JPH09301861A - ラジカル疾患用注射・点滴薬剤 - Google Patents

ラジカル疾患用注射・点滴薬剤

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JPH09301861A
JPH09301861A JP14372096A JP14372096A JPH09301861A JP H09301861 A JPH09301861 A JP H09301861A JP 14372096 A JP14372096 A JP 14372096A JP 14372096 A JP14372096 A JP 14372096A JP H09301861 A JPH09301861 A JP H09301861A
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JP
Japan
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ascorbic acid
ischemic reperfusion
radical
injury
injection
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JP14372096A
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Shinobu Ito
忍 伊東
Eiji Ogata
英二 小方
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Resonac Holdings Corp
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 注射・点滴薬剤として水溶液製剤にした場合
に、不溶物を発生させずかつ生体内に投与した場合、副
作用が少なく安全なアスコルビン酸活性が高い、ラジカ
ル関与性の疾患に効果のある医薬品の提供。 【解決手段】 L−アスコルビン酸−2−(ポリ)リン
酸のナトリウム塩、カリウム塩またはナトリウム・カリ
ウム塩を有効成分として含有する、虚血性心疾患、虚血
性再潅流心筋障害、虚血性肝障害、虚血性再潅流肝臓障
害、虚血性再潅流腎臓障害、虚血性再潅流膵臓障害、虚
血性再潅流胆嚢障害、虚血性再潅流循環器障害、虚血性
再潅流消化器障害、虚血性再潅流筋障害、虚血性再潅流
血管障害、虚血性再潅流眼障害または虚血性再潅流皮膚
障害の予防及び治療のためのラジカル疾患用注射・点滴
薬剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ラジカル関与性の
疾患に効力を示し、製剤安定性、生体内での安全性の高
いラジカル疾患用注射・点滴薬剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、老齢化社会の進展により成人病発
生率が増加し、中でも老化に伴う各種疾患が深刻化しつ
つある。成人病関連疾患の中でも不整脈、動脈硬化、虚
血性心疾患、心不全、心筋梗塞、肝障害、虚血性肝障
害、消化器官障害、血管障害、膵障害、胆嚢障害、臓器
移植障害、糖尿病、高血圧、臓器不全等は成人病の代表
的な疾患であり多くの医薬品が開発されてきた。
【0003】これらの疾患に対し、現在までに数多くの
不整脈症治療剤、動脈硬化症治療剤、肝臓用剤、消化器
官用剤、降圧利尿剤、中毒治療剤、糖尿病治療剤等が使
用されてきたが、上記病疾患の基本原因又はその原因因
子の一つに生体内フリーラジカルに起因する疾病(本発
明ではこれをラジカル疾患という。)であることが指摘
され始めている(「活性酸素と病態」井上編、学会出版
センター、1992及び「抗酸化物質」二木他ま、学会
出版センター、1994)。これらのラジカル疾患を治
療または予防する目的でラジカル疾患治療用薬剤の開発
が進められ、以下のような多数の医薬品成分が既に提案
されている。
【0004】例えば、SOD関連物質(Inoue,e
tv.,Biochemistry,28,6619−
6624,1989),ユビキノン製剤(特開昭57−
42616)、ベンゾアゼピン誘導体(特開昭57−1
93462)、ピロリジノン誘導体(特開昭59−27
823)、置換ビニル誘導体(特開昭60−2896
3)、オキサミド誘導体(特開昭59−16335
3)、フランカルボキサミド誘導体(特開昭59−19
0991)、フタルイミド誘導体(特開昭61−377
66)、ドコサヘキサエン酸(特開平4−27381
7)、リノレン酸誘導体(特開昭61−44853)、
キノリンオキシド誘導体(特開昭61−65869)、
ヘテロ芳香族アミン誘導体(特開昭61−28237
7)、カルボスチリル誘導体(特開昭63−30182
1)、イソインドール誘導体(特開昭63−15027
6)、菌体生産物(特開平1−143868)、イミダ
ゾールチオンカルボキサミド誘導体(特開平1−146
820)、ジペンゾオキセピン誘導体(特開平3−17
6487)、プロピルアミン誘導体(特開平3−236
378)、ファニルフタラジン誘導体(特開平4−21
1666)、タンニン酸誘導体(特開平1−2572
6)、グリチルレチン酸誘導体(特開平4−33008
8)等を挙げることができる。
【0005】このうち、SOD関連物質は製剤化中での
安定性に問題があり、特に患部に到達する前に他の臓器
で反応、失活してしまうためデリバリーシステム上の問
題があった。また、上記の他の医薬品成分は体内に投与
すると頭痛、吐気、嘔吐、食欲不振、悪心、発疹、筋痙
攣等の副作用を伴うという問題があった。
【0006】一方、L−アスコルビン酸は生体に不可欠
の栄養素の一つである。従来より生体外においても、ま
た生体内でも重要な抗酸化作用を果たしていることが知
られている。L−アスコルビン酸は特に生体内のヒドロ
キシラジカルの消去作用が強く、生体内ラジカルの消去
機構に重要な働きを演じている。即ち、還元型のL−ア
スコルビン酸から酸化型のデヒドロアスコルビン酸への
酸化反応は2段階で進行し、中間体としてモノデヒドロ
アスコルビン酸を経る。一方モノデヒドロアスコルビン
酸はラジカルであるが、これ自身2分子の不均化反応に
よりアスコルビン酸とデヒドロアスコルビン酸に速やか
に変化する。デヒドロアルスコルビン酸はグルタチオン
などのチオール化合物により、非酵素的にアスコルビン
酸に還元されるため極めて効率的に生体内のラジカルを
消去することができる(重岡、ビタミンC活性酸素フリ
ーラジカル、2:148−155,1991)。
【0007】さらに、L−アスコルビン酸は生体内のビ
タミンEを再生することが知られている。すなわちビタ
ミンEは、生体膜抗酸化物質としてビタミンC同様有力
な抗酸化作用を有し、ラジカルを捕捉してビタミンEラ
ジカルとなる。ビタミンCは、このビタミンEラジカル
を生体膜表面においてそのラジカルを受け取り、ビタミ
ンEを再生する作用も有する。ビタミンEラジカルを再
生させる機能は、ビタミンC以外にもシステイン、グル
タチオン、尿酸などがあるが、その反応性はビタミンC
が最も強いことが知られている(Niki,E.,et
c.:Bull.Chem.Soc.Jpn.,58:
1971−1975,1985,Packer,J.
E.,etc.:Nature,278:737−73
8,1979.)。
【0008】このようにビタミンCは強いラジカル消去
作用を持つ反面、極めて酸化されやすく不安定で、製剤
中、または製剤化された後においても酸化分解を受け易
いため、医薬品製剤としての長期間の品質保持が困難で
あり、またこれらを含有する注射液剤等にしてもオート
クレーブ処理等の加熱滅菌処理ができないため、生体内
に静脈注射などの方法で安定な状態で取り込ませること
ができないという問題があった。また、L−アスコルビ
ン酸を経口又は静注投与しても、生体内では活性が消失
しやすく、またすみやかに体外に代謝され易く、アスコ
ルビン酸の効果が十分に発揮できないという問題があっ
た。
【0009】L−アスコルビン酸のフリーラジカル消去
作用が、生体の老化や虚血(寺尾純二、活性酸素フリー
ラジカル、2:310−319、1991。寺尾純二、
活性酸素フリーラジカル、4:288−296、199
3)及び毒性化学物質に伴う活性酸素の発生とその障害
に対して効果があることも示唆され、L−アスコルビン
酸を安定化した誘導体を生体内ラジカル消去剤として開
発する試みがなされ、以下のようなL−アスコルビン酸
誘導体が提案されている。即ち、L−アスコルビン酸ト
コフェロールリン酸ジエステル(特開平2−11172
2)、L−アスコルビン酸脂肪酸リン酸ジエステル誘導
体(特開平2−28189)、ドデシルカルボニルメチ
ル−L−アスコルビン酸(特開平3−803471)、
オクタデシルジスルホ−L−アスコルビン酸(特開平4
−356476)等が既に公知となっている。これらの
L−アスコルビン酸の誘導体は副作用がほとんどなく安
全であるが、生体内でL−アスコルビン酸の活性を充分
に発揮できない場合があり、効果が充分期待できないと
いう問題があった。
【0010】本発明者らは、L−アスコルビン酸は安全
性が高く大量に投与しても重大な副作用を伴わないこ
と、及び試験管内でフリーラジカルの有効なスカベンジ
ャー作用が見いだされていることから、生体内で高い活
性を有するL−アスコルビン酸誘導体類の医薬品製剤と
しての開発、研究を行ってきた。近年、このようなビタ
ミンCの不安定さを改善し、かつ生体内で高いアスコル
ビン酸活性を保持しうるL−アスコルビン酸−2−(ポ
リ)リン酸マグネシウム塩などの安定なビタミンC誘導
体の開発が本研究者らにより進み、化粧品、飼料等に既
に応用されている。
【0011】最近、本発明者らは成人病モデルとして、
血管内皮細胞をin vitroで培養し、一時的低酸
素状態にすることによりフリーラジカルを発生させ、こ
れにL−アスコルビン酸−2−(ポリ)リン酸マグネシ
ウム塩を作用させた時は、細胞に発生するフリーラジカ
ルを従来のビタミンC以上に抑制することを試験管内モ
デルで確認し、日本ビタミン学会等で発表した(ビタミ
ン学会.仙台、1995)。しかしながら、実際の生体
内でその効果を発現可能か否かは不明であり、これを確
認するためにはラット等の生体モデル動物で実際にラジ
カルを発生させ確認する必要があった。本発明者らがラ
ットを使用したin vivo試験で、実際の生体内に
ラジカルを発生させ、L−アスコルビン酸−2−(ポ
リ)リン酸マグネシウム塩を投与して各種臓器でその効
果を調べたところ、L−アスコルビン酸−2−(ポリ)
リン酸マグネシウム塩投与における副作用と思われる毒
性が発現することがわかり実用上問題があることが判明
した。
【0012】即ち、L−アスコルビン酸−2−(ポリ)
リン酸マグネシウム塩を生体内に静脈注射したマウス、
ラット、ビーグル犬を使用した急性毒性試験では、LD
50=200〜600mg/kgであり、予想以上に毒性
が高いものであった。また、ビーグル犬の亜急性試験で
の確実中毒量は200mg/kg/dayであった。こ
れらの副作用は長期投与の場合ほど悪化した。この原因
を追究したところ、マグネシウム過剰症及び以下の現象
に起因すると考えられる。即ち、L−アスコルビン酸−
2−(ポリ)リン酸マグネシウム塩を注射液等にするた
め水に溶解すると、特に比較的純度の高いL−アスコル
ビン酸−2−(ポリ)リン酸マグネシウム塩の場合、高
分子状のL−アスコルビン酸−2−(ポリ)リン酸マグ
ネシウム塩分子団の生成が観察された。
【0013】この水溶液中に生成した高分子状L−アス
コルビン酸−2−(ポリ)リン酸マグネシウム塩の分子
団の直径を測定したところ、直径が0.001から0.
5マイクロメーターの範囲に分布していることが判明し
た。これらの高分子状L−アスコルビン酸−2−(ポ
リ)リン酸マグネシウム塩は、強度の機械的な撹拌、乳
化処理及び超音波処理でもこの分子団の直径を0.00
1マイクロメーター以下の状態に分散、溶解することは
できなかった。このような高分子L−アスコルビン酸−
2−(ポリ)リン酸マグネシウム塩は、長期間保存した
製剤を注射液剤などにした場合、肉眼ではその存在を識
別できないという問題があり、またこれら高分子状L−
アスコルビン酸−2−(ポリ)リン酸マグネシウム塩を
体内に注射された場合、まれにではあるが毛管内の血流
阻止、及び血栓の悪化を伴う可能性も危惧され、医薬品
としての安全性上の問題があった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、注射
・点滴薬剤として水溶液製剤にした場合に、高分子状な
どの不溶物を発生させず、かつ生体内に投与した場合、
副作用が少なく安全なアスコルビン酸活性が高い、ラジ
カル関与性の疾患に効果のある医薬品を提供することに
ある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、水に対す
る溶解性が高く注射剤等に添加しても高分子状などの不
溶物を発生させず、生体内に投与しても、副作用が少な
く安全で効果の高いL−アスコルビン酸−2−リン酸ま
たはL−アスコルビン酸−2−ポリリン酸(本発明では
この両者を合わせてL−アスコルビン酸−2−(ポリ)
リン酸という。)の塩類を主剤とする成人病などに効果
のある医薬品を開発すべく研究を行った結果、本発明を
完成することができた。即ち、本発明は、 L−アスコルビン酸−2−(ポリ)リン酸のナトリウ
ム塩、カリウム塩またはナトリウム・カリウム塩を有効
成分として含有するラジカル疾患用注射・点滴薬剤、 L−アスコルビン酸−2−(ポリ)リン酸のナトリウ
ム塩、カリウム塩またはナトリウム・カリウム塩100
重量部にL−アスコルビン酸−2−(ポリ)リン酸の多
価金属塩を0〜120重量部配合させた記載のラジカ
ル疾患用注射・点滴薬剤、 L−アスコルビン酸−2−リン酸ナトリウム塩を有効
成分として含有するラジカル疾患用注射・点滴薬剤、 L−アスコルビン酸−2−リン酸ナトリウム塩100
重量部にL−アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウム
塩0〜120重量部配合させた記載のラジカル疾患用
注射・点滴薬剤、
【0016】ラジカル疾患が、虚血性心疾患、虚血性
再潅流心筋障害、虚血性肝障害、虚血性再潅流肝臓障
害、虚血性再潅流腎臓障害、虚血性再潅流膵臓障害、虚
血性再潅流胆嚢障害、虚血性再潅流循環器障害、虚血性
再潅流消化器障害、虚血性再潅流筋障害、虚血性再潅流
血管障害、虚血性再潅流眼障害または虚血性再潅流皮膚
障害である〜のいずれかに記載のラジカル疾患用注
射・点滴薬剤に関し、更に L−アスコルビン酸−2−(ポリ)リン酸の塩類が、
レーザー粒径解析装置により、そのL−アスコルビン酸
−2−(ポリ)リン酸の塩類の分子団の直径を測定した
場合0.001マイクロメートル以下の範囲に分布して
いる注射・点滴液である〜記載のラジカル疾患用注
射・点滴薬剤及び L−アスコルビン酸−2−(ポリ)リン酸の塩類の電
気伝導度を測定した時、そのL−アスコルビン酸−2−
(ポリ)リン酸の塩類の電気伝導度が、理論電気伝導度
の90%以上の範囲に分布している〜記載のラジカ
ル疾患用注射・点滴薬剤に関する。これにより上記の目
的を達成した。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の注射液または点滴液(両者を合わせて注射・点
滴薬剤とも言う。)は、ラジカル疾患を対象とする。例
えば心筋梗塞、虚血性心疾患、心不全、狭心症、不整
脈、動脈硬化症、肝臓脂質代謝障害、高脂血症、本態性
高血圧、高血圧症、動脈硬化症、冠動脈硬化症、血栓
症、閉塞性動脈硬化症、血管障害、抹消血管障害、胆汁
うつ滞症、高コレステロール血症、膵障害、臓器不全、
急慢性肝炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、消
化器官障害、胆嚢症、糖尿病、関節炎治療剤、リュウマ
チ、肝不全、肝障害、虚血性肝障害、肝臓脂質代謝障
害、胆嚢障害、臓器移植障害、糖尿病、中毒症、臓器移
植障害、虚血性再灌流障害などに対して効果があり、特
に虚血性疾患に対して効果がある。
【0018】これらの疾患及び以下に示す疾患が、ラジ
カルに起因又はその原因因子の一つが生体内ラジカルで
あることは、「活性酸素と病態」井上編、学会出版セン
ター、1992及び「抗酸化物質」二木他編、学会出版
センター、1994及び「現代医療」vol.25,N
o.10,1993及びこれらの書籍に記載された文献
等により報告されている。
【0019】本発明のラジカル疾患薬の対象となるラジ
カル疾患の一つに、組織を交換するために行われる臓器
移植時の臓器不全及び組織障害がある。即ち、心臓、肝
臓、腎臓、膵臓、胆嚢、胸腺、胃、肺、腸、皮膚等の臓
器移植手術、冠動脈再疎通術等の血管及びそのバイパス
手術及び以下に記載する疾病や事象により細胞や組織に
流入する血流が停止または遅滞することに伴う臓器障害
及びこれらの血流停止後の再灌流時又はその後に発生す
る細胞や組織の損傷、弊死や臓器不全に対する障害など
を挙げることができ、これらの疾患にも効果がある。ま
た、本発明のラジカル疾患薬の対象となる他のラジカル
疾患としては、本発明の対象となる上記臓器に付随する
血管の血栓症、貧血症、阻血症、血管硬化症、血管収縮
症、出血(OBAYASHI,PROC.SOC.EX
P.BIOL.WED.,196,196,164−1
69,1990)等に起因する血流速度の物理的低下や
停止に伴う細胞や組織の損傷、弊死や血管を含む臓器の
疾患及び不全などが挙げられ、これらにも効果がある。
【0020】また、本発明のラジカル疾患薬の対象とな
るその他のラジカル疾患としては、血管内の酸素圧低下
等に起因する酸欠及び農薬や一酸化炭素中毒症等の化学
物質による細胞又は組織の酸欠障害組織の一時的酸欠等
も含むことができ、この後の輸血等の適当な処置又は事
象により血流が再び正常又はそれに近い状態で細胞や組
織に送り込まれたときに見出される細胞や組織の損傷、
弊死や血管を含む臓器の疾患及び不全などを挙げること
ができ、これらにも効果がある。
【0021】また、本発明のラジカル疾患薬が特に効果
があり、その対象となるラジカル疾患の虚血性再灌流疾
患類の具体例としては、虚血再灌流心筋障害(NARI
TA.W.J,J.LAB.CLIN.MED.,11
0,153−158,1987、Smith,L.L.
Phil.Trans.R.Soc.Lond.,31
1,647−657,1985)、虚血再灌流肝臓障害
(INOUE,M,INMUCOSAL IMMUNO
LOGY,527−530,ELSEVIER,AMS
TERDAM,1990、中浜、肝臓,32:1110
−1123,1991、竹川、肝臓,30:459−4
67,1989、白杉、日消外会誌、26:358,1
993)虚血再灌流腎臓障害、虚血再灌流膵臓障害(I
SAJI,S.:MIE MED.J.,35:109
−123,1985)、虚血再灌流胆嚢障害(TAOK
A,GASTROENT.JPN.,26:633−6
44,1991)、虚血再灌流循環器障害、虚血再灌流
消化器障害(岩井、日消会誌,87:1662−166
9,1990、NAITO,Y.,FREE RED.
RES.COMMS.,16:13.5,1992)、
虚血再灌流筋障害、虚血再灌流血管障害、虚血再灌流眼
障害等の虚血再灌流皮膚障害などの虚血再灌流障害を挙
げることができ、その予防、治療のいずれにも効果があ
る。
【0022】また、本発明のラジカル疾患薬は、活性酸
素により誘発する以下のような各種障害にも効果があ
る。その具体例としては、ベーチェット病、放射線障
害、抗ガン剤の副作用、細菌性ショック、悪液質、自己
免疫疾患、火傷、ヘルペスウィルス、成人T細胞白血
病、チオレドキシン症候群、外傷性ショック、菌萎縮性
側索硬化症、無性心筋梗塞等である。
【0023】本発明のラジカル疾患用薬剤は注射液剤ま
たは点滴液剤(両者を合わせて注射・点滴薬剤とも言
う。)である。その主たる有効成分はL−アスコルビン
酸−2−(ポリ)リン酸のアルカリ金属塩である。アル
カリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、ナト
リウムカリウム塩が挙げられる。例えばL−アスコルビ
ン酸−2−リン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸−2
−リン酸カリウム、L−アスコルビン酸−2−リン酸ナ
トリウムカリウム、L−アスコルビン酸−2−ジリン酸
ナトリウム、L−アスコルビン酸−2−ジリン酸カリウ
ム、L−アスコルビン酸−2−ジリン酸ナトリウムカリ
ウム、L−アスコルビン酸−2−トリリン酸ナトリウ
ム、L−アスコルビン酸−2−トリリン酸カリウムなど
が挙げられる。予防、治療のため継続的に多量の使用を
必要とすることから、静脈注射時の副作用が最も低く、
水溶性製剤時の溶解性、電離性が最も高いアルカリ金属
塩のなかでもナトリウム塩が、また(ポリ)リン酸とし
てはモノリン酸が好ましい。すなわち、L−アスコルビ
ン酸−2−リン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸−2
−リン酸カリウム、L−アスコルビン酸−2−リン酸ナ
トリウムカリウムなどが好適であり、特にL−アスコル
ビン酸−2−リン酸ナトリウムが好適である。
【0024】これらのL−アスコルビン酸−2−(ポ
リ)リン酸のアルカリ金属塩は各種の活性安定型L−ア
スコルビン酸−2−(ポリ)リン酸誘導体と併用するこ
とができる。併用できる活性安定型L−アスコルビン酸
−2−(ポリ)リン酸誘導体としては、L−アスコルビ
ン酸−2−リン酸[L−アスコルビン酸−2−モノリン
酸と同じ。]、L−アスコルビン酸−2−ジリン酸、L
−アスコルビン酸−2、3−ジリン酸、L−アスコルビ
ン酸−2,5−ジリン酸、L−アスコルビン酸−2,6
−ジリン酸及びL−アスコルビン酸−2−トリリン酸並
びにそれらの生理的に許容可能な金属塩などが挙げられ
る。例えば、L−アスコルビン酸−2−リン酸、L−ア
スコルビン酸−2−ジリン酸、L−アスコルビン酸−2
−トリリン酸、L−アスコルビン酸−2−リン酸マグネ
シウム、L−アスコルビン酸−2−リン酸カルシウム、
L−アスコルビン酸−2−リン酸アルミニウム、L−ア
スコルビン酸−2,3−ジリン酸ナトリウム、L−アス
コルビン酸−2,3−ジリン酸カリウム、L−アスコル
ビン酸−2,3−ジリン酸ナトリウムカリウム、L−ア
スコルビン酸−2,3−ジリン酸マグネシウム、L−ア
スコルビン酸−2,3−ジリン酸カルシウム、L−アス
コルビン酸−2,5−ジリン酸ナトリウム、L−アスコ
ルビン酸−2,5−ジリン酸カリウム、L−アスコルビ
ン酸−2,5−ジリン酸マグネシウム、L−アスコルビ
ン酸−2,6−ジリン酸ナトリウム、L−アスコルビン
酸−2,6−ジリン酸カリウム、L−アスコルビン酸−
2,6−ジリン酸マグネシウム、L−アスコルビン酸−
2−ジリン酸マグネシウム、L−アスコルビン酸−2−
ジリン酸カルシウム、L−アスコルビン酸−2−ジリン
酸アルミニウム、L−アスコルビン酸−2−トリリン酸
マグネシウム、L−アスコルビン酸−2−トリリン酸カ
ルシウム、L−アスコルビン酸−2−トリリン酸アルミ
ニウムなどが挙げられる。
【0025】本発明のラジカル疾患用注射・点滴薬剤と
しては、L−アスコルビン酸−2−(ポリ)リン酸誘導
体としてアルカリ金属塩を100%、中でもナトリウム
塩100%のものが好ましいが、場合によってはこれに
L−アスコルビン酸−2−(ポリ)リン酸のマグネシウ
ム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩などの多価金属塩
を配合してもよく、この場合には多価金属塩はアルカリ
金属塩100重量部に対して多くとも120重量部、好
ましくは50重量部以下、特に好ましくは20重量部以
下配合にすることができる。フリーラジカル関与性疾病
薬として、上記のL−アスコルビン酸−2−(ポリ)リ
ン酸アルカリ金属塩を主剤として使用すると、L−アス
コルビン酸−2−(ポリ)リン酸マグネシウム塩、L−
アスコルビン酸−2−(ポリ)リン酸カルシウム塩、L
−アスコルビン酸−2−(ポリ)リン酸アルミニウム塩
などの多価金属塩を含む薬剤を注射液等の液剤などにし
て用いた場合、多価金属の高分子化L−アスコルビン酸
−2−リン酸塩の発生を劇的に減少させ、高分子化によ
る生体に対する副作用を大幅に軽減できる。
【0026】具体的には、L−アスコルビン酸−2−
(ポリ)リン酸アルカリ金属塩またはこれとの多価金属
塩からなるラジカル疾患用注射・点滴薬剤は、注射剤等
の溶液中のL−アスコルビン酸−2−(ポリ)リン酸の
分子団の直径を0.001マイクロメーター以下にして
均一な解離性溶液を得ることができ、これにより毛細血
管等での血流停止の危険性を回避できることが判明し
た。この結果本発明のL−アスコルビン酸−2−(ポ
リ)リン酸のアルカリ金属塩またはこれを含むラジカル
疾患用注射・点滴薬剤は、マウス、ラット、ビーグル犬
での急性毒性試験では、LD50=800から1300m
g/kgと毒性は大幅に減少しており、またラットに使
用した亜急性毒性試験では最大250mg/kg/da
yの投与でも異常が認められなかった。これらの結果か
ら、従来のL−アスコルビン酸−2−(ポリ)リン酸の
マグネシウム塩に比較し遥かに安全性の高いものである
ことが確認された。
【0027】本発明の主成分であるL−アスコルビン酸
−2−(ポリ)リン酸のアルカリ金属塩を注射・点滴薬
剤の液剤を製造するため滅菌純水等に溶かして液状で使
用するとき、溶解後の分子の大きさが0.001マイク
ロメーター以下の範囲に分布していないと、注射・点滴
薬剤の液在中で安定化することはできない。水に難溶解
性のL−アスコルビン酸−2−(ポリ)リン酸マグネシ
ウム塩の水溶液中の分子は、レーザー粒径解析装置(大
塚電子製,PAR−3)を用いてその分子団の直径を測
定すると、L−アスコルビン酸−2−(ポリ)リン酸マ
グネシウム塩は経時的に成長し、水中で0.001から
0.5マイクロメーターの大きさの範囲の巨大分子の形
で水溶液中に分散していることが判明した。経時的に成
長するこの巨大分子の存在が注射・点滴薬剤中に不溶物
の発生をもたらし、注射・点滴薬剤の不安定化の原因に
なっていたものと推定された。またこれらの巨大分子の
存在は生体内での血栓の原因ともなりうる可能性があ
り、医薬品としての安全性を失わせる可能性もある。
【0028】これらの巨大なL−アスコルビン酸−2−
(ポリ)リン酸マグネシウム塩分子団は、単なる強度の
機械的な撹拌、乳化処理または超音波処理などの物理的
手段ではこの分子団の直径を0.001マイクロメータ
ー以下の状態に分散、溶解することはできなかったが、
本発明の主成分であるL−アスコルビン酸−2−(ポ
リ)リン酸のアルカリ金属塩またはこれを主成分とした
多価金属塩を含むL−アスコルビン酸−2−(ポリ)リ
ン酸アルカリ金属塩は極めて良好な溶解性を示し、水に
溶解した時巨大分子が存在しない特徴を持っている。本
発明の有効成分の主たる成分のL−アスコルビン酸−2
−(ポリ)リン酸のアルカリ金属塩またはL−アスコル
ビン酸−2−(ポリ)リン酸のアルカリ金属塩と多価金
属塩との複合物の水溶液の電気伝導度を測定したとき、
L−アスコルビン酸−2−(ポリ)リン酸塩類の電気伝
導度が、理論電気伝導度の90%以上の範囲にある時
は、分子団の直径が0.001マイクロメーター以上の
巨大分子の存在はなく、安定で安全な液剤を製造できる
ことが判明した。
【0029】本発明の注射・点滴薬剤に配合されるL−
アスコルビン酸−2−(ポリ)リン酸の金属塩の濃度
は、本発明のラジカル疾患用注射・点滴薬剤の剤型が注
射溶液の場合、全溶液重量に対し0.001〜10,0
00ミリモルを配合するが、血液中での良好な溶解性を
考慮すると0.001〜100ミリモルが好ましい。
【0030】本発明のラジカル疾患用注射・点滴薬剤に
安定剤、効果活性剤等の目的で配合され得る物質の例と
しては、一般に添加剤として使用されているメトラゾー
ル、エトプシド、コール酸類、ジメチルサルフォキシ
ド、アデソシンリン酸類、ポリエチレングリコール類、
ポリブチレングリコール類等の水溶性高分子化合物類、
塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム等の
無機の塩類、クエン酸、リンゴ酸、リン酸、エデト酸、
シュウ酸、乳酸、酪酸、酢酸、アスコルビン酸、エリソ
ルビン酸、シアル酸、アミノ酸等の有機酸類及びこれら
の有機酸塩類、またはプロピレングリコール、ブチレン
グリコール、グリセリン等の多価アルコール類から選択
される1種又は2種以上の混合物を挙げることができ
る。
【0031】前記、コール酸類とは、胆汁酸、デヒドロ
コール酸、デオキシコール酸又はそのナトリウム、カリ
ウム等のアルカリ土類金属塩から選択される。前記アデ
ノシンリン酸とは、アデノシン−5’3リン酸、アデノ
シン−5’2リン酸、アデニル酸等のアデノシンのリン
酸エステル類より選択される。
【0032】本発明のラジカル疾患用注射・点滴薬剤の
剤型としては投与方法の簡便さ、効果から注射・点滴薬
剤が最も望ましい。本発明の薬剤は、上記の純物質又は
それらの混合物を公知の医薬用担体と組み合わせて製剤
化することができ、効果が最も高く投与法の簡便な注射
剤、点滴用剤の静脈注射による投与法が望ましい。
【0033】静脈注射により本発明の薬剤を投与する場
合は、本発明の注射液をヒトの体重1kg当たり0.1
〜50ccを、注射液中の溶解物質量の合計が1g/k
g/時間以下の速度になるように静脈等へ静脈注射又は
点滴する。注射液の溶解物質量の合計が20%以上の高
濃度になる場合は低濃度の液から開始し、徐々に濃度を
上げて投与することもできる。本発明のL−アスコルビ
ン酸−2−(ポリ)リン酸塩の投与量は製剤種、投薬法
によっても異なるが、1mg/kg体重/dayから2
000mg/kg体重/dayを1回又は数回に分けて
投与する。また、特に臓器移植、心臓の血管バイパス手
術等手術に伴う手術時の重度の虚血再灌流時及び重度の
貧血、低血圧、心臓停止、酸欠症等の後の再灌流、再酸
素化等の全身性の虚血再灌流時には、本発明のL−アス
コルビン酸−2−(ポリ)リン酸塩を600mg/kg
体重/day以上投与すると、より大きな効果を期待す
ることができる。
【0034】本発明のラジカル疾患用注射・点滴薬剤
は、該注射・点滴薬剤は、本発明のL−アスコルビン酸
−2−(ポリ)リン酸塩の種類及び量を調整して添加す
るか、又は本発明のL−アスコルビン酸−2−(ポリ)
リン酸塩に浸透圧を調整しうる添加物を添加することに
より、液剤の主成分であるL−アスコルビン酸−2−
(ポリ)リン酸塩の組織細胞に対する浸透性が増大し、
より大きな効果を得ることができる。浸透圧を調整しう
る添加物としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の
無機塩類、ATP、リンゴ酸、クエン酸などの有機酸類
又はそのナトリウム等の有機酸塩類、グルコース、フル
クトース等の糖類等の中から選択される1種又は2種以
上の複合物など、生理的に許容可能な添加物であれば特
に限定されない。
【0035】また、本発明のラジカル疾患用注射・点滴
薬剤に抗酸化剤を添加することにより成人病治療又は予
防効果を高めることができる。抗酸化剤としては、ビタ
ミンB、L−アスコルビン酸、ビタミンE及びL−アス
コルビン酸−2−グルコシドやその他のサッカロ−L−
アスコルビン酸の様なビタミン誘導体、ユビキノン、尿
酸、システイン、グルタチオン、グルタチオンペルオキ
シターゼ、SOD、クエン酸類、リン酸類、ポリフェノ
ール類、核酸類、漢方薬類、海草類、無機物及び日本薬
局法に抗酸化機能を保持する記述がある既存の抗酸化剤
より選択される1種又は2種以上の混合物を併用して添
加することもできる。
【0036】本発明は、有効成分として生体内で高いア
スコルビン酸活性を示すL−アスコルビン酸−2−(ポ
リ)リン酸のアルカリ金属塩を主成分とすることによ
り、製剤中及び保存中に安定で、生体に対し副作用が少
ない安全で効果的な医薬用組成物を提供することができ
た。特に従来のL−アスコルビン酸−2−(ポリ)リン
酸マグネシウム塩において問題であったL−アスコルビ
ン酸−2−(ポリ)リン酸多価金属塩の高分子化を、ア
ルカリ金属塩とすることにより高分子化を防止するだけ
でなく、アルカリ金属塩を主成分とすることによりL−
アスコルビン酸−2−(ポリ)リン酸の多価金属塩の高
分子化の問題を解消することができ、多価金属塩の毒性
を大幅に減少させ、それらもラジカル疾患用注射・点滴
薬剤の一部として使用することを可能とした。
【0037】
【実施例】以下、実施例、比較例を挙げて本発明を説明
するが、これらにより何等限定されるものではない。 (実施例1)表1の処方によりL−アスコルビン酸−2
−モノリン酸の塩類を500ccの医薬用精製水に完全
に溶解した後、注射液製造用除菌フィルターで滅菌濾過
し、本発明の静脈注射用フリーラジカル関与性疾病薬と
して500ccの注射溶液を22例製造した。
【0038】
【表1】
【0039】(効果試験)前記、実施例(表1)の本発
明のL−アスコルビン酸−2−リン酸塩を主成分とする
フリーラジカル関与性疾病薬からなる試験区と対照区
(表2)の注射液を使用し、本発明の医薬用組成物の効
果を以下の実験により比較確認した。
【0040】(心疾患に対する効果試験)ラットを開胸
し、左冠動脈前下行枝を15分間結紮した後に血流を再
開した。あらかじめ試験区として冠動脈閉塞15分前に
5mg/kgの本発明の医薬用組成物であるL−アスコ
ルビン酸−2−リン酸ナトリウム塩を配合したリンゲル
液(処方番号5)をラットに静脈内投与し、対照区とし
て、リンゲル液のみを試験区と同様に注入した。実験前
より抹消血中のラジカル依存性化学発光を昭和電工製ケ
ミカルルミネセンスで測定したところ、再灌流直後より
有意なラジカルの上昇が確認された。冠閉塞中は心電図
モニター上明確な不整脈はみられなかったが、血流再開
すると数秒以内に対照区のみに心疾患の指標である明確
な不整脈が発現した。しかし、本発明のL−アスコルビ
ン酸−2−リン酸ナトリウム塩配合の注射液を静脈内投
与した区では、対照区にみられた不整脈は明確に抑えら
れ、本発明のラジカル疾患用注射・点滴薬剤の心疾患に
対する効果が証明された。
【0041】(肝障害に対する効果試験)ラット門脈及
び冠動脈を20分間遮断後に60分間血流を再開後、肝
臓をグルタールアルデヒドで灌流固定し電子顕微鏡で観
察した。また、実験前より抹消血中のラジカル依存性化
学発光を昭和電工製ケミカルルミネセンスで測定したと
ころ血流再開直後より有意なラジカルの上昇が確認され
た。あらかじめ試験区としてラット門脈及び冠動脈遮断
15分前に5mg/kgの本発明のフリーラジカル関与
性疾病薬であるL−アスコルビン酸−2−リン酸カリウ
ム塩を配合したリンゲル液(処方番号12)をラットに
静脈内投与し、対照区としてリンゲル液のみを試験区と
同様に注入した。電子顕微鏡観察の結果、対照区ではD
isse腔、肝細胞間隔及び微小胆管が著名に拡大し、
細胞内に多数の空胞が認められ明らかに肝臓細胞に病態
が認められたが、本発明のL−アスコルビン酸−2−リ
ン酸カリウム塩を投与した試験区の電子顕微鏡観察で
は、肝臓の組織構築は正常に保たれており、本発明のラ
ジカル疾患用注射・点滴薬剤の肝疾患に対する効果が証
明された。
【0042】(膵疾患に対する効果試験)ラット冠動脈
を20分間遮断後に60分間血流を再開した後、膵疾患
モデルを作成し冠動脈遮断前及び血流再開後4時間目の
血液中のアミラーゼを測定した。実験前より抹消血中の
ラジカル依存性化学発光を昭和電工製ケミカルルミネセ
ンスで測定したところ血流再開直後より有意なラジカル
の上昇が確認された。あらかじめ試験区としてラット冠
動脈遮断15分前に5mg/kgの本発明のフリーラジ
カル関与性疾病薬であるL−アスコルビン酸−2−リン
酸ナトリウムカリウム塩を配合したリンゲル液(処方番
号18)をラットに静脈内投与し、対照区としてリンゲ
ル液のみを試験区と同様に注入した。血中アミラーゼ測
定の結果、対照区では血中アミラーゼレベルは遮断前の
レベルに比べ優位に高く最大6000U/dlの個体が
認められ、明らかに膵疾患の病態が認められたが、本発
明のL−アスコルビン酸−2−リン酸ナトリウムカリウ
ム塩を投与した試験区の血中アミラーゼレベルは最大個
体で1000U/dlであり、遮断前の正常な状態に比
較し若干のアミラーゼの上昇傾向が認められたが、対照
区に比較し優位に低く、本発明ラジカル疾患用注射・点
滴薬剤の膵疾患に対する効果が証明された。
【0043】(腎障害に対する効果試験)ラット冠動脈
を20分間遮断後に60分間血流を再開した後、腎臓組
織に障害を与えた腎疾患モデルを作成し、冠動脈遮断前
及び血流再開後5日間の平均尿中蛋白を測定した。実験
前より抹消血中のラジカル依存性化学発光を昭和電工製
ケミカルルミネセンスで測定したところ、血流再開直後
より有意なラジカルの上昇が確認された。あらかじめ試
験区としてラット冠動脈遮断15分前に5mg/kgの
L−アスコルビン酸−2−リン酸ナトリウム塩、L−ア
スコルビン酸−2−リン酸カリウム塩、L−アスコルビ
ン酸−2−リン酸マグネシウム塩の1:1:0.5(重
量比)を配合したリンゲル液(処方番号 )をラット
に静脈内投与し、対照区としてリンゲル液のみを試験区
と同様に注入した。再灌流後5日間の平均尿中蛋白測定
の結果、対照区では尿中蛋白レベルは遮断前のレベルに
比べ優位に高く明らかに腎疾患の病態が認められたが、
本発明のL−アスコルビン酸−2−リン酸複合塩を投与
した試験区の尿中蛋白レベルは、遮断前の正常な状態に
比較し若干の尿中蛋白の上昇傾向が認められたが、対照
区に比較し優位に低く、本発明のラジカル疾患用注射・
点滴薬剤の腎疾患に対する効果が証明された。
【0044】(臓器不全症に対する効果試験)ラット冠
動脈閉塞モデルによって全身虚血を5分間加え、その後
血流を再開した。実験前より抹消血中のラジカル依存性
化学発光を昭和電工製ケミカルルミネセンスで測定した
ところ、血流再開直後より有意なラジカルの上昇が確認
された。あらかじめ試験区としてラット冠動脈遮断15
分前に5mg/kgのL−アスコルビン酸−2−リン酸
ナトリウム塩3水和物を配合したリンゲル液をラットに
静脈内投与し、対照区としてリンゲル液のみを試験区と
同様に注入した。血流再開後も本発明のフリーラジカル
関与性疾病薬を同量5日間、毎日1回注入し10日後に
解剖し、心臓、肝臓、腎臓、膵臓、胆嚢の細胞壊死指数
45Caオートラジオグラフィ/イメージアナライザー
により求めた。対照区のラットでは虚血後各臓器で多数
の細胞が壊死する遅発性細胞死が認められたが、本発明
のラジカル疾患用注射・点滴薬剤を注入したネズミ(1
群8匹)では、各細胞の壊死が顕著に防止されているこ
とが確認された。
【0045】(臓器不全症に対する比較効果試験)ラッ
ト冠動脈閉塞モデルによって、全身虚血を5分間加えそ
の後血流を再開した。実験前より抹消血中のラジカル依
存性化学発光を昭和電工製ケミカルルミネセンスで測定
したところ、血流再開直後より有意なラジカルの上昇が
確認された。あらかじめ試験区としてラット冠動脈遮断
15分前に5mg/kgのL−アスコルビン酸−2−リ
ン酸ナトリウム塩3水和物を配合したリンゲル液をラッ
トに静脈内投与し、対照区としてヒトCu−Zn型SO
Dを配合したリンゲル液を試験区と同様に注入した。血
流再開後も本発明の前記の医薬用組成物を同量5日間、
毎日1回注入し10日後に解剖し、心臓、肝臓、腎臓、
膵臓、胆嚢の細胞壊死指数を45Caオートラジオグラフ
ィ/イメージアナライザーにより求めた。その結果を表
3に示す。対照区のラットでは、45Caオートラジオグ
ラフィ/イメージアナライザーで見ると、虚血後各臓器
で多数の細胞が壊死する遅発性細胞死が認められたが、
本発明のラジカル疾患用注射・点滴薬剤を注入したネズ
ミ(1群8匹)では、各細胞の壊死が顕著に防止される
ことが確認された。結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】(静脈注射における比較安全性試験)常法
により、本発明の主成分であるL−アスコルビン酸−2
−リン酸塩の静脈注射による急性毒性試験をマウス、ラ
ット、ビーグル犬で実施しLD50を求めその結果を以下
の表3にまとめた。本結果より対照のL−アスコルビン
酸−2−マグネシウム塩に比較し、本発明のL−アスコ
ルビン酸−2−リン酸のアルカリ金属塩塩が静脈注射に
おいて、より高い安全性を示すことが確認された。
【0048】
【表3】
【0049】本発明の主成分である試験区のL−アスコ
ルビン酸−2−リン酸のナトリウム、カリウム塩及びナ
トリウムカリウム塩と、対照区のL−アスコルビン酸−
2−リン酸マグネシウム塩を滅菌した精製水に1重量%
でそれぞれ溶解させ、レーザー粒径解析装置(大塚電子
製,PAR−3)により、そのL−アスコルビン酸−2
−リン酸の塩類の分子団の直径を測定した。その結果、
対照区のL−アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウム
塩水溶液では、その分子直径分布が0.006マイクロ
メーターのものが観察されたが、本発明のフリーラジカ
ル関与性疾病薬である試験区のL−アスコルビン酸−2
−リン酸のナトリウム塩、カリウム塩及びナトリウムカ
リウム塩の水溶液では0.001マイクロメーター以上
の分子半径を持つものは見出されなかった。
【0050】本発明の主成分である試験区のL−アスコ
ルビン酸−2−リン酸のナトリウム及びカリウム塩と対
照区のL−アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウム塩
を滅菌した精製水に1重量%でそれぞれ溶解させ、その
電気伝導度を常法により測定した。その結果、対照区の
L−アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウム塩の電気
伝導度は、マグネシウム塩のすべてが解離したと計算し
た理論電気伝導度の18.7%以下であったが、試験区
のL−アスコルビン酸−2−リン酸のナトリウム及びカ
リウム塩ではその全てが予想される理論電気伝導度の9
8.3%以上の値を示し、そのほとんどがイオンとして
解離していることが確認された。
【0051】
【発明の効果】本発明のフリーラジカル関与性疾病薬
は、L−アスコルビン酸をりん酸でエステル化して、酸
化され易く、製剤中あるいは製剤化した後での品質維持
が困難であったL−アスコルビン酸を、主剤として用い
るL−アスコルビン酸−2−(ポリ)リン酸をアルカリ
金属塩とすることにより、そのアスコルビン酸としての
活性を失わずに安定化すること、さらには水溶性製剤と
した場合でも高分子化を起こさず、安全度が高く副作用
を少なくすることに成功し、本発明のフリーラジカル関
与性疾病薬を開発することに成功したものである。この
結果、広範囲なフリーラジカル関与性疾病、特に各種の
虚血性疾病に対して有効な活性を有するフリーラジカル
関与性疾病薬として、予防または治療に広く使用できる
ものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/375 ACV A61K 31/375 ACV ADA ADA 9/08 ADK 9/08 ADKF

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 L−アスコルビン酸−2−(ポリ)リン
    酸のナトリウム塩、カリウム塩またはナトリウム・カリ
    ウム塩を有効成分として含有するラジカル疾患用注射・
    点滴薬剤。
  2. 【請求項2】 L−アスコルビン酸−2−(ポリ)リン
    酸のナトリウム塩、カリウム塩またはナトリウム・カリ
    ウム塩100重量部にL−アスコルビン酸−2−(ポ
    リ)リン酸の多価金属塩を0〜120重量部配合させた
    請求項1記載のラジカル疾患用注射・点滴薬剤。
  3. 【請求項3】 L−アスコルビン酸−2−リン酸ナトリ
    ウム塩を有効成分として含有するラジカル疾患用注射・
    点滴薬剤。
  4. 【請求項4】 L−アスコルビン酸−2−リン酸ナトリ
    ウム塩100重量部にL−アスコルビン酸−2−リン酸
    マグネシウム塩0〜120重量部配合させた請求項2記
    載のラジカル疾患用注射・点滴薬剤。
  5. 【請求項5】 ラジカル疾患が、虚血性心疾患、虚血性
    再潅流心筋障害、虚血性肝障害、虚血性再潅流肝臓障
    害、虚血性再潅流腎臓障害、虚血性再潅流膵臓障害、虚
    血性再潅流胆嚢障害、虚血性再潅流循環器障害、虚血性
    再潅流消化器障害、虚血性再潅流筋障害、虚血性再潅流
    血管障害、虚血性再潅流眼障害または虚血性再潅流皮膚
    障害である請求項1〜4のいずれかに記載のラジカル疾
    患用注射・点滴薬剤。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008029346A (ja) * 2004-01-30 2008-02-14 Sanwa Kagaku Kenkyusho Co Ltd 糖尿病黄斑症の予防又は治療剤
US7579325B2 (en) 2001-03-21 2009-08-25 Eisai R & D Management Co., Ltd. Drugs containing reduced of vitamin B2
JP2013502273A (ja) * 2009-08-17 2013-01-24 ケーシーアイ ライセンシング インク 閉塞によって誘発される再かん流障害を低減するシステム

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