JPH09312211A - 酸化物永久磁石及びその製造方法 - Google Patents

酸化物永久磁石及びその製造方法

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JPH09312211A
JPH09312211A JP9013743A JP1374397A JPH09312211A JP H09312211 A JPH09312211 A JP H09312211A JP 9013743 A JP9013743 A JP 9013743A JP 1374397 A JP1374397 A JP 1374397A JP H09312211 A JPH09312211 A JP H09312211A
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健 下村
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孝彦 笠原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、磁気特性に優れ、割れやクラックの
ない異方性磁石、特に径方向に異方性を有する円筒状磁
石、弓形状磁石、扁平環状磁石やその他特殊な形状を有
する異方性磁石及び等方性磁石等の酸化物永久磁石並び
にその製造方法を提供するものである。 【解決手段】密度が理論密度の86〜94%であり、か
つ、0.1μm以上の気孔が全気孔に対して5〜60%
であることを特徴とする酸化物永久磁石である。また、
上記酸化物酸化物永久磁石は、平均粒径5〜100μm
の酸化物磁性粉の粗大粒子と、平均粒径0.5〜1.5
μmの酸化物磁性粉の微小粒子を、この微小粒子が10
〜60wt%となるように混合し、その混合粉を成形、
焼成することにより得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気特性に優れ、
割れやクラックのない、異方性磁石及び等方性磁石等の
酸化物永久磁石及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的にマグネトプランバイト型の結晶
構造を有するフェライト磁石は、Fe23とMO化合物
(MはSr、Baの一種又は二種)を所定のモル比に配
合し、仮焼きしてフェライトとし、これを粉砕後、成
形、焼成して得られる。このときの粉砕後のフェライト
粉の粒度は、平均粒径を0.5〜1.5μmの範囲とす
ることが一般的である。平均粒径が0.5μmに満たな
いと成形性、配向性が悪化し、平均粒径が1.5μmを
越えると焼成後の焼結体中に単磁区臨界粒子径を越える
粗大粒子が発生しやすく、保磁力を著しく劣化させるた
めである。
【0003】また、成形時に磁化容易軸(C軸)方向を
同一方向に揃えたものを異方性磁石、揃えず無秩序の状
態で成形したものを等方性磁石と呼ぶ。異方性磁石は、
等方性磁石に比べ、残留磁束密度Brで約2倍、最大磁
気エネルギー積(BH)maxで3〜4倍の値をもつこ
とが知られており、磁気特性の向上には、成形時に良好
に配向させることが一つの要因となる。その異方性磁石
の成形方法として、フェライト粉を金型に充填して加圧
成形する、いわゆる乾式成形と、フェライト粉を水等の
液体と混合し、高濃度スラリーとして加圧成形する、い
わゆる湿式成形が知られている。湿式成形は乾式成形に
比べて、配向性に優れ、高い磁気特性を得ることができ
るが、複雑な形状は成形できない等の欠点がある。さら
に、その焼成の際に、異方性磁石は、C軸方向で20〜
25%、C軸に垂直(A軸)方向で13〜16%、等方
性磁石では、17〜18%の収縮を伴うため、焼成後の
寸法が設計値の許容範囲に収まらず、多くの場合加工が
必要となる。
【0004】さて、一般的にステッピングモーターのロ
ーター用等の磁石として円筒状磁石が用いられている
が、円筒状磁石は径方向の磁力を用いるために、径方向
に異方性をもたせることが、磁石の性能向上には不可欠
となる。このため、径方向にC軸を揃える成形法や多極
に異方性とする成形方法が種々試みてきたが、焼成から
冷却の過程でクラックが発生する欠点があった。このよ
うな問題を解決するために、例えば特開昭60−182
0号公報においては、外周部又は内周部のいずれかを多
極に異方性とし、その反対側を等方性とし、かつ一体の
同心円構造を持たせた多極異方性磁石、特開平5−26
7046号公報においては、成形時あるいは成形後の切
削加工により、焼成時の収縮量を考慮して決定した円筒
体の円周方向の一部分を軸方向に除去した成形体を焼成
してなるラジアル異方性円筒磁石が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記提
案によっても割れやクラックの原因を根本的に解決する
ことができない。すなわち、特開昭60−1820号公
報記載の方法では、磁気特性を上げるために成形時の着
磁磁界を大きくしたときや、肉厚の薄い製品を作成した
場合では、割れやクラックが発生しやすく、また、特開
平5−267046号公報記載の方法は、成形体を切削
加工するなどの工程が必要であり、作業が煩雑となると
同時に歩留まりの問題がある。さらに、異方性磁石は、
径方向に異方性を有する円筒状磁石に限らず、弓形状磁
石、扁平環状磁石やその他特殊な形状を有するものに
も、割れやクラックが発生する問題がある。
【0006】また、異方性磁石は、前記したように、軸
方向により収縮率が異なりこれが割れやクラック発生の
原因の一つとなっている。これは、各軸方向の収縮率を
共に0%に近づけることにより解決できるが、上記のよ
うに平均粒径が0.5〜1.5μmである、従来の粒径
のフェライト粉を用いる方法では、通常成形体密度は理
論密度の55〜60%程度であり、焼成時の収縮は免れ
ないものであった。加えて、等方性磁石においても収縮
率を0%に近づけることは、割れやクラックの発生を抑
え、場合によっては加工工程も不要となる。さらに、異
方性磁石及び等方性磁石の磁気特性、強度等の特性を向
上させるためには、焼成後の理論密度を100%近くす
ることが望まれ、そのために、焼成温度を上げる等の操
作により焼成体を得るが、これもまたクラック発生を免
れないものであった。
【0007】そこで、本発明は、磁気特性等に優れ、割
れやクラックのない異方性磁石、特に径方向に異方性を
有する円筒状磁石、弓形状磁石、扁平環状磁石やその他
特殊な形状を有する異方性磁石及び等方性磁石等の酸化
物永久磁石並びにその製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、酸化物永久
磁石について鋭意研究を重ねた結果、焼成後の酸化物永
久磁石に0.1μm以上の気孔がある程度存在すること
により、割れやクラックが少くなることを見いだし、こ
の知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0009】具体的には、下記(1)〜(5)の構成に
より達成される。
【0010】(1)密度が理論密度の86〜94%であ
り、かつ、0.1μm以上の気孔が全気孔に対して5〜
60%であることを特徴とする酸化物永久磁石。
【0011】上記酸化物永久磁石は、磁気特性に優れ、
強度が高く、成形体の形状を問わず割れやクラックが発
生しにくい。
【0012】(2)(1)に記載の酸化物永久磁石は、
異方性磁石である酸化物永久磁石。
【0013】(3)酸化物永久磁石の焼成体を粉砕して
得られた、平均粒径5〜100μmの酸化物磁性粉の粗
大粒子と、平均粒径0.5〜1.5μmの酸化物磁性粉
の微小粒子を、この微小粒子が10〜60wt%となる
ように混合し、その混合粉を成形、焼成することを特徴
とする酸化物永久磁石の製造方法。
【0014】上記原料は、従来用いられていた粒度の原
料では達し得なかった密度の成形体を得ることができ
る。また、上記酸化物永久磁石の製造方法により、高密
度で、割れやクラックが発生しない酸化物永久磁石を作
成することができる。
【0015】(4)上記酸化物磁性粉の粗大粒子又は微
小粒子のうち何れか一方に結着剤を溶解した溶液を添加
し混合した後に残りの粒子と混合して造粒し、その造粒
粉を成形、焼成することを特徴とする(3)に記載の酸
化物永久磁石の製造方法。
【0016】上記原料は、従来用いられていた粒度の原
料と比較して格段に流動性が良く、金型への充填が短時
間で済み、密度のバラツキも小さく生産性に優れてい
る。また、粗大粒子の表面を微小粒子が取り囲んだ構造
を有しているため、従来の等方性磁石用の造粒粉に比べ
て配向性が良く高特性である。
【0017】(5)酸化物磁性粉を、成形体密度が理論
密度の78%以上になるように成形した後、焼成するこ
とを特徴とする(3)又は(4)の何れかに記載の酸化
物永久磁石の製造方法。
【0018】
【発明の実施の形態】酸化物永久磁石 本発明に係る酸化物永久磁石は、密度が理論密度の86
〜94%であり、かつ、0.1μm以上の気孔が全気孔
に対して5〜60%である。
【0019】焼成後の密度が理論密度の86%に満たな
い場合、磁気特性、強度が低下する。一方、理論密度の
94%を超える場合は、磁気特性、強度共に向上する
が、成形体の形状によっては、クラックが多発し望まし
くない。さらに、形状を問わず割れ、クラックを発生さ
せないために、本発明に係る酸化物永久磁石は、ある程
度の大きさの気孔を有する。これは、機械的応力を緩和
する役目があり、その気孔は、0.1μm以上の気孔が
全気孔に対して5〜60%である。5%未満であると、
機械的応力を緩和することができず、割れ、クラック発
生に結びつく。一方、60%を超えると、強度不足とな
る。
【0020】上記酸化物磁石は、フェライト磁石であ
り、好ましくは主にマグネトプランバイト型のM相、W
相等の六方晶系のフェライトである。このようなフェラ
イトとしては、特に、MO・nFe23(Mは好ましく
はSr、Baの一種以上、n=4.5〜6.5)である
ことが好ましい。このようなフェライトには、さらにC
a、Pb、Al、Ga、Sn、Zn、In、Co、N
i、Ti、Cr、Mn、Cu、Ge、Nb、Zr、Cr
等が含有されていてもよい。また、上記酸化物磁石は異
方性磁石、等方性磁石どちらでもよいが、好ましくは、
異方性磁石である。
【0021】酸化物永久磁石の製造方法 このような酸化物永久磁石は以下のようにして作成する
ことができる。
【0022】本発明に係る酸化物永久磁石の原料となる
酸化物磁性粉は、焼成時の収縮をできるだけ小さくすべ
く高い成形体密度が得られるような粒度分布に調整され
る。具体的にこの酸化物磁性粉は、平均粒径が0.5〜
1.5μmの微小粒子と平均粒径5〜100μmの粗大
粒子との混合物であり、さらに、その混合比率は、微小
粒子の重量比で、10〜60wt%である。
【0023】以下にそれぞれの数値限定理由を記述す
る。
【0024】微小粒子は、従来用いられる粒径のフェラ
イト粉であり、その平均粒径が、0.5μmに満たない
と成形性、配向性が悪化し、一方、その平均粒径が、
1.5μmを越えると焼成後の焼結体中に単磁区臨界粒
子径を越える粗大粒子が発生しやすく、保磁力を著しく
劣化させるためである。
【0025】粗大粒子は、その平均粒径が、5μmに満
たないと、成形後の密度が上がらず焼成時の収縮が大き
くなり製品の寸法精度が従来とあまり変わらなくなる。
一方、その平均粒径が100μmを越えると成形時の粒
子間の結着性が悪くなるため、成形体の強度が低下しハ
ンドリングが困難になる。
【0026】また、本発明に係る酸化物永久磁石の原料
となる酸化物磁性粉、すなわち、微小粒子と粗大粒子の
混合粉は、300μmを越える粒子を含まないことが好
ましい。酸化物磁性粉中に300μmを超える粒子が含
まれると、金型を傷つけたり、製品の表面が滑らかでな
くなる等の問題が生じるためである。
【0027】微小粒子の混合比は、その混合比が、10
wt%に満たないと、成形時の粒子間の結着性が悪くな
るため、成形体の強度が低下しハンドリングが困難にな
る。また、成形後、焼成後とも密度が低く強度、磁気特
性が低下する。一方、60wt%を超えると、焼成時の
収縮が大きくなり製品の寸法精度が従来とあまり変わら
なくなる。
【0028】上記微小粒子は、市販品のフェライト磁性
粉を用いることができる。
【0029】上記粗大粒子は、酸化物永久磁石の焼結体
を粉砕して得られる。具体的には、まず、酸化物磁性粉
を成形する。成形方法は異方性磁石、等方性磁石を作成
する上で通常用いられる方法であればよく、例えば、湿
式成形又は乾式成形(共に場合により磁場中又は無磁場
中で行う)を用いる。異方性磁石を得る場合は、好まし
くは湿式磁場成形を用いる。これは、配向性が向上する
ためである。次にこの成形体を1100〜1300℃、
30分〜4時間程度で焼成する。この焼結体は、緻密に
焼結され、平均グレインサイズは0.7〜2μm程度と
なる。得られる焼結体は、等方性磁石又は異方性磁石ど
ちらでも良い。さらに、焼結体を粉砕するが、粉砕は湿
式、乾式いずれのものでも良く、スタンプミル、ジョウ
クラッシャ等で荒砕きした後に振動ミル、ローラミル、
アトマイザー、ボールミル等で、所望の粒度まで粉砕
し、目的となる粗大粒子が得られる。
【0030】上記微小粒子と粗大粒子の混合粉からなる
酸化物磁性粉は、次いで成形される。成形は乾式、湿式
いずれのものでも良く、乾式成形する場合は、このまま
成形しても良いが、表面改質剤を添加して成形しても良
い。これは、粒子のすべりを良くすることができ、より
高い密度の成形体を得ることができる。
【0031】ここで、表面改質剤は、通常用いられるも
のであれば何でも良く、例えば、界面活性剤、ワックス
等が用いられる。界面活性剤としては、カチオン型、ア
ニオン型、ノニオン型、両性型の何れであっても良い
が、特に、カルボン酸またはその塩、例えばステアリン
酸、オレイン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カル
シウム、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸バ
リウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アル
ミニウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸ナトリ
ウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸カルシウム、オレイ
ン酸ストロンチウム、オレイン酸バリウム、オレイン酸
マグネシウム、オレイン酸アルミニウム、オレイン酸カ
リウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸アンモニウ
ムなどの炭素原子数4〜30程度の飽和または不飽和の
脂肪酸またはその塩の1種以上を含むものが適当に使用
される。
【0032】表面改質は、酸化物磁性粉に表面改質剤と
水又は有機溶剤を加えスラリーとし、湿式攪拌機又は混
練機等により混合し、乾燥して行えばよい。また、市販
のエマルジョンを混合しても良いし、酸化物磁性粉表面
にスプレー等により表面改質剤処理を施しても良い。上
記スラリー中における表面改質剤の含有量は、酸化物磁
性粉に対して0.1〜1wt%であることが好ましい。
この量が、少なすぎると表面改質の効果が現れず、多す
ぎると焼結体の密度が低下するからである。
【0033】また、より短時間で均一に金型に充填する
ために、適度な大きさに造粒して成形してもよい。
【0034】造粒は、酸化物磁性粉にポリビニルアルコ
ール(以下、PVA)等の結着剤を溶解した溶液を添加
し、ヘンシェルミキサー等により混合し乾燥して行えば
よいが、酸化物磁性粉の粗大粒子が異方性を有している
場合には、粗大粒子又は微小粒子のうち何れか一方にP
VA等の結着剤を溶解した溶液を加えて混合後、残りの
粒子とヘンシェルミキサー等により混合することが好ま
しい。また、結着剤を溶解した溶液の添加量によって
は、ヘンシェルミキサー等による混合後に乾燥しても良
い。ここで、粗大粒子又は微小粒子のうち何れか一方の
粒子に結着剤を溶解した溶液を加えて混合する場合、そ
の混合方法は、溶液がほぼ均一に分散すればどのような
方法でも良く、例えば、流動層内で粗大粒子又は微小粒
子を分散中に結着剤を溶解した溶液をスプレーする方法
等である。
【0035】通常、造粒工程は、等方性磁石を作製する
場合に用いられ、異方性磁石を作製する場合は造粒は行
われない。これは、造粒により配向が低下するからであ
る。しかし、本発明に用いる酸化物磁性粉は、上記方法
により、酸化物磁性粉の粗大粒子の表面を微小粒子が取
り囲んだ構造の造粒粉が作成され、粗大粒子が異方性を
有している場合、配向の劣化を極力抑えることができ
る。したがって、状況に応じて上記の方法で造粒しても
よい。酸化物磁性粉の粗大粒子と微小粒子の両方に結着
剤を溶解した溶液を加えて混合した後にそれぞれの粒子
を混合する方法や、酸化物磁性粉の粗大粒子と微小粒子
を混合した後に結着剤を溶解した溶液を加えて混合する
方法は、粗大粒子同士や微小粒子同士の造粒を促進さ
せ、配向度が低下するため、異方性磁石を作成する場合
には好ましくない。
【0036】造粒粉の粒度は、粗大粒子が等方性の場
合、通常500μm以下であるが、異方性を有している
場合の造粒粉の粒度は、200μm以下であることが好
ましい。これより大きい造粒粉を作製すると、配向度が
低下するためである。
【0037】このようにして作製された酸化物磁性粉
を、無磁場又は磁場中で、異方性磁石を得る場合、好ま
しくは磁場中で成形して成形体を得る。成形圧力は0.
5〜10ton/cm2程度で、磁場中で成形する場
合、印加磁場は2〜10kG程度とすればよい。この成
形体の密度は、焼成時の収縮率に影響するために高いほ
ど望ましく、理論密度の78%以上であることが好まし
い。成形体の密度が78%に満たない場合は、収縮率が
大きくなり、割れやクラックが発生しやすくなり焼成条
件等を吟味する必要があり好ましくない。
【0038】成形体は、1100〜1300℃で30分
〜4時間程度、焼成を行い、成形体を焼結させる。この
焼成温度は、焼結体の縮率と強度に影響するため、必要
に応じて、上記焼成温度の範囲から適宜選択される。
【0039】以上により、本発明に係る酸化物永久磁石
が製造される。また、本発明に係る酸化物永久磁石は、
磁気特性に優れ、割れやクラックのない、異方性磁石、
特に径方向に異方性を有する円筒状磁石、弓形状磁石、
扁平環状磁石その他特殊な形状を有する異方性磁石及び
等方性磁石等の永久磁石に用いることができるが、最も
好ましくはステッピングモーターのローター等に用いる
ことができる。
【0040】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示す。
【0041】(実施例1)まず、酸化物永久磁石の原料
となる粗大粒子は以下のような手順により作成した。
【0042】Srフェライト磁石の焼結体(Srフェラ
イト磁性粉を湿式磁場成形し、1240℃で焼成し焼結
したもの)を準備し、この焼結体を、3〜10mmにな
るまで荒砕きした後、振動ミルで平均粒径45μmにな
るまで粉砕して粗大粒子を得た。なお、この粉砕粉には
300μm以上の粒子は検出されなかった。
【0043】次に、上記粗大粒子と平均粒径0.9μm
のSrフェライト磁性粉(300μm以上の粒子は含ま
れない)の微小粒子を、微小粒子の割合が、0,10,
30,50,60,70,100wt%となるように混
合して材料1〜7を作成した。
【0044】これらそれぞれの材料をスラリー濃度が4
0wt%となるように水に分散させ、表面改質剤として
ステアリン酸カリウムを酸化物磁性粉の単位比表面積当
たり2mgとなるように添加し、30分間混合してスラ
リーを作成した。これらを、130℃で乾燥し、乾燥
後、アトマイザーにより解砕し、酸化物磁石の原料とな
る酸化物磁性粉を得た。
【0045】これらの酸化物磁性粉を、磁場中で乾式成
形し、直径25mm、高さ14mmの円柱形の成形体を
得た。この成形体をバッチ炉中に配し、1240℃まで
5℃/minで昇温し、1240℃で1時間保持し、上
記、材料1〜7についての試料No.1〜7を作成し
た。また、上記酸化物磁性粉を、磁場中で乾式成形し、
外径30.8mm、内径26.8mm、高さ5mmのラ
ジアル異方性リング磁石の成形体を作成し、上記円柱形
の場合と同じ条件にて焼成した。
【0046】
【表1】
【0047】表1に試料No.1〜7についての収縮
率、磁気特性として磁束密度Br、密度、強度、0.1
μm以上の気孔の割合及びラジアル異方性磁石にしたと
きのクラック発生率を示す。ここで、表中の密度のカッ
コ内の数値(%)は、成形体又は焼結体それぞれについ
ての理論密度に対する割合である。
【0048】また、上記各項目は以下の方法により測定
し求めた。
【0049】収縮率は、成形体と焼結体の寸法から求め
た。具体的には、上記のような直径(φ)25mm、高
さ(h)14mmの金型から成形体を作成し、これを上
記条件で焼成し、その高さ方向及び径方向の変化から下
記の式により高さ(h)方向及び径(φ)方向の収縮率
を求めた。
【0050】高さ(h)方向の収縮率(%)=(hp−
hf)/hp×100 径(φ)方向の収縮率(%)=(φp−φf)/φp×
100 hp;成形体の高さ hf;焼結体の高さ φp;成形体の直径 φf;焼結体の直径 磁気特性、すなわち、磁束密度Brは、B−Hトレーサ
により求めた。
【0051】密度は、成形体及び焼結体の直径及び高さ
を測定し体積を求め、また、それぞれの重量を測定し
て、密度を求めた。また、理論密度に対する成形体又は
焼結体それぞれの密度の割合は、理論密度を5.11g
/cm3(磁性体ハンドブック、朝倉書店、1975
年)より引用)として、求めた。
【0052】0.1μm以上の気孔の割合は、水銀ポロ
シメータにより測定した。
【0053】強度は、直径20mm、高さ10mmに加
工した円柱形焼結体を用い、直径方向の圧縮強度を圧縮
強度試験器で測定した。
【0054】粒径は、レーザー回折・散乱法により、測
定した。
【0055】表1から明らかなように、焼結体の密度が
理論密度に対して86%未満で0.1μm以上の気孔が
全気孔に対して60%を越えた試料は、磁気特性すなわ
ち磁束密度Br及び強度が、一般に要求されるとする値
を満足していない。ここで、一般に要求されるとする値
とは、用途等にもよるが磁束密度は3500G以上必要
とされ、強度は800kgf以上必要とされる。一方、
焼結体の密度が理論密度に対して94%を越え、かつ、
0.1μm以上の気孔が全気孔に対して5%に満たない
試料は、磁気特性、強度共に良い結果が得られている
が、ラジアル異方性磁石を作製した場合、クラックが発
生している。
【0056】(実施例2)実施例1で用いたSrフェラ
イト磁石の焼結体を、粉砕時間を変えて粉砕し、平均粒
径3、4、5、9、45、100μmの粗大粒子を得
た。これらの粗大粒子に、実施例1で用いた酸化物磁性
粉、すなわち、平均粒径0.9μmのSrフェライト磁
性粉の微小粒子を、微小粒子の割合が30wt%となる
ように混合して、材料8〜13を作成した。これら材料
を実施例1と同様の手順により、直径25mm、高さ1
4mmの円柱形の成形体を得た。さらに、実施例1と同
様の条件により焼成して、上記材料8〜13についての
試料No.8〜13を作成した。また、実施例1と同様
に、上記酸化物磁性粉を、磁場中で乾式成形し、外径3
0.8mm、内径26.8mm、高さ5mmのラジアル
異方性リング磁石の成形体を作成し、実施例1と同様の
条件にて焼成した。
【0057】
【表2】
【0058】表2に試料No.8〜13についての収縮
率、磁気特性として磁束密度Br、密度、強度、0.1
μm以上の気孔の割合及びラジアル異方性磁石にしたと
きのクラック発生率を示す。なお、各測定法方及び算出
方法は、実施例1と同様である。
【0059】表2から明らかなように、粗大粒子の平均
粒径が5μm未満の場合は、成形体の密度が低下し、収
縮率が大きくなり、ラジアル異方性磁石を作製した場合
クラックが多発している。また、粗大粒子の平均粒径
が、本発明の好ましい範囲、すなわちその平均粒径が5
〜100μmのものは、収縮率が6%以下となり本発明
の効果が現れる。さらに、粗大粒子の平均粒径を5〜1
00μmとする本発明に係る酸化物永久磁石の製造方法
により、焼結体の密度が理論密度の86〜94%であ
り、かつ、0.1μm以上の気孔が全気孔に対して5〜
60%である酸化物永久磁石の作製が可能である。
【0060】(実施例3)実施例1で作成した酸化物磁
性粉の粗大粒子に、PVAが磁性粉の1wt%となるよ
うに10wt%PVA水溶液をスプレーし混合した後、
実施例1で用いた酸化物磁性粉、即ち、平均粒径0.9
μmのSrフェライト磁性粉の微小粒子を、その割合が
30wt%となるように加え、ヘンシェルミキサーによ
り3分間混合し酸化物磁性粉の造粒粉を得た。その後、
この造粒粉を80℃で24時間乾燥し、材料14を作成
した。この材料を実施例1と同様の手順により、直径2
5mm、高さ14mmの円柱形の成形体を得た。更に、
実施例1と同様の条件により焼成して、上記材料14に
ついて試料No.14を作成した。また、実施例1と同
様に、上記酸化物粉を磁場中で乾燥形成し、外径30.
8mm、内径26.8mm、高さ5mmのラジアル異方
性リング磁石の成形体を作成し、実施例1と同様の条件
にて焼成した。
【0061】
【表3】
【0062】表3に試料No.14、3、7についての
収縮率、磁気特性として磁束密度Br、密度、強度、
0.1μm以上の気孔の割合及びラジアル異方性磁石に
したときのクラック発生率を示す。なお、各測定法方及
び算出方法は、実施例1と同様である。また、試料N
o.14、3、7についてはパウダーテスタにより測定
した安息角も同時に示す。ここで、安息角とはサンプル
をロートを通じ、注入法により測定した値であり、比較
的流動性の良い粉体では、安息角は小さい値を示し、付
着凝集性の強い微粉、即ち、流動性の悪い粉体では、安
息角は大きな値を示す。
【0063】表3から明らかなように、本発明の製造方
法により作製した試料14は、密度が理論密度の86〜
94%であり、かつ、0.1μm以上の気孔が全気孔に
対して5〜60%となり、本発明の効果が得られてい
る。また、本発明の好ましい造粒方法により作成した試
料No.14は、安息角が従来の製造方法より作成した
試料No.7ばかりでなく試料No.3に比べても優れ
ており、流動性がよいことがわかる。
【0064】
【発明の効果】本発明に係る酸化物永久磁石は、磁気特
性に優れ、強度が高く、成形体の形状を問わず割れやク
ラックが発生しにくい。
【0065】また、本発明に係る酸化物永久磁石の製造
方法により、従来用いられていた粒度の原料では達し得
なかった密度の成形体を得ることができ、焼成前後の収
縮率を抑えることができる。さらに、高密度の焼結体を
得ることができる。この結果、割れやクラックの発生が
なく、場合によっては加工工程が不要となり、強度が高
く、磁気特性の優れた酸化物永久磁石を作成することが
できる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】密度が理論密度の86〜94%であり、か
    つ、0.1μm以上の気孔が全気孔に対して5〜60%
    であることを特徴とする酸化物永久磁石。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の酸化物永久磁石は、異方
    性磁石である酸化物永久磁石。
  3. 【請求項3】酸化物永久磁石の焼結体を粉砕して得られ
    た、平均粒径5〜100μmの酸化物磁性粉の粗大粒子
    と、平均粒径0.5〜1.5μmの酸化物磁性粉の微小
    粒子を、この微小粒子が10〜60wt%となるように
    混合し、その混合粉を成形、焼成することを特徴とする
    酸化物永久磁石の製造方法。
  4. 【請求項4】上記酸化物磁性粉の粗大粒子又は微小粒子
    のうち何れか一方に結着剤を溶解した溶液を添加し混合
    した後に残りの粒子と混合して造粒し、その造粒粉を成
    形、焼成することを特徴とする請求項3に記載の酸化物
    永久磁石の製造方法。
  5. 【請求項5】酸化物磁性粉を、成形体密度が理論密度の
    78%以上になるように成形した後、焼成することを特
    徴とする請求項3又は4の何れかに記載の酸化物永久磁
    石の製造方法。
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