JPH09267118A - Ｈ形鋼の圧延製造時の誘導装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】突き出し事故を防止し、ストリッパ−ガ−ドの
点検、整備作業を不要にすると共に、製品に掻疵が発生
しないようにしたＨ形鋼の圧延製造時の誘導装置を提供
する。 【解決手段】圧延孔型の出口に配設されるＨ形鋼の圧延
製造時の誘導装置に於いて、前記Ｈ形鋼のフランジの幅
端を上下に挟む上下一対のフランジ誘導ロ−ラ−と、該
フランジ誘導ロ−ラ−と圧延ロ−ルとの間に位置する上
下一対のストリッパ−ガ−ドとを具備し、該上下のスト
リッパ−ガ−ドは、前記圧延ロ−ルに向けて拡開した板
状に形成し、前記圧延ロ−ルとの間に微小な間隙を設け
て配設し、Ｈ形鋼先端がストリッパ−ガ−ドに突き当た
らないようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、Ｈ形鋼の圧延製
造に際し、一つの孔型から次の孔型に移送する誘導装置
に係り、詳記すれば、圧延ロ−ルから出た圧延材料が曲
がって突き出す事故の発生を防止して、圧延ロ−ルとス
トリッパ−ガ−ドとの合わせ作業を不要としたＨ形鋼の
圧延製造時の誘導装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】周知のように、Ｈ形鋼は、直方体の鋼塊
若しくはＨ型の粗形鋼片から圧延によって製造されてい
るが、この方法は、複数のロ−ル孔型を使用し、一つの
孔型から次の孔型に逐次移送して圧延を繰り返えし、Ｈ
形鋼に類似した形状に造形した多数段階の粗造形Ｈ形鋼
を順次経由して、Ｈ形鋼に成形している。

【０００３】従来、圧延孔型出口には、図１に示す誘導
装置が設けられている。この誘導装置は、Ｈ形鋼のウエ
ブ部を挟む平坦で上下に移動可能なストリッパ−ガ−ド
１，１′を具備し、該ストリッパ−ガ−ド１，１′の一
端は、圧延ロ−ル２，２′に接触し、他端はウエブ誘導
ロ−ラ−３，３′に接触している。圧延ロ−ル２，２′
から出たＨ形鋼は、上下のストリッパ−ガ−ド１，１′
によってウエブ部を誘導され、ストリッパ−ガ−ド１，
１′から外れるのを防止している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記従来法では、スト
リッパ−ガ−ドが圧延ロ−ルに接触しているので、スト
リッパ−ガ−ドが摩耗し、５ｍｍ程度の隙間があくと、
圧延ロ−ルから出たＨ形鋼の先端部が曲がった場合、圧
延ロ−ルがストリッパ−ガ−ドに突き当たって、圧延ロ
−ルとストリッパ−ガ−ドとの間の隙間からウエブが突
き出し、巻き付く事故の発生する可能性が生じる。その
ため、ストリッパ−ガ−ドを圧延ロ−ルに常に接触させ
る管理をしているが、ストリッパ−ガ−ドの摩耗が激し
いので、突き出し事故を皆無とすることはできなかっ
た。

【０００５】圧延ロ−ルから出てくるＨ型鋼先端は、ウ
エブが突き出し、上方若しくは下方に曲がる場合があ
り、このウエブ突片は薄いので、これが圧延ロ−ルとス
トリッパ−ガ−ドとの間の隙間に入り込んで、突きだ
し、巻き付く事故が発生するからである。

【０００６】また、事故を未然に防止するため、前段取
り（使用前の点検・整備）の段階で、ストリッパ−ガ−
ドの点検、整備作業を行っているが、この整備作業に必
要なストリッパ−ガ−ド合わせ、グラインダ−研磨及び
運搬作業は、中腰での重筋作業であり、極めて苛酷な作
業であったので、作業員の最も嫌う作業であった。その
ため、作業能率及び製造効率が上がらない問題があっ
た。そればかりか、ウエブ誘導方式に起因し、製品に掻
疵が発生する問題があった。

【０００７】この発明は、上記問題点を解決し、突き出
し事故を防止し、ストリッパ−ガ−ドの点検、整備作業
を不要にすると共に、製品に掻疵が発生しないようにし
たＨ形鋼の圧延製造時の誘導装置を提供することを目的
とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的に沿う本発明の
構成は、圧延孔型の出口に配設されるＨ形鋼の圧延製造
時の誘導装置に於いて、前記Ｈ形鋼のフランジの幅端を
上下に挟む上下一対のフランジ誘導ロ−ラ−と、該フラ
ンジ誘導ロ−ラ−と圧延ロ−ルとの間に位置する上下一
対のストリッパ−ガ−ドとを具備してなり、該上下のス
トリッパ−ガ−ドは、前記圧延ロ−ルに向けて拡開した
板状に形成され、前記圧延ロ−ルとの間に微小な間隙を
設けて配設したことを特徴とする。

【０００９】要するに本発明は、従来のウエブ誘導方式
から、フランジ誘導方式に変えると共に、ストリッパ−
ガ−ドを圧延ロ−ルに向けて拡開した形状とすることに
よって、Ｈ型鋼の通過する通路の大きさを大きくし、ス
トリッパ−ガ−ドと圧延ロ−ルとの間に微小な間隙を設
けても、Ｈ型鋼先端のウエブがストリッパ−ガ−ドに突
き当たらないので、突き出し事故を防止することができ
るようにし、ストリッパ−ガ−ドの摩耗に伴う点検、整
備作業を不要とし、ウエブ誘導方式に起因した製品への
掻疵の発生を皆無としたことを要旨とするものである。

【００１０】

【発明の実施の形態】次に、本発明の実施例を図面に基
づいて説明する。図２〜図４に示すように、支持台１１
には、壁体１２，１２′が左右に平行に立設し、Ｈ型鋼
の移送通路１７を形成している。壁体１２，１２′の入
口側先端は、図３に示すように、外方に向けて拡開した
折曲部１３，１３′に形成されている。

【００１１】壁体１２，１２′の間には、上下一対のフ
ランジ誘導ロ−ラ−１４ａ，１４ａ′及び１４ｂ，１４
ｂ′が間隔付けて二対軸止されている。このフランジ誘
導ロ−ラ−１４ａ，１４ａ′及び１４ｂ，１４ｂ′で、
Ｈ型鋼１８のフランジ部１９の幅端を上下に挟んでガイ
ドするようになっている。

【００１２】フランジ誘導ロ−ラ−１４ａ，１４ａ′と
圧延ロ−ル１５，１５′との間には、誘導ロ−ラ−１４
ａ，１４ａ′の対向面から圧延ロ−ル１５，１５′に向
けて、外方に拡開するスロ−プに形成した板体からなる
ガイド１６ａ，１６ａ′が配設されている。尚、ガイド
１６ａ，１６ａ′は、誘導ロ−ラ−中央の軸部２２ａに
一体的に連設されている。

【００１３】圧延ロ−ル１５，１５′とストリッパ−ガ
−ド１６ａ，１６ａ′との間隔ｄは、接触しない間隔と
している。間隔ｄは、接触しないならいくら近付けても
良いが、５０ｍｍ以下とするのが良い。５０ｍｍを越え
ると、Ｈ型鋼の突き出し事故が発生する可能性が生じ
る。

【００１４】誘導ロ−ラ−１４ｂ，１４ｂ′と誘導ロ−
ラ−１４ａ，１４ａ′との間には、同様に、誘導ロ−ラ
−１４ｂ，１４ｂ′から誘導ロ−ラ−１４ａ，１４ａ′
に向けて、外方に拡開するように固定した板体からなる
ガイド１６ｂ，１６ｂ′が配設されている。誘導ロ−ラ
−１４ｂ，１４ｂ′と誘導ロ−ラ−１４ａ，１４ａ′と
の間隔ｄ′も、前記間隔ｄと同様にすれば良い。

【００１５】壁体１２，１２′の後部出口には、Ｈ型鋼
１８のフランジ部１９両側部を左右に挟んで誘導する円
筒ロ−ラ−２０，２０′が位置するように固定されてい
る。円筒ロ−ラ−２０，２０′は、壁体１２，１２′に
固定したア−ム２３，２３′の先端に回転自在に固定さ
れ、円筒ロ−ラ−２０と２０′との間の間隔は、ナット
２４によって調整できるようになっている。圧延ロ−ル
１５，１５′から出たＨ型鋼は、フランジ誘導ロ−ラ−
１４ａ，１４ａ′によって、上下に挟んで誘導されるの
で、ウエブ部を挟んで誘導される場合のように、製品に
掻疵の発生するのを防止することができる。

【００１６】また、ガイド１６ａ，１６ａ′は、従来の
ように、圧延ロ−ル１５，１５′に接触していないの
で、ガイドが摩耗することは全くないから、従来のよう
に、ガイド合わせ、グラインダ−研磨及び運搬作業が不
要になると共に、ガイドを交換する必要がなくなるか
ら、ガイドと誘導ロ−ラ−との一体化が可能となる。

【００１７】また、ガイド１６ａ，１６ａ′は、外方に
向けて拡開し、しかもガイド１６ａと１６ａ′との間隔
がＨ型鋼先端ウエブに対して充分広くなっているので、
ガイド１６ａ，１６ａ′と圧延ロ−ラ−１５，１５′と
の間に間隙を形成しても、Ｈ型鋼がガイドに突き当たっ
て突き出すのを防止することができる。本発明の誘導装
置は、特にＨ型鋼に造形された後の孔型出口に配するの
に特に適している。

【００１８】

【発明の効果】本発明によれば、ストリッパ−ガ−ド合
わせ、グラインダ−研磨及び運搬作業が不要となるの
で、作業効率が飛躍的に改善するほか、突き出し事故を
防止することができると共に、製品に掻疵の発生するの
を防止することができるという従来の製造法の問題を一
挙に解決した画期的な効果を奏するから、Ｈ型鋼の製造
に寄与するところ極めて大きい。

【００１９】また、ストリッパ−ガ−ド（ガイド）の摩
耗がなくなったことから、ガイドと誘導ロ−ラ−とを一
体化することができるが、一体化することによって、事
前準備、組み替え時の点検調整が容易になると共に、運
搬作業が簡素化され、重筋作業が更に減少すると共に、
ガ−ドの購入及び管理の必要がなくなる。

【００２０】

【図面の簡単な説明】

【図１】従来の誘導装置を示す側面図である。

【図２】本発明の実施例を示す側面図である。

【図３】本発明の実施例を示す平面図である。

【図４】本発明の実施例を示す正面図である。

【符号の説明】

１２，１２′ 壁体 １３，１３′ 外方に拡開した
折曲部 １４ａ，１４ａ′，１４ｂ，１４ｂ′ 誘導ロ−ラ− １５，１５′ 圧延ロ−ル １６ａ，１６ａ′，１６ｂ，１６ｂ′ ガイド

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】圧延孔型の出口に配設されるＨ形鋼の圧延
   製造時の誘導装置に於いて、前記Ｈ形鋼のフランジの幅
   端を上下に挟む上下一対のフランジ誘導ロ−ラ−と、該
   フランジ誘導ロ−ラ−と圧延ロ−ルとの間に位置する上
   下一対のガイドとを具備してなり、該上下のガイドは、
   前記圧延ロ−ルに向けて拡開した板状に形成され、前記
   圧延ロ−ルとの間に微小な間隙を設けて配設されている
   ことを特徴とするＨ形鋼の圧延時の誘導装置。
2. 【請求項２】前記フランジ誘導ロ−ラ−のＨ形鋼進行方
   向前方に、前記ガイドと前記フランジ誘導ロ−ラ−とを
   一対若しくは複数対配設し、該ガイドの拡開した先端
   と、前記フランジ誘導ロ−ラ−との間に微小な間隙を設
   けてなる請求項１に記載の誘導装置。
3. 【請求項３】前記フランジ誘導ロ−ラ−と前記ガイドと
   を、一体的に連設してなる請求項１に記載の誘導装置。
4. 【請求項４】前記Ｈ形鋼進行方向最前部の前記フランジ
   誘導ロ−ラ−の前方に、前記Ｈ形鋼の両側部を挟む左右
   一対の誘導ロ−ラ−を配設してなる請求項１または２に
   記載の誘導装置。
5. 【請求項５】前記ガイドと前記圧延ロ−ルとの間の間隙
   が、５０ｍｍ以下である請求項１に記載の誘導装置。
6. 【請求項６】前記フランジ誘導ロ−ラ−を軸止する壁体
   を、左右に平行に配設し、該壁体の入口側を外方に向け
   て拡開させてなる請求項１〜５のいずれかに記載の誘導
   装置。