JPH09226039A - 繊維強化プラスチック製部材 - Google Patents

繊維強化プラスチック製部材

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JPH09226039A
JPH09226039A JP8033463A JP3346396A JPH09226039A JP H09226039 A JPH09226039 A JP H09226039A JP 8033463 A JP8033463 A JP 8033463A JP 3346396 A JP3346396 A JP 3346396A JP H09226039 A JPH09226039 A JP H09226039A
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JP
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fiber
reinforced plastic
elongation
resin
fibers
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JP8033463A
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Akihiko Kitano
彰彦 北野
Kenichi Yoshioka
健一 吉岡
Kenichi Noguchi
健一 野口
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】破壊までの抵抗が大きく、一旦破壊に至った後
には効率よくかつ安定してエネルギーを吸収でき、しか
も吸収エネルギー量が構成材単体の吸収エネルギーより
も大きいFRP部材を提供する。 【解決手段】補強繊維と樹脂とからなる繊維強化プラス
チックからなる内層[A]及び外層[B]を有する部材
であって、衝撃吸収エネルギーが[A]単体及び[B]
単体の衝撃吸収エネルギーよりも高い繊維強化プラスチ
ック製部材、または補強繊維と樹脂とからなる繊維強化
プラスチックからなる内層[A]及び外層[B]を有す
る部材であって、[B]の伸度と[A]の伸度の比が
0.7以上、0.95以下である繊維強化プラスチック
製部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、補強繊維と樹脂
とからなる繊維強化プラスチック(以下FRPと略す)
製の部材に関し、特に、衝撃時の吸収エネルギー性能に
優れる高衝撃FRP部材の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】FRPは軽量、高剛性であるためスポー
ツ、航空機その他一般産業用部材として急速に普及し、
私たちの生活をより快適にしている材料の一つである
が、さらにFRPを普及させるためには、軽量、剛性だ
けでなく、衝撃時のエネルギー吸収性能をより向上させ
ることが望まれている。
【0003】例えば、FRP部材が長いパイプ等の細長
形状であって曲げ衝撃を受けた場合には、中立軸付近の
補強繊維が荷重を十分に負担していない状態(曲げ応力
状態)で部材の表層から開始したクラックが部材断面を
横切って全体破壊するために、部材の剛性等の物性と、
衝撃特性(衝撃エネルギー吸収性能)とのバランスがと
りずらく、十分に実用に供されていないのが実状であ
る。
【0004】FRP部材の衝撃特性を向上させるために
は、衝撃を吸収させるためのゴムやフォーム材などの緩
衝材を貼ったり、金属やプラスチックなどからなる保護
層で覆って、FRPに直接衝撃が加わらないようにす
る。これら緩衝層や保護層は、材料単体でみた場合FR
P層よりも衝撃エネルギー吸収能力の高い材料であり、
FRP層自体が吸収するエネルギーを増大させるもので
はない。
【0005】吸収するエネルギーの量は、緩衝材や保護
層の厚みで調節できるが、より多くのエネルギーを吸収
させたい場合には、緩衝層や保護層の量が増え、部材の
剛性や強度が低下したり、無視できない重量増加をきた
したりする(例えば、特開平5−321010号公
報)。
【0006】FRP部材の衝撃特性を向上させる他の方
法として、マトリックス樹脂を高靭性/高伸度の樹脂に
する方策もある(例えば、特開昭60−47104号公
報)が、衝撃向上幅は上記の緩衝層や保護層に比べ小さ
く、また、樹脂を変更することで衝撃以外の特性、例え
ば高温物性、低温物性、疲労特性等が影響を受ける。例
えば、高靭性樹脂の代表的な樹脂は熱可塑性樹脂である
が、熱硬化性樹脂を熱可塑性樹脂に変更するなどという
場合には、上記の問題以外に、成形装置、成形条件、繊
維との接着等を大幅に変更する必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、破壊
に至るまでの抵抗が大きく、一旦破壊に至った後には効
率よくかつ安定した状態でエネルギーを吸収でき、しか
も吸収エネルギー量が構成材単体の吸収エネルギーより
も大きいという、剛性、重量、形状、材料に制約の少な
い実用性の高い構造を有するFRP部材を提供すること
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のFRP部材は、
上記課題を解決するために次のいずれかの構成を有す
る。すなわち、補強繊維と樹脂とからなる繊維強化プラ
スチックからなる内層[A]及び外層[B]を有する部
材であって、衝撃吸収エネルギーが[A]単体及び
[B]単体の衝撃吸収エネルギーよりも高いことを特徴
とする繊維強化プラスチック製部材、補強繊維と樹脂と
からなる繊維強化プラスチックからなる内層[A]及び
外層[B]を有する部材であって、[B]の伸度と
[A]の伸度の比が0.7以上、0.95以下であるこ
とを特徴とする繊維強化プラスチック製部材、または、
補強繊維と樹脂とからなる繊維強化プラスチックからな
る内層[A]及び外層[B]を有する部材であって、
[B]の伸度と[A]の伸度の比が0.7以上、0.9
5以下であり、かつ、衝撃吸収エネルギーが[A]単体
及び[B]単体の衝撃吸収エネルギーよりも高いことを
特徴とする繊維強化プラスチック製部材である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のFRP部材は、補強繊維
と樹脂とからなる繊維強化プラスチックからなる内層
[A]及び外層[B]を有する部材であって、衝撃吸収
エネルギーが[A]単体及び[B]単体の衝撃吸収エネ
ルギーよりも高いことを特徴とする繊維強化プラスチッ
ク製部材であるため、軽量、高強度でありかつ極めて高
い耐衝撃性能を満足するという効果を奏する。好ましく
は、衝撃吸収エネルギーが[A]単体、[B]単体いず
れの衝撃吸収エネルギーよりも1.5倍以上高いのが良
い。
【0010】本発明における衝撃吸収エネルギーを、図
1を用いて説明する。図1はFRPに衝撃を加えたとき
の荷重−変位線図である。曲線下の面積に相当する。J
ISK 7077に吸収エネルギーが定義されている
が、より詳細には、図1に示す最大荷重値までの吸収エ
ネルギーを、最大荷重前エネルギーa(右下がり斜線部
の面積)といい、全体破壊が終了するまでの吸収エネル
ギー(最大荷重前エネルギーaに最大荷重後エネルギー
b(左下がり斜線部の面積)を加えたもの)を全吸収エ
ネルギーとして両者を区別することもある。実用物で
は、部分的に破壊が生じても交換・修理等の必要がある
部材については、最大荷重前吸収エネルギーが重視さ
れ、部材が破壊することで衝撃を緩和させることを目的
とした部材においては全吸収エネルギーが重要とされる
ことが多い。
【0011】FRPを構成する[A]及び[B]に用い
る補強繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、
炭化珪素繊維等の無機繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポ
リエチレン繊維、ポリフェニレンベンズビスオキサゾー
ル(PBO)繊維、ポリイミド繊維等の有機繊維、ボロ
ン繊維等の金属繊維が、樹脂としては、例えば、エポキ
シ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹
脂などの熱硬化性樹脂、あるいは、ポリエチレン樹脂、
ナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、
ABS樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリア
セタール樹脂、ポリカーボネート等の樹脂などの熱可塑
性樹脂などが使用できる。
【0012】また、各層における補強繊維の形態は、一
方向に配列したフィラメント、ロービング、平織などの
織物、ランダムに配列したマットなどが挙げられる。ま
た、本発明のFRP製部材には、補強繊維以外に、少量
の充填剤、可塑材、安定材、難燃材、結晶核材、添加材
を含んでいるものも含む。
【0013】このようなFRP部材は、補強繊維と樹脂
とからなる繊維強化プラスチックからなる内層[A]及
び外層[B]を有する部材において、[B]の伸度と
[A]の伸度の比を0.6以上、0.95以下とするこ
とにより好適に得ることができる。これにより、前記の
ような高い衝撃吸収エネルギーを与え得る、軽量、高強
度、高剛性のFRP製部材とすることができる。
【0014】上記構成のFRP部材に、例えば、比較的
低速度の曲げ衝撃が加わると、部材の最外層にある
[B]が最も大きく変形する。この際、[B]の伸度
(正確には破断する時の伸度、あるいは破壊歪み)を内
層の[A]よりも小さくしておくと、破壊は確実に
[B]から開始して[A]へと進展するが、[B]と接
する箇所の[A]の伸びはまだ[A]の伸度よりも小さ
いので、破壊は[A]と[B]の層間で衝撃の方向とは
直角な方向へも進展してエネルギーを吸収するという挙
動を呈する。破壊が一度このようなモードを呈するよう
になると、[A]内でも衝撃の方向に平行な繊維の破壊
と、衝撃と垂直な方向(層間あるいは層内)の破壊が連
続的に起こり、非常に多くのエネルギーを吸収する。
【0015】したがって、[B]の伸度と[A]の伸度
の比が0.95を超えると衝撃時の破壊が[B]から開
始しないことが多く、開始したとしても、[B]から開
始した破壊は、[A]を容易に横切って(衝撃とは直角
な方向への破壊は殆どなく繊維の破壊のみとなる)しま
って、吸収するエネルギーの量が小さくなり、[B]の
伸度と[A]の伸度の比が0.6より小さいと、[B]
の破壊が、上記した[A]への連続的な破壊をへと進展
せず、やはり吸収するエネルギーの量が小さくなる。
[B]からの破壊をより確実にし、かつ吸収エネルギー
をさらに大きくするためには、[B]の伸度と[A]の
伸度の比は0.7〜0.9であることが好ましい。
【0016】なお、本発明でいう伸度(破壊歪みともい
う)は、[A]、[B]それぞれを、ASTM D 3
039に従って引張試験して求めるが、[A]と[B]
が切り離せない場合には、部材を切り出して、[A]と
[B]をグラインダーなどで削り取って得られる[A]
と[B]単体を引張試験して求めてもよい。あるいは、
[A]と[B]部に歪ゲージ等を貼るなどして、部材に
荷重を与えて、伸度を測定してもよい。
【0017】また、本発明における[B]は上述したよ
うに、破壊の開始となる役割を果たすための層であるか
ら、部材を軽量にする意味で薄ければ薄いほど好ましい
が、[B]の厚みは[A]の厚みに対し、0.01〜
0.2の範囲内であると好ましい。0.01より小さい
と、[B]の破壊が[A]に進展しない可能性があるか
らであり、0.2よりも大きいと、厚み当たりでみた場
合の吸収エネルギーが十分ではなくなる場合があるから
である。また、部材の厚みは、0.5mm以上とするこ
とが好ましい。0.5mmより薄いと、[B]の厚みが
上記の比率を満たす材料が得難いばかりか、層間の破壊
の一部が蛇行した場合に全体破壊してしまう可能性があ
るからである。
【0018】尚、[B]と[A]の伸度、厚みがともに
上記の範囲内であると、剛性、強度、及び吸収エネルギ
ーをバランスさせた高エネルギー吸収部材とすることが
できる。
【0019】さらに、[A]の補強繊維として連続の炭
素繊維を使用すると、少量の補強繊維量で部材をより軽
量、高剛性にできて適用範囲が広がるので好ましい。ま
た、補強繊維量は前記したように破壊を連続的に進展さ
せるためにほぼ一定であることが好ましい。最も好まし
いのは、炭素繊維をほぼ一定量含有するシート材(例え
ばUDプリプレグ)を積層したもので、繊維重量含有率
が35〜80%のものである。35%未満であると部材
としても剛性が不足するし、85%を超えると厚物成形
などの場合にボイドが残留しやすく、部材の疲労強度等
が低下することがあるからである。炭素繊維は高強度で
もあるため繊維を破壊するのに要するエネルギーが大き
いという特徴があり、連続繊維であると繊維が抜けたり
せずに確実に破断するという効果をあわせもつ。また、
炭素繊維強化プラスチックは部材の耐環境性(耐酸性、
耐溶剤性)、疲労特性を向上させる役割もあわせもつ。
【0020】尚、炭素繊維とは、ポリアクリルニトリル
(PAN)繊維やピッチを原料として、製造されるいわ
ゆる炭素繊維、あるいはグラファイト繊維のことで、繊
維径は通常5〜10μmであるが、中でも高伸度炭素繊
維であるPAN系の炭素繊維が好ましく、さらには、弾
性率が200GPa〜400GPaのものが剛性とのバ
ランスの上でより好ましい。
【0021】さらに、[A]内での破壊をより効果的に
層間へ進展させるために、[A]の層間剪断強度(本強
度はASTM D 3518によって測定できる)は5
0MPa〜140MPaであることが好ましい。層間剪
断強度が50MPaより低いと、構造メンバー部材とし
ての剪断強度が十分ではない可能性があり、140MP
aよりも大きいと層間での破壊の進展が進みにくくなる
可能性があるからである。また、層間剪断強度はボイド
等の欠陥の量が影響するので、生産性の面からは、部材
の層間剪断強度はコントロールしやすい70〜120M
Paとするとより好ましい。
【0022】層間強度をコントロールする具体的な方法
としては、繊維の表面処理(表面の官能基)を変更す
る、繊維を被覆しているサイジング剤を変更する、層間
に接着あるいは、離型用のフィルムを挿入したり、コー
ティングを施したりするなどの手段を用いることができ
る。
【0023】次に、[B]は上記した衝撃による破壊の
開始(トリガー)部位という役割をはたすものであるこ
とに加え、部材の剛性に大きく影響する層であるから、
[B]の補強繊維は[B]の厚みを薄くしても弾性率を
維持しやすい連続、あるいは長繊維(長繊維とは50c
mより長い繊維のこと)のロービング、あるいはクロス
形態であることが好ましく、さらに、[B]が連続ある
いは長繊維のマット構造のFRPであると、伸度が繊維
の種類だけでなく配列、交差状態によって伸度を設計で
きるのでより好ましい。
【0024】マット材とは、繊維を無方向または配向を
もたせて均一に積み重ね、必要に応じて結合材で接着し
たマット状のものであり、コンティニュアスストランド
マット、チョップドストランドマット、サーフェシング
マット、ラミマット、ニードルパンチマット等がこれに
あたるが、本発明では、ニット、不織布、ペーパー形
態、フェルト、メッシュ、シート形態のものも含む。
【0025】なお、[B]は衝撃による破壊の開始(ト
リガー)部位という役割を果たすものであることから、
表面性状を落とすことにはなるが、[B]の表面に破壊
の開始となる亀裂などの欠陥を故意に導入しても差し支
えない。この場合、亀裂の深さは[B]の厚みの1/1
00〜1/4の程度のものが、[B]からの破壊を確実
に生じさせることと部材の品位とをバランスさせる上で
好ましい。
【0026】[B]の補強繊維が[A]の補強繊維より
も伸度が大きい場合には、[B]を長繊維のランダム配
列マットとすることで、補強繊維同士を交差させること
で[B]の伸度を補強繊維の伸度よりも小さくすること
ができる。また、[B]の補強繊維よりも伸度の小さい
樹脂を[B]のマトリックスとすることで[B]の伸度
を補強繊維の伸度よりも低下させることもできる(この
場合、[B]の補強繊維の量は少なくすると伸度を低下
させる効果が増す)。また、[B]の線膨張係数を
[A]よりも大きくして[B]層中に引張の熱歪を残留
させることでも伸度を低下させることができる。この場
合、[B]の樹脂の線膨張係数の大きくしたり、[B]
層の厚みを薄くする程[B]の伸度は小さくすることが
できる。また、上記のように欠陥やボイドをあらかじめ
[B]に導入しておくことでも[B]の伸度を低下させ
ることができる。
【0027】尚、マット中の補強繊維がランダム配列し
た構造を有すると、[B]の伸度は面内で等しくなり、
部材の支持条件が異なってもほぼ一定の衝撃変形で破壊
が開始して好ましい。
【0028】[B]に用いる補強繊維として好ましいの
は、軽量である炭素繊維であるが、比較的低廉で、各種
の豊富な補強形態のものが得られるのはガラス繊維であ
る。ガラス繊維には、各種の表面処理が可能であり、伸
度もコントロールしやすい。ガラス繊維とは、酸化珪素
を主成分とするいわゆるEガラス、Cガラス、Sガラス
などの繊維状ガラスのことで、繊維径は通常5〜20μ
m程度である。
【0029】特に、[B]が連続のガラス繊維マット
層、[A]が連続の炭素繊維からなる場合には、部材を
より高剛性、軽量、高強度にすることが可能であり、実
施例に示すように曲げ衝撃時の吸収エネルギーは飛躍的
に向上することができる。
【0030】次に、本発明のFRP製部材の形状は、円
筒状、柱状、あるいは平板状のいずれか1つであると好
ましい。円筒や平板の部材は成形が比較的容易で、層構
造にしやすいという利点ばかりか、長尺(細長)形状で
使用することが多いので実用下では曲げ衝撃を受け易
く、本発明の効果が生かし易いからである。図2〜4に
一例としてそれら部材の基本形状を示す。本発明はテー
パーのついた円筒や、円筒の頂部を円錐状あるいは球面
状に形成した円筒、さらには、楕円断面の円筒、フラン
ジ部を備えた円筒、さらには柱状部材、波板形状の部材
にも適用できる。また、[B]は[A]に対し、両外側
にある場合、片外側にある場合のいずれでもよい。
【0031】より具体的には、円筒部材として、スポー
ツ用具の部材である、釣竿用の円筒、ゴルフシャフト用
の円筒、スキーのストック用の円筒、テニスやバトミン
トンやスカッシュのラケットのフレーム、テントフレー
ム等の各種ポール等が、一般産業用として圧力容器の外
殻、トラス材などの構造用の円筒/パイプ等が例として
挙げられる。平板部材としては建築用の部材として使用
される引き抜き材、形材(パイプ、角パイプ、アング
ル、チャンネンル、C型、T型、Iビーム、平板、バ
ー、支柱、桁材などと称される)等が例として挙げられ
る。これら円筒、平板部材はいずれも軽量、剛性、強度
に加え、高い衝撃吸収エネルギーが必要とされている部
材であるからである。また、作業用等のヘルメット帽体
も本発明の効果が生かせる用途である。
【0032】本発明のFRP製部材を製造するための成
形法としては、公知のあらゆる成形法が利用できる。例
えば、フィラメントワインド法(FW)、シートワイン
ド法、シートレイアップ法、シートラップ法、テープワ
インド法、テープラッピング法、ハンドレイアップ法、
シートモールディング法(SMC)、スタンピング成形
法、レジンインジェクションモールディング(RIM)
法等々である。尚、部材の成形において、[A]部と
[B]部を同時に一体成形してもよいし、[A]部と
[B]部を別々に成形してから接着接合しても差し支え
ない。
【0033】
【実施例】
(実施例1)東レ((株))製の炭素繊維T700S
(伸度2.0%、弾性率230GPa、糸径7μm)が
一方向に配列したエポキシ樹脂プリプレグ(厚さ145
μm、繊維目付=150g/m2 、繊維重量含有率=6
7%)を12枚積層し、さらにその積層物の両面に、旭
ファイバーグラス社製の連続ガラス繊維マット(コンテ
ィニュアスストランドマット SM3600E、繊維目
付=30g/m2 )を積層し、さらにエポキシ樹脂フィ
ルム(樹脂目付=50g/m2 )を2枚ずつ積層したも
のをオートクレーブにて130℃で成形して層構造を有
する厚さ1.89mmFRP平板を得た。
【0034】炭素繊維からなる層の厚み([A]に相
当)は1.75mm、マット層の厚み([B]に相当)
は上下面とも等しく0.07mmであった。
【0035】本FRP平板から、幅10mm、長さ60
mmのシャルピー試験用試験片を切り出し、3点曲げ試
験及びシャルピー衝撃試験を行った。
【0036】3点曲げ試験の条件は、以下の通りとし
た。
【0037】 試験機:インストロン4201試験機 試料幅:12.7mm スパン距離:60mm 付加速度:2.0mm/min 試験温度:25℃ シャルピー衝撃試験の条件は、以下の通りである。
【0038】 試験機:米倉製作所製計装化シャルピー試験機-300CS 支点間距離:60mm ハンマ刃の重量:5.275kgf・cm ハンマ刃の半径:2mm ハンマ刃の角度:30゜ ハンマ持ち上げ角度:143.5゜ ハンマの空振り角度:134.0゜ 打撃点でのハンマ速度:3.65m/sec 試験片:ノッチなしフラットワイズ試験片 試験片幅;10.0±1.0mm 試験温度:25℃ 曲げ強度、曲げ弾性率、最大荷重前吸収エネルギー、全
吸収エネルギーは表1のとおりであり、吸収エネルギー
は絶対値で比べても、厚みあたりの換算値で比べても、
後述の比較例の約2倍であった。
【0039】また、上記とは別に、内層([A])と、
外層([B])の伸度を求めるために、上記と同一の炭
素繊維/エポキシプリプレグを8枚積層したものと、上
記と同一の連続繊維ガラスマットとエポキシ樹脂フィル
ムをそれぞれ、11枚と22枚を積層して得られたFR
P板より、試験片を切り出し、ASTM D3039に
準じて引張試験した。結果は、[A]は2.0%、
[B]は1.5%(従って、[B]と[A]の伸度の比
は0.75)であった。
【0040】(実施例2)実施例1において、マットを
上下2枚づつ、樹脂フィルムを上下4枚ずつ積層した他
は実施例1と同様にして試験片を切り出し、曲げ及びシ
ャルピー衝撃試験した。結果を表1に示す。実施例1同
様、吸収エネルギーは絶対値で比べても、厚みあたりの
換算値で比べても、後述の比較例の約2.5倍であっ
た。
【0041】(実施例3)実施例1において、炭素繊維
/エポキシ樹脂プリプレグを12枚積層する代わりに、
炭素繊維/エポキシ樹脂プリプレグを6枚積層した後、
樹脂フィルムを1枚、その後にマットを1枚、さらにそ
の後に樹脂フィルムを1枚、さらにその後に炭素繊維/
エポキシ樹脂プリプレグを6枚積層した他は実施例1と
同様にして成形板を作製、試験片を切り出し、曲げ及び
シャルピー衝撃試験した。結果を表1に示す。吸収エネ
ルギーは絶対値で比べても、厚みあたりの換算値で比べ
ても、後述の比較例の約1.3倍であった。
【0042】[A]層の厚みは1.95mm、[B]層
の厚みは0.07mmであった。また、[A]のみを引
張試験した結果、伸度は2.0%であった(従って、
[B]と[A]の伸度の比は0.75)。
【0043】(比較例1、2)実施例と同一の炭素繊維
プリプレグのみを13枚積層したCFRP成形板、及び
実施例と同一のマット材と樹脂フィルムのみを28枚積
層したGFRP成形板より、実施例1と全く同様にして
試験片を切り出し、CFRP単体およびGFRP単体の
曲げ及びシャルピー衝撃試験した。結果を表1に示す。
【0044】実施例1、2、3いずれの場合にも吸収エ
ネルギーは、[A]単体および[B]単体いずれの場合
よりも著しく増大している。とくに、実施例1のFRP
は、CFRP単体よりもわずかではあるが軽量であり、
かつ、衝撃の吸収エネルギーはCFRP単体よりも2倍
以上であり、かつ、曲げ強度、曲げ剛性ともにCFRP
単体と遜色はないという、これまでに例のない極めて優
れた性能を有するものである。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のFRP製
部材は、衝撃時の吸収エネルギーが[A]単体及び
[B]単体の吸収エネルギーよりも飛躍的に高くするこ
とができるので、FRPをより一層軽量、高性能にでき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】FRPに衝撃を加えたときの変位−荷重線図で
ある。
【図2】本発明の一実施態様に係る円筒状のFRP製部
材の概略図である。
【図3】本発明の一実施態様に係る平板状のFRP製部
材の概略図である。
【図4】本発明の一実施態様に係るテーパを有する円筒
状のFRP製部材の概略図である。
【符号の説明】
1:[A]層 2:[B]層 3:[B]の表面に導入した半球状欠陥 4:[B]の表面に導入した線状亀裂

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】補強繊維と樹脂とからなる繊維強化プラス
    チックからなる内層[A]及び外層[B]を有する部材
    であって、衝撃吸収エネルギーが[A]単体及び[B]
    単体の衝撃吸収エネルギーよりも高いことを特徴とする
    繊維強化プラスチック製部材。
  2. 【請求項2】補強繊維と樹脂とからなる繊維強化プラス
    チックからなる内層[A]及び外層[B]を有する部材
    であって、[B]の伸度と[A]の伸度の比が0.6以
    上、0.95以下であることを特徴とする繊維強化プラ
    スチック製部材。
  3. 【請求項3】補強繊維と樹脂とからなる繊維強化プラス
    チックからなる内層[A]及び外層[B]を有する部材
    であって、[B]の伸度と[A]の伸度の比が0.6以
    上、0.95以下であり、かつ、衝撃吸収エネルギーが
    [A]単体及び[B]単体の衝撃吸収エネルギーよりも
    高いことを特徴とする繊維強化プラスチック製部材。
  4. 【請求項4】衝撃吸収エネルギーが[A]単体、[B]
    単体いずれの衝撃吸収エネルギーよりも1.5倍以上高
    いことを特徴とする請求項1または請求項3に記載の繊
    維強化プラスチック製部材。
  5. 【請求項5】[B]の厚みと[A]厚みの比が0.01
    〜0.2であることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    かに記載の繊維強化プラスチック製部材。
  6. 【請求項6】[A]部が繊維および層間が破壊して衝撃
    エネルギーを吸収することを特徴とする請求項1〜5の
    いずれかに記載の繊維強化プラスチック製部材。
  7. 【請求項7】[A]を構成する補強繊維が連続繊維の炭
    素繊維であることを特徴とする請求項1〜6に記載の繊
    維強化プラスチック製部材。
  8. 【請求項8】[A]の層間剪断強度が50MPa以上、
    140MPa以下であることを特徴とする請求項1〜7
    のいずれかに記載の繊維強化プラスチック製部材。
  9. 【請求項9】[B]における補強繊維が連続、あるいは
    長繊維であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか
    に記載の繊維強化プラスチック製部材。
  10. 【請求項10】[B]における補強繊維がマット状であ
    ることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の繊
    維強化プラスチック製部材。
  11. 【請求項11】[B]を構成する補強繊維が連続繊維の
    炭素繊維またはガラス繊維であることを特徴とする請求
    項1〜10のいずれかに記載の繊維強化プラスチック製
    部材。
  12. 【請求項12】部材の形状が円筒状、柱状、または板状
    の部材のいずれか1つであることを特徴とする請求項1
    〜10のいずれかに記載の繊維強化プラスチック製部
    材。
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