JPH09272674A - エレベーターの調速機ロープ振れ止め装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、調速機ロープの振れを防止し、昇
降路内の機器への調速機ロープの干渉を防止することを
目的とするものである。 【解決手段】 地震検出部１５で地震が検出されると、
電磁マグネット１３の励磁が解除され、枠１１が回動し
て、調速機ロープ４を囲むようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、調速機ロープの
振れを防止して、昇降路内の機器への調速機ロープの干
渉を防止するエレベーターの調速機ロープ振れ止め装置
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図１４は従来のエレベーターの一例を示
す概略構成図である。図において、１は昇降路、２は昇
降路１内を昇降するかご、３は昇降路１の上部の機械室
に設置され、かご２の過速度を検出する調速機、４は調
速機３の綱車に巻き掛けられているとともに昇降路１内
に吊り下げられている調速機ロープであり、この調速機
ロープ４の両端部は、かご２に連結されている。５は調
速機ロープ４の下端部が巻き掛けられ、調速機ロープ４
に所定の張力を与える張り車、６は昇降路１内に突出し
て設けられた機器である。

【０００３】次に、動作について説明する。かご２が昇
降路１内を昇降すると、かご２に連結された調速機ロー
プ４が循環移動し、調速機３の綱車が回転される。この
調速機３の綱車の回転速度を監視することにより、かご
２の過速度が検出される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記のように構成され
た従来のエレベーターでは、調速機ロープ４のかご２に
連結されていない側には固定の振れ止めを設けている場
合があるが、かご２に連結された側については、かご２
と調速機ロープ４とを連結する金具が通過するため、振
れ止めが設けられていない。このため、地震が発生した
場合などには、調速機ロープ４が大きく振れ、図１４の
２点鎖線に示したように機器６に引っ掛かったり接触し
たりして、機器６や調速機ロープ４を損傷する恐れがあ
るという問題点があった。

【０００５】この発明は、上記のような問題点を解決す
ることを課題としてなされたものであり、調速機ロープ
の振れを防止することができ、これにより昇降路内の機
器への調速機ロープの干渉を防止することができるエレ
ベーターの調速機ロープ振れ止め装置を得ることを目的
とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明に係るエ
レベーターの調速機ロープ振れ止め装置は、地震検出部
と、昇降路内に設けられ、地震検出部で地震が検出され
たときに調速機ロープの側へ移動し、調速機ロープを囲
む枠とを備えたものである。

【０００７】請求項２の発明に係るエレベーターの調速
機ロープ振れ止め装置は、振れ止め動作時に調速機ロー
プの三方を囲む枠本体と、この枠本体に回動可能に取り
付けられ、振れ止め動作時に調速機ロープの残りの一方
を囲むストッパとを有する枠を用いたものである。

【０００８】請求項３の発明に係るエレベーターの調速
機ロープ振れ止め装置は、調速機ロープの長手方向に互
いに間隔をおいて複数の枠が設けられており、かご検出
部により検出されたかごの位置に応じて動作させる枠を
選択するようになっているものである。

【０００９】請求項４の発明に係るエレベーターの調速
機ロープ振れ止め装置は、枠に係合して枠をロックする
ピンと、このピンを吸引して枠のロックを解除する電磁
マグネットとを有するロック部を備えたものである。

【００１０】請求項５の発明に係るエレベーターの調速
機ロープ振れ止め装置は、枠の動作状態を検出する枠検
出スイッチを備えたものである。

【００１１】請求項６の発明に係るエレベーターの調速
機ロープ振れ止め装置は、昇降路壁に開口部が設けられ
ており、枠に結合された復帰ロープが開口部から引き出
されているものである。

【００１２】請求項７の発明に係るエレベーターの調速
機ロープ振れ止め装置は、枠の振れ止め動作及び復帰動
作がモータの駆動により行われるものである。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
について説明する。 実施の形態１．図１はこの発明の実施の形態１による調
速機ロープ振れ止め装置を有するエレベーターを示す概
略構成図、図２は図１の調速機ロープ振れ止め装置を示
す正面図、図３は図２の側面図、図４は図２の平面図で
あり、図１１と同一又は相当部分には同一符号を付し、
その説明を省略する。

【００１４】図において、１１は昇降路１の壁部に取付
用ばね蝶番１２を介して回動可能に取り付けられている
枠であり、この枠１１は、動作時に調速機ロープ４の三
方を囲む略コの字形の枠本体１１ａと、この枠本体１１
ａにストッパ用ばね蝶番１１ｂを介して回動可能に取り
付けられ、動作時に調速機ロープ４の残りの一方を囲む
ストッパ１１ｃとを有している。１３は昇降路１の壁部
に設けられ、枠１１を吸着する電磁マグネットである。

【００１５】１４は枠１１，取付用ばね蝶番１２及び電
磁マグネット１３を有する振れ止め部であり、この振れ
止め部１４は、調速機ロープ４の長手方向に互いに間隔
をおいて複数設置されている。１５は昇降路１の底部に
設けられている地震検出部、１６は昇降路１の上部の機
械室に設置され、地震検出部１５からの地震検出信号に
応じて振れ止め部１４を動作させる制御部、１７は各振
れ止め部１４の近傍に設けられ、各振れ止め部１４の位
置にかご２があるかどうかを検出するかご検出部であ
る。

【００１６】次に、動作について説明する。地震が発生
し、地震検出部１５から検出信号が出力されると、制御
部１６により電磁マグネット１３の励磁が解除される。
このとき、制御部１６では、かご検出部１７からの信号
によりかご２の位置を確認し、その位置の電磁マグネッ
ト１３の励磁は続ける。電磁マグネット１３の励磁が解
除されると、取付用ばね蝶番１２のばね力により枠１１
が回動する。回動の途中で、ストッパ１１ｃが調速機ロ
ープ４により押されて枠本体１１ａの内側へ回動する
が、調速機ロープ４が枠本体１１ａの内側に完全に入る
と、ストッパ用ばね蝶番１１ｂのばね力により元に戻
る。従って、図３及び図４の２点鎖線に示すように、調
速機ロープ４のかご２に連結されている側の部分は、枠
１１により四方から囲まれる。

【００１７】このように、地震発生時に、調速機ロープ
４が枠１１ａにより囲まれるため、調速機ロープ４の振
れが防止され、調速機ロープ４の干渉による機器６の損
傷が防止される。また、かご２の位置をかご検出部１５
で検出しているので、枠１１ａがかご２に当たるのが防
止される。さらに、どの振れ止め部１４が動作したかを
制御部１６に表示させることにより、点検作業及び復帰
作業を容易にすることができる。さらにまた、装置が動
作した場合、管理者又は管理会社に電話回線等で知らせ
ることもできる。

【００１８】実施の形態２．なお、上記実施の形態１で
は水平な軸を中心にして枠１１が回動する例を示した
が、例えば図５に示すように、垂直な軸を中心にして枠
１１が横方向へ回動するようにしてもよい。

【００１９】実施の形態３．また、上記実施の形態１で
は１個のストッパ１１ｃを持つ枠１１を示したが、図６
に示すように、２個に分割されたストッパ１１ｄ，１１
ｅを用いて中央部が開くようにしてもよい。これによ
り、調速機ロープ４が枠１１の内側に入り易くなる。

【００２０】実施の形態４．さらに、上記実施の形態１
では枠１１を回動動作させるものを示したが、図７に示
すように、プランジャ１８を用いて水平方向へ直線動作
させるようにしてもよい。これにより、より素早く枠１
１を移動させることができる。

【００２１】実施の形態５．次に、図８はこの発明の実
施の形態５による調速機ロープ振れ止め装置の要部を示
す側面図である。図において、２１は昇降路壁に設けら
れ、枠１１をロックするロック部であり、このロック部
２１は、枠１１に係合して枠１１をロックするピン２１
ａと、このピン２１ａを吸着してロックを解除する電磁
マグネット２１ｂとを有している。

【００２２】このような装置では、通常は電磁マグネッ
ト２１ｂが励磁されておらず、枠１１が図８のようにロ
ックされている。これに対し、地震発生時には、電磁マ
グネット２１ｂが励磁されて、ピン２１ａが上動し、枠
１１のロックが解除される。これにより、枠１１が回動
して、調速機ロープ４の振れが防止される。このよう
に、電磁マグネット２１ｂに通電したときのみ枠１１の
ロックが解除されるので、停電時の誤動作が防止され
る。

【００２３】なお、停電時に発生した地震に対処するた
めには、停電検出リレーを設けておき、バッテリー駆動
で動作するようにすればよい。

【００２４】実施の形態６．図９はこの発明の実施の形
態６による調速機ロープ振れ止め装置の要部を示す側面
図である。図において、２２は昇降路壁に設けられ、枠
１１をロックするロック部であり、このロック部２２
は、枠１１に係合して枠１１をロックするピン２２ａ
と、このピン２２ａをロック方向（図の上方）へ付勢す
るばね２２ｂと、ピン２２ａを吸着してロックを解除す
る電磁マグネット２２ｃとを有している。２３は枠１１
に設けられ、ピン２２ａに係合する係合部であり、この
係合部２３の先端部には、傾斜面２３ａが設けられてい
る。

【００２５】この例では、電磁マグネット２２ｃを励磁
したときにピン２２ａがばね２２ｂに逆らって引っ込
み、枠１１のロックが解除される。また、枠１１を復帰
する際、係合部２３に傾斜面２３ａがあるため、この傾
斜面２３ａがピン２２ａを押し下げ、ワンタッチで復帰
させることができる。

【００２６】実施の形態７．図１０はこの発明の実施の
形態７による調速機ロープ振れ止め装置の要部を示す側
面図である。図において、２４は枠１１の動作状態を検
出する枠検出スイッチである。

【００２７】この例では、枠検出スイッチ２４の検出情
報を制御盤内にランプ表示することにより、誤動作の防
止、復帰作業時間の短縮、及び枠１１が動作していると
きのエレベーター起動防止などを実現できる。

【００２８】実施の形態８．次に、図１１はこの発明の
実施の形態８による調速機ロープ振れ止め装置の要部を
示す側面図である。図において、２５は昇降路壁に設け
られている開口部、２６は開口部２５を乗場側から開閉
する蓋、２７は先端部が枠１１に結合され基端部が開口
部２５内に引き出されている復帰ロープである。

【００２９】このような装置によれば、乗場側から蓋２
６を開放して復帰ロープ２６を引っ張ることにより、作
業者が昇降路内に入ることなく、簡単かつ安全に枠１１
を復帰させることができる。

【００３０】実施の形態９．次に、図１２はこの発明の
実施の形態９による調速機ロープ振れ止め装置の要部を
示す側面図、図１３は図１２の平面図である。図におい
て、３１は金具３２により昇降路壁に取り付けられ、枠
１１を回動させる軸、３３は軸３１の一端部に設けられ
ているギヤ、３４はギヤ３３を介して軸３１を回動させ
るモータ、３５は枠１１が復帰位置にあることを検出す
る第１の検出スイッチ、３６は枠１１が振れ止め動作位
置にあることを検出する第２の検出スイッチである。

【００３１】この装置では、枠１１の振れ止め動作及び
復帰動作の両方をモータ３４の駆動により自動的に行
う。モータ３４の停止は、第１及び第２の検出スイッチ
３５，３６により行われる。従って、作業者が昇降路内
に入ることなく、簡単かつ安全に枠１１を復帰させるこ
とができる。

【００３２】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１の発明の
エレベーターの調速機ロープ振れ止め装置は、地震検出
部と、昇降路内に設けられ、地震検出部で地震が検出さ
れたときに調速機ロープの側へ移動し、調速機ロープを
囲む枠とを備えたので、調速機ロープの振れを防止する
ことができ、これにより昇降路内の機器への調速機ロー
プの干渉を防止することができる。

【００３３】請求項２の発明のエレベーターの調速機ロ
ープ振れ止め装置は、振れ止め動作時に調速機ロープの
三方を囲む枠本体と、この枠本体に回動可能に取り付け
られ、振れ止め動作時に調速機ロープの残りの一方を囲
むストッパとを有する枠を用いたので、簡単な構成でよ
り確実に調速機ロープの振れを防止できる。

【００３４】請求項３の発明のエレベーターの調速機ロ
ープ振れ止め装置は、調速機ロープの長手方向に互いに
間隔をおいて複数の枠が設けられており、かご検出部に
より検出されたかごの位置に応じて動作させる枠を選択
するようになっているので、動作した枠がかごに衝突す
るのを防止することができる。

【００３５】請求項４の発明のエレベーターの調速機ロ
ープ振れ止め装置は、枠に係合して枠をロックするピン
と、このピンを吸引して枠のロックを解除する電磁マグ
ネットとを有するロック部を備えたので、停電時に枠が
誤動作するのを防止することができる。

【００３６】請求項５の発明のエレベーターの調速機ロ
ープ振れ止め装置は、枠の動作状態を検出する枠検出ス
イッチを備えたので、点検作業や復帰作業を短時間で行
うことができる。

【００３７】請求項６の発明のエレベーターの調速機ロ
ープ振れ止め装置は、昇降路壁に開口部が設けられてお
り、枠に結合された復帰ロープが開口部から引き出され
ているので、作業者が昇降路内に入ることなく、枠を容
易に復帰させることができる。

【００３８】請求項７の発明のエレベーターの調速機ロ
ープ振れ止め装置は、枠の振れ止め動作及び復帰動作が
モータの駆動により行われるので、復帰作業が一層容易
である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明の実施の形態１による調速機ロープ
振れ止め装置を有するエレベーターを示す概略構成図で
ある。

【図２】 図１の調速機ロープ振れ止め装置を示す正面
図である。

【図３】 図２の側面図である。

【図４】 図２の平面図である。

【図５】 この発明の実施の形態２による調速機ロープ
振れ止め装置の要部を示す平面図である。

【図６】 この発明の実施の形態３による調速機ロープ
振れ止め装置の要部を示す平面図である。

【図７】 この発明の実施の形態４による調速機ロープ
振れ止め装置の要部を示す平面図である。

【図８】 この発明の実施の形態５による調速機ロープ
振れ止め装置の要部を示す側面図である。

【図９】 この発明の実施の形態６による調速機ロープ
振れ止め装置の要部を示す側面図である。

【図１０】 この発明の実施の形態７による調速機ロー
プ振れ止め装置の要部を示す側面図である。

【図１１】 この発明の実施の形態８による調速機ロー
プ振れ止め装置の要部を示す側面図である。

【図１２】 この発明の実施の形態９による調速機ロー
プ振れ止め装置の要部を示す側面図である。

【図１３】 図１２の平面図である。

【図１４】 従来のエレベーターの一例を示す概略構成
図である。

【符号の説明】

１ 昇降路、２ かご、４ 調速機ロープ、１１ 枠、
１１ａ 枠本体、１１ｃ ストッパ、１５ 地震検出
部、１７ かご検出部、２１，２２ ロック部、２１
ａ，２２ａ ピン、２１ｂ，２２ｃ 電磁マグネット、
２４ 枠検出スイッチ、２５ 開口部、２７ 復帰ロー
プ、３４ モータ。

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 地震検出部と、昇降路内に設けられ、上
   記地震検出部で地震が検出されたときに調速機ロープの
   側へ移動し、上記調速機ロープを囲む枠とを備えている
   ことを特徴とするエレベーターの調速機ロープ振れ止め
   装置。
2. 【請求項２】 枠は、振れ止め動作時に調速機ロープの
   三方を囲む枠本体と、この枠本体に回動可能に取り付け
   られ、振れ止め動作時に調速機ロープの残りの一方を囲
   むストッパとを有していることを特徴とする請求項１記
   載のエレベーターの調速機ロープ振れ止め装置。
3. 【請求項３】 調速機ロープの長手方向に互いに間隔を
   おいて複数の枠が設けられており、かご検出部により検
   出されたかごの位置に応じて動作させる枠を選択するよ
   うになっていることを特徴とする請求項１又は請求項２
   記載のエレベーターの調速機ロープ振れ止め装置。
4. 【請求項４】 枠に係合して上記枠をロックするピン
   と、このピンを吸引して上記枠のロックを解除する電磁
   マグネットとを有するロック部を備えていることを特徴
   とする請求項１ないし請求項３のいずれかに記載のエレ
   ベーターの調速機ロープ振れ止め装置。
5. 【請求項５】 枠の動作状態を検出する枠検出スイッチ
   を備えていることを特徴とする請求項１ないし請求項４
   のいずれかに記載のエレベーターの調速機ロープ振れ止
   め装置。
6. 【請求項６】 昇降路壁に開口部が設けられており、枠
   に結合された復帰ロープが上記開口部から引き出されて
   いることを特徴とする請求項１ないし請求項５のいずれ
   かに記載のエレベーターの調速機ロープ振れ止め装置。
7. 【請求項７】 枠の振れ止め動作及び復帰動作がモータ
   の駆動により行われることを特徴とする請求項１ないし
   請求項６のいずれかに記載のエレベーターの調速機ロー
   プ振れ止め装置。