JPH0930273A - 四輪駆動車 - Google Patents

四輪駆動車

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JPH0930273A
JPH0930273A JP18389395A JP18389395A JPH0930273A JP H0930273 A JPH0930273 A JP H0930273A JP 18389395 A JP18389395 A JP 18389395A JP 18389395 A JP18389395 A JP 18389395A JP H0930273 A JPH0930273 A JP H0930273A
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JP
Japan
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fluid pressure
wheel
motor
driven
vehicle
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Application number
JP18389395A
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English (en)
Inventor
Yorito Nakao
頼人 中尾
Kenro Takahashi
建郎 高橋
Jun Watanabe
純 渡辺
Hiroo Kitada
裕生 北田
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】簡易な構成で、四輪駆動状態となる車速領域を
システム最大許容流量や流体圧ポンプ及び流体圧モータ
の容量によって制限されることなく設定することができ
る四輪駆動車を提供する。 【構成】エンジン1の駆動力を前輪5及びピストンポン
プ6に伝達する。ポンプ6の吐出口6c及び吸込口6b
は、高圧配管8H及び低圧配管8L、前後進切換用切換
弁9を介してフリー斜板式可変容量モータ10が接続さ
れる。モータ10の回転軸10cが差動装置17を介し
て後輪19に連結される。モータ10はその斜板の傾転
角が最大容量規制機構115で規制される。この最大容
量規制機構115のステップモータ116をコントロー
ラ130で従動輪側車輪速センサ131Rで検出した車
輪速に基づいて設定車速までは斜板を最大傾転角に規制
し、設定車速を越えると最小傾転角に規制するように制
御して、四輪駆動状態の車速域を拡大する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主原動機の回転駆
動力を前輪及び後輪に伝達するようにした四輪駆動車に
係り、特に駆動力の伝達を流体圧伝動機構で行うように
した四輪駆動車に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の四輪駆動車として、従来は、例
えば特開昭63−176734号公報及び特開平1−2
23030号公報に記載されているように、前輪と連動
回転し、回転速度に応じた油圧を発生する例えばベーン
ポンプで構成される第1の油圧ポンプと、後輪と連動回
転し、回転速度に応じた油圧を発生する同様にベーンポ
ンプで構成される第2の油圧ポンプと、前記第1及び第
2の油圧ポンプの一方の吐出口と他方の吸込口とを夫々
連通する油路とを備えた構成を有するものが提案されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の四輪駆動車にあっては、油圧伝動装置を利用してい
るので、プロペラシャフトを省略して軽量化、車室内ス
ペースの確保、騒音や振動の低下等を図ることができる
が、高速走行時には前後輪が共に高速回転することによ
って、油圧ポンプの吐出流量が多くなり、これによって
配管抵抗が増大し、そのためシステムの引きずり抵抗が
増大し圧力損失が増大することにより燃費の悪化を招く
他、システムにおける油温の上昇や第2の油圧ポンプの
吸入口で作動油の吸込みが追いつかなくなり、圧力が異
常に低下することにより気泡が発生するキャビテーショ
ンを起こし易くなるという未解決の課題がある。ここ
で、流量増大時の配管抵抗を低減するには配管を大径化
すればよいが、スペースやコスト等を考えるとそれにも
限界がある。
【0004】このような高速走行時の燃費悪化を抑制す
るために、第2の油圧ポンプを可変容量化し、ある車速
以上では流量を頭打ちにさせることが考えられるが、従
来例では油圧ポンプとしてベーンポンプを採用している
関係で、揺動軸の回転方向によって吸入口と吐出口とが
反転することから、第1の油圧ポンプ及び第2の油圧ポ
ンプ間を連通する一対の流路の一方は例えば前進時には
高圧側となり、後進時には低圧側となり、他方は前進時
に低圧側となり、後進時には高圧側となって車両の進行
方向によって低圧側と高圧側とが反転することになるた
め、可変容量モータの吐出量を差圧によって検圧する場
合に、一対の流路の双方に差圧検出手段を設け、これら
を車両の進行方向に応じて選択する必要があり、構成が
複雑となると共に、前後輪の回転速度が略等しく駆動力
を伝達していない無負荷作動時には、高圧側に設けられ
た差圧検出手段が油圧ポンプの吸込みに対して抵抗とな
り、キャビテーションを起こし易くなるという新たな課
題を生じるととになる。
【0005】このため、本出願人が先に出願した特願平
6−49147号に記載したように、流体圧伝動機構を
構成する駆動側流体圧駆動手段及び従動側流体圧駆動手
段とを高圧流路及び低圧流路で連通させ、この低圧流路
に差圧検出手段を配設して、この差圧検出手段の差圧検
出値に基づいて従動側流体圧駆動手段の容量を可変制御
するようにした四輪駆動車が提案されている。
【0006】しかしながら、この先行技術でも、従動側
流体圧駆動手段の吐出流量が供給される低圧流路にオリ
フィス等で構成される差圧検出手段を介装するようにし
ているので、この差圧検出手段で従動側流体圧駆動手段
の大吐出流量を絞ることとなるため、このオリフィス通
過流量とオリフィス差圧との積に比例する流体圧動力損
失が大きくなり、燃費を悪化させる要因となると共に、
前後回転数差に対する伝達トルク特性の固体バラツキ
や、高車速域でのポンプ及びモータ間の流量差によるモ
ータの流入油路でのキャビテーション発生などの新たな
課題がある。
【0007】この新たな課題を解決するため、本出願人
は、先に特願平6−262639号に記載したように、
従動軸側の流体圧駆動手段の流体圧モータとして斜板式
可変容量モータを適用し、この斜板式可変容量モータ
を、斜板式アキシャルピストンモータの斜板を、その傾
斜角が所定の揺動軸を中心として各ピストンのストロー
ク方向に向けて揺動自在に軸支すると共に、上記揺動軸
の設定位置を、シリンダブロックと斜板との対向距離が
小さい方向にシリンダブロックの回転軸線からオフセッ
トさせて設定し、さらに斜板の傾斜角が所定の最大傾斜
角となったときに斜板に当接可能なストッパを設けた構
成とすることにより、斜板を車速に応じて電子制御する
必要がなく、しかも斜板の傾斜角を簡単な構造で自動調
整されて、流体圧モータの構造を簡素化して小型化する
と共に、信頼性を向上することができる四輪駆動車を提
案している。
【0008】しかしながら、この四輪駆動車にあって
も、モータが出力トルクを発生できるのが、モータ容量
が最大の状態で油圧が上昇したときのみであるため、ポ
ンプ流量がモータ最大傾斜角時の流量を越えた領域での
み前後輪回転数差に応じた伝達トルクを発生することに
なるため、ポンプ流量が回転数に比例して増加していく
領域を外れると四輪駆動状態に移行できなくなり、結局
四輪駆動状態となる車速領域は、油圧と共に伝達トルク
を決定する要因の1つである流体圧ポンプ及び流体圧モ
ータの容量と、システムで許容される最大流量によって
自動的に規定されてしまうという新たな課題がある。
【0009】このとき、四輪駆動状態となる車速領域を
拡大しようとすると、システムの最大流量を大きくせざ
るを得ず、このために配管サイズが大きくなったり、圧
損が大きくなって、車両への搭載性や燃費の向上要求に
対して問題となるという未解決の課題もある。さらに、
例えばマニュアルミッションで、雪路等の低摩擦係数路
での発進加速時に、第1速から第2速に変速した後に第
2速状態で再加速をしようとしたときに、非四輪駆動車
速域となっている場合には、前輪の空転感が増大し、運
転者に違和感を与えるという未解決の課題もある。
【0010】そこで、本発明は、上記従来例の課題に着
目してなされたものであり、簡易な構成で、四輪駆動状
態となる車速領域をシステム最大許容流量や流体圧ポン
プ及び流体圧モータの容量によって制限されることなく
設定することができる四輪駆動車を提供することを目的
としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明に係る四輪駆動車は、主原動機によ
り駆動される駆動車軸と、該駆動車軸に連動して回転
し、作動流体を吐出する流体圧ポンプを有する流体圧供
給手段と、従動輪の車軸に連動し且つ前記流体圧供給手
段から作動流体が供給されて回転する流体圧モータを有
する流体圧駆動手段とを備えた四輪駆動車において、車
両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、該走行状
態検出手段の走行状態検出値に基づいて前記流体圧モー
タの最大容量を規制する最大容量規制手段とを備えたこ
とを特徴としている。
【0012】この請求項1の発明においては、従動軸側
の流体圧駆動機構における流体圧モータの最大容量を、
最大容量規制手段によって、走行状態検出手段で検出す
る車速や従動輪回転速度等の走行状態検出値に基づいて
規制することにより、システム最大許容流量を増大する
ことなく四輪駆動状態となる車速領域を設定することが
可能となる。
【0013】また、請求項2の発明に係る四輪駆動車
は、請求項1の発明において、前記走行状態検出手段
は、車速を検出する車速検出手段で構成され、前記最大
容量規制手段は、車速検出手段で検出した車速が所定値
以上であるときに最大容量を小さく設定し、所定値未満
であるときに最大容量を大きく設定するように構成され
ていることを特徴としている。
【0014】この請求項2の発明においては、最大容量
規制手段で、車速検出手段手段の車速検出値が所定値以
上であるときには、流体圧モータの最大容量を小さく設
定して、従動輪側での最大出力トルクを小さい状態に保
持し、車速検出値が所定値未満であるときには、流体圧
モータの最大容量を大きく設定して、従動輪側での最大
出力トルクを大きい状態に保持し、最大伝達トルクを大
小2段階に切換えて四輪駆動状態の車速域を拡大する。
【0015】さらに請求項3の発明に係る四輪駆動車
は、請求項1の発明において、前記走行状態検出手段
は、従動車軸の回転速度を検出する従動側回転速度検出
手段で構成され、前記最大容量規制手段は、従動側回転
速度検出手段で検出した従動側回転速度が所定値以上で
あるときに最大容量を小さく設定し、所定値未満である
ときに最大容量を大きく設定するように構成されている
ことを特徴としている。
【0016】この請求項3の発明においては、最大容量
規制手段で、従動側回転速度検出手段の従動側回転速度
が所定値以上であるときには、流体圧モータの最大容量
を小さく設定して、従動輪側での最大出力トルクを小さ
い状態に保持し、従動側回転速度が所定値未満であると
きには、流体圧モータの最大容量を大きく設定して、従
動輪側での最大出力トルクを大きい状態に保持し、最大
伝達トルクを大小2段階に切換えて四輪駆動状態の車速
域を拡大する。
【0017】さらにまた、請求項4の発明に係る四輪駆
動車は、請求項1の発明において、前記走行状態検出手
段が、従動車軸の回転速度を検出する従動側回転速度検
出手段と、駆動車軸の回転速度を検出する駆動側回転速
度検出手段とで構成され、前記最大容量規制手段が、従
動側回転速度検出手段で検出した従動側回転速度が所定
値以上で且つ駆動側回転速度検出手段で検出した駆動側
回転速度が従動側回転速度より所定値以上大きくなった
ときに最大容量を小さく設定し、それ以外のときにモー
タの最大容量を大きく設定するように構成されているこ
とを特徴としている。
【0018】この請求項4の発明においては、最大容量
規制手段で、従動側回転速度検出手段で検出した従動側
回転速度が所定値以上で且つ駆動側回転速度検出手段で
検出した駆動側回転速度が従動側回転速度より所定値以
上大きくなったときに最大容量を小さく設定することに
より、従動側回転速度が所定値以上であるときに駆動輪
側でスリップを生じたときのみ最大出力トルクを小さい
状態に保持して、駆動輪のスリップによる違和感の発生
を防止する。
【0019】なおさらに、請求項5の発明に係る四輪駆
動車は、請求項1の発明において、前記走行状態検出手
段が、従動車軸の回転速度を検出する従動側回転速度検
出手段と、前記流体圧ポンプの吐出側と前記流体圧モー
タの吸込側を連通する流路の圧力を検出する圧力検出手
段とで構成され、前記最大容量規制手段が、従動側回転
速度検出手段で検出した従動側回転速度が所定値以上で
且つ前記圧力検出手段の圧力検出値が所定値以上となっ
たときに最大容量を小さく設定し、それ以外のときにモ
ータの最大容量を大きく設定するように構成されている
ことを特徴としている。
【0020】この請求項5の発明においては、最大容量
規制手段で、従動側回転速度検出手段で検出した従動側
回転速度が所定値以上で且つ圧力検出手段で検出した流
体圧ポンプの吐出側と前記流体圧モータの吸込側を連通
する流路の圧力が所定値以上となったときに最大容量を
小さく設定することにより、従動側回転速度が所定値以
上であるときに前輪側のスリップによる流体圧ポンプの
吐出圧増によって圧力検出手段の圧力が所定値以上とな
ったときのみ最大出力トルクを小さい状態に保持して、
駆動輪のスリップによる違和感の発生を防止する。
【0021】また、請求項6の発明に係る四輪駆動車
は、主原動機により駆動される駆動車軸と、該駆動車軸
に連動して回転し、作動流体を吐出する流体圧ポンプを
有する流体圧供給手段と、従動輪の車軸に連動し且つ前
記流体圧供給手段から作動流体が供給されて回転する流
体圧モータを有する流体圧駆動手段とを備えた四輪駆動
車において、車速を検出する車速検出手段と、該車速検
出手段の車速検出値と前記流体圧ポンプの吐出流量とに
基づいて前記流体圧モータの最大容量を制御する最大容
量規制手段とを備えたことを特徴としている。
【0022】この請求項6の発明においては、従動軸側
の流体圧駆動機構における流体圧モータの最大容量を、
最大容量規制手段によって、車速検出手段の車速検出値
及び吐出流量検出手段の駆動軸側の流体圧供給機構の流
体圧ポンプの吐出流量検出値に基づいて行うことによ
り、四輪駆動状態となる車速領域を流体圧ポンプ及び流
体圧モータの容量とシステム最大許容流量に制限される
ことなく設定することが可能となる。
【0023】さらに、請求項7の発明に係る四輪駆動車
は、請求項6の発明において、前記最大容量規制手段
は、流体圧モータの最大容量の規定を流体圧ポンプ及び
流体圧モータ間に発生するライン圧をパイロットピンで
調圧することにより、前記流体圧モータに形成された最
大容量規定用ストッパの位置決めを行うことを特徴とし
ている。
【0024】この請求項7の発明においては、前記最大
容量規制手段で、流体圧モータの最大容量の規定を、流
体圧ポンプ及び流体圧モータ間に発生するライン圧をパ
イロットピンで調圧し、この調整圧を流体圧モータに形
成された最大容量規定用ストッパに供給することによ
り、最大容量規定用ストッパの位置決めを行う。さらに
また、請求項8の発明に係る四輪駆動車は、請求項7の
発明において、前記パイロットピンの位置決めを、走行
状態検出値に応じて通電制御される比例ソレノイドで行
うことを特徴としている。
【0025】この請求項8の発明においては、パイロッ
トピンの位置決めを車速検出値に応じて通電制御される
比例ソレノイドで行うことにより、最大容量規定用スト
ッパの位置決めを車速に応じて正確に制御することがで
きる。なおさらに、請求項9の発明に係る四輪駆動車
は、請求項7の発明において、前記パイロットピンの位
置決めを、流体圧モータの吐出側流路に設けた絞り上流
圧とパイロットピンに装着された非線型弾性体との釣合
いによって行うことを特徴としている。
【0026】この請求項9の発明においては、パイロッ
トピンの位置決めを、流体圧モータの吐出側流路に設け
た絞り上流圧とパイロットピンに装着された非線型弾性
体との釣合いによって行うことにより、車速に比例して
流体圧モータの吐出圧が上昇することから、車速に基づ
く電子制御を行うことなく、車速に応じた最大容量規定
用ストッパの位置決めを行うことができる。
【0027】また、請求項10の発明に係る四輪駆動車
は、請求項1乃至6の発明において、前記最大容量規制
手段は、最大容量規定用ストッパの位置決めを、電動モ
ータで駆動されるネジ軸とこれに螺合するナットとで行
うことを特徴としている。この請求項10の発明におい
ては、最大容量規定用ストッパの位置決めを、電動モー
タで駆動されるネジ軸とこれに螺合するナットとで行う
ので、最大容量規定用ストッパの位置決めを高精度で行
うことができる。
【0028】
【発明の実施の形態】図1は本願発明を前輪駆動車をベ
ースとした四輪駆動車に適用した場合の第1の実施形態
を示す概略構成図である。図中、1は主原動機としての
エンジンであって、このエンジン1の回転駆動力が変速
機2を介して前輪側差動装置3に入力され、この差動装
置3の出力側に駆動車軸としての前車軸4を介して前輪
5が連結されている。
【0029】前輪側差動装置3は、ディファレンシャル
ギアケース3a内に形成されたリングギア3bが、変速
機2の出力側に連結されたギア2aに噛合されて回転駆
動される。このディファレンシャルギアケース3a内に
形成された一対のピニオンシャフト3cには、ピニオン
3dが取り付けられ、これらピニオン3dに一対のサイ
ドギア3eが噛合し、これらサイドギア3eに上記前車
軸4が連結されている。
【0030】また、ディファレンシャルギアケース3a
には、リングギア3bと並列に第2のリングギア3fが
形成されている。この第2のリングギア3fは、これに
噛合するギア3gを介して、駆動側流体圧駆動手段を構
成する流体圧ポンプとしての吸入絞り型ピストンポンプ
6の回転軸6aに連結されている。この吸入絞り型ピス
トンポンプ6の吸込口6bは、リザーバタンク7内に配
設されたストレーナ7aに連結されていると共に、第2
流路を構成する低圧配管8Lを通じて、前後進切換用の
電磁方向切換弁9のタンクポートTに接続される。ま
た、該吸入絞り型ピストンポンプ6の吐出口6cは、第
1流路を構成する高圧配管8Hを通じて、前後進切換用
の電磁方向切換弁9のポンプポートPに接続されてい
る。
【0031】ここで、上記吸入絞り型ピストンポンプ6
は、回転軸6aの回転方向によって吸込口6bと吐出口
6cとが入れ替わることがなく、その吐出流量が、例え
ば、車速が“0”から最大伝達トルクが減少し始める車
速より高い設定車速に達するまでの間では、車速の増加
に比例して比較的大きな増加率で増加し、また、上記設
定車速以上では車速の増加に比例して比較的小さな増加
率で増加するか、若しくは、高速走行状態となって四輪
駆動状態を必要としない設定車速以上では最大吐出流量
で飽和するように設定されている。
【0032】前後進切換用の電磁方向切換弁9は、入出
力ポートAが後述する流体圧モータとしてのフリー斜板
式可変容量モータ10の流入ポート10aに接続し、入
出力ポートBがフリー斜板式可変容量モータ10の流出
ポート10bに接続される。そして、ソレノイド9aが
非通電状態であるノーマル位置でポンプポートPを入出
力ポートAに、タンクポートTを入出力ポートBに夫々
連通され、ソレノイド9aが通電状態であるオフセット
位置でポンプポートPを入出力ポートBに、タンクポー
トTを入出力ポートAに夫々連通される。
【0033】すなわち、ノーマル位置で高圧配管8Hの
高圧油を斜板式可変容量モータ10の流入ポート10a
に、低圧配管8Lを流出ポート10bに連通させて回転
軸10cを前進走行時の回転方向に回転駆動し、逆にオ
フセット位置で高圧配管8Hの高圧油を可変容量モータ
10の流出ポート10a(前進時は流入ポート)に、低
圧配管8Lを流入ポート10b(前進時は流出ポート)
に連通させて回転軸10cを後進走行時の回転方向に回
転駆動する。
【0034】なお、上記電磁方向切換弁9は、斜板式可
変容量モータ10に内蔵され、出力ポートA,Bがそれ
ぞれ配管を介することなく可変容量モータ10の流出入
ポート10a及び10bに連結されている。また、電磁
方向切換弁9のソレノイド9aへの通電は、ソレノイド
9aが図示しないシフトレバーで後進を選択されたとき
にのみオン状態となるシフト位置検出スイッチ9bを介
して直流電源9cに接続されることにより、前進走行時
には非通電状態に、また、後進走行時には通電状態にそ
れぞれ制御される。
【0035】さらに、吸入絞り型ピストンポンプ6の吸
込口6bと吐出口6cとの間に、トルク制限手段として
のピストンポンプ6の吐出圧の上限を決めるリリーフ弁
11が介装されている。また、ピストンポンプ6と電磁
切換弁9との間における高圧配管8Hと低圧配管8Lと
の間が連通配管12により連通され、この連通配管12
に対して、低圧配管8L側から高圧配管8H側への流体
の流れを許容する逆止め弁13が介装されていると共
に、連通配管12と並列に配設された第2の連通配管1
4に対して、逆止め弁13と並列関係に固定オリフィス
15が接続されている。
【0036】フリー斜板式可変容量モータ10は、図2
及び図3に示すように、ポンプハウジング100に対し
て回転軸10cが回転自在に支持されている。この回転
軸10cのハウジング100内の位置に、円筒状のシリ
ンダブロック101が同軸状にセレーション嵌合されて
いる。このシリンダブロック101内には、このシリン
ダブロック101の回転方向に沿って奇数個,例えば7
個のピストン102が等間隔で配置されている。各ピス
トン102は、夫々シリンダブロック101にその軸方
向と平行な方向に摺動自在に支持されている。
【0037】また、ハウジング100内のシリンダブロ
ック101の右端面に対向する位置に、斜板103が配
設されている。この斜板103は、円板部103aと、
その上端から上方に突出する突出部103bとで構成さ
れ、その傾斜角が所定揺動軸104を中心として揺動自
在となっている。この揺動軸104は、回転軸10cの
中心軸105に対して斜板103がシリンダブロック1
01の対向面に接近する方向即ち図2で上方に所定量ε
だけオフセットして配設されている。
【0038】また、斜板103には、その円板部103
aのシリンダブロック101と対向する面にピストン1
02の右端に被冠したシュー108がシューホルダ10
9によって摺接され、このシューホルダ109がシリン
ダブロック101の内周面に配設された押圧スプリング
110によってニードル111を介して斜板103側に
押圧されている。
【0039】したがって、斜板103にピストン102
から外力が伝達されることになるが、斜板103の揺動
軸104からみて下側では、ピストンから斜板に伝達さ
れる力によって揺動軸回りに作用するモーメントが、揺
動軸104と中心軸105とを一致させた場合に比較し
て、モーメントの腕が偏心量εに応じた分だけ長くなる
ことにより大きな値となり、一方揺動軸104からみて
上側では、逆に揺動軸回りに作用するモーメントが、モ
ーメントの腕が偏心量εに応じた分だけ短くなることに
より小さな値となり、結局、斜板103は、揺動軸10
4から上側即ち突出部103側がシリンダブロック10
1に近づくように傾くことになる。
【0040】この斜板103の傾転角は、各ピストンに
よって斜板に伝達される外力が大きくなる程増加し、流
体圧モータとしての吐出容量が増加する。このピストン
102から斜板103に伝達される外力は、ピストンの
流体圧室の圧力、即ちモータに供給されるピストンポン
プ6の吐出量とモータでの吸込量との差の作動流体圧力
に比例するので、この作動流体圧力が上昇することによ
り、これに応じて自動的に斜板103の傾転角が大きく
なる。
【0041】さらに、斜板103は、付勢機構113に
よって傾転角が小さくなる方向に付勢されている。この
付勢機構113は、斜板103の突出部103bの左端
面に当接して、この斜板103の突出部103bを右方
向、即ち斜板103の傾転角を小さくする方向に押圧す
るコントロールピストン113aを有するシリンダ装置
と、このシリンダ装置の流体圧室113bに配置され、
コントロールピストン113aを斜板103側に付勢す
るコイルスプリング113cと、流体圧室113bを斜
板式可変容量モータ10内の低圧部、例えば低圧配管8
L側に接続したり大気に開放する連通管113dと、こ
の連通管113dの途中に介装されたオリフィス113
eとから構成されいる。
【0042】一方、斜板103の突出部103bとは反
対側の下端側に斜板103の最大傾転角を規制して斜板
式可変容量モータ10の最大容量を規制する最大容量規
制手段としての最大容量規制機構115が配設されてい
る。この最大容量規制機構115は、ポンプハウジング
100に内装された例えばステッピングモータで構成さ
れるステップモータ116と、このステップモータ11
6の回転軸に連結されたネジ軸117と、このネジ軸1
17に螺合され且つガイド部材によって回転不能に案内
されたボールナット118と、このボールナット118
に突出形成されて斜板103の円板部103aの右端側
に当接する係止片119と、ボールナット118に当接
して大容量位置及び小容量位置を規制するストッパー1
20L及び120Sとで構成されている。
【0043】一方、シリンダブロック101の左端面に
はハウジング100に固定されたバルブプレート121
が摺接され、このバルブプレート121と各ピストン1
02を収容するボア122との間に連通孔123が穿設
されている。バルブプレート121には、図3に示すよ
うに、連通孔123の移動軌跡に沿って左半部に流入ポ
ート10a(後進時流出ポート)が、右半部に流出ポー
ト10b(後進時流入ポート)が形成されている。
【0044】そして、最大容量規制機構115のステッ
プモータ116がコントローラ121によって駆動制御
される。なお、上記斜板式可変容量モータ10の最大固
有吐出量(最大容量規制機構115のボールナット11
8がストッパー120Lに当接している状態での固有突
出量)が、前記ピストンポンプ6の固有吐出量よりも大
きくなるように設定されている。
【0045】一方、斜板式可変容量モータ10の回転軸
10cにギア16が取り付けられ、このギア16に、後
輪側差動装置17のディファレンシャルギアケース17
aに形成されたリングギア17bが噛合されている。こ
の後輪側差動装置17は、前述した前輪側差動装置3と
略同様の構成を有し、ディファレンシャルギアケース1
7a内に一対のピニオンシャフト17cが形成され、該
一対のピニオンシャフト17cに取り付けられたピニオ
ン17dに一対のサイドギア17eが噛合している。こ
れらサイドギア17eには、後車軸18が連結され、こ
の後車軸18に後輪19が連結されている。
【0046】そして、最大容量規制機構115のステッ
プモータ116がコントローラ130によって駆動制御
される。このコントローラ130は、マイクロコンピュ
ータで構成され、図1に示すように、その入力側に従動
輪となる後輪側の回転速度に応じた車輪速パルスPR
出力する従動輪側車輪速センサ131Rが接続され、出
力側にステップモータ116が接続されている。
【0047】コントローラ130は、図4の処理を実行
して、車輪速パルスPR に基づいて従動輪側車輪速VR
を算出し、算出した従動輪側車輪速VR が予め設定した
車輪速閾値VR0以上であるか否かを判定し、VR ≧VR0
であるときには最大容量を小さい値とするようにステッ
プモータ116を、ボールナット108をストッパー1
20Sに当接する最小傾転角規制位置まで移動させる正
転駆動パルスCSP をステップモータ116に出力し、
逆にVR <VR0であるときには最大容量を大きい値とす
るようにステップモータ116を、ボールナット118
をストッパー120Lに当接する最大傾転角規制位置ま
で移動させる逆転駆動パルスCSN をステップモータ1
16に出力して、最大容量規制機構115を制御する。
【0048】次に、上記実施例の動作をコントローラ1
30の制御処理を示す図4のフローチャートを伴って説
明する。図4の制御処理は、エンジン1が回転している
状態即ちイグニッションスイッチがオン状態である間に
所定時間(例えば10msec)毎のタイマ割込処理と
して実行され、先ずステップS1で、従動輪側車輪速1
31Rの車輪速パルスP R を読込み、単位時間当たりの
車輪速パルス数を計数するか又は一のパルスが入力され
てから次のパルスが入力されるまでの経過時間を計測
し、これに基づいて従動輪側の回転速度NR を算出し、
次いでステップS2に移行して、算出した回転速度NR
にタイヤ半径を乗算して従動輪側車輪速VR を算出す
る。
【0049】次いで、ステップS3に移行して、算出し
た従動輪側車輪速VR が予め設定された設定車輪速VR0
以上であるか否かを判定し、VR ≧VR0であるときに
は、ステップS4に移行して、最大容量規制機構115
のボールナット118が最小傾転角規制位置にあること
を表せ状態フラグFが“1”にセットされているか否か
を判定し、これが“1”にセットされているときには、
ボールナット118が既に最小傾転角規制位置にあるも
のと判断してそのままタイマ割込処理を終了し、状態フ
ラグFが“0”にリセットされているとには、ステップ
S5に移行して、最大容量規制機構115の電動モータ
116に対してボールナット118をストッパー120
Lからストッパー120Sまで移動させる正転駆動パル
スCSP をステップモータ116に出力し、次いでステ
ップS6に移行して状態フラグFを“1”にセットして
からタイマ割込処理を終了する。
【0050】一方、ステップS3の判定結果がVR <V
R0であるときには、ステップS7に移行して、状態フラ
グFが“0”にリセットされているか否かを判定し、こ
れが“0”にリセットされているときには、ボールナッ
ト118が既に最大傾転角規制位置にあるものと判断し
てそのままタイマ割込処理を終了し、状態フラグFが
“1”にセットされているときには、ステップS8に移
行して、最大容量規制機構115のステップモータ11
6に対してボールナット118をストッパー120Sか
らストッパー120Lまで移動させる逆転駆動パルスC
N をステップモータ116に出力し、次いでステップ
S9に移行して状態フラグFを“0”にリセットしてか
らタイマ割込処理を終了する。
【0051】したがって、今、車両が乾燥路面等の高摩
擦係数路に停車していて、イグニッションスイッチ(図
示せず)がオフ状態にある状態からイグニッションスイ
ッチをオン状態としてエンジンを始動させると、このイ
グニッションスイッチのオン状態によってコントローラ
130に電源が投入され、これによって初期化が行われ
て、一旦電動モータ116を逆転駆動してボールナット
118をストッパー120Lに当接させて最大傾転角規
制位置に移動させ、且つ状態フラグFが“0”にリセッ
トされる。
【0052】そして、エンジン1がアイドリング状態に
ある制動状態から前進走行を開始する場合には、図示し
ないシフトレバーを前進走行状態に切り換えることによ
り、発進可能状態とすることができる。このとき、後進
走行側のシフト位置検出スイッチ9bはオフ状態を維持
するため、前後進切換用電磁方向切換弁9のソレノイド
9aは非通電状態を維持して、切換位置が図1に示すノ
ーマル位置を保持する。
【0053】この状態で、ブレーキペダルを解放してア
クセルペダルを踏むことにより、エンジン1の回転力が
変速機2を介して前輪側差動装置3に伝達され、この前
輪側差動装置3で前輪5を前進方向に回転駆動すること
により車両の前進が開始される。このとき、吸入絞り型
ピストンポンプ6の回転軸6aが回転駆動されることに
より、このピストンポンプ6から上記回転速度に応じた
吐出流量の作動油が吐出される。この吐出された作動油
は、高圧配管8H及び前後進切換用電磁方向切換弁9を
介して斜板式可変容量モータ10の流入ポート10aに
供給されるが、車両の発進により後輪19も前輪5と同
方向に且つ同一回転速度で回転駆動されるので、後輪側
差動装置17を介して斜板式可変容量モータ10の回転
軸10cが回転し、これによって流入ポート10aから
作動油が吸入され吐出される。
【0054】このとき、図4の処理が実行されたとき
に、車両が発進したばかりであるので、従動輪側車輪速
センサ131Rの車輪速パルスPR の周期が長いので、
図5の処理が実行されたときにステップS2で算出され
る従動輪側車輪速VR が設定車輪速VR0より小さな値と
なる。このため、ステップS3からステップS7に移行
して、初期化によって状態フラグが“0”にリセットさ
れているので、そのままタイマ割込処理を終了するの
で、最大容量規制機構115のボールナット118は最
大傾転角規制位置に保持される。
【0055】このとき、斜板式可変容量モータ10での
単位時間当たりの最大吐出量QM は、斜板103が最大
傾転角となったときの最大固有吐出量をVとし、回転軸
10cの回転速度、即ち従動車軸の回転速度をNR とす
ると、V×NR で示され、従動車軸の回転速度に比例し
て大きくなる。一方、ピストンポンプ6からの吐出量、
即ち斜板式可変容量モータ10に供給される流入流量Q
P も、回転軸6aの速度、即ち駆動車軸の回転速度NF
に比例した量である。
【0056】ここで、斜板式可変容量モータ10の最大
固有吐出量QMMAXはピストンポンプ6の固有吐出量Q
PMAXよりも大きく設定してあるので、上記前輪5と後輪
19が略同一回転数で回転している状態では、QP <Q
M (=V×NR )となる。従って、斜板103は最大傾
斜角よりも小さな傾斜角であるため斜板103の右下部
がボールナット118に形成された係止片119に当接
せず、時計方向及び反時計方向の何れにも揺動自在の状
態となっている。
【0057】従って、斜板103は、供給される作動油
の流量に応じた傾きに自動調整されて、該斜板式可変容
量モータ10では、ピストンポンプ6から供給された流
入流量と略同一量を吐出する。すなわち、上記状態で
は、図5で実線S1 で示すように車速に応じてピストン
ポンプ6から供給された流入流量が増加すると、斜板式
可変容量モータ10からの吐出流量もそれに追従して図
5で破線S2 で示すように増加する。
【0058】これによって、高圧配管8Hの圧力が上昇
することなく略ゼロを維持すると共に、該斜板式可変容
量モータ10は、従動車軸18,即ち後輪19に駆動ト
ルクを伝達しない。従って、車両は前輪駆動車(二輪駆
動車)と同様な状態で前進走行する。
【0059】この走行状態では、斜板式可変容量モータ
10は、ピストンポンプ6からの吐出量に追従して同量
だけ吐出するので、強制吸入が発生することがない。こ
のため、斜板式可変容量モータ10でのキャビテーショ
ン発生が回避される。また、上記斜板103の傾動変化
は車速に依存しないので、ピストンポンプ6からの吐出
量を極端に絞っても問題はない。従って、逆止め弁13
は必ずしも必要がなく、且つ、車速が高速域での循環流
量を従来よりも少なく設定できる。また、従来では必要
であった車速検知のための流量検知オリフィスが不要で
ある。このように、圧力損失が従来よりも大幅に低減可
能となり、中高速時の燃費が向上する。
【0060】また、ピストンポンプ6からの作動流体の
圧力に応じて斜板103の傾きが自動調整されること
で、ピストン102の液圧室に対して圧力に対する所定
の逃げを持たせた状態となる。このため、斜板式可変容
量モータ10のシリンダブロック101内の閉じ込め圧
が従来よりも緩和されて騒音低下に繋がる。一方、凍結
路、降雪路等の低摩擦係数路で発進する場合には、上述
したように、先ず前輪5が回転駆動されるが、低摩擦係
数路であるために駆動輪である前輪5がスリップするこ
とで、前輪5の回転数NF が後輪19の回転数NR に比
べて高い回転数となり、前輪5と後輪19との間に所定
の回転数差が生じる。
【0061】これによって、前輪5の滑りが大きくなる
ほどピストンポンプ6の単位時間当たりの吐出量が相対
的に上昇し、それに追従して斜板式可変容量モータ10
側では、同一吐出量を出力するように、斜板103の傾
転角が大きくなる方向に自動調整される。すなわち、例
えば後輪側車輪速VR が図5に示す車輪速VR1であると
したときに、前輪側車輪速VF が後輪側車輪速VR1と一
致しているときには、破線図示の特性線S2 で示すよう
に、斜板式可変容量モータ10の吐出流量QM 及びピス
トンポンプ6から吐出される吐出流量QP が共に吐出流
量Q1 で一致しているが、この状態から前輪の滑りによ
って前輪側車輪速VF が後輪側の車輪速VR1に対して増
加すると、これに応じてピストンポンプ6の吐出流量Q
P が図5の実線S1で示すように増加する。
【0062】このようにピストンポンプ6の吐出流量Q
P が増加すると、これにつれて斜板式可変容量モータ1
0の斜板103が最大傾転角側に傾転し、その吐出流量
Mが斜板103が最大傾転角に達したときの一点鎖線
3 に達する車輪速VR1での最大吐出流量QM1まで増加
する。そして、最大吐出流量QM1に達すると、斜板式可
変容量モータ10の斜板103の右下部がボールナット
118の係止片119に当接することにより、斜板式可
変容量モータ10の傾転角が最大傾転角位置に固定され
る。
【0063】さらに前輪側の滑りによる前輪側車輪速V
F が増加して後輪側の最大吐出流量QM1と一致する車輪
速VF1を越える例えば車輪速VF2となると、ピストンポ
ンプ6の吐出流量QP2が斜板式可変容量モータ10の吐
出流量QM1を越えるので、斜板式可変容量モータ10の
抵抗が負荷となって高圧配管8Hの作動油圧が上昇す
る。
【0064】このため、斜板式可変容量モータ10が、
高圧配管8Hからの供給圧力に応じた駆動トルクを発生
し、後輪側差動装置17を介して後輪19に伝達され
て、車両は四輪駆動車と同様な状態で前進走行する。こ
の後輪側に伝達されるトルクは、前後輪に所定の回転数
差が生じて始めて発生し、回転数差の増大と共に急増
し、リリーフ弁11による圧力制限によって図5で実線
1 で示す最大出力トルクTMAX に規制されることにな
る。このトルク制限作用によって、後輪側差動装置1
7、ドライブシャフト等の構成部材の強度を従来の四輪
駆動車に比べて下げることが可能となり、重量、燃費、
コストの低減を図ることができる。
【0065】その後、車両の加速状態を継続して、従動
輪側車輪速度VR が設定車輪速VR0以上となると、図5
の処理が実行されたときに、ステップS7に移行し、状
態フラグFが“0”にセットされているので、ステップ
S8に移行して正転駆動パルスCSP をステップモータ
116に出力し、次いでステップS9に移行して、状態
フラグFを“1”にセットしてからタイマ割込処理を終
了する。
【0066】このため、ステップモータ116が正転
し、これによってボールナット118が左方に移動して
ストッパー120Sに当接する最小傾転角位置に移動す
る。このボールナット118の左動に伴い、その係止片
119によって斜板103の右下部が押圧されることに
より、斜板103が最小傾転角位置に移動する。したが
って、斜板式可変容量モータ10の吐出流量QM は、図
5で一点鎖線S 3 で示すように、従動輪側車輪速VR
設定車輪速VR0に達した時点でそのときの後輪車軸18
の回転数が後輪側作動装置17を介して伝達された回転
軸10cの回転数に応じた最小流量QMminに抑制され
る。
【0067】この時点では、ピストンポンプ6の吐出流
量QP は、図5で実線S1 で示すように、飽和流量に近
い吐出流量QP3となっており、斜板式可変容量モータ1
0の吐出流量QMminより多いので、この斜板式可変容量
モータ10から出力される最大出力トルクは、図5で実
線L2 で示すように、斜板103が最大傾転角位置に固
定されている場合の実線L1 で示す最大出力トルクの半
分程度のトルクとなり、四輪駆動状態を継続することが
できる。
【0068】そして、この低トルク状態が、従動輪側車
輪速VR が、斜板103が最小傾転角位置にある状態で
の斜板式可変容量モータ10の最大吐出量QMminとピス
トンポンプ6の飽和している吐出容量QmAX とが一致す
る車輪速VR3に達するまで継続されることになり、この
低トルク状態分だけ従来例に比較して四輪駆動状態をの
車輪速域を拡大することができる。
【0069】因みに、前述した従来例では、斜板103
が最大傾転角位置に固定されているので、図5における
一点鎖線S3 で表される最大吐出流量が飽和流量QMAX
に達した時点で、最大出力トルクが図5で二点鎖線L3
で示すように“0”に急減して、四輪駆動状態を維持す
ることができなくなって二輪駆動状態に移行することに
なり、四輪駆動状態の従動輪側車輪速域が狭い範囲に規
制され、この四輪駆動状態の従動輪側車輪速域を広くす
るには、高圧配管8Hでの最大流量QMAX を増加させる
以外に方法がなかった。
【0070】また、上記構成のフリー斜板式可変容量モ
ータ10を使用する場合には、従来のように斜板103
の傾転角を車速等に基づいてアクチュエータやコントロ
ーラ等で強制制御する必要がなく、斜板103の傾きを
揺動自在とすると共に揺動軸106を偏心させるという
簡単な構造によってオン/オフ的にモータ作用を発揮す
るので、流体圧モータの低コスト化及び小型化に繋がる
と共に信頼性が向上する。
【0071】また、モータ作用でのトルク特性は、ピス
トンポンプ6のポンプ流量特性で決められるので、性能
が安定し品質向上に繋がる。なお、上記四輪駆動状態か
ら、前輪5のスリップが低減して前輪5と後輪19との
回転数差が小さくなると、ピストンポンプ6から斜板式
可変容量モータ10に供給される吐出量が小さくなり上
記二輪駆動状態に復帰する。このとき、斜板103は係
止片119に当接した最大傾斜角から、付勢機構113
によって傾斜角が小さくなる方向に付勢されるが、オリ
フィス113eによってピストン113aの動作応答性
が遅延されることにより、該斜板103の戻り動作の応
答性も遅く設定されて、四輪駆動状態から一時的に二輪
駆動状態となった場合における四輪駆動状態への立ち上
がりが早くなる。
【0072】また、上記付勢機構113によって、常
時、斜板103を小さな力で付勢している状態では、二
輪駆動状態であっても、ピストン102と斜板103の
間に常時、小さな反力が発生しているので、上記回転軸
10cに所定のトルクが伝達された状態となっている。
このため、該付勢手段113の付勢力を大きくするに応
じて、上記二輪駆動状態から四輪駆動状態への駆動トル
クの立ち上がりを早くすることができる。
【0073】次に、車両を後進させる場合には、シフト
レバーを後進位置に切り換えることにより、シフト位置
検出スイッチ9bがオン状態となるため、前後進切換用
電磁方向切換弁9のソレノイド9aが通電状態となり、
切換位置がノーマル位置からオフセット位置に切り換え
られ、これによって高圧配管8Hの作動油を斜板式可変
容量モータ10の後進時流入ポート10bに供給し、後
進時流出ポート10aから吐出される作動油を流路12
を通じて低圧配管8L側に戻すことにより、斜板式可変
容量モータ10の回転軸10cを前進走行時とは逆転さ
せて、後輪19を逆回転させる。このため、後進時にお
いても、駆動力の伝達については前進時と全く同様であ
り、前輪5がスリップし前後輪に所定の回転数差が生じ
たときのみ高圧配管8Hに圧力が発生し、駆動トルクが
後輪19に伝達される。
【0074】このとき、前輪側の吸入絞り型ピストンポ
ンプ6は、上述したように、回転方向が逆転してもポン
プの吸入口6bと吐出口6cとが入れ替わることはない
と共に、前後進切換用電磁方向切換弁9が斜板式可変容
量モータ10に内蔵されているため、高価な高耐圧配管
は高圧配管8Hに使用するだけで済むと共に、リリーフ
弁11、逆止め弁13、オリフィス15等も一方向の流
れのみに対応できるように設ければよいので、他の方式
のポンプを用いた場合に比べて油路構成を極めて簡略化
することができる。
【0075】また、前輪駆動車ベースのアンチスキッド
制御装置装着車においては、制動時に前輪5の回転数は
後輪19の回転数よりも小さくなり、ピストンポンプ6
からの斜板式可変容量モータ10への供給流量が減少す
るが、斜板103の傾きがそれに応じて自動調整されて
斜板式可変容量モータ10の吐出量もピストンポンプ6
からの供給流量と同等となり、低圧配管8L側が高圧と
なることが回避されると共に、駆動トルクを発生しない
ので、アンチスキッド制御装置との干渉を小さくするこ
とができる利点がある。
【0076】なお、上記第1の実施形態においては、最
大容量規制機構115のアクチュエータとして、ステッ
プモータ116、ネジ軸117、ボールナット118等
を適用した場合について説明したが、これに限定される
ものではなく、図6に示すように、アクチュエータとし
てポンプハウジング100に固定されたシリンダチュー
ブ140aと、このシリンダチューブ140a内に摺動
自在に配設されたピストン140bと、このピストン1
40bに一端が連結され、他端に斜板103の右下端と
当接する係止片140cが形成されたピストンロッド1
40dとを有する油圧シリンダ140を適用し、この油
圧シリンダ140をコントローラ130で制御される3
ポート2位置の電磁方向切換弁142で制御するように
してもよい。
【0077】ここで、電磁方向切換弁142は、ポンプ
ポートPが高圧配管8Hに、タンクポートTがタンク7
に、ポートAが油圧シリンダ140のピストンロッド1
40dとは反対側の圧力室140eに接続され、ソレノ
イドが非通電状態であるノーマル位置でポンプポートP
とポートAとが連通され且つタンクポートTが遮断さ
れ、ソレノイドが通電状態であるオフセット位置でポン
プポートPが遮断され且つポートAとタンクポートTと
が連通される。
【0078】そして、コントローラ130で、図7に示
すように、図4におけるステップS4〜S9の処理が省
略され、これらに代えて、ステップS3の判定結果がV
R ≧VR0であるときにソレノイドを非通電状態とするよ
うに電磁方向切換弁142に供給する励磁電流iを遮断
するステップS11と、VR <VR0であるときにソレノ
イドを通電状態とする所定値の励磁電流iを電磁方向切
換弁142に供給するステップS12とが設けられてい
ることを除いては図4と同様の処理を実行し、図4と対
応する処理には同一ステップ番号を付しその詳細説明は
これを省略する。
【0079】この変形例においても、VR <VR0である
ときには、ステップS12に移行して、電磁方向切換弁
142のソレノイドが通電状態となって、この電磁方向
切換弁142がオフセット位置となり、油圧シリンダ1
40の圧力室140eがオイルタンク7に接続されるこ
とにより、ピストンロッド140dが収縮可能な状態と
なって、係止片140cがピストン140bがシリンダ
チューブ140aの右端内壁に当接した状態で斜板10
3が最大傾転角位置に規制されるが、VR ≧V R0である
ときには、ステップS11に移行して、電磁方向切換弁
152のソレノイドが非通電状態となって、電磁方向切
換弁142がノーマル位置に復帰し、油圧シリンダ14
0の圧力室140eに高圧配管8Hの作動油が供給され
ることにより、ピストンロッド140dが伸長して係止
片140cが右方に前進し、ピストン140bがシリン
ダチューブ140aの左端内壁に当接した状態で斜板1
03が最小傾転角位置に規制される。
【0080】次に、本発明の第2の実施形態を図8及び
図9について説明する。この第2の実施形態は、前述し
た第1実施例における従動輪側車輪速VR が設定車輪速
以上となったときには自動的に斜板式可変容量ポンプ1
0の斜板103を最小傾転角位置に規制する場合に代え
て、従動輪側車輪速VR が設定車速以上で且つ駆動輪側
にスリップを生じたときにのみ斜板を最小傾転角位置に
規制するようにしたものである。
【0081】この第2の実施形態では、図8に示すよう
に、従動輪側車輪速センサ131Rに加えて前輪側の車
輪速を検出する駆動輪側車輪速センサ131Fを有し、
この駆動輪側車輪速センサ131Fから出力される車輪
速パルスPF が従動輪側車輪速センサ131Rの車輪速
パルスPR と共に、コントローラ130に入力され、こ
のコントローラ130で図4の制御処理に代えて図9の
制御処理を実行することを除いては前述した第1実施例
と同様の構成を有する。
【0082】ここで、コントローラ130における図9
の制御処理は、前述した第1実施例における図4の制御
処理において、ステップS3の判定結果がVR ≧VR0
あるときに、駆動輪側車輪速センサ131Fの車輪速パ
ルスPF を読込み、単位時間当たりの車輪速パルス数を
計数するか又は一のパルスが入力されてから次のパルス
が入力されるまでの経過時間を計測し、これに基づいて
駆動輪側の回転速度N F を算出するステップS13と、
駆動輪側回転速度NF から従動輪側回転速度N R を減算
した値(NF −NR )が予め設定した設定値ΔN0 以上
であるか否かを判定し、NF −NR ≧ΔN0 であるとき
には前記ステップS4に移行し、NF −NR <ΔN0
あるときには前記ステップS7に移行するステップS1
4とが追加されていることを除いては図4の制御処理と
同様の処理を行い、図4との対応処理には同一ステップ
番号を付してその詳細はこれを省略する。
【0083】この第2の実施形態によると、従動輪側車
輪速VR が設定車速VR0以上となった場合でも、駆動輪
側回転速度NF と従動輪側回転速度NR との差値が設定
値ΔN0 未満であるときには、駆動輪となる前輪5のス
リップが小さいものと判断して、ステップS7に移行し
斜板103を最大傾転角位置に保持することによって、
二輪駆動状態に移行させるが、駆動輪側回転速度NF
従動輪側回転速度NRとの差値が設定値ΔN0 以上であ
るときには、駆動輪側で大きなスリップを生じているも
のと判断して、ステップS4〜S6に移行し、最大容量
規制機構115のステップモータ116をボールナット
118をストッパー120Sに当接させるように正転駆
動し、斜板103の傾転角を最小傾転角位置に規制し、
これによって第1実施例と同様に、斜板式可変容量モー
タ10で低駆動トルクを発生させて、四輪駆動状態を維
持する。
【0084】このように、第2の実施形態では、駆動輪
側回転速度NF と従動輪側回転速度NR とから駆動輪と
なる前輪5のスリップ状態を検出し、従動側車輪速VR
が設定車輪速VR0以上で且つ前輪5がスリップ状態であ
るときのみ最大容量規制機構115で斜板103の傾転
角を最小傾転角位置に規制するので、実際に四輪駆動状
態を必要とする場合のみ最大容量規制機構115が駆動
されることになり、その駆動頻度を低減して、耐久性を
向上させることができる。
【0085】次に、本発明の第3の実施形態を図10に
ついて説明する。この第3の実施形態では、前述した第
2の実施形態における駆動輪側回転速度NF 及び従動輪
側回転速度NR の回転速度差に基づいてスリップ判断す
る場合に代えて、駆動輪側回転速度NF 及び従動輪側回
転速度NR に基づいて駆動輪側スリップ率αF を算出
し、従動輪側車輪速VR が設定車速以上で且つ駆動輪側
スリップ率αF が設定スリップ率αF0以上であるときに
のみ斜板を最小傾転角位置に規制するようにしたもので
ある。
【0086】すなわち、第3の実施形態は、構成的に第
2の実施形態における図8と同様の構成を有するが、コ
ントローラ130での制御処理が、図10に示すよう
に、図9におけるステップS14の処理が省略され、こ
れに代えて、駆動輪側回転速度NF 及び従動輪側回転速
度NR をもとに下記(1)の演算を行って駆動輪側スリ
ップ率αF を算出するステップS15と、算出された駆
動輪側スリップ率αF が予め設定された設定スリップ率
αF0以上であるか否かを判定し、αF ≧αF0であるとき
にステップS4に移行し、αF <αF0であるときにステ
ップS7に移行するステップS16とが追加されている
ことを除いては前述した図10の処理と同様の処理を行
い図10との対応処理には同一ステップ番号を付してそ
の詳細説明はこれを省略する。
【0087】 αF =(NF −NR )/NR …………(1) この第3の実施形態によると、従動輪側車輪速VR が設
定車輪速VR0以上となった状態で、駆動輪となる前輪5
の駆動輪側スリップ率αF が設定スリップ率α F0未満で
あるときには、前輪5のスリップが小さいものと判断し
て、ステップS7に移行し斜板103を最大傾転角位置
に保持することによって、二輪駆動状態に移行させる
が、駆動輪側スリップ率αF が設定スリップ率αF 以上
であるときには、駆動輪側で大きなスリップを生じてい
るものと判断して、ステップS4〜S6に移行し、最大
容量規制機構115のステップモータ116をボールナ
ット118をストッパー120Sに当接させるように正
転駆動し、斜板103の傾転角を最小傾転角位置に規制
し、これによって第2実施例と同様に、斜板式可変容量
モータ10で低駆動トルクを発生させて、四輪駆動状態
を維持する。
【0088】このように、第3の実施形態では、駆動輪
側回転速度NF と従動輪側回転速度NR とから駆動輪と
なる前輪5のスリップ率αF を検出し、従動側車輪速V
R が設定車輪速VR0以上で且つ駆動輪側スリップ率αF
が設定スリップ率αF0以上であるときのみ最大容量規制
機構115で斜板103の傾転角を最小傾転角位置に規
制するので、実際に四輪駆動状態を必要とする場合のみ
最大容量規制機構115が駆動されることになり、その
駆動頻度を低減して、耐久性を向上させることができ
る。
【0089】次に、本発明の第4の実施形態を図11及
び図12について説明する。この第4の実施形態は、前
述した第2及び第3の実施形態のように駆動輪側のスリ
ップ状態を駆動輪側回転速度NF 及び従動輪側回転速度
R をもとに検出する場合に代えて、高圧配管8Hの圧
力を検出することにより、駆動輪側のスリップ状態を検
出するようにしたものである。
【0090】すなわち、第4の実施形態では、図11に
示すように、第2の実施形態における図8において、駆
動輪側車輪速センサ131Fが省略され、これに代えて
高圧配管8Hに接続された圧力センサ150の圧力検出
値PH がコントローラ130に入力された構成を有する
と共に、コントローラ130で実行される制御処理が、
図12に示すように、第2の実施形態における図9の処
理において、ステップS13及びステップS14が省略
され、これらに代えて、圧力センサ150の圧力検出値
H を読込むステップS21及び読込んだ圧力検出値P
H が予め設定された設定圧力PH0以上であるか否かを判
定し、PH ≧PH0であるときにステップS4に移行し
て、PH <PH0であるときステップS7に移行するステ
ップS22が設けられていることを除いては図9と同様
の処理を実行し、図9との対応する処理には同一ステッ
プ番号を付してその詳細説明はこれを省略する。
【0091】この第4の実施形態によると、駆動輪とな
る前輪5にスリップを生じて、ピストンポンプ6の吐出
流量QP が増加し、これが斜板式可変容量モータ10の
吸込流量QM 以上となると、高圧配管8Hの圧力が上昇
することになるので、従動輪側車輪速VR が設定車輪速
R0以上となった状態で、圧力センサ150の圧力検出
値PH が設定圧力PH0未満であるときには、駆動輪とな
る前輪5のスリップが小さいものと判断して、ステップ
S7に移行し斜板103を最大傾転角位置に保持するこ
とによって、二輪駆動状態に移行させるが、圧力センサ
150の圧力検出値PH が設定圧力PH0以上であるとき
には、駆動輪側で大きなスリップを生じているものと判
断して、ステップS4〜S6に移行し、最大容量規制機
構115のステップモータ116をボールナット118
をストッパー120Sに当接させるように正転駆動し、
斜板103の傾転角を最小傾転角位置に規制し、これに
よって第2実施例と同様に、斜板式可変容量モータ10
で低駆動トルクを発生させて、四輪駆動状態を維持す
る。
【0092】このように、第4の実施形態では、高圧配
管8Hの圧力を圧力センサ150で検出することによ
り、駆動輪となる前輪5のスリップ状態を検出し、従動
側車輪速VR が設定車輪速VR0以上で且つ圧力検出値P
H が設定圧力PH0以上であるときのみ最大容量規制機構
115で斜板103の傾転角を最小傾転角位置に規制す
るので、実際に四輪駆動状態を必要とする場合のみ最大
容量規制機構115が駆動されることになり、その駆動
頻度を低減して、耐久性を向上させることができる。
【0093】なお、上記第2〜第4の実施形態において
も、前述した第1の実施形態と同様に、アクチュエータ
としてステップモータ116等に代えて油圧シリンダ1
40を適用することができる。次に、本発明における第
5の実施形態を図13〜図20について説明する。この
第5の実施形態は、前述した第1〜第4の実施形態とは
異なり、車速とピストンポンプ6の吐出容量とに基づい
て斜板式可変容量ポンプの最大容量を規制するようにし
たものである。
【0094】この第5の実施形態では、斜板式可変容量
モータ10が、図13に示すように、前述した第1の実
施形態における図2の構成における付勢機構113及び
最大容量規制機構115の構成が変更されていると共
に、コントローラ130での制御処理が図14に示すよ
うに変更されている。すなわち、斜板式可変容量モータ
10は、斜板103のシリンダブロック101より上方
側の左端面とこれと対向するポンプハウジング100と
の間に介装された付勢機構113を構成する押圧スプリ
ング201が配設され、且つこの押圧スプリング201
の上方位置に斜板103の最大傾斜角即ち可変容量モー
タ10の最大吐出流量を規定する最大容量規定機構11
5が配設されている。
【0095】この最大容量規定機構115は、ポンプハ
ウジング100に穿設されたシリンダ室202a内に摺
動自在に配設された後端側に開口する挿通穴202bを
形成した最大容量規制用ストッパー202cで構成さ
れ、シリンダ室202aの左端面とストッパー202c
の後端面とで形成される圧力室202dが前述した前後
方向切換弁9のポンプポートPに供給される高圧配管8
Hの圧力がオリフィス202eを介して供給されている
と共に、挿通穴202bがドレン用連通孔202fを介
してストッパー202cの頭部からポンプハウジング1
00内に連通されている。
【0096】そして、ポンプハウジング100のシリン
ダ室202aと対向する後端側に、ピストン202cの
位置決めを行うパイロットピン203がストッパー20
2cの挿通孔202bに対向して摺動自在に保持され、
このパイロットピン203がコントローラ130からの
制御電流が供給される電磁比例ソレノイド204によっ
て進退制御される。
【0097】ここで、電磁比例ソレノイド204に通電
される制御電流値iC と斜板式可変容量モータ10の最
大吐出量QMAX とは、図15に示すように、制御電流値
Cが“0”であるとき即ちパイロットピン203に対
する付勢力が無いときには斜板103によってストッパ
ー202cが左方に押圧されたときに、パイロットピン
203が最後退位置となるまで圧力室202dの圧力が
上昇しないので、斜板103が最大傾転角位置まで傾転
可能となり、最大吐出量QMAX は最大値をとるが、この
状態から制御電流値iC が増加すると、これに反比例し
て最大吐出量Q MAX が減少する。
【0098】コントローラ130は、例えばマイクロコ
ンピュータで構成され、図13に示すように、従動輪と
なる後輪側の車輪速を車速として検出する車速センサ2
05で検出された車速検出値Vが入力され、この車速検
出値Vをもとに予め設定された図16に示す制御マップ
を参照して電磁比例ソレノイド204に対する制御電流
値iC を算出し、これを電磁比例ソレノイド204に出
力する。
【0099】ここで、制御マップは、図16に示すよう
に、車速検出値Vが第1設定値VS1に達する迄の間は制
御電流iC が零に設定され、車速検出値Vが第1設定値
S1を越えると車速検出値Vの増加に応じて所定の傾き
で制御電流iC が増加し、第1設定値VS1により大きい
第2設定値VS2以上となると、制御電流iC が一定電流
値となるように設定されている。
【0100】そして、コントローラ130で、図14に
示す制御処理がタイマ割込処理として実行される。この
制御処理は、先ずステップS31で、車速センサ205
の車速検出値Vを読込み、次いでステップS32に移行
して読込んだ車速検出値Vをもとに図16の制御マップ
を参照して制御電流iC を算出し、次いでステップS3
3に移行して、算出した制御電流iC を電磁比例ソレノ
イド204に出力してからタイマ割込処理を終了して所
定のメインプログラムに復帰する。
【0101】次に、上記第5の実施形態の動作を説明す
る。今、車両が停車状態にあるときには、車速センサ2
05の車速検出値Vが“0”であるので、斜板式可変容
量モータ10の単位回転数当たりの最大吐出量Q
MAX は、図17に示すように、最大値となっている
が、,車両が停車状態であるので、ピストンポンプ6及
び可変容量モータ10の吐出量QP 及びQM は共に
“0”となっている。
【0102】この状態から車両が駆動輪となる前輪5が
大きなスリップを伴うことなく前進走行を開始したとき
には、駆動輪となる前輪5と従動輪となる後輪19との
車輪速差が殆どなく、同一車輪速ではピストンポンプ6
の吐出量QP が図18で実線図示のように破線図示の可
変容量ポンプ10の最大吐出流量QMmaxより小さくなる
ように設定されているので、高圧配管8Hの圧力は低い
状態を維持し、可変容量ポンプ10側への伝達トルクは
“0”の状態を維持する。
【0103】ところが、低摩擦係数路で発進時や急加速
時には、駆動輪となる前輪5に大きなスリップが発生す
るので、これによって前輪5の車輪速VF が後輪19の
車輪速VR 以上となって、ピストンポンプ6の吐出流量
P が可変容量モータ10の吐出流量QM を越える状態
となると、高圧配管8Hの圧力が上昇することになり、
これに応じて圧力室202dの圧力も上昇しようとする
が、パイロットピン203が最大後退位置にあるため、
ストッパー202cが僅かに右方に移動したときに、パ
イロットピン203とストッパー202cの挿通孔20
2bの開口部とで形成されるオリフィスの開口面積が広
くなって、圧力室202dの圧力上昇が抑制され、結局
斜板103は最大傾転角位置まで傾転可能な状態を維持
し、可変容量ポンプ10の最大吐出量QMmaxは図18で
破線図示のようにピストンポンプ6の吐出流量QP より
多い状態を維持する。
【0104】そして、斜板103が最大傾転角位置にあ
る可変容量モータ10の最大吐出流量QMmaxに対して、
ピストンポンプ6の吐出流量QP が越えると、可変容量
モータ10でその吐出流量差に応じた伝達トルクが発生
され、これによって従動輪となる後輪19が回転駆動さ
れて四輪駆動状態に移行する。このときの最大伝達トル
クは図19に示すように大きな値となる。
【0105】その後、車両が加速を継続して、車速セン
サ205の車速検出値Vが第1設定値VS1を越えると、
これに応じてコントローラ130から出力される制御電
流指令値IC が増加し、これに応じて、ソレノイド駆動
回路207から出力される制御電流値iC が増加するこ
とにより、電磁比例ソレノイド204で制御電流値i C
に応じたパイロットピン203を右方に付勢する推力が
発生し、これに応じてストッパー202cが右動して斜
板103の傾転角が徐々に小さくなるように規制され
る。
【0106】このように斜板103の傾転角が小さくな
ることにより、可変容量モータ10の単位回転数当たり
の最大吐出量QMmaxが図17に示すように徐々に低下
し、これに応じて可変容量モータ10の最大吐出量の増
加率は、図18で破線図示のように車輪速VS1を越えた
時点で小さくなって、ピストンポンプ6の吐出量の増加
率と略等しくなる。
【0107】そして、可変容量モータ10の最大吐出量
Mmaxが減少することにより、最大伝達トルクは図19
に示すように、車速検出値Vが第1設定車速VS1を越え
ると急激に低下した後緩やかに低下し、車速検出値Vが
第2設定車速VS2に達すると、可変容量モータの吐出流
量がピストンポンプ6の最大流量QPmaxを越えることに
なって、伝達トルクを発生できなくなり、最大伝達トル
クが零となって二輪駆動状態となる。
【0108】なお、斜板式可変容量モータ10は、その
吐出流量が多い状態で、例えば駆動輪となる前輪5のス
リップが小さくなることによりピストンポンプ6の吐出
流量QP が減少したときには、この吐出流量QP の減少
によって高圧配管8Hの圧力も減少することになり、こ
れに応じて斜板103の揺動軸106より下側に摺接す
るピストン102の推力が低下することにより、押圧ス
プリング201の付勢力によって斜板103が自動的に
流入流量と回転軸10cの回転数に応じた傾転角となっ
て、吸込流量が低下するので、可変容量モータ10への
供給流量不足によるキャビテーション発生等の不具合を
生ずるおそれはない。
【0109】因みに、従来例のように、斜板103の傾
転角の規制を行わない場合には、可変容量モータ10の
斜板103が常に最大傾転角位置に規制されることによ
り、可変容量モータ10の吐出流量は、図18で一点鎖
線図示のように第1設定車速VS1を越えてもそのまま増
加することになるが、ピストンポンプ6の吐出流量Q P
が図18で実線図示のように、第1設定車速VS1に達し
た後は、車速の増加に対する吐出流量の増加率が小さく
なるため、ピストンポンプ6の吐出流量QP に対して可
変容量モータ10の最大吐出流量QMmaxが十分に大きく
なって、QP >QMMAXとなることがなくなり、最大伝達
トルクは図19で一線鎖線L5 で示すように、第1設定
車速VS1で急激に“0”となって、四輪駆動状態を維持
することができなくなる。
【0110】このように、上記第5の実施形態による
と、車速検出値Vに応じて最大容量規制機構115のス
トッパー202cの突出量を制御することにより、可変
容量モータ10の斜板103の傾転角を第1設定車速V
S1を越えると車速の増加に応じて徐々に小さくすること
により、可変容量モータ10の最大容量を規制して、四
輪駆動状態となる車速域をポンプ・モータ容量とシステ
ム最大許容流量によって制限されることなく設定するこ
とができる。
【0111】なお、図19に示す最大伝達トルク特性
は、図16に示す制御マップの特性を変更することによ
り、所望の特性に設定することができる。また、上記第
5の実施形態においては、ストッパー202cの突出量
制御を油圧式で行う場合について説明したが、これに限
定されるものではなく、図20に示すように、パイロッ
トピン203及び電磁比例ソレノイド204に代えて、
ストッパー202cを摺動可能で且つ回転不能に案内す
ると共に、その後端側に雌ねじ208を形成し、この雌
ねじ208にポンプハウジング100に固定したステッ
プモータ209の回転軸に連接したネジ軸210を螺合
させ、ステップモータ209を、コントローラ130
で、車速検出値Vに応じて図21に示す制御マップに従
ってピストン202cを車速検出値Vが第1設定車速V
S1未満では斜板103を最大傾転角規制位置θMAX で規
制する最小突出量に制御し、この第1設定車速VS1から
第2設定車速VS2までの間では車速検出値Vの増加に応
じて斜板103の傾転を規制する角度が徐々に小さくな
るように突出量が徐々に大きくなるように制御し、第2
設定車速VS2以上では斜板103を最小傾転角規制位置
θ MIN で規制する最大突出量に制御するようにしても、
上記第5の実施形態と全く同様の作用効果を得ることが
できる。
【0112】次に、本発明の第6の実施形態を図22及
び図23について説明する。この第6の実施形態は、上
記第5の実施形態において、車速センサ205を設ける
ことなく車速を斜板式可変容量ポンプ10の吐出流量か
ら間接的に検出して、コントローラを使用することなく
制御するようにしたものである。すなわち、第6の実施
形態は、図24に示すように、第5の実施形態における
図13におけるコントローラ130、オリフィス202
e、電磁比例ソレノイド204、車速センサ205、D
/A変換器206及びソレノイド駆動回路207が省略
され、これらに代えて、パイロットピン203がポンプ
ハウジング100に形成された付勢シリンダ220のピ
ストンロッドとして構成され、付勢シリンダ220の圧
力室220aに電磁方向切換弁9のタンクポートTの出
側における低圧配管8Lに介挿された車速検出手段とし
ての差圧検出用オリフィス221で検出される可変容量
モータ10の車速に応じた吐出流量に基づく差圧が供給
されていることを除いては図13と同様の構成を有し、
対応部分には同一符号を付しその詳細説明はこれを省略
する。
【0113】ここで、付勢シリンダ220は、ポンプハ
ウジング100内にストッパー202cに対向する左端
側から穿設された円筒内面を有する挿通孔220bと、
その開口端を閉塞する端板220cと、挿通孔220b
内に配設された圧力室220aを画成し且つパイロット
ピン203を連接したピストン220dと、このピスト
ン220dと挿通孔220bの右端面との間で且つパイ
ロットピン203の回りに介挿されたリターンスプリン
グ220eとで構成されている。
【0114】そして、リターンスプリング220eのバ
ネ特性が、差圧検出用オリフィス221で発生する差圧
ΔPが図23で破線図示の特性曲線L11で示すように非
線形となるので、この非線形特性に合わせた非線形バネ
特性に選定されている。したがって、車速が第1設定車
速VS1に達するまでの間では差圧検出用オリフィス22
1で発生する差圧が圧力室220aに供給されても、こ
れによって発生する推力がリターンスプリング220e
の付勢力と等しいか又は小さくなり、ピストン220d
が端板220cに近接した位置となり、車速Vが第1設
定車速以上となると、車速の増加に応じてピストン22
0dが徐々に右動し、第2設定車速VS2に達すると右動
が停止され、結局斜板103の傾転角が図23の特性線
12で示すように、車速が第1設定車速VS1に達するま
での間は、最大傾転角位置に規制され、第1設定車速V
S1から第2設定車速VS2までの間で車速の増加に応じて
傾転角規制位置が徐々に小さくなり、第2設定車速VS2
以上で最小傾転角位置に規制される。
【0115】この第6の実施形態によっても、車速の増
加によって可変容量モータ10の傾転角の規制位置が最
大傾転角位置から最小傾転角位置まで変更されることに
なり前述した第5の実施形態と全く同様の作用効果をコ
ントローラによる電子制御を行うことなく得ることがで
きる。なお、上記第1〜第6の実施形態においては、伝
達トルク制限手段としてリリーフ弁11を適用した場合
について説明したが、これに限定されるものではなく、
ピストンポンプ6の吐出圧を容量制御圧として入力し、
これに応じてピストンポンプ6の吸入口側の吸入通路の
開度を吐出圧が所定圧以上となったときに小さく制御す
る吸入絞り弁を設けるようにしてもよい。この場合に
は、ポンプ吐出流量が規定の圧力以上となるとポンプ吸
入量が減少することにより、ポンプ吐出圧が減少してト
ルク制限を行うことができ、これと同時に、リリーフ弁
11を用いた場合には連続高負荷使用時の油温上昇を生
じるが、吸入絞り弁を設けた場合には、吐出流量が減少
することから発熱の抑制を図ることができる。
【0116】また、上記第1〜第6の実施形態において
は、後輪側差動装置17を設けた場合について説明した
が、これに限定されるものではなく、後輪側差動装置1
7を省略し、これに代えて左右後輪19の左右車軸へ個
別に斜板式可変容量モータ10を設けるように構成して
もよく、この場合には、車両旋回時の際などにおける左
右輪で異なる負荷となる場合には、各斜板式可変容量モ
ータ10で自然にその差に応じた吐出流量差を生じるこ
とから差動装置と同等の差動機能を発揮することがき
る。この場合、2個の斜板式可変容量モータ10が必要
となるが、上記実施形態における斜板式可変容量モータ
10は、従来に比べて小型化可能であるので搭載スペー
ス的に有利となっている。
【0117】さらに、上記第1〜第6の実施形態におい
ては、流体圧ポンプとして、回転軸の回転方向にかかわ
らず吸込口6bと吐出口6cとが変化しない吸入絞り型
ピストンポンプ6を適用した場合について説明したが、
これに限定されるものではなく、回転軸がギアに連結さ
れたポンプの吸込口6b及び吐出口6cにそれぞれポン
プポート及びタンクポートを接続し、出力ポートを高圧
配管に接続した前後進切換用電磁方向切換弁9と同様の
前後進切換用電磁方向切換弁を設けるようにすれば、前
後進で吐出方向が切り換わるギアポンプやベーンポンプ
等の他の油圧ポンプを適用することができ、この場合の
油圧ポンプとしては固定容量式でもよいし、低圧配管8
Lに介挿された差圧発生用オリフィスによって前後差圧
が入力される油圧シリンダを含む可変機構を備えた可変
容量式であってもよい。
【0118】さらにまた、上記第1〜第6の実施形態に
おいては、前輪駆動車をベースとした実施例について説
明したが、これに限定されず後輪駆動車をベースとした
場合にも、流体圧ポンプを後輪側に、斜板式可変容量モ
ータ10を前輪側に配置することで、上記各実施形態と
同様な作用効果を得ることができる。
【0119】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1に係
る四輪駆動車によれば、従動軸側の流体圧駆動機構にお
ける流体圧モータの最大容量を、最大容量規制手段によ
って、走行状態検出手段で検出する車速や従動輪回転速
度等の走行状態検出値に基づいて規制することにより、
システム最大許容流量を増大することなく四輪駆動状態
となる車速領域を設定することが可能となるという効果
が得られる。
【0120】請求項2に係る四輪駆動車によれば、最大
容量規制手段で、車速検出手段手段の車速検出値が所定
値以上であるときに、流体圧モータの最大容量を小さく
設定して、従動輪側での最大出力トルクを小さい状態に
保持し、車速検出値が所定値未満であるときに、流体圧
モータの最大容量を大きく設定して、従動輪側での最大
出力トルクを大きい状態に保持し、最大伝達トルクを大
小2段階に切換えて四輪駆動状態の車速域を拡大するこ
とができるという効果が得られる。
【0121】請求項3に係る四輪駆動車によれば、最大
容量規制手段で、従動側回転速度検出手段の従動側回転
速度が所定値以上であるときには、流体圧モータの最大
容量を小さく設定して、従動輪側での最大出力トルクを
小さい状態に保持し、従動側回転速度が所定値未満であ
るときには、流体圧モータの最大容量を大きく設定し
て、従動輪側での最大出力トルクを大きい状態に保持
し、最大伝達トルクを大小2段階に切換えて四輪駆動状
態の車速域を拡大することができるという効果が得られ
る。
【0122】請求項4に係る四輪駆動車によれば、最大
容量規制手段で、従動側回転速度検出手段で検出した従
動側回転速度が所定値以上で且つ駆動側回転速度検出手
段で検出した駆動側回転速度が従動側回転速度より所定
値以上大きくなったときに最大容量を小さく設定するこ
とにより、従動側回転速度が所定値以上であるときに駆
動輪側でスリップを生じたときのみ最大出力トルクを小
さい状態に保持して、最大容量規制手段の作動頻度を低
下させながら駆動輪のスリップによる違和感の発生を防
止することができるという効果が得られる。
【0123】請求項5に係る四輪駆動車によれば、最大
容量規制手段で、従動側回転速度検出手段で検出した従
動側回転速度が所定値以上で且つ圧力検出手段で検出し
た流体圧ポンプの吐出側と前記流体圧モータの吸込側を
連通する流路の圧力が所定値以上となったときに最大容
量を小さく設定することにより、従動側回転速度が所定
値以上であるときに前輪側のスリップによる流体圧ポン
プの吐出圧増によって圧力検出手段の圧力が所定値以上
となったときのみ最大出力トルクを小さい状態に保持し
て、最大容量規制手段の作動頻度を低下させながら駆動
輪のスリップによる違和感の発生を防止することができ
るという効果が得られる。
【0124】請求項6に係る四輪駆動車によれば、従動
軸側の流体圧駆動機構における流体圧モータの最大容量
を、最大容量規制手段によって、車速検出手段の車速検
出値及び吐出流量検出手段の駆動軸側の流体圧供給機構
の流体圧ポンプの吐出流量検出値に基づいて行うことに
より、四輪駆動状態となる車速領域を流体圧ポンプ及び
流体圧モータの容量とシステム最大許容流量に制限され
ることなく設定することが可能となるという効果が得ら
れる。
【0125】請求項7に係る四輪駆動車によれば、前記
最大容量規制手段で、流体圧モータの最大容量の規定
を、流体圧ポンプ及び流体圧モータ間に発生するライン
圧をパイロットピンで調圧し、この調整圧を流体圧モー
タに形成された最大容量規定用ストッパに供給すること
により、最大容量規定用ストッパの位置決めを行うの
で、四輪駆動状態となる車速領域の設定が可能となると
いう効果が得られる。
【0126】請求項8に係る四輪駆動車によれば、パイ
ロットピンの位置決めを車速検出値に応じて通電制御さ
れる比例ソレノイドで行うことにより、最大容量規定用
ストッパの位置決めを車速に応じて正確に制御すること
ができるという効果が得られる。請求項9に係る四輪駆
動車によれば、パイロットピンの位置決めを、流体圧モ
ータの吐出側流路に設けた絞り上流圧とパイロットピン
に装着された非線型弾性体との釣合いによって行うこと
により、車速に比例して流体圧モータの吐出圧が上昇す
ることから、車速に基づく電子制御を行うことなく、車
速に応じた最大容量規定用ストッパの位置決めを行うこ
とができるという効果が得られる。
【0127】請求項10に係る四輪駆動車によれば、最
大容量規定用ストッパの位置決めを、電動モータで駆動
されるネジ軸とこれに螺合するナットとで行うので、最
大容量規定用ストッパの位置決めを高精度で行うことが
できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における第1の実施形態を示す四輪駆動
車の概略構成図である。
【図2】第1の実施形態に適用し得るフリー斜板式可変
容量モータを示す断面図である。
【図3】図2のフリー斜板式可変容量モータの機構を示
す模式図である。
【図4】第1の実施形態におけるコントローラの制御処
理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施形態のピストンポンプ及び斜板式可
変容量モータにおける車輪速と吐出流量及び最大出力ト
ルクとの関係を示す図である。
【図6】第1の実施形態における制御系の変形例を示す
ブロック図である。
【図7】図7の変形例におけるコントローラの制御処理
手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明における第2の実施形態を示す制御系の
ブロック図である。
【図9】第2の実施形態におけるコントローラの制御処
理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】本発明における第3の実施形態を示すコント
ローラの制御処理手順の一例を示すフローチャートであ
る。
【図11】本発明における第4の実施形態を示す制御系
のブロック図である。
【図12】第4の実施形態におけるコントローラの制御
処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】本発明における第5の実施形態を示す概略構
成図である。
【図14】第5の実施形態におけるコントローラの制御
処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図15】第5の実施例に適用し得る電磁比例ソレノイ
ドに対する制御電流値とモータ最大吐出流量との関係を
示す特性線図である。
【図16】第5の実施形態における車速検出値と電磁比
例ソレノイドに対する制御電流値との関係を示す特性線
図である。
【図17】第5の実施形態における車速検出値とモータ
最大吐出流量との関係を示す特性線図である。
【図18】第5の実施形態における車速検出値とピスト
ンポンプ及び斜板式可変容量ポンプの吐出流量との関係
を示す特性線図である。
【図19】第5の実施形態における車速検出値と最大伝
達トルクとの関係を示す特性線図である。
【図20】第5の実施形態の変形例を示す概略構成図で
ある。
【図21】図20の変形例における車速検出値と傾転角
規制位置との関係を示す特性線図である。
【図22】本発明における第6の実施形態を示す概略構
成図である。
【図23】第6の実施形態における車速検出値とポンプ
流量、オリフィス差圧及び斜板傾転角との関係を示す特
性線図である。
【符号の説明】
1 エンジン 2 変速機 3 前輪側差動装置 4 駆動車軸 5 前輪(駆動輪) 6 吸込絞り型ピストンポンプ 8H 高圧配管 8L 低圧配管 9 前後進切換用電磁方向切換弁 10 フリー斜板式可変容量モータ 10c 回転軸 17 後輪側差動装置 18 従動車軸 19 後輪(従動輪) 101 シリンダブロック 102 ピストン 103 斜板 113 付勢機構 115 最大容量規制機構 116 ステップモータ 117 ネジ軸 118 ボールナット 119 係止片 120S,120L ストッパー 130 コントローラ 131R 従動輪側車輪速センサ 132 モータ駆動回路 140 油圧シリンダ 141 ソレノイド駆動回路 142 電磁方向切換弁 131F 駆動輪側車輪速センサ 150 圧力センサ 201 押圧スプリング 202c 最大容量規制用ストッパー 203 パイロットピン 204 電磁比例ソレノイド 205 車速センサ 208 雌ねじ 209 ステップモータ 210 ネジ軸 220 付勢シリンダ 221 差圧検出用オリフィス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北田 裕生 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主原動機により駆動される駆動車軸と、
    該駆動車軸に連動して回転し、作動流体を吐出する流体
    圧ポンプを有する流体圧供給手段と、従動輪の車軸に連
    動し且つ前記流体圧供給手段から作動流体が供給されて
    回転する流体圧モータを有する流体圧駆動手段とを備え
    た四輪駆動車において、車両の走行状態を検出する走行
    状態検出手段と、該走行状態検出手段の走行状態検出値
    に基づいて前記流体圧モータの最大容量を規制する最大
    容量規制手段とを備えたことを特徴とする四輪駆動車。
  2. 【請求項2】 前記走行状態検出手段は、車速を検出す
    る車速検出手段で構成され、前記最大容量規制手段は、
    車速検出手段で検出した車速が所定値以上であるときに
    最大容量を小さく設定し、所定値未満であるときに最大
    容量を大きく設定するように構成されていることを特徴
    とする請求項1記載の四輪駆動車。
  3. 【請求項3】 前記走行状態検出手段は、従動車軸の回
    転速度を検出する従動側回転速度検出手段で構成され、
    前記最大容量規制手段は、従動側回転速度検出手段で検
    出した従動側回転速度が所定値以上であるときに最大容
    量を小さく設定し、所定値未満であるときに最大容量を
    大きく設定するように構成されていることを特徴とする
    請求項1記載の四輪駆動車。
  4. 【請求項4】 前記走行状態検出手段は、従動車軸の回
    転速度を検出する従動側回転速度検出手段と、駆動車軸
    の回転速度を検出する駆動側回転速度検出手段とで構成
    され、前記最大容量規制手段は、従動側回転速度検出手
    段で検出した従動側回転速度が所定値以上で且つ駆動側
    回転速度検出手段で検出した駆動側回転速度が従動側回
    転速度より所定値以上大きくなったときに最大容量を小
    さく設定し、それ以外のときにモータの最大容量を大き
    く設定するように構成されていることを特徴とする請求
    項1記載の四輪駆動車。
  5. 【請求項5】 前記走行状態検出手段は、従動車軸の回
    転速度を検出する従動側回転速度検出手段と、前記流体
    圧ポンプの吐出側と前記流体圧モータの吸込側を連通す
    る流路の圧力を検出する圧力検出手段とで構成され、前
    記最大容量規制手段は、従動側回転速度検出手段で検出
    した従動側回転速度が所定値以上で且つ前記圧力検出手
    段の圧力検出値が所定値以上となったときに最大容量を
    小さく設定し、それ以外のときにモータの最大容量を大
    きく設定するように構成されていることを特徴とする請
    求項1記載の四輪駆動車。
  6. 【請求項6】 主原動機により駆動される駆動車軸と、
    該駆動車軸に連動して回転し、作動流体を吐出する流体
    圧ポンプを有する流体圧供給手段と、従動輪の車軸に連
    動し且つ前記流体圧供給手段から作動流体が供給されて
    回転する流体圧モータを有する流体圧駆動手段とを備え
    た四輪駆動車において、車速を検出する車速検出手段
    と、該車速検出手段の車速検出値と前記流体圧ポンプの
    吐出流量とに基づいて前記流体圧モータの最大容量を制
    御する最大容量規制手段とを備えたことを特徴とする四
    輪駆動車。
  7. 【請求項7】 前記最大容量規制手段は、流体圧モータ
    の最大容量の規定を流体圧ポンプ及び流体圧モータ間に
    発生するライン圧をパイロットピンで調圧することによ
    り、前記流体圧モータに形成された最大容量規定用スト
    ッパの位置決めを行うことを特徴とする請求項6に記載
    の四輪駆動車。
  8. 【請求項8】 前記パイロットピンの位置決めを、車速
    検出値に応じて通電制御される比例ソレノイドで行うこ
    とを特徴とする請求項7に記載の四輪駆動車。
  9. 【請求項9】 前記パイロットピンの位置決めを、流体
    圧モータの吐出側流路に設けた絞り上流圧とパイロット
    ピンに装着された非線型弾性体との釣合いによって行う
    ことを特徴とする請求項7記載の四輪駆動車。
  10. 【請求項10】 前記最大容量規制手段は、最大容量規
    定用ストッパの位置決めを、電動モータで駆動されるネ
    ジ軸とこれに螺合するナットとで行うことを特徴とする
    請求項1乃至6の何れかに記載の四輪駆動車。
JP18389395A 1995-07-20 1995-07-20 四輪駆動車 Pending JPH0930273A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010025133A3 (en) * 2008-08-28 2010-05-20 Caterpillar Inc. Control system and method for braking a hydrostatic drive machine

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010025133A3 (en) * 2008-08-28 2010-05-20 Caterpillar Inc. Control system and method for braking a hydrostatic drive machine
US8261544B2 (en) 2008-08-28 2012-09-11 Caterpillar Inc. Control system and method for braking a hydrostatic drive machine

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