JPH0931840A - 染色前処理漂白方法及びその装置 - Google Patents

染色前処理漂白方法及びその装置

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JPH0931840A
JPH0931840A JP7178998A JP17899895A JPH0931840A JP H0931840 A JPH0931840 A JP H0931840A JP 7178998 A JP7178998 A JP 7178998A JP 17899895 A JP17899895 A JP 17899895A JP H0931840 A JPH0931840 A JP H0931840A
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JP
Japan
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bleaching
ozone
cloth
tank
dyeing
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JP7178998A
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English (en)
Inventor
Nobuyoshi Umiga
信好 海賀
Soichiro Nakano
壮一郎 中野
Yuzuru Sato
譲 佐藤
Masao Takahashi
正夫 高橋
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Toshiba Engineering Corp
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Engineering Corp
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 染色の前工程における布を漂白する場合に、
塩素系酸化剤を漂白剤として使用することに起因する洗
浄排水11による環境への影響を簡単な設備で効果的に
抑制する。 【解決手段】 染色前の布1を水分率20%以上100
%以下に吸湿・膨潤させ、この吸湿・膨潤させた布にオ
ゾン含有ガスを接触させて漂白し、この漂白の結果生じ
た酸を洗浄する。また、染色前の布1を水分率20%以
上100%以下に吸湿・膨潤させる膨潤槽4と、オゾン
含有ガスを発生するオゾン発生装置7と、膨潤槽4にて
吸湿・膨潤された布にオゾン発生装置7にて発生された
オゾン含有ガスを接触させて漂白するオゾン漂白槽6
と、このオゾン漂白槽6における漂白の結果生じた酸を
布から洗浄する洗浄槽9とで漂白装置を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、染色工場の染色前
工程における布の漂白方法及び漂白装置係わり、特に塩
素系漂白剤を用いないで布を漂白する漂白方法及び漂白
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、紡績機,繊機により作られる反
物においては、界面活性剤や縦糸に使用したのり等が繊
維に付着している。さらに、繊維内部には未処理の着色
成分であるリグニンが残存しているため、布全体が薄茶
色を有する。したがって、この布を任意の色に美しく染
色するためには、染色処理の前に布地を漂白する必要が
ある。この漂白を行う前には、のり抜き,精練の工程を
実施する。
【0003】したがって、染色工場においては、布の漂
白,染色工程において、漂白剤として酸化剤,塩素系の
次亜塩素酸ソーダ,染料等の化学薬品を高濃度でかつ多
量に使用する。さらに、各々洗浄工程を必要とするの
で、この化学薬品の使用量が多く、それに伴い多量の排
水が発生する。
【0004】このような染色工場におけるれる染色工程
は例えば図4に示すように構成されている。リールから
供給される原布1はのり抜き工程2でもって、原布1に
着しているのりが除去されて、次の精練工程3で原布1
の不純物が取除かれる。精練された布は塩素系酸化剤溶
液槽4Aで酸化剤を吸収・膨潤し、反応槽4Bで漂白反
応が行われる。そして、漂白された布は次の洗浄水10
が収容された洗浄槽9へ導かれる。この洗浄槽9におい
ては、漂白の結果生成された有機酸、有機ハロゲン化合
物及び余分に吸収した未反応の塩素系酸化剤が布から洗
い落される。汚れた洗浄水10は洗浄排水11として別
途水処理設備へ移送されて処理・放流される。
【0005】なお、この洗浄排水11は有害副精生成物
や未反応の塩素系酸化剤を含んでいるので生物処理は不
可能である。洗浄された布は絞りおよび乾燥工程12.
染色工程13.後処理工程14及び仕上げ工程15を経
て製品布16としてリールに巻取られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図4に
示す染色工程に組込まれた漂白装置においてもまだ解消
すべき次のような課題があった。すなわち、近年、工場
の環境に対する規制が厳しくなり、節水型漂白・染色方
法へ移行,排水水質等に配慮する必要が生じてきた。特
に、漂白工程で塩素系の薬剤を高濃度かつ多量に用いる
場合、のり抜き・精練工程ののちに残存する界面活性
剤,のり等の有機物及び布自体と反応して生じる有機ハ
ロゲン化合物が、発癌性,変異原性等が排水の放流水域
で水環境問題となる。
【0007】また、これら化合物は微生物分解を受け
ず、環境及び生体内に蓄積濃縮されるため、地域環境全
体から規制される状況にある。染色工場の規模が大きく
なると、これらの環境に対する影響を排除するための施
設が膨大なものになり、かつその施設に対する費用も大
幅に上昇する。
【0008】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、オゾンを用いることによって、有機ハロゲ
ン化合物を生成する塩素系酸化剤を用いずに、布を効率
的に漂白でき、周囲環境へ放流する排水に有機ハロゲン
化合物が含まれることを未然に防止でき、排水の水処理
工程を簡素化でき、設備全体を簡素化でき、かつ設備の
維持管理費を大幅に低減できる染色前処理工程における
漂白方法及び漂白装置を提供すること目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解消するため
に、請求項1に示す染色前工程における漂白方法におい
ては、染色前の布を水分率20%以上100%以下に吸
湿・膨潤させ、この吸湿・膨潤させた布にオゾン含有ガ
スを接触させて漂白し、この漂白の結果生じた酸を洗浄
するようにしている。
【0010】また、請求項2の漂白方法においては、請
求項1の漂白方法における染色前の布に水あるいは有機
酸でpH5以下に調整された水溶液を含浸することによ
って、布を水分率20%以上100%以下に吸湿・膨潤
させるようにしている。
【0011】さらに、請求項3の漂白方法においては、
請求項1または請求項2の漂白方法において、オゾン含
有ガスを接触させた後の布を50℃以下に加温したのち
洗浄するようにしている。
【0012】さらに、請求項4の漂白方法においては、
請求項1又は請求項2の漂白方法において、オゾン含有
ガスを接触させた後の布を紫外線照射したのち洗浄する
ようにしている。
【0013】請求項5に示す染色前処理工程における漂
白装置においては、染色前の布を水分率20%以上10
0%以下に吸湿・膨潤させる膨潤槽と、オゾン含有ガス
を発生するオゾン発生装置と、膨潤槽にて吸湿・膨潤さ
れた布にオゾン発生装置にて発生されたオゾン含有ガス
を接触させて漂白するオゾン漂白槽と、オゾン漂白槽に
おける漂白の結果生じた酸を布から洗浄する洗浄槽とを
備えている。
【0014】また、請求項6の漂白装置は、請求項5の
漂白装置における布を水分率20%以上100%以下に
吸湿・膨潤させる手法として、染色前の布に有機酸でp
H5以下に調整された水溶液を含浸するようにしてい
る。
【0015】さらに、請求項7の漂白装置は、請求項6
の漂白装置におけオゾン漂白槽と洗浄槽と間に、オゾン
漂白槽でオゾン含有ガスを接触させた後の布を50℃以
下に加温する加温装置を介在させている。
【0016】また、請求項8の漂白装置は、請求項6の
漂白装置におけオゾン漂白槽と洗浄槽と間に、オゾン漂
白槽でオゾン含有ガスを接触させた後の布を紫外線照射
する紫外線照射装置を介在させている。
【0017】このように構成された染色前工程における
漂白方法及び漂白装置によれば、オゾン含有ガスに含ま
れるオゾンは、吸湿・膨潤された布の繊維の内部へ拡散
して、繊維に残存する着色成分のリグニンと反応して漂
白が完了する。この結果、反応副成物として微生物によ
り分解しやすいアルデヒド,ケント,カルボン酸等が生
成される。
【0018】一般に、オゾンは酸化力が強く、オゾン自
身の自己分解によっても消滅するが、周囲温度上昇、紫
外線照射によって、オゾン自身の自己分解が加速され
る。また、溶液中のオゾンは気体オゾンより自己分解速
度が速く、かつこの分解速度は溶液のpHに左右され
る。すなわち、pH5以下では比較的安定しているが、
アルカリ性域では自己分解が急速に進む。
【0019】また、オゾン含有ガスは、安全な飲料水の
浄化プロセスとして広く利用され初めており、名大気中
の酸素または酸素ボンベ等から取込んで簡単に任意濃度
のものを生成できる。
【0020】発明者は、このようなオゾンの既知特性を
考慮して種々の実験を行った結果、繊維内部のリグニン
を酸化する場合、オゾンを繊維内部まで有効に拡散到達
させることが重要であり、拡散後、繊維内部で酸化反応
が促進する最適条件を与えれば、布が有効に漂白される
ことが実証された。
【0021】したがって、この発明においては、前もっ
て布を水分率20%以上100%以下に吸湿・膨潤させ
るようにしている。よって、従来の漂白手法のように塩
素系酸化剤を使用する事なく、布を効率よく漂白できる
ので、有害物質が排水に含まれず、かつ洗浄排水量も少
なくなる。その結果、排水の水処理が簡素化され、かつ
微生物を用いて分解処理させることも可能となる。
【0022】また、請求項2,請求項6〜8において
は、上述した条件に加えて、水あるいは有機酸でpH5
以下の水溶液で布を吸湿・膨潤させることによって、よ
り一層漂白効果を向上させている。
【0023】さらに、オゾン含有ガスに接触させた後の
布の温度を上昇させたり、オゾン含有ガスに接触させた
後の布を紫外線照射することによって、オゾンの自己分
解が促進され、より短時間で所望の漂白効果が得られる
ことが実証されている。
【0024】
【発明の実施の形態】以下本発明の各実施形態を説明す
る。各実施形態の説明の前に、発明者が行った実験を説
明する。のり抜き工程及び精練工程を経た後の綿布を実
験対象布とし、この実験対象布に対して、次亜塩素酸ソ
ーダを用いた標準漂白処理と、オゾン含有ガスを用いた
オゾン漂白処理とを実行して、漂白後の各実験対象布の
白度を比較した。
【0025】なお、漂白槽として、幅0.2m.高さ
0.1m,長さ0,5mのアクリル製密閉箱を準備し、
この漂白槽内に、水分率を調整した各実験対象布を浸し
た。オゾン漂白処理においては、実験対象布の水分率は
オゾンの自己分解を抑制する目的と、漂白後の洗浄排水
処理が標準的な生物処理法で行えることを考慮し、pH
5の酢酸水溶液で調整した。また、酸素を原料ガスとす
るオゾン発生装置で得たオゾン含有ガスを、布の水分率
を一定とするため純水中に曝気温度を調整後に、試料布
の表裏均一にオゾン含有ガスが接触するように、連続的
に流量0.42リットル/分で漂白槽内に供給した。
【0026】また、白度は、同一実験対象布について、
分光光度計における波長466nmの光の反射率を布表面
の3か所で測定して、平均値を求めた。以下に実験条件
と実験結果を示す。
【0027】[標準手法(従来方法)の実験条件] 漂白槽 0.2 x 0,1 x 0,5 m3 有効塩素 3g/l (pH11.5) 浸透剤 0.1 〜0,2 % 処理条件 20℃ 4hr [オゾン漂白手法の実験条件] 漂白槽 同上 原料ガス 酸素 オゾン濃度 30 g/Nm3 処理条件 20℃ 30min pH5 水分率 5,15,20,40,100%
【0028】
【表1】
【0029】この実験結果で得られた通常の塩素系漂白
剤を用いた標準手法の白度とオゾン漂白処手法における
各白度とを比較すると、オゾン漂白処手法で得られた各
白度は標準手法に比較して遜色がないことが実施され
た。特に、水分率20%以上100%以下において、漂
白効果が優れている。
【0030】また、同等の白度を得るために所用する時
間はオゾン漂白手法が標準手法に比較して格段に短縮さ
れる。なお、水分率40%において、若干白度が落ちる
のは、繊維間の自由水がオゾンの自己分解に対して安定
なpH5であっても、自由水中におけるオゾンの自己分
解が無視できないためであると考えらる。
【0031】(第1実施形態)このような実験結果にお
ける各条件を考慮した第1実施形態の漂白装置が組込ま
れた染色工程を図1に示す。
【0032】なお、図4に示す従来の漂白装置が組込ま
れた染色工程と同一部分には同一符合が付してある。し
たがって、重複する部分の詳細説明は省略されている。
リールから供給される原布1は、のり抜き工程2でもっ
て付着しているのりが除去されて、次の精練工程3で精
練される。精練された布1は膨脹槽4内へ導かれる。膨
脹槽4内にはpH5に調整された水または酢酸水溶液が
収容されている。なおpH5以下の酢酸水溶液であって
もよい。
【0033】布1はこの膨脹槽4内において、pH5に
調整された酢酸水溶液で吸湿・膨潤されて、次のロール
絞りエアジェット吹き付け5によって水分率が20〜1
00%に調節される。
【0034】水分率が20〜100%に調整された布は
次のオゾン漂白槽6へ導かれる。オゾン漂白槽6には、
オゾン発生装置7が接続されている。オゾン発生装置7
は大気中又は別途準備された酸素ボンベから酸素を取込
んでオゾンを生成してオゾン含有ガスをオゾン漂白槽6
へ供給し、オゾン漂白槽6内にオゾン含有ガスを効果的
に拡散させる。なお、オゾン含有ガスに含まれるオゾン
のガス濃度はオゾン発生装置7において電気的に簡単に
制御可能である。オゾン漂白槽6へ導かれた布は、前述
した原理により、オゾン含有ガスにて漂白される。
【0035】なお、オゾン漂白槽6内の未反応オゾンは
排オゾン分解装置8で分解処理されて大気中に放出され
る。オゾン漂白槽6内で漂白された布は次の洗浄槽9内
へ導かれる。洗浄槽9内には洗浄水10が収容されてい
る。オゾン漂白槽6内における漂白の結果生成されるグ
リオキシル酸,シュウ酸等の有機酸及び余剰に吸収した
酢酸は、この洗浄槽9内に収容された洗浄水10で布か
ら洗い落とされる。
【0036】所定長さの布に対する洗浄を実施した後の
汚れた洗浄水10は、洗浄排水11として別途水処理設
備へ移送されて処理・放流される。なお、この洗浄排水
11は有害副生成物や未反応の塩素系酸化剤を含んでい
ないので、一般的な生物処理が可能である。
【0037】洗浄された布は絞りおよび乾燥工程12、
染色工程13、後処理工程14及び仕上げ工程15を経
て製品布16としてリールに巻取られる。このように構
成された染色前処理工程における漂白装置においては、
オゾン漂白手法を採用している。前述したように洗浄排
水11は有害副生成物や未反応の塩素系酸化剤を含んで
いないので、一般的な生物処理が可能である。すなわ
ち、洗浄排水11に対する処理設備が簡素化され、設備
費を大幅に低減できる。さらに、水環境に与える影響を
最小限に抑制できる。
【0038】さらに、オゾン漂白手法を採用することに
よって、洗浄排水11量そのものを低減できる。また、
塩素系漂白剤を用いた標準手法に比較して、漂白処理時
間を短縮できるので、原布1から同一のライン速度でも
って製品布16を得る場合には、漂白槽に布を浸す時間
が短くなるので、漂白槽の大きさを標準手法に比較し
て、漂白槽の布の搬送方向長さを短くできる。したがっ
て、染色前処理工程全体を小型化できる。
【0039】また、オゾン発生装置7は、大気中の酸素
又は酸素ボンベを用いて、又は水の電気分解を用いて任
意ガス濃度のオゾン含有ガスを簡単にかつ低価格で作成
できる。よって、染色工程のランニングコストをさらに
低減できる。
【0040】なお、繊維内へのオゾンの拡散は濃度依存
性があり、オゾン濃度が高いほど効果的に漂白できると
考えられるが、発生効率を勘案しながらオゾン濃度を自
由に制御できる点においても、このオゾン漂白手法は、
従来の塩素系漂白剤を用いた標準手法に比較して有利で
ある。
【0041】次に、オゾン漂白時の温度の影響について
行った実験結果を説明する。前述した水分率を変化させ
た場合の実験対象布及び漂白槽を用いて、下記の実験条
件でオゾン漂白実験を実施した。そして、表2に示す白
度の実験結果を得た。
【0042】[オゾン漂白手法の実験条件] 原料ガス 空気 オゾン濃度 20 g/Nm3 処理条件 30min pH3,水分率60% 温度 20,50.80℃
【0043】
【表2】
【0044】オゾン含有ガスとの接触時間を30分と
し、接触後、実験対象布を速やかに取出して、上述した
温度条件に制御された耐蝕性を有する金属板にこの実験
対象布を挟んで3分間放置した後に、前述した手法で白
度を規定した。
【0045】実験結果に示すように、温度を20℃に設
定した場合に比較して、温度を60℃及び80℃に設定
した場合の方がより漂白効果が優れていることが理解で
きる。これは、加温により繊維内部に拡散したオゾンの
自己分解が促進され、短時間で良好な漂白効果が得られ
たものと考えられる。
【0046】なお、加温度は50℃と80℃とを比較す
ると、漂白効率はほぼ同一レベルであるが、設備全体の
運転費用を考慮する50℃の加温度で十分であることが
理解できる。
【0047】(第2実施形態)このような実験結果にお
ける加温度の条件を考慮した第2実施形態の漂白装置が
組込まれた染色工程を図2に示す。
【0048】なお、図1に示す第1実施形態の漂白装置
が組込まれた染色工程と同一部分には同一符合が付して
ある。したがって、重複する部分の詳細説明は省略され
ている。
【0049】この染色工程においては、オゾン漂白槽6
と洗浄槽9との間に加温装置としての例えば内部にヒー
タが収納された加温ローラ6Aが介挿されている。この
加温ローラ6Aは50℃近傍でかつ50℃を越えない一
定の温度に制御されている。
【0050】このように構成された染色工程において
は、オゾン漂白槽6でオゾ含有ガスが接触された布は加
温ローラ6Aでもってほぼ50℃に加温される。その結
果、布の繊維内部まで拡散したオゾンは急速な加温によ
る自己分解で、酸化力の強い酸素ラジカル.水酸基ラジ
カルとなり、着色物質のリグニンを酸化・脱色する。
【0051】なお、第2実施形態の装置においては、加
温装置として、加温ローラ6Aを採用したが、マイクロ
波,赤外線等を用いた加温装置であってもよい。このよ
うに構成された染色工程における漂白装置においては、
加温装置としての加温ローラ6Aを用いているので、図
1に示す第1実施形態の漂白装置に比較して、より短時
間で所望の漂白効率を得ることができる。
【0052】次に、オゾン漂白時の紫外線照射の影響に
ついて行った実験結果を説明する。前述した水分率を変
化された場合の実験対象布及び漂白槽を用いて、下記の
実験条件でオゾン漂白実験を実施した。そして、表3に
示す白度の実験結果を得た。
【0053】[オゾン漂白手法の実験条件] 原料ガス 空気 オゾン濃度 20 g/Nm3 処理条件 20℃,30min ,pH3,水分率60% 紫外線照射時間 10min ,20min
【0054】
【表3】
【0055】具体的には、漂白槽に収納した実験対象布
に対して30分間オゾン含有ガスを接触させ、その後、
オゾン含有ガスの供給を停止し、漂白槽の上部に取付け
た15Wの殺菌用低圧水銀ランプ2本を、実験対象布の
上方2cm位置から実験対象布に対して、10分間及び2
0分間照射した。そして、前述した手法で各白度を測定
した。
【0056】紫外線照射では波長260 nmにオゾンの大き
な吸収線が存在し、ガス中,液中,繊維中でもオゾンの
自己分解が促進され、加温の場合と同様に、酸化力の強
い酸素ラジカル,水酸基ラジカルとなる。そのために、
繊維内部に拡散したオゾンは紫外線照射により自己分解
が促進され、短時間で良好な漂白効果が得られた。
【0057】(第3実施形態)このような実験結果にお
ける紫外線照射の条件を考慮した第3実施形態の漂白装
置が組込まれた染色工程を図3に示す。
【0058】なお、図1に示す第1実施形態の漂白装置
が組込まれた染色工程と同一部分には同一符合が付して
ある。したがって、重複する部分の詳細説明は省略され
ている。
【0059】この染色例工程においては、オゾン漂白槽
6と洗浄槽9との間に複数の紫外線ランプが組込まれた
紫外線照射装置6Bが介挿されている。布の各点がこの
紫外線照射装置6B内を通過するに要する時間は例えば
10分になるように、紫外線照射装置6Bの搬送方向の
長さ及びランプ数が設定されている。
【0060】このように構成された染色工程において
は、オゾン漂白槽6でオゾ含有ガスが接触された布は、
紫外線照射装置6Bでもって10分間隔紫外線照射を受
ける。その結果、布の繊維内部まで拡散したオゾンは紫
外線による自己分解で、酸化力の強い酸素ラジカル.水
酸基ラジカルとなり、着色物質のリグニンを酸化・脱色
する。
【0061】さらに、このように構成された染色工程に
おける第3実施形態の漂白装置においては、紫外線照射
装置6Aを用いているので、図1及び図2に示す先の第
1,第2実施形態における漂白装置に比較して、より一
層短時間で所望の漂白効率を得ることができる。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の染色前処
理工程における漂白方法及び漂白装置においては、布を
吸湿・膨潤させて漂白に最適な状態に移行させた上で、
該当布をオゾンを用いて漂白している。そして、従来の
漂白手法で必要であった有機ハルゲン化合物を生成する
塩素系酸化剤を用いていない。
【0063】したがって、布を効率的にかつ短時間で漂
白でき、環境に放出する排水に有機ハロゲン化合物が含
まれることを未然に防止でき、排水の水処理工程を例え
ば微生物を用いることによって簡素化でき、設備全体を
簡素化でき、かつ設備の維持管理費を大幅に低減でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態の漂白方法を採用した
漂白装置が組込まれた染色工程を示す模式図
【図2】 本発明の第2実施形態の漂白方法を採用した
漂白装置が組込まれた染色工程を示す模式図
【図3】 本発明の第3実施形態の漂白方法を採用した
漂白装置が組込まれた染色工程を示す模式図
【図4】 従来の漂白装置が組込まれた染色工程を示す
模式図
【符号の説明】
1…原布、2…のり抜き工程、3…精練工程、4…膨脹
槽、5…ロール絞り・エアジェト吹き付け、6…オゾン
漂白槽、6A…加温ローラ、6B…紫外線照射装置、7
…オゾン発生装置、8…排オゾン分解装置、9…洗浄
槽、10…洗浄水、11…洗浄排水、12…絞りおよび
乾燥工程、13…染色工程、14…後処理工程、15…
仕上工程、16…製品布
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 譲 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内 (72)発明者 高橋 正夫 神奈川県鎌倉市七里ガ浜東4−29−2

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 染色前の布を水分率20%以上100%
    以下に吸湿・膨潤させ、この吸湿・膨潤させた布にオゾ
    ン含有ガスを接触させて漂白し、この漂白の結果生じた
    酸を洗浄することを特徴とする染色前処理工程における
    漂白方法。
  2. 【請求項2】 前記染色前の布に水あるいは有機酸でp
    H5以下に調整された水溶液を含浸することによって、
    前記布を水分率20%以上100%以下に吸湿・膨潤さ
    せることを特徴とする請求項1記載の染色前処理工程に
    おける漂白方法。
  3. 【請求項3】 前記オゾン含有ガスに接触させた後の布
    を、50℃以下に加温したのち洗浄することを特徴とす
    る請求項1又は請求項2記載の染色前処理工程における
    漂白方法。
  4. 【請求項4】 前記オゾン含有ガスに接触させた後の布
    を、紫外線照射したのち洗浄することを特徴とする請求
    項1又は請求項2記載の染色前処理工程における漂白方
    法。
  5. 【請求項5】 染色前の布を水分率20%以上100%
    以下に吸湿・膨潤させる膨潤槽と、オゾン含有ガスを発
    生するオゾン発生装置と、前記膨潤槽にて吸湿・膨潤さ
    れた布に前記オゾン発生装置にて発生されたオゾン含有
    ガスを接触させて漂白するオゾン漂白槽と、このオゾン
    漂白槽における漂白の結果生じた酸を布から洗浄する洗
    浄槽とを備えたことを特徴とする染色前処理工程におけ
    る漂白装置。
  6. 【請求項6】 染色前の布に有機酸でpH5以下に調整
    された水溶液を含浸することによって、前記布を水分率
    20%以上100%以下に吸湿・膨潤させる膨潤槽と、
    オゾン含有ガスを発生するオゾン発生装置と、前記膨潤
    槽にて吸湿・膨潤された布に前記オゾン発生装置にて発
    生されたオゾン含有ガスを接触させて漂白するオゾン漂
    白槽と、このオゾン漂白槽における漂白の結果生じた酸
    を布から洗浄する洗浄槽とを備えたことを特徴とする染
    色前処理工程における漂白装置。
  7. 【請求項7】 染色前の布に有機酸でpH5以下に調整
    された水溶液を含浸することによって、前記布を水分率
    20%以上100%以下に吸湿・膨潤させる膨潤槽と、
    オゾン含有ガスを発生するオゾン発生装置と、前記膨潤
    槽にて吸湿・膨潤された布に前記オゾン発生装置にて発
    生されたオゾン含有ガスを接触させて漂白するオゾン漂
    白槽と、このオゾン漂白槽でオゾン含有ガスを接触させ
    た後の布を50℃以下に加温する加温装置と、この加温
    装置で加温された布から前記漂白の結果生じた酸を洗浄
    する洗浄槽とを備えたことを特徴とする染色前処理工程
    における漂白装置。
  8. 【請求項8】 染色前の布を有機酸でpH5以下に調整
    された水溶液を含浸することによって、前記布を水分率
    20%以上100%以下に吸湿・膨潤させる膨潤槽と、
    オゾン含有ガスを発生するオゾン発生装置と、前記膨潤
    槽にて吸湿・膨潤された布に前記オゾン発生装置にて発
    生されたオゾン含有ガスを接触させて漂白するオゾン漂
    白槽と、このオゾン漂白槽でオゾン含有ガスを接触させ
    た後の布を紫外線照射する紫外線照射装置と、この紫外
    線照射装置で紫外線照射された布から前記漂白の結果生
    じた酸を洗浄する洗浄槽とを備えたことを特徴とする染
    色前処理工程における漂白装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2008105132A1 (ja) * 2007-02-27 2008-09-04 Shigenori Aono 漂白繊維品の製法およびそれに用いる装置、並びにそれによって得られる漂白繊維品
WO2008105108A1 (ja) * 2007-02-27 2008-09-04 Shigenori Aono 漂白繊維品の製法およびそれに用いる装置、並びにそれによって得られる漂白繊維品

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US8486225B2 (en) 2007-02-27 2013-07-16 Shigenori Aono Bleached fiber product production method, apparatus to be used therefor, and bleached fiber product produced thereby

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