JPH09273680A - 給水器具用絶縁継手 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 給水器具をブッシュに過度な締め付けトルク
でねじ込んだ場合や、過酷な冷温水ヒートサイクルに配
管が晒された場合に接着剤層が破壊されブッシュが回転
すると電気絶縁性能とシール性能が保たれなくなる問題
がある。 【解決手段】 配管と給水器具とを接続する給水器具用
絶縁継手であって、金属製の継手本体の給水器具接続側
に電気絶縁部材を介してブッシュを固着結合させ、前記
ブッシュは前記継手本体と係合する回転止め手段を外側
に、前記給水器具と接続するめねじを内側に有する構造
とした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、配管と給水器具と
の接続間を電気的に絶縁する給水器具用絶縁継手に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来の給水器具用継手の一例を図４に示
す。このものは、エルボ型の継手本体１を可鍛鋳鉄製鋳
物で形成し、その内面を合成樹脂射出成形による内面ラ
イニング層２で被覆したもので、継手本体１の一端部の
めねじ３に給水器具のおねじを接続すると共に、他端部
のめねじ４に配管の内面ライニング鋼管のおねじと接続
するものである。また別の従来技術として実公平６−４
１５４号公報で開示された図５に示す給水器具用継手が
ある。これは内周面にめねじを有する給水栓器具用の絶
縁継手で、一端内周面に銅合金製ブッシュ５をねじ込
み、このブッシュ外面のおねじ５ａに電気絶縁層６およ
び接着剤層７を設けたものである。なお、このねじの絶
縁接着部の状態を図６に示す。

【０００３】この従来技術では、継手本体１と異種金属
の銅合金製給水器具が、継手本体１と結合した銅合金製
ブッシュ５と螺着し、このブッシュ５と継手本体１とは
ブッシュ５のおねじ５ａにコーティングした樹脂（電気
絶縁層６）によって電気絶縁され、継手本体１と給水器
具あるいは配管と給水器具との間が絶縁状態となり、異
種金属の接触による電食が生じないことを狙った。また
継手本体１の給水器具との接続側めねじ３には接着剤を
用いて銅合金製のブッシュ５のおねじ５ａが螺着し、継
手本体１の中央部の内面を覆う合成樹脂製のライニング
層２とブッシュ５の間もブッシュ螺着時の接着剤により
接着剤層を介して両者は連続して覆われかつ接着され
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】通常給水器具は銅合金
製が使用されており、配管用鋼管や可鍛鋳鉄製継手本体
とは異種の金属である。この異種金属同志が水道水など
の電解質溶液を介して長期間接触すると、金属同志の電
位差によりガルバニックセルが形成され、電池作用に起
因して著しい腐食電流が流れ、銅合金に対して電位の低
い卑な金属である鋼や鋳鉄製の継手や鋼管側が急速に異
種金属接触腐食を起こし、漏れ事故に至る。

【０００５】図４に示す前者の従来技術は、給水器具と
継手本体１の間を絶縁する手段がなく、上記の問題点が
ある。また給水器具のおねじは継手本体１のめねじ３の
奥の内面ライニング層２と常に密着するまで螺合して接
続されるとは限らず、めねじ３に流通水が接触する。こ
のため流通水と接しためねじ３から腐食して給水系統に
赤水を発生する問題がある。

【０００６】また図５に示す後者の従来技術は、継手本
体１のめねじ３と銅合金製のブッシュ５のおねじ５ａ
は、電気絶縁層６および接着剤層７を介して電気的に絶
縁し接着されある程度のねじ込み接続強度を有するが、
給水器具を銅合金製のブッシュ５のめねじ５ｂに過大な
締め付けトルクでねじ込むと接着剤層７が破壊してしま
い、延いては電気絶縁層６が破壊され、電気絶縁性能が
保たれなくなる。

【０００７】さらに温水と冷水が繰り返して流れる過酷
な冷温水ヒートサイクルに配管が晒されると、接着剤層
７が劣化し耐トルク性能すなわちねじ込み接続強度が低
下し、仮に給水器具を増し締めしたり、逆に位置合わせ
等の理由から給水器具をねじ戻しした場合に絶縁剤層７
が破壊されブッシュ５が回転すると電気絶縁性能とシー
ル性能が保たれなくなる問題がある。本発明は上記の問
題を解消し、給水器具との間を電気的に絶縁して異種金
属接触腐食を生じさせず、また配管との接続部を含む継
手の内面を流通水から遮断して赤水を発生させない給水
器具用絶縁継手を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、配管と
給水器具とを接続する継手であって、金属製の継手本体
給水器具接続側に電気絶縁部材を介してブッシュを固着
結合させ、前記ブッシュは前記継手本体と係合する回転
止め手段を外側に、前記給水栓器具と接続するめねじを
内側に有すると共に、係止部材により前記ブッシュを前
記継手本体に係止させる。前記ブッシュの外周表面と、
前記継手本体の内周表面の間に電気絶縁性のカラーを挟
入し、前記ブッシュと前記継手本体かつ前記係止部材の
間が前記構成の絶縁層によって電気絶縁されることを特
徴とする給水器具用絶縁継手である。前記ブッシュはセ
ラミックのような電気絶縁性と耐熱性を兼ねた材料でも
よい。この場合は前記の電気絶縁性カラーは省略でき
る。また前記ブッシュとしては接続される給水器具と略
同電位を有する金属を用いることが望ましい。またブッ
シュはシール部材を介して前記継手本体に挿着すること
が望ましい。

【０００９】上記において、前記係止部材が外ねじ付ナ
ットで、前記継手本体の給水器具接続側に内ねじを有
し、該外ねじと該内ねじを螺着結合し、前記ブッシュを
係止することを特徴とする給水器具用絶縁継手である。
さらに上記において、前記係止部材が袋ナットで内ねじ
を有し、前記継手本体の給水器具接続側に外ねじを有
し、該内ねじと該外ねじを螺着結合し、前記ブッシュを
係止することを特徴とする給水器具用絶縁継手である。
上記において、前記係止部材は環状突起を有し、該環状
突起内に前記継手本体の給水器具接続側を嵌着結合し、
前記ブッシュを係止してもよい。上記において、前記ブ
ッシュの外周表面と前記継手本体の内周表面かつ前記係
止部材の内周表面との間に電気絶縁性のカラーを挟入し
てもよい。また上記において、前記継手本体の配管側の
ねじ部を除く内周面が合成樹脂のライニング層で被覆さ
れ、このライニング層から配管と接続するめねじ側に延
びて接続配管の内周面を覆う筒状部が設けられ、ライニ
ング層と前記ブッシュとによって継手本体が流通水から
遮断されていることを特徴とする給水器具用絶縁継手と
してもよい。

【００１０】

【作用】本発明は上記の構成であるから、配管は継手本
体と接続され、継手本体と給水器具とはブッシュおよび
係止部材を介して接続される。ブッシュはセラミックま
たは給水器具と略同電位を有する金属で製作され、一方
係止部材は継手本体と略同電位を有する金属で製作され
る。またブッシュの外周表面と継手本体の内周表面の間
に設けた電気絶縁部材によって電気的に絶縁される。さ
らにブッシュは継手本体と係合する回転止め手段を備え
ることによって耐トルク性能は向上する。

【００１１】ブッシュと継手本体間にはシール部材を装
着してあり、継手本体とブッシュ間を伝わって内部流通
水が漏れる裏漏れの心配もない。また継手本体の内面が
合成樹脂製のライニング層で覆われ、接続した配管の内
面から継手本体の内面を筒状部で連続できる。ライニン
グ層と電気絶縁性のブッシュの間もブッシュの延出部で
互いに重なりあって密封シールされ両者が連続して覆わ
れる。このため継手本体の内面は配管の内面から給水器
具に亘って内部の流通水から遮断されるので、赤水が発
生しない。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面に
基づいて説明する。図１、図２、図３各々の（ａ）およ
び（ｂ）は本発明の一実施例を示す給水栓用絶縁継手の
各々の左側面図および断面図である。１０は継手本体
で、通常可鍛鋳鉄製のねじ込み式管継手が用いられる。
この継手本体１０の配管と接続する口Ａとは反対（給水
器具接続）側の口Ｂに電気絶縁性接着剤によりセラミッ
ク製または金属製ブッシュ３０を挿入し絶縁状態で固定
する。さらに継手本体１０の口Ｂ側から電気絶縁性接着
剤を付けて固着結合する金属製係止部材４０により金属
製ブッシュ３０は係止される。すなわち金属製係止部材
４０と金属製ブッシュ３０は周方向で互いに重なる部分
５０を形成しているため、接着剤による化学的結合だけ
でなく金属製係止部材４０の物理的な押さえによる軸方
向への抜け止め作用により、ブッシュ３０は継手本体１
０から外れることはない。また継手本体１０とブッシュ
３０との間を確実に密封するために、継手本体１０には
Ｏリング溝１１を設けてシール部材としてＯリング１２
を装着する。さらに二箇所のＯリング溝１１を設けた二
重シール構造にすると気密の信頼性が向上する。なおシ
ール部材としてＯリング以外にＶパッキン、リップパッ
キン等を採用してもよい。また前記におけるシール部材
は、シリコン系その他のシーリング剤、ペースト状シー
ル剤や合成樹脂系接着剤を併用して、継手本体との固定
及び気密性を保持してもよい。

【００１３】ブッシュ３０の他端内側にはめねじ３０ａ
が設けられ、このめねじ３０ａに銅合金製の給水器具が
ねじ込まれる。ブッシュ３０が金属製の場合は給水器具
と金属製ブッシュ３０とが、異種金属の接触による電食
を生じないようにするため、金属製ブッシュ３０の材質
には通常給水器具と略同電位を有する銅合金を用いる。
一方、継手本体１０と金属製係止部材４０とが、異種金
属の接触による電食を生じないようにするため、金属製
係止部材４０の材質には通常継手本体１０と略同電位を
有する軟鋼あるいは可鍛鋳鉄などを用いる。

【００１４】給水器具をブッシュ３０のめねじ３０ａに
ねじ込むとき、当然ながら捻りトルクがブッシュ３０に
加わりブッシュ３０が回転しようとするが、この回転を
阻止するため接着剤の化学的な接着力だけでなく回転止
め手段として、継手本体１０に六角形状の凹穴部１０ａ
を設け、それに対応してブッシュ３０の外側すなわち外
周あるいは外周の一部を前記凹穴部１０ａより若干小さ
い寸法で六角形状の凸部３０ｂを設ける。すなわち六角
形状の凹穴部１０ａと六角形状の凸部３０ｂが噛み合っ
て、ブッシュ３０の回転を物理的に阻止できる。なお回
転止め手段として互いに嵌合する継手本体１０の凹穴部
１０ａおよびブッシュ３０の凸部３０ｂの形状を、六角
形状以外の多角形状あるいは円に対して二箇所の面を有
する二面幅形状あるいは円に対して多数の溝を切ったス
プライン形状あるいはその溝を山形の三角形にしたセレ
ーション形状などにしてもよい（図示せず）。

【００１５】前述の絶縁状態を実現するために、金属製
ブッシュの場合はその外周表面すなわち六角形状の凸部
３０ｂを含む継手本体１０と接する部分やＯリング１２
に接する部分あるいは金属製係止部材４０に接する部分
に樹脂をコーティングしている。あるいは継手本体１０
の内周表面および金属製係止部材４０の内周表面に樹脂
をコーティングしてもよいし、金属製ブッシュ３０の外
周表面と継手本体１０の内周表面と金属製係止部材４０
の内周表面の全てに樹脂をコーティングしてもよい。

【００１６】つぎに継手本体１０の内面に合成樹脂を射
出成形して、配管との接続ねじ１０ｄ側に接続したライ
ニング管の内面を覆う筒状部２０及びこの筒状部２０と
一体で継手本体１０の接続ねじ１０ｄを除く略中央部内
面を覆い金属製ブッシュ３０と嵌合するようにライニン
グ層２１が形成される。

【００１７】図１（ａ）および（ｂ）に示す金属製係止
部材４０は外周に外ねじ４０ａを有する外ねじ付ナット
であり、継手本体１０の給水器具接続側の口Ｂに内ねじ
１０ｂを有し、外ねじ４０ａと内ねじ１０ｂとを螺着結
合して、金属製ブッシュ３０を係止する。つぎに図２
（ａ）および（ｂ）に示す金属製係止部材４０は内周に
内ねじ４０ｂを有する袋ナットであり、継手本体１０の
給水器具接続側の口Ｂに外ねじ１０ｃを有し、内ねじ４
０ｂと外ねじ１０ｃとを螺着結合して、金属製ブッシュ
３０を係止する。さらに別の実施例として、図３（ａ）
および（ｂ）に示す金属製係止部材４０は、その内周部
にブッシュ３０の六角凸部３０ｂと嵌合する六角形状の
凹穴部１０ａと環状突起４０ｃを有し、この環状突起４
０ｃの内径は継手本体１０の給水器具接続側の口Ｂの外
径よりも若干大きい寸法に形成し、環状突起４０ｃ内に
口Ｂを挿入し環状突起４０ｃの端部を塑性変形させ、金
属製係止部材４０を継手本体１０に嵌着結合する。ある
いは環状突起４０ｃの内径を口Ｂの外径よりも若干小さ
い寸法に形成し、直接環状突起４０ｃ内に口Ｂを圧入し
てカシメてもよい。

【００１８】金属製ブッシュの場合、前述の樹脂コーテ
ィングでも電気絶縁性は確保できるが、さらに信頼性の
ある電気絶縁性を得るために金属製ブッシュ３０の外周
表面と継手本体１０の内周表面かつ金属製係止部材４０
の内周表面との間に電気絶縁性のカラー６０を挟入す
る。このカラー６０の材料には、水配管用の場合は熱可
塑性エンジニアリングプラスチック（エンプラ）を用
い、温水給湯配管用の場合はセラミック、熱可塑性エン
プラまたは熱硬化性エンプラを用いる。耐熱性および強
度の面で優れた熱可塑性エンプラの例としては、ポリフ
エニレンオキサイド、ポリエーテルイミド、ポリエーテ
ルサルホン、ポリサルホン、ポリフエニレンスルフィド
があり、熱硬化性エンプラの例としては、フエノール樹
脂、エポキシ樹脂等がある。

【００１９】

【発明の効果】以上説明のごとく本発明の給水器具用絶
縁継手は、給水器具をブッシュに過度な締め付けトルク
でねじ込んだ場合や、過酷な冷温水ヒートサイクルに配
管が晒された場合でも、接着剤による化学的な接続強度
と電気絶縁カラーを介したブッシュの回転止め手段によ
る物理的な耐トルク性能とによる十分な強度により、絶
縁層を破壊することはなく、延いては信頼性の高い電気
絶縁性能を保つことができる。さらに異種金属接触によ
る継手本体や配管の腐食がなく、継手本体および配管の
鉄地面が内部流通水に接触しないので腐食や赤水が生じ
ない。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施例を示す説明図であり、
（ａ）は左側面図であり、（ｂ）は断面図である。

【図２】 本発明の別の実施例を示す説明図であり、
（ａ）は左側面図であり、（ｂ）は断面図である。

【図３】 本発明の別の実施例を示す説明図であり、
（ａ）は左側面図であり、（ｂ）は断面図である。

【図４】 従来技術を示す断面図である。

【図５】 別の従来技術を示す断面図である。

【図６】 絶縁接着部の状態を示す拡大断面図である。

【符号の説明】

１０ 継手本体 １０ａ 継手本体の六角形状の凹穴部 １０ｂ 内ねじ １０ｃ 外ねじ １０ｄ 配管との接続ねじ １１ Ｏリング溝 １２ Ｏリング ２０ 筒状部 ２１ ライニング層 ３０ ブッシュ ３０ａ 給水器具と螺着用のめねじ ３０ｂ ブッシュの六角形状の凸部 ４０ 金属製係止部材 ４０ａ 外ねじ ４０ｂ 内ねじ ４０ｃ 環状突起 ５０ 係止部材とブッシュが周方向で重なる部分 ６０ カラー

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 配管と給水器具とを接続する継手であっ
   て、 金属製の継手本体の給水器具接続側に電気絶縁部材を介
   してブッシュを固着結合させ、 前記ブッシュは前記継手本体と係合する回転止め手段を
   外側に、前記給水器具と接続するめねじを内側に有する
   ことを特徴とする給水栓用絶縁継手。
2. 【請求項２】 前記ブッシュの外周表面と前記継手本体
   の内周表面との間に電気絶縁性のカラーを挟入すること
   を特徴とする請求項１に記載の給水器具用絶縁継手。
3. 【請求項３】 前記継手本体の配管側のねじ部を除く内
   周面が合成樹脂のライニング層で被覆され、このライニ
   ング層から配管と接続するめねじ側に延びて接続配管の
   内周面を覆う筒状部が設けられ、ライニング層と前記ブ
   ッシュとによって継手本体が流通水から遮断されている
   ことを特徴とする請求項１乃至請求項２に記載の給水器
   具用絶縁継手。