JPH09323092A - 汚水処理装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンパクトで設置面積が小さくて済み、汚水
の処理能力及び効率が優れ、余剰汚泥の発生が少なく、
且つ運転が容易である汚水処理装置を提供する。 【解決手段】 単一の汚水処理槽１２より成り、汚水処
理槽１２は、上部に固液分離ゾーンが設けられ、上部な
いし中央部に好気分解ゾーンが設けられ、下部に嫌気分
解ゾーンが設けられており、好気分解ゾーンに投入され
た汚水は好気分解と嫌気分解との繰り返しで浄化される
汚水処理装置であって、汚水処理槽１２の下部は底端部
が突出した形状であり、汚水処理槽１２の底端部近傍
に、嫌気分解ゾーンに滞留した汚泥を上向流により徐々
に好気分解ゾーンへ押し上げるためのエアリフト管１を
接続したエアレーター２が配置されて成る汚水処理装
置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は汚水処理装置、更に詳し
くは、有機物濃度の高い排水やＳＳ含量の高い排水、並
びに高濃度の窒素、リンを含んだ排水を省スペースで処
理するために有用で、且つ、標準活性汚泥法にみられる
余剰汚泥の発生率が低い汚水処理装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】汚水処
理方法として現在最も多く普及している方法は、標準活
性汚泥法といわれる方法である。しかしながら、標準活
性汚泥法は、以下に例示するような種々の問題点を有し
ている。 標準活性汚泥法で使用する汚水処理装置は通常、曝
気槽と沈殿槽とを別々に有するため、広い設置面積を必
要とし、用地の確保が困難である。 活性汚泥の能力が季節的な気象条件の変化で変動し
（例えば、能力低下をきたす）、固液分離障害が発生し
易い。そのため、返送汚泥量の調整や、活性汚泥濃度の
調整、曝気量の調整等を行わねば成らず、管理が専門的
に成り、汚水処理装置の定常操業が容易ではない。 通常の標準活性汚泥法による汚水処理装置のように
好気分解処理のみでは、余剰汚泥の発生量が多く、脱水
ケーキとしての産業廃棄物の処理費が多大となる。 最近では、標準活性汚泥法で好気分解と嫌気分解と
を繰り返すことにより脱窒素、脱リンを行う汚水処理装
置もあるが、前記装置の場合、装置の運転時に同一槽に
おいて、送気をする時間帯（好気状態）と送気をしない
時間帯（嫌気状態）とを別々に設けなければ成らず、時
間の制約を受け、それだけ汚水処理量が低下する。 好気分解ゾーンとは別に嫌気分解ゾーンを設けた汚
水処理装置もあるが、嫌気分解ゾーンを別の槽として好
気分解ゾーンの槽に並列に平面的に設けているので、装
置の設置面積が余分に必要となる。 従来の汚水処理装置の槽底部は平坦な場合が多く、
この場合、底部に沈殿した汚泥はそのまま沈積し、延い
ては曝気槽の有効容積を減少せしめ、処理能力の低下を
きたす。 従来の汚水処理装置では、不活性なＳＳの処理が困
難なため、ＳＳが槽内に残存し、汚泥濃度を高める一因
ともなり、延いては固液分離障害をきたす。

【０００３】本発明は上記従来技術の問題点を解決する
ためのものであり、その目的とするところは、コンパク
トで設置面積が小さくて済み、汚水の処理能力及び効率
が優れ、余剰汚泥の発生が少なく、且つ運転が容易であ
る汚水処理装置を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】すなわち本発明の汚水処
理装置は、単一の汚水処理槽より成り、該汚水処理槽
は、上部に固液分離ゾーンが設けられ、上部ないし中央
部に好気分解ゾーンが設けられ、下部に嫌気分解ゾーン
が設けられており、好気分解ゾーンに投入された汚水は
好気分解と嫌気分解との繰り返しで浄化される汚水処理
装置であって、前記汚水処理槽の下部は底端部が突出し
た形状であり、前記汚水処理槽の底端部近傍に、嫌気分
解ゾーンに滞留した汚泥を上向流により徐々に好気分解
ゾーンへ押し上げるためのエアリフト管を接続したエア
レーターが配置されて成ることを特徴とする〔以下、
ｉ）と称する〕。

【０００５】本発明の汚水処理装置のうち、好ましいも
のとしては例えば下記の汚水処理装置が挙げられる。 ii) 好気分解ゾーン及び嫌気分解ゾーンと固液分離ゾー
ンとの連絡水路に、固液分離ゾーンでの浮遊汚泥の巻き
上がりを防止するための整流板が設けられて成るｉ）の
汚水処理装置。 iii)エアレーターが、内壁に複数のエア放出孔を有する
筒状であり、上部にエアリフト管が接続されて成るｉ）
又はii) の汚水処理装置。

【０００６】本装置の汚水処理槽内に投入された汚水
は、例えば好気分解ゾーンの中央部位置で、放出された
活性汚泥と攪拌混合されながら好気分解（好気性処理）
を受ける。活性汚泥は、好気分解ゾーンで浮遊しなが
ら、比重の重い物は汚水処理槽下部の嫌気分解ゾーンに
集合して滞留しながら、エアレーターによる上向流に徐
々に吸い込まれ、好気分解ゾーンへと押し上げられ、再
度、好気分解を受け、その一部は、再度下部に集合す
る。この場合、投入した汚水も混合液として同じ動きを
繰り返す。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明の汚水処理装置は単一の汚
水処理槽からなり、複数の槽を連結したものではない。
前記汚水処理槽の大きさ、形状、材質等は適宜選択して
よい。汚水処理槽には、各操作を分担して行うために、
上部に固液分離ゾーンが設けられ、上部ないし中央部に
好気分解ゾーンが設けられ、下部に嫌気分解ゾーンが設
けられている。各ゾーンは厳密に区画されていてもよい
が、互いのゾーンが混合されない程度に区画されている
だけでもよい。

【０００８】好気分解菌及び嫌気分解菌は慣用のもので
あってよい。分解処理すべき汚水は、先ず、汚水処理層
中の好気分解ゾーンに投入される。次いで汚水は、適当
な攪拌手段（又は循環手段）を用いて好気分解ゾーンと
嫌気分解ゾーンとの間を循環させることにより、好気分
解と嫌気分解との繰り返しで浄化される。前記攪拌手段
（又は循環手段）は慣用の手段を単独又は組み合わせて
用いてよいが、攪拌手段としてエアを導入すると簡便で
あり、且つ装置の構成が簡単になるのでよい。

【０００９】汚水処理槽の下部は底端部が突出した形
状、具体的には例えば円錐形及び／又は角錐形とする。
汚水処理槽の下部をこのような形状とすると、汚水処理
槽の下部に溜まった汚泥が効率良く底端部（突出した部
分が一つの場合には、中央部）に集まる。

【００１０】好気分解ゾーン及び嫌気分解ゾーンと固液
分離ゾーンとの連絡水路には、固液分離ゾーンでの浮遊
汚泥の巻き上がりを防止するための整流板を設ける。前
記整流板の大きさ、形状、数、設置様式（取付け位置，
取付け角度等）は、浮遊汚泥の巻き上がりを効果的に防
止し得るように適宜選択する。

【００１１】汚水処理槽の底端部近傍に設ける、エアリ
フト管を接続したエアレーターの大きさ、形状、数、型
は適宜選択する。例えば、エアレーターは通常一つでよ
いが、二つ以上設けてもよい。又、エアレーターの型と
しては、例えば、内壁に複数のエア放出孔を有する筒状
であり、上部にエアリフト管が接続されているものが好
ましい。

【００１２】前述の構成要素以外の本装置の他の構成要
素及び本装置の制御手段は、汚水処理装置において慣用
の構成要素及び制御手段をそのまま適用することができ
る。

【００１３】

【実施例】以下に、本発明の実施例を添付図面に基づい
て詳述する。なお、下記実施例は単に本発明を説明する
ためのみのものであり、何等の限定的な意味を有するも
のではない。

【００１４】図１に、本発明の汚水処理装置の一実施例
を示す。汚水処理槽１２の下部には、汚水の上向きの流
れを作り出すためのエアリフト管１を有するエアレータ
ー２が設置されている。汚水処理槽１２の下部は底端部
が円錐形（又は角錐形）である。又、汚水処理槽１２の
上部ないし中央部は、隔壁４により固液分離ゾーン（上
部）と好気分解ゾーン（上部ないし中央部）に分割さ
れ、且つ立体的に構成されている。

【００１５】好気分解ゾーンの底部には、活性汚泥に対
して酸素を供給するための散気管３が設置され、送気管
５により空気が送られる。汚水処理槽１２の下部（散気
管３より下の底端部）は、実質的に酸素の存在しない嫌
気分解ゾーンとなる。汚水（処理すべき原水）の投入管
６は、汚水処理槽１２の上部中央より縦方向に（垂直
に）汚水処理槽１２内に入り、好気分解ゾーンのほぼ中
央部でその先端が止まっている。

【００１６】好気分解ゾーン及び嫌気分解ゾーンと固液
分離ゾーンとの連絡水路１３には、複数の整流板８が、
片止めで且つ遊離端が上下方向に交互に向くように内壁
面全周に交互に（水路の内径壁面と外径壁面とに交互
に）、配置されている。

【００１７】汚水処理槽１２の底端部の先端には、汚泥
排出用の排出口１１が設けられている。又、連絡水路１
３内にも汚泥の沈積が生ずるので、汚水処理槽１２の外
壁にも排出口１０が設けられている。

【００１８】固液分離ゾーンの上方には、上澄水を処理
水として流出させるための越流堰７が設けられている。
又、汚水処理槽１２の外壁上方には、更に処理水を系外
へ流出させるための流出管９が設けられている。処理す
べき汚水は、投入管６により汚水処理槽１２の好気ゾー
ンに投入され、投入された汚水量に相当する量の処理水
だけが、連絡水路１３を通り固液分離ゾーンの越流堰７
より越流し、流出管９より系外に流出する。

【００１９】

【発明の効果】本発明の汚水処理装置は前述の如き構成
を有するため、以下に例示するような種々の効果を奏す
る。 １）従来の汚水処理装置における曝気槽及び沈殿槽を各
々好気分解ゾーン及び固液分離ゾーンとして一体化し、
単一の汚水処理槽内で立体的に構成しているので、装置
全体がコンパクトであり、省スペースが計れる。 ２）好気分解ゾーンと嫌気分解ゾーンとを単一槽の中に
有しているため、好気分解反応と嫌気分解反応とが同時
に同一槽内で進行し、反応時間を短縮させることができ
る。 ３）好気分解ゾーンでは汚水中の有機物の酸化分解を行
い汚水を浄化するが、有機態の窒素は酸化により硝酸態
の窒素となり、次いで嫌気分解ゾーンで無酸素状態にお
かれた場合に、脱窒菌の作用により窒素ガスとなって遊
離するので、汚水中の窒素除去を行うことができる。 ４）更に、窒素除去を確実に行おうとする場合は、エア
レーターへの送気を一時中断し、又は送気量を減少させ
て、一定の脱窒反応時間を取ることにより行うことがで
きる。 ５）汚水中にリンが含まれる場合には、好気状態の汚泥
はリンを大量に吸着することが判っているので、好気分
解と嫌気分解の繰り返しにより処理水中のリンを好気分
解ゾーンで汚泥に吸着させることにより、除去すること
ができる。 ６）嫌気分解ゾーンで、汚水中の比重の重い固形物は、
嫌気分解により可溶化され好気的酸化分解を受け易くさ
れた後、更にエアレーターで好気分解ゾーンへと押し上
げられ酸化分解を受けるので、高負荷運転を行うことが
できる。 ７）活性汚泥の一部は沈降し、嫌気分解ゾーンで嫌気分
解されるので、余剰汚泥の発生が減少し、産業廃棄物処
理費が低減される。 ８）好気分解ゾーン及び嫌気分解ゾーンと固液分離ゾー
ンとの連絡水路に整流板を設けると、固液分離ゾーンで
の固液分離を確実に行うことができるので、汚泥が越流
堰を乗り越えて搬送されることを抑制することができ
る。 ９）エアレーターを内壁に複数のエア放出孔を有する筒
状と成し、上部にエアリフト管を接続すると、エアレー
ター底部の負圧により、浮遊汚泥が連絡水路に流入する
ことが有効に押えられる（浮遊汚泥は攪拌・循環され
る）ので、固液分離ゾーンでの固液分離を確実に行うこ
とができる。 １０）本発明の汚水処理装置では、固液分離を効率良く
行うことができ、固液分離障害が発生しないので、従来
の汚水処理装置で必要であった返送汚泥工程が不要であ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の汚水処理装置の一実施例の説明図であ
る。

【符号の説明】

１：エアリフト管 ２：エアレー
ター ３：散気管 ４：隔壁 ５：送気管 ６：投入管 ７：越流堰 ８：整流板 ９：流出管 １０：排出口 １１：排出口 １２：汚水処
理槽 １３：連絡水路

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 単一の汚水処理槽より成り、該汚水処理
   槽は、上部に固液分離ゾーンが設けられ、上部ないし中
   央部に好気分解ゾーンが設けられ、下部に嫌気分解ゾー
   ンが設けられており、好気分解ゾーンに投入された汚水
   は好気分解と嫌気分解との繰り返しで浄化される汚水処
   理装置であって、 前記汚水処理槽の下部は底端部が突出した形状であり、 前記汚水処理槽の底端部近傍に、嫌気分解ゾーンに滞留
   した汚泥を上向流により徐々に好気分解ゾーンへ押し上
   げるためのエアリフト管を接続したエアレーターが配置
   されて成ることを特徴とする汚水処理装置。
2. 【請求項２】好気分解ゾーン及び嫌気分解ゾーンと固液
   分離ゾーンとの連絡水路に、固液分離ゾーンでの浮遊汚
   泥の巻き上がりを防止するための整流板が設けられて成
   ることを特徴とする請求項１記載の汚水処理装置。
3. 【請求項３】エアレーターが、内壁に複数のエア放出孔
   を有する筒状であり、上部にエアリフト管が接続されて
   成ることを特徴とする請求項１又は２記載の汚水処理装
   置。