JPH0927648A - 和周波レーザ装置 - Google Patents

和周波レーザ装置

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JPH0927648A
JPH0927648A JP17374995A JP17374995A JPH0927648A JP H0927648 A JPH0927648 A JP H0927648A JP 17374995 A JP17374995 A JP 17374995A JP 17374995 A JP17374995 A JP 17374995A JP H0927648 A JPH0927648 A JP H0927648A
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JP
Japan
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optical
laser
light
axis
resonator
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JP17374995A
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English (en)
Inventor
Shiro Shichijo
司朗 七条
Kiyobumi Muro
清文 室
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 固体レーザの単一縦モード化によって、和周
波変換効率を向上させ、モードホッピングによる出力変
動を抑制した和周波レーザ装置を提供する。 【構成】 光共振器25は、複屈折性を有するレーザ媒
質23と、ビームウォークオフを生じる非線形光学素子
24と、反射面が凹面である出力ミラー41とで構成さ
れおり、光共振器25内でのレーザ発振光が第1基本波
となる。外部から第2基本波としてレーザ発振波長とは
異なる波長を有する第2のレーザ光31を導入して、非
線形光学素子24の中で第1基本波と第2基本波とが混
合すると和周波光が発生する。非線形光学素子24はオ
フカットの結晶であり、この中を光ビームが通過すると
偏光方向に応じてビームウォークオフが生じ、これによ
って2つの偏光光軸1、1aに分離され、シフトした方
の偏光光軸1aのみで光共振器25の光軸を構成するよ
うに出力ミラー41を配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光記録や通信、計測等
の光源として好適に用いられ、波長の異なる2つのレー
ザ光を混合させて和周波を発生することで、より短波長
で高速変調が可能な光源を実現できる和周波レーザ装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】GaAlAsレーザ等の半導体レーザを
用いて、Nd:YAGから成るレーザ媒質をポンピング
するように構成された固体レーザは従来から知られてい
る。ところが、このような半導体レーザ励起固体レーザ
の波長は、光記憶装置用の光源や短波長のコヒーレント
光源として使用するには未だ長すぎる。
【0003】より短波長のレーザ光を得るために、共振
器内に固体レーザ媒質とレーザ発振光を波長変換する非
線形光学材料から成るバルク結晶とを配置して、固体レ
ーザ発振光を第2高調波に変換することによって、短波
長の出力光を得る方法も知られている。たとえば、N
d:YAGから成るレーザ媒質と燐酸チタニルカリウム
KTiOPO4 (略称KTP)から成る非線形光学結晶
との組合せによって、波長1064nmのレーザ発振光
を波長532nmへ波長変換して出力することができ
る。
【0004】また、こうしたグリーン光からより短波長
のブルーグリーン光を得るために、Nd:YAGから成
るレーザ媒質とKNbO3 から成る非線形光学結晶との
組合せによって、波長946nmのレーザ発振光を波長
473nmへ波長変換した例も報告されている。
【0005】しかしながら、このような共振器内に固体
レーザ媒質と第2次高調波(SHG)発生素子を配置し
た固体レーザ装置は、直接変調ができない。そのため光
ディスク記録等の光源として使用する場合には、外部に
光変調器を別途用意する必要がある。
【0006】一方、直接変調可能な固体レーザ装置とし
て、第1基本波を発生するレーザ共振器内に波長の異な
るレーザ光を第2基本波として共振器外部から導入し
て、共振器内の非線形光学素子で混合させて和周波光を
発生させる和周波レーザ装置も従来から知られている。
【0007】上述のような第2次高調波発生や和周波発
生のプロセスでは、変換効率向上のために、非線形光学
素子での位相整合条件を満足させる必要がある(特開昭
64−62621号)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の和周波レーザ装
置では、2〜3本の縦モードから成るマルチモード(ス
ペクトル幅2〜5Å)のレーザ発振が発生する。そのた
め基本波のスペクトルを反映して、出力される和周波光
のスペクトルも多モードになって単色性が損なわれてし
まう。
【0009】図13は、和周波レーザ装置が出力する和
周波光のスペクトルの一例を示すグラフである。ここで
は、レーザ媒質としてNd:YVO4 、非線形光学結晶
としてa軸−KNbO3 を使用し、半導体レーザを用い
て波長809nm、出力1Wのポンピング光でレーザ媒
質を励起して、波長1064nmのレーザ発振スペクト
ルを測定している。グラフを見ると、縦モード間隔が約
2Åで、全部で4本の縦モードから成るマルチモード発
振であることが判る。したがって、こうしたマルチモー
ドのレーザ発振光を和周波発生の基本波として使用する
と、和周波光スペクトルも同様に4本の縦モードから成
るマルチモードになる。
【0010】計測用や通信用などの用途では、短波長で
かつ単一縦モードが要求されることが多く、上述のよう
なマルチモードの和周波光では応用分野が限定されてし
まう。さらに、固体レーザのマルチモード発振は、光の
単色性の問題だけでなく、下記のような問題がある。
【0011】1)和周波光の高出力化を図る目的で、レ
ーザ媒質を励起する光パワー密度を集中させた場合、レ
ーザ媒質中に温度分布が生じて、波長に対するレーザゲ
イン分布が広がってしまう。そのため発振縦モードの数
も増加して変換効率が低下するという現象が出てくる。
特に、和周波発生用の非線形光学結晶としてKNbO3
を使用した場合、波長許容度が狭い結晶であるため、発
振波長の帯域が広がるほど変換効率が急激に低下する。
【0012】2)固体レーザが縦マルチモードで発振す
ると、何らかの擾乱によって縦モード間のモードホッピ
ングが生じて、和周波光の出力が変動してしまう。
【0013】本発明の目的は、固体レーザのレーザ発振
を単一縦モードにして、和周波発生の変換効率を向上さ
せ、モードホッピングによる出力変動を抑制することが
できる和周波レーザ装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、複数の光学素
子が介在し、当該光学素子のうち1つがレーザ媒質であ
って、当該光学素子のうち少なくとも2つが複屈折光学
素子である光共振器と、前記レーザ媒質を励起するため
のポンピング光を放射する第1光源と、前記光共振器の
発振波長とは異なる波長のレーザ光を前記光共振器内に
供給する第2光源と、前記複屈折光学素子のうちの第1
複屈折光学素子で生じるビームウォークオフによって分
離される2つの偏光光軸のうち一方の光軸をもって前記
光共振器の光軸を形成したことを特徴とする和周波レー
ザ装置である。 また本発明は、前記光共振器は直線型であって、当該光
共振器を構成する反射鏡のうち少なくとも1つは曲面鏡
であり、第1複屈折光学素子以外の第2複屈折光学素子
と当該曲面鏡と間に、第1複屈折光学素子が配置されて
いることを特徴とする。 また本発明は、複数の光学素子が介在し、当該光学素子
のうち1つがレーザ媒質であって、当該光学素子のうち
少なくとも2つが複屈折光学素子であって、当該光学素
子のうち少なくとも1つが偏光素子である光共振器と、
前記レーザ媒質を励起するためのポンピング光を放射す
る第1光源と、前記光共振器の発振波長とは異なる波長
のレーザ光を前記光共振器内に供給する第2光源と、前
記複屈折光学素子の何れか一方は和周波発生用の非線形
光学素子であって、前記複屈折光学素子および前記偏光
素子が波長弁別機能を有することを特徴とする和周波レ
ーザ装置である。 また本発明は、前記光共振器は屈曲型であって、前記偏
光素子は反射率が偏光依存性を有する反射ミラーであ
り、前記レーザ媒質と前記非線形光学素子との間に当該
反射ミラーが介在していることを特徴とする。 また本発明は、前記偏光素子は偏光ビームスプリッタで
あることを特徴とする。 また本発明は、前記偏光素子はブリュースタ板であっ
て、前記レーザ媒質と前記非線形光学素子との間にブリ
ュースタ板が介在していることを特徴とする。 また本発明は、前記偏光素子は、ブリュースタ角にカッ
トされた非線形光学素子の端面に形成されていることを
特徴とする。 また本発明は、前記レーザ媒質は、複屈折性を有するこ
とを特徴とする。 また本発明は、前記レーザ媒質は、Nd:YVO4 で形
成されていることを特徴とする。 また本発明は、前記非線形光学素子は、KNbO3 で形
成されていることを特徴とする。 また本発明は、前記第1および第2光源は、半導体レー
ザであることを特徴とする。
【0015】
【作用】本発明に従えば、非線形光学素子として機能す
る第1複屈折光学素子において、光の波数ベクトルの方
向とポインティングベクトルの方向が互いに異なるビー
ムウォークオフが生じている。このビームウォークオフ
によって分離される2つの偏光光軸のうち一方の光軸の
みをもって光共振器の光軸を形成することによって、残
りの偏光光軸に関する共振損失が大きくる。したがっ
て、偏光モードによる発振モードの差別化が可能にな
り、共振器内の単一縦モード発振が実現し、しかも縦モ
ードホッピングに起因する出力変動を抑制することがで
きる。
【0016】以下詳細に説明する。図1は本発明の原理
を示すものであり、図1(a)は光共振器25の構成
図、図1(b)は各素子の配置を示す斜視図である。光
共振器25は、複屈折性を有するレーザ媒質23と、ビ
ームウォークオフを生じる非線形光学素子24と、反射
面が凹面である出力ミラー41とで構成されおり、光共
振器25内でのレーザ発振光が第1基本波となる。
【0017】さらに、外部から第2基本波として光共振
器25のレーザ発振波長とは異なる波長を有する第2の
レーザ光31を導入して、非線形光学素子24の中で第
1基本波と第2基本波とが混合すると和周波光が発生す
る。
【0018】非線形光学素子24はオフカットの結晶で
あり、この中を光ビームが通過すると偏光方向に応じて
ビームウォークオフが生じ、これによって2つの偏光光
軸1、1aに分離される。図1では、シフトした方の偏
光光軸1aのみで光共振器25の光軸を構成するように
出力ミラー41を配置している。
【0019】レーザ媒質23および非線形光学素子24
の各配置は、図1(b)に示すように、非線形光学素子
24のレーザ媒質側の表面24aにおいて光軸に垂直な
x軸およびy軸をとると、レーザ媒質23は複屈折性を
有し、その偏光軸であるa軸およびc軸は光軸に垂直な
平面内にあって、x軸に対してそれぞれα=45°で交
差する角度に配置される。
【0020】こうした配置におけるレーザ発振について
考察する。まず非線形光学素子24の表面24aを起点
としてy軸に平行な直線偏光の光がレーザ媒質23に向
かって進行したと仮定すると、レーザ媒質23を通過し
て、たとえば表面23aで反射して再び非線形光学素子
24の表面24aに戻ったとき、光共振器内の縦モード
の偏光状態はレーザ媒質23のリターデーションによる
位相差δがmπ(但しmは整数、πは円周率)となる縦
モードについてはy軸と平行な直線偏光になる。一方、
δ≠mπとなる縦モードの偏光については、楕円の長軸
がx軸またはy軸に一致する楕円偏光となる。
【0021】このような偏光状態を持つ光が引き続き伝
搬して非線形光学素子24を通過するとき、ビームウォ
ークオフが生じて2つの偏光光軸に分離され、一方の光
軸1については光共振器25の光軸が形成されていない
ために、x軸成分が存在する縦モードの共振損失は大き
くなる。しかし、y軸に平行な偏光モードを持つ縦モー
ドは光共振器25の光軸1aに沿って伝搬するため、共
振損失の影響を受けない。したがって、y軸に平行な偏
光モード以外の縦モードは、共振損失によって発振が抑
制されるため、単一縦モードのレーザ発振が可能にな
る。
【0022】この状態で外部からレーザ発振波長とは異
なる波長を持つ第2のレーザ光を非線形光学素子24に
導入することによって、和周波光を発生させることがで
きる。その際、第2のレーザ光も単一縦モード発振であ
れば、出力安定性および単色性に優れた単一縦モードの
和周波光を得ることができる。
【0023】この場合、非線形光学素子24においてビ
ームウォークオフを発生させる必要があるため、位相整
合を満足する結晶方位は結晶軸方向からずれた方向であ
る、いわゆる臨界型位相整合(非90°位相整合)が成
立する必要がある。
【0024】一方、非線形光学素子24がその結晶軸方
向と一致する、いわゆる非臨界型位相整合を行う場合に
は、非線形光学素子24ではビームウォークオフが生じ
ない。そのため、図2に示すように、非線形光学素子2
4と出力ミラー41との間に別の複屈折光学素子BRを
介在させ、この複屈折光学素子BRでビームウォークオ
フを発生させて2つの偏光光軸1、1aに分離してい
る。
【0025】このように光共振器25内に介在する複数
の光学素子のうち、何れか1つがビームウォークオフを
発生させる複屈折性を備えていればよく、そうした複屈
折光学素子がたとえばレーザ媒質23または非線形光学
素子24と兼用していてもよく、その他の複屈折光学素
子BRであっても構わない。
【0026】図3は、本発明の他の原理を示す説明図で
ある。光共振器25は、レーザ媒質23と、非線形光学
素子24と、反射面が凹面である出力ミラー41と、レ
ーザ媒質23と非線形光学素子24との間に介在する反
射ミラー40で構成されている。ここでレーザ媒質は複
屈折を有するもので、たとえばNd:YVO4 などであ
る。反射ミラー40は、偏光方向によって反射率が異な
る偏光依存性を有し、光共振器25をたとえば90°に
折り曲げた屈曲型の共振器構造を形成している。
【0027】図4は、反射ミラー40の透過率の偏光依
存性および波長依存性の一例を示すグラフである。横軸
は波長、縦軸は透過率で示し、入射光と反射光が90°
の角度を成す場合である。この例では、光共振器25の
発振波長が1064nmである場合、S偏光(入射光と
反射光を含む平面に垂直)の反射率は99.9%(透過
率0.01%)、P偏光(該平面に平行)の透過率は9
0%以上に設計できることが判る。
【0028】図3に戻って、レーザ媒質23を半導体レ
ーザ(不図示)で励起することによって、光共振器25
内に波長λaのレーザ光を発振させ、これが第1基本波
となる。さらに、共振器外部から別の波長λb(≠λ
a)のレーザ光31を反射ミラー40を通過するように
共振器内部に導入し、これが第2基本波となる。非線形
光学結晶24では、波長λaおよび波長λbのレーザ光
が混合すると、1/λc=1/λa+1/λbの関係式
を満足するように、波長λcの和周波光を発生する。
【0029】次に、図3での単一縦モード化の原理につ
いて説明する。光共振器25は、反射ミラー40を介在
させるように配置した出力ミラー41およびレーザ媒質
23の表面23aの間で発振光が往復するように構成さ
れている。ここで、反射ミラー40からレーザ媒質23
側の光軸2の上に原点40aをとり、原点40aにおい
て光軸2に垂直なy軸(紙面上方)およびx軸(紙面右
方)をとると、レーザ媒質23は複屈折性を有し、その
偏光軸であるa軸およびc軸は光軸2に垂直な平面内に
あって、x軸に対してそれぞれ45°で交差する角度に
配置される。
【0030】こうした配置におけるレーザ発振について
考察する。まず光軸2上の原点40aを起点としてy軸
に平行な直線偏光の光がレーザ媒質23に向かって進行
したと仮定すると、レーザ媒質23を通過して、たとえ
ば表面23aで反射して再び原点40aに戻ったとき、
光共振器内の縦モードの偏光状態はレーザ媒質23のリ
ターデーションによる位相差δがmπ(mは整数)とな
る縦モードについてはy軸と平行な直線偏光になる。一
方、δ≠mπとなる縦モードの偏光については、楕円の
長軸がx軸またはy軸に一致する楕円偏光となる。
【0031】このような偏光状態を持つ光が引き続き伝
搬して反射ミラー40で直角に反射するとき、S偏光で
あるy軸偏光成分について反射ミラー40は高い反射率
を示し、一方、P偏光であるx軸偏光成分について反射
ミラー40は低い反射率を示す。こうして反射ミラー4
0はS偏光を反射し、P偏光を通過させる偏光素子とし
て機能する。
【0032】そのため原点40aにおいてδ=mπとな
る縦モード、すなわちy軸と平行な偏光となった縦モー
ドの光は、反射ミラー40で損失無く90°方向に反射
して、非線形光学素子24に入射する。一方、δ≠mπ
となる縦モード、すなわちx軸成分が存在する縦モード
の光は反射ミラー40で大きな損失を受けることにな
り、全体として共振器損失が大きくなる。
【0033】非線形光学素子24の偏光軸であるb軸お
よびc軸は、図3に示すように、原点40上のy軸およ
びx軸と一致するように配置される。この場合、y軸と
平行な偏光となった縦モードの光は、非線形光学素子2
4の偏光軸(b軸)と一致するため、偏光面の回転を受
けずに偏光方向を保存した状態で光軸1に沿って非線形
光学素子24の中を通過して、出力ミラー41によって
反射される。出力ミラー41で反射した光はy軸と平行
な偏光を有するため、再び非線形光学素子24の中を偏
光状態を保ちながら通過して、再び反射ミラー40で9
0°方向に損失無しで反射して光軸2に沿って伝搬す
る。
【0034】一方、x軸方向の偏光成分は、非線形光学
素子24の偏光軸(c軸)と一致するため、同様に偏光
状態を保ちながら非線形光学素子24を通過し出力ミラ
ー41で反射され、反射ミラー40に対してP偏光で入
射することになり、同様に大きな損失を受けてしまう。
こうして原点40上でx軸成分を有する縦モードは、共
振器内の往復で2回の損失を受けることになる。
【0035】このようにx軸方向に偏光成分を有する縦
モードは共振損失が大きくなるため、レーザ発振が抑制
されるとともに、y軸方向にのみ偏光成分を有する縦モ
ードだけは共振損失の影響を受けずにレーザ発振が可能
になる。こうして縦モードホッピングによるレベル変動
が少ない単一縦モードのレーザ発振を実現することがで
きる。
【0036】この状態で、レーザ発振波長λaとは異な
る波長λb(≠λa)を持つ第2のレーザ光31を反射
ミラー40を通過するように光共振器25の内部に導入
して、レーザ光31の偏光方向をx軸またはy軸に一致
させると、非線形光学素子24において波長λcの和周
波光が効率よく発生し、出力ミラー41から放射され
る。その際、第2のレーザ光も単一縦モード発振であれ
ば、出力安定性および単色性に優れた単一縦モードの和
周波光を得ることができる。
【0037】なお、図3の構成では、縦モード弁別を反
射ミラー40が担っているため、非線形光学素子24に
おいてビームウォークオフを発生させる必要がない。し
たがって、非線形光学素子24は位相整合可能な方位と
結晶軸が一致する非臨界型位相整合(90°位相整合)
をとることも可能であり、その際ビームウォークオフは
生じない。また、非線形光学素子24を臨界型位相整合
に設定して、ビームウォークオフによる縦モード弁別と
併用しても構わない。
【0038】図5は偏光素子を用いたモード弁別の他の
構成例を示し、図5(a)は光共振器25の構成図、図
5(b)は各素子の配置を示す斜視図である。光共振器
25は、レーザ媒質23と、非線形光学素子24と、反
射面が凹面である出力ミラー41および反射ミラー42
と、レーザ媒質23と非線形光学素子24との間に介在
するブリュースタ板5で構成されている。ブリュースタ
板5は、図5(a)の紙面に対して垂直方向の直線偏光
であるS偏光に対して一定の反射率を有し、紙面に平行
かつ光共振器25の光軸に垂直方向の直線偏光であるP
偏光に対して全透過となる偏光素子として機能する。す
なわち、縦モード弁別のために、図3に示した反射ミラ
ー40の代わりにブリュースタ板5を使用している。
【0039】次に、図5での単一縦モード化の原理につ
いて説明する。ここで、レーザ媒質23のブリュースタ
板5側の表面23bにおいて、光軸に垂直なy軸(紙面
上方)およびx軸(紙面垂直手前)をとる。表面23b
を起点として、y軸に平行な直線偏光の光がレーザ媒質
23の中を進行したと仮定すると、レーザ媒質23を通
過して、反射ミラー4で反射して再び表面23bに戻っ
たとき、光共振器内の縦モードの偏光状態はレーザ媒質
23のリターデーションによる位相差δがmπ(mは整
数)となる縦モードについてはy軸と平行な直線偏光に
なる。一方、δ≠mπとなる縦モードの偏光について
は、楕円の長軸がx軸またはy軸に一致する楕円偏光と
なる。
【0040】このような偏光状態を持つ光が引き続き伝
搬してブリュースタ板5を通過すると、P偏光であるy
軸偏光成分について損失なく通過し、S偏光であるx軸
偏光成分について一定の損失を受ける。
【0041】そのため表面23bにおいてδ=mπとな
る縦モード、すなわちy軸と平行な偏光となった縦モー
ドの光は、ブリュースタ板5による損失を受けずに非線
形光学素子24に入射する。一方、δ≠mπとなる縦モ
ード、すなわちx軸成分が存在する縦モードの光はブリ
ュースタ板5による損失を受けることになる。
【0042】非線形光学素子24の偏光軸であるb軸お
よびc軸は、図5(b)に示すように、x軸およびy軸
と一致するように配置される。この場合、y軸と平行な
偏光となった縦モードの光は、非線形光学素子24の偏
光軸(c軸)と一致するため、偏光方向を保存しながら
非線形光学素子24の中を通過して、出力ミラー41に
よって反射され、再び非線形光学素子24の中を偏光状
態を保ちながら通過して、再びブリュースタ板5を損失
無しで通過する。
【0043】一方、x軸方向の偏光成分は、非線形光学
素子24の偏光軸(b軸)と一致するため、同様に偏光
状態を保ちながら非線形光学素子24を通過し出力ミラ
ー41で反射され、ブリュースタ板5に対してS偏光で
入射し、一定の損失を受ける。こうして表面23bでx
軸成分を有する縦モードは、共振器内の往復で2回の損
失を受けることになる。
【0044】このようにx軸方向に偏光成分を有する縦
モードは共振損失が大きくなるため、レーザ発振が抑制
されるとともに、y軸方向にのみ偏光成分を有する縦モ
ードだけは共振損失の影響を受けずにレーザ発振が可能
になる。こうして縦モードホッピングによるレベル変動
が少ない単一縦モードのレーザ発振を実現することがで
きる。
【0045】この状態で、レーザ発振波長λaとは異な
る波長λb(≠λa)を持つ第2のレーザ光を光共振器
25の内部に導入すると、非線形光学素子24において
波長λcの和周波光が効率よく発生し、出力ミラー41
から放射される。その際、第2のレーザ光も単一縦モー
ド発振であれば、出力安定性および単色性に優れた単一
縦モードの和周波光を得ることができる。
【0046】なお、図5の構成では、縦モード弁別をブ
リュースタ板5が担っているため、非線形光学素子24
は、非臨界型位相整合または臨界型位相整合の何れでも
構わない。
【0047】図6は、偏光素子を用いたモード弁別の他
の構成例を示し、図6(a)は光共振器25の構成図、
図6(b)は各素子の配置を示す斜視図である。光共振
器25は、レーザ媒質23と、非線形光学素子24と、
反射面が凹面である出力ミラー41および反射ミラー4
2とで構成され、非線形光学素子24の光入出力端面で
ある表面24a、24bが光軸に対してブリュースタ角
度になるように傾斜している。光の入射角度がブリュー
スタ角度になると、図6(a)の紙面に対して垂直方向
の直線偏光であるS偏光に対して一定の反射率を有し、
紙面に平行かつ光共振器25の光軸に垂直方向の直線偏
光であるP偏光に対して全透過となるため、非線形光学
素子24の表面24a、24bは偏光素子として機能す
ることになる。こうして縦モード弁別のために、図5の
ブリュースタ板5の代替手段として使用することができ
る。また、図6の単一縦モード化の原理は図5と同様で
あるため、重複説明を省く。
【0048】図7は、偏光素子を用いたモード弁別の他
の構成例を示す図である。光共振器25は、レーザ媒質
23と、非線形光学素子24と、反射面が凹面である反
射ミラー42とで構成され、非線形光学素子24の光入
出力端面である表面24aが光軸に対してブリュースタ
角度になるように傾斜しており、表面24bは出力ミラ
ーとして機能するように高反射率に形成されている。こ
こでも同様に、光の入射角度がブリュースタ角度になる
と、図7(a)の紙面に対して垂直方向の直線偏光であ
るS偏光に対して一定の反射率を有し、紙面に平行かつ
光共振器25の光軸に垂直方向の直線偏光であるP偏光
に対して全透過となるため、非線形光学素子24の表面
24aが偏光素子として機能することになる。また、単
一縦モード化の原理は図5と同様であるため、重複説明
を省く。
【0049】以上のような構成によってモード弁別を実
現できるため、固体レーザ発振の縦モードを単一化で
き、あわせて単一モードの和周波光を得ることができ
る。
【0050】本発明において利用可能な複屈折性の光学
素子として、下記(1)(2)に分類される材料を例示
できる。なお、どの分類に該当する材料を第1の複屈折
光学素子とし、第2以降の複屈折光学素子とするかは、
固体レーザ装置の使用目的に応じて適宜組合わせること
ができる。
【0051】(1)レーザ媒質であるもの M:YVO4、M:LiYF4、M:LaF3 、M:Ca
GdAlO4 、M:La22S、M:LaMgAl11
19、M:La2Be25、M:YAlO3 、MxLa1-x
514、LiMxGd1-x412、KMxGd1-x4
12、MxGd1-xAl3(BO34、Mx1-xl3(B
34、K5Bi1-xx(MoO44、等で代表される
材料を列挙できる。ここで、Mは、Nd、Er、Ho、
Tm、Yb等の希土類元素で、それら元素の2つ以上の
混合であってもよい。また、これに加えてCr等を含ん
でもよい。この他にCr:BeAl24、Ti:Al2
3等、全ての複屈折性レーザ媒質を使用できる。
【0052】(2)非線形光学媒質であるもの KTiOPO4、KNbO3、LiNbO3 、β−BaB
24 、LiB35 、Ba2NaNb515 、LiI
3、KDP、ADP等、第2高調波や第3高調波、さ
らにより高次の高調波変換作用を有する全ての複屈折性
非線形光学材料を使用できる。
【0053】なお、本発明は基本的にモードホッピング
を抑制し出力変動を低減する手段を与えるものであり、
共振器内和周波発生固体レーザ装置に限定されるもので
なく、たとえば差周波発生等にも有効であることはいう
までもない。
【0054】
【実施例】
(実施例1)図8は、本発明の一実施例を示す構成図で
ある。ここでは固体レーザで波長1064nmのレーザ
光を発振させて、共振器外部の半導体レーザから波長8
60nmのレーザ光を導入して、波長475nmの和周
波光を発生させた例を説明する。
【0055】和周波レーザ装置は、固体レーザを構成す
る光共振器25と、固体レーザを励起するポンピング光
26を出力する半導体レーザ20と、第2基本波のレー
ザ光27を出力する半導体レーザ31などで構成され
る。
【0056】光共振器25は、Ndが1%ドープされた
Nd:YVO4 から成るレーザ媒質23と、KNbO3
から成る非線形光学素子24と、凹面形状の反射面を有
する出力ミラー41で構成され、レーザ媒質23の表面
23bと非線形光学素子24の表面24aは互いに接し
ている。また、レーザ媒質23の表面23aには、曲面
鏡を形作る微小球面(不図示)が形成されている。
【0057】レーザ媒質23の表面23aには、レーザ
媒質23の発振波長である波長1064nmに対して反
射率が99.9%であって、かつポンピング光26の波
長809nmに対して透過率が95%以上となるコーテ
ィングが施されている。また、レーザ媒質23の非線形
光学素子24側の表面23bには、波長1064nmに
対して透過率が99.9%以上となるコーティングが施
されている。出力ミラー41の反射面には、波長106
4nmに対して反射率が99.9%となるコーティング
が施されている。また、非線形光学素子24の各表面2
4a、24bには、波長1064nmに対して透過率9
9.9%のコーティングが施されている。
【0058】ポンピング光26を出力する半導体レーザ
20は、ペルチェ温度調整回路(不図示)によって所定
温度に制御されている。半導体レーザ20と光共振器2
5との間には、コリメータ用のレンズ21aと、第2基
本波のレーザ光27を導入するための偏光ビームスプリ
ッタ37と、集光用のレンズ21bとが配置されてい
る。また、レーザ光27を出力する半導体レーザ31と
偏光ビームスプリッタ37との間には、コリメータ用の
レンズ33が配置されている。
【0059】半導体レーザ20から放射されるポンピン
グ光26がレンズ21a、偏光ビームスプリッタ37、
レンズ21bを通過して、レーザ媒質23に集光される
と、レーザ媒質23中に反転分布が形成され、Nd:Y
VO4 結晶の場合には波長1064nmのレーザ発振が
起こる。このレーザ発振光は、レーザ媒質23の表面2
3a上の微小球面と出力ミラー41との間を往復する。
【0060】一方、半導体レーザ31から放射された波
長860nm、出力100mWのレーザ光27は、レン
ズ33を通り、偏光ビームスプリッタ37で反射され、
レンズ21bによって非線形光学素子24の表面24a
上にビームウエストを形成するように集光され、光共振
器25内のレーザ発振光と共軸になる。
【0061】図9は、非線形光学素子24であるKNb
3 結晶の切出し方向を示す図である。KNbO3 結晶
は2軸性結晶であり、屈折率の最も大きい偏光軸をb
軸、最も小さい偏光軸をc軸、残りをa軸とすると(各
軸の屈折率はnb>na>nc)、c軸に対して頂角θ
=90°かつa−b平面内でa軸からφ=62°の方向
に切り出した、いわゆるa−b軸結晶が使用される。ま
た、a−b平面内にあってb軸からφ=62°の方向に
向いたb’軸が偏光軸になる。非線形光学素子24の向
きは、これらのb’軸およびc軸が光軸1に対して垂直
になるように配置されている。また、KNbO3 結晶の
厚みは5mmである。
【0062】こうしたKNbO3 結晶において、b’軸
方向に直線偏光した波長1064nmの第1基本波と、
同じくb’軸方向に直線偏光した波長860nmの第2
基本波とが混合することによって、波長475nmの和
周波光がc軸方向に直線偏光して発生する。
【0063】図8の光共振器25において、レーザ発振
光のうちc軸偏光成分は光軸1に沿って伝搬するが、
b’軸偏光成分は非線形光学素子24の複屈折性によっ
てビームウォークオフが生じ、ビームウォークオフ角度
ρに対応してシフトした光軸1aに沿って伝搬する。K
NbO3 を使用した場合、ρ=0.9°のビームウォー
クオフが生じるので、結晶長を5mmとすると結晶端面
で約80μmのビームずれが生じる。そこで、出力ミラ
ー41は、ビームウォークオフによって分離された2つ
の光軸1、1aのうち光軸1aに対してのみ共振器光軸
を形成し、光軸1に対して共振器を構成しないように配
置されている。したがって、出力ミラー41の反射面は
凹面形状であるため、その対称軸から約80μm外れた
位置に入射した光は軸外に反射してしまう。さらに、2
つの光軸1、1aの分離が不十分な場合は、光軸1aに
沿ったビームだけを通過させるアパーチャを非線形光学
素子24と出力ミラー41との間に介在させてもよい。
【0064】図10は、レーザ媒質23と非線形光学素
子24の偏光軸の配置図である。レーザ媒質23のN
d:YVO4 結晶は、負の一軸性結晶であり、1つのa
軸が光軸1と平行に切り出されており、残りのa軸およ
びc軸は光軸1に対して垂直となるように配置されてい
る。また、レーザ媒質23の偏光軸であるc軸は、非線
形光学素子24の偏光軸であるc軸に対して45°で交
差するように配置される。こうしたレーザ媒質23は第
2の複屈折光学素子に相当する。
【0065】このような配置において、ビームウォーク
オフを生じるb’軸の偏光成分のみに対して共振器光軸
を構成するように出力ミラー41の位置を調整すると、
b’軸偏光成分が優勢にレーザ発振する。b’軸偏光成
分がレーザ媒質23を通過すると、その偏光方向はレー
ザ媒質23の偏光軸に対して45°傾斜しており、レー
ザ媒質23は位相板として機能する。レーザ媒質23を
往復したときの位相差δがδ=mπとなる縦モードにつ
いては、レーザ媒質23の往復後に非線形光学素子24
の表面24aに戻ったとき直線偏光となる。そのため再
び非線形光学素子24に入射する際、共振損失を付与さ
れたc軸に平行な成分が存在しないため、δ=mπとな
る縦モードが優勢に発振する。
【0066】一方、非線形光学素子24の表面24aに
おいてb’軸偏光成分を有する縦モードは、レーザ媒質
23を往復したときの位相差δがδ≠mπとなるため、
レーザ媒質23の往復後に表面24aに戻ったとき楕円
偏光となる。そのため再び非線形光学素子24に入射す
る際、共振損失を付与されたc軸に平行な成分が存在す
るため、レーザ発振が抑制される。
【0067】図11は、図8でのレーザ発振スペクトル
の一例を示すグラフである。上述のような配置におい
て、光共振器25の縦モード間隔は0.51Åである
が、発振スペクトルの全幅はそれよりも小さく、単一縦
モード発振が確認され、ポンピング光26の出力が1W
であっても単一縦モードが保たれた。
【0068】次に半導体レーザ31から波長860n
m、出力100mWのレーザ光27を光共振器25内に
導入したところ、光軸1aに沿って出力ミラー41から
出力15mWの和周波光が出力され、従来のマルチモー
ド発振の場合と比べて約1.5倍の高出力化を実現でき
た。さらに、単一縦モード化によってモードホッピング
が抑制され、和周波光の出力変動は大幅に低減した。
【0069】(実施例2)図12は、本発明の他の実施
例を示す構成図である。ここでは固体レーザで波長10
64nmのレーザ光を発振させて、共振器外部の半導体
レーザから波長690nmのレーザ光を導入して、波長
418nmの和周波光を発生させた例を説明する。
【0070】和周波レーザ装置は、固体レーザを構成す
る光共振器25と、固体レーザを励起するポンピング光
26を出力する半導体レーザ20と、第2基本波のレー
ザ光27を出力する半導体レーザ31などで構成され
る。
【0071】光共振器25は、Ndが1%ドープされた
Nd:YVO4 から成るレーザ媒質23と、偏光依存性
および波長依存性を有する反射ミラー40と、KNbO
3 から成る非線形光学素子24と、凹面形状の反射面を
有する出力ミラー41で構成され、レーザ媒質23の表
面23bと非線形光学素子24の表面24aは互いに接
している。
【0072】レーザ媒質23の表面23aには、レーザ
媒質23の発振波長である波長1064nmに対して反
射率が99.9%であって、かつポンピング光26の波
長809nmに対して透過率が95%以上となるコーテ
ィングが施されている。また、レーザ媒質23の反射ミ
ラー40側の表面23bには、波長1064nmに対し
て透過率が99.9%以上となるコーティングが施され
ている。出力ミラー41の反射面には、波長1064n
mに対して反射率が99.9%となるコーティングが施
されている。また、非線形光学素子24の各表面24
a、24bには、波長1064nmに対して透過率9
9.9%のコーティングが施されている。
【0073】反射ミラー40には、波長1064nmに
対してS偏光の反射率99.9%、P偏光の透過率90
%であって、かつ第2基本波の波長690nmに対して
S偏光の透過率が90%となるように多層膜コートが施
されている。
【0074】ポンピング光26を出力する半導体レーザ
20は、ペルチェ温度調整回路(不図示)によって所定
温度に制御されている。半導体レーザ20と光共振器2
5との間には、コリメータ用のレンズ21aと、集光用
のレンズ21bとが配置されている。また、レーザ光2
7を出力する半導体レーザ31と反射ミラー40との間
には、コリメータ用のレンズ28が配置されている。
【0075】半導体レーザ20から放射されるポンピン
グ光26は、紙面垂直方向に直線偏光しており、レンズ
21a、レンズ21bを通過して、レーザ媒質23に集
光されると、レーザ媒質23中に反転分布が形成され、
Nd:YVO4 結晶の場合には波長1064nmのレー
ザ発振が起こる。このレーザ発振光は、レーザ媒質23
の表面23aと出力ミラー41との間を往復する。
【0076】一方、半導体レーザ(東芝製TOLD−9
151MD)31から放射された波長690nm、出力
30mWのレーザ光27は、レンズ28および反射ミラ
ー40を通過して、非線形光学素子24の表面24a上
にビームウエストを形成するように集光され、光共振器
25内のレーザ発振光と共軸になる。
【0077】図3に示したように、レーザ媒質23のN
d:YVO4 結晶は、負の一軸性結晶であり、1つのa
軸が光軸1と平行に切り出されており、残りのa軸およ
びc軸は光軸1に対して垂直となるように配置されてい
る。また、レーザ媒質23の偏光軸であるc軸は、非線
形光学素子24の偏光軸であるb軸に対して45°で交
差するように配置される。こうしたレーザ媒質23は第
2の複屈折光学素子に相当する。非線形光学素子24で
あるKNbO3 結晶は、b軸が光軸1および光軸2を含
む平面に対して垂直方向になるよう切り出されたa軸結
晶である。
【0078】こうしたKNbO3 結晶において、b軸方
向に直線偏光した波長1064nmの第1基本波と、同
じくb軸方向に直線偏光した波長690nmの第2基本
波とが混合することによって、波長418nmの和周波
光がc軸方向に直線偏光して発生する。
【0079】このような構成によって、反射ミラー40
による共振損失で縦モードが差別化され、単一縦モード
発振が実現し、モードホッピングによる出力変動が抑制
され、出力10mW、波長418nmの和周波光を得る
ことができる。
【0080】
【発明の効果】以上詳説したように本発明によれば、ビ
ームウォークオフや偏光依存性を有する光学素子を利用
して、所定の縦モード以外のモードに共振損失を付与す
ることによって、偏光モードの差別化が可能になり、固
体レーザにおいて単一縦モードのレーザ発振を実現する
ことができる。したがって、別の縦モードへのモードホ
ッピングが抑制され、和周波光の出力レベル変動を格段
に低減化でき、しかも和周波発生の変換効率も向上す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の原理を示すものであり、図1
(a)は光共振器25の構成図、図1(b)は各素子の
配置を示す斜視図である。
【図2】光共振器25の他の例を示す構成図である。
【図3】本発明の他の原理を示す説明図である。
【図4】反射ミラー40の偏光依存性および波長依存性
の一例を示すグラフである。
【図5】偏光素子を用いたモード弁別の他の構成例を示
し、図5(a)は光共振器25の構成図、図5(b)は
各素子の配置を示す斜視図である。
【図6】偏光素子を用いたモード弁別の他の構成例を示
し、図6(a)は光共振器25の構成図、図6(b)は
各素子の配置を示す斜視図である。
【図7】偏光素子を用いたモード弁別の他の構成例を示
す図である。
【図8】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図9】非線形光学素子24であるKNbO3 結晶の切
出し方向を示す図である。
【図10】レーザ媒質23と非線形光学素子24の偏光
軸の配置図である。
【図11】図8でのレーザ発振スペクトルの一例を示す
グラフである。
【図12】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図13】和周波レーザ装置が出力する和周波光のスペ
クトルの一例を示すグラフである。
【符号の説明】
1、1a、2 光軸 5 ブリュースタ板 20、31 半導体レーザ 21a、21b、28、33 レンズ 23 レーザ媒質 24 非線形光学素子 25 光共振器 26 ポンピング光 27 レーザ光 31 レーザ光 37 偏光ビームスプリッタ 40、42 反射ミラー 41 出力ミラー BR 複屈折光学素子

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の光学素子が介在し、当該光学素子
    のうち1つがレーザ媒質であって、当該光学素子のうち
    少なくとも2つが複屈折光学素子である光共振器と、 前記レーザ媒質を励起するためのポンピング光を放射す
    る第1光源と、 前記光共振器の発振波長とは異なる波長のレーザ光を前
    記光共振器内に供給する第2光源と、 前記複屈折光学素子のうちの第1複屈折光学素子で生じ
    るビームウォークオフによって分離される2つの偏光光
    軸のうち一方の光軸をもって前記光共振器の光軸を形成
    したことを特徴とする和周波レーザ装置。
  2. 【請求項2】 前記光共振器は直線型であって、当該光
    共振器を構成する反射鏡のうち少なくとも1つは曲面鏡
    であり、第1複屈折光学素子以外の第2複屈折光学素子
    と当該曲面鏡と間に、第1複屈折光学素子が配置されて
    いることを特徴とする請求項1記載の和周波レーザ装
    置。
  3. 【請求項3】 複数の光学素子が介在し、当該光学素子
    のうち1つがレーザ媒質であって、当該光学素子のうち
    少なくとも2つが複屈折光学素子であって、当該光学素
    子のうち少なくとも1つが偏光素子である光共振器と、 前記レーザ媒質を励起するためのポンピング光を放射す
    る第1光源と、 前記光共振器の発振波長とは異なる波長のレーザ光を前
    記光共振器内に供給する第2光源と、 前記複屈折光学素子の何れか一方は和周波発生用の非線
    形光学素子であって、 前記複屈折光学素子および前記偏光素子が波長弁別機能
    を有することを特徴とする和周波レーザ装置。
  4. 【請求項4】 前記光共振器は屈曲型であって、前記偏
    光素子は反射率が偏光依存性を有する反射ミラーであ
    り、前記レーザ媒質と前記非線形光学素子との間に当該
    反射ミラーが介在していることを特徴とする請求項3記
    載の和周波レーザ装置。
  5. 【請求項5】 前記偏光素子は偏光ビームスプリッタで
    あることを特徴とする請求項3記載の和周波レーザ装
    置。
  6. 【請求項6】 前記偏光素子はブリュースタ板であっ
    て、前記レーザ媒質と前記非線形光学素子との間にブリ
    ュースタ板が介在していることを特徴とする請求項3記
    載の和周波レーザ装置。
  7. 【請求項7】 前記偏光素子は、ブリュースタ角にカッ
    トされた非線形光学素子の端面に形成されていることを
    特徴とする請求項3記載の和周波レーザ装置。
  8. 【請求項8】 前記レーザ媒質は、複屈折性を有するこ
    とを特徴とする請求項1〜7何れかに記載の和周波レー
    ザ装置。
  9. 【請求項9】 前記レーザ媒質は、Nd:YVO4 で形
    成されていることを特徴とする請求項1〜7何れかに記
    載の和周波レーザ装置。
  10. 【請求項10】 前記非線形光学素子は、KNbO3
    形成されていることを特徴とする請求項1〜7何れかに
    記載の和周波レーザ装置。
  11. 【請求項11】 前記第1および第2光源は、半導体レ
    ーザであることを特徴とする請求項1〜10何れかに記
    載の和周波レーザ装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007133445A (ja) * 2007-02-23 2007-05-31 Sony Corp 波長変換装置
JP2015504465A (ja) * 2011-11-15 2015-02-12 ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド 発光性のホウ酸塩、そのようなホウ酸塩を組み入れた物質と物品およびそれらを製造するための方法と装置および物品の認証における使用
KR101573748B1 (ko) * 2013-09-09 2015-12-04 광주과학기술원 레이저 파장변환 장치

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