JPH09255354A

JPH09255354A - 基板用ガラス組成物

Info

Publication number: JPH09255354A
Application number: JP8061295A
Authority: JP
Inventors: Manabu Nishizawa; 学西沢; Takashi Maeda; 敬前田; Yasumasa Nakao; 泰昌中尾
Original assignee: Asahi Glass Co Ltd
Current assignee: AGC Inc
Priority date: 1996-03-18
Filing date: 1996-03-18
Publication date: 1997-09-30

Abstract

(57)【要約】【課題】熱収縮を抑えるための前熱処理が効率的に行え
る基板用ガラス組成物を得る。【解決手段】重量％表示で実質的に、ＳｉＯ₂ ：３５〜
５４、Ａｌ₂ Ｏ₃ ：０〜１４、Ｂ₂ Ｏ₃ ：０〜８、Ｍｇ
Ｏ：０〜１０、ＣａＯ：０〜１０、ＳｒＯ：８〜２５、
ＢａＯ：８〜２５、Ｎａ₂ Ｏ：０〜１６、Ｋ₂ Ｏ：０〜
１６、Ｌｉ₂ Ｏ：０〜６、ＺｒＯ₂ ：０〜６からなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、フラットディスプ
レイ、特にプラズマディスプレイパネル（ＰＤＰ）に用
いるガラス基板組成物に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ＰＤＰは一般的に、基板ガラス上に金属
電極、絶縁ペースト、リブペースト等を５５０〜６００
℃程度の最高温度で焼成した後、対向板と周囲をフリッ
トシールすることにより製造される。従来、このための
基板ガラスとして建築用あるいは自動車用として広く用
いられるソーダライムガラスが一般的に用いられてき
た。

【０００３】しかし、ソーダライムガラスの歪点は５０
０℃程度であるため、上記の最高温度で熱処理を受ける
と基板ガラスが変形、あるいは収縮をおこし、寸法が著
しく変化する。したがって、対向板との電極位置合わせ
を精度良く実現しにくいという課題があった。特に、生
産性の高いベルト炉のような連続式の焼成炉を使用して
製造を行う場合、焼成中にガラス板の先端と後端で温度
差がつき、ガラス板が前後に非対称な寸法変化を起こす
という問題があった。

【０００４】このガラス基板の熱変形あるいは熱収縮の
問題を解決するため、特開平３−４０９３３や特開平７
−２５７９３７に開示されたような、熱膨張係数がソー
ダライムガラスと近く、ガラス転移点、歪点が高いガラ
スが知られている。このようなガラスを用いると、連続
式の焼成炉でＰＤＰ製造の熱処理を行っても、ソーダラ
イムガラスで問題となるような前後に非対称な寸法変化
を起こしにくいため、高い精度でパネルを焼成すること
が可能となる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなガラス組成でもフロート法などの大量生産型の徐冷
設備で生産した場合は、熱収縮率は依然と大きく、ＰＤ
Ｐ等の作製の前に熱収縮をあらかじめ充分行わせる「前
熱処理」を必要とする場合がある。すなわち、フロート
設備での徐冷は切断を可能とするための最低限の熱処理
であり、ＰＤＰ生産の熱処理工程で熱収縮を生じさせな
いようにするための熱処理には足りないからである。

【０００６】ＰＤＰ作製時の熱収縮量のスペックを満足
するのに要する前熱処理時間を考えたとき、この時間を
最低限の時間で効率的に行うためには、徐冷点が余りに
高いと適当ではない。一方、徐冷点が余りに低いと、前
述の非対象の寸法変化を起こすおそれがある。本発明者
らの検討の結果、ＰＤＰ作製時の温度が、ガラスの徐冷
点からその上約５０℃の範囲にあることが望ましいこと
がわかった。ガラスの歪点と徐冷点の温度差はガラス組
成により異なるが、一般に徐冷点は歪点より約５０℃高
いこと、ＰＤＰ作製時の熱処理温度が５００〜６００℃
であることを考えあわせると、効率的に熱収縮を低減で
きるガラスの歪点の条件は、５００〜６２５℃になる。

【０００７】本発明の目的は効率的な前熱処理が可能な
適当な高さの歪点を有し、かつ５０〜３５０℃の平均熱
膨張係数がソーダライムガラスと同等の基板用ガラスを
提示することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は歪点が５００〜
６２５℃、５０〜３５０℃の平均熱膨張係数が７０〜９
０×１０^-7／℃であって、実質的に重量％で、ＳｉＯ₂ ：３５〜５４、Ａｌ₂ Ｏ₃ ：０〜１４、Ｂ₂ Ｏ₃ ：０〜８、ＭｇＯ：０〜１０、ＣａＯ：０〜１０、ＳｒＯ：８〜２５、ＢａＯ：８〜２５、Ｎａ₂ Ｏ：０〜１６、Ｋ₂ Ｏ：０〜１６、Ｌｉ₂ Ｏ：０〜６、ＺｒＯ₂ ：０〜６、からなる基板用ガラス組成物である。

【０００９】

【発明の実施の形態】本発明による組成の限定理由は以
下の通りである。

【００１０】ＳｉＯ₂ ：ガラスの骨格を成す成分であ
る。含有量が３５重量％（以下％と表記する）未満では
他の成分の割合が増し、熱膨張係数が大きくなりすぎ
る。５４％を超えると歪点が高くなる。好ましくは３７
〜５２％である。

【００１１】Ａｌ₂ Ｏ₃ ：必須成分ではないが、歪点を
上げる効果があるため、歪点の調整のために、含有する
ことができる。しかし、１４％より多いと歪点が高くな
りすぎる。好ましくは１２％以下である。

【００１２】Ｂ₂ Ｏ₃ :必須成分ではないが、ガラスの
熔解性、失透抑制の効果があり、また歪点低下の効果が
あるので歪点調整のために含有することができる。しか
し、８％を超えると歪点が低くなりすぎるおそれがあ
る。好ましくは６％以下である。

【００１３】ＭｇＯ：必須成分ではないが、ガラスの熔
解時の粘性を下げ、熔解を促進するので含有することが
できる。しかし、１０％を超えると、失透温度が高くな
る。好ましくは８％以下である。

【００１４】ＣａＯ：必須成分ではないが、ガラスの熔
解時の粘性を下げ、熔解を促進するので含有することが
できる。しかし、１０％を超えると、失透温度が高くな
る。好ましくは８％以下である。

【００１５】ＳｒＯ：ガラスの熔解時の粘性を下げ、熔
解を促進する効果がある。８％未満では熱膨張係数が小
さくなりすぎる。一方、２５％を超えると熱膨張係数が
大きくなりすぎる。好ましくは９〜２２％である。

【００１６】ＢａＯ：ガラスの熔解時の粘性を下げ、熔
解を促進する効果がある。８％未満では熱膨張係数が小
さくなりすぎる。一方、２５％以上では熱膨張係数が大
きくなりすぎる。好ましくは９〜２２％である。

【００１７】ＭｇＯ、ＣａＯ、ＳｒＯおよびＢａＯは、
溶解促進のため、合量で２６％超含有することが好まし
い。より好ましくは、２８％以上である。

【００１８】Ｎａ₂ Ｏ：必須成分ではないが、ガラスの
熔解時の粘性を下げ、熔解を促進する効果があるので含
有することができる。１６％を超えると、熱膨張係数が
大きくなりすぎ、また、化学的耐久性が低下する。好ま
しくは１５％以下である。

【００１９】Ｋ₂ Ｏ：必須成分ではないが、ガラスの熔
解時の粘性を下げ、熔解を促進する効果があるので含有
することができる。１６％を超えると、熱膨張係数が大
きくなりすぎ、また、化学的耐久性が低下する。好まし
くは１５％以下である。

【００２０】Ｌｉ₂ Ｏ：必須成分ではないが、ガラスの
熔解時の粘性を下げ、熔解を促進する効果があるので含
有することができる。６％を超えると、熱膨張係数が大
きくなりすぎ、また、化学的耐久性が低下する。好まし
くは、５％以下である。

【００２１】Ｎａ₂ Ｏ、Ｋ₂ ＯおよびＬｉ₂ Ｏは多すぎ
ると、熱膨張係数が大きくなりすぎ、また、化学的耐久
性が低下するおそれがある。したがって、好ましくは、
合量で１０％未満、特に好ましくは合量で５％以下であ
る。

【００２２】ＺｒＯ₂ ：必須成分ではないが、歪点を上
げる効果があり、歪点調整のために、含有することがで
きる。６％を超えると、歪点が高くなりすぎる。好まし
くは、５％以下である。

【００２３】以上の成分の他、ＳＯ₃ 、Ａｓ₂ Ｏ₃ 、Ｓ
ｂ₂ Ｏ₃ 等の清澄剤、Ｆｅ₂ Ｏ₃ 、ＮｉＯ、ＣｏＯ、Ｔ
ｉＯ₂ 、Ｓｅ、ＣｅＯ₂ 等の着色剤等を適宜使用でき
る。また、ＣａＯ、ＭｇＯと同様の効果を得るために、
ＺｎＯを２％以下添加することもできる。

【００２４】本発明の基板用ガラス組成物は、典型的に
は、５０〜３５０℃の平均熱膨張係数が７０×１０^-7〜
９０×１０^-7／℃の範囲にあるので、従来と同様のフリ
ット材料を用いて、ＰＤＰを組み立てることができる。

【００２５】また、本発明の基板用ガラス組成物の歪点
は、前熱処理を効率的に行うため、５００〜６２５℃の
範囲にあることが好ましい。特に好ましくは、５２５〜
６００℃の範囲である。

【００２６】本発明のガラスは、ＰＤＰ用基板として好
適である。その分光透過率は４２５〜４７５ｎｍ、５１
０〜５６０ｎｍ、６００〜６５０ｎｍの範囲でそれぞれ
８５％以上となっていることが好ましい。これらの波長
範囲での発光が効率的に表示に利用できるからである。

【００２７】本発明のガラスは、例えば次のような方法
で製造できる。通常使用される各成分の原料を目標組成
になるように調合し、これを熔解炉に連続的に投入し、
１５００〜１６５０℃に加熱して溶融する。この溶融ガ
ラスをフロート法により所定の板厚に成形し、徐冷後切
断する。

【００２８】

【実施例】各成分の原料を目標組成になるように調合
し、白金るつぼを用いて１５５０〜１６５０℃に加熱し
４〜５時間かけて溶融した。熔解にあたっては、白金ス
ターラーを挿入し２時間撹拌してガラスの均質化を行っ
た。以上のようにして得られたガラスの平均熱膨張係数
α、歪点Ｔ_s 、比重を測定し、表１〜３にガラス組成と
ともに示した。また、例１、６、１０、１９、２０につ
いては前処理に要する時間を３種類のプロセス温度（６
００℃、５５０℃、５００℃）について示した。

【００２９】表のうち例１９、例２０は比較例である。
各特性の測定は以下のような方法で行った。

【００３０】平均熱膨脹係数α（単位：×１０^-7／
℃）：示差熱膨張計を用い、石英ガラスを参照試料とし
て毎分５℃で昇温しながら、室温〜屈伏点までの膨張曲
線を測定し、５０〜３５０℃の平均熱膨張係数を読み取
り、記録した。

【００３１】歪点Ｔ_s （単位：℃）：ＪＩＳＲ３１０
３に記載のファイバー法による。

【００３２】比重：アルキメデス法による。要前処理時間（単位：hrs ）：プロセス温度（６００
℃、５５０℃、５００℃）に１時間保持する熱処理で、
熱収縮量が５０ｐｐｍ以下となるのに要する熱処理時間
を示した。前熱処理の最高温度と徐冷速度はプロセス温
度に最適となるように設定した。

【００３３】表１〜３より明らかなように、本発明の実
施例にかかるガラスの歪点は５００〜６２５℃の範囲に
あり、効率的な前熱処理が可能である。また、５０〜３
５０℃の平均熱膨張係数は７０〜９０×１０^-7／℃の間
にあり、ソーダライムガラスと同等である。

【００３４】一方、例１９、例２０は歪点が高く、前処
理に時間を要する。

【００３５】

【表１】

【００３６】

【表２】

【００３７】

【表３】

【００３８】

【発明の効果】本発明によるガラスは、熱収縮を抑える
ための前熱処理が効率的に行えるため、プラズマディス
プレイ用基板等、製造時に熱処理を受ける用途に好適で
ある。また、熱膨張係数がソーダライムガラスと同等で
あるため、従来用いているフリット等を用いてＰＤＰを
製造できる。さらに本発明のガラスは、フロート法によ
る生産にも適したものである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所Ｈ０１Ｊ 17/16 Ｈ０１Ｊ 17/16

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】歪点が５００〜６２５℃、５０〜３５０℃
の平均熱膨張係数が７０〜９０×１０^-7／℃であって、
実質的に重量％で、ＳｉＯ₂ ：３５〜５４、Ａｌ₂ Ｏ₃ ：０〜１４、Ｂ₂ Ｏ₃ ：０〜８、ＭｇＯ：０〜１０、ＣａＯ：０〜１０、ＳｒＯ：８〜２５、ＢａＯ：８〜２５、Ｎａ₂ Ｏ：０〜１６、Ｋ₂ Ｏ：０〜１６、Ｌｉ₂ Ｏ：０〜６、ＺｒＯ₂ ：０〜６、からなる基板用ガラス組成物。
【請求項２】歪点が５２５〜６００℃であることを特徴
とする請求項１に記載の基板用ガラス組成物。