熱安定剤を加え、ODCBに試料濃度
0.05重量%となるように135℃で加熱溶解する。
この加熱溶液5mlを、ガラスビーズを充填したカラム
に注入した後、0.1℃/minの冷却速度で25℃ま
で冷却し、試料をガラスビーズ表面に沈着する。次に、
このカラムにODCBを一定流量で流しながら、カラム
温度を50℃/hrの一定速度で昇温し、各温度におい
て溶液に溶解可能な試料を順次溶出させる。この際、溶
剤中の試料濃度はメチレンの非対称伸縮振動の波数29
25cm−1に対する吸収を赤外検出器で連続的に検出
される。この濃度から、溶出温度−溶出量曲線を得るこ
とができる。
【0030】TREF分析は極少量の試料で、温度変化
に対する溶出速度の変化を連続的に分析出来るため、分
別法では検出出来ない比較的細かいピークの検出が可能
である。
【0031】本発明の特定の(A)エチレン・α−オレ
フィン共重合体は、好ましくは以下のE1〜E5からな
る触媒を用いる重合法で製造できる。
【0032】すなわち、E1:一般式Me (O
4−p−qで表される化合物(式中Me
はジルコニウム、チタン、ハフニウムを示し、Rおよ
びRは各々炭素数1〜24の炭化水素基、Xはハロ
ゲン原子を示し、pおよびqは各々0≦P<4、0≦p
+q≦4の範囲を満たす整数である)、E2:一般式M
(OR z−m−nで表される化合
物(式中Meは周期律表第I〜III族元素、R
よびRは各々炭素数1〜24の炭化水素基、Xはハ
ロゲン原子または水素原子(ただし、Xが水素原子の
場合はMeは周期律表第III族元素の場合に限る)
を示し、zはMeの価数を示し、mおよびnは各々0
≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、か
つ、0≦m+n≦zである)、E3:共役工重結合を持
つ有機環状化合物、およびE4:有機アルミニウム化合
物と水との反応によって得られるAl−O−Al結合を
含む変性有機アルミニウム化合物、E5:無機担体およ
び/または粒子状ポリマー担体を相互に接触させて得ら
れる触媒である。
【0033】上記触媒成分(E1)の−般式Me
(OR 4−p−qで表される化合物の式中
Meはジルコニウム、チタン、ハフニウムを示す。こ
れらの遷移金属の種類は限定されるものではなく、複数
を用いることもできるが、共重合体の耐候性がより優れ
る点でジルコニウムが含まれることが特に好ましい。R
およびRは各々炭素数1〜24の炭化水素基で、好
ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは炭素数1〜
8の炭化水素基であり、具体的にはメチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアル
キル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェ
ニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニ
ル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、トリ
チル基、フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル
基、フェニルブチル基、ネオフイル基などのアラルキル
基などが挙げられる。これらは分岐があってもよい。X
はフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原
子を示し、pおよびqはそれぞれ0≦p<4、0≦q<
4、0≦p+q≦4の範囲を満たし、好ましくは0≦p
+q≦4の範囲である。
【0034】上記触媒成分(E1)の一般式で示される
化合物の例としては、テトラメチルジルコニウム、テト
ラエチルジルコニウム、テトラベンジルジルコニウム、
テトラプロポキシジルコニウム、トリプロポキシモノク
ロロジルコニウム、ジプロポキシジクロロジルコニウ
ム、テトラブトキシジルコニウム、トリブトキシモノク
ロロジルコニウム、ジブトキシジクロロジルコニウム、
テトラブトキシチタン、テトラブトキシハフニウムなど
が挙げられ、これらを2種以上混合して用いても差し支
えない。
【0035】上記触媒成分(E2)の一般式Me
(OR x−m−nで表される化合物の式中
Meは周期律表第I〜III族元素を示し、リチウ
ム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、亜鉛、ホウ素、アルミニウムなどである。Rおよ
びRは各々炭素数1〜24の炭化水素基、好ましくは
炭素数1〜12、さらに好ましくは炭素数1〜8の炭化
水素基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピ
ル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビ
ニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、ト
リル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナフ
チル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、フ
ェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニル
ブチル基、ネオフィル基などのアラルキル基などが挙げ
られる。これらは分岐があってもよい。Xはフッ素、
ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原子または水素
原子を示すものである。ただし、Xが水素原子の場合
はMeはホウ素、アルミニウムなどに例示される周期
律表第III族元素の場合に限るものである。また、z
はMeの価数を示し、mおよびnは各々0≦m≦z、
0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ、0≦m+
n≦zである。
【0036】上記触媒成分(E2)の一般式で示される
化合物の例としては、メチルリチウム、エチルリチウム
などの有機リチウム化合物;ジメチルマグネシウム、ジ
エチルマグネシウム、メチルマグネシウムクロライド、
エチルマグネシウムクロライドなどの有機マグネシウム
化合物;ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛などの有機亜鉛化
合物;トリメチルボロン、トリエチルボロンなどの有機
ボロン化合物;トリメチルアルミニウム、トリエチルア
ルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシ
ルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、ジエチルア
ルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライ
ド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルア
ルミニウムエトキサイド、ジエチルアルミニウムハイド
ライドなどの有機アルミニウム化合物等の誘導体が挙げ
られる。
【0037】上記触媒成分(E3)の共役二重結合を持
つ有機環状化合物とは、環状で共役二重結合を2個以
上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有
する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4〜2
4、好ましくは4〜12である環状炭化水素化合物;前
記環状炭化水素化合物が部分的に1〜6個の炭化水素残
基(典型的には、炭素数1〜12のアルキル基またはア
ラルキル基)で置換された環状炭化水素化合物;共役二
重結合を2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好まし
くは2〜3個有する環を1個または2個以上もち、全炭
素数が4〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水
素基を有する有機ケイ素化合物;前記環状炭化水素基が
部分的に1〜6個の炭化水素残基またはアルカリ金属塩
(ナトリウムまたはリチウム塩)で置換された有機ケイ
素化合物が含まれる。特に好ましくは分子中のいずれか
にシクロペンタジエン構造をもつものが望ましい。
【0038】上記の好適な化合物としては、シクロペン
タジエン、インデン、アズレンまたはこれらのアルキ
ル、アリール、アラルキル、アルコキシまたはアリール
オキシ誘導体などが挙げられる。また、これらの化合物
がアルキレン基(その炭素数は通常2〜8、好ましくは
2〜3)を介して結合(架橋)した化合物も好適に用い
られる。
【0039】環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物
は、下記一般式で表示することができる。
【0040】ASiR4−L
【0041】ここで、Aはシクロペンタジエニル基、置
換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデ
ニル基で例示される前記環状水素基を示し、Rはメチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基
などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキ
シ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;フェニル基など
のアリール基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;
ベンジル基などのアラルキル基で示され、炭素数1〜2
4、好ましくは1〜12の炭化水素残基または水素を示
し、Lは1≦L≦4、好ましくは1≦L≦3である。
【0042】上記成分(E3)の有機環状炭化水素化合
物の具体例としては、シクロペンタジエン、メチルシク
ロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、1,3−
ジメチルシクロペンタジエン、インデン、4−メチル−
1−インデン、4,7−ジメチルインデン、シクロヘプ
タトリエン、メチルシクロヘプタトリエン、シクロオク
タテトラエン、アズレン、フルオレン、メチルフルオレ
ンのような炭素数7〜24のシクロポリエンまたは置換
シクロポリエン、モノシクロペンタジエニルシラン、ビ
スシクロペンタジエニルシラン、トリスシクロペンタジ
エニルシラン、モノインデニルシラン、ビスインデニル
シラン、トリスインデニルシラン等が挙げられる。
【0043】触媒成分(E4)の有機アルミニウム化合
物と水との反応によって得られるAl−O−Al結合を
含む変性有機アルミニウム化合物とは、アルキルアルミ
ニウム化合物と水とを反応させることにより、通常アル
ミノキサンと称される変性有機アルミニウムが得られ、
分子中に通常1〜100個、好ましくは1〜50個のA
l−O−Al結合を含有する。また、変性有機アルミニ
ウム化合物は線状でも環状でもいずれでもよい。
【0044】有機アルミニウムと水との反応は通常不活
性炭化水素中で行われる。該不活性炭化水素としては、
ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベン
ゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族、脂環族、芳香族
炭化水素が好ましい。
【0045】水と有機アルミニウム化合物との反応比
(水/Alモル比)は通常0.25/1〜1.2/1、
好ましくは0.5/1〜1/1であることが望ましい。
【0046】触媒成分(E5)の無機物担体および/ま
たは粒子状ポリマー担体としては、炭素質物、金属、金
属酸化物、金属塩化物、金属炭酸塩またはこれらの混合
物あるいは熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられ
る。該無機物担体に用いることができる好適な金属とし
ては、鉄、アルミニウム、ニッケルなどが挙げられる。
【0047】具体的にはSiO、Al、Mg
O、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、
BaO、ThO等またはこれらの混合物が挙げられ、
SiO−Al、SiO−V、SiO
−TiO、SiO−V、SiO−MgO、
SiO−Cr等が挙げられる。これらの中でも
SiOおよびAlからなる群から選択された少
なくとも1種の成分を主成分とするものが好ましい。
【0048】また、粒子状ポリマー担体としては、熱可
塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも使用でき、具体的に
は、粒子状のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミ
ド、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、
ポリスチレン、ポリノルボルネン、各種天然高分子およ
びこれらの混合物等が挙げられる。
【0049】上記無機物担体および/または粒子状ポリ
マー担体は、このまま使用することもできるが、好まし
くは予備処理としてこれらの担体を有機アルミニウム化
合物やAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム
化合物などに接触処理させた後に成分(C5)として用
いることもできる。
【0050】本発明のエチレン・α−オレフィン共重合
体は、気相法、スラリー法、溶液法等で製造され、一段
重合法、多段重合法など特に限定されるものではない。
【0051】本発明の(A2)の他のエチレン系重合体
の第1(A21)は、従来のイオン重合法によるチグラ
ー型触媒またはフイリップス触媒(総称してチグラー型
触媒という)で得られる密度が0.86〜0.96g/
cmのエチレン・α−オレフィン共重合体であって、
具体的には線状中密度ポリエチレン(MDPE)、線状
低密度ポリエチレン(LLDPE)、線状超低密度ポリ
エチレン(VLDPE)等が挙げられる。
【0052】本発明のチグラー型触媒による線状中・低
密度ポリエチレン(MDPE、LLDPE)とは、密度
が0.91〜0.96g/cm、好ましくは0.91
〜0.94g/cm(LLDPE)の範囲であり、M
FRが0.1〜20g/10分、好ましくは0.5〜1
5g/10分、さらに好ましくは0.7〜10g/10
分の範囲で選択される。溶融張力は0.3〜15.0
g、好ましくは0.4〜7.0g、さらに好ましくは
0.5〜5.0gである。Mw/Mnは2.5〜6、好
ましくは3〜5.5である。
【0053】本発明のチグラー型触媒による線状超低密
度ポリエチレン(VLDPE)とは、密度が0.86〜
0.91g/cm未満、好ましくは0.88〜0.9
05g/cm、MFRは0.1〜20g/10分、好
ましくは0.5〜10g/10分の範囲で選択される。
【0054】該線状超低密度ポリエチレン(VLDP
E)は、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)とエチ
レン・α−オレフィン共重合体ゴム(EPR、EPD
M)との中間の性状を示すポリエチレンを有しており、
好ましくは密度0.86〜0.91g/cm、示差走
査熱量測定法(DSC)による最大ピーク温度(T
が60℃以上、かつ、好ましくは沸騰n−ヘキサン不溶
分10重量%以上の性状を有する特定のエチレン・α−
オレフィン共重合体であり、少なくともチタンおよび/
またはバナジウムを含有する固体触媒成分と有機アルミ
ニウム化合物とからなる触媒を用いて重合され、線状低
密度ポリエチレンが示す高結晶部分とエチレン・α−オ
レフィン共重合体ゴムが示す非晶部分とを合わせ持つ樹
脂であって、前者の特徴である機械的強度、耐熱性など
と、後者の特徴であるゴム状弾性、耐低温衝撃性などが
バランスよく共存している。
【0055】上記チグラー型触媒によるエチレン・α−
オレフィン共重合体のα−オレフィンとしては、炭素数
3〜12、好ましくは3〜10の範囲であって、具体的
にはプロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−
1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセ
ン−1等を挙げることができる。
【0056】これらα−オレフィンの含有量は40モル
%以下の範囲で選択されることが好ましい。
【0057】本発明の、他のエチレン系重合体の第2
(A22)は、高圧ラジカル重合による分岐状低密度ポ
リエチレン(HPLDPE)、エチレン・ビニルエステ
ル共重合体、エチレン・α、β−不飽和カルボン酸また
はその誘導体との共重合体である。
【0058】上記HPLDPEは、MFRは0.1〜2
0g/10分、好ましくは0.5〜15g/10分、さ
らに好ましくは1.0〜10g/10分である。この範
囲内であれば組成物の溶融張力が適切な範囲となりフィ
ルム成形がし易い。また密度は0.91〜0.94g/
cm、好ましくは0.912〜0.935g/c
、さらに好ましくは0.912〜0.930g/c
であり、溶融張力は1.5〜25g、好ましくは3
〜20g、さらに好ましくは3〜15gである。溶融張
力は樹脂の弾性項目であり、上記の範囲であれば中空成
形、フィルム成形などの場合では成形し易い。
【0059】また、Mw/Mnは3.0〜10、好まし
くは4.0〜8.0である。
【0060】本発明のエチレン・ビニルエステル共重合
体とは、高圧ラジカル重合法で製造されるエチレンを主
成分とするプロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン
酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステ
アリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなどのビニル
エステル単量体との共重合体である。これらの中でも特
に好ましいものとしては、酢酸ビニル(EVA)を挙げ
ることができる。すなわち、エチレン50〜99.5重
量%、ビニルエステル0.5〜50重量%、他の共重合
可能な不飽和単量体0〜49.5重量%からなる共重合
体が好ましい。特にビニルエステル含有量は3〜20重
量%、好ましくは5〜15重量%の範囲である。
【0061】これら共重合体のMFRは、0.1〜20
g/10分、好ましくは0.3〜10g/10分であ
り、溶融張力は2.0〜25g、好ましくは3〜20g
である。
【0062】本発明のエチレンとα,β−不飽和カルボ
ン酸またはその誘導体との共重合体の代表的な例として
は、エチレン・(メタ)アクリル酸またはそのアルキル
エステル共重合体が挙げられ、これらのコモノマーとし
ては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、
メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸
エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、
アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、
アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、
アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシ
ル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アク
リル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル
酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等を挙げること
ができる。この中でも特に好ましいものとして(メタ)
アクリル酸のメチル、エチル(EEA)等のアルキルエ
ステルを挙げることができる。特に(メタ)アクリル酸
エステル含有量は3〜20重量%、好ましくは5〜15
重量%の範囲である。
【0063】これら共重合体のMFRは、0.1〜20
g/10分、好ましくは0.3〜10g/10分であ
り、溶融張力は2.0〜25g、好ましくは3〜20g
である。
【0064】上記(A2)成分と(A)成分(これを
(A1)成分とする)の配合割合は(A1)成分100
〜20重量%、(A2)成分80重量%以下であり、衝
撃強度、耐環境応力劣化性、透明性等を重視する場合は
(A1)成分を主成分とすることが望ましいが、強度、
透明性をある程度保有し、かつ加工性、経済性を考慮し
た場合には(A2)成分を適度に配合することが望まし
い。押し出し成形によって成形品を得る場合は、(A
1)成分の溶融張力が小さいため、ダイスウェルが小さ
くなってパリソンや溶融時のパイプが不安定となる傾向
にあり(A2)成分の配合が望ましく、特に(A22)
成分を5〜10重量%添加するのが望ましい。またT−
ダイ成形や押出ラミネートではネックインによるフィル
ム両端耳部の肉厚不均一が発生して歩留りが悪くなるた
め、やはり同程度の添加が望ましい。
【0065】本発明に使用される(B)成分である酸化
防止剤としては、公知の酸化防止剤が用いられるが中で
も好ましく用いられるものはヒンダードフェノール化合
物、有機ホスファイト化合物、有機ホスフォナイト化合
物などである。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具
体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフ
ェノール、2−t−ブチル−4−メトキシ−フェノー
ル、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブ
チル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、
2,2’−エチリデン−ビス(2,4−t−ブチルフェ
ノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−
ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,
4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、ト
リス(4−t−ブチル−2,6−ジ−メチル−3−ヒド
ロキシベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−〔メ
チレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル)−4’−
ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート〕メタン、3,
9−ビス〔1,1−ジ−メチル−2−{β−(3−t−
ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピ
オニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオ
キザスピロ〔5,5〕ウンデカンなどがある。特に3,
9−ビス〔1,1−ジ−メチル−2−{β−(3−t−
ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピ
オニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオ
キザスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリス(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレ
ート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
ベンゼンは長期保存時にも色相の変化が少ないため、好
ましく使用される。これらはエチレン・α−オレフィン
共重合体組成物100重量部に対して0.01〜1.0
重量部、好ましくは0.02〜0.3重量部添加され使
用される。0.01重量部未満であると酸化防止効果が
なく樹脂が熱劣化しやすく、1重量部を超えても効果は
頭打ちとなり不経済であるのみか色相悪化の原因とな
る。
【0066】有機ホスファイト化合物としては、下記一
般式(II)または(III)で表される有機亜りん酸
エステル化合物等が挙げられる。
【0067】
【化2】
【0068】(R、R、Rはお互いに同一または
異なる水素またはアルキル基、アリール基、アルカリー
ル基、アラルキル基またはアルキルチオ基を表す)
【0069】
【化3】
【0070】(R、Rはお互いに同一または異なる
アリール基またはアルカリール基を示す)
【0071】一般式(II)で表されるホスファイトを
例示すると、トリスイソデシルホスファイト、トリスト
リデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、ト
リス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイ
ト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(ミッ
クスドモノ、ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス
ビフェニルホスファイト、トリシクロヘキシルホスファ
イト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリラウリ
ルトリチオホスファイト、トリス(オクチルチオプロピ
ル)ホスファイト、ジラウリルハイドロゲンホスファイ
ト等が挙げられる。
【0072】一般式(III)で表されるホスファイト
を例示すると、ビストリデシルペンタエリスリトールジ
ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホ
スファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリト
ールジホスファイト、ジ(2,4−ジ−t−ブチルフェ
ニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(2,
6−ジ−t−ブチル−4−メチル)ペンタエリスリトー
ルジホスファイト等が挙げられる。
【0073】一般式(II)、(III)以外のホスフ
ァイトとしては、4,4’−イソプロピリデン−ジフェ
ノールアルキルホスファイト、テトラトリデシル4,
4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフ
ェノール)ジホスファイト、ヘキサトリデシル1,1,
3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブ
チルフェニル)ブタントリホスファイト等が挙げられ
る。
【0074】有機ホスフォナイト化合物としては、下記
一般式(IV)または(V)で表されるホスフォナイト
化合物が例示される。
【0075】
【化4】
【0076】〔式中R、Rはそれぞれ同一かまたは
異なる炭素数1〜4の炭化水素である。〕
【0077】
【化5】
【0078】〔式中R、R、R10はそれぞれ同一
かまたは異なる炭素数1〜4の炭化水素である。〕
【0079】前記一般式(V)で表される代表的な化合
物として、テトラキス(2,4−ジ−ブチルフェニル)
−4,4’−ビフェニレンホスフォナイトが挙げられ
る。
【0080】本発明に使用する上記成分の配合割合は、
ポリオレフィン100重量部に対して0.005〜5重
量部、好ましくは0.01〜2重量部である。0.00
5重量部未満であると酸化防止効果がなく樹脂が熱劣化
しやすく、5重量部を超えても効果は頭打ちとなり不経
済であるのみか色相悪化の原因となる。
【0081】前記の有機ホスファイト化合物、有機ホス
フォナイト化合物は単独で用いても良いが、フェノール
系酸化防止剤と併用することにより、相乗効果により組
成物の熱に対する安定性、特に高温成形時の耐熱性が著
しく向上する。またフェノール系酸化防止剤は、長く保
存されたり、高温高湿度下では経時変下によって黄変す
るが、これら有機ホスファイト化合物、有機ホスフォナ
イト化合物を併用することによって、色安定性が著しく
改良されこれらの効果を考え併用して添加することが望
ましいものである。
【0082】本発明に使用される(C)成分である高級
脂肪酸金属塩としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パ
ルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、
リノレン酸などの脂肪酸とリチウム、ナトリウム、マグ
ネシウム、カルシウム、亜鉛等の金属との塩が挙げられ
るが、特にステアリン酸カルシウムが望ましい。これら
の脂肪酸金属塩は触媒残渣に含まれる塩素を吸収し、押
し出し機や金型に対する防錆効果を有するのみでなく、
溶融樹脂と金属との摩擦を低減し、成形機内での樹脂の
滞留を少なくして熱劣化によるフィッシュアイの生成を
防ぐ効果も有するためさらに添加することが好ましい。
またこれらは同時に樹脂の加熱時の色相の悪化を防止す
るために、高級脂肪酸金属塩と脂肪酸との混合物として
も用いられる。これらの脂肪酸としては上記脂肪酸など
が例示され、これらの中ではステアリン酸とステアリン
酸カルシウムの1:1混合物が最も好ましく使用され
る。本発明に使用する上記(C)成分の配合量は、ポリ
オレフィン100重量部に対して、0.05〜5重量
部、好ましくは0.1〜2重量部である。0.05重量
部未満であると防錆効果なく、5重量部を超えても効果
は頭打ちとなるばかりか異物発生、色相悪化の原因とな
る。
【0083】本発明に使用される(C)成分のハイドロ
タルサイト類は次式で示される複塩化合物である。
【0084】(M2+1−xAl(OH)(A
n−x/n・mH
【0085】(ここで0<x≦0.5、m:実数 M2+:Mg、CaまたはZn、An−:n値の陰イオ
ン)
【0086】これらの化合物としては天然品及び合成品
のいずれも用いられるが、とくにM2+がMg、An−
がCO 2−である合成品が望ましい。本発明に使用す
る上記成分の配合組成は、ポリオレフィン100重量部
に対して、0.01〜1重量部、好ましくは0.02〜
0.08重量部である。この化合物中の炭酸塩は容易に
塩素と置換され、触媒成分として残っている塩素を吸収
して塩素による金属腐食を低減させる作用がある。0.
01重量部未満であると防錆効果がなく、1重量部を超
えても効果は頭打ちとなるばかりかゲルや色相悪化の原
因となる。また該成分は前記高級脂肪酸の金属塩と併用
して用いると単独で用いた場合に比べ少ない添加量で耐
熱劣化を改良する効果があり好ましい。なお塩素を含ま
ない触媒を用いて重合した場合、この成分の添加を省く
ことができる。
【0087】本発明の(D)ピペリジル基を有するヒン
ダードアミン系化合物は、前記(B)成分の内少なくと
もフェノール系酸化防止剤に加えて添加すると、前記酸
化防止剤の性能を相乗的に改良されるものであり、前記
成分に加えて添加することが望ましい。該化合物は中で
も下記一般式Iで表される2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジル基を有する化合物であるものが好ましい。
【0088】
【化6】
【0089】(但しRは、水素、アルキル、アルケニ
ル、アラルキルまたはアルコキシル基を、Rは水素、
酸素を表す。)
【0090】一般式IのRが水素の場合はHを意味
し、酸素の場合は=Oを意味する。一般式Iが結合する
残基は特に制限されずカルボン酸残基やアミン残基等が
ある。
【0091】ピペリジルを有するヒンダードアミン系化
合物を具体的に例示すると、ビス(2,2,6,6−テ
トラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−
1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス
(2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−
ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカル
ボキシレート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルエタノール
とコハク酸ジメチルの重縮合物、1,6−ビス(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘ
キサンと2,4−ジクロロ−6−t−オクチルアミノ−
s−トリアジンの重縮合物、ポリ〔{6−(1,1,
3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−ト
リアジン−2,4−ジイル)}{2,2,6,6−テト
ラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン
{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イ
ミノ}、ビス−〔1,2,2,6,6−ペンタメチル−
4−ピペリジル〕セバケート、2−{3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロン
酸ビス1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリ
ジル)、ミックスド{1,2,2,6,6−ペンタメチ
ル−4−ピペリジル/トリデシル}−1,2,3,4−
ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド{1,2,
2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,
β’,β’テトラメチル−3,9−〔2,4,8,10
−テトラオキザスピロ(5,5)ウンデカン〕ジエチ
ル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレー
ト、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テト
ラメチル−4−ピペリジル)セバケート等が挙げられ
る。
【0092】なお、本発明の組成物に、紫外線吸収剤を
添加することによって、その耐候性を改善することがで
きる。紫外線吸収剤の具体例としては、2,4−ジヒド
ロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ
ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベン
ゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ
−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベ
ンゾフェノン類、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロ
キシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブ
チルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチル
フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’
−メチレンビス(4−t−オクチル−ベンゾトリアゾー
ル)フェノール等のベンゾトリアゾール類、レゾルシノ
ールモノベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル−3’−5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベ
ンゾエート、ヘキサデシル−3−5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類が挙げ
られる。
【0093】本発明における共重合体組成物は成形加工
時における熱劣化や色相の悪化が少なく、また押出機の
スクリューやバレルあるいは金型の腐食を起こしにくい
組成物であって、射出成形、中空成形、フィルム成形に
適し、各種容器、蓋、瓶、パイプ、包材等に使用され
る。
【0094】なお、本発明の組成物には、前記の成分の
他に必要に応じて重金属不活性剤、造核剤、金属石鹸、
酸吸収剤、顔料、充填剤、可塑剤、エポキシ化合物、発
泡剤、難燃剤、加工助剤、極性基含有ポリオレフィン等
を包含させることができる。
【0095】
【実施例】次に実施例により本発明を更に詳しく説明す
るが、本発明はこれらによって限定されるものではな
い。なお行った試験法を以下に示す。
【0096】(物性試験方法) 密度 :JIS K6760に準拠し
た。 メルトフローレート :JIS K6760に準拠し
た。 熱安定性(劣化時間):東洋精機製ラボプラストミルに
て空気気流中でペレットを210℃で混練、トルクが急
激に上昇する迄の時間を測定して酸素誘導期間とした。 色安定性 :厚さ2mmのプレスシートを、
温度80℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽に2週間暴露
した後、黄色度(JISK7103による)を測定し、
暴露前の初期黄色度との変化率(色度差)の少ないもの
が優れたものである。 錆試験 :ペレットを230℃のオイルバ
ス中で窒素気流下3時間で溶融後、溶融樹脂に軟鉄板を
2時間浸漬し、軟鉄板をとりだし、鉄板に付着した樹脂
を引き剥した後、80℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽
に該鉄板を20時間放置し、錆を促進させる。さらにシ
リカゲル入りのデシケーター中で1日間乾燥させて、軟
鉄板の重量増加量(mg)をもって錆発生量とした。 引張衝撃試験 :下記の条件にて射出成形した
1.5mm厚のシートを作成し、MDおよびTD方向に
S型ダンベルを打ち抜き、ASTMD1822に従い強
度を測定した。 耐環境応力劣化性(ESCR):熱プレスにより厚さ
3.0mmのシートを作成し、ASTMD1693に従
って測定した。全試料の半分にクラックが入った時間で
表示した。 スパイラルフロー試験 :樹脂温度の少々の低下により
ショートショットの起こし易さの目安として行った。射
出成形機にスパイラルフロー用金型を取り付け、下記の
射出条件で金型内の流動性を測定した。スパイラルフロ
ー長さが長いものほど外観不良を起こしにくい。
【0097】(射出成形条件)
【0098】(エチレン・α−オレフィン共重合体Aの
重合) 固体触媒の調製 窒素下で電磁誘導攪拌機付き触媒調製器(No.1)に
精製トルエンを加え、ついでジプロポキシジクロロジル
コニウム(Zr(OPr)Cl)28gおよびメチ
ルシクロペンタジエン48gを加え、0℃に系を保持し
ながらトリデシルアルミニウムを45gを滴下し、滴下
終了後、反応系を50℃に保持して16時間攪拌した。
この溶液をA液とする。次に窒素下で別の攪拌器付き触
媒調製器(No.2)に精製トルエンを加え、前記A溶
液と、ついでメチルアルミノキサン6.4molのトル
エン溶液を添加し反応させた。これをB液とする。
【0099】次に窒素下で攪拌器付き調製器(No.
1)に精製トルエンを加え、ついであらかじめ400℃
で所定時間焼成処理したシリカ(富士デビソン社製、グ
レード#952、表面積300m/g)1400gを
加えた後、前記B溶液の全量を添加し、室温で攪拌し
た。ついで窒素ブローにて溶媒を除去して流動性の良い
固体触媒粉末を得た。これを触媒Cとする。
【0100】試料A1の重合 連続式の流動床気相法重合装置を用い、重合温度70
℃、全圧20kgf/cmGでエチレンと1−ブテン
の共重合を行った。前記触媒Cを連続的に供給して重合
を行い、系内のガス組成を一定に保つため、各ガスを連
続的に供給しながら重合を行った。
【0101】なお、生成した共重合体の物性は以下に示
した。 試料A1 MFR(g/10分) : 8.0 密 度(g/cm) : 0.920 最高融点(℃) : 121 分子量分布(Mw/Mn): 2.5 ODCB可溶分(W%) : 1.2 X(式1の値)(W%) : 4.8 Cb : 1.3 TREFピーク数 : 複 数
【0102】(エチレン・α−オレフィン共重合体M1
の重合)攪拌機を付したステンレス製オートクレーブを
窒素置換し、精製トルエンを入れた。次いで、ブテン−
1を添加し、更にブス(n−ブチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジクロライド(Zrとして0.02m
モル)メチルアルモキサン〔MAO〕(MAO/Zr=
100〔モル比〕)の混合溶液を加えた後、80℃に昇
温した。次にエチレンを張り込み重合を開始した。エチ
レンを連続的に重合しつつ全圧を維持しながら1時間重
合を行った。なお、後述の実施例に必要な量はこれらの
重合を繰り返し製造した。得られたエチレン・ブテン−
1共重合体の物性は以下の通りであった
【0103】 試料M1 MFR(g/10min): 7.0 密 度(g/cm) : 0.920 融 点(℃) : 113 分子量分布(Mw/Mn): 2.3 ODCB可溶分(wt%): 0.3 X(式1の値)(wt%): 4.6 Cb : 1.05 TREFピーク数 : 単 数
【0104】使用した樹脂 A1 :前記 A21:チグラー触媒による線状低密度ポリエチレン
(密度=0.923g/cm、MFR=8.0g/1
0分、商品名:日石リニレックスBJ5310 日本石
油化学(株)製) A22:高圧ラジカル重合による低密度ポリエチレン
(密度=0.920g/cm、MFR=5.5g/1
0分、商品名:日石レクスロンJ40、日本石油化学
(株)製) M1 :前記
【0105】使用した添加剤 成分(B) ヒンダードフェノール系酸化防止剤 B−1:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノー
ル(商品名BHT、吉富製薬(株)製) B−2:テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−
ジ−t−ブチル)−4’−ヒドロキシ−フェニル)プロ
ピオネート〕メタン(商品名イルガノックス1010、
チバガイギー(株)製) ホスファイト系酸化防止剤 B−3:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホ
スファイト(商品名イルガフォス168、チバガイギー
(株)製) ホスフォナイト系酸化防止剤 B−4:テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メ
チル)−4,4’−ビフェニレンホスフォナイト(商品
名GSY−P101、吉富製薬(株)製) 硫黄系酸化防止剤 AO−1:ジラウリル−3,3’チオジプロピオネート
(商品名DLTP「ヨシトミ」、吉富製薬(株)製) 成分(C) C−1:ステアリン酸カルシウム((株)耕正製) C−2:ハイドロタルサイト(DHT−4A、協和化学
(株)製) 成分(D) D−1:ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチル
ブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジ
イル)}{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリ
ジル)イミノ}ヘキサメチレン{2,2,6,6−テト
ラメチル−4−ピペリジル)イミノ}(商品名キマソー
ブ944LD、チバガイギー(株)製) D−2:ミックスド{1,2,2,6,6−ペンタメチ
ル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’テトラメチル
−3,9−〔2,4,8,10−テトラオキザスピロ
(5,5)ウンデカン〕ジエチル}−1,2,3,4−
ブタンテトラカルボキシレート(商品名アデカスタブL
A−63、旭電化(株)製)
【0106】実験例1 表1の実験例1〜14は成分(B)を添加し、熱劣化に
対する効果を調べたものである。
【0107】実験例1は前記共重合体(A1)の粉末に
(B1)を0.1重量部添加しヘンシェルミキサーで約
30秒間混合後に押出機で造粒した。このペレットを前
記の条件で熱劣化時間測定を行うとともに、残りをミリ
ングロールで均一化した後、切断してチップ状とし、こ
れを180℃でプレス成形しシートを得た。このシート
については前記の方法で色安定性、引張衝撃試験、ES
CR、スパイラルフロー試験を行った。結果を表1に示
した。耐熱安定性、引張衝撃強度、ESCR、スパイラ
ルフロー試験のいずれも良好である。
【0108】実験例2 表1に示した組成で実験例1と同様の操作を行い、結果
を併せて表1に示した。耐熱安定性、引張衝撃強度、E
SCR、スパイラルフロー試験のいずれも良好である。
【0109】実験例3〜7 表1に示した組成で実験例1と同様の操作を行い、結果
を併せて表1に示した。耐熱安定性、色安定性、引張衝
撃強度、ESCR、スパイラルフロー試験のいずれも良
好である。B成分としてフェノール系とホスファイト系
あるいはホスフォナイト系を併用した実験例5、6は中
でも耐熱安定性が優れている。
【0110】実験例8 成分(B)を加えずに実験例1と同様の操作を行い、結
果を表1に示した。耐熱安定性が不良である。
【0111】実験例9 樹脂成分として(A21)を用い、(B)成分を加えず
に実験例1と同様の操作を行い、結果を表1に示した。
耐熱安定性が不良で引張衝撃強度が低い。
【0112】実験例10 樹脂成分として(A21)を用いて実験例5と同様の操
作を行い、結果を表1に示した。引張衝撃強度が不良で
ある。
【0113】実験例11 樹脂成分として(A22)を用い、(B)成分を加えず
に実験例1と同様の操作を行い、結果を表1に示した。
耐熱安定性、引張衝撃強度、ESCRが不良である。
【0114】実験例12 樹脂成分として(A22)を用い、実験例1と同様の操
作を行い、結果を表1に示した。引張衝撃強度、ESC
Rが不良である。
【0115】実験例13 樹脂成分として(M1)を用い、(B)成分を加えず実
験例1と同様の操作を行い、結果を表1に示した。耐熱
安定性が悪く、またスパイラルフロー長さが短く、スパ
イラルフロー長さを実験例1と同程度にするには成形温
度を約20℃上げる必要があり、成形条件の許容範囲が
狭い。
【0116】実験例14 樹脂成分として(M1)を用い、実験例5と同様の操作
を行い、結果を表1に示した。スパイラルフロー試験が
不良である。
【0117】実験例15〜19 表2の実験例15〜19はさらに(C)成分を添加した
場合の錆発生に対する効果を調べたものである。実験例
15〜17は色安定性、耐熱安定性、引張衝撃強度、E
SCRとともに錆発生も良好である。実験例18は
(C)成分を添加していない実験例6を実験例13〜1
5と比較したものである。表2に示したように錆発生量
が多い。実験例19は(A21)成分、(B2)(B
4)成分からなるものである。引張衝撃強度、錆発生量
が不良である。
【0118】実験例20〜29 表3の実験例20〜29はさらに(D)成分を添加した
場合の耐熱安定性に対する相乗効果を調べたものであ
る。実験例20〜21は色安定性、ESCR、錆発生と
も良好であり、耐熱性は(D)成分を添加していない実
験例22よりさらに良好である。実験例23は(C)成
分として(AO−1)を添加したものに(D)を加えた
ものである。耐熱安定性の向上はわずかである。実験例
24〜27は表に示した樹脂成分に(B)、(C)、
(D)成分を加えたものである。耐熱性、色安定性、錆
試験、引張衝撃強さ、ESCR、スパイラルフロー試験
のいずれも良好である。実験例28は(A)成分として
(A21)を用い(B)、(C)、(D)成分を加えた
ものである。引張衝撃強さが劣る。実験例29は(A)
成分として(M1)を用い(B)、(C)、(D)成分
を加えたものである。スパイラルフロー試験が不良であ
る。
【0119】
【発明の効果】分子量分布が狭く、適度な広さの組成分
布を有するエチレン・α−オレフィン共重合体に酸化防
止剤を添加することにより、エチレン・α−オレフィン
共重合体の優れた衝撃強度、耐環境応力劣化性、透明性
等の特性を損なわず加工時の熱劣化が少なくなおかつ長
期保存後の色相の悪化をきたさない組成物を提供するこ
とを目的とする。さらにこれらの組成物に特定のテトラ
メチルピペリジル基を有する化合物を加えることによっ
て、前記の特性を損なうことなく、さらに相乗的に耐熱
性を向上させることにある。また該組成物に酸吸収剤を
加えることによって衝撃強度、耐環境応力劣化性、透明
性、成形加工性、加工時の熱劣化性、色相が良好で押出
機や金型の腐食の少ない組成物を提供することができ
る。
【0120】
【表1】
【0121】
【表2】
【0122】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる共重合体のTREFにより求め
た溶出温度−溶出量曲線。
【図2】メタロセン触媒による共重合体のTREFによ
り求めた溶出温度−溶出量曲線。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)下記(a)〜(f)を満足するエ
    チレン・α−オレフィン共重合体、 (a)密度 0.86〜0.96g/cm (b)メルトフローレート(MFR) 0.01〜50g/10min (c)分子量分布(Mw/Mn) 1.8〜3.5 (d)組成分布パラメーターCb 1.10〜2.00 (e)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分の量X(重 量%)と密度dおよびMFRが次の関係を満足する イ)d−0.008×logMFR≧0.93の場合 X < 2.0 ロ)d−0.008×logMFR<0.93の場合 X<9.8×10×(0.9300−d+0.008×logMF R)+2.0 式1) (f)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピーク が複数個 および(B)酸化防止 剤を含むことを特徴とするエチレン・α−オレフィン共
    重合体組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の組成物がさらに、
    (C)高級脂肪酸金属塩またはハイドロタルサイト類か
    ら選ばれる1種以上の化合物を含むエチレン・α−オレ
    フィン共重合体組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の組成物がさら
    に、(D)ピペリジル基を有するヒンダードアミン系化
    合物を含むエチレン・α−オレフィン共重合体組成物。
  4. 【請求項4】 前記(D)ピペリジル基を有するヒンダ
    ードアミン系化合物が下記一般式Iで表される2,2,
    6,6−テトラメチルピペリジル基を有するヒンダード
    アミン系化合物である請求項3に記載のエチレン・α−
    オレフィン重合体組成物。 【化1】 (但しRは、水素、アルキル、アルケニル、アラルキル
    またはアルコキシル基あるいは酸素結合を、またR
    水素または酸素を表す。)
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の組
    成物が樹脂成分として(A)のエチレン・α−オレフィ
    ン共重合体にさらに、(A2)以下に示す他のエチレン
    系重合体から選択される少なくとも1種0〜80重量%
    を含むことを特徴とするエチレン・α−オレフィン共重
    合体組成物。 〔エチレン系重合体〕 (A21)密度0.86〜0.96g/cmのチグラ
    ー型触媒によるエチレン・α−オレフィン共重合耐 (A22)高圧ラジカル重合による低密度ポリエチレ
    ン、エチレン・ビニルエステル共重合体、エチレンと
    α、β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合
  6. 【請求項6】 前記(B)酸化防止剤が、ヒンダードフ
    ェノール化合物、有機ホスファイト化合物および有機ホ
    スフォナイト化合物からなる群から選ばれる1種以上の
    化合物である請求項1〜5のいずれか1項に記載のエチ
    レン・α−オレフィン共重合体組成物。
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