JPH093022A - 3−アミノ−1,2−プロパンジオール誘導体及びその製造方法 - Google Patents

3−アミノ−1,2−プロパンジオール誘導体及びその製造方法

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JPH093022A
JPH093022A JP15614895A JP15614895A JPH093022A JP H093022 A JPH093022 A JP H093022A JP 15614895 A JP15614895 A JP 15614895A JP 15614895 A JP15614895 A JP 15614895A JP H093022 A JPH093022 A JP H093022A
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genus
amino
carboxylic acid
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propanediol
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JP15614895A
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English (en)
Inventor
Eiji Yanase
英司 簗瀬
Fumiaki Iwasaki
史哲 岩崎
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】医薬、農薬の合成原料として重要な新規3−ア
ミノ−1,2−プロパンジオール誘導体及びその製造方
法を提供する。 【構成】下記一般式(I)で示される新規3−アミノ−
1,2−プロパンジオール誘導体。 【化1】 (R1は水素原子またはアルキル基である。) この化合物は、バシルス属、ブレビバクテリウム属、コ
リネバクテリウム属、フラボバクテリウム属、ミクロコ
ッカス属、キサントモナス属、アエロバクター属、セル
ロモナス属、シュードモナス属、シュードノカルディア
属、ノカルディア属、ロドコッカス属に属する特定の微
生物に、下記一般式(II) 【化2】 (R2は水素原子またはアルキル基である。)で示され
るカルボン酸エステルを作用させることにより容易に製
造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、3−アミノ−1,2−
プロパンジオール誘導体及びその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】3−アミノ−1,2−プロパンジオール
は、該化合物に結合する水酸基に代えて他の官能基を導
入し易く、医薬、農薬、その他の生理活性物質さらには
液晶材料などの新素材の合成原料として極めて重要な化
合物である。
【0003】しかし、3−アミノ−1,2−プロパンジ
オールを目的とする誘導体に変換するためには、しばし
ば、アミノ基を保護した上、反応性が似通った二つの水
酸基のどちらか一方を何等かの保護基で保護する必要が
ある。
【0004】しかし、従来、アミノ基を保護した3−ア
ミノ−1,2−プロパンジオール誘導体のどちらか一方
の水酸基を保護した化合物は全く知られていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする手段】このため、各種用途の
工業原料として高い価値を有するアミノ基及びどちらか
一方の水酸基が保護された3−アミノ−1,2−プロパ
ンジオール誘導体の開発が強く望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、有用な3
−アミノ−1,2−プロパンジオール誘導体を開発すべ
く鋭意検討を続けてきた。その結果、3−アミノ−1,
2−プロパンジオールのアミノ基がベンジリデン基で、
二つの水酸基が、アセチル基で保護された特定の一般式
で示されるカルボン酸エステルを基質として用い、これ
に特定の微生物の培養液、菌体または菌体処理物を作用
させることによって、炭素鎖末端の1級のアルコールの
みが加水分解された有用な3−アミノ−1,2−プロパ
ンジオール誘導体が得られることを見いだし本発明を完
成させるに至った。
【0007】即ち、本発明は下記一般式(I)
【0008】
【化3】
【0009】(R1は水素原子及びアルキル基であ
る。)で示される3−アミノ−1,2−プロパンジオー
ル誘導体である。
【0010】前記一般式(I)において、R1は水素原
子及びアルキル基を示す。アルキル基は、直鎖状、分岐
状のいずれであってもよく、その炭素数は特に制限され
ない。製造の容易さから炭素数が1〜4のアルキル基で
あることが好適である。本発明に於いて好適なアルキル
基を具体的に例示すると、メチル基、エチル基、n−プ
ロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso
−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
【0011】前記一般式(I)で示される3−アミノ−
1,2−プロパンジオール誘導体を具体的に例示する
と、3−ベンジリデンアミノ−2−ホルミルオキシ−1
−プロパノール、3−ベンジリデンアミノ−2−アセト
キシ−1−プロパノール、3−ベンジリデンアミノ−2
−プロピオニルオキシ−1−プロパノール、3−ベンジ
リデンアミノ−2−n−ブチリルオキシ−1−プロパノ
ール、3−ベンジリデンアミノ−2−iso−ブチリル
オキシ−1−プロパノール、等を挙げることができる。
【0012】こうした一般式(I)で示される3−アミ
ノ−1,2−プロパンジオール誘導体は、如何なる方法
により製造しても良い。例えば、3−アミノ−1,2−
プロパンジオールのアミノ基をベンジリデン基で保護し
た後、無水酢酸と反応させて、得られた3−ベンジリデ
ン−2−アセトキシ−1−プロパノールと3−ベンジリ
デン−1−アセトキシ−2−プロパノールの混合物から
カラムクロマトグラフィー等によって目的物のみを分取
することによっても製造は可能であるが、操作の簡便性
から下記の酵素法により製造するのが好ましい。
【0013】即ち、本発明において、前記一般式(I)
で示される3−アミノ−1,2−プロパンジオール誘導
体は、バシルス属、ブレビバクテリウム属、コリネバク
テリウム属、フラボバクテリウム属、ミクロコッカス
属、キサントモナス属、アエロバクター属、セルオモナ
ス属、シュードモナス属、シュードノカルディア属、ノ
カルディア属、ロドコッカス属に属し、下記一般式(I
I)
【0014】
【化4】
【0015】(R2は水素原子またはアルキル基であ
る。)で示されるカルボン酸エステルに作用させた時、
下記一般式(I)
【0016】
【化5】
【0017】(R1はまたは水素原子及びアルキル基で
ある。)で示される3−アミノ−1,2−プロパンジオ
ールを生成する能力を有する微生物、またはその培養液
もしくは菌体処理物を該一般式(II)で示されるカルボ
ン酸エステルに作用させ、生成した一般式(I)で示さ
れる3−アミノ−1,2−プロパンジオール誘導体を採
取する方法により得るのが好ましい。
【0018】ここで、上記一般式(II)
【0019】
【化6】
【0020】(R2は水素原子及びアルキル基であ
る。)で示されるカルボン酸エステルにおいて、R2
アルキル基は、前記一般式(I)で示されるR1のアル
キル基と同様である。
【0021】この一般式(II)で示されるカルボン酸エ
ステルを具体的に例示すると、3−ベンジリデンアミノ
−1,2−ジホルミルオキシプロパン、3−ベンジリデ
ンアミノ−1,2−ジアセトキシプロパン、3−ベンジ
リデンアミノ−1,2−ジプロピオニルオキシプロパ
ン、3−ベンジリデンアミノ−1,2−ジ−n−ブチリ
ルオキシプロパン、3−ベンジリデンアミノ−1,2−
ジ−iso−ブチリルオキシプロパン等を挙げることが
できる。
【0022】本発明では、こうした一般式(II)で示さ
れるカルボン酸エステルを基質とし、これにバシルス
属、ブレビバクテリウム属、コリネバクテリウム属、フ
ラボバクテリウム属、ミクロコッカス属、キサントモナ
ス属、アエロバクター属、セルロモナス属、シュードモ
ナス属、シュードノカルディア属、ノカルディア属、ロ
ドコッカス属に属し、該カルボン酸エステルを作用させ
た時、その炭素鎖末端部分のアシル基を選択的に加水分
解する能力を有する微生物、またはその培養液もしくは
菌体処理物を作用させる。
【0023】それにより、一般式(I)で示される化合
物が良好な収率で生成する。ここで、上記微生物として
は、前記性状を有するものであれば、何等制限なく使用
できる。具体的には、バシルス サブチリス(Bacillus
subtillis IFO 3007)、バシルス サークランス(Bac
illus circulans IFO 3329)、バシルス スファエリカ
ス(Bacillus sphaericus IFO 3341)、ブレビバクテリ
ウム ジバリカタム1627(Brevibacterium divaric
atum NRRL 2311)、コリネバクテリウムグルタミカム
No.534(Corynebacterium glutamicum No.534 AT
CC 13032)、フラボバクテリウム エステロアロマティ
カム(Flavobacterium esteroaromaticum IFO 3751)、
ミクロコッカス ロゼウス(Micrococcus roseus IFO 3
768)、キサントモナス トランスルセンス(Xanthomon
as translucens IFO 13558)、アエロバクター クロア
カエ(Aerobacter cloacae IAM 1221)、セルロモナス
ウダ(Cellulomonas uda IFO 3747)、シュードモナ
ス アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa IFO 308
0)、シュードモナス スタッツェリ(Pseudomonas stu
tzeri ATCC 17588)、ノカルディア イタリカ(Nocard
ia italica JCM3163)、ノカルディア オパカ(Nocard
ia opaca IAM 12123)、ロドコッカスエクイ(Rhodococ
cus equi ATCC 7698)、シュードノカルディア ファス
チジオサ(Pseudonocardia fastidiosa IFO 14105)等
が好ましく用いられる。
【0024】上記微生物を培養するにあたって使用する
培地としては、公知のものが使用される。例えば、グル
コース、シュクロース、フラクトース、グリセロール、
ソルビトール、廃糖蜜、可溶性でんぷん等の炭素源、肉
エキス、酵母エキス、ポリペプトン、ペプトン、硝酸塩
類、アンモニウム塩類等の窒素源、及びリン酸第一カリ
ウム、リン酸第二カリウム、塩化ナトリウム、硝酸マグ
ネシオウム等の無機塩類を含有するものであれば特に限
定されない。
【0025】培地の形態は液体、固体のいずれでもよ
い。また、培養の方法は静置培養、振とう培養、通気攪
拌培養のいずれでもよいが、大量培養には通気攪拌によ
る液体培養が適している。培養温度は、15〜45℃、
好ましくは20〜40℃で、通常20〜48時間培養す
る。
【0026】本発明に於いて、前記基質に上記微生物、
またはその培養液もしくは菌体処理物を作用させる方法
は、微生物を利用した酵素反応において通常行われてい
る基質への作用方法が何等制限なく採用される。例え
ば、前記微生物の培地に上記基質を添加することによ
り、作用させる方法が挙げられる。この場合、基質は最
初から培地に加えても良いし、培養途中で添加してもよ
い。
【0027】また、反応を阻害しない無機または有機の
溶媒中、好ましくは水性溶媒中において、基質に前記微
生物または菌体処理物を作用させても良い。なお、本発
明に於いて菌体処理物とは、例えば洗浄菌体、乾燥菌
体、菌体磨砕物、菌体の自己消化物、菌体の超音波処理
物、菌体抽出物、あるいは菌体抽出物等を精製して得た
リパーゼ等が特に制限されることなく使用される。ここ
で、菌体、菌体抽出物、該菌体抽出物を精製して得たリ
パーゼ等は、公知の菌体、酵素の固定化方法により固定
化したものを用いることもできる。
【0028】本発明において、このようにして得た微生
物、またはその培養液もしくは菌体処理物を作用させる
際の基質の濃度は、特に制限されるものではない。通常
0.01〜10重量%の範囲、好ましくは0.05〜5
重量%から適宜採択すればよい。
【0029】また、本発明に於いて、このようにして微
生物、またはその培養液もしくは菌体処理物を作用させ
る際の反応媒体のpHは、特に制限されるものではない
が、通常、pH6〜10の範囲であることが好ましい。
さらに、作用させる際の微生物や菌体処理物の濃度は、
菌体処理物の精製度等の違いにより一概には決定するこ
とはできないが、通常、タンパク質量で0.05〜10
重量%の範囲から適宜採択される。なお作用温度は、特
に制限されるものではないが、10〜50℃好ましくは
20〜45℃の範囲が好適である。作用時間について
は、基質濃度および使用する菌株の種類によって決まる
ため一概に決めることはできないが、通常3〜80時間
作用させれば十分である。
【0030】以上により、基質の加水分解反応をを行っ
た後、生成した前記一般式(I)で示され3−アミノ−
1,2−プロパンジオール誘導体を採取する。この生成
物の採取の方法は特に制限されるものではなく、例えば
反応溶液に酢酸エチル或いは塩化メチレン等の有機溶媒
によって抽出し、溶媒を留去した後、残渣を薄層クロマ
トグラフィーによって容易に単離精製を行うことができ
る。
【0031】次に、本発明において、上記酵素法による
一般式(I)で示される3−アミノ−1,2−プロパン
ジオール誘導体の製造方法に使用する前記一般式(II)
で示されるカルボン酸エステルは、如何なる方法により
製造されたものを使用しても良い。代表的な製造方法と
しては以下の方法を挙げることができる。即ち、3−ア
ミノ−1,2−プロパンジオールとベンズアルデヒドを
ベンゼン、トルエン、キシレン等の溶媒中、環流下、副
生する水を抜きながら反応させることによって、3−ベ
ンジリデンアミノ−1,2−プロパンジオールを合成
し、これにカルボン酸無水物、カルボン酸とカルボン酸
無水物との混合物あるいは塩基存在下カルボン酸ハロゲ
ン化物を反応させる方法を挙げることができる。
【0032】ここで、カルボン酸ハロゲン化物のハロゲ
ンとしては、塩素、臭素、ヨウ素等が何等制限なく使用
できる。
【0033】また、塩基としては、3級アミン及びアル
カリ金属炭酸塩が挙げられる。これらを具体的に例示す
ると、3級アミンとしては、トリエチルアミン、トリプ
ロピルアミン、トリブチルアミン、メチルジイソプロピ
ルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレン
ジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレ
ンジアミン等の脂肪族3級アミン、ピリジン、4−ジメ
チルアミノピリジン、N,N−ジメチルベンジルアミ
ン、N,N−ジメチルアニリン等の芳香族3級アミン等
を挙げることができ、アルカリ金属炭酸塩としては、炭
酸ナトリウム、炭酸カリウム等を挙げることができる。
上記一般式(II)で示される化合物に対する塩基の仕込
みモル比は、必要に応じて適宜決定すればよいが、通常
2〜10倍モル、好ましくは2〜5倍モルの範囲で用い
るのが一般的である。
【0034】3−ベンジリデンアミノ−1,2−プロパ
ンジオールと、カルボン酸無水物、カルボン酸とカルボ
ン酸無水物の混合物、カルボン酸ハロゲン化物の仕込み
モル比は、必要に応じて適宜決定すればよいが、3−ベ
ンジリデンアミノ−1,2−プロパンジオールに対し
て、通常2〜20倍モル、好ましくは2〜10倍モルの
範囲で用いるのが一般的である。
【0035】この反応は、一般に有機溶媒中で行うのが
好ましい。好適に使用できる有機溶媒を例示すれば、ジ
オキサン、テトラハイドロフラン、ジエチルエーテル、
ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;塩化メチレ
ン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタ
ン等のハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル、プロピ
オニトリル等のニトリル類;N,N−ジメチルホルムア
ミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ア
セトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチ
ル、酢酸イソプロピル等のエステル類;トルエン、ベン
ゼン、キシレン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン
等のハロゲン化芳香族炭化水素類等を挙げることができ
る。また、カルボン酸無水物、カルボン酸とカルボン酸
無水物の混合物を用いて反応させる場合には、これらが
溶媒の代わりになりうるため、別途有機溶媒を添加しな
くても一向に差し支えない。
【0036】反応時間は、所望する一般式(II)で示さ
れるカルボン酸エステルの種類によって異なるため特に
限定することはできないが、1〜30時間の範囲から選
択することが好ましい。
【0037】反応温度としては、化合物によって異なる
ため特に限定することはできないが、通常−20〜10
0℃、好ましくは−10〜80℃の範囲から選択するこ
とが好ましい。
【0038】以上の反応により得られる前記一般式(I
I)で示されるカルボン酸エステルを単離精製する方法
は特に限定されず公知の方法を適宜採用すれば良い。例
えば、カルボン酸無水物あるいは、カルボン酸とカルボ
ン酸無水物との混合物を用いた場には、反応液をそのま
ま減圧蒸留によって分離精製することによって目的物を
得ることができる。
【0039】また、カルボン酸ハロゲン化物を用いた場
合には、反応溶液に水を加えて析出する塩を溶解させた
後、有機溶媒を加えて抽出し、得られた抽出溶液を減圧
蒸留によって分離精製することによって目的物を得るこ
とができる。
【0040】本発明において、一般式(I)で示される
3−アミノ−1,2−プロパンジオール誘導体及び一般
式(II)で示されるカルボン酸エステルの構造は、次の
手段によって確認できる。
【0041】(1)1H−核磁気共鳴スペクトル(1H−
NMR)を測定することにより、前記一般式(I)及び
(II)で示される化合物中に存在する水素原子の結合様
式を知ることができる。
【0042】(2)赤外吸収スペクトル(IR)を測定
することにより、前記一般式(I)及び(II)で示され
る化合物の官能基に由来する特性吸収を観察することが
できる。前記一般式(I)で表される化合物では170
0〜1780cm-1付近にC=O結合に基づく吸収を、
3300〜3600cm-1付近にはO−H結合に基づく
吸収を観察することができる。また、前記一般式(II)
で表される化合物では1700〜1780cm-1付近に
C=O結合に基づく吸収を観察することができる。
【0043】(3)質量スペクトル(MS)を測定し、
前記一般式(I)及び(II)の分子イオンピーク(以
下、M+と略記する)が観測される。従って、分子量を
決定することができる。
【0044】(4)元素分析によって炭素、水素、塩素
さらに各元素の重量%の和を100から減じることによ
り、酸素の重量%を算出することができ、従って組成式
を決定することができる。
【0045】
【発明の効果】本発明の一般式(I)で示される3−ア
ミノ−1,2−プロパンジオール誘導体は、炭素鎖末端
の水酸基に、種々の置換基を容易に導入できる。そし
て、得られた化合物は、2級のアルコールが保護されて
いるアルコキシカルボニル基もアルカリ加水分解で簡単
に除去でき、これに代えて種々の官能基を容易に導入で
きる。従って、該化合物は、3−アミノ−1,2−プロ
パンジオールにおいて、1級のアルコール部分に先に官
能基を導入し、次いで2級のアルコール部分を反応に供
することが要求される各種用途の工業原料として極めて
有効に使用できる。
【0046】また、この3−アミノ−1,2−プロパン
ジオール誘導体は、バシルス属、ブレビバクテリウム
属、コリネバクテリウム属、フラボバクテリウム属、ミ
クロコッカス属、キサントモナス属、アエロバクター
属、セルロモナス属、シュードモナス属、シュードノカ
ルディア属、ノカルディア属、ロドコッカス属に属する
特定の微生物、またはその培養液もしくは菌体処理物を
前記一般式(II)で示されるカルボン酸エステルに作用
させることにより、簡単に製造することができ極めて有
用である。
【0047】
【実施例】以下、実施例を掲げて本発明を説明するが、
本発明はこれらの実施例に何等制限されるものではな
い。
【0048】実施例1 ・(基質の合成) 攪拌器、温度計を備え付けた2Lの4つ口フラスコに、
3−アミノ−1,2−プロパンジオール182.2g
(2.0mol)、ベンズアルデヒド254.7g
(2.4mol)をトルエン800mlに溶解させ、還
流下、攪拌した。3時間反応させた後、共沸脱水装置を
つけ、生成した水をトルエンとともに500ml留去し
た。留去後、反応溶液に300mlのトルエンを追加し
て、冷却し、1時間、5℃で攪拌した。析出した固体を
減圧ろ過した後、得られた結晶を氷水であらかじめ冷や
しておいたトルエン100ml、塩化メチレン400m
lで洗浄し、真空乾燥を行うと、3−ベンジレデンアミ
ノ−1,2−プロパンジオールが淡黄色結晶として35
0.5g(収率97.8%)得られた。
【0049】次に、攪拌器、温度計を備え付けた1Lの
4つ口フラスコに3ーベンジリデンアミノ−1,2−プ
ロパンジオール100.0g(0.56mol)、無水
酢酸300ml(3.1mol)を入れ、80℃で6時
間反応させた。反応後、無水酢酸と副生した酢酸を減圧
留去し、得られた黄色液体を、2Torr、204℃で
減圧蒸留を行うと、3−ベンジリデンアミノ−1,2−
ジアセトキシプロパンが125.3g(収率85.0
%)得られた。
【0050】このものの赤外吸収スペクトルを測定した
結果、1745cm-1にカルボニル基に基づく吸収を、
1665cm-1にイミノ基に基づく吸収を得た。その元
素分析値は、C63.77%、H6.62%、N5.4
0%であって組成式C141714(263.29)に
対する計算値であるC63.86%、H6.51%、N
5.32%に良く一致した。また、質量スペクトルを測
定した結果、m/e263にM+に対応するピークを示
した。
【0051】さらに、1H−核磁気共鳴スペクトル
(δ:ppm:テトラメチルシラン基準;重クロロホル
ム溶媒)を測定した結果は次の通りであった。
【0052】
【化7】
【0053】2.03〜2.16ppmにプロトン六個
分の多重線を示し、(a)及び(b)のメチルプロトン
に相当した。3.30〜3.90ppmにプロトン二個
分の多重線を示し、(e)のメチレンプロトンに相当し
た。4.05〜4.54ppmにプロトン3個分の多重
線を示し、(c)のメチレンプロトン及び(d)のメチ
ンプロトンに相当した。5.78〜6.60ppmにプ
ロトン一個分の多重線を示し、(f)のメチンプロトン
に相当した。7.32〜7.46ppmにプロトン五個
分の多重線を示し、(g)のベンゼン環のプロトンに相
当した。
【0054】上記の結果から、単離生成物が、3−ベン
ジレデンアミノ−1,2−ジアセトキシプロパンである
ことが明らかとなった。
【0055】・(3−ベンジリデンアミノ−2−アセト
キシ−1−プロパノールの製造) 菌の培養は、2.0%グルコース、1.0%サッカロー
ス、1.0%肉エキス、0.5%ペプトン、0.2%酵
母エキス、0.3%塩化ナトリウム、0.4%リン酸第
一カリウム、0.2%リン酸第二カリウム、0.1%硫
酸マグネシウム・7水塩、pH7の培地500mlを2
Lの肩付きフラスコに加え、ブレビバクテリウム ジバ
リカタム 1627 NRRL 2311菌株を30℃
で48時間振とう培養を行った。培養後、遠心分離によ
って上澄み液を除き、冷却下50mMのリン酸緩衝液
(pH7.0)50mlで2回洗浄した。得られた菌体
250mgをpH7に調整した50mMリン酸緩衝液5
mlに分散させ、これに3−ベンジリデンアミノ−1,
2−ジアセトキシプロパンが1%(重量/容量)となる
ように添加し、引き続き30℃で、48時間振とう培養
した。反応後、5mlの酢酸エチルを加えて抽出した。
【0056】この抽出液をカラムクロマトグラフィーで
分析したところ、加水分解率は100%であった。ま
た、この抽出液を濃縮し、残渣を薄層クロマトグラフィ
ーで単離精製したところ、3−ベンジリデンアミノ−2
−アセトキシ−1−プロパノールを40mg(96.0
%)採取した。
【0057】このものの赤外吸収スペクトルを測定した
結果、1753cm-1にカルボニル基に基づく吸収を、
3500cm-1に水酸基に基づく吸収を得た。その元素
分析値は、C65.01%、H7.00%、N6.37
%であって組成式C121513(221.26)に対
する計算値であるC65.14%、H6.83%、N
6.33%に良く一致した。また、質量スペクトルを測
定した結果、m/e221にM+に対応するピークを示
した。
【0058】さらに、1H−核磁気共鳴スペクトル
(δ:ppm:テトラメチルシラン基準;重クロロホル
ム溶媒)を測定した結果は次の通りであった。
【0059】
【化8】
【0060】2.10ppmにプロトン三個分の一重線
を示し、(c)のメチルプロトンに相当した。3.10
ppmにプロトン一個分の幅広い一重線を示し、(a)
の水酸基のプロトンに相当した。3.30〜4.50p
pmにプロトン五個分の多重線を示し、(b)及び
(e)のメチレンプロトン、(d)のメチンプロトンに
相当した。5.84〜6.71ppmにプロトン一個分
の多重線を示し、(f)のメチンプロトンに相当した。
7.32〜7.46ppmにプロトン五個分の多重線を
示し、(g)のベンゼン環のプロトンに相当した。
【0061】上記の結果から、単離生成物が、3−ベン
ジリデンアミノ−2−アセトキシ−1−プロパノールで
あることが明らかとなった。
【0062】実施例2 ブレビバクテリウム ジバリカタム 1627 NRR
L 2311菌株の代わりに表1に示した菌株を用い、
実施例1と同様な操作を 行った。48時間培養後の加
水分解率は表1に示す通りであった。
【0063】
【表1】
【0064】実施例3 ・(基質の合成) 実施例1の無水酢酸の代わりに蟻酸115.1g(2.
5mol)、無水酢酸132.1g(2.2mol)を
用いて、55度で反応させた以外は実施例1と同様な操
作を行った。得られた黄色透明の液体を2Torr、1
88℃で減圧蒸留を行うと、3−ベンジリデンアミノ−
1,2−ジホルミルオキシプロパンを94.8g(72
%)取得した。
【0065】このものの赤外吸収スペクトルを測定した
結果、1726cm-1にカルボニル基に基づく吸収を、
1665cm-1得た。その元素分析値は、C61.35
%、H5.43%、N5.88%であって組成式C12
1314(235.24)に対する計算値であるC6
1.27%、H5.57%、N5.95%に良く一致し
た。
【0066】また、質量スペクトルを測定した結果、m
/e235にM+に対応するピークを示した。
【0067】さらに、1H−核磁気共鳴スペクトル
(δ:ppm:テトラメチルシラン基準;重クロロホル
ム溶媒)を測定した結果は次の通りであった。
【0068】
【化9】
【0069】3.35〜3.90ppmにプロトン二個
分の多重線を示し、(e)のメチレンプロトンに相当し
た。4.08〜4.55ppmにプロトン3個分の多重
線を示し、(c)のメチレンプロトン及び(d)のメチ
ンプロトンに相当した。5.80〜6.60ppmにプ
ロトン一個分の多重線を示し、(f)のメチンプロトン
に相当した。7.35〜7.46ppmにプロトン五個
分の多重線を示し、(g)のベンゼン環のプロトンに相
当した。8.10〜8.25ppmにプロトン二個分の
幅広い一重線を示し、(a)及び(b)のホルミル基の
プロトンに相当した。
【0070】上記の結果から、単離生成物が、3−ベン
ジリデンアミノ−2−ジホルミルオキシプロパンである
ことが明らかとなった。
【0071】・(3−ベンジリデンアミノ−2−ホルミ
ルオキシ−1−プロパノールの製造) 3−ベンジリデンアミノ−1,2−ジアセトキシプロパ
ンの代わりに3−ベンジリデンアミノ−1,2−ジホル
ミルオキシプロパンを用い実施例1と同様の操作を行っ
た。
【0072】酢酸エチル抽出溶液をガスクロマトグラフ
ィーで分析したところ、その加水分解率は100%であ
った。また、この抽出液を濃縮し、残渣を薄層クロマト
グラフィーで単離精製したところ、3−クロロ−2−エ
トキシカルボニルオキシ−1−プロパノールを39mg
(88.0%)採取した。
【0073】このものの赤外吸収スペクトルを測定した
結果、1720cm-1にカルボニル基に基づく吸収を、
3500cm-1に水酸基に基づく吸収を、1665cm
-1にイミノ基に基づく吸収を得た。その元素分析値は、
C63.68%、H6.45%、N6.63%であって
組成式C111313(207.23)に対する計算値
であるC63.76%、H6.32%、N6.76%に
良く一致した。また、質量スペクトルを測定した結果、
m/e207にM+に対応するピークを示した。
【0074】さらに、1H−核磁気共鳴スペクトル
(δ:ppm:テトラメチルシラン基準;重クロロホル
ム溶媒)を測定した結果は次の通りであった。
【0075】
【化10】
【0076】3.30〜4.50ppmにプロトン六個
分の多重線を示し、(a)の水酸基のプロトン、(c)
及び(e)のメチレンプロトン、(d)のメチンプロト
ンに相当した。5.88〜6.68ppmにプロトン一
個分の多重線を示し、(f)のメチンプロトンに相当し
た。7.30〜7.42ppmにプロトン五個分の多重
線を示し、(g)のベンゼン環のプロトンに相当した。
8.10ppmにプトロン一個分の一重線を示し、
(b)のホルミル基のプロトンに相当した。
【0077】上記の結果から、単離生成物が、3−ベン
ジリデンアミノ−2−ホルミルオキシ−1−プロパノー
ルであることが明らかとなった。
【0078】実施例4 ブレビバクテリウム ジバリカタム 1627 NRR
L 2311菌株の代わりに表2に示した菌株を用い、
実施例3と同様な操作を行った。48時間培養後の加水
分解率は表1に示す通りであった。
【0079】
【表2】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I) 【化1】 (R1は水素原子またはアルキル基である。)で示され
    る3−アミノ−1,2−プロパンジオール誘導体。
  2. 【請求項2】下記一般式(II) 【化2】 (R2は水素原子またはアルキル基である。)で示され
    るカルボン酸エステル。
  3. 【請求項3】バシルス属、ブレビバクテリウム属、コリ
    ネバクテリウム属、フラボバクテリウム属、ミクロコッ
    カス属、キサントモナス属、アエロバクター属、セルロ
    モナス属、シュードモナス属、シュードノカルディア
    属、ノカルディア属、ロドコッカス属に属し、請求項2
    記載のカルボン酸エステルに作用させた時、請求項1記
    載の3−アミノ−1,2−プロパンジオール誘導体を生
    成する能力を有する微生物、またはその培養液もしくは
    菌体処理物を請求項2記載のカルボン酸エステルに作用
    させ、生成した請求項1記載の3−アミノ−1,2−プ
    ロパンジオール誘導体を採取することを特徴とする請求
    項1記載の3−アミノ−1,2−プロパンジオール誘導
    体の製造方法。
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