JPH09283761A - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

半導体装置及びその製造方法

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JPH09283761A
JPH09283761A JP9144396A JP9144396A JPH09283761A JP H09283761 A JPH09283761 A JP H09283761A JP 9144396 A JP9144396 A JP 9144396A JP 9144396 A JP9144396 A JP 9144396A JP H09283761 A JPH09283761 A JP H09283761A
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region
layer
gate
semiconductor device
drain
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JP9144396A
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Hideo Yamanaka
英雄 山中
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶性の改善、リーク電流の低減により、大
きなドレイン電流を得ることのできる多結晶シリコンを
用いた半導体装置及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 絶縁性基板11上に当接して設けられた
ゲート電極12とゲート絶縁部13aを介して接合する
ゲート領域G1、G2と、ソース電極15に接合したソ
ース領域S1と、ドレイン電極16に接合したドレイン
領域D1とを有した多結晶シリコン層14のゲート領域
G1、G2内に、ソース領域S1とドレイン領域D1と
を設ける。このような構造の半導体装置とする際には、
ゲート絶縁部13aと保護用絶縁膜19とに非晶質シリ
コン層14’を挟んだ状態で、該非晶質シリコン層1
4’を溶融固化して多結晶シリコン層14とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置など
に用いられ、多結晶シリコンで成る薄膜トランジスタ
(TFT)の半導体装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶ディスプレイなどに使用されている
TFTに、非晶質シリコン(アモルファスシリコン)膜
を用いて、CRTと同等かそれ以上の画質が実現できる
ように開発されてきたが、非晶質シリコン膜では、電界
効果移動度(cm2 /V・s)(以下、移動度と略す)
が小さく、またTFTの動作が不安定である。そこで、
近年は、非晶質シリコン膜のTFTの代わりに、これよ
りも移動度が高く、動作が安定である多結晶シリコン膜
を用いたTFTの開発が進められている。しかしなが
ら、多結晶シリコン膜は、バンドギャップが狭い上に、
結晶粒界に多くのダングリング・ボンド(未結合手)が
存在するので、これがキャリアの再結合センタとして働
くため、単結晶シリコンのTFTに比べて電気特性が著
しく劣る。特に、ドレイン付近の高電界領域が存在する
と、ソース及びドレイン接合の耐圧が低下し、リーク電
流が大きい。
【0003】そこで、TFTの駆動能力を低下させず
に、電気特性を改善するために、高抵抗ドレイン領域、
すなわちチャンネルを形成するキャリアと同種の不純物
を低濃度で拡散した領域を形成したLDD(Light
ly Doped Drain)構造(以下、チャンネ
ルを形成するキャリアと同種の不純物を低濃度で拡散し
た領域をLDD領域と記載する)を採用したり、多結晶
シリコンの結晶粒径を大きくしてモビリティを大きくす
ることがなされている。この結晶粒を大きくする方法と
して、約800℃〜1000℃の高温で多結晶シリコン
を形成する方法があるが、この方法では、高価で大型化
が難しい石英ガラスを用いる必要がある。そこで、近年
は、安価で大型化が容易なほう酸ガラスを採用し、その
上に多結晶シリコン膜を形成してTFTを製造する方
法、すなわち低温でTFTを製造する技術が研究開発さ
れている。低温でTFTを製造する方法として、プラズ
マCVDによりガラス基板上に形成した非晶質シリコン
膜(α−Si:H膜)にXeClから成る波長308n
mのエキシマレーザー光を照射して、この非晶質シリコ
ン膜を溶融し、自然冷却で固化する方法などがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、低温で
非晶質シリコン膜を溶融し、それを冷却固化して多結晶
シリコンを形成する場合には、図16で示すような半導
体装置8では、ガラス基板3に当接するように形成され
たゲート電極1のテーパー部1a付近で、すなわち図に
おいてLDD領域Lとなっている部分で、重力と表面張
力のために多結晶シリコン膜2に細りが発生する。ま
た、ゲート電極1のテーパー部1aのテーパー角度が大
きい場合には、段切れが発生する。そのため、ソース電
極4に接合されたソース領域Sとドレイン電極5に接合
されたドレイン領域Dとの間を、一点鎖線で示されるチ
ャンネル6を介して流れるドレイン電流(駆動電流)
は、この細りで大きくなった抵抗部分や段切れ部分を通
過することになるので、結果として、そのドレイン電流
は小さくなったり、流れなくなるという問題が発生す
る。
【0005】また、一般に、自然凝固法では、溶融した
シリコンが凝固を始めると、その中に存在していた不純
物は、結晶から吐き出され、最後まで固化されることは
なく、従って固化の最終端部に不純物が偏析する。その
ため、図16のガラス基板3にゲート電極1が当接した
逆スタガ構造の半導体装置8では、ゲート電極1の熱伝
達率はガラス基板3のそれよりもはるかに大きいため
に、ゲート領域G近傍から多結晶シリコンが冷却固化し
始め、次第に、ゲート領域Gから外側へと冷却固化され
る。このために、溶融したシリコン中の不純物、例えば
重金属であるFe、Ni、Crなどが、ゲート領域6の
外方に網目で示されるLDD領域L、ソース領域S及び
ドレイン領域Dに析出し易い。(なおまた、ゲート領域
G内においてもチャンネル6が形成される側と反対側
(以下、ゲート領域内でチャンネルが形成される側とは
反対側をバックチャンネル側と記載する)に不純物が析
出し易い。)従って、この不純物が形成された部分に、
ゲート/ソースの接合部やゲート/ドレイン接合部、す
なわちドレイン電流が流れる径路が存在することになる
ので、逆方向にバイアスを印加したときには、その析出
部で、低電圧でのブレークダウンが起こり、大きなリー
ク電流が流れやすい。すなわち、耐圧が低いので大きな
ドレイン電流が得られにくいという問題があった。
【0006】本発明は、上述の問題に鑑みてなされ、多
結晶シリコンの結晶性を改善し、リーク電流を低減する
ことによって、多結晶シリコンを用いた、大きなドレイ
ン耐圧とドレイン電流が得られるなどの良好な電気的特
性を有する半導体装置及びその製造方法を提供すること
を課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】以上の課題は、請求項1
の発明によれば、ゲート電極とゲート絶縁部を介して接
合するゲート領域と、ソース電極に接合するソース領域
と、ドレイン電極に接合するドレイン領域とを有した半
導体層を絶縁性基板の上に形成し、前記半導体層の前記
ゲート領域内の前記ゲート絶縁部側にチャンネルが形成
される半導体装置において、前記半導体層の前記ゲート
領域内に、前記ソース領域と、前記ドレイン領域とが設
けられたことを特徴とする半導体装置、によって解決さ
れる。
【0008】すなわち、ゲート領域内に、ソース領域と
ドレイン領域とを設けたので、実効チャンネル長が短く
なるので、低いゲート電圧と低いドレイン電圧で大きな
ドレイン電流を得ることができ、更にスイッチング特性
が改善される。すなわち、半導体装置のゲート電極部や
ゲート絶縁膜によって生じる半導体層の段部に、重力や
表面張力によって細りや段切れが生じたとしても、その
生じた細りや段切れにドレイン電流の通路が形成されて
ないので、すなわちドレイン電流の通路には何の影響も
ないので、大きなドレイン電流を流すことができる。ま
た、ゲート領域内に、ソース領域及びドレイン領域を設
けたので、溶融したシリコン中の不純物が偏析する部分
をドレイン電流が流れることがなく、従って、逆方向に
バイアスを印加した場合ときにも低電圧でのブレークダ
ウンが起こりにくく、リーク電流を低減することができ
る。
【0009】また、以上の課題は、請求項8の発明によ
れば、ゲート電極とゲート絶縁部を介して接合するゲー
ト領域と、ソース電極に接合するソース領域と、ドレイ
ン電極に接合するドレイン領域とを有した多結晶シリコ
ンで成る半導体層を絶縁性基板の上に形成し、前記半導
体層の前記ゲート領域内の前記ゲート絶縁部側にチャン
ネルが形成される半導体装置の製造方法において、前記
半導体層の前記ゲート領域内の前記チャンネルが形成さ
れる側とは反対側に、前記ソース領域と前記ドレイン領
域とを設けて、前記半導体層となる前記多結晶シリコン
を、溶融固化して形成することを特徴とする半導体装置
の製造方法、によって解決される。
【0010】そのため、非晶質シリコンを溶融固化して
多結晶シリコンとする際、又は多結晶シリコンを溶融固
化して再結晶化する際に、ゲート電極の段部などで表面
張力や重力により段切れや細りが生じたとしても、ドレ
イン電流はその部分を経ずに流れるので、大きなドレイ
ン電流が得られる。
【0011】また、以上の課題は、請求項10の発明に
よれば、ゲート電極とゲート絶縁部を介して接合するゲ
ート領域と、ソース電極に接合するソース領域と、ドレ
イン電極に接合するドレイン領域とを有した多結晶シリ
コンで成る半導体層を絶縁性基板の上に形成し、前記半
導体層の前記ゲート領域内の前記ゲート絶縁部側にチャ
ンネルが形成される半導体装置の製造方法において、前
記ゲート領域を形成する前記半導体層が、前記ゲート絶
縁部と、前記半導体層に対して前記ゲート絶縁部と反対
側に設けられた保護用絶縁膜とによって挟まれた状態
で、非晶質シリコンを溶融固化して前記多結晶シリコン
を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法、に
よって解決される。
【0012】すなわち、ゲート絶縁部と保護用絶縁膜と
によって挟まれた状態で、非晶質シリコンを溶融固化し
て多結晶シリコンにするので、毛細管で溶融固化させた
際と同様な現象が起こり、すなわち結晶粒の方向が揃っ
た比較的単結晶に近い多結晶シリコン膜が得られる。従
って、移動度を大きく、かつドレイン電流を大きくする
ことができるので、多結晶シリコンを用いた電気特性の
良好な半導体装置を得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明は、ゲート領域内にソース
領域とドレイン領域とを設けることによって、重力や表
面張力により、半導体層に細りや段切れが生じたとして
も、ゲート領域を介してソース領域とドレイン領域とを
流れるドレイン電流は、細りや段切れが生じた部分を通
ることがないので、ドレイン電流が小さくなることがな
い。また、前記半導体層の前記ゲート領域内のバックチ
ャンネル側に、ソース領域とドレイン領域を設けたの
で、リーク電流が抑えられ、従って、ドレイン電流を大
きくすることができる。
【0014】更に、バックチャンネル側のソース領域と
ドレイン領域の間に、チャンネルを形成しているキャリ
アと異種の低濃度不純物層を形成することにより、ゲー
ト電極に逆方向のバイアスが印加されると、半導体層の
ゲート側よりチャンネルキャリアと異種の蓄積層が広が
り、その蓄積層が低いゲートバイアスでチャンネルのキ
ャリアと異種の低濃度不純物層に達するので、トンネル
リーク電流を低減する。また、このチャンネルのキャリ
アと異種の低濃度不純物層から半導体層に電位差で電子
又は正孔が移動して、この低濃度不純物層はチャンネル
を形成するキャリアと逆の電荷にチャージされるので、
この低濃度不純物層と半導体層との界面に生じるリーク
電流を抑えることができる。なお、バックチャンネル側
の保護用絶縁膜中に存在する可動イオンを完全に排除し
た場合には、バックチャンネル側のソース領域とドレイ
ン領域との間に、チャンネルを形成しているキャリアと
異種の低濃度不純物層ではなく、真性半導体層を形成し
ても、同様な効果が得られる。
【0015】また、ゲート領域内のバックチャンネル側
にソース領域及びドレイン領域を形成し、そのソース領
域及びドレイン領域の厚さが、ゲート領域の厚さに対し
て所定量の厚さの場合に、ソース領域及びドレイン領域
以外のゲート領域を、チャンネルを形成しているキャリ
アと異種の不純物層、または真性半導体層で形成するこ
とによって、ドレイン電流は、ソース領域の端部とドレ
イン領域の端部とをチャンネルの一部を介して最短距離
で流れるので、実効ゲートチャンネルが短くなり、低い
ゲート電圧及び低いドレイン電圧で、大きなドレイン電
流を得ることができる。なお、ゲート絶縁部には、通
常、可動イオンが存在しているので、これによるしきい
値電圧VTHの変動を防止するためには、真性半導体層よ
りチャンネルを形成しているキャリアと異種の低濃度不
純物層のほうがより好ましい。
【0016】また、ゲート領域内のバックチャンネル側
にソース領域及びドレイン領域を形成し、更にこのゲー
ト領域内に、チャンネルと同種で濃度の低い不純物から
成るLDD領域を形成したので、ドレイン領域からゲー
ト絶縁膜や絶縁性基板へのホットキャリア注入を減少さ
せ、従ってゲート電極に大きなゲート電圧を印加して
も、しきい値電圧VT や相互コンダクタンスGm を安定
化させることができる。
【0017】更に、前記ゲート絶縁部が、前記半導体層
側から前記ゲート電極側に向けて第1層間応力緩衝層、
第1金属汚染防止層の順に形成され、前記半導体層に対
して前記ゲート電極と反対側に保護用絶縁膜が設けら
れ、該保護用絶縁膜が、前記半導体層から前記ゲート電
極と離れる側に向けて第2層間応力緩衝層、第2金属汚
染防止層の順で形成されるようにすれば、ゲート絶縁部
の第1金属汚染防止層及び保護用絶縁膜の第2金属汚染
防止層によって製造工程中や製造工程後におけるゲート
領域の、金属不純物などによる金属汚染を防止すること
ができる。また、ゲート絶縁部の第1層間応力緩衝層及
び保護用絶縁膜の第2層間応力緩衝層を形成すること
で、多層構造となった半導体装置の層間応力を緩和して
リーク電流の発生を防止することができる。
【0018】また、本発明の半導体装置の製造方法で
は、ゲート領域内のバックチャンネル側にソース領域及
びドレイン領域とを設けて半導体層となる多結晶シリコ
ンを形成するので、非晶質シリコンを溶融固化して多結
晶シリコンを形成する場合、また多結晶シリコンが溶融
固化して再結晶化する際に、半導体層上の段部に細りや
段切れが生じたとしても、その部分にはドレイン電流が
流れないので、細りや段切れによる抵抗増大によってド
レイン電流が小さくなったり流れなくなったりすること
がなく、従って、ドレイン電流を大きくすることができ
る。
【0019】また、非晶質シリコンを溶融固化して半導
体層の多結晶シリコンを形成する場合に、半導体層をゲ
ート絶縁部と、保護用絶縁膜とによって挟まれた状態で
行えば、毛細管現象により、結晶粒の方向がそろった多
結晶シリコン、すなわち移動度が大きく、かつドレイン
耐圧、ドレイン電流が大きい多結晶シリコンが得られ
る。
【0020】更に、逆スタガー構造の場合には、ゲート
絶縁膜を構成する第1金属汚染防止層、第1層間応力緩
衝層、多結晶シリコン層を構成する非晶質シリコン層、
保護用絶縁膜を構成する第2層間応力緩衝層、第2金属
汚染防止層の順、又はスタガー構造の場合には、保護用
絶縁膜を構成する第2金属汚染防止層、第2層間応力緩
衝層、多結晶シリコン層を構成する非晶質シリコン層、
ゲート絶縁膜を構成する第1層間応力緩衝層、第1金属
汚染防止層の順に連続成膜を、例えばプラズマCVDな
どによって行ない、その後、非晶質シリコン層をレーザ
ーアニールして多結晶シリコンを形成するようにすれ
ば、連続成膜によって多層構造となる半導体装置の層間
応力の緩和及び層間におけるダストの混入を低減できる
とともに、第1金属汚染防止層または第2金属汚染防止
層によってレーザーアニールを大気中で行なっても汚染
物質が多結晶シリコン層に入り込むことを防止すること
ができるようになる。また、レーザーアニールによる低
級酸化膜形成での特性劣化に対する問題も防止できる。
【0021】また半導体層の下方に、絶縁性基板に当接
するような電極(ソース電極とドレイン電極、又はゲー
ト電極)を設けた構造、いわゆる逆スタガー構造とする
と、レーザーアニールのときは絶縁性基板よりも電極の
方が熱伝導率がよいので、電極に近い方から半導体層の
非晶質シリコンが溶融固化して多結晶シリコンが形成さ
れていき、また最後まで溶融されていた部分に非晶質シ
リコン中に存在していた金属などの不純物が偏析される
(いわゆる一種の浮遊帯純化法がなされる)。本発明で
は、ゲート領域内にソース領域及びドレイン領域を設け
たため、この不純物が偏析された部分にはドレイン電流
が流れず、逆バイアス印加したときも低電圧でのブレー
クダウンが起こりにくく、リーク電流を低減できる。従
って、大きなドレイン耐圧で、大きなドレイン電流が得
られる。また、絶縁性基板に当接した電極が、絶縁性基
板に当接した他の電極と連なって設けられるようにすれ
ば、上述したように電極に近いほうから溶融シリコンが
固化されるので、金属などの不純物は、有効TFT領域
以外に偏析して固化されるので、耐圧の低下、リーク電
流の増大、ドレイン電流の低下などを防止することがで
きる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の半導体装置及びその製造方法
における各実施例について、図面を参照して説明する。
【0023】図1のAは、本発明の第1実施例の半導体
装置を示しているが、全体として10で示され、公知の
ようにこれは逆スタガ構造であり、すなわち金属で成
る、例えばモリブデン/タンタル(Mo/Ta)で成る
ゲート電極12が、例えば、透光性ほう酸ガラスなどで
成る絶縁性基板11上に形成されている。ゲート電極1
2の上面には、ゲート電極12と絶縁性基板11との上
面を覆うように絶縁膜13が被着されており、これは例
えばSiN(窒化シリコン)膜で成る第1金属汚染防止
層17と、例えばSiO2 (酸化シリコン)膜から成る
第1層間応力緩衝層18から構成される。更にその絶縁
膜13の上には、半導体層である多結晶シリコン層14
が設けられており、この多結晶シリコン層14には、ゲ
ート電極12と絶縁膜13のゲート電極12上に位置す
るゲート絶縁部13aを介して接合するゲート領域G1
(破線より内側として示されている)が設けられてお
り、更にソース電極15に接合するソース領域S1及び
ドレイン電極16に接合するドレイン領域D1が設けら
れている。更に、多結晶シリコン層14の上部にはゲー
ト絶縁部13aと対向するように保護用絶縁膜19が設
けられているが、本実施例では、これは多結晶シリコン
層14に近い方から、例えばでSiO2 で成る第2層間
応力緩衝層21及びSiNから成る第2金属汚染防止層
22よりなる。
【0024】本実施例ではソース領域S1及びドレイン
領域D1は、多結晶シリコン層14の最上部に形成され
ており、ソース領域S1の右側端部S1a及びドレイン
領域D1の左側端部D1aは、ゲート領域G1内に設け
られている。すなわちこれは一点鎖線で示されるチャン
ネル20が形成された側(これは公知のようにゲート絶
縁部13a側に形成される)と反対側、すなわち多結晶
シリコン層14のバックチャンネル側に形成されてい
る。なお、ソース領域S1及びドレイン領域D1が形成
された下方の多結晶シリコン層14には、LDD領域L
1が形成されており、すなわちこのLDD領域L1の一
部もゲート領域G1内に形成されている。このLDD領
域L1は、チャンネルと同種で、濃度の低い不純物を有
する領域であり、ドレイン接合のドレイン方向の最大電
界を弱めるために設けられたものであり、ドレイン領域
D1からのゲート酸化膜13aや絶縁性基板11へのホ
ットキャリア注入を減少させ、しきい値電圧VT や相互
コンダクタンスGm を安定化させる。
【0025】本実施例の半導体装置10は、MIS構造
の1つであるチャンネル型MOS構造であり、そのチャ
ンネル20のキャリアは伝導電子であるので、ソース領
域S1及びドレイン領域D1は伝導電子の不純物を有す
るN型半導体層(以下、N+層と記載する)からなって
おり、LDD領域は、その不純物の濃度が低いN型半導
体層(以下、N- 層と記載する)から成るが、ゲート領
域G1のソース領域S1、ドレイン領域D1及びLDD
領域L1以外のゲート領域内部G1aは、本実施例では
真性半導体層(I層)から構成されている。なお、この
ゲート領域内部G1aを、I層ではなくチャンネル20
を形成している不純物と異種の低濃度不純物層、すなわ
ちP型半導体層(以下、P- 層と記載する)で形成すれ
ば、ゲート酸化膜13a中のNa+ やK+ の可動イオン
によるしきい値VTHの変動をより防止し、リーク電流を
減少させることが、より確実に行なえる。
【0026】次に、本発明の第1実施例の半導体装置1
0の製造方法を、図2乃至図5を参照して説明する。
【0027】まず、絶縁性基板11上に、Mo/Ta
を、例えば300nm程度の厚さで、スパッタリングに
よって膜を形成し、これにホトリソグラフィ工程を行
い、すなわちポジレジストコート、マスク露光、現像、
ポストべークを行なった後、CF4 によりドライエッチ
ングして、RAストリッパー(HNO3 +NO2 の洗浄
液)でレジスト剥離を行なって、図2のAに示されるよ
うに、絶縁性基板11上にゲート電極12を形成する。
ここで、Mo/Taを用いたのは、低抵抗化と耐熱性向
上のためである。なお、薄膜応力集中緩和と耐圧向上の
ため、ゲート電極12の端部は図2のAで一点鎖線で示
すようにテーパーとするのが好ましく、その角度は10
〜30°が適当である。
【0028】次に、ゲート電極12を形成した絶縁性基
板11を例えば約300℃程度に加熱してプラズマCV
Dにより、絶縁性基板11上に図2のBに示すような連
続成膜を行なう。すなわち絶縁性基板11及びゲート電
極12を覆うように、第1金属汚染防止層17を構成す
るSiN膜をSiH4 、NH3 、N2 を反応ガスとし
て、例えば200nm程度の厚さで成長させ、次にガス
を切り替えて、第1層間応力緩衝層18を構成するSi
2 膜をSiH4 、O2 を反応ガスとして、例えば20
0nm程度の厚さで成長させる。そして、SiH4 を反
応ガスとして半導体層となる非晶質シリコン(α−S
i:H)層14’を50nmの厚さで形成し、その上
に、第2層間応力緩衝層21を構成するSiO2 膜をS
iH4 、O2 を反応ガスとして、例えば50nm程度の
厚さで成長させ、第2金属汚染防止層22を構成するS
iN膜をSiH4 、NH3 、N2 を反応ガスとして、例
えば50nm程度の厚さで成長させる。この際に、絶縁
膜13はゲート耐電圧を増加させるために厚くするとよ
いが、保護用絶縁膜19は後述するようにこれを介して
レーザー光を照射するので、光エネルギーロスの観点か
ら、その厚さは薄くするとよい。なお、この連続成膜
は、チャンバ内を大気圧に開放することなく成膜するの
で、各膜の間に汚染物質が混入することを防止できると
ともに、成膜時における層間の応力を極力、低減させる
ことができる。
【0029】次に、図2のCに示されるようなゲート電
極12の幅よりかなり狭いレジストR1を用いて低濃度
領域L1’を形成する。まずホトリソグラフィを行ない
レジストR1を形成する。すなわち、連続成膜で最上部
に形成した第2金属汚染防止層22の上面にポジレジス
トコートをし、絶縁性基板11の裏面からオーバー露
光、すなわちゲートのセルフアライメント露光を行な
い、現像し、ポストべークを行なって、ゲート電極12
の幅より幅がかなり狭いレジストR1を形成する。次
に、第2金属汚染防止層22を、例えばCF4 のドライ
エッチングなどで、第2層間応力緩衝層21を、例えば
HF:H2 O=1:5の溶液を用いたウエットエッチン
グなどでエッチングし、保護用絶縁膜19である第2金
属汚染防止層22及び層間応力緩衝層21を、レジスト
R1と同じ幅、すなわちゲート電極12の幅よりかなり
狭い幅に形成する。この図2のCに示される状態で、レ
ジストR1及び保護用絶縁膜19をマスクとして、非晶
質シリコン層14’中に、例えば1012〜1013cm-2
程度の低濃度で燐(P- )イオンを矢印Eで示されるよ
うにドーピングし、その後、マスクとなったレジストR
1を、例えばH2 SO4 :H22 =5:1の溶液で剥
離する。なお、このときP- イオンをドーピングしてい
ない部分の非晶質シリコン層は、I層のままであり、こ
れが図3のBに示されるようなゲート領域内部G1aと
なる。なお、低ゲート電圧で大きなドレイン電流を得る
為に、ソース領域S1とドレイン領域D1との間を狭く
したい場合は、ゲート電極のセルフアライメント露光で
はなく、マスク露光で、例えば1〜2μmのレジストを
形成する。
【0030】次に、図3のAのように、半導体層となる
非晶質シリコン層14’の一部に保護用絶縁膜19が設
けられた状態で、図において上方からレーザー光を一点
鎖線の矢印Qで示すように照射して大気中でレーザーア
ニールを行う。この場合、レーザー光としては、例えば
XeClからなる波長308nmのエキシマレーザ光を
使用し、約250〜300mJ/cm2 の照射量で結晶
化、すなわち非晶質シリコン層14’を溶融固化して多
結晶シリコン層14を形成する。それと同時に、非晶質
シリコン層14’中に図2のCでドーピングしたイオン
を活性化させ、低濃度領域L1’を形成するが、この低
濃度領域L1’の一部はゲート領域G1内に設けられて
いる。なお、レーザー光を照射する初めには、溶融エネ
ルギーよりも低いエネルギー照射を行なって、非晶質シ
リコン層14’中の水素を追い出してから溶融固化させ
る。
【0031】本発明では、絶縁膜13と保護用絶縁膜1
9との間に、非晶質シリコン層14’が挟まれた状態で
溶融固化して多結晶シリコン層14が形成されるので、
固化する際に、シリコンの結晶が(毛細管現象により)
細くしぼられ、結晶粒の方向が揃った比較的単結晶に近
い多結晶シリコン層14となる。そのため、結晶界面の
欠陥の量が減少し、移動度の大きい多結晶シリコン、す
なわち電気特性に優れた多結晶シリコン層14が得られ
る。すなわち、このとき、保護用絶縁膜19は、エキシ
マレーザーの反射防止膜として働き、レーザーアニール
時のエネルギーロスを低減させ、溶融したシリコンの熱
拡散を低減するとともに、毛細管現象によって結晶粒方
向の揃った大きな多結晶シリコン層を得る。
【0032】更に、本実施例では、絶縁性基板11に当
接するようにゲート電極12が設けられており、ゲート
電極12の熱伝導率は絶縁性基板11より大きいので、
ゲート電極12が強制冷却体として働き、また本実施例
では、図5のAに示されるゲート電極12の右方が図示
しない他のゲート電極12(これも絶縁性基板11に当
接されている)と連なって設けられているので、図5の
Aにおいて、右方から左方へと固化されていき、その溶
融部は矢印Hで示されるように追いやられ、その端部で
固化される。すなわち、金属などの不純物が偏析してい
る溶融部は有効TFT領域以外で固化することになる。
また、図5のBの断面でも、ゲート電極12に近いほう
から固化されるので、低濃度領域L1’の図の網目Jで
示される部分に金属などの不純物が偏析されやすくな
る。この部分には、後に形成されるゲート領域G1/L
DD領域L1/ソース領域S1の接合部分やゲート領域
G1/LDD領域L1/ドレイン領域D1の接合部分な
どが存在しない(図5のBにおいてはこれらの領域はま
だ形成されていないので一点鎖線で示されている)の
で、すなわち製造後にドレイン電流が流れる径路Kに金
属などの不純物が偏析しないので、逆バイアスを印加し
たときも低電圧でのブレークダウンが起こりにくく、リ
ーク電流を低減でき、従って、大きなドレイン耐圧で、
大きな電流が得られる。また、このとき多結晶シリコン
層14に、図5のBで示されるような細りや段切れが生
じたとしても、ここはドレイン電流が流れる部分ではな
いので、ドレイン電流が小さくなるということはない。
【0033】なおまた、多結晶シリコン層14を形成す
る際にレーザーアニールを用いたので、熱効率、温度分
布などのばらつきが抑制され、TFT特性が均一とな
り、更に、非晶質シリコンの脱水素化と、多結晶シリコ
ンの結晶化と、低濃度領域L1’にドーピングした燐
(P)イオンの活性化とを同時に行うことができ、生産
性も向上することができる。
【0034】このレーザーアニールで多結晶シリコン層
14を形成した後は、図3のBの多結晶シリコン層14
の低濃度領域L1’中に、例えば1014〜1015cm-2
程度の高濃度で燐(P+ )イオンを矢印Fで示すように
ドーピングし、高温短時間のRTA(Rapid Th
emal Annealing)、例えば約1000℃
前後で、30秒以内のアニールを行う。すると、図3の
Cで示されるように、低濃度領域L1’の下部にLDD
領域L1が、上部にソース領域S1及びドレイン領域D
1とが形成される。すなわち、上方にソース領域S1及
びドレイン領域D1とが形成されるのであるが、低濃度
領域L1’の一部はゲート領域G1内に設けられて形成
されていたため、ソース領域S1及びドレイン領域D1
の一部、すなわちソース領域S1の右側端部S1aとド
レイン領域D1の左側端部D1aがゲート領域G1内に
設けられる。なお、本実施例では、ソース領域S1及び
ドレイン領域D1を形成する際にRTAを用いたので、
イオンドーピングした拡散層が、アニール時にほとんど
拡散することがなく、設計通りにソース領域S1及びド
レイン領域D1を形成することができる。従って、ソー
ス領域S1及びドレイン領域D1を形成する為にイオン
ドーピングしたP+ イオンが、絶縁膜13に達しないよ
うにすることが、すなわちイオンドーピングしたP+
オンが絶縁膜13に達すると、チャンネルを形成しなく
なるので、これを防止することが、確実に行なえる。
【0035】次に、図4のAで示されるように、多結晶
シリコン層14の上に、保護用絶縁膜19をも覆うよう
に、PSG(Phospho−silicate Gl
ass;燐を含んだ酸化シリコン)層23及びそのPS
G層23の上にSiN層24を常圧CVDによって形成
する。このPSG層23は、例えば、SiH4 、PH
3 、O2 を反応ガスとして、PSG層23内に数%程度
の濃度で燐が含まれるように、例えば300nm程度の
厚さで形成される。また、SiN層24は、SiH4
HN3 、N2 を反応ガスとして例えば200nm程度の
厚さで形成される。
【0036】そして、この状態で、例えばフォーミング
ガス(Ar、N2 などの不活性ガスに数%のH2 を加え
たガス)中で、約400℃で約3〜4時間の水素化アニ
ール処理を行なう。これによって、多結晶シリコン層1
4中にあるダングリングボンドをカットし、移動度を向
上させ、リーク電流の発生を抑制し、TFT特性を改善
する。なおこのとき、PSG膜23は、その吸湿性ため
に多結晶シリコン層14内に水素が入り込みやすいよう
に働き、SiN膜24は、水素を封じ込め外部に逃がさ
ないようにするために働き、すなわちPSG膜23とS
iN膜24とは、この水素化アニール処理を効率良く行
なうためのものである。
【0037】次に、ソース電極15及びドレイン電極1
6の形成を行なうが、まず、図4のBに示すように、例
えばSiN膜24をCF4 を用いたドライエッチング
で、例えばPSG膜23をHF:HN4 F=12:10
0の溶液を用いたウエットエッチングを用いて、SiN
膜24及びPSG膜23の所定の位置に、整合してフォ
トリソグラフィー及びエッチングなどの手法で窓開けを
行う。その後、シリコン1%入りのアルミニウム(A
l)をスパッタリングによって約1μmの厚さに形成さ
せる。そして、例えばH3 PO4 :CH3 COOH:H
NO3 =70:10:3の溶液を用いたウエットエッチ
ングによってAlをエッチングし、図4のCのようにソ
ース電極15とドレイン電極16を形成する。そして、
Alのエッチングのために設けられていたレジストをR
Aトリッパー(HNO3 +NO2 の洗浄液)で洗浄す
る。最後に、ソース電極15とソース領域S1及びドレ
イン電極16とドレイン領域D1とのコンタクト特性を
良好にするために、例えば約350℃のフォーミングガ
ス中で約1時間程度のAlシンターを行なう。
【0038】このようにして、図1のAに示される半導
体装置10が形成されるが、本実施例では、ソース領域
S1及びドレイン領域D1がゲート領域G1内のバック
チャンネル側に形成されているので、非晶質シリコン層
14’が溶融固化して多結晶シリコン層14を形成する
際に、重力と表面張力により、ゲート電極12の端部で
多結晶シリコン層14に、細りや段差が生じたとして
も、ドレイン電流は、この細りや段差を通らないので、
ドレイン電流が小さくなったり、流れなくなったりする
ことがない。
【0039】また、本実施例では、大きな放熱冷却体で
あるゲート電極に当接する部分から多結晶シリコン層1
4が固化していくため、金属などの不純物を含んだ非晶
質シリコン層14’の溶融部は、有効TFT領域以外に
集まり、最後に有効TFT領域以外にその溶融部に偏析
していた不純物が固化するので、ドレイン電流が流れる
径路には金属などの不純物が析出することがなく、従っ
てリーク電流を低下させることができ、また耐圧の低下
を防止することができる。
【0040】また本実施例では、ゲート絶縁部13と保
護用絶縁膜19とで挟まれた状態で、非晶質シリコン層
14’を溶融固化して多結晶シリコン14を形成させた
ので、多結晶シリコン層14は、毛細管現象によって結
晶粒子の方向がそろった比較的単結晶に近い大きな結晶
粒の多結晶シリコンが得られる。従って、移動度が大き
く、ドレイン耐圧・ドレイン電流が大きい多結晶シリコ
ンのTFTとすることができる。
【0041】また、本実施例ではLDD領域L1を介し
てドレイン電流が流れるようにしたので、電界を緩和
し、ホットキャリア効果を低減することができ、すなわ
ち大きなドレイン電圧を印加することができる。
【0042】なお、半導体装置10のゲート領域内部G
1aをI層ではなく、上述したようにチャンネルのキャ
リアと反対の低濃度不純物層(本実施例ではP型半導体
層)で形成する場合には、上記のプラズマCVDを用い
た連続成膜において、SiH4 を反応ガスとして形成さ
れたα−Si:Hから成る非晶質シリコン層14’の代
わりに、例えば数ppmのB26 を加えたSiH4
反応ガスとして、ホウ素(B)が少量混入した非晶質シ
リコン(P- α−Si)を形成させて、上述した手順を
行なえばよい。ただし、LDD領域やソース領域及びド
レイン領域を形成する時には、ゲート領域内部G1aが
I層のときよりもボロン濃度分だけ燐濃度を高くするこ
とが必要である。
【0043】次に、本発明の第2実施例について、図1
のB、図6乃至図10を参照して説明するが、上記実施
例と同様な部分については、同一の符号を付し、その詳
細な説明は省略する。
【0044】本実施例の半導体装置30は、図1のBに
示されるように、第1実施例と同様に、逆スタガ型のN
チャンネルMOS構造であり、半導体層となる多結晶シ
リコン層14のチャンネル20が形成されるゲート絶縁
部13a側と反対側のゲート領域G2には、すなわちバ
ックチャンネル側には、ソース領域S1とドレイン領域
D1とが形成されているが、このソース領域S1とドレ
イン領域D1との間には、チャンネル20と異種の低濃
度不純物を含む拡散層31が形成されている。この拡散
層31は、本実施例の半導体装置30が上記実施例と同
様なNチャンネルMOS構造であるため、正孔を不純物
として含んだP- 層で形成されている。
【0045】本実施例では、バックチャンネル側にP-
型の拡散層31を形成したので、ゲート電極12に正の
バイアスを印加した場合には、図6のAに示されるよう
に、すなわちゲート電極12側に伝導電子から成るチャ
ンネル20(これは図において一点鎖線で囲まれる部
分)が形成され、また更に正のバイアスを印加すると、
電位差により拡散層31からゲート領域内部G1a内に
矢印Mで示されるように電子が移動するので、このバッ
クチャンネル側にもドレイン電流が流れる。また、ゲー
ト電極12に負のバイアスを印加した場合には、図6の
Bに示されるように、ゲート電極12側に正孔が蓄積さ
れて拡がり、低いゲートバイアスで拡散層31に達する
ので、拡散層31と半導体層である多結晶シリコン層1
4との界面に生じるリーク電流が遮断される。なお、ソ
ース領域S1とドレイン領域D1との間に、拡散層31
が設けられているため、ここに横一列に、N+ (ソース
領域S1)−P- (拡散層31)−N+ (ドレイン領域
D1)と接合された部分、すなわちトランジスタが形成
されることになるが、拡散層31はフローティングでバ
イアス印加されていないので、ここにドレイン電流が流
れることがない。従って、リーク電流を低く抑えること
ができる。
【0046】次に、本発明の第2実施例の半導体装置3
0の製造方法を、図7乃至図9を参照して説明する。
【0047】まず、第1実施例と同様にして、図7のA
に示されるように、絶縁性基板11上にゲート電極12
を形成した後、これまた第1実施例と同様にプラズマC
VDによって、絶縁膜13のSiNから成る第1金属汚
染防止層17とSiO2 から成る第1層間応力緩衝層1
8、非晶質シリコン層14’、保護用絶縁膜19のSi
2 から成る第2層間応力緩衝層21とSiNから成る
第2金属汚染防止層22を連続成膜する。なお、本実施
例の連続成膜に用いた反応ガスは、第1実施例と同じで
あり、またその形成された膜厚もほぼ同じ厚さである。
【0048】次に、裏面露光のホトリソグラフィで、す
なわちポジレジストコート、露光、現像及びポストべー
クを行いレジストR1を形成した後、CF4 を用いたド
ライエッチングでSiNで成る第2金属汚染防止層22
をエッチングし、HF:H2O=1:5の溶液を用いて
ウエットエッチングでSiO2 で成る第2層間応力緩衝
層21をエッチングする。そして、図7のBに示される
状態で、すなわちゲート電極12の幅よりかなり幅が狭
いレジストR1及び保護用絶縁膜19をマスクとして、
非晶質シリコン層14’中に、第1実施例と同様に、例
えば1012〜1013/cm程度の低濃度のP- イオンを
矢印E’のようにドーピングし、レジストR1を、例え
ばH2 SO4 :H22 =5:1の溶液で剥離する。す
ると、図8のAで示されるような状態となる。
【0049】この図8のAに示される状態で、第1実施
例と同様に、レーザー光(一点鎖線の矢印Q’で示され
る)を照射して大気中でレーザーアニールを行なう。こ
の場合、レーザー光としては、例えばXeClから成る
波長308nmのエキシマレーザ光を使用し、約250
〜300mJ/cm2 の照射量で結晶化、すなわち多結
晶シリコン層14を形成する。なお、レーザー光を照射
する最初には、溶融エネルギーよりも低いエネルギー照
射を行なって、非晶質シリコン層14’中の水素を追い
出してから溶融固化させて多結晶シリコン層14を形成
する。これによって、第1実施例と同様に、図7のBに
おいてドーピングしたイオンを活性化して、ゲート領域
G1内に一部を形成している低濃度領域L1’とゲート
領域内部G1aを形成する。そして、保護用絶縁膜19
のSiNで成る第2金属汚染防止層22及びSiO2
成る第2層間応力緩衝層21を、それぞれCF4 ガスの
ドライエッチング、HF:H2 O=1:5の溶液を用い
たウエットエッチングで剥離する。
【0050】この保護用絶縁膜19を剥離した後に、約
300℃でプラズマCVDを行ない、図8のBに示すよ
うに、BSG(Boro−silicate Glas
s;ホウ素を含んだ酸化シリコン)層32を多結晶シリ
コン層14の上に、例えば100nm程度の厚さで形成
する。なおこのとき、SiH4 とB26 のガスを反応
ガスとして用いる。
【0051】次に、ポジレジストコート、マスク露光、
現像、ポストべークをした後、レジストR2をゲート領
域内部G2aと同じ幅で形成し、更にこの幅でレジスト
R2と整合させてBSG膜32をHF:H2 O=1:5
の溶液を用いてウエットエッチングし、図8のCに示さ
れるような状態とする。この状態で、例えば1014〜1
15cm-2程度のP+ イオンを上方から矢印F’のよう
にドーピングし、レジストR2剥離後に、高温短時間の
アニール、例えば約1000℃前後で、30秒以内のR
TAアニールを行なう。すると、図9のAで示されるよ
うに、低濃度領域L1’の下方にLDD領域L1、その
上部にソース領域S1及びドレイン領域D1が形成さ
れ、更に、BSG膜32中にあるホウ素(B)がゲート
領域G2の中央上面に拡散注入され、すなわちソース領
域S1及びドレイン領域D1の間にP- の不純物で成る
拡散層31が形成される。なお本実施例では、ソース領
域S1及びドレイン領域D1を形成する際にRTAアニ
ールを用いたので、イオンドーピングした拡散層が、設
計通りにソース領域S1及びドレイン領域D1を形成す
ることができ、更に、ソース領域S1及びドレイン領域
D1が形成されるだけはなく、拡散層31も同時に形成
されるので、生産性の向上にも寄与する。
【0052】このソース領域S1、ドレイン領域D1及
び拡散層31が形成された後には、図9のBに示される
ように、上記第1実施例と同様に、水素化アニールの効
果をよりよく行なうためのPSG膜23及びSiN膜2
4を、多結晶シリコン層14及びBSG膜32を覆うよ
うに形成する。そして、上記第1実施例と同様な水素化
アニールを行ない、多結晶シリコン層14中にあるダン
グリングボンドをカットし、移動度を向上させて、リー
ク電流の発生を抑制し、TFT特性を改善させる。
【0053】次に、ソース電極15、ドレイン電極16
を形成するが、これは上記実施例と全く同じ方法で形成
するので、その説明は省略する。そして、ソース電極1
5、ドレイン電極16を形成するために用いたレジスト
をRAストリッパーで剥離して、最後に、図9のCの形
状となった半導体装置にAlシンダーを施し、図1のB
で示された半導体装置30が完成する。
【0054】なお、以上の実施例では、低濃度領域L
1’を形成した後、その下部にLDD領域L1を、その
上部にソース領域S1及びドレイン領域D1を形成した
ので、LDD領域L1の端部と、ソース領域S1の端部
及びドレイン領域D1の端部とが整合している。しかし
ながら、これらを図10のAに示すように整合させずに
設けてもよい。ただし、LDD領域L1の端部と、ソー
ス領域S1の端部及びドレイン領域D1の端部とが整合
させたほうが、電界を緩和するのに有効であり、よりド
レイン耐圧を向上させることができる。また、LDD領
域の端部と、ソース領域S1の端部及びドレイン領域D
1の端部とを整合しない図10のAのような場合には、
LDD領域の大きさに応じたレジストを設けてイオンド
ーピングしなければならないが、LDD領域の端部と、
ソース領域S1の端部及びドレイン領域D1の端部とを
整合する場合には、すなわち、低濃度領域L1’を上下
に分けただけであるので、LDD領域の大きさは保護用
絶縁膜13の幅によって決まり、すなわち保護用絶縁膜
13をマスクとしてイオンをドーピングすればよいの
で、別個にレジストを設ける必要がなく、LDD領域の
形成に手間がかからない。また、以上の実施例では、L
DD領域L1を設けたが、図10のBに示すように、こ
れを設けずともよく、例えばソース領域S1’及びドレ
イン領域D1’の厚さが、多結晶シリコン層14”の厚
さに比べて、所定量、厚い場合には、ゲート絶縁膜13
a側に形成される電子蓄積層を介して、ソース領域S
1’の右側端部S1a’とドレイン領域D1’の左側端
部D1a’との間をドレイン電流が流れるので、低いド
レイン電圧で、大きいドレイン電流を流すことができ
る。なお、この場合多結晶シリコン層を、チャンネルを
形成するキャリアと異種の不純物、すなわちP- 層で形
成すれば、絶縁膜13中に存在する可動イオンによるV
THのばらつきを防止することができる。
【0055】次に、本発明の第3実施例について図11
乃至図15を参照して説明するが、上記実施例と同一な
部分については、同一の符号を付し、その詳細な説明は
省略する。
【0056】第3実施例の半導体装置は図11に示され
ているが、これは全体として40で示され、これは上記
実施例と異なり、絶縁性基板11に当接してゲート電極
12’が形成されていないスタガ型である。絶縁性基板
11上には、保護用絶縁膜として例えばSiNから成る
層22’が形成されており、その上には、多結晶シリコ
ン層44が形成されている。多結晶シリコン層44に
は、例えばAlで成るゲート電極12’とゲート絶縁部
13a’とを介して接合するゲート領域G3(これは破
線の内部で示される領域)と、例えばAlで成るソース
電極15に接合されているソース領域S3及び、例えば
Alで成るドレイン電極16に接合されているドレイン
領域D3が形成されている。ソース領域S3及びドレイ
ン領域D3は、幅の異なる2つの層を重ねた形状をして
おり、絶縁性基板11に近い方に、それぞれ幅の長い第
1ソース領域S31、第1ドレイン領域D31を、その
上にそれぞれ第2ソース領域S32、第2ドレイン領域
D32を形成している。このため第1ソース領域S31
の右側端部S31a及び第1ドレイン領域D31の左側
端部D31aがゲート領域G3内に形成されている。ま
た、第2ソース領域S32の右側、及び第2ドレイン領
域D32の左側には、それぞれLDD領域L3が形成さ
れている。なお、ゲート絶縁部13a’は、SiO2
ら成る第1層間応力緩衝層18’及びSiNから成る第
1金属汚染防止層17’から構成されている。
【0057】本実施例も、上記実施例と同様に、Nチャ
ンネルMOS構造の半導体装置40であるので、ゲート
絶縁部13a’側に形成されるチャンネルのキャリアは
伝導電子であり、従って、ソース領域S3及びドレイン
領域D3はN+ で形成されており、LDD領域L3もN
- で形成されているが、本実施例では、ソース領域S
3、ドレイン領域D3及びLDD領域L3以外のゲート
領域G3aは、I層で形成されている。
【0058】このような構成にすることによって、すな
わちゲート領域G3内に、ソース領域S3、ドレイン領
域D1及びLDD領域L3を形成したので、実効チャン
ネル長が短くなり、低いゲート電圧と低いドレイン電圧
とで大きなドレイン電流を得ることができ、更にスイッ
チング特性が改善される。なお、実施例では、第1ソー
ス領域S31及び第1ドレイン領域D31のゲート領域
G3内にある端部をテーパーとしたので、多結晶シリコ
ン層44’の細りや段切れを防止することができる。
【0059】次に、本実施例の半導体装置40の製造方
法を、図13乃至図15を参照して説明する。
【0060】絶縁性基板11を約600℃に加熱して、
図13のAに示されるように、絶縁性基板11上に、保
護用絶縁膜であるSiNから成る層22’と、燐が少量
混入した多結晶シリコン(N+ 多結晶シリコン)層43
とを減圧CVDの連続成膜で形成する。このとき層2
2’は、反応ガスとしてSiH4 、N2 、H2 を用い
て、例えば、約300nm程度の厚さで形成され、多結
晶シリコン層43は、SiH4 、PH3 とを反応ガスと
して、例えば20nm程度の厚さで形成する。
【0061】次に、図13のBに示すように、多結晶シ
リコン層43をホトリソグラフィによりエッチングし、
第1ソース領域S31及び第1ドレイン領域D31を形
成する。すなわちポジレジストコート、マスク露光、現
像、ポストべークを行なった後、例えばCCl4 などに
よりドライエッチングし、レジストを剥離する。なおこ
のとき、多結晶シリコン層44’の細りや段切れを防止
するために、第1ソース領域S31及び第1ドレイン領
域D31のエッチングされる部分を約10〜30°のテ
ーパーに形成する。
【0062】再び、絶縁性基板11を約600℃程度に
加熱して、図13のCで示されるように、層22’、第
1ソース領域S31及び第1ドレイン領域D31を覆う
ように、多結晶シリコン層44’及びSiO2 膜45を
減圧CVDで連続成膜する。この多結晶シリコン層4
4’は、反応ガスをSiH4 として、例えば約30nm
程度の厚さで形成され、SiO2 膜45は、SiH4
2 とを反応ガスとして、例えば約100nm程度の厚
さで形成される。このSiO2 膜45はゲート領域内部
G3aを形成する際に、多結晶シリコン層44’に汚染
物が混入するのを防止するための膜である。
【0063】次に、ポジレジストコート、マスク露光、
現像、ポストベークから成るホトリソグラフィ工程を行
なって、図14のAに示されるようなレジストR5を形
成する。なお、このレジストR5は、第1ソース領域S
31の右側端部S31a及び第1ドレイン領域D31の
左側端部D31aに渡って形成されている。そして、H
F系のエッチング液で、このレジストR5と整合するよ
うにSiO2 膜45をウエットエッチングする。この図
14のAに示される状態で、レジストR5及びSiO2
膜45をマスクとして、P- イオンを約1012〜1013
/cm2 程度で矢印E”で示されるようにドーピングす
る。すなわち、図において多結晶シリコン層44’のG
3aにはイオンがドーピングされておらず、これが後に
ゲート領域内部G3aとなる。そして更に、図14のB
に示すように、レジストR5の外周に、LDD領域L3
の大きさを決めるためのレジストR6をホトリソグラフ
ィにより形成し、P+ イオンを、約1015〜1016/c
2 程度で矢印F”で示されるようにドーピングする。
従って、図14のBで、Xで示される部分は低濃度のP
- イオンがドーピングされており、Yで示される部分に
は高濃度のP+ イオンがドーピングされている。そし
て、レジストR5、R6及びSiO2 膜45を、例えば
HF系のエッチング液とRAストリッパーなどを用いて
剥離する。
【0064】レジストR5、R6及びSiO2 45を剥
離した後は、図14のCに示されるように、高温短時間
のRTA(例えば約1000℃で1〜2分)、または約
600℃で20〜25時間の低温アニールを行なって、
より結晶粒の大きい多結晶シリコン層44に再結晶化す
る。同時に、ドーピングされたイオンの活性化を行なっ
て、P+ イオンがドーピングされている(Yで示されい
る)部分から第2ソース領域S32、第2ドレイン領域
D32が、P- イオンがドーピングされている(Xで示
される)部分からLDD領域L3が形成される。
【0065】そして次に、図15のAに示されるような
ゲート絶縁部13a’を形成するが、まず全面に絶縁膜
を約600℃の減圧CVDで形成する。この絶縁膜は、
SiO2 から成る第1層間応力緩衝層18’及びSiN
から成る第1金属汚染防止層17’から構成されてお
り、これらは例えば、それぞれSiH4 、O2 及びSi
4 、N2 、H2 を反応ガスとして、それぞれ約50n
m、約100nm程度の厚さで形成されている。そし
て、SiO2 から成る第1層間応力緩衝層18’及びS
iNから成る第1金属汚染防止層17’を、それぞれH
F系のエッチング液を用いたウエットエッチング及びC
Cl4 を用いたドライエッチングでエッチングして、図
15のAに示されるようなゲート絶縁部13a’を形成
する。
【0066】次に、図15のBで示されるように、約6
00℃の減圧CVDでPSG膜23とSiN膜24とを
形成し、上記実施例と同様に水素化アニールを行なう。
そして、PSG膜23とSiN膜24とをエッチングし
て電極を形成するが、本実施例では上記実施例と異な
り、ゲート電極12’を多結晶シリコン層44の上方に
ゲート絶縁膜13a’を介して設けるスタガー構造であ
るので、ゲート電極12’を形成する部分にも窓を形成
する。そして、上記実施例と同様に、1%のシリコン入
りのAlをスパッタリングして、ゲート電極12’、ソ
ース電極15及びドレイン電極16を形成し、図15の
Cに示される形状で、最後に上記実施例と同様にAlシ
ンダーを行ない、半導体装置40が完成する。
【0067】また、本実施例では、保護用絶縁膜13’
はSiN膜22’より形成されているが、これを2つの
層、すなわち例えばSiO2 膜で成る第2層間応力緩衝
層及び例えばSiN膜で成る第2金属汚染層の2つの層
で形成してもよい。この場合には、製造工程中や製造後
の金属汚染を防止することだけでなく、多層構造とした
際の層間応力を低減できる。
【0068】また、本実施例では、ゲート領域内部G3
aをI層で形成したが、減圧CVDで多結晶シリコン層
44を形成する際に、SiH4 だけではなく、SiH4
に数ppmのB26 を添加して反応ガスとして用い
て、ゲート領域G3aを正孔を不純物として含んだ多結
晶シリコン(P- 多結晶シリコン)で形成してもよい。
ただしこの場合には、LDD領域L3、第2ソース領域
S32、第2ドレイン領域D32を形成する際にドーピ
ングする燐イオンの濃度は若干、高くする。
【0069】また、本実施例ではバックチャンネル側に
拡散層を形成していないが、図12に示されるように、
バックチャンネル側に拡散層41、41’を形成しても
よく、この場合には、上記第2実施例で述べた効果、す
なわちゲート電極12に負のバイアスを印加した場合に
は、拡散層41、41’と半導体層である多結晶シリコ
ン層44との界面に生じるリーク電流が遮断され、ま
た、拡散層41、41’内を通って電流が流れることが
ないので、リーク電流を低く抑えることが可能であると
の効果を奏することができる。なお、図12のAでは、
上記第3実施例のSiNから成る層22’と、第1ソー
ス領域S31及び第1ドレイン領域D31となる多結晶
シリコン層43との間に、SiH4 、B26 を反応ガ
スとして用いてBSG膜42を形成し、多結晶シリコン
層44’を再結晶化する際に、RTAアニール又は低温
アニールで、BSG膜42からゲート領域G3’にホウ
素を拡散させて、ソース領域S3とドレイン領域D3と
の間に、拡散層41を形成している。また図12のBで
は、上記第3実施例のSiNから成る層22’と第1ソ
ース領域S31及び第1ドレイン領域D31と成る多結
晶シリコン層43との間に、数ppmのB26 を含ん
だSiH4 を反応ガスとして用いて、正孔を不純物とし
て含んだ多結晶シリコン(P- 多結晶シリコン)層46
を、その上にSiH4 、O2 を反応ガスとして用いてS
iO2 膜47を減圧CVDにより連続成膜して、SiO
2 膜47をエッチングして、多結晶シリコン層46がゲ
ート領域G3に臨むようにし、この部分を多結晶シリコ
ン層44を再結晶化して形成する際に、RTAアニー
ル、又は低温アニールで活性化して、拡散層41’とし
てもよい。なお、図12では、第1ソース領域S31の
右側端部S31a及び第1ドレイン領域D31の左側端
部D31aにテーパーを設けていないが、上記第3実施
例のように、多結晶シリコン層44’の細りや段切れを
防止するために、テーパーを設けるほうが、より好まし
い。
【0070】以上、本発明の半導体装置及びその製造方
法の各実施例について述べたが、勿論、本発明はこれに
限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種
々の変形が可能である。
【0071】例えば、上記実施例では、ゲート電極の両
側にLDD領域を設けたいわゆるダブルLDD構造とな
っているが、ゲート−ドレイン間にのみLDD領域を設
けるいわゆるシングルLDD構造としてもよい。また上
記実施例では、伝導電子をキャリアとするチャンネルを
形成する半導体装置、すなわちNチャンネルMOS型多
結晶シリコンから成る半導体装置について述べたが、勿
論、正孔をキャリアとするチャンネルを形成するPチャ
ンネルMOS型多結晶シリコンから成る半導体装置であ
っても、イオンドーピングやCVDにおける導電型を変
えて適用すれば、同様な効果が得られるし、他のMIS
構造の半導体装置にも適応できる。
【0072】また、上記実施例では、結晶粒の大きい多
結晶シリコン層を形成する為に溶融固化する際には、エ
キシマレーザー光照射によるレーザーアニールを用いた
が、これに限定される必要はなく、例えば他に、アルゴ
ンレーザー光照射によるレーザーアニールを行なっても
よいし、また低温アニール(600℃、20〜30時間
程度)、RTAによる650℃〜700℃、0.5〜
1.0時間程度のアニール処理などを用いてもよい。こ
れによって上述したように、高温にせずとも結晶粒の大
きい多結晶シリコンが得られるので、すなわち高価で大
型化に適さない石英ガラスを用いずともよいので、コス
トダウンができ、かつ大型化することが容易となる。
【0073】
【発明の効果】以上、述べたように本発明の半導体装置
及びその製造方法によれば次のような効果がある。
【0074】ゲート領域内にソース領域及びドレイン領
域を設けたので、多結晶シリコンで成る半導体層に細り
や段切れが生じたとしても、抵抗の大きいその細りや段
切れをドレイン電流が通ることがないので、ドレイン電
流が小さくなったり、流れなくなることがない。そし
て、実効ゲート長を短くできるので、低いゲート電圧、
低いドレイン電圧で大きなドレイン電流を得ることがで
きる。
【0075】また、絶縁性基板上に当接するように電極
が設けられている場合、すなわち逆スタガー構造の場合
には、その電極が強制冷却体として働き電極の近傍から
シリコンが固化されていき、有効TFT領域以外の部分
が最後に固化され、またシリコン中に存在していた不純
物は偏析して最後に固化されるので、すなわち、有効T
FT領域以外の部分に不純物が偏析されることになるの
で、逆バイアスしたときの低電圧でのブレークダウンが
起こりにくく、リーク電流を低減でき、従って、大きな
ドレイン電圧を印加でき、大きなドレイン電流が得られ
る。
【0076】また、ゲート絶縁部と保護用絶縁膜とに挟
まれた状態で、非晶質シリコンを溶融固化して半導体層
となる多結晶シリコンを形成するので、毛細管で見られ
るような現象、すなわち結晶の方向が揃うという現象が
起こるので、移動度、ドレイン耐圧及びドレイン電流を
大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の逆スタガ構造の半導体装置を示す断面
図であり、Aは第1実施例による半導体装置を示し、B
は第2実施例による半導体装置を示す。
【図2】本発明の第1実施例の半導体装置の製造方法を
説明する模式断面図(その1)である。
【図3】本発明の第1実施例の半導体装置の製造方法を
説明する模式断面図(その2)である。
【図4】本発明の第1実施例の半導体装置の製造方法を
説明する模式断面図(その3)である。
【図5】本発明の第1実施例の半導体装置の製造方法の
途中を詳細に示した模式図であり、Aは平面図、Bは図
5のAにおける[B]−[B]線方向の断面図である。
【図6】本発明の第2実施例の半導体装置の作用を説明
する断面図である。
【図7】本発明の第2実施例の半導体装置の製造方法を
説明する模式断面図(その1)である。
【図8】本発明の第2実施例の半導体装置の製造方法を
説明する模式断面図(その2)である。
【図9】本発明の第2実施例の半導体装置の製造方法を
説明する模式断面図(その3)である。
【図10】本発明の第1実施例、第2実施例の逆スタガ
構造の変形例を示す断面図であり、Aはソース領域及び
ドレイン領域とLDD領域とが整合せずに設けられてい
る半導体装置を示し、BはLDD領域が形成されていな
い半導体装置を示している。
【図11】本発明の第3実施例の半導体装置の断面図で
ある。
【図12】本発明の第3実施例の半導体装置の変形例を
示す断面図である。
【図13】本発明の第3実施例の半導体装置の製造方法
を説明する模式断面図(その1)である。
【図14】本発明の第3実施例の半導体装置の製造方法
を説明する模式断面図(その2)である。
【図15】本発明の第3実施例の半導体装置の製造方法
を説明する模式断面図(その3)である。
【図16】従来例の半導体装置の断面図である。
【符号の説明】
10……半導体装置、11……絶縁性基板、12、1
2’……ゲート電極、13a……ゲート絶縁部、14…
…多結晶シリコン層、15……ソース電極、16……ド
レイン電極、19保護用絶縁膜、20……チャンネル、
30……半導体装置、31……拡散層、40……半導体
装置、41、41’……拡散層、44……多結晶シリコ
ン層、D1、D3……ソース領域、D1a、D31a…
…左側端部、G1、G2、G3……ゲート領域、L1、
L3……LDD領域、S1、S3……ソース領域、S1
a、S31a……右側端部。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゲート電極とゲート絶縁部を介して接合
    するゲート領域と、ソース電極に接合するソース領域
    と、ドレイン電極に接合するドレイン領域とを有した半
    導体層を絶縁性基板の上に形成し、前記半導体層の前記
    ゲート領域内の前記ゲート絶縁部側にチャンネルが形成
    される半導体装置において、前記半導体層の前記ゲート
    領域内に、前記ソース領域と、前記ドレイン領域とが設
    けられたことを特徴とする半導体装置。
  2. 【請求項2】 前記チャンネルが形成される側とは反対
    側の前記ゲート領域に、前記ソース領域及び前記ドレイ
    ン領域が設けられていることを特徴とする請求項1に記
    載の半導体装置。
  3. 【請求項3】 前記ソース領域と前記ドレイン領域との
    間に、前記チャンネルを形成しているキャリアと異種の
    低濃度不純物層、又は真性半導体層が形成されているこ
    とを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
  4. 【請求項4】 前記ドレイン領域及び前記ソース領域以
    外の前記ゲート領域内の前記半導体層が、前記チャンネ
    ルを形成しているキャリアと異種の低濃度不純物層、又
    は真性半導体層で形成されていることを特徴とする請求
    項1乃至請求項3の何れかに記載の半導体装置。
  5. 【請求項5】前記チャンネルと同種で濃度の低い不純物
    から成るLDD領域が、ゲート領域内に形成されている
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載
    の半導体装置。
  6. 【請求項6】 前記半導体層が多結晶シリコンで形成さ
    れていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れ
    かに記載の半導体装置。
  7. 【請求項7】 前記ゲート絶縁部が、前記半導体層側か
    ら前記ゲート電極側に向けて第1層間応力緩衝層、第1
    金属汚染防止層の順に形成され、前記半導体層に対して
    前記ゲート電極と反対側に保護用絶縁膜が設けられ、該
    保護用絶縁膜が、前記半導体層から前記ゲート電極と離
    れる側に向けて第2層間応力緩衝層、第2金属汚染防止
    層の順に構成されていることを特徴とする請求項1乃至
    請求項6の何れかに記載の半導体装置。
  8. 【請求項8】 ゲート電極とゲート絶縁部を介して接合
    するゲート領域と、ソース電極に接合するソース領域
    と、ドレイン電極に接合するドレイン領域とを有した多
    結晶シリコンで成る半導体層を絶縁性基板の上に形成
    し、前記半導体層の前記ゲート領域内の前記ゲート絶縁
    部側にチャンネルが形成される半導体装置の製造方法に
    おいて、前記半導体層の前記ゲート領域内の前記チャン
    ネルが形成される側とは反対側に、前記ソース領域と前
    記ドレイン領域とが設けられて、前記半導体層となる前
    記多結晶シリコンを、溶融固化して形成することを特徴
    とする半導体装置の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記ゲート領域を形成する前記半導体層
    が、前記ゲート絶縁部と、前記半導体層に対して前記ゲ
    ート絶縁部と反対側に設けられた保護用絶縁膜とによっ
    て挟まれた状態で、非晶質シリコンを溶融固化して前記
    多結晶シリコンを形成することを特徴とする請求項8に
    記載の装置の製造方法。
  10. 【請求項10】 ゲート電極とゲート絶縁部を介して接
    合するゲート領域と、ソース電極に接合するソース領域
    と、ドレイン電極に接合するドレイン領域とを有した多
    結晶シリコンで成る半導体層を絶縁性基板の上に形成
    し、前記半導体層の前記ゲート領域内の前記ゲート絶縁
    部側にチャンネルが形成される半導体装置の製造方法に
    おいて、前記ゲート領域を形成する前記半導体層が、前
    記ゲート絶縁部と、前記半導体層に対して前記ゲート絶
    縁部と反対側に設けられた保護用絶縁膜とによって挟ま
    れた状態で、非晶質シリコンを溶融固化して前記多結晶
    シリコンを形成することを特徴とする半導体装置の製造
    方法。
  11. 【請求項11】 レーザーアニール、低温アニール又は
    RTAアニールにより前記ゲート領域となる多結晶シリ
    コンを形成することを特徴とする請求項8乃至請求項1
    0の何れかに記載の半導体の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記ゲート絶縁膜を構成する第1金属
    汚染防止層、第1層間応力緩衝層、前記多結晶シリコン
    層を構成するための非晶質シリコン層、前記保護用絶縁
    膜を構成する第2層間応力緩衝層、第2金属汚染防止層
    の順、または該第2金属汚染防止層、第2層間応力緩衝
    層、前記多結晶シリコン層を構成するための非晶質シリ
    コン層、第1層間応力緩衝層、第1金属汚染防止層の順
    に連続成膜を行ない、その後、非晶質シリコン層をレー
    ザーアニールして、前記多結晶シリコン層を形成するこ
    とを特徴とする請求項9乃至請求項11の何れかに記載
    の半導体装置。
  13. 【請求項13】 前記ソース領域及び前記ドレイン領域
    をイオンドーピングした後にRTAアニールで形成する
    ことを特徴とする請求項8乃至請求項12の何れかに記
    載の半導体の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記半導体層の下方に、前記絶縁性基
    板に当接させて、前記ソース電極と前記ドレイン電極、
    又は前記ゲート電極を設けた構造となっていることを特
    徴とする請求項8乃至請求項13に記載の半導体装置。
  15. 【請求項15】 前記絶縁性基板に当接した前記ソース
    電極と前記ドレイン電極、又は前記ゲート電極が、前記
    絶縁性基板に当接した他の前記ソース電極と前記ドレイ
    ン電極、又は前記ゲート電極と連設している構造となっ
    ていることを特徴とする請求項14に記載の半導体装
    置。
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