JPH0925376A - アイオノマー組成物及びその用途 - Google Patents

アイオノマー組成物及びその用途

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JPH0925376A
JPH0925376A JP7173465A JP17346595A JPH0925376A JP H0925376 A JPH0925376 A JP H0925376A JP 7173465 A JP7173465 A JP 7173465A JP 17346595 A JP17346595 A JP 17346595A JP H0925376 A JPH0925376 A JP H0925376A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイ
オノマー(A)40〜80重量部と、エチレン・不飽和
カルボン酸エステル共重合体の部分けん化物(B)60
〜20重量部(但し(A)と(B)の合計量が100重
量部)と、グリシジル基含有オレフィン共重合体(C)
0.1〜10重量部とからなるアイオノマー組成物。 【効果】 アイオノマー樹脂の優れた反発性、耐摩耗
性、射出成形性を保持しながら、その欠点である打球感
やコントロール性が改善されたゴルフボール用の表皮材
として有用な樹脂組成物が提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アイオノマー組成
物、特に柔軟性、耐衝撃性、耐摩耗性、反発性、成形性
に優れたゴルフボール用表皮材として有用な樹脂組成物
に関する。本発明はまた飛距離、打球感が良好で、ボー
ルコントロールが容易なゴルフボールの表皮材に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、ゴルフボールの表皮材として、ア
イオノマー樹脂が広範に使用されている(例えば米国特
許第3819768号明細書)。特にソリッドコアを用
いたツーピースゴルフボールでは、ほとんどの場合にア
イオノマー樹脂が使用されている。これは、アイオノマ
ー樹脂が耐久性、耐カット性、反発性に優れ、かつ加工
しやすく、しかも他の表皮材用樹脂に比べて安価である
という理由によるものである。
【0003】しかし、このアイオノマー樹脂は、かなり
高い硬度と剛性を有するため、糸巻きボールの表皮材と
して使用されているバラタ(トランスポリイソプレン)
に比べて、打球感やボールのコントロール性(スピンの
かけ易さ)の点で劣っている。そのため、特開平1−3
08577号公報には、2〜8個の炭素原子を有するオ
レフィンと、3〜8個の炭素原子を有する不飽和モノカ
ルボン酸と、2〜22個の炭素原子を有するアクリルエ
ステルクラスの不飽和モノマーとの三元共重合体のナト
リウム塩または亜鉛塩からなる軟質アイオノマー樹脂の
配合が提案されている。
【0004】しかしながら、上記の軟質アイオノマー樹
脂を用いた場合、打球感やコントロール性は改善される
ものの、反発性が低下するため、満足できる性能を有す
るゴルフボールが得られない。
【0005】この欠点を改良するために、特開平6−3
45051号公報、特開平6−54929号公報、特開
平6−313075号公報には、アイオノマー樹脂とエ
チレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体の部分けん
化物からなる組成物が提案されている。
【0006】しかしながら上記組成物を用いた場合、打
球感、コントロール性及び反発性は優れるものの、アイ
オノマー樹脂とエチレン・不飽和カルボン酸エステル共
重合体の部分けん化物との相溶性が不足しているため
に、耐摩耗性や耐久性が劣り、ボール生産工程や、繰り
返して打撃を受ける実使用時に、表面にささくれや剥離
等の欠陥が発生し易いという欠点を有している。
【0007】また、上記以外にも、ゴルフボール表皮材
としてのアイオノマー樹脂を柔軟化して、反発性や耐久
性を維持しながら打球感やコントロール性能を改善する
試みが種々行われているが、現状ではそれらのいずれに
よっても充分な成果を上げるにいたっていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、アイオ
ノマー樹脂は、高い硬度と剛性を有するため、糸巻きゴ
ルフボールの表皮材に使用されているバラタに比べて打
球感やコントロール性の点で劣っている。また、アイオ
ノマー樹脂を柔軟化して打球感やコントロール性を改善
する試みも、いまだ充分な効果を上げるにいたっていな
い。
【0009】そこで本発明者らは、打球感やコントロー
ル性と反発性、さらには成形性、耐摩耗性、耐久性とを
両立させるべく、表皮材用樹脂について鋭意研究を重ね
た結果、アイオノマー樹脂とエチレン・不飽和カルボン
酸エステル共重合体の部分けん化物の特定割合の配合物
にさらにグリシジル基含有オレフィン共重合体の特定量
を溶融混合した組成物が、ゴルフボール用表皮材として
打球感及びコントロール性能が良好で、かつ反発性、耐
摩耗性及び耐久性が満足すべき水準にあることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明によれ
ば、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマ
ー(A)40〜80重量部と、エチレン・不飽和カルボ
ン酸エステル共重合体の部分けん化物(B)60〜20
重量部(但し(A)と(B)の合計量が100重量部)
と、グリシジル基含有オレフィン共重合体(C)0.1
〜10重量部とからなるアイオノマー組成物が提供され
る。
【0011】本発明によればまた、上記アイオノマー組
成物から成るゴルフボールの表皮材並びにこれを表皮に
したゴルフボールが提供される。
【0012】
【作用】本発明においては、アイオノマー樹脂に、高反
発性の柔軟樹脂成分であるエチレン・不飽和カルボン酸
エステル共重合体の部分けん化物を添加しているので、
それによってアイオノマー樹脂本来の高い反発性を維持
しながらアイオノマー樹脂が柔軟化され、打球感及びコ
ントロール性が改善される。
【0013】しかも、上記アイオノマー樹脂とエチレン
・不飽和カルボン酸エステル共重合体の部分けん化物
に、グリシジル基含有オレフィン共重合体を加えて加熱
混合しているので、そのグリシジル基がアイオノマー樹
脂と部分けん化物中のカルボキシル基と反応し、高反発
でかつ柔軟な樹脂である部分けん化物とアイオノマー樹
脂の相溶化が達成され、耐摩耗性及び耐久性が改善され
るものと想定される。
【0014】なおエチレン・不飽和カルボン酸エステル
共重合体の部分けん化物は、理論的には100%イオン
化度のアイオノマーに相当するため、カルボキシル基を
有していないが、アイオノマー樹脂と共存した場合に
は、金属イオンの移動が起こり、部分的にカルボキシル
基が生成し、これがグリシジル基との反応に関与するも
のと推定される。
【0015】本発明においては、エチレン・不飽和カル
ボン酸共重合体のアイオノマー(A)40〜80重量
部、特に45〜75重量部と、エチレン・不飽和カルボ
ン酸エステル共重合体の部分けん化物(B)60〜20
重量部、特に55〜25重量部とを用いることが重要で
ある。成分(B)の量が上記範囲より少ない場合は、柔
軟化が充分に達成できず、打球感やコントロール性能が
悪くなり、また成分(B)の量が上記範囲よりも多くな
ると反発性、加工性や耐久性が不足するために好ましく
ない。
【0016】上記成分(A)及び(B)の合計量100
重量部当たりグリシジル基含有オレフィン共重合体
(C)を0.1〜10重量部、特に0.2〜5重量部の
量で用いることも重要である。上記成分(C)の使用割
合が上記範囲よりも少ないと充分な改善効果が期待でき
ないが、一方上記範囲よりも多いと、グリシジル基の過
剰な反応により架橋が過度に起こり、組成物の溶融時に
おける流動性が損なわれ、表皮材の成形に支障をきたす
ようになる。
【0017】本発明によれば、上記アイオノマー組成物
をゴルフボールの表皮材として用いることにより、アイ
オノマー樹脂の優れた反発性、耐摩耗性、射出成形性を
保持しながら、その欠点である打球感やコントロール性
を改善することができる。
【0018】
【発明の好適態様】本発明におけるアイオノマー(A)
のベースポリマーとなるエチレン・不飽和カルボン酸共
重合体における不飽和カルボン酸としては、アクリル酸
またはメタクリル酸の使用が最も好ましく、またその重
合組成としては、エチレンが75〜90重量%、好まし
くは78〜88重量%、不飽和カルボン酸が10〜25
重量%、好ましくは12〜22重量%のものを使用する
ことが、反発性、耐久性、硬度、成形性などの諸特性を
考慮すると好ましい。
【0019】上記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体
において、少量の他の単量体、例えば(メタ)アクリル
酸エステルを共重合したものを用いてもよいが、通常は
上記諸特性の一部が損なわれることがあるので好んで用
いるものではない。
【0020】アイオノマーにおける金属イオンとして
は、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムなどの
アルカリ金属イオン、マグネシウム、カルシウム、亜鉛
などの2価イオン、アルミニウムのような3価イオンを
例示することができるが、これらの中では、リチウム、
ナトリウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛などが好適
である。イオン種の組み合わせによる反発性の相乗的な
上昇効果を考慮すると、2種以上の金属イオン、とくに
少なくとも1種のアルカリ金属イオンと少なくとも1種
の2価イオンを併用することが望ましく、ナトリウム/
亜鉛、ナトリウム/マグネシウム、リチウム/亜鉛、リ
チウム/マグネシウム、カリウム/亜鉛、カリウム/マ
グネシウム、リチウム/ナトリウム/亜鉛の組み合わせ
が最も好適である。このような2種以上の金属イオンを
含むアイオノマーにあっては、具体的には金属イオン種
の異なる2種以上のアイオノマーを併用するのが最も一
般的であるが、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体か
らアイオノマーを製造する際に、異種金属の化合物を同
時に、または逐次的に反応させて得たアイオノマーを用
いてもよい。アイオノマー中におけるこれら金属イオン
の中和度は、反発性や耐衝撃性を考慮すると少なくとも
20モル%が望ましく、25〜80モル%が最も好適で
ある。
【0021】またアイオノマーのショアーD硬度として
は、反発性を考慮すると60以上が望ましく、60〜8
0が最も好適である。また成形性等、種々の物性を考慮
すると、190℃、2160g荷重におけるメルトフロ
ーレートが0.7g/10分以上、特に0.9〜10g
/10分のものを使用するのが好ましい。
【0022】本発明のエチレン・不飽和カルボン酸エス
テル共重合体の部分けん化物(B)とは、エチレンと不
飽和カルボン酸エステルとの共重合体において、そのエ
ステル成分を部分的に苛性アルカリでけん化した樹脂で
ある。
【0023】この共重合体における不飽和カルボン酸エ
ステル成分としては、アクリル酸エステルまたはメタク
リル酸エステルの使用が好ましく、例えば、メチル、エ
チル、n−ブチル、イソブチル、イソオクチル、2−エ
チルヘキシルなどのエステル類を例示することができ
る。
【0024】この部分けん化物は、前記アイオノマー樹
脂に柔軟性を付与するための成分であるため、共重合体
中における不飽和カルボン酸エステル含有量をあまり少
量にすることは避けなければならないが、一方、その量
が多くなり過ぎると、物性低下の原因ともなるので、一
般にエチレン50〜85重量%、好ましくは60〜80
重量%、不飽和カルボン酸エステル15〜50重量%、
好ましくは20〜40重量%の組成のものを用いるのが
好ましい。
【0025】部分けん化における適当なけん化度は、原
料共重合体の重合組成によっても若干異なってくるが、
通常5〜50モル%、好ましくは10〜30モル%であ
る。またこのような部分けん化物としては、ショアーD
硬度で15〜45、特に20〜40であり、JIS K
−6301に基づく反発弾性率で55%以上のものが好
適である。部分けん化は、苛性アルカリにより公知の方
法で行えばよく、リチウム、ナトリウムまたはカリウム
などの部分けん化物を使用することができる。
【0026】このような部分けん化物は、一般には溶融
粘度が高く、例えば190℃、2160g荷重における
メルトフローレートが、0.01〜10g/10分、特
に0.1〜5g/10分のものが好適である。
【0027】またグリシジル基含有オレフィン共重合体
(C)のオレフィン成分としては、2〜8個の炭素原子
を有するものが好ましく、例えばエチレン、プロピレ
ン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、1−オ
クテンなどが挙げられるが、特に前記アイオノマー樹脂
(A)及び部分けん化物(B)との相溶性を考慮すると
エチレンが好ましい。
【0028】さらにグリシジル基成分としては、グリシ
ジルメタクリレート、グリシジルアクリレートなどが、
オレフィンとの共重合性から見て好ましい。このグリシ
ジル基含有モノマー成分の重合組成としては0.5〜1
2重量%、特に0.5〜7重量%が好ましい。重合組成
が12重量%を越えるものを用いると、少量の配合でも
グリシジル基の反応性によって各成分間の著しい架橋が
起こり、本発明による加熱混合組成物の溶融粘度が高く
なり、成形性を阻害するために好ましくない。また重合
組成が0.5重量%より少ないものを用いると、アイオ
ノマー樹脂(A)と部分けん化物(B)との相溶性の改
善効果が不足するために好ましくない。
【0029】またこのグリシジル基含有オレフィン共重
合体には、上記グリシジル基成分やオレフィン成分以外
に、柔軟性の調整や前記部分けん化物(B)との相溶性
を考慮して、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステ
ル、酢酸ビニルなどを共重合成分として0〜40重量
%、好ましくは5〜35重量%加えることが望ましい。
このアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルと
しては、前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の部
分けん化物(B)に記載のエステル類が例示できる。
【0030】グリシジル基含有オレフィン共重合体
(C)として、エチレン・グリシジル(メタ)アクリレ
ート系共重合体のようなエチレン共重合体、例えばエチ
レン・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、エチ
レン・酢酸ビニル・グリシジル(メタ)アクリレート共
重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・グリ
シジル(メタ)アクリレート共重合体を使用する場合に
は、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレ
ートが、0.5〜200g/10分、とくに1〜100
g/10分のものを使用するのが好ましい。
【0031】アイオノマー(A)のベースポリマーであ
るエチレン・不飽和カルボン酸共重合体、部分けん化物
(B)におけるエチレン・不飽和カルボン酸エステル共
重合体及びグリシジル基含有オレフィン共重合体(C)
は、いずれも高圧法ポリエチレンと同様に、高温、高圧
下のラジカル共重合によって製造することができる。
【0032】アイオノマー(A)と部分けん化物(B)
の使用割合は、両者の合計を100重量部とするとき
に、(A)が40〜80重量部、好ましくは45〜75
重量部に対し、(B)が60〜20重量部、好ましくは
55〜25重量部である。
【0033】すなわちアイオノマー(A)が40重量部
より少ない場合は、反発性や耐久性が不足し、アイオノ
マー(A)が80重量部より多くなると柔軟化が充分に
達成できず、打球感やコントロール性能が悪くなる。
【0034】エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の部
分けん化物(B)が20重量部より少ない場合は、柔軟
化が充分に達成できず、打球感やコントロール性能が悪
くなり、また部分けん化物(B)が60重量部よりも多
くなると反発性、加工性や耐久性が不足するために好ま
しくない。
【0035】グリシジル基含有オレフィン共重合体
(C)の使用割合は、(C)におけるグリシジル基含有
モノマーの重合割合によっても異なるが、アイオノマー
(A)と部分けん化物(B)の合計量100重量部に対
し0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部、
一層好ましくは0.3〜3重量部である。グリシジル基
含有オレフィン共重合体(C)の使用量はまた、
(A)、(B)、(C)からなる組成物中、(C)のグ
リシジル基含有モノマーの割合が、0.01〜0.3重
量%、とくに0.02〜0.2重量%となるように配合
するのが好ましい。
【0036】グリシジル基含有オレフィン共重合体の使
用割合が少ないと充分な改善効果が期待できないが、一
方あまり多量に用いるとグリシジル基の過剰な反応によ
り架橋が過度に起こり、組成物の溶融時における流動性
が損なわれ、表皮材の成形に支障をきたすようになるの
で好ましくない。
【0037】本発明においては、成形性の点から、樹脂
組成物の190℃、2160g荷重におけるメルトフロ
ーレートが、0.5g/10分以上、とくに1〜10g
/10分となるように、またゴルフボールとしての打球
感やコントロール性の点から樹脂組成物のショアD硬度
が35〜58、とくに40〜55となるように、また反
発性の点から樹脂組成物のJIS K−6301に基づ
く反発弾性率が55%以上とくに60%以上となるよう
に(A)、(B)、(C)の組成及び配合割合を選択す
ることが好ましい。
【0038】本発明では、上記(A)、(B)、(C)
を加熱混合することにより、グリシジル基含有オレフィ
ン性共重合体中のグリシジル基の反応性を利用してアイ
オノマー樹脂とエチレン・不飽和カルボン酸エステル共
重合体の部分けん化物との相溶化を達成し、所望の特性
が得られるものであるが、その加熱混合は、単軸スクリ
ュー押出機、二軸スクリュー押出機、またはバンバリー
ミキサーやニーダーなどの通常の熱可塑性樹脂用溶融混
合または加工装置を用い、150〜280℃の温度条件
下で行われる。
【0039】本発明のアイオノマー組成物には、上記3
種類の樹脂以外に、本発明の目的を損なわない範囲で少
量の他の重合体を配合してもよい。また通常配合されて
いるような種々の添加剤、例えばゴルフボール表皮用添
加剤を配合してもよいことは勿論である。このような添
加剤として、各種着色剤、酸化防止剤、耐候安定剤、光
安定剤、帯電防止剤、分散剤、無機充填剤などを例示す
ることができる。
【0040】本発明のアイオノマー組成物は、射出成
形、ブロー成形、シート成形、パイプ成形等の成形方法
により種々の成形品を製造することができるが、とくに
ゴルフボールの表皮材として有用である。
【0041】本発明の樹脂組成物による表皮は、公知の
ソリッドゴルフボール用コア及び糸巻きゴルフボール用
コアのいずれの被覆にも使用することができる。
【0042】ソリッドコアとしては、2層以上の多層構
造ゴルフボールのコアであってもよく、例えばツーピー
スボール用コアとしては、ポリブタジエン100重量部
に対して、アクリル酸、メタクリル酸などのα、β−モ
ノエチレン性不飽和カルボン酸またはその金属塩や、ト
リメチロールプロパントリメタクリレートなどの官能性
モノマーなどからなる加硫剤(架橋剤)を単独または合
計で10〜60重量部、酸化亜鉛、硫酸バリウムなどの
充填剤を10〜30重量部、ジクミルパーオキサイドな
どの過酸化物を0.5〜5重量部、酸化防止剤を0.1
〜1重量部配合したゴム組成物をプレス加硫により、例
えば140〜170℃の温度で10〜40分間加熱圧縮
して、球状加硫物に成形することによって得られたもの
を用いることができる。
【0043】糸巻きコアとしては、センターとそれに巻
き付けた糸ゴムとからなり、上記センターとしては液
状、ゴム系のいずれも用いることができる。ゴム系のセ
ンターとしては、例えば前記ソリッドコアと同様のゴム
組成物を加硫することによってえられたものを用いるこ
とができる。
【0044】糸ゴムは、従来から使用されているものを
用いることができ、例えば天然ゴムまたは天然ゴムと合
成ポリイソプレンに老化防止剤、加硫促進剤、イオウな
どを配合したゴム組成物を加硫することによって得られ
たものを用いることができる。ただし、これらのソリッ
ドコア、糸巻きコアは、単なる例示であって、これら例
示のもののみに限定されることはない。
【0045】コアに表皮材を被覆する方法は、特に限定
されるものでなく、通常の方法で行われる。例えば前記
特定の表皮材用樹脂組成物に他の必要な添加剤を適宜配
合したものを、あらかじめ半球殻状のハーフシェルに成
形し、それを2枚用いてコアを包み、130〜170℃
で1〜5分間加熱成形するか、または表皮材用組成物を
直接射出成形してコアを包み込む方法が採用される。表
皮材の厚みは通常1〜3mm程度である。そして、表皮
成形時、必要に応じて、ボール表面にディンプルの成形
が行われ、また表皮成形後、ペイント仕上げ、スタンプ
なども必要に応じて施される。
【0046】このようなゴルフボールカバー材におい
て、カバー材が多層構造をとるときには、本発明のアイ
オノマー組成物は、外部カバー材として、あるいは内部
カバー材として使用することができる。
【0047】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説
明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定さ
れるものではない。なお本発明の組成物を調製するため
に使用した樹脂は表1の通りである。
【0048】
【表1】
【0049】また実施例、比較例における物性値は次の
方法によって測定した。 物性値測定方法 ・メルトフローレート(MFR):JIS K−676
0準拠、温度190℃、荷重2160g ・硬度(ショアーD):JIS K−7215準拠、1
80℃で熱プレス成形した3mm厚みのシートを、23
℃、50%相対湿度の雰囲気下で14日間調整し、この
シートを打ち抜いて試験試片とし、これを重ねて試験を
行った。 ・反発弾性率:JIS K−6301準拠、180℃で
熱プレス成形した厚み12.7mm,直径29.0mm
の直円柱形試片を用い、これを23℃、50%相対湿度
の雰囲気下で14日間調整して試験を行った。 ・耐摩耗性:JIS K−7204準拠(テーパー摩耗
試験)180℃で熱プレス成形した3mm厚みのシート
を、23℃、50%相対湿度の雰囲気下で14日間調整
し、これを打ち抜いて試片とした。試験は摩耗輪CS−
17を用い、荷重1Kg、回転数1000回転における
試片の表面状態(ささくれ等の表面欠陥の有無)を観察
した。 ・射出成形性:東芝機械製射出成形機IS100Eを用
いて、ノズル温度240℃、0.5mm厚フイルムゲー
トにて2mm厚×120mm×120mmの角板を成形
し、射出成形性を評価した。
【0050】実施例、比較例 表2に示す配合の組成物を、40mmφ単軸押出機(ナ
カタニ機械(株)製)を用いて樹脂温度190〜200
℃、スクリュー回転数40min-1でメルトブレンド
し、得られた加熱混合組成物の物性を評価し、その結果
を表2に示した。
【0051】比較例、 比較例は、ゴルフボールの表皮材として通常用いられ
ているナトリウムイオンと亜鉛イオンとを含むアイオノ
マー樹脂のみを用いた組成物である。また比較例は、
上記2種の金属イオンを含むアイオノマー樹脂に柔軟成
分としてエチレン・エチルアクリレート共重合体(エチ
ルアクリレート含有量25重量%)の20モル%ナトリ
ウムけん化物を配合した組成物である。この比較例の
組成物は、比較例の組成物とほぼ同等の反発弾性率を
有しながら、硬度が低くなっており、比較例の組成物
を表皮材として用いることにより、反発性を維持しなが
ら打球感やコントロール性を改善することができる。ま
た比較例の組成物は、比較例と同等のメルトフロー
レートを有しており、実用上問題の無い射出成形性を保
持している。しかしながら比較例の場合、明らかに耐
摩耗性が劣っている。
【0052】実施例、 実施例及びは、比較例に用いたのと同一のアイオ
ノマー樹脂とエチレン・エチルアクリレート共重合体の
部分けん化物に、第3成分としてエチレン・グリシジル
メタクリレート・メチルアクリレート共重合体(グリシ
ジルメタクリレート含有量6重量%、メチルアクリレー
ト含有量30重量%)を配合した本発明に基づく組成物
である。実施例及びの組成物は、比較例と同等の
反発弾性率を有し、硬度が低いと共に、良好な耐摩耗性
を有している。これらの組成物を表皮材に用いることに
より、反発性、耐摩耗性を維持しながら打球感やコント
ロール性を改善できることがわかる。またエチレン・グ
リシジルメタクリレート・メチルアクリレート共重合体
の配合により、組成物のメルトフローレートが低下する
が、これら実施例の配合範囲ではまだ充分な射出成形性
を保持している。
【0053】実施例〜 実施例〜は、実施例及びにおいて使用したアイ
オノマー樹脂とは別のアイオノマー樹脂を用いた本発明
に基づく組成物である。これら組成物も、比較例と同
等の反発弾性率を有しながら、硬度が低く、かつ良好な
耐摩耗性を有している。これらの組成物をゴルフボール
の表皮材に用いることにより、反発性、耐摩耗性を維持
しながら打球感やコントロール性を改善できることがわ
かる。
【0054】実施例 実施例は、グリシジル基含有オレフィン性共重合体と
して、エチレン・グリシジルメタクリレート・nブチル
アクリレート共重合体(グリシジルメタクリレート含有
量5.3重量%、nブチルアクリレート28重量%)を
用いた以外は実施例と同一の組成物である。この組成
物も、比較例と同等の反発弾性率を有しながら、硬度
が低く、かつ良好な耐摩耗性を有している。この組成物
を表皮材に用いることにより、反発性、耐摩耗性を維持
しながら打球感やコントロール性を改善できることがわ
かる。
【0055】
【表2】
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、アイオノマー樹脂の優
れた反発性、耐摩耗性、射出成形性を保持しながら、そ
の欠点である打球感やコントロール性が改善されたゴル
フボール用の表皮材として有用な樹脂組成物が提供でき
る。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の
    アイオノマー(A)40〜80重量部と、エチレン・不
    飽和カルボン酸エステル共重合体の部分けん化物(B)
    60〜20重量部(但し(A)と(B)の合計量が10
    0重量部)と、グリシジル基含有オレフィン共重合体
    (C)0.1〜10重量部とからなるアイオノマー組成
    物。
  2. 【請求項2】 エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の
    アイオノマー(A)が、(メタ)アクリル酸含量が10
    〜25重量%のエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体
    のアイオノマーである請求項1記載のアイオノマー組成
    物。
  3. 【請求項3】 アイオノマー(A)が、2種以上の金属
    イオンを含むものである請求項1又は2記載のアイオノ
    マー組成物。
  4. 【請求項4】 2種以上の金属イオンが、アルカリ金属
    イオンからなる少なくとも1種と、2価金属イオンの少
    なくとも1種とからなる請求項3記載のアイオノマー組
    成物。
  5. 【請求項5】 アイオノマー(A)が、メルトフローレ
    ート(190℃、2160g荷重)が0.7g/10分
    以上で、ショアーD硬度が60〜80である請求項1乃
    至4の何れかに記載のアイオノマー組成物。
  6. 【請求項6】 エチレン・不飽和カルボン酸エステル共
    重合体の部分けん化物(B)が、(メタ)アクリル酸エ
    ステル含量が15〜50重量%のエチレン・(メタ)ア
    クリル酸共重合体のエステル部の5〜50モル%をアル
    カリでけん化したものである請求項1乃至5の何れかに
    記載のアイオノマー組成物。
  7. 【請求項7】 グリシジル基含有オレフィン共重合体
    (C)におけるグリシジル基含有モノマー含量が0.5
    〜12重量%である請求項1乃至5の何れかに記載のア
    イオノマー組成物。
  8. 【請求項8】 グリシジル基含有モノマーオレフィン共
    重合体(C)が、エチレン・グリシジル(メタ)アクリ
    レート系共重合体である請求項1乃至7の何れかに記載
    のアイオノマー組成物。
  9. 【請求項9】 グリシジル基含有オレフィン共重合体
    (C)のグリシジル基含有モノマー成分が、アイオノマ
    ー組成物中0.01〜0.3重量%となるような割合で
    (C)が配合されている請求項1乃至8の何れかに記載
    のアイオノマー組成物。
  10. 【請求項10】 メルトフローレートが0.5g/10
    分以上で、ショアーD硬度が35〜58である請求項1
    乃至9の何れかに記載のアイオノマー組成物。
  11. 【請求項11】 JIS K−6301に基づく反発弾
    性率が55%以上である請求項1乃至10の何れかに記
    載のアイオノマー組成物。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至11の何れかに記載のア
    イオノマー組成物から成るゴルフボール用表皮材。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至11の何れかに記載のア
    イオノマー組成物を表皮とするゴルフボール。
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JP2006230661A (ja) * 2005-02-24 2006-09-07 Bridgestone Sports Co Ltd マルチピースソリッドゴルフボール
JP2009261792A (ja) * 2008-04-28 2009-11-12 Sri Sports Ltd ゴルフボール
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