JPH07131101A - レーザ光発生装置 - Google Patents

レーザ光発生装置

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JPH07131101A
JPH07131101A JP27846993A JP27846993A JPH07131101A JP H07131101 A JPH07131101 A JP H07131101A JP 27846993 A JP27846993 A JP 27846993A JP 27846993 A JP27846993 A JP 27846993A JP H07131101 A JPH07131101 A JP H07131101A
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JP
Japan
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laser
laser light
medium
crystal element
nonlinear optical
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Application number
JP27846993A
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English (en)
Inventor
Bueruna Buihiman
ヴェルナ ヴィヒマン
Michio Oka
美智雄 岡
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 レーザ共振器13を構成する一対の反射鏡1
4、18の間に、基本波レーザ光を発生するNd:YV
4 のレーザ媒質16、1/4波長板15、及びタイプ
IIの位相整合をとり基本波レーザ光の第2高調波を発生
する非線形光学結晶素子(KTP)17を配置する。N
d:YVO4 のレーザ媒質16の結晶のc軸と非線形光
学結晶素子17の結晶のc軸とを同じ方向に配置する。 【効果】 励起光パワー消費を少なくでき、広い温度範
囲にわたって安定な第2高調波発生が行える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザ光発生装置に関
し、特に、非線形光学結晶素子を用いて高次高調波レー
ザ光を発生させるレーザ光源を有するレーザ光発生装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】共振器内部の高いパワー密度を利用して
効率良く波長変換を行うことが従来より提案されてお
り、例えば、外部共振型のSHG(第2高調波発生)
や、レーザ共振器内部の非線形光学素子によるSHG等
が試みられている。
【0003】レーザ共振器内第2高調波発生タイプの例
としては、共振器を構成する少なくとも1対の反射鏡の
間にレーザ媒質及び非線形光学結晶素子を配置したもの
が知られている。このタイプのレーザ光発生装置の場合
には、共振器内部の非線形光学結晶素子において、基本
波レーザ光に対して第2高調波レーザ光を位相整合させ
ることにより、効率良く第2高調波レーザ光を取り出す
ことができる。
【0004】上記位相整合を実現する方法としては、基
本波レーザ光及び第2高調波レーザ光間にタイプI又は
タイプIIの位相整合条件を成り立たせるようにする。す
なわち、タイプIの位相整合は、基本波レーザ光の常光
線を利用して、同一方向に偏光した2つの光子から周波
数が2倍の1つの光子を作るような現象を生じさせるこ
とを原理とするものである。これに対して、タイプIIの
位相整合は、互いに直交する2つの基本波固有偏光を非
線形光学結晶素子に入射することにより、2つの固有偏
光についてそれぞれ位相整合条件を成り立たせるように
するもので、基本波レーザ光は非線形光学結晶素子の内
部において常光線及び異常光線に分かれて第2高調波レ
ーザ光の異常光線に対して位相整合を生じる。
【0005】ところが、タイプIIの位相整合条件を用い
て第2高調波レーザ光を発生させようとする場合、基本
波レーザ光が非線形光学結晶素子を繰り返し通る毎に基
本波レーザ光の固有偏光の位相が変化するため、第2高
調波レーザ光の発生を安定に継続し得なくなる虞れがあ
る。
【0006】すなわち、レーザ媒質において発生された
基本波レーザ光が共振動作によって非線形光学結晶素子
を繰り返し通過する毎に、直交する固有振動(すなわち
p波成分及びs波成分)の位相がそれぞれずれてゆく
と、共振器の各部において基本波レーザ光が効率良く互
いに強め合うような定常状態が得られなくなることによ
り、強い共振状態(強い定在波)を形成できなくなり、
結果として基本波レーザ光の第2高調波レーザ光への変
換効率が劣化すると共に、第2高調波レーザ光にノイズ
を生じさせる虞れがある。
【0007】そこで、本件出願人は、特開平1−220
879号公報において、非線形光学結晶素子によって第
2高調波レーザ光を発生するようになされたレーザ光源
において、基本波レーザ光の共振光路中に、1/4波長
板等の複屈折性素子を挿入することにより、出力レーザ
光として出射する第2高調波レーザ光を安定させるよう
にしたレーザ光源を提案している。
【0008】この特開平1−220879号公報に開示
されたレーザ光源は、レーザ共振器を構成する一対の反
射面間に配設されたNd:YAGを用いたレーザ媒質に
半導体レーザからの励起用レーザ光を入射して基本波レ
ーザ光を発生させ、この基本波レーザ光を上記共振器内
に設けられたKTP(KTiOPO4 )より成る非線形
光学結晶素子に通過させて共振動作させることでタイプ
IIの第2高調波レーザ光を発生させるものにおいて、上
記共振器内に複屈折性素子としての1/4波長板を挿入
することで上記基本波レーザ光の互いに直交する2つの
固有偏光モード間の和周波発生によるカップリングを抑
制し、発振を安定化させている。ここで上記複屈折性素
子としての1/4波長板は、光の伝播方向に垂直な面内
において、異常光方向屈折率ne の方向が、非線形光学
結晶素子(KTP)の異常光方向屈折率nKTPeの方向に
対して所定の方位角θ(例えばθ=45°)だけ傾くよ
うな光軸位置に設定されている。
【0009】このように、共振器内に1/4波長板(複
屈折性素子)を設けることにより、非線形光学結晶素子
(KTP)の残留リターデーションもしくは位相遅延量
にかかわらず直交偏光間の縦モード競合ノイズの抑制に
効果がある。特に、KTPの位相遅延量が90°のと
き、Nd:YAG(レーザ媒質)内の固有偏光モードが
円偏光となるから、その利得の飽和が均一になり、さら
に同一偏光間の縦モード競合ノイズが発生しにくくなる
メリットがある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで近年におい
て、レーザ媒質としてNd:YVO4 が、Nd:YAG
に比べていくつかの利点、特に高い吸収係数の広いポン
ピング吸収帯域と、1064.1nmでの大きな誘導放
出断面積の利点を有することが知られてきている。これ
らの利点を利用して、効率的な低雑音のSHG(第2高
調波発生)Nd:YVO4 レーザ光発生装置を構成する
ことが望まれている。
【0011】本発明は、このような実情に鑑みてなされ
たものであり、レーザ媒質にNd:YVO4 を用いて共
振器内SHG(第2高調波発生)型レーザ光発生装置を
構成することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係るレーザ光発
生装置は、励起光源素子と、この励起光源素子からの励
起光によって励起されるレーザ媒質としてのNd:YV
4 等の複屈折性レーザ媒質と、このレーザ媒質の前後
に配置され上記レーザ媒質より発生された基本波レーザ
光を反射してレーザ共振器を構成する一対の反射手段
と、このレーザ共振器内に配設された非線形光学結晶素
子と、このレーザ共振器内に配設され上記非線形光学結
晶素子によるタイプIIの位相整合をとって第2高調波発
生を行う際のモード競合ノイズを低減させるための複屈
折性素子とを有し、上記複屈折性レーザ媒質(Nd:Y
VO4 等)の結晶のc軸を上記非線形光学結晶素子の結
晶のc軸と同じ方向に配置して成ることにより、上述の
課題を解決する。
【0013】ここで、上記複屈折性レーザ媒質として
は、Nd:YVO4 (Yttrium OrthoVanadate)や、こ
のNd:YVO4 に類似した複屈折性レーザ媒質、例え
ばNd:GdVO4 、Nd:YLF、Nd:SVAP等
を用いることができる。
【0014】また、上記モード競合ノイズを低減させる
ための上記複屈折性素子として、基本波の1/4波長板
を用い、その光学軸が非線形光学結晶素子の光学軸と4
5°をなすように配置することが好ましい。また、上記
レーザ媒質、上記非線形光学結晶素子及び上記複屈折性
素子を密接させて順次重ね合わせて一体に構成すること
が好ましい。
【0015】
【作用】レーザ媒質としてNd:YAGに比べて効率が
高いが異方性の結晶(一軸性の結晶)であるNd:YV
4 等の複屈折性レーザ媒質を用いる際に、複屈折性レ
ーザ媒質の結晶のc軸を上記非線形光学結晶素子の結晶
のc軸と同じ方向に配置することにより、上記複屈折性
素子を挿入して互いに直交する固有偏光間の第2高調波
発生を通じてエネルギの授受を生じさせないようにし、
モード競合によるノイズを低減させている。従って、良
好な特性のNd:YVO4 等の複屈折性レーザ媒質を用
いて、タイプIIの位相整合をとった第2高調波発生が安
定して行える。
【0016】
【実施例】図1は、本発明に係るレーザ光発生装置の一
実施例の概略構成を示す構成図である。この図1におい
て、励起光源素子としての半導体レーザ素子であるレー
ザダイオード11から、励起光としてのレーザ光が出射
される。この励起レーザ光は、レンズ12で集光され、
レーザ共振器13の反射鏡14及び1/4波長板15を
介して、Nd:YVO4 (Yttrium Ortho Vanadate)を
用いたレーザ媒質16に入射される。反射鏡14には内
側が凹面とされた凹面鏡等が用いられている。レーザ媒
質16は、上記励起光の入射に応じて基本波レーザ光を
発生し、この基本波レーザ光が、例えばKTP(KTi
OPO4 )を用いた非線形光学結晶素子17を通って反
射鏡18で反射される。レーザ媒質16のNd:YVO
4 結晶のc軸を非線形光学結晶素子17のKTP結晶の
c軸と同じ方向に配置している。
【0017】KTPのような非線形光学結晶素子17
は、タイプIIの位相整合により、上記基本波レーザ光の
2倍の周波数の第2高調波レーザ光(SHG光)を発生
する。例えば基本波レーザ光の波長λを1064nmと
すると、第2高調波レーザ光の波長はλ/2の532n
mとなる。反射鏡14の反射面14Rは、上記励起光
(例えば波長808.7nm)を透過し、レーザ媒質1
6で発生した基本波レーザ光を反射するような特性を有
し、反射鏡18の反射面18Rは、基本波レーザ光を反
射し、第2高調波レーザ光を透過するような特性を有し
ている。これらの反射鏡14、18は、いわゆるダイク
ロイックミラーにより形成できる。従って、レーザ媒質
16で発生した基本波レーザ光は、レーザ共振器13の
反射鏡14、18の間を往復進行し、レーザ光の発振が
行われる。
【0018】この図1の例では反射鏡18に平面鏡が用
いているが、反射鏡14に平面鏡を用い、反射鏡18に
凹面鏡を用いるようにしてもよい。また、各素子の配列
順序は任意であり、例えば図2に示すように、励起光を
入射する側から順に、Nd:YVO4 結晶のレーザ媒質
16、KTP結晶の非線形光学結晶素子17、及び複屈
折性結晶素子である1/4波長板15のように配列して
もよい。さらに、上記反射鏡を別個に設ける代わりに、
外側の素子の外面に反射膜をコーティング形成してもよ
い。例えば、図2のレーザ媒質(Nd:YVO4 )16
の励起光入射面側に波長808.7nmの励起光を透過
し波長1064nmの基本波レーザ光を反射する反射膜
16Rを形成し、1/4波長板15のSHG光出射面側
に波長1064nmの基本波レーザ光を反射し波長53
2nmのSHG光を透過する反射膜15Rを形成し、一
方を凹面鏡とすればよい。
【0019】これらのレーザ媒質(Nd:YVO4 )1
6、非線形光学結晶素子(KTP)17、及び複屈折性
結晶素子である1/4波長板15の結晶の光学軸は、図
3のように設定されている。
【0020】この図3において、レーザ媒質16である
Nd:YVO4 結晶のc軸と、非線形光学結晶素子17
であるKTP結晶のc軸とは、互いに同じ方向となるよ
うに配置されており、この結晶のc軸に対して、複屈折
性結晶素子である1/4波長板15の進相軸(fast axi
s )Fが45°の角度だけ傾いて配置されている。
【0021】すなわち、この1/4波長板15は、本件
出願人が、先に特開平1−220879号公報や、特願
平2−125854号の明細書及び図面、特願平3−1
7068号の明細書及び図面等において開示した技術に
基づき用いられる複屈折性素子であり、非線形光学結晶
素子17の光学軸に対して方位角θ=45°だけ傾いた
方位にその光学軸が設定された1/4波長板15を通る
ことにより、共振器13の各部におけるレーザ光のパワ
ーを安定化するためのものである。
【0022】この1/4波長板15を挿入することによ
り、 (i)和周波発生に起因する偏光モード間の非線形結合
がなくなり、偏光モード間のモード競合を防止できる。 (ii)2つの偏光モード間で空間位相差が90°となる
ので、2つの偏光モードが発振することにより空間的ホ
ールバーニング効果を抑止でき、縦2モード(偏光2モ
ード)の安定発振が得られる。 という作用効果が得られるものである。
【0023】次に、上記レーザ媒質16として用いられ
るNd:YVO4 の物理特性、特にレーザ動作の種々の
特性について説明する。
【0024】Nd:YVO4 は、一軸性の結晶であるこ
とより、ポンピング光の偏光方向がc軸に垂直な成分
(σ偏光)と平行な成分(π偏光)とで吸収係数が異な
る。図4は、上記π偏光、σ偏光、及びNd:YAGの
吸収スペクトルをそれぞれ示している。この図4におい
て、曲線a、bは、Nd濃度が1.1 at.%のa軸切り
出しNd:YVO4 についてのπ偏光吸収スペクトル
(a)及びσ偏光吸収スペクトル(b)をそれぞれ示
し、曲線cは、Nd濃度が0.85 at.%の吸収スペク
トルを示している。曲線a(Nd:YVO4 のπ偏光吸
収スペクトル)では、吸収係数が6mm-1と高く、吸収
深さは170μm弱と小さい。吸収FWHM(半値全
幅、Full Width Half Max.)は、略1.7nmである。
【0025】図5及び図6は、Nd:YVO4 の蛍光ス
ペクトルを示し、図5はσ偏光を、図6はπ偏光をそれ
ぞれ示している。これらの蛍光スペクトルで、σ偏光成
分は1062.5nm、1064.1nm、1064.
8nm及び1066.4nmにあり、π偏光成分は10
64.1nmにある。最強の蛍光ラインは、中心波長が
1064.1nmのπ偏光にあり、FWHMは1.1n
mである。この波長での誘導放出断面積は2.8×10
-18 cm2 であり、同じ波長でのσの4倍以上大きい。
また、Nd濃度が0.85 at.%のNd:YAGでは
0.6×10-18cm2 であり、Nd:YVO4 の方が
4倍以上大きい。
【0026】このようなNd:YVO4 をレーザ媒質と
して用い、KTPによりタイプIIの位相整合をとってS
HGレーザ光発生を行う場合の共振動作が安定化する理
由について以下に説明する。
【0027】この安定化の手法は、Nd:YVO4 の短
い吸収深さを利用して空間ホールバーニングを低減する
点と、共振器内の1/4波長板を用いて偏光モードをデ
カップリングする点とを総合したものである。
【0028】ここで、上記図3の構造におけるNd:Y
VO4 レーザ媒質16の端面位置をP1 、KTP結晶素
子17の端面位置をP2 とする。共振器内を偏光が一往
復するとき、位置P1 を開始点とするときのジョーンズ
行列M1、及び位置P2 はを開始点とするときのジョー
ンズ行列M2は、それぞれ
【0029】
【数1】
【0030】
【数2】
【0031】となる。これらの(1)、(2)式におい
て、MNd:YVO4 、MKTP 、MQWP は、Nd:YVO4
KTP、QWP(1/4波長板)による偏光状態をジョ
ーンズ行列で表したものであり、R+QWP(R-QWP)はQ
WP(1/4波長板)を方位角+α(−α)だけ回転さ
せたときの偏光状態をジョーンズ行列で表したものであ
り、C(δX )は、光学素子Xを偏光が通過する際に複
屈折によって位相量δだけ位相がずれるときの偏光状態
をジョーンズ行列で表したものである。またiは虚数単
位(−1)1/2 を示す。
【0032】このとき、2つの固有偏光の電場ベクトル
は、上記位置P1 で、
【0033】
【数3】
【0034】となり、上記位置P2 で、
【0035】
【数4】
【0036】となる。また、非線形偏光については、上
記位置P1 で、
【0037】
【数5】
【0038】となり、上記位置P2 で、
【0039】
【数6】
【0040】となる。次に、第2高調波出力パワーの時
間平均は、上記位置P1 で、
【0041】
【数7】
【0042】となり、上記位置P2 で、
【0043】
【数8】
【0044】となる。従って、2つの偏光モードは、K
TP結晶内での和周波発生に起因する何らかの損失を有
して結合することがなく、安定した発振が可能である。
【0045】また、図2あるいは図3の構成におけるN
d:YVO4 レーザ媒質16、KTP結晶素子17、及
び1/4波長板15を順次密接させるように一体化した
構成とすることにより、共振器の寸法を小さくし、励起
用レーザダイオードやレンズと共に小型パッケージ内に
収納して、レーザ光発生装置全体の構成をさらに小型化
することができる。
【0046】次に、図7は、本発明に係るレーザ光発生
装置の他の実施例を示す概略構成図である。この実施例
において、上記図1の実施例の各部と対応する部分には
同じ指示符号を付して説明を省略する。
【0047】この図7に示す実施例における上記図1、
図2に示す実施例との相違点は、レーザ共振器13内の
光路を反射鏡19によって屈折させたことである。すな
わち、Nd:YVO4 結晶のレーザ媒質16とKTP結
晶の非線形光学結晶素子17との間に凹面の反射面19
Rを有する反射鏡19を配設している。この反射面19
Rは、上記基本波レーザ光(例えば波長1064nm)
を反射し、SHG光(例えば波長532nm)を透過す
る光学特性を有し、この反射鏡19を介してSHG光が
取り出される。共振器13内の他の光学素子の配列順序
や構造は、例えば上記図2の例と同様にしており、励起
光がNd:YVO4 結晶のレーザ媒質16内に端面の反
射面16Rを介して入射され、発生された基本波レーザ
光は、反射鏡19で反射され、KTP結晶の非線形光学
結晶素子17を通過し複屈折性素子である1/4波長板
15に入射され、端面の反射面15Rで反射される。各
反射面16R、15Rの反射、透過特性は上記図2の例
と同様である。
【0048】この図7の構造において、レーザ媒質16
のNd:YVO4 結晶は例えば1mm程度の厚さに、非
線形光学結晶素子17のKTPは例えば5mm程度の厚
さにし、反射鏡19の反射面19Rの凹面の直径は40
mmとしている。1/4波長板15には1°のウェッジ
をつけている。このように3つの鏡により折り畳まれた
構造の共振器によれば、Nd:YVO4 レーザ媒質16
での緩やかにフォーカスされたビーム(ビーム径約25
0μm)を維持しながらKTP結晶素子17での緊密な
フォーカシング(ビーム径約50μm)を許容する。N
d:YVO4 結晶のレーザ媒質16と反射鏡19との間
は例えば100mm程度、反射鏡19と1/4波長板1
5との間は例えば23mm程度に設定されている。レー
ザダイオード11には、例えば波長が808.7nmで
パワーが200mWのレーザ光を出力するブロードエリ
ア型レーザダイオードを用いる。各結晶16、17、1
5は、ペルチェ効果を利用して温度を10°C〜40°
Cの間に制御するいわゆるTE(サーモエレクトリッ
ク)素子上にマウントされている。
【0049】図8は、SHGレーザ光の出力パワーP
out をNd:YVO4 結晶のレーザ媒質16に入射され
るポンピング光(励起光)パワーPLDの関数として表す
グラフである。このパワー特性は、KTP結晶素子17
の温度が25°C、レーザダイオード11の温度が25
°Cのとき得られたものである。波長808.7nmの
励起光から波長532nmのSHGレーザ光への変換効
率は、励起光パワーが160mWのとき約5%である。
また、SHGレーザ光が得られる閾値は40mWよりも
下であり、これは従来(Nd:YAGを用いた場合)に
比べて充分に低い値である。
【0050】図9は、レーザダイオード11の温度TLD
を変化させたときのSHGレーザ光の出力パワーPout
を示している。この測定は、KTP結晶素子17の温度
が25°Cで、励起光パワーが100mWで行われた。
出力パワーの時間軌跡から全測定期間を通じて安定した
SHGレーザ光出力が得られることがわかった。図9の
グラフからは、レーザダイオード11の温度を20°C
(Δλ≒5.6nm)以上の範囲で変化させてもSHG
レーザ光出力パワーの変動を50%より小さくすること
ができ、15°Cの範囲の変化ではパワー変動を25%
以下に抑えることができることがわかる。
【0051】図10は、SHGレーザ光の出力パワーP
out を、KTP結晶素子17の温度TKTP の関数として
表したグラフである。ここで、レーザダイオード11の
温度を25°C、励起光パワーを100mWとしてい
る。この具体例のレーザ光発生装置は、概略10°Cの
KTP温度許容範囲を有しているので、測定中には出力
が安定に維持された。SHGレーザ光パワーの変動は2
0%より小さい。
【0052】以上のような具体例によれば、レーザダイ
オード11から入射される励起光パワーを160mWと
したとき、8mWのSHGレーザ光パワーが得られる。
レーザパワー閾値は入射励起光パワーの40mWより小
さい。SHGレーザ光パワーは、励起用レーザダイオー
ド11の温度変化範囲が20°C以上、KTP結晶素子
17の温度変化範囲が10°Cの条件で、安定に保たれ
る。これは、レーザ媒質にNd:YAGを用いる場合に
比べて、少ないパワー消費と広い許容温度範囲の点で優
れている。
【0053】なお、本発明は上記実施例のみに限定され
るものではなく、例えば、複屈折性レーザ媒質として
は、Nd:YVO4 以外にも、このNd:YVO4 に類
似した複屈折性レーザ媒質、例えばNd:GdVO4
Nd:YLF、Nd:SVAP等を用いることができ
る。また、タイプIIの位相整合により第2高調波発生を
行うための非線形結晶素子としては、KTPに限定され
ず、例えばLN、BBO、LBO等を用いることができ
る。
【0054】
【発明の効果】本発明に係るレーザ光発生装置によれ
ば、タイプIIの第2高調波レーザ光を発生させる共振器
内に、複屈折性レーザ媒質(Nd:YVO4 等)を用
い、この複屈折性レーザ媒質の結晶のc軸を第2高調波
発生用の非線形光学結晶素子のc軸と同じ向きに配置す
ることにより、レーザ媒質にNd:YAGを用いた場合
に比べて、効率が高く、少ない消費パワーで大きなSH
G光出力パワーが得られ、安定動作が可能な温度変化範
囲も約10°Cと広い。従って、温度安定化のための構
成を簡略化してコストダウンを図ることもできる。
【0055】さらに、各光学素子を密接配置すること
で、レーザ光発生装置全体を小型に構成でき、光ディス
ク装置等に適用する際にも省スペース化や小型化に貢献
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るレーザ光発生装置の基本的な実施
例の概略構成を示す構成図である。
【図2】該実施例のレーザ共振器内の素子の配置を変え
た変形例を示す概略構成図である。
【図3】図2の各素子の結晶軸の方向を説明するための
概略斜視図である。
【図4】Nd:YVO4 に入射される励起光がπ偏光、
σ偏光の場合の吸収スペクトル及びNd:YAGの吸収
スペクトルを示すグラフである。
【図5】Nd:YVO4 のσ偏光の蛍光スペクトルを示
すグラフである。
【図6】Nd:YVO4 のπ偏光の蛍光スペクトルを示
すグラフである。
【図7】本発明に係るレーザ光発生装置の他の実施例の
概略構成を示す図である。
【図8】SHGレーザ光出力パワーPout をNd:YV
4 に入射される励起光パワーPLDの関数として表すグ
ラフである。
【図9】レーザダイオードの温度TLDを変化させたとき
のSHGレーザ光の出力パワーPout を示すグラフであ
る。
【図10】SHGレーザ光出力パワーPout をKTPの
温度TKTP の関数として表すグラフである。
【符号の説明】
11・・・・・レーザダイオード 13・・・・・レーザ共振器 14・・・・・反射鏡 15・・・・・1/4波長板 16・・・・・レーザ媒質(Nd:YVO4 ) 17・・・・・非線形光学結晶素子(KTP) 18・・・・・反射鏡
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01S 3/136

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザ媒質において発生した基本波レー
    ザ光を共振器内に設けられた非線形光学結晶素子を通過
    するように共振動作させることにより、第2高調波レー
    ザ光を発生させ、上記共振器内の光路中に複屈折性素子
    を挿入してモード競合によるノイズを低減させるレーザ
    光発生装置であって、 上記レーザ媒質として複屈折性レーザ媒質を用い、この
    複屈折性レーザ媒質の結晶のc軸を上記非線形光学結晶
    素子の結晶のc軸と同じ方向に配置して成ることを特徴
    とするレーザ光発生装置。
  2. 【請求項2】 上記複屈折性素子として基本波の1/4
    波長板を用い、その光学軸が非線形光学結晶素子の光学
    軸と45°をなすことを特徴とする請求項1記載のレー
    ザ光発生装置。
  3. 【請求項3】 上記レーザ媒質、上記非線形光学結晶素
    子及び上記複屈折性素子を密接させて順次重ね合わせて
    一体に構成して成ることを特徴とする請求項1記載のレ
    ーザ光発生装置。
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