JPH09311132A - IgA腎症の診断法 - Google Patents

IgA腎症の診断法

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JPH09311132A
JPH09311132A JP14971096A JP14971096A JPH09311132A JP H09311132 A JPH09311132 A JP H09311132A JP 14971096 A JP14971096 A JP 14971096A JP 14971096 A JP14971096 A JP 14971096A JP H09311132 A JPH09311132 A JP H09311132A
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iga nephropathy
iga
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Takayuki Hiki
能之 比企
Atsushi Tanaka
淳志 田中
Joji Nishikido
條二 錦戸
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 ヒト血清の又はそれから分離したI
gA1の、IgA1分子間の結合能の差を検出する、I
gA腎症の診断法。 ヒト血清から分離調製した標識
IgA1を用いること。 IgA1分子のヒンジ部を
介したIgA1分子間の結合能の差を検出すること。 【効果】 受診者に与える精神的苦痛、腎周囲出血等の
危険性および経済的負担が少ない、IgA腎症の迅速・
簡便な新規な診断法を提供するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、IgA腎症の新規
な診断法に関するものである。より詳細に、本発明は、
ヒト血清IgA1分子間の結合能の差を検出することに
基づいて、受診者に与える精神的苦痛、腎周囲出血等の
危険性および経済的負担が少ない、IgA腎症の迅速・
簡便な新規な診断法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】IgA(イムノグロブリンA)腎症は、
1968年Bergerらにより提唱された疾患概念
で、臨床的には持続的蛋白尿、血尿以外に臨床症状に乏
しく、組織学的には糸球体メサンギウム領域にIgAを
主体とする沈着物が認められる原発性糸球体腎炎であ
る。わが国でのIgA腎症の頻度は高く、慢性腎炎の約
30%を占める。近年その長期予後は必ずしも良好では
なく、10年の経過で10〜15%、20年の経過で約
30%の患者が末期腎不全に陥ることが明らかになって
きた。このため、IgA腎症は末期腎不全に至る原因疾
患として特に注目されてきている。
【0003】現在のところ、IgA腎症の診断法として
は、腎生検による方法しかない。この診断法は、受診者
に大きな精神的苦痛を与える他、検査後に腎周囲出血等
が起こる危険性がある。さらに、腎生検検査後は24時
間以上の絶対安静が必要で、受診者に数日間の入院を強
いることになり、受診者の経済的負担も大きいのが現状
である。また、この診断法には多くの設備が必要で、診
断に長時間要するという欠点がある。従って、より簡便
な操作で、短時間に実施できるIgA腎症の診断法が望
まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、Ig
A腎症の診断法として、これまで必須とされてきた腎生
検によらない、より簡便な診断法を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】図1は、IgA1分子の
構造の概略を示す模式図である。IgA腎症の成因に関
与すると考えられるIgAとは免疫グロブリンの一種で
ある。このIgA分子は、2本の重鎖と2本の軽鎖から
成り、重鎖構造の違いからIgA1とIgA2の2つの
サブタイプに分類される。Baenzigerらは、図
1に示されるように、このIgA1分子のヒンジ部と呼
ばれる領域に、5本のO結合型糖鎖(1本がN−アセチ
ルガラクトサミンで、他の4本が2−アセトアミド−2
−デオキシ−3−O−β−ガラクトピラノシル−ガラク
トピラノース)が結合していると報告している(ジャー
ナルオブバイオロジカルケミストリー、第249巻、7
270−7281ページ、1974年)。これに対し
て、IgA2分子のヒンジ部にはO結合型糖鎖は結合し
ていない。
【0006】IgA腎症において、糸球体内に沈着する
IgAはIgA1サブタイプが主体であることから考え
て、IgA腎症患者と健常者等の非IgA腎症患者の血
清IgA1の性質に差があることを想定し、本発明者ら
は種々検討した。その結果、IgA腎症患者の血清Ig
A1は、健常者等の非IgA腎症患者の血清IgA1よ
りも、IgA1分子間の結合能が有意に増加しているこ
とを見出し、この知見はIgA腎症の診断に利用するこ
とが可能であると考え、本発明を完成するに達した。
【0007】即ち、被検者の血清、望ましくは血清から
分離したIgA1について、IgA1分子間の結合能を
測定することにより、IgA腎症の迅速な診断が可能で
ある。即ち、本発明は: ヒト血清IgA1の、IgA1分子間の結合能の差
を検出する、IgA腎症の診断法を提供する。また、 ヒト血清から分離したIgA1の、IgA1分子間
の結合能の差を検出する、IgA腎症の診断法を提供す
る。また、 ヒト血清から分離調製した標識IgA1を用いた、
IgA1分子間の結合能の差を検出する、IgA腎症の
診断法を提供する。また、 IgA1分子のヒンジ部を介したIgA1分子間の
結合能の差を検出する点にも特徴を有する。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて、IgA1分子間の結合能を調べる時に、被験者
の血清をそのまま用いることもできるが、結合能を精度
良く調べるには、血清からIgA1を分離することが望
ましい。血清からIgA1を分離する方法としては、レ
クチンの1種であるジャカリンを用いる方法、抗ヒトI
gA1を用いる方法等が知られている。
【0009】本発明において、IgA1ヒンジ部は、I
gA1重鎖のどこからどこまでのアミノ酸配列部分であ
ると明確には定義されない。図1に示されるように、I
gA1ヒンジ部とは、IgA1分子を構成する重鎖中
で、CH1ドメインとCH2ドメインとの間にある領域
を指す。この領域は、重鎖間のジスルフィド結合部分を
含み、プロリン含量が高い。なお、前述のようにBae
nzigerらは、このIgA1ヒンジ部にはO結合型
糖鎖が結合しているとを報告している。このIgA1ヒ
ンジ部の5ケ所のセリン残基にはO結合型糖鎖が結合し
ており、その糖鎖構造は、1ケ所がN−アセチルグルコ
サミンで、他の4ケ所が2−アセトアミド−2−デオキ
シ−3−O−β−ガラクトピラノシル−ガラクトピラノ
ースであると報告している(ジャーナル・オブ・バイオ
ロジカルケミストリー、第249巻、7270〜728
1頁、1974年)。
【0010】本発明において、IgA1分子を標識する
ことが、より高感度にIgA1分子間の結合能を調べる
のに望ましい。例えば、ELISA法を用いてIgA1
分子間の結合能を調べる場合に、ビオチン、パーオキシ
ダーゼ、アルカリフォスターゼ等による標識が好まし
く、また蛍光偏向法を用いる場合に、フルオレセイン等
による標識が一般的に用いられる。
【0011】更に、本発明において、IgA1分子間の
結合能の差は、非IgA腎症患者の血清IgA1分子間
の結合能を基準とすると、IgA腎症患者の血清IgA
1分子間の結合能は高い値を示す。被験者の血清IgA
1分子間の結合能を調べ、非IgA腎症患者群の血清I
gA1分子間の結合能(基準値)と比較し、この結合能
の差〔=被験者の血清IgA1分子間の結合能の値−非
IgA腎症患者の血清IgA1分子間の結合能の値(基
準値)〕に統計上有意義な差があれば陽性(IgA1腎
症)と判定し、また統計上有意義な差がなければ(殆ど
0に近い)陰性(IgA1腎症でない)と判定する。
【0012】次に、本発明においるIgA1分子間の結
合能を測定する手段としては、一般的に広く用いられて
いる酵素免疫測定(ELISA)法の他、蛍光偏向法、
表面プラズモン共鳴法等を利用することができる。 1)ELISA法を用いた場合の概略はつぎのようであ
る。Roque−Barreiraらのジャカリンを用
いる方法(ジャーナルオブイムノロジー、第134、1
740−1743ページ、1985年)で血清からIg
A1を分離し、これをプラスチック製の96穴のマイク
ロタイタープレートにコーティング(固定化)する。
【0013】適当な緩衝液で洗浄した後、結合能を高感
度に検出するのに一般的に用いられているビオチン標識
処理を行った血清、望ましくは血清から分離したIgA
1をビオチン標識したものを、IgA1をコーティング
したマイクロタイタープレートに加え反応させる。適当
な緩衝液で洗浄した後、結合したビオチン標識IgA1
のビオチンと特異的に結合する蛋白質のアビジンと酵素
である西洋ワサビペルオキシダーゼとの複合体を添加す
る。これに西洋ペルオキシダーゼによる反応を利用して
発色を生じさせるための発色剤を加え反応し、490n
mの吸光度を測定する。この吸光度の値は、IgA1分
子間の結合能が強い程、高い値となる。
【0014】例えば、非IgA腎症患者群20例の吸光
度の平均値+2×標準偏差値を越える場合を陽性、越え
ない場合を陰性とする判定基準を用いて、被検者の吸光
度の値からIgA腎症かどうかの診断を行うことが可能
である。ELISA法に限らず、上記のようにIgA1
分子間の結合能が測定できる方法は、すべてこの診断法
に用いることが可能である。
【0015】2)蛍光偏向法とは、蛍光標識した分子に
別の分子が結合し分子の大きさが変化すると蛍光偏向度
の値が変化することを測定原理とする方法である。これ
によると、IgA1分子間の結合能が測定できるのであ
り、この診断法に用いることができる。 3)表面プラズモン共鳴法とは、金属表面に接触してい
る溶液の濃度変化を光の反射角度の変化として検出する
現象を利用する方法でも、IgA1分子間の結合能が測
定可能であり、この診断法に用いることができる。
【0016】
【作用】以上の通り、本発明者らは、IgA腎症患者の
血清IgA1は、健常者等の非IgA腎症患者の血清I
gA1よりも、IgA1分子間の結合能が有意に増加し
ていることを見出した。更に、この結合がIgA1分子
のどの部位で起こっているのか特定する実験を行った。
参考例1に示したように、このIgA1分子間の結合
は、IgA1だけでなく、IgA1から分離したヒンジ
糖ペプチド、ヒンジ部を構成するアミノ酸20残基のペ
プチド断片および糖鎖でも阻害を受けることが分かっ
た。
【0017】この結果から、IgA1分子間の結合はI
gA1分子のヒンジ部を介した結合であることを明らか
にすることができた。つまり、IgA腎症患者の血清I
gA1は、健常者等の非IgA腎症患者の血清IgA1
よりも、IgA1分子ヒンジ部を介したIgA1分子間
の結合能が有意に増加していることが明らかとなった。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明するが、これらは本発明の範囲を制限するもので
ない。 (実施例1) (ビオチン標識に用いたIgA1の分離)血清5ml
を、0.15MNaCl含有の0.01Mリン酸緩衝液
(pH7.5、以下PBSと略す)で平衡化したジャカ
リンアガロース(Vector社)を充填したカラム
(1×15cm)に注入し、70mlのPBSおよび7
0mlの0.8Mグルコース含有PBSでジャカリンに
非吸着な成分を洗った後、70mlの0.1Mメリビオ
ース含有PBSで、ジャカリン吸着成分を回収した。こ
の液を透析膜(Viskase seals社製、si
ze20/32)を用いて、PBSに対して4℃で1晩
透析した後、凍結乾燥し、IgA1試料とした。
【0019】(プレートのコーティングに用いるIgA
1の分離)非IgA腎症患者血清45mlに、50%飽
和濃度になるように硫酸アンモニウムを添加し、生成す
る不溶物を遠心分離で集めた。これをPBSに溶解し、
抗ヒトIgAアフィニティーカラム(Organon
Tecknika社から購入したα鎖に特異性を有する
抗ヒトIgA抗体を、ファルマシア社のセファロース4
Bに固定化したゲルを充填したカラム)に注入し、充分
量のPBSで洗浄した後、0.1Mグリシン−塩酸緩衝
液(pH2.5)で吸着成分を溶出させた。この液をP
BSに対して透析した後、上記のビオチン標識に用いた
IgA1の分離と同様に、ジャカリンアガロースカラム
に注入し、PBSで洗浄後、0.1Mメリビオース含有
PBSで溶出する成分を、透析後凍結乾燥し、プレート
のコーティングに用いるIgA1の分離を行った。
【0020】(血清IgA1のビオチン標識)血清から
分離したIgA1のビオチン標識は以下に示す方法で行
った。血清から分離した20例のIgA腎症患者のIg
A1(IgA腎症患者群)と、20例の健常者および他
の腎疾患患者の非IgA腎症患者のIgA1(非IgA
腎症患者群)各100μgを、American Qu
alex社のビオチン標識試薬キット(コードNo.K
8000)を用いてその添付されている方法に従い、I
gA1をビオチン標識する反応を行った。その後、透析
膜(Viskase seals社製、size20/
32)を用いて、PBSに対して、4℃で1晩透析し
た。この液を、凍結乾燥し、ビオチン標識IgA1とし
た。
【0021】(ビオチン標識IgA1−IgA1間の結
合能の解析)ビオチン標識IgA1−IgA1間の結合
能をELISA法で測定した結果を以下に示す。非Ig
A腎症患者の血清から分離したIgA1を、0.015
Mの炭酸緩衝液(pH9.6)に50μg/mlの濃度
になるように溶解し、96穴マイクロタイタープレート
(A Flow General Company社製
Linbro/Titertek EIA Micr
otitration plate、cat no.7
6−381−04)の各ウェルに100μlづつ加え、
4℃で1晩、インキュベーション(静置)した。
【0022】各ウェルを200μlの0.1%ウシ血清
アルブミンおよび0.05%Tween20含有のPB
S(以下PS/BSA/Tweenと略す)で3回洗浄
を行った後、各ウェルに、1%ウシ血清アルブミン(f
raction V、Sigma社)含有PBSを20
0μlづつ加え、4℃で1晩、インキュベーションし
た。各ウェルに、IgA腎症患者群および非IgA腎症
患者群のビオチン標識IgA1を濃度が100μg/m
l−PBSになるように調製した溶液を、100μlづ
つ加え、4℃で1晩、インキュベーションした。各ウェ
ルを200μlのPBS/BSA/Tweenで12回
洗浄を行った後、PBSで500倍に希釈したAmer
sham社製のABC(Streptavidin b
iotinylated horseradishpe
roxidase complex、コードNo.RP
N1051)試薬を、各ウェルに100μlづつ加え、
室温で1時間、インキュベーションした。
【0023】各ウェルを200μlのPBS/BSA/
Tweenで6回洗浄を行った後、発色剤(オルトフェ
ニレンジアミン20mg、リン酸水素二ナトリウム12
水1.795g、クエン酸0.525g、過酸化水素1
5μlを、水50mlに溶解したもの)を、各ウェルに
100μlづつ加え、室温で1時間、インキュベーショ
ンした。BioRad社製のマイクロプレートリーダー
(Microplate reader Model4
50)を用いて、OD490nmの吸光度を測定した。
【0024】図2は、IgA腎症患者群および非IgA
患者群各20例のOD490nmの吸光度を測定し、そ
の値をプロットしたグラフである。その場合、非IgA
腎症患者群20例の平均値(0.28)+2×標準偏差
値=0.64以上の吸光度のものを陽性とした。実験の
結果、非IgA腎症患者群では、20例すべてが陰性で
あるのに対して、IgA腎症患者群では20例中、5例
が陽性となり、両2群間で、陽性率に統計学的な有意差
が確認された。
【0025】(参考例1) (IgA1ヒンジ糖ペプチドの分離)健常者血清から、
上記のビオチン標識に用いたIgA1の分離と同じ操作
で分離したIgA1を、通常の方法でS−カルボキシメ
チル化した。このS−カルボキシメチル化IgA130
mgをトリプシン(Sigma社)濃度が1mg/ml
の0.1M重炭酸アンモニウム緩衝液(pH8.0)3
mlに溶解し、37℃で一晩インキュベーションした。
【0026】このトリプシン消化液を、0.175Mト
リス−塩酸緩衝液(pH7.5)で平衡化したジャカリ
ンアガロース(Vector社)を充填したカラム(1
0ml)に注入し、60mlの0.175Mトリス−塩
酸緩衝液(pH7.5)および60mlの0.8Mグル
コース含有の同緩衝液でジャカリンに非吸着な成分を洗
った後、60mlの0.8Mガラクトース含有の同緩衝
液で、ジャカリン吸着成分を回収した。この液を濃縮し
た後、1.0M酢酸で平衡化したゲルろ過カラム(Se
phadex G−50、1.5×68cm)に注入
し、1.0M酢酸で溶出する液を1.2mlづつ分画し
た。各分画の一部をフェノール硫酸法に供し、発色する
糖ペプチドを含む分画(未切断のIgA1および単糖を
含む分画を除く)を集め、凍結乾燥し、IgA1ヒンジ
糖ペプチド試料とした。
【0027】(参考例2) (IgA1分子間結合の阻害実験)実施例1で示したI
gA1分子間の結合に、IgA1分子のどの部位が関与
しているのか調べるため、下記のものについて、IgA
1分子間の結合を阻害する作用があるかどうか調べた。
阻害作用を調べたものは、上記のIgA1ヒンジ糖ペプ
チド、IgA1(IgA腎症患者血清から上記方法で分
離したもの)、IgA2(Athens resear
ch and technology社から購入したも
の。モノクロナール)、IgG(Athens res
earch and technology社から購入
したもの。ポリクロナール)、ガラクトース(Gal、
シグマ社から購入)、
【0028】N−アセチルガラクトサミン(GalNA
c、シグマ社から購入)、N−アセチルノイラミン酸
(NANA、シグマ社から購入)、2−アセトアミド−
2−デオキシ−3−O−β−ガラクトピラノシル−ガラ
クトピラノース(Galβ1−3GalNAc、Tro
nto Research Chemicals社から
購入)、合成ヒンジペプチド(PVPSTPPTPSP
STPPTPSPS、Bio−Synthesis社か
ら購入)およびテトラペプチド(PTPS、Tront
o Research Chemicals社から購
入)である。
【0029】この阻害実験に用いたビオチン化IgA1
は、実施例1で陽性と判定されたIgA腎症患者由来の
ものを用いた。実施例1のビオチン化IgA1100μ
lに代えて200μg/ml−PBSのビオチン化Ig
A150μlと0.006μM、0.06μM、0.6
μM、6μMのIgA1ヒンジ糖ペプチド、IgA1、
IgA2、IgGのPBS溶液および0.002mM、
0.02mM、0.2mM、2mMのGal、GalN
Ac、NANA、Galβ1−3GalNAc、合成ヒ
ンジペプチド、テトラペプチドのPBS溶液50μlを
用い、その他の操作は実施例1と同様に、ELISA実
験を行った。
【0030】各阻害物質の、IgA1−IgA1分子間
結合に対する阻害率を次式を用いて計算した。 阻害率(%)=(阻害物質無添加でのOD490nm値
−各阻害物質添加時のOD490nm値)/(阻害物質
無添加でのOD490nm値)×100。 図3は、各阻害物質のIgA1分子間結合に対する阻害
率を棒グラフで示した図である。図3に示されるよう
に、阻害物質濃度3μM時のそれぞれの阻害率は、Ig
A1ヒンジ糖ペプチド=66.1%、IgA1=60.
5%、IgA2=20.3%、IgG=1.0%であっ
た。
【0031】図3によると、IgA1分子間結合に対す
る阻害作用は、IgA1ヒンジ糖ペプチドとIgA1で
認められが、IgA2の阻害作用は弱く、IgGについ
ては阻害作用が認められないことが分かった。なお、図
3中の誤差バーは3回行った実験の平均値+2×標準偏
差値の誤差範囲を示す。
【0032】図4は、図3と別の各阻害物質のIgA1
分子間結合に対する阻害率を棒グラフで示した図であ
る。図4に示されるように、阻害物質濃度1mM時のそ
れぞれの阻害率は、合成ヒンジペプチド=69.3%、
Galβ1−3GalNAc=29.4%、Gal=1
2.9%、GalNAc=14.6%、NANA=0
%、テトラペプチド=5.9%であった。図4による
と、IgA1分子間結合に対する阻害作用は、合成ヒン
ジペプチドとGalβ1−3GalNAcで認められ
が、その他のものには認められないことが分かった。な
お、図中の誤差バーは3回行った実験の平均値+2×標
準偏差値の誤差範囲を示す。
【0033】以上の結果から、IgA1分子間の結合
は、IgA1の他に、IgA1分子のヒンジ部に関連す
る、IgA1ヒンジ糖ペプチド、アミノ酸20残基の合
成ヒンジペプチドおよびヒンジ部に結合する糖鎖Gal
β1−3GalNAcで阻害を受けることから、IgA
1のヒンジ部を介した結合であることが分かった。
【0034】
【発明の効果】本発明の診断法は、これまでの腎生検に
よる診断法と比較して、受診者に与える精神的苦痛、腎
周囲出血等の危険性および経済的負担が少なく、より簡
単な操作で、短時間に診断が実施可能となるため、Ig
A腎症の迅速・簡便な診断法として適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】IgA1分子の構造の概略を示す模式図であ
る。
【図2】IgA腎症患者群および非IgA患者群各20
例のOD490nmの吸光度を測定した値をプロットし
たグラフである。
【図3】各阻害物質の、IgA1分子間結合に対する阻
害率を棒グラフで示した図である。
【図4】図3とは別の各阻害物質のIgA1分子間結合
に対する阻害率を棒グラフで示した図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒト血清IgA1の、IgA1分子間の
    結合能の差を検出することからなるを特徴とする、Ig
    A腎症の診断法。
  2. 【請求項2】 ヒト血清から分離したIgA1の、Ig
    A1分子間の結合能の差を検出することからなるを特徴
    とする、IgA腎症の診断法。
  3. 【請求項3】 ヒト血清から分離調製した標識IgA1
    を用いた、IgA1分子間の結合能の差を検出すること
    からなるを特徴とする、IgA腎症の診断法。
  4. 【請求項4】 IgA1分子のヒンジ部を介したIgA
    1分子間の結合能の差を検出することからなるを特徴と
    する、請求項1〜3のいずれかに記載のIgA腎症の診
    断法。
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Cited By (3)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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