JPH09228168A - 複合加工糸および織編物 - Google Patents

複合加工糸および織編物

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JPH09228168A
JPH09228168A JP8354989A JP35498996A JPH09228168A JP H09228168 A JPH09228168 A JP H09228168A JP 8354989 A JP8354989 A JP 8354989A JP 35498996 A JP35498996 A JP 35498996A JP H09228168 A JPH09228168 A JP H09228168A
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yarns
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JP8354989A
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Tsugihiko Kai
二男子 甲斐
Kakuji Murakami
確司 村上
Hideaki Kunisada
秀明 國貞
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】仮撚捲縮を有する少なくとも2本の構成糸
Aおよび構成糸Bからなる複合加工糸であって、該2本
の構成糸は少なくとも糸長差および収縮率差のいずれか
を有し、少なくとも糸長が短く、収縮率の大なる構成糸
Bを構成する単繊維が糸軸方向に沿って漸次変化してな
る太い部分と細い部分を有することを特徴とする複合加
工糸および織編物。 【効果】本発明によれば、素材の設計の仕方により優れ
た張り、腰、反撥性とソフトな風合を兼ね備えた糸、例
えば、梳毛編織物が持ち合わせる性能を本発明糸によっ
て実現することができる。また、断面変形が大きくない
ため、グリッターを改善することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は構成糸相互が収縮差
を有する複合加工糸に関するものであり、さらに詳しく
はソフトで張り、腰、反撥性に富む複合加工糸および織
編物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、伸度差を有する2本の糸を引
き揃えて仮撚加工することによって得られる芯鞘構造の
複合加工糸はよく知られている。この方法によれば、低
伸度の糸が芯部を形成し、高伸度の糸が鞘部を形成した
芯鞘2層構造の高捲縮で嵩高性に富む複合加工糸が得ら
れ、梳毛調織編物差別化素材として汎用的に用いられて
いる。
【0003】一方、特開平6−57562号公報には2
本の糸にフィード率差をつけて、フィード率の小なる糸
にフィード率の大なる糸を仮撚ヒータとスピンドル間で
捲回させることによって、嵩高性、ソフト性に優れた複
合糸の製造方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記こ
れらの方法によれば、高捲縮、高嵩高の複合加工糸とな
るが故に風合い面において、ふかつきや審美性において
問題点となるグリッターを生じるなどの問題があった。
もちろん、中強撚物であるがゆえに秋冬物衣料における
着用感で重要な保温性が不十分であるなどの問題があっ
た。従って、前者においては中強撚の追撚、後者にあっ
ては多角断面糸を用いるなどして対応しているのが実情
であって、必ずしも満足なレベルであるとはいい難かっ
た。よってウール風合に見られる張り、腰、反撥性、保
温性等を兼ね備えた本格梳毛調中厚地織物用途としては
十分でないという問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の複合加工糸は前
記課題を解決するため以下の構成を有する。
【0006】すなわち、仮撚捲縮を有する少なくとも2
本の構成糸Aおよび構成糸Bからなる複合加工糸であっ
て、該2本の構成糸は少なくとも糸長差および収縮率差
のいずれかを有し、少なくとも糸長が短く、収縮率の大
なる構成糸Bを構成する単繊維が糸軸方向に沿って漸次
変化してなる太い部分と細い部分を有することを特徴と
する複合加工糸である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の複合加工糸を図面
を用いて詳細に説明する。
【0008】本発明の複合加工糸は、仮撚捲縮を有する
少なくとも2本の構成糸Aおよび構成糸Bからなるもの
である。
【0009】本発明において、構成糸が仮撚捲縮を有す
るものであり、仮撚捲縮がないと嵩高性やボリューム感
が不足し、布帛がペーパライクになるという問題があ
る。
【0010】さらに、本発明では仮撚捲縮を有する2本
の構成糸Aおよび構成糸Bが少なくとも糸長差および収
縮差のいずれかを有するものである。収縮差がないと後
工程、例えば、製編織後の染色工程における精練、セッ
ト等の熱処理によって収縮率の大なる構成糸が芯部とな
り、収縮率が小なる構成糸が鞘部を形成した芯鞘2層構
造の複合形態となることが難しいという問題がある。本
発明においては芯および鞘となる糸を目的、用途に応じ
て適宜用いることによって所望の布帛を得ることができ
るのである。
【0011】また、布帛のボリューム感を増加させ、粗
硬となるのを防止するという風合調整の観点から、熱水
収縮率差は5〜85%であるのが好ましい。
【0012】熱水収縮率差が5%に満たないと、ボリュ
ーム感が不足し、はり、腰、反撥性などの効果を発揮し
得ない傾向がある。また、85%を越えると織物の生機
幅を広くせざるを得ず、織機が限定される傾向にある。
【0013】より好ましくは5〜60%である。
【0014】しかし、収縮率差だけでは高風合の布帛を
得るには自ずと限界があるため本発明においては複合糸
の芯糸となる高収縮側の構成糸Bには少なくとも糸軸方
向に沿って漸次変化した太細部分やこぶ状の太い部分あ
るいは筋状の圧痕が存在する部分を有するものであり、
このような微細構造をとることによって構成繊維の単繊
維間に高反撥な風合を出すのに必須となる微小空隙を与
えることができる。
【0015】単繊維の内部歪みは偏光顕微鏡を用い直交
ニコル下で観察することによって、干渉縞の存在で確認
することができる。
【0016】本発明において、こぶ状の太い部分あるい
は筋状の圧痕を有する部分とは、図1および図2におけ
るB、Bのことをいう。
【0017】また、前記これら単繊維の特異な構造は仮
撚加工上りの糸ではそれほど明確ではないが、後工程に
おける熱処理等によって顕在化させられ、その特異構造
が顕著に現わされる。一般に、織編物の染色仕上げ工程
においては精練、セット、染色等乾熱あるいは湿熱によ
る熱処理がなされており、このように布帛にした後の熱
処理によって該特異構造が顕在化し、構成糸の単繊維間
に微小空隙およびずれが形成させられることによって張
り、腰、反撥性が付与される。さらに、該太細部が顕在
化させられる際に構造変化と形態変化とを伴った収縮挙
動を起こすことによって、構成糸相互の繊維間、単繊維
間および布帛の組織間の少なくともいずれかにおいて微
小空間およびずれが生じさせられて、風合をさらに向上
させることができる。さらに、前記構成糸相互の収縮差
の発現による芯鞘構造との相乗効果によって、一層の風
合を向上させることができる。
【0018】また、前記圧痕は、単繊維の直径レベルの
微細な筋状構造をなしており、このように微細な筋状構
造を有することによって仮撚加工糸に特有な断面変形に
よって発生するグリッターを改善することができる。
【0019】本発明の複合加工糸においては複屈折率が
0.2〜20mmのピッチで実質的に周期的に変化する
部分を有するのも好ましい。
【0020】複屈折率のピッチが0.2mmに満たない
場合、または20mmを越える場合には、製編織された
織編物は繊維間空隙が発現されず、本発明の目指す高反
発な織編物を得ることができない傾向がある。より好ま
しい複屈折率のピッチは0.3〜12mmの範囲であ
る。
【0021】本発明の複合加工糸は、梳毛織物と同様な
特性、すなわち繊維間空隙による保温性やソフト性、張
り、腰、反発性を得る観点、複合加工糸を製造する際の
糸切れ発生の防止、操業性向上の観点から、構成糸Aと
構成糸Bの全繊度の比が10:90〜90:10である
のが好ましく、特に操業性向上の観点から、30:70
〜70:30の範囲であるのが好ましい。
【0022】また、本発明の複合加工糸は、織編物の内
部で強い張り、腰、反発性を発現させ、該織編物の表面
部分でソフトな風合いを発現させる観点から、構成糸B
を構成する単繊維の平均繊度が構成糸Aを構成する単繊
維の平均繊度より大きいことが好ましく、また、構成糸
Bの全繊度が構成糸Aの全繊度より大きいことが好まし
い。
【0023】図1〜3は本発明の複合糸を構成する構成
糸Bの熱処理後の側面形態の一例を示す顕微鏡写真であ
る。
【0024】図1において、構成糸Bを構成している単
繊維は該単繊維の糸軸方向に沿って漸次変化した太細部
を有しており、該太細形態は仮撚加工上りの糸ではそれ
程明確に現れていないが、しかる後の熱処理によって顕
在化することから熱収縮の小なる部分はそれ程変化せ
ず、大なる部分が太くなり、いわゆる収縮率差が顕在化
することによって太細を形成したものである。
【0025】また、該単繊維の一部に筋状の圧痕が存在
するのも好ましい。該圧痕は仮撚加撚工程において他の
繊維によって付与されたものであることも好ましい。図
2は図1における筋状の圧痕部Bを拡大したものであ
る。
【0026】図3において、構成糸Bを構成する単繊維
は該単繊維の糸軸方向に沿って漸次変化してなる太細部
に加え、こぶ状の太い部分Bおよび筋状の圧痕部B
も有する。
【0027】本発明の複合糸は染色仕上げ工程における
熱処理によって形態変化をさらに顕在化させる観点か
ら、図1〜3に示されるように極めて細かい特徴的な形
態変化を有する単繊維を含むのが好ましい。
【0028】以上、本発明の複合加工糸は緻密かつ複雑
なる三次元捲縮を呈することなく二次元的な緩やかな波
状の捲縮を呈し、単繊維の糸軸方向に短ピッチの太細形
状を呈し、該ラジアル方向においては部分的に単繊維の
ほぼ直径に相当する筋状圧痕を有するものである。
【0029】本発明においては、仮撚加工後の熱処理条
件を選ぶことによって自発伸長挙動を示し、前記した収
縮による特徴付与に加えて、さらに、自発伸長による構
成糸相互の繊維間、単繊維間および布帛の組織間の少な
くともいずれかにおいて空隙およびずれを生じ、風合の
向上に寄与することができる。本発明の複合加工糸の自
発伸長率は0.2〜25%の範囲が好ましい。また、仮
撚工程で付加された断面の変形は、しかる後の熱処理に
よってポリマー構造の緩和に伴い断面が復元され、仮撚
糸特有の鋭角な部分が減少し、グリッターが改善されマ
イルドな光沢を発現させ得る。
【0030】また、本発明において複合糸の捲縮復元率
は2〜30%の範囲であるのが好ましい。捲縮復元率が
30%以上になると緻密で3次元構造の捲縮糸となり嵩
高性やボリューム感は増加するものの加工糸特有のふか
つき感が現れ、さらには各々の単繊維が有する捲縮の障
害によって張り、腰不足による布帛の風合、品位が低下
する傾向がある。従って、捲縮復元率を30%以下にな
るように設計することが好ましく、より好ましくは2〜
20%の範囲である。そのようにすることによって緩波
状の天然ウールのような緩波状捲縮形態となり、従来の
高捲縮糸が有する欠点を解消することができる。
【0031】また、本発明の複合加工糸は、構成糸Aと
構成糸Bの間に糸長差を有する場合、これらの構成糸を
まとまりの良いものとし、また糸長差を糸軸方向に均一
に分散せしめて織編物の表面品位を向上させる観点か
ら、少なくとも2本の構成糸Aおよび構成糸Bからなる
交絡を有するのが好ましい。該交絡によって製編織等の
後加工工程における作業性、ハンドリング性、工程通過
性等が向上し、生産の効率化を図ることができる。
【0032】また、該交絡の頻度は特に限定されるもの
ではなく、構成糸相互が分離しない程度で布帛の風合、
品位に悪影響を及ぼさないのが好ましい。
【0033】また、本発明に用いる少なくとも2本の構
成糸は熱可塑性合成繊維であるのが好ましい。例えば、
ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリロ
ニトリル系繊維、ポリビニールアルコール系繊維、ポリ
塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニリデンル系繊維、ポリ
プロピレン系繊維、ポリエチレン系繊維、セルロース系
繊維等を用いることができ、これら各種繊維の断面形
状、性状等に制約を受けるものではない。さらに、未延
伸糸、半延伸糸、延伸糸あるいはモノフィラメントとマ
ルチフィラメントなど各々を適宜組み合せて用いること
ができる。デリケートな高風合い織編物を得る観点か
ら、本発明の複合加工糸は糸長差に起因するループ、ス
ナール、タルミおよび毛羽のうち少なくともいずれかを
有するのが好ましい。また、本発明の複合加工糸は40
個/m以上の突出繊維を有するのが好ましい。本発明で
いう突出繊維とは、繊維表面より1mm以上の長さの繊
維のことをいい、ループ、スナール、タルミ、毛羽など
も含まれる。該突出繊維の測定は毛羽カウンター(東レ
エンジニアリング株式会社製、形式:DT−104)を
用い、糸速50m/分、0.1g/dの張力下において
行った。
【0034】また、本発明の複合加工糸の収縮率を調整
する目的で仮撚加工後のいずれかの工程で熱処理によっ
て収縮率を調整した後、製編織工程等の後工程の処理を
施すことができる。
【0035】図4は本発明の複合加工糸の製造方法の一
例を模式的に示した概略図である。図4において、糸条
Aおよび糸条Bを第1ローラ1および第1ローラ2に各
々分離して供給し、次いで第2ローラ9との間で熱板
3、冷却板7、仮撚回転子8を介して仮撚加工を行い交
絡ノズル10によって2本の糸を集束しパッケージ12
として巻き取る。この場合、該第1ローラ1および第1
ローラ2は同速度であっても異速度であってもよく、供
給糸の特性および加工の安定性等によって適宜設定すれ
ばよい。
【0036】本発明においては糸条Aと糸条Bの合流点
上流部近傍で両糸条間に温度差を設けるのが好ましい。
該温度差は10℃以上220℃以下の範囲が好ましく、
より好ましくは70℃以上160℃以下の範囲である。
【0037】より詳細には、低い温度の糸条は5℃以上
90℃以下の範囲が好ましく、高い温度の糸条は80℃
以上225℃以下の範囲であるのが好ましい。
【0038】糸条Aは熱板3によって加熱され、糸条B
は室温で供給することによって両糸条の間に温度差を付
与せしめることも好ましく行われ得る。本発明において
は温度差を有した糸条Aおよび糸条Bを合流点Pで撚り
合わす。すなわち、該合流点以降において高い温度の糸
条によって低い温度の糸条を加熱するのが好ましく行わ
れる。かくすることによって温度差を有する糸条相互の
熱の授受が仮撚加撚状態において行われ得る。このこと
は、すなわち、極めて短ピッチ(概ね撚りピッチに相
当)の加熱処理が行われることを意味する。より具体的
には、該加熱処理により、高い温度の糸条は低い温度の
糸条を熱伝導による熱の移動によって加熱すると同時
に、高い温度の糸条は低い温度の糸条によって冷却作用
を受け得る。これにより低い温度の糸条は該糸条の直径
方向または/および糸軸方向に不均一に加熱され得る。
【0039】本発明においては、撚による繊維マイグレ
ーションによって糸軸方向に不均一に加熱される場合も
あり得る。該熱処理により、糸軸方向において単繊維内
および単繊維間に内部構造や繊維形状や形態変化をきた
し、単繊維の糸軸方向に不均一かつ短周期の太細部、凹
凸部や短周期の収縮差を有する部分あるいはこぶ状の太
い部分、さらには単糸もしくは糸条のラジアル方向の筋
状の圧痕部を含むことができ、かつ、従来の仮撚加工工
程で得られる緻密な三次元捲縮とは相違する二次元的な
穏やかな波状の捲縮を呈することができる。
【0040】繊維の物性においても、単繊維の糸軸方向
に極めて短ピッチで収縮率やヤング率レベルの異なる糸
条が得られる。一方、ラジアル方向には施撚による糸条
同士の締め付け押圧作用によって生じる部分的に単繊維
のほぼ直径に相当する筋状の圧痕を有した特徴的な糸条
を得ることができる。このように単繊維内および単繊維
間において糸軸方向に不均一に熱処理された糸は、後工
程における熱処理、例えば製編織後の湿熱あるいは乾熱
処理によって短周期での形態差、収縮差、捲縮差等を発
現することが可能となるために特徴のある織編物を得る
ことができる。
【0041】また、冷却板7は、仮撚加工によって付与
された構造を効率的に冷却・固定し、かつ、加工時の糸
道規制、振動防止等を行い、安定加工を可能にする観点
から、用いるのが好ましいが、かかる冷却板を必須とす
るものではない。
【0042】また、本発明において供給する各々の糸に
温度差を与えるためには、図4の如くどちらか一方の糸
のみを加熱し、他方の糸は、常温(室温)で用いてもよ
く、また、供給する各々の糸は共に加熱されていても該
合流点において双方の糸間に温度差を有していればよ
い。加熱の方法としては通常の仮撚加工と同様な乾熱板
あるいは中空加熱等の方法を用いることができる。むろ
ん熱媒は適宜選択することができる。また、本発明に用
いる仮撚回転子としては、外接型摩擦仮撚装置、ベルト
ニップ仮撚装置、スピンドル仮撚装置のいずれかを用い
ることができ、供給する糸の種類、加工速度、設定仮撚
数等加工条件によって適宜選択するのが好ましい。ま
た、本発明は少なくとも2本以上の糸条を組み合わせる
ものであって、例えば、3本を組み合わせる際、3本と
も温度差を有していてもよいし、2本は同温度、他の1
本は該2本の温度より高いかもしくは低くするなど組み
合わせを適宜とり得ることができる。さらに、これらの
糸条を構成するポリマーは3本とも相違するものであっ
てもよいし、同一のポリマーであってもよい。
【0043】次に、本発明の複合加工糸を用いた織編物
について説明する。
【0044】本発明の複合加工糸は、前記したように微
細構造をとることによって、構成繊維の単繊維間に微少
空隙を有することができるため、該複合加工糸を用いた
織編物は張り、腰、反発性が付与され得る。
【0045】さらに、複合加工糸に丸みを付与する観
点、シャリ感などの風合いを有する織編物を得る観点、
工程通過性を向上させる観点から、5〜3000回/m
のS方向またはZ方向の追撚を施すことも好ましく行わ
れる。
【0046】
【実施例】以下、本発明の複合加工糸を実施例、比較例
により、さらに詳しく説明する。
【0047】なお、熱水収縮率、捲縮復元率および自発
伸長率は、以下の方法によって求めた。 [熱水収縮率および捲縮復元率]JIS L−1090
に準じて測定した。 [自発伸長率]カセ状にしたサンプルを20mg/dの
荷重を懸垂し、常温から98℃の熱水(2℃/分の昇温
速度)で処理し、一昼夜風乾後の長さL1 を測定し、次
いで、該試料をさらに180℃のオーブン中で5分間処
理し、冷却後の長さL2 を測定し、下記式で自発伸長率
を求めた。なお、各々の処理、測定は20mg/dの荷
重を常時懸垂した状態で行なった。
【0048】 自発伸長率(%)=(L−L)×100/L [実施例1]ポリエチレンテレフタレートセミダルポリ
マーを常法により溶融紡糸し、128デニール、72フ
ィラメントである切断伸度180%の糸条Aおよび29
0デニール、30フィラメントである切断伸度200%
の糸条Bの半延伸糸としてそれぞれ巻き取り、図4のプ
ロセスを用いて複合仮撚加工を実施した。図4において
第1ローラ1および第1ローラ2、第2ローラ9の速度
をそれぞれ205m/分、339m/分に設定し、熱板
3を150℃として糸条Aを加熱し、糸条Bは空気中を
走行させ室温処理とし、仮撚回転子8として外接型摩擦
仮撚装置を用いて複合仮撚加工を行い、次いでローラ
9、ローラ10間で交絡ノズルによって交絡を付与し複
合糸の集束性を向上させて巻き取った。
【0049】本実施例によって得られた複合加工糸は糸
条Aと糸条Bが収縮差を有した高収縮糸条および低捲縮
糸条からなる芯鞘構造をとるものであった。さらに、熱
処理した後の糸条Bは糸軸方向に沿って漸次変化する太
細構造を有し、一部の単繊維に歪み、こぶ状の太い部
分、筋状の圧痕を有し、複屈折率が0.5〜10mmの
ピッチで実質的に変化する部分を有していた。また、該
合流点Pと仮撚回転子8間の走行糸条を採取し仮撚数
(回/m)を0.1g/d(デニール)の荷重下で測定
したところ、1740(回/m)であった。
【0050】次いで、本発明の複合加工糸に500回/
mの撚りを付与したものを緯糸(密度64本/吋)、同
ポリマーを使用した75デニール、36フィラメントの
延伸糸を経糸(密度73本/吋)に製織し、常法により
染色仕上げ加工を行ったところ、ソフトで、張り、腰、
反撥性に富む梳毛調の織物を得た。
【0051】表1に本発明の複合加工糸の特性を示す。
【0052】
【表1】 ★(注)糸条A、Bは交絡していない糸を別途採取し、
それぞれに分離して測定した。 [実施例2]実施例1の本発明の複合加工糸を用いて、
緯糸として追撚なし、500回/mの追撚・セット
無、500回/mの追撚・セット有、1000回/
mの追撚・セット有、1500回/mの追撚・セット
有の糸を、経糸として500回/mの追撚・セット無の
糸をそれぞれ準備し、経糸密度50本/吋、緯糸密度4
3本/吋の平組織の織物を作製した。次いで、同織物を
精練・アルカリ減量・乾熱セットした後、常法により染
色仕上げ加工を行ったところ、水準、、は張り、
腰、反撥性に富むサマーウール調の織物であり、水準
、は張り、腰、反撥性に加え揚柳調の織物であっ
た。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、素材の設計の仕方によ
り優れた張り、腰、反撥性とソフトな風合を兼ね備えた
糸、例えば、梳毛編織物が持ち合わせる性能を本発明の
複合加工糸によって実現することができる。
【0054】また、断面変形が大きくないため、グリッ
ターを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合加工糸の構成糸Bの繊維形状の一
例を示す電子顕微鏡写真である。
【図2】本発明の複合加工糸の構成糸Bの繊維形状の他
の一例を示す電子顕微鏡写真である。
【図3】本発明の複合加工糸の構成糸Bの繊維形状の他
の一例を示す電子顕微鏡写真である。
【図4】本発明の複合糸の製造方法の一例を模式的に示
した概略図である。
【符号の説明】
A、B:供給糸 1、2:第1ローラ 3:熱板 5、6:糸道規制ガイド 7:冷却板 8:仮撚回転子 9:第2ローラ 10:交絡ノズル 11:第3ローラ 12:巻き取りパッケージ P:合流点 B:こぶ状の太い部分 B:筋状の圧痕部

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】仮撚捲縮を有する少なくとも2本の構成糸
    Aおよび構成糸Bからなる複合加工糸であって、該2本
    の構成糸は少なくとも糸長差および収縮率差のいずれか
    を有し、少なくとも糸長が短いか、または収縮率の大な
    る構成糸Bを構成する単繊維が糸軸方向に沿って漸次変
    化してなる太い部分と細い部分を有することを特徴とす
    る複合加工糸。
  2. 【請求項2】構成糸Bを構成する単繊維の少なくとも一
    部は内部歪みを有し、該単繊維は繊維軸方向に沿って複
    屈折率が0.2〜20mmのピッチで変化する部分を有
    することを特徴とする請求項1記載の複合加工糸。
  3. 【請求項3】構成糸Aと構成糸Bの複合比が10:90
    〜90:10であることを特徴とする請求項1または2
    に記載の複合加工糸。
  4. 【請求項4】構成糸Bを構成する単繊維の平均繊度が構
    成糸Aを構成する単繊維の平均繊度より大きいことを特
    徴とする請求項1、2または3に記載の複合加工糸。
  5. 【請求項5】構成糸Bの全繊度が構成糸Aの全繊度より
    大きいことを特徴とする請求項1、2、3または4に記
    載の複合加工糸。
  6. 【請求項6】構成糸相互の熱水収縮率差が5〜85%で
    あり、該複合加工糸の熱水収縮率が10〜90%である
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5に記載
    の複合加工糸。
  7. 【請求項7】熱処理によって自発伸長率が0.2〜25
    %となる自発伸長性を有することを特徴とする請求項
    1、2、3、4、5または6に記載の複合加工糸。
  8. 【請求項8】熱処理によつて少なくとも構成糸Bが0.
    2〜25%の自発伸長性を有することを特徴とする請求
    項1、2、3、4、5、6または7に記載の複合加工
    糸。
  9. 【請求項9】捲縮復元率が2〜30%であることを特徴
    とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8に記
    載の複合加工糸。
  10. 【請求項10】構成糸Bを構成する単繊維の少なくとも
    一部にこぶ状の太い部分を有することを特徴とする請求
    項1、2、3、4、5、6、7、8または9に記載の複
    合加工糸。
  11. 【請求項11】構成糸Bを構成する単繊維の少なくとも
    一部に筋状の圧痕を有する部分を含むことを特徴とする
    請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10
    に記載の複合加工糸。
  12. 【請求項12】交絡部を有することを特徴とする請求項
    1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11
    に記載の複合加工糸。
  13. 【請求項13】ループ、スナール、タルミおよび毛羽の
    うち少なくともいずれかを有することを特徴とする請求
    項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11ま
    たは12に記載の複合加工糸。
  14. 【請求項14】少なくともポリエチレンテレフタレート
    からなる構成糸を含むことを特徴とする請求項1、2、
    3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または
    13に記載の複合加工糸。
  15. 【請求項15】請求項1〜14のいずれかに記載の複合
    加工糸を用いてなることを特徴とする織編物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100460003B1 (ko) * 1998-01-03 2005-01-17 주식회사 새 한 표면촉감이 우수한 복합가연사의 제조방법

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