JPH09298827A - 電線接続部の被覆チューブ - Google Patents

電線接続部の被覆チューブ

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JPH09298827A
JPH09298827A JP8109882A JP10988296A JPH09298827A JP H09298827 A JPH09298827 A JP H09298827A JP 8109882 A JP8109882 A JP 8109882A JP 10988296 A JP10988296 A JP 10988296A JP H09298827 A JPH09298827 A JP H09298827A
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JP
Japan
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elastic element
tube
electric wire
elastic
seal
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JP8109882A
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English (en)
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Shinji Ishikawa
信治 石川
Tsunehisa Nakamura
恒久 中村
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3M Co
Original Assignee
Minnesota Mining and Manufacturing Co
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Publication date
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    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02GINSTALLATION OF ELECTRIC CABLES OR LINES, OR OF COMBINED OPTICAL AND ELECTRIC CABLES OR LINES
    • H02G15/00Cable fittings
    • H02G15/08Cable junctions
    • H02G15/18Cable junctions protected by sleeves, e.g. for communication cable
    • H02G15/182Cable junctions protected by sleeves, e.g. for communication cable held in expanded condition in radial direction prior to installation
    • H02G15/1826Cable junctions protected by sleeves, e.g. for communication cable held in expanded condition in radial direction prior to installation on a removable hollow core, e.g. a tube
    • H02G15/1833Cable junctions protected by sleeves, e.g. for communication cable held in expanded condition in radial direction prior to installation on a removable hollow core, e.g. a tube formed of helically wound strip with adjacent windings, which are removable by applying a pulling force to a strip end

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 開口端のみにPSTを配設して、異形断面電
線に対する優れたシール性を発揮でき、低コストで製造
できる電線接続部の被覆チューブを提供する。 【解決手段】 被覆チューブ10は、可撓性を有するス
リーブ部12と、スリーブ部12の両開口端に設けられ
るシール部14とを備える。シール部14は、スリーブ
部12から一体に延長される第1弾性要素16と、第1
弾性要素16の径方向内側に配置される第2弾性要素1
8と、第1弾性要素16及び第2弾性要素18を弾性的
拡径状態に保持する除去可能なコア要素20とから形成
される。第1弾性要素16は、JIS−K6301基準
で10kgf/cm2 〜100kgf/cm2 の300%引張応力値
を有するエラストマーからなる。第2弾性要素18は、
JIS/A基準で30Hs以下の硬さを有するエラストマ
ーからなる。シール部14は、第2弾性要素18の変形
により異形電線に対して優れたシール性を発揮する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電線の直線接続部
や分岐接続部等の接続部に、防湿、電気的絶縁、及び機
械的保護処理を施すための、電線接続部の被覆チューブ
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電線(ケーブル)同士の接続部や
電線と他の導電端末部材との接続部において露出した電
線導体を、防湿、電気的絶縁、及び機械的保護の目的で
被覆処理するために、様々な方法が用いられている。例
えば、接続部に防水性粘着テープを巻着する方法、接続
部を別体の管部材で被覆した後に管部材の端部を防水性
粘着テープで封止する方法、接続部にマスチック等のペ
ースト状部材を塗着した上に防水性粘着テープを巻着す
る方法等は、簡便で安価な方法として周知であるが、防
水性粘着テープの巻着処理が作業者によって仕上がり状
態に差を生じ易く、均一かつ安定した処理を施すことが
困難となる課題がある。
【0003】充分な防湿性、電気絶縁性、及び機械的保
護特性を、電線接続部に容易かつ安定的に付与するため
に、接続部の外径寸法を上回る内径寸法と接続部の全長
を超える長さとを有した管部材を、接続部を囲繞して配
置した後に何らかの手段を用いて収縮させ、その収縮力
によって接続部を密接被覆する被覆チューブ(以下、収
縮チューブという)が知られている。この種の収縮チュ
ーブには、熱収縮性に富む高分子材料からなる管部材
を、外部の熱源を用いて加熱収縮させる熱収縮チューブ
(特開平1−295614号公報参照)と、永久伸びの
小さなエラストマーからなる管部材の全長部分を、硬質
プラスチック等からなる筒状のコア部材によって予め弾
性的に拡径(径方向へ拡張)し、接続部への装着時にコ
ア部材を除去することによって弾性収縮させるコア付弾
性収縮チューブ(特開平3−143217号公報参照)
とがある。
【0004】上記の収縮チューブはいずれも、作業時間
の短縮及び仕上がり状態の安定化が可能であり、また、
管部材がそれ自体の収縮力によって電線導体及び電線外
被に密着するので、防水性粘着テープを使用せずに充分
な防湿性、電気絶縁性、及び機械的保護特性を接続部に
付与できる利点を有する。しかしながら、熱収縮チュー
ブは、作業時にバーナー等の熱源を必要とする煩雑さを
有し、また、一様な収縮形状を得るためには加熱収縮作
業に熟練を要する課題がある。他方、コア付弾性収縮チ
ューブ(一般にPST(プレストレッチドチューブ)と
称する)は、収縮作業に熟練を要しないものの、管部材
の全長が長くなるほどコア部材の除去に時間を要し、ま
たコア部材の存在により、電線接続部への装着時に管部
材を曲げることができず、作業が行い難くなるととも
に、管部材の筒状壁を指で圧搾して電線接続部の管部材
内での相対位置を確認しつつ管部材を接続部に装着する
ことができず、被覆処理の信頼性が低下する傾向があっ
た。
【0005】コア付弾性収縮チューブが有するこのよう
な課題を解決するものとして、特開平7−57798号
公報は、チューブ開口端の近傍領域のみにPST構造の
シール部を備えて構成される被覆チューブを開示する。
すなわちこの被覆チューブは、複数の開口端を備えた管
状のスリーブ部と、スリーブ部の各開口端に設けられる
管状のシール部とを具備し、各シール部が、スリーブ部
に一体に連結される管要素と、管要素の径方向内側に配
置されて管要素を弾性的拡径状態に保持する除去可能な
コア要素とから形成されるものである。したがってこの
被覆チューブでは、各シール部に設置されたコア要素の
全長が、チューブ全体にPST構造を有する場合に比べ
て縮小されるので、コア要素の除去に要する作業時間が
短縮される。また、電線接続部を被覆するスリーブ部に
はコア要素が配置されないので、装着作業においてスリ
ーブ部を自在に撓曲することができ、装着作業性を改善
できるとともに、スリーブ部内の電線接続部の位置を触
感で確認しつつ被覆チューブを適正位置に装着できる。
【0006】ところで、屋外に架設される電線は、滑ら
かな略円形断面を備えたものだけでなく、角や凹凸を有
する異形断面を備えたものが知られている。例えば、特
に冬季に積雪量の多い地域では、電線に堆積した雪の重
量による断線を防止するために、電線外被の外表面から
径方向に突出する突条を長手方向に延長形成した電線
(一般にSN−OC電線と称する)が使用されている。
このような異形断面の電線に対し、上記の収縮チューブ
を直接に使用すると、突条の周囲において電線外被と収
縮チューブとの間に隙間が形成され、充分な防湿性及び
電気絶縁性を得ることが困難になる。そこで従来、異形
断面の電線に対しては、電線接続部にマスチックを塗布
した後にコア付弾性収縮チューブを装着していた。しか
しながらこの方法では、マスチックが収縮チューブから
はみ出して周辺を汚損したり、マスチックが異形の電線
表面に充分に追従して硬化するのに長時間を要したりす
る課題があった。
【0007】特開平7−298473号公報は、異形断
面の電線に対して充分な防湿性及び電気絶縁性を得るこ
とができる被覆チューブを開示する。この被覆チューブ
は、チューブ全長に亙ってPST構造を有し、かつコア
部材により拡径される管部材が、外層よりも硬さの小さ
いエラストマーを内層に配置した2層構造を有して形成
される。したがってこの被覆チューブによれば、コア部
材を除去した後の管部材の収縮により、柔軟な内層が異
形の電線表面に充分に追従するとともに、外層の収縮力
により充分なシール効果が得られる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】特開平7−57798
号公報に開示される被覆チューブは、各シール部の管要
素が単層構造であるので、前述したように異形断面の電
線に対する充分な防湿性及び電気絶縁性を得ることが困
難となる課題を有する。他方、特開平7−298473
号公報に開示される被覆チューブは、チューブ全長にコ
ア部材が配置されるので、コア部材の除去に時間を要
し、またコア部材の存在により装着作業性が悪く、被覆
処理の信頼性が低下する課題を有する。
【0009】さらに、いずれの公報に記載された被覆チ
ューブも、被覆チューブの構成を、例えば電線の分岐接
続部に適用する場合のように、各開口端における拡径寸
法すなわちコア部材(又はコア要素)の外径寸法が異な
るものとする場合に、次のような問題が生じる。例えば
被覆チューブを電線のY分岐接続部に適用する場合、被
覆チューブの分岐電線用の2つの開口端からチューブ内
に1本ずつ挿入された計2本の分岐電線を主電線用の1
つの開口端から引出し、両分岐電線を1本の主電線に接
続した後、被覆チューブをずらして電線接続部をチュー
ブ内に配置し、その状態でコア部材を除去することによ
り、被覆チューブが電線接続部に装着される。したがっ
て被覆チューブの主電線側開口端は、分岐電線側開口端
よりも大径のコア部材を用いて大きく拡径されなければ
ならない。そして、主電線と分岐電線とが略同一径を有
する場合には、このように大きく拡径した主電線側開口
端における管部材(又は管要素)は、コア部材を除去し
た後に、より小さく拡径した分岐電線側開口端における
管部材と同様に、略同一径まで収縮して、主電線に対
し、分岐電線側と同等のシール能力を発揮できることが
要求される。したがってこのような分岐形の被覆チュー
ブを製造する際には、管部材の材料として、より大きく
拡径する主電線側開口端にて充分なシール能力を発揮で
きるだけの永久伸び特性を有した材料を選択することに
なるが、そのような材料は主電線側開口端以外の部分に
関しては能力過剰であり、材料コストが不要に増大する
課題が生じる。
【0010】本発明の目的は、開口端近傍領域のみにP
ST構造を配設することにより装着作業性及び被覆信頼
性を向上させた電線接続部の被覆チューブにおいて、異
形断面の電線に対しても優れた防湿性及び電気絶縁性を
得ることができ、しかも、分岐接続部への適用のように
各開口端に異なる拡径寸法が要求される適用において
も、所望の開口端に所望のシール能力を付与できるよう
にすることにより材料コストの上昇を抑制できる電線接
続部の被覆チューブを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、複数の開口端を備えた電気絶縁性のエラ
ストマーからなる管状のスリーブ部と、スリーブ部の複
数の開口端の各々に設けられる電気絶縁性を有した管状
のシール部とを具備し、シール部の各々が、スリーブ部
に連結される管要素と、管要素の径方向内側に配置さ
れ、管要素を弾性的拡径状態に保持する除去可能なコア
要素とから形成される電線接続部の被覆チューブにおい
て、少なくとも1つのシール部の管要素が、スリーブ部
から一体的に延長される第1弾性要素と、第1弾性要素
とコア要素との間に挟持される第2弾性要素とを具備す
ることを特徴とする電線接続部の被覆チューブを提供す
る。
【0012】さらに本発明は、上記した電線接続部の被
覆チューブにおいて、第2弾性要素が、第1弾性要素よ
りも硬さの小さいエラストマーからなる被覆チューブを
提供する。
【0013】さらに本発明は、上記した電線接続部の被
覆チューブにおいて、第2弾性要素の硬さがJIS−A
基準で30Hs以下であり、第1弾性要素が10kgf/cm2
〜100kgf/cm2 の範囲の300%引張応力値を有する
被覆チューブを提供する。
【0014】さらに本発明は、上記した電線接続部の被
覆チューブにおいて、第2弾性要素が、第1弾性要素よ
りも永久伸びの小さいエラストマーからなる被覆チュー
ブを提供する。
【0015】さらに本発明は、上記した電線接続部の被
覆チューブにおいて、第1弾性要素の永久伸びが10%
〜30%の範囲にあり、第2弾性要素の永久伸びが10
%未満である被覆チューブを提供する。
【0016】さらに本発明は、上記した電線接続部の被
覆チューブにおいて、少なくとも1つのシール部の管要
素が、第2弾性要素とコア要素との間に挟持される第3
弾性要素をさらに具備し、第2弾性要素が、第1弾性要
素よりも永久伸びの小さいエラストマーからなるととも
に、第3弾性要素が、第2弾性要素よりも硬さの小さい
エラストマーからなる被覆チューブを提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発
明をその好適な実施の形態に基づき詳細に説明する。複
数の図面において、同一又は類似の構成要素には共通の
参照符号を付す。図1は、本発明の一実施形態による電
線接続部の被覆チューブ10を示す。被覆チューブ10
は、2つの開口端を有する略円筒状の管部材からなり、
主として略同一外径の電線同士の直線接続部を防湿、電
気的絶縁、及び機械的保護の目的で被覆収容する。被覆
チューブ10は、2本の電線の端部で露出されて相互連
結された導体部分と、各電線のそれら導体部分に隣接す
る電線外被の末端部分とを囲繞可能な長さを有した管状
のスリーブ部12を備える。スリーブ部12は、後述す
るように、導体部分及び電線外被の末端部分の外径寸法
よりも大きな内径寸法を有することが好ましい。スリー
ブ部12は、本質的に電気絶縁性及び可撓性を有したエ
ラストマーからなり、被覆対象の電線の撓みに対応して
自由に変形可能となっている。
【0018】スリーブ部12の2つの開口端には、PS
T構造のシール部14がそれぞれ形成される。各シール
部14は、スリーブ部12に連結される管要素として、
スリーブ部12から一体的に延長形成される管状の第1
弾性要素16と、第1弾性要素16の径方向内側に別体
要素として配置される管状の第2弾性要素18とを備え
る。第1弾性要素16と第2弾性要素18とは、好まし
くは後述するように相互に特性の異なるエラストマーか
らなる。さらに各シール部14は、第2弾性要素18の
径方向内側に除去可能に配置される管状のコア要素20
を備える。コア要素20は、被覆対象となる電線の電線
外被の外径寸法より充分に大きな内径寸法を有し、第1
弾性要素16及び第2弾性要素18を弾性的に拡径する
とともに、それらの弾性回復(収縮)力に抗してコア要
素自体の内径寸法を維持しつつ第1弾性要素16及び第
2弾性要素18を弾性的拡径状態に保持する。
【0019】後述するように、被覆チューブ10を電線
接続部に装着すると、スリーブ部12は電線接続部を被
覆収容し、シール部14の第1弾性要素16及び第2弾
性要素18は、コア要素20を除去することにより弾性
収縮して、その収縮による締付力のもとで電線接続部の
電線外被の末端近傍部分に密着する。なお、スリーブ部
12と各シール部14の第1弾性要素16とは、好まし
くは射出成形工程により、同一材料から一体形成され
る。
【0020】このように、2層構造の管要素を備えたシ
ール部14は、管要素の第1弾性要素16及び第2弾性
要素18をコア要素20により所定径まで拡径する際
に、管要素に加わる引張応力が各要素16、18に分散
されるので、従来技術(例えば特開平7−57798号
公報に記載)の単層の管要素と同一寸法(厚み、径)で
比較すると、材料の物性の必要条件が緩和される。例え
ば、管要素同士を同一寸法で比較した場合、本発明の2
層の管要素に要求される永久伸び特性は、従来の単層の
管要素に要求される永久伸び特性よりも条件が緩和され
る。換言すれば、同じ永久伸び特性を有する材料から作
成した場合、本発明の2層の管要素は従来の単層の管要
素よりも拡径率を大きくとることができる。このような
効果は、例えば被覆チューブを電線のY分岐接続部に適
用する際に、極めて有効に作用する(Y分岐接続部への
適用例は、他の実施形態として後述する)。
【0021】さらに、2層構造の管要素を備えたシール
部14は、管要素の第1弾性要素16及び第2弾性要素
18を、互いに異なる物性を有するエラストマーから形
成することにより、種々の効果を生じる。例えば、内層
の第2弾性要素18を硬さの低いエラストマーから形成
すれば、機械的保護機能を維持するために外層の第1弾
性要素16の硬さを高く設定した場合にも、前述したS
N−OC電線のような表面に凹凸を有する異形断面の電
線に対しても優れたシール効果を得ることができる。こ
のような異形断面の電線への適用に関し、以下に被覆チ
ューブ10の特徴を材料の点から説明する。
【0022】シール部14の管要素の外層を構成する第
1弾性要素16は、電気絶縁性、高い弾性回復率、優れ
た永久伸び特性等の、PSTとして好ましい物性を有す
るエラストマーからなる。特に、例えば前述したSN−
OC電線の使用環境である低温条件においても、第2弾
性要素18を介して電線外被に強固な締付力を継続的に
加えることができ、優れた防湿作用、電気絶縁作用及び
機械的保護作用を発揮できる材料からなることが望まし
い。第1弾性要素16の材料の具体例としては、エチレ
ンプロピレンゴム(特にEPDM)、クロロプレンゴ
ム、ブチルゴム、シリコーンゴム、天然ゴム、フッ素系
ゴム、シリコーン変性EPDM等が挙げられる。これら
のうちでシリコーンゴムは、広い温度範囲で特性が劣化
せず、耐候性に優れ、撥水性が高く、電気絶縁性が秀逸
である点で、特に好ましい材料である。
【0023】さらに詳述すれば、第1弾性要素16は、
JIS−K6301に準拠した測定方法に基づいて、1
0kgf/cm2 〜100kgf/cm2 (0.98MP〜9.8MP)
の範囲の300%引張応力値を有するエラストマーから
なる。300%引張応力値が10kgf/cm2 未満では、シ
ール部14の弾性収縮時に第2弾性要素18を介して生
じる電線接続部への締付力が不足し、電線接続部の気密
性、防湿性等に支障を生じ、また100kgf/cm2 を超え
ると、シール部14にコア要素20を設置するために第
1弾性要素16及び第2弾性要素18を弾性的に拡径す
るに要する力が増大し、被覆チューブ10の製造が困難
となる。なお、電線接続部に対し有効な気密性、防湿性
等を得るためには、上記300%引張応力値は、好まし
くは20kgf/cm2 〜60kgf/cm2 (1.96MP〜5.8
8MP)の範囲、さらに好ましくは30kgf/cm2 〜50kg
f/cm2 (2.94MP〜4.9MP)の範囲である。
【0024】第1弾性要素16はさらに、JIS−K6
301に準拠した測定方法(A形)に基づいて、30Hs
〜60Hsの範囲の硬さを有するエラストマーからなる。
硬さが30Hs未満では、材料が軟らか過ぎて、機械的保
護機能が低下するだけでなく、第1弾性要素16の弾性
収縮時に第2弾性要素18を介して得られる電線接続部
の気密性、防湿性等が劣化する。また硬さが60Hsを超
えると、材料の伸びが低下して、シール部14にコア要
素20を設置するために第1弾性要素16及び第2弾性
要素18を弾性的に拡径するに要する力が増大し、被覆
チューブ10の製造が困難となる。
【0025】シール部14の管要素の内層を構成する第
2弾性要素18は、被覆チューブ10の未使用時には第
1弾性要素16とコア要素20との間に挟持され、電線
接続部への装着時にはコア要素20を除去することによ
り、第1弾性要素16と共に弾性的に収縮して、第1弾
性要素16が生じる強固な締付力により、電線接続部の
電線外被の末端近傍部分に密着される。このような第2
弾性要素18は、第1弾性要素16と同様にPSTとし
て好ましい物性を有するエラストマーからなり、特に、
低温条件における特性の劣化が少ない点で、やはりシリ
コーンゴムが最適な材料である。
【0026】さらに第2弾性要素18は、SN−OC電
線のように異形断面を有する電線に対して被覆チューブ
10を使用する際に、電線外被と第1弾性要素16との
間で容易に変形して電線外被表面の凹凸に良好に追従
し、第1弾性要素16の強固な締付力のもとで充分な防
湿性及び電気絶縁性を得ることを可能にする。このよう
な特性を実現するために、第2弾性要素18のエラスト
マーには、化学的又は物理的架橋構造を導入することが
望ましく、また発泡させたエラストマーを使用すること
もできる。
【0027】詳述すれば、第2弾性要素18は、JIS
−K6301に準拠した測定方法(A形)に基づいて、
30Hs以下の硬さを有するエラストマーからなる。硬さ
が30Hs以上では、材料が硬過ぎて、SN−OC電線の
ように異形断面を有する電線外被表面に対する変形追従
性が劣化し、シール部14の弾性収縮時に電線外被表面
と第2弾性要素18との間に隙間が生じて電線接続部に
対する気密性、防湿性等が不足する。また、第2弾性要
素18のエラストマーは、JIS−K6301に準拠し
た測定方法(A形)に基づいて5Hs以上の硬さを有する
ことが好ましい。硬さが5Hs未満では、粘性が大きくコ
ア要素20の外表面に張付き易くなり、流動性が高く電
線と被覆チューブ10との間からはみ出し易くなり、電
線外被表面の凹凸に追従する変形に時間を要し、耐熱性
が低下する。第2弾性要素18のエラストマーのさらに
好ましい硬さは7Hs〜25Hsの範囲であり、最も好まし
い硬さは10Hs〜20Hsの範囲である。
【0028】また第2弾性要素18は、JIS−K63
01に準拠した測定方法に基づいて、1kgf/cm2 〜50
kgf/cm2 (0.098MP〜4.9MP)の範囲の300%
引張応力値を有するエラストマーからなることが好まし
い。300%引張応力値が1kgf/cm2 未満では、流動性
が高く、シール部14の弾性収縮時に電線と被覆チュー
ブ10との間からはみ出し易くなり、また50kgf/cm2
を超えると、異形断面を有する電線外被表面に対する変
形追従性が劣化し、シール部14の弾性収縮時に電線外
被表面と第2弾性要素18との間に隙間を生じ易くな
る。なお、さらに好ましい300%引張応力値は、3kg
f/cm2 〜20kgf/cm2 (0.294MP〜1.96MP)の
範囲である。
【0029】なお、シール部14の第1弾性要素16及
び第2弾性要素18の他の物性(例えば永久伸び、引張
強さ等)は、PSTに好適な範囲で任意である。また、
シール部14の第1弾性要素16及び第2弾性要素18
の軸方向長さは、被覆チューブ10の適用電線に印加さ
れる電圧によって決まるシール距離(確実なシールを得
るに必要とされる長さ)に対応して、適宜設定される
が、10mm以上の寸法であることが好ましい。図示実施
形態では、第2弾性要素18がシール部14からはみ出
さないように、第1弾性要素16は第2弾性要素18よ
りも軸方向外方へ突出する長さを有する。さらに、シー
ル部14の第1弾性要素16と第2弾性要素18とを合
わせた管要素の径方向厚みも、シール距離に対応して適
宜設定されるが、3mm以上であることが好ましい。
【0030】シール部14のコア要素20は、例えば硬
質プラスチックからなる円筒状部材であり、第1弾性要
素16及び第2弾性要素18をそれらの弾性回復(収
縮)力に抗して前述した弾性的拡径状態に保持するに充
分な剛性を有する。コア要素20の好適な材料として
は、酢酸又は酪酸セルロース、ポリプロピレン、ポリエ
チレン、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
【0031】コア要素20は、その円筒壁の全長に亙っ
て螺旋状に延びる溝又は弱め線22と、スリーブ部12
に隣接して配置される端部にてストリップ状に延出する
延長部24とを備える。延長部24は、コア要素20の
内部を通されて、その先端が、シール部14の軸方向外
端から引き出される。コア要素20は、被覆チューブ1
0を電線接続部に装着する際に、延長部24をシール部
14の外側から引っ張ることにより弱め線22に沿って
連続的に破壊され、シール部14から除去される。した
がってコア要素20は、シール部14内に電線を収容し
た状態で、電線外被とコア要素20との隙間を利用して
延長部24を容易に引っ張ることができるだけの内径寸
法を有することが好ましい。
【0032】このように被覆チューブ10では、両端の
シール部14に配置したコア要素20は、被覆チューブ
10の全長に関わらず、適用電線に必要なシール距離に
相当する長さを有していればよい。その結果、全長に亙
ってPST構造を有する被覆チューブに比べて、コア要
素20の除去作業に要する時間が著しく短縮される。ま
た、コア要素20に起因する材料コスト及び廃棄物量が
減少する。
【0033】次に、上記構成を有する被覆チューブ10
の作用効果を、図2〜図4を参照して説明する。図2に
示すように、例えばSN−OC電線30(以下、単に電
線30と称する)の直線接続部では、接続される2本の
電線30の、外被32及び絶縁体(図示せず)の除去に
より露出された導体34が、コネクタ36によって相互
に接続される。最初に被覆チューブ10には、2本の電
線30の相互接続に先立って一方のシール部14から1
本の電線30が挿入され、その露出導体34が他方のシ
ール部14から被覆チューブ10の外側に引き出され
て、コネクタ36により他の電線30の露出導体34に
接続される。次いで被覆チューブ10を移動して、スリ
ーブ部12の略中央にコネクタ36を位置決めしつつ、
各電線30の外被32の末端部分、露出導体34、及び
コネクタ36を包囲する準備位置(図2)に配置する。
【0034】このときスリーブ部12の内径寸法を、そ
の内表面と、外被32、導体34、及びコネクタ36の
各外表面との間に隙間38が形成されるように設定する
ことにより、被覆チューブ10に電線30を挿通する際
の摩擦抵抗が減少し、容易に挿通できるようになる。或
いはまた、スリーブ部12が電線接続部を締付けない程
度に、隙間38を可及的に低減してもよい。さらに、ス
リーブ部12を前述のように可撓性材料から形成するこ
とにより、スリーブ部12の筒状壁を指で圧搾して被覆
チューブ10内でのコネクタ36の位置を確認すること
が可能となる。
【0035】被覆チューブ10を図2の準備位置に配置
し、シール部14のコア要素20を、延長部24の先端
を図示矢印A方向へ引っ張ることにより、弱め線22に
沿って螺旋状に破壊しつつシール部14から除去する。
それによりシール部14の第1弾性要素16及び第2弾
性要素18は、それらの弾性収縮による締付力のもとで
電線30の外被32の外表面に密着する(図3参照)。
このとき、30Hs(JIS/A)以下の硬さを有するエ
ラストマーからなる第2弾性要素18は、10kgf/cm2
〜100kgf/cm2 の300%引張応力値を有するエラス
トマーからなる第1弾性要素16の強固な締付力によ
り、電線30の外被32の外表面に設けた径方向に突出
する突条40に追従して容易に変形し、第1弾性要素1
6と外被32との間を少なくとも水密状に封止する(図
4参照)。
【0036】シール部14の第1弾性要素16及び第2
弾性要素18の弾性収縮による締付力の大きさは、いわ
ゆるシールストレス(%)の値に左右される。本実施形
態では、適用される電線の外径寸法(すなわち突条40
を有しない部位の外被32の外径寸法)に対応して、第
1弾性要素16における5%以上のシールストレスが得
られるように、被覆チューブ10の特にシール部14の
非拡径時の径寸法(すなわちコア要素20を除いた非拡
径時の第1弾性要素16の内径寸法)を設定する。それ
によりSN−OC電線30のような異形断面を有する電
線に対しても、必要かつ充分な防湿、電気絶縁、及び機
械的保護効果が得られる。なお、シールストレスは次式
により算出される。 シールストレス=〔(電線外被32の外径−非拡径時の
第1弾性要素16の内径)/非拡径時の第1弾性要素1
6の内径〕×100
【0037】上記した被覆チューブ10による電線接続
部の防湿及び電気絶縁効果、並びに数値限定の根拠を、
以下の実験の評価結果によってさらに明確にする。実験
される被覆チューブ10は、表1に示すように、特に3
00%引張応力値の異なる3種類のPST用シリコーン
ゴムI、II、 IIIから、スリーブ部12及び第1弾性要
素16を金型成形により一体に形成し、また表2に示す
ように、特に硬さ(JIS−A)の異なる3種類のPS
T用シリコーンゴムi、ii、 iiiから、第2弾性要素1
8を金型成形により形成して第1弾性要素16の径方向
内側に配置したものを使用した。なお各表の特性値は、
JIS−K6301に準拠して測定したものである。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】これら各第1弾性要素16と各第2弾性要
素18とを組合せてシール部14を形成した9種類の被
覆チューブを、SN−OC電線30の直線接続部に装着
した。その後、接続部を水没させ、導体34と水との間
の絶縁抵抗をDC1000Vの条件で絶縁抵抗計にて測
定し、防水絶縁特性を比較評価した(実験1)。また、
被覆チューブ10を装着した電線接続部から離れた部位
の電線端部から、電線接続部へエアー圧を印加し、エア
ーリーク発生時の圧力を測定して気密特性を比較評価し
た(実験2)。評価結果を表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】本実施形態では、2000MΩ以上の防水
絶縁特性、及び0.38kgf/cm2 以上の気密特性が得ら
れる場合に、SN−OC電線30に対して要求されるシ
ール性能が得られたものとする。したがって上記各材料
のうちでは、第1弾性要素16と第2弾性要素18と
が、 III(300%引張応力=20kgf/cm2 )のシリコ
ーンゴムと iii(硬さ=15Hs)のシリコーンゴムとの
組合せからなるものが最も優秀なシール性能を発揮し、
II(同10kgf/cm2 )とii(同25Hs)との組合せ及び
IIIとiiとの組合せからなるものがそれに次ぐ所要のシ
ール性能を発揮することが理解されよう。
【0043】さらに、本発明と従来技術とを比較するた
めに、未使用の被覆チューブ10を−20℃の環境に4
8時間放置した後、シール部14からコア要素20を引
抜き、第1弾性要素16及び第2弾性要素18が適用電
線の外被の外径寸法まで収縮するのに要した時間を測定
して、低温収縮特性を比較評価した(実験3)。実験3
では、表3に示した IIIの第1弾性要素16と iiiの第
2弾性要素18との組合せからなる被覆チューブ10を
使用し、比較対象の従来技術による被覆処理例として、
(1)電線接続部を防水テープの巻付けによって被覆し
たもの、(2)接続部を従来の1層構造の管部材を有す
るシリコーンゴム製PSTによって絶縁処理したもの、
及び(3)接続部を従来のブチルゴムマスチック内蔵形
PSTによって絶縁処理したもの、を使用した。評価結
果を表4に示す。
【0044】
【表4】
【0045】表4から分かるように、本発明による被覆
チューブは、従来技術の防水テープ処理及びシリコーン
ゴム製PST処理に比べて、防水絶縁特性及び気密特性
共にはるかに良好な結果が得られ、従来のブチルゴムマ
スチック内蔵形PSTと同等の防水絶縁特性及び気密特
性が得られた。さらに、低温収縮特性に関しては、従来
のブチルゴムマスチック内蔵形PSTよりもはるかに優
れた結果を示した。
【0046】上記実施形態では、電線の直線接続部に適
用される被覆チューブ10を示したが、本発明による被
覆チューブは、電線の分岐接続部にも使用することがで
きる。本発明の他の実施形態として、分岐接続部に適用
される被覆チューブ50を図5〜図7に示す。
【0047】被覆チューブ50は、3つの開口端を有す
る略Y字円筒状の管部材からなり、主として略同一外径
の電線同士のY分岐接続部を防湿、電気的絶縁、及び機
械的保護の目的で被覆収容する。被覆チューブ50は、
3本の電線70a、70bの端部で露出されて相互連結
された導体部分74と、各電線70a、70bのそれら
導体部分74に隣接する電線外被72の末端部分とを囲
繞可能な長さを有したY分岐管状のスリーブ部52を備
える。スリーブ部52は、後述するように、導体部分7
4及び電線外被72(例えば円滑な円筒状外表面を有す
る)の末端部分の外径寸法よりも大きな内径寸法を有す
ることが好ましい。スリーブ部52は、本質的に電気絶
縁性及び可撓性を有したエラストマーからなり、被覆対
象の電線の撓みに対応して自由に変形可能となってい
る。
【0048】スリーブ部52の3つの開口端のうち、主
電線70aを通す1つの開口端には、図1の被覆チュー
ブ10のシール部14と同様の2層管要素を備えたPS
T構造のシール部54aが形成される。すなわちシール
部54aは、スリーブ部52に連結される管要素とし
て、スリーブ部52から一体的に延長形成される管状の
第1弾性要素56と、第1弾性要素56の径方向内側に
固定的に配置される管状の第2弾性要素58とを備え
る。第1弾性要素56と第2弾性要素58とは、後述す
るように相互に特性の異なるエラストマーからなる。さ
らにシール部54aは、第2弾性要素58の径方向内側
に除去可能に配置される大径の管状のコア要素60を備
える。コア要素60は、後述するように2本の分岐電線
70bの電線外被72の外径寸法の合計値より充分に大
きな内径寸法を有し、第1弾性要素56及び第2弾性要
素58を弾性的に拡径するとともに、それらの弾性回復
(収縮)力に抗して内径寸法を維持しつつ第1弾性要素
56及び第2弾性要素58を弾性的拡径状態に保持す
る。
【0049】スリーブ部52の3つの開口端のうち、分
岐電線70bを通す他の2つの開口端には、従来技術と
同様の1層管要素を備えたPST構造のシール部54b
が形成される。すなわち各シール部54bは、スリーブ
部52から一体的に延長形成される管要素62と、管要
素62の径方向内側に除去可能に配置される小径の管状
のコア要素64とを備える。各コア要素64は、1本の
分岐電線70bの電線外被72の外径寸法より充分に大
きな内径寸法を有し、管要素62を弾性的に拡径すると
ともに、その弾性回復(収縮)力に抗して内径寸法を維
持しつつ管要素62を弾性的拡径状態に保持する。
【0050】被覆チューブ50を電線の分岐接続部に装
着すると、スリーブ部52は電線接続部を被覆収容し、
シール部54aの第1弾性要素56及び第2弾性要素5
8並びにシール部54bの管要素62は、コア要素6
0、64を除去することにより弾性収縮して、その収縮
による締付力のもとで各電線70a、70bの電線外被
72の末端近傍部分に密着する。なお、スリーブ部5
2、シール部54aの第1弾性要素56及びシール部5
4bの管要素62は、好ましくは射出成形工程により、
同一材料から一体形成される。それにより被覆チューブ
50に、電線分岐接続部に対する優れた防湿作用、電気
絶縁作用及び機械的保護作用が、低コストで付与され
る。
【0051】被覆チューブ50では、後述するように電
線の分岐接続部に装着される際の必然から、主電線70
aを通すシール部54aは、コア要素60によって、分
岐電線70bを通す各シール部54bよりも大きな径に
拡張されており、コア要素60を除去した後は、分岐電
線70bと略同一外径の主電線70aに対して各シール
部54bと同等のシール効果を奏することが要求され
る。したがってこのような分岐形の被覆チューブに従来
技術を適用すれば、より大きく拡径される主電線側シー
ル部に充分なシール能力を発揮できるだけの優れた永久
伸び特性を有した材料が、被覆チューブの主材料(すな
わちスリーブ部及び各シール部の管要素の材料)として
選択されるが、そのような材料は分岐電線側の各シール
部に関しては能力過剰であり、被覆チューブの材料コス
トが不要に増大する課題が生じる。
【0052】これに対し本実施形態では、比較的小さく
拡径される各シール部54bの管要素62に要求される
永久伸び特性を基準として被覆チューブ50の主材料を
選択し、被覆チューブ50の材料コストを低く抑えると
ともに、大きく拡径されるシール部54aの管要素は2
層構造として、前述したように所要の永久伸び特性の条
件を緩和し、大きく拡径できるようにしたのである。こ
の場合、第2弾性要素58が主材料(すなわちスリーブ
部52、第1弾性要素56及び管要素62の材料)と同
じ永久伸び特性を有する同一材料から形成されていて
も、理論的にはある程度の効果を期待できる。しかしな
がら第2弾性要素58に、主材料よりも優れた永久伸び
特性を有する高価な材料を使用することにより、シール
部54aのシール能力を確実に向上させ、各シール部5
4bと同等のシール能力を発揮できるようにすることが
できる。この観点で、以下に被覆チューブ50の材料の
特徴を説明する。
【0053】シール部54aの管要素の外層を構成する
第1弾性要素56は、電気絶縁性、高い弾性回復率、優
れた永久伸び特性等の、PSTとして好ましい物性を有
するエラストマーからなる。第1弾性要素56の材料の
具体例としては、エチレンプロピレンゴム(特にEPD
M)、クロロプレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴ
ム、天然ゴム、フッ素系ゴム、シリコーン変性EPDM
等が挙げられる。これらのうちでEPDMは、耐候性、
電気絶縁性及び耐水性に優れ、しかも安価である点で、
特に好ましい材料である。
【0054】さらに詳述すれば、シール部54aの第1
弾性要素56は、JIS−K6301に準拠した測定方
法に基づいて、10%〜30%の範囲の永久伸びを有す
るEPDMからなる。永久伸びが10%未満のエラスト
マーは、電線被覆材に要求される抗トラッキング性を考
慮した場合、現在の技術で作製できるものとしてはシリ
コーンゴムが適当な材料であるが、そのようなシリコー
ンゴムは一般に高価であり、被覆チューブ50の材料コ
ストが高騰する危惧がある。これに対し、永久伸びが1
0%〜30%の範囲のEPDMは、安価かつ容易に作製
できる。また、永久伸びが30%を超えると、シール部
54aの第1弾性要素56の弾性収縮による締付力が時
間の経過とともに劣化し、シール部54aにおける防湿
及び電気絶縁機能が低下する傾向がある。
【0055】また、シール部54aの管要素の内層を構
成する第2弾性要素58は、第1弾性要素56と同様に
PSTとして好ましい物性を有するエラストマーからな
り、特に、JIS−K6301に準拠した測定方法に基
づいて、10%未満の永久伸びを有するシリコーンゴム
が好適な材料である。永久伸びが10%以上では、第1
弾性要素56と同等のシール能力、すなわち分岐電線側
の各シール部54bと同等のシール能力しか発揮できな
いので、より大きく拡径される主電線側シール部54a
では第2弾性要素58の弾性収縮による締付力が時間の
経過とともに劣化し、シール部54aにおける防湿及び
電気絶縁機能が低下する傾向がある。このようなシリコ
ーンゴムは、EPDMに比べて非常に高価な材料である
が、被覆チューブ50では1つのシール部54aのみに
配置すればよいので、全体をそのようなシリコーンゴム
がら形成する被覆チューブに比べて、材料コストの高騰
を抑制できる。
【0056】なお、シール部54aの第1弾性要素56
及び第2弾性要素58の他の物性(例えば300%引張
応力、硬さ等)は、PSTに好適な範囲で任意である。
ただし、電線外被に接触する第2弾性要素58は、周辺
環境に曝される第1弾性要素56よりも硬さの小さな材
料から形成でき、その場合、図1の被覆チューブ10と
同様に、電線外被の表面の凹凸に第2弾性要素58が容
易に追従できるので、シール部54aのシール能力がさ
らに向上する。
【0057】また、シール部54aの第1弾性要素56
及び第2弾性要素58の軸方向長さ、並びにシール部5
4bの管要素62の軸方向長さは、被覆チューブ50の
適用電線に印加される電圧によって決まるシール距離
(確実なシールを得るに必要とされる長さ)に対応し
て、適宜設定されるが、それぞれ10mm以上の寸法であ
ることが好ましい。同様に、シール部54aの第1弾性
要素56と第2弾性要素58とを合わせた管要素の径方
向厚み、並びにシール部54bの管要素62の径方向厚
みも、シール距離に対応して適宜設定されるが、それぞ
れ3mm以上であることが好ましい。
【0058】シール部54a、54bの各コア要素6
0、64は、例えば硬質プラスチックからなる円筒状部
材であり、第1弾性要素56及び第2弾性要素58並び
に管要素62を、それらの弾性回復(収縮)力に抗して
前述した弾性的拡径状態に保持するに充分な剛性を有す
る。コア要素60、64の好適な材料としては、酢酸又
は酪酸セルロース、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポ
リ塩化ビニル等が挙げられる。
【0059】コア要素60、64は、いずれも図1の被
覆チューブ10のコア要素20と同様の構成を有する。
したがって各コア要素60、64は、被覆チューブ50
を電線接続部に装着する際に、それらの延長部66をシ
ール部54a、54bの外側から引っ張ることにより弱
め線68に沿って連続的に破壊され、シール部54a、
54bから除去される。
【0060】このように被覆チューブ50では、各開口
端のシール部54a、54bに配置したコア要素60、
64は、被覆チューブ50の全長に関わらず、適用電線
に必要なシール距離に相当する長さを有していればよ
い。その結果、全長に亙ってPST構造を有する被覆チ
ューブに比べて、コア要素60、64の除去作業に要す
る時間が著しく短縮される。また、コア要素60、64
に起因する材料コスト及び廃棄物量が減少する。
【0061】次に、上記構成を有する被覆チューブ50
の作用効果を説明する。図6に示すように、電線のY分
岐接続部では、接続される3本の電線70a、70b
の、外被72及び絶縁体(図示せず)の除去により露出
された導体74が、コネクタ76によって相互に接続さ
れる。最初に被覆チューブ50には、3本の電線70
a、70bの相互接続に先立って、小径の各シール部5
4bからそれぞれ1本の分岐電線70bが挿入され、そ
れらの露出導体74が大径のシール部54aから被覆チ
ューブ50の外側に引き出されて、コネクタ76により
主電線70aの露出導体74に接続される。次いで被覆
チューブ50を移動して、スリーブ部52の略中央にコ
ネクタ76を位置決めしつつ、各電線70a、70bの
外被72の末端部分、露出導体74、及びコネクタ76
を包囲する準備位置に配置する。
【0062】このときスリーブ部52の内径寸法を、そ
の内表面と、外被72、導体74、及びコネクタ76の
各外表面との間に隙間78が形成されるように設定する
ことにより、被覆チューブ50に電線70a、70bを
挿通する際の摩擦抵抗が減少し、容易に挿通できるよう
になる。或いはまた、スリーブ部52が電線接続部を締
付けない程度に、隙間78を可及的に低減してもよい。
さらに、スリーブ部52を前述のように可撓性材料から
形成することにより、スリーブ部52の筒状壁を指で圧
搾して被覆チューブ50内でのコネクタ76の位置を確
認することが可能となる。
【0063】被覆チューブ50を上記準備位置に配置
し、シール部54a、54bのコア要素60、64を、
それらの延長部66の先端を引っ張ることにより、弱め
線68に沿って螺旋状に破壊しつつシール部54a、5
4bから除去する。それによりシール部54aの第1弾
性要素56及び第2弾性要素58、並びにシール部54
bの管要素62は、それらの弾性収縮による締付力のも
とで、それぞれ主電線70aの外被72及び分岐電線7
0bの外被72の外表面に密着する(図7参照)。この
とき、10%未満の永久伸びを有するエラストマーから
なるシール部54aの第2弾性要素58は、シール部5
4bの管要素62に比べて略2倍の内径寸法まで拡径さ
れていたにも関わらず、良好に弾性収縮して主電線70
aの外被72の外表面に密着する。また、各シール部5
4bの管要素62は、所要のシール能力を充分に発揮で
きる範囲で拡径されていたので、良好に弾性収縮して分
岐電線70bの外被72の外表面に密着する。
【0064】ここで、シール部54aの第1弾性要素5
6は、シール部54bの管要素62に比べて大きく拡径
されるが、径方向内側に第2弾性要素58を配置するの
で、第1弾性要素56の拡径時の周方向への伸び量は第
2弾性要素58の同伸び量よりも小さくなる。したがっ
て第1弾性要素56は、第2弾性要素58より劣る永久
伸び特性を有する材料から形成されていても、コア要素
60の除去により良好に収縮して、第1弾性要素56と
第2弾性要素58との間に所要のシール作用をもたら
す。また、上記のように両シール部54a、54bが同
一径の電線に対しシールを行う場合にも、第1弾性要素
56は、非拡径時の初期内径寸法を第2弾性要素58の
厚みだけ管要素62より大きく設計でき、収縮後のシー
ル状態での内径寸法も第2弾性要素58の厚みだけ管要
素62より大きく設定できるので、管要素62と同じ永
久伸び特性により第1弾性要素56と第2弾性要素58
との間に所要のシール作用をもたらす。このようにして
シール部54aは、各シール部54bと同等のシール能
力を発揮できる。
【0065】なお、第1弾性要素56と第2弾性要素5
8との間のシール作用が不足する危惧がある場合は、第
1弾性要素56の材料の永久伸びを10%に可及的に近
似させるか、又は第1弾性要素56と第2弾性要素58
との間を接着剤等の適当な手段により固着することが望
ましい。
【0066】シール部54aの第1弾性要素56及び第
2弾性要素58、並びにシール部54bの管要素62
の、弾性収縮による締付力の大きさは、いわゆるシール
ストレス(%)の値に左右される。本実施形態では、適
用される電線70a、70bの外被72の外径寸法に対
応して、第1弾性要素56及び管要素62における5%
以上のシールストレスが得られるように、被覆チューブ
50の特にシール部54a及び54bの非拡径時の径寸
法(すなわちコア要素60及び64を除いた非拡径時の
第1弾性要素56及び管要素62の内径寸法)を設定す
る。それにより各電線70a、70bに対し、必要かつ
充分な防湿、電気絶縁、及び機械的保護効果が得られ
る。なお、シールストレスは次式により算出される。 シールストレス=〔(電線外被72の外径−非拡径時の
第1弾性要素56又は管要素62の内径)/非拡径時の
第1弾性要素56又は管要素62の内径〕×100
【0067】上記した被覆チューブ50による電線分岐
接続部の防湿及び電気絶縁効果、並びに数値限定の根拠
を、以下の実験の評価結果によってさらに明確にする。
実験される被覆チューブ50は、表5に示すように、1
0%〜30%の永久伸びを有するEPDMから、スリー
ブ部52、第1弾性要素56及び管要素62を金型成形
により一体に形成し、特に永久伸びの異なる3種類のP
ST用シリコーンゴムi、ii、 iiiから、第2弾性要素
58を金型成形により形成して第1弾性要素56の径方
向内側に配置したものを使用した。なお表の特性値は、
JIS−K6301に準拠して測定したものである。
【0068】
【表5】
【0069】これら各第1弾性要素56と各第2弾性要
素58とを組合せてシール部54aを形成した3種類の
被覆チューブを、電線70a、70bのY分岐接続部に
装着した。その後、接続部を水没させ、導体74と水と
の間の絶縁抵抗をDC1000Vの条件で絶縁抵抗計に
て測定し、防水絶縁特性を比較評価した(実験1)。ま
た、被覆チューブ10を装着した電線接続部から離れた
部位の電線端部から、電線接続部へエアー圧を印加し、
エアーリーク発生時の圧力を測定して気密特性を比較評
価した(実験2)。評価結果を表6に示す。
【0070】
【表6】
【0071】本実施形態では、2000MΩ以上の防水
絶縁特性、及び0.38kgf/cm2 以上の気密特性が得ら
れる場合に、電線70a、70bに対して要求されるシ
ール性能が得られたものとする。したがって上記各材料
のうちでは、EPDMからなる第1弾性要素56に対
し、ii(永久伸び=9%)又は iii(同5%)のシリコ
ーンゴムからなる第2弾性要素58を組合せたものが、
優秀なシール性能を発揮することが理解されよう。
【0072】さらに、本発明と従来技術とを比較するた
めに、表6に示した第1弾性要素56と iiiの第2弾性
要素58との組合せからなる被覆チューブ50を使用
し、比較対象の従来技術による被覆処理例として、
(1)電線接続部を防水テープの巻付けによって被覆し
たもの、(2)接続部をプラスチック製の分岐形管部材
で被覆し、管部材の両端部を30mmに亙って防水テープ
で封止したもの、及び(3)従来技術に基づきシリコー
ンゴムで形成した分岐形PSTによって接続部を絶縁処
理したもの、を使用した。評価結果を表7に示す。
【0073】
【表7】
【0074】表7から分かるように、本発明による被覆
チューブは、従来技術の防水テープ処理及び管部材+防
水テープ処理に比べて、防水絶縁特性及び気密特性共に
はるかに良好な結果が得られ、従来技術によるシリコー
ンゴム製分岐形PSTと同等の防水絶縁特性及び気密特
性が得られた。さらに、材料コストに関しては、従来技
術によるシリコーンゴム製分岐形PSTよりもはるかに
安価に製造できるものであった。
【0075】図8〜図10は、本発明のさらに他の実施
形態による被覆チューブ80を示す。被覆チューブ80
は、SN−OC電線のような外被表面に凹凸を有する電
線のY分岐接続部に適用することを想定したものであ
り、図1の被覆チューブ10と図5の被覆チューブ50
との特徴を併せ持った構成を有する。したがって被覆チ
ューブ80は、3本の電線100a、100bの端部で
露出されて相互連結された導体部分104と、各電線1
00a、100bのそれら導体部分104に隣接する電
線外被102の末端部分とを囲繞可能な長さを有したY
分岐管状のスリーブ部82を備える。スリーブ部82
は、導体部分104及び電線外被102(例えばSN−
OC電線としての突条106を有する)の末端部分の外
径寸法よりも大きな内径寸法を有することが好ましい。
スリーブ部82は、本質的に電気絶縁性及び可撓性を有
したエラストマーからなり、被覆対象の電線の撓みに対
応して自由に変形可能となっている。
【0076】スリーブ部82の3つの開口端のうち、主
電線100aを通す1つの開口端には、3層の管要素を
備えたPST構造のシール部84aが形成される。すな
わちシール部84aは、スリーブ部82に連結される管
要素として、スリーブ部82から一体的に延長形成され
る管状の第1弾性要素86と、第1弾性要素86の径方
向内側に固定的に配置される管状の第2弾性要素88
と、第2弾性要素88の径方向内側に固定的に配置され
る管状の第3弾性要素90とを備える。これら弾性要素
86、88、90は、後述するように相互に特性の異な
るエラストマーからなる。さらにシール部84aは、第
3弾性要素90の径方向内側に除去可能に配置される大
径の管状のコア要素92を備える。コア要素92は、2
本の分岐電線100bの電線外被102の外径寸法の合
計値より充分に大きな内径寸法を有し、弾性要素86、
88、90を弾性的に拡径するとともに、それらの弾性
回復(収縮)力に抗して内径寸法を維持しつつ弾性要素
86、88、90を弾性的拡径状態に保持する。
【0077】スリーブ部82の3つの開口端のうち、分
岐電線100bを通す他の2つの開口端には、図1の被
覆チューブ10のシール部14と同様の2層の管要素を
備えたPST構造のシール部84bが形成される。すな
わち各シール部84bは、スリーブ部82に連結される
管要素として、スリーブ部82から一体的に延長形成さ
れる管状の第1弾性要素94と、第1弾性要素94の径
方向内側に固定的に配置される管状の第2弾性要素96
とを備える。第1弾性要素94と第2弾性要素96と
は、相互に特性の異なるエラストマーからなる。さらに
各シール部84bは、第2弾性要素96の径方向内側に
除去可能に配置される小径の管状のコア要素98を備え
る。各コア要素98は、1本の分岐電線100bの電線
外被102の外径寸法より充分に大きな内径寸法を有
し、弾性要素94、96を弾性的に拡径するとともに、
それらの弾性回復(収縮)力に抗して内径寸法を維持し
つつ弾性要素94、96を弾性的拡径状態に保持する。
【0078】被覆チューブ80を電線の分岐接続部に装
着すると、スリーブ部82は電線接続部を被覆収容し、
シール部84aの第1弾性要素86、第2弾性要素88
及び第3弾性要素90、並びにシール部84bの第1弾
性要素94及び第2弾性要素96は、コア要素92、9
8を除去することにより弾性収縮して、その収縮による
締付力のもとで各電線100a、100bの電線外被1
02の末端近傍部分に密着する。なお、スリーブ部8
2、シール部84aの第1弾性要素86及びシール部8
4bの第1弾性要素94は、好ましくは射出成形工程に
より、同一材料から一体形成される。
【0079】シール部84aの管要素の外層を構成する
第1弾性要素86及びシール部84bの管要素の外層を
構成する第1弾性要素94は、電気絶縁性、高い弾性回
復率、優れた永久伸び特性等の、PSTとして好ましい
物性を有するエラストマーからなる。特に、図5の被覆
チューブ50のシール部54aの第1弾性要素56と同
様に、JIS−K6301に準拠した測定方法に基づい
て、10%〜30%の範囲の永久伸びを有するEPDM
が好適な材料である。
【0080】さらに、シール部84aの第1弾性要素8
6及びシール部84bの第1弾性要素94は、図1の被
覆チューブ10のシール部14の第1弾性要素16と同
様に、JIS−K6301に準拠した測定方法に基づい
て、10kgf/cm2 〜100kgf/cm2 (0.98MP〜9.
8MP)の範囲の300%引張応力値を有するエラストマ
ーからなる。
【0081】シール部84aの管要素の中間層を構成す
る第2弾性要素88は、やはりPSTとして好ましい物
性を有するエラストマーからなり、特に、図5の被覆チ
ューブ50のシール部54aの第2弾性要素58と同様
に、JIS−K6301に準拠した測定方法に基づい
て、10%未満の永久伸びを有するシリコーンゴムが好
適な材料である。
【0082】シール部84aの管要素の内層を構成する
第3弾性要素90及びシール部84bの管要素の内層を
構成する第2弾性要素96は、やはりPSTとして好ま
しい物性を有するエラストマーからなる。特に、図1の
被覆チューブ10のシール部14の第2弾性要素18と
同様に、JIS−K6301に準拠した測定方法(A
形)に基づいて、30Hs以下の硬さを有するシリコーン
ゴムが好適な材料である。
【0083】上記構成を有する被覆チューブ80によれ
ば、SN−OC電線100a、100bのように異形断
面を有する電線に対して被覆チューブ80を使用する際
に、30Hs(JIS/A)以下の硬さを有するエラスト
マーからなるシール部84aの第3弾性要素90及びシ
ール部84bの第2弾性要素96は、それぞれ10kgf/
cm2 〜100kgf/cm2 の300%引張応力値を有するエ
ラストマーからなる第1弾性要素86及び第1弾性要素
94の強固な締付力により、各電線の外被102の外表
面に形成された凹凸(例えば突条106)に追従して容
易に変形する。また、10%未満の永久伸びを有するエ
ラストマーからなるシール部84aの第2弾性要素88
は、シール部84bの第1弾性要素94に比べて略2倍
の内径寸法まで拡径されていたにも関わらず、良好に弾
性収縮して第3弾性要素90を主電線100aの外被1
02の外表面に密着させる。また、各シール部84bの
第1弾性要素94は、所要のシール能力を充分に発揮で
きる範囲で拡径されていたので、良好に弾性収縮して第
2弾性要素96を分岐電線100bの外被102の外表
面に密着させる。
【0084】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、複数の開口端近傍のシール部のみにPST構
造を配設することにより装着作業性及び被覆信頼性を向
上させた電線接続部の被覆チューブにおいて、少なくと
も1つのシール部においてコア要素により拡径される管
要素を、第1弾性要素と第2弾性要素とからなる2層構
造としたので、各層の材料の物性を適宜選定することに
より、SN−OC電線のように異形断面を有する電線に
対しても優れた防湿性、電気絶縁性及び機械的保護特性
を得ることができ、また、分岐接続部への適用のように
各シール部に異なる拡径寸法が要求される適用において
も、所望のシール部に所望のシール能力を付与すること
が可能になった。したがって本発明によれば、高性能の
電線接続部の被覆チューブを低コストで提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による被覆チューブの一部
切欠き正面図である。
【図2】電線接続部に装着される図1の被覆チューブの
断面正面図で、コア要素の除去前の状態を示す。
【図3】電線接続部に装着される図1の被覆チューブの
一部切欠き正面図で、一方のシール部のコア要素の除去
後の状態を示す。
【図4】図3の線IV−IVに沿った断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態による被覆チューブの一
部切欠き正面図である。
【図6】電線接続部に装着される図5の被覆チューブの
一部切欠き正面図で、コア要素の除去前の状態を示す。
【図7】電線接続部に装着される図5の被覆チューブの
一部切欠き正面図で、コア要素の除去後の状態を示す。
【図8】本発明のさらに他の実施形態による被覆チュー
ブの一部切欠き正面図である。
【図9】電線接続部に装着される図8の被覆チューブの
一部切欠き正面図で、コア要素の除去後の状態を示す。
【図10】図9の線X−Xに沿った断面図である。
【符号の説明】
10、50、80…被覆チューブ 12、52、82…スリーブ部 14、54a、54b、84a、84b…シール部 16、56、86、94…第1弾性要素 18、58、88、96…第2弾性要素 20、60、64、92、98…コア要素 90…第3弾性要素

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の開口端を備えた電気絶縁性のエラ
    ストマーからなる管状のスリーブ部と、該スリーブ部の
    該複数の開口端の各々に設けられる電気絶縁性を有した
    管状のシール部とを具備し、該シール部の各々が、前記
    スリーブ部に連結される管要素と、該管要素の径方向内
    側に配置され、該管要素を弾性的拡径状態に保持する除
    去可能なコア要素とから形成される電線接続部の被覆チ
    ューブにおいて、 少なくとも1つの前記シール部の前記管要素が、前記ス
    リーブ部から一体的に延長される第1弾性要素と、該第
    1弾性要素と前記コア要素との間に挟持される第2弾性
    要素とを具備することを特徴とする電線接続部の被覆チ
    ューブ。
  2. 【請求項2】 前記第2弾性要素が、前記第1弾性要素
    よりも硬さの小さいエラストマーからなる請求項1に記
    載の電線接続部の被覆チューブ。
  3. 【請求項3】 前記第2弾性要素の硬さがJIS−A基
    準で30Hs以下であり、前記第1弾性要素が10kgf/cm
    2 〜100kgf/cm2 の範囲の300%引張応力値を有す
    る請求項1又は2に記載の電線接続部の被覆チューブ。
  4. 【請求項4】 前記第2弾性要素が、前記第1弾性要素
    よりも永久伸びの小さいエラストマーからなる請求項1
    に記載の電線接続部の被覆チューブ。
  5. 【請求項5】 前記第1弾性要素の永久伸びが10%〜
    30%の範囲にあり、前記第2弾性要素の永久伸びが1
    0%未満である請求項4に記載の電線接続部の被覆チュ
    ーブ。
  6. 【請求項6】 少なくとも1つの前記シール部の前記管
    要素が、前記第2弾性要素と前記コア要素との間に挟持
    される第3弾性要素をさらに具備し、該第2弾性要素
    が、前記第1弾性要素よりも永久伸びの小さいエラスト
    マーからなるとともに、該第3弾性要素が、該第2弾性
    要素よりも硬さの小さいエラストマーからなる請求項1
    に記載の電線接続部の被覆チューブ。
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