JPH09219142A - 電子放出素子、電子源基板、電子源、表示パネルおよび画像形成装置 - Google Patents

電子放出素子、電子源基板、電子源、表示パネルおよび画像形成装置

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JPH09219142A
JPH09219142A JP2137096A JP2137096A JPH09219142A JP H09219142 A JPH09219142 A JP H09219142A JP 2137096 A JP2137096 A JP 2137096A JP 2137096 A JP2137096 A JP 2137096A JP H09219142 A JPH09219142 A JP H09219142A
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JP
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electron
electrode
thin film
emitting
substrate
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JP2137096A
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English (en)
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Toru Sugano
徹 菅野
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Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】1)蛍光面上の電子ビームスポットが小さく、
フェースプレートと電子源基板の組立マージンが大きく
取れて、製造コスト削減が可能であり、しかも 2)電子ビームスポットの明るさの均一性および強さが
向上して、画像形成装置の省電力化を可能とする電子放
出素子、その電子放出素子を用いて形成される良好な電
子源基板、電子源、表示パネルおよび画像形成装置を提
供する。 【解決手段】 表面伝導型電子放出素子の電子放出部を
素子電極対の中間位置より一方の電極の方に近い亀裂と
して形成し、駆動時にはその電子放出部に近い方の電極
には相対的に低い電圧を印加し、遠い方の電極には相対
的に高い電圧を印加するようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子源およびその
応用である表示装置等の画像形成装置に関するもので、
特に、表面伝導型電子放出素子を多数個備える電子源お
よびその応用である用いた電子源およびその応用である
表示装置等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より電子放出素子には大別して熱電
子放出素子と冷陰極電子放出素子を用いた2種類のもの
が知られている。冷陰極電子放出素子には電界放出型
(以下、「FE型」と称する)、金属/絶縁層/金属型
(以下、「MIM型」と称する)や表面伝導型電子放出
素子等がある。FE型の例としては、W.P.Dyke & W.W.D
oran,"Field Emission", Advance in Electron Physic
s, 8,89(1956)あるいはC.A.Spindt,"Physical Properti
es of thin-film field emission cathodes with molyb
denium cones", J. Appl. Phys., 47, 5248(1976)等に
開示されたものが知られている。
【0003】MIM型では、C.A.Mead, "Operation of
Tunnel-Emission Devices". J. Appl. Phys., 32, 646
(1961)等に開示されたものが知られている。
【0004】表面伝導型電子放出素子型の例としては、
M.I. Elinson, Radio Eng. Electron Phys., 10, 1290
(1965)等に開示されたものがある。
【0005】表面伝導型電子放出素子では、基板上に形
成された均一で小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流
すことにより、電子放出が生ずる現象を利用するもので
ある。この表面伝導型電子放出素子としては、前記エリ
ンソン等によるSnO2薄膜を 用いたもの、Au薄膜に
よるもの(G. Dittmer: Thin Solid Films, 9, 317(197
2))、In23/SnO2薄膜によるもの(M. Hartwell
and C.G.Fonstad: IEEE Trans. ED Conf., 519(198
3))、カーボン薄膜によるもの(荒木久他:真空、 第
26巻、第1号、22頁(1983))等が報告されてい
る。
【0006】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な例として前述のハートウェル(Hartwell)の素子構成
を図6に示す。同図において1は基板である。2は電子
放出部形成用薄膜で、スパッタリングで形成されたH型
形状の金属酸化物薄膜等からなり、後述の通電フォーミ
ングと呼ばれる通電処理により電子放出部3が、素子電
極間隔の中心付近に対向電極のエッジに沿って形成され
る。尚、図中の素子電極間隔L1は0.5〜1.0m
m、W’は0.1mmで設定されている。なお、電子放
出部3の位置および形状については不明であるので模式
図として表した。
【0007】従来、これらの表面伝導型電子放出素子に
おいては、電子放出を行う前に電子放出部形成用薄膜2
を予め通電フォーミングと呼ばれる通電処理することに
よって、電子放出部3を形成するのが一般的であった。
即ち、通電フォーミングとは前記電子放出部形成用薄膜
(導電性薄膜)2の両端に直流電圧あるいは非常にゆっ
くりとした昇電圧(例えば1V/分程度)を印加通電
し、導電性薄膜を局所的に破壊、変形もしくは変質せし
め、電気的に高抵抗な状態にした電子放出部3を形成す
ることである。尚、電子放出部3は、電子放出部形成用
薄膜2の素子電極間中心付近に生じた亀裂であり、その
亀裂付近から電子放出が行われる。以下、フォーミング
により発生した電子放出部を含む電子放出部形成用薄膜
を、電子放出部を含む薄膜4と称する。
【0008】前記通電フォーミング処理をした表面伝導
型電子放出素子は、上述の電子放出部を含む薄膜4に電
圧を印加し、電流を流すことにより、上述の電子放出部
3より電子を放出せしめるものである。
【0009】さらに通常は、フォーミング工程の終了後
に、「活性化」と呼ばれる工程が導入されている。その
工程は、フォーミングにより高抵抗化された表面伝導型
電子放出素子に一定の電圧を一定時間通電し続けること
によって、電子放出量を増加せしめるものである。
【0010】上述の表面伝導型放出素子は構造が単純で
製造も容易であることから、大面積にわたって多数の素
子を配列形成できる利点がある。そこでこの特徴を活か
せるような色々な応用が研究されている。それには例え
ば、荷電ビーム源、画像形成装置等がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上で
説明したような表面伝導型電子放出素子を画像形成装置
に用いた場合、以下のような問題があった。
【0012】すなわち、通電フォーミングによって形成
される電子放出部の位置は、電子放出部形成用薄膜が基
板上に存在し、かつそれがあるのは一組の素子電極間の
中心部付近である。このような位置に電子放出部を備え
た画像形成装置を動作させると、表面伝導型電子放出素
子から放出された電子は、その放出位置やエネルギー等
の分布のために、個々の電子が蛍光面に到達するまでの
間の電界による偏向量に差を生じ、蛍光面に到達した時
の位置に分布を生じる。特に、素子に電流が流れる方向
に関して偏向量の分布が大きいことから、電子ビームス
ポット形状が理想的な図13(b)のように素子電極間
の隙間に平行に伸びた細長い楕円形状から、図13
(a)のように、亀裂方向に沿って細長い明るい楕円形
状の部分と1組の素子電極のうち相対的に低い電位を印
加する素子電極側へ尾を引いた暗い部分からなる好まし
くない形状となる。そのため、電子ビームスポットが大
きくなり、画像形成装置を組み立てる時に、電子放出部
と蛍光面の位置合わせマージンが少なくなり、組立コス
トの上昇を引き起こし、かつ、電子源の高密度配置を妨
げ、そして、蛍光面上に形成される電子ビームスポット
の輪郭がぼやけることによって画像形成装置とした場合
に、解像度の低下を引き起こすという問題があった。
【0013】そこで本発明は、上記の問題点を鑑みてな
されたものであり、その目的は、画像形成装置に用いた
場合に、 1)蛍光面上の電子ビームスポットが小さく、フェース
プレートと電子源基板の組立マージンが大きく取れて、
製造コスト削減が可能であり、しかも 2)電子ビームスポットの明るさの均一性および強さが
向上して、画像形成装置の省電力化を可能とする電子放
出素子、その電子放出素子を用いて形成される良好な電
子源基板、電子源、表示パネルおよび画像形成装置を提
供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、基板上に形成
された電圧を印加される素子電極対の間に該両電極に接
触するよう形成された導電性薄膜の一部に電子放出部を
有する電子放出素子において、電子放出部が、両素子電
極の中間位置より一方の素子電極側に位置する、該電極
の辺に沿って延びた亀裂であることを特徴とする電子放
出素子;その電子放出素子が基板上に複数個配されてい
る電子源基板;その電子源基板上の複数の電子放出素子
が配線接続されている電子源;その電子源を有してなる
リアプレートと、蛍光膜を有するフェースプレートとが
対向配置され、前記電子源より放出される電子を前記蛍
光膜に照射して、画像表示を行うようにした表示パネ
ル;ならびにその表示パネルに駆動回路が接続されてい
る画像形成装置を提供する。
【0015】その本発明の電子放出素子においては、前
記電子放出部に近い方の素子電極は駆動時に印加される
電位が相対的に低い素子電極(低電位素子電極)とし、
電子放出部に遠い方の素子電極は駆動時に印加される電
位が相対的に高い素子電極(高電位素子電極)とするこ
とが望ましい。
【0016】さらに、その電子放出素子においては、亀
裂から低電位素子電極側の導電性薄膜の方が、亀裂から
高電位素子電極側の導電性薄膜より厚いことが好まし
い。
【0017】さらに、その電子放出素子においては、導
電性薄膜が形成されている部分の低電位素子電極が、導
電性薄膜が形成されている部分の高電位素子電極より厚
いことが好ましい。
【0018】さらに本発明は、基板上に厚さの異なる1
対の素子電極を形成し;該両電極に挟まれた領域に、厚
い方の素子電極側が薄く、薄い方の素子電極側が厚い導
電性薄膜を形成し;該薄膜に通電処理を施して、該薄膜
の薄い部分に素子電極の辺に沿って延びる形状の亀裂で
ある電子放出部を形成することを特徴とする電子放出素
子の製造方法を提供する。
【0019】その本発明の製造方法においては、導電性
薄膜の形成を、有機金属溶液の塗布・焼成によって行う
ことができ、その有機金属溶液の塗布は印刷法によって
行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に特に、本出願人による本発
明に関わる表面伝導型電子放出素子の基本的な構成と製
造方法およびその特徴(参考:特開平2−56822
等)について概説する。
【0021】本発明に関わる表面伝導型電子放出素子に
おいては、 1)フォーミングと呼ばれる通電処理前の電子放出部形
成用薄膜は、微粒子分散体を分散し形成された微粒子か
らなる薄膜、あるいは有機金属等を加熱焼成し形成され
た微粒子からなる薄膜等、基本的には、微粒子より構成
され、 2)フォーミングと呼ばれる通電処理後の電子放出部を
含む薄膜は、電子放出部、電子放出部を含む薄膜とも基
本的には微粒子より構成される。
【0022】図1(a)および(b)は、それぞれ、本
発明にかかわる基本的な表面伝導型電子放出素子の構成
を示す平面図および断面図である。図1を用いて、本発
明にかかわる素子の基本的な構成を説明するが、本発明
の画像形成装置では後述するように、この表面伝導型電
子放出素子を多数個、同一基板上に配線電極と共に形成
しているものである。
【0023】図1において1は絶縁性基板、5と6は素
子電極、4は電子放出部を含む薄膜、3は電子放出部で
ある。
【0024】絶縁性基板1としては、石英ガラス、Na
等の不純物含有量を減少させたガラス、青板ガラス、青
板ガラスにスパッタ法等により形成したSiO2(絶縁
体層)を積層したガラス基板等およびアルミナ等のセラ
ミックス等があげられる。
【0025】対向する素子電極5および6の材料として
は一般的な導電体が用いられ、例えば、Ni、Cr、A
u、Mo、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pd、Ag、
Ru、Ta、Pb、Zr、Hf、Sb、La等の金属、
あるいはこれらの金属の合金、ならびにPd、Ag、A
u、RuO2、Pd−Ag等の金属または金属酸化物と
ガラス等から構成される印刷導体、In23−SnO2
等の透明導電体およびポリシリコン等の半導体材料等が
挙げられる。
【0026】素子電極間隔L1は、数Å〜数百μmであ
り、素子電極の製法の基本となるフォトリソグラフィー
技術、即ち、露光機の性能とエッチング方法等や、素子
電極間に印加する電圧と電子放出し得る電界強度等によ
り設定されるが、好ましくは、数μm〜より数十μmで
ある。素子電極長さW1、素子電極5および6の膜 厚d
1およびd2は、電極の抵抗値、後述するX、Y配線との
結線、多数配置された電子源の配置上の問題より適宜設
計され、通常は、素子電極長さW1は、数μ m〜数百μ
mであり、素子電極5の膜厚d1は数百Å〜数千Åで、
素子電極6の 膜厚d2は従来の素子電極とはことなり必
ずしももう一方の素子電極5と同じ膜 厚および形状で
ある必要はなく、少なくとも対向電極側の端部付近が数
百Å〜数十μmであればよい。
【0027】なお、絶縁性基板1上に設けられた対向す
る素子電極対5・6間および素子電極対5・6上に設け
られた電子放出部を含む薄膜4は、電子放出部3を含む
が、素子電極5および6上には設けられない場合もあ
る。すなわち、絶縁性基板1上に、先述した電子放出部
形成用薄膜、対向する素子電極5および6の順に積層さ
れる場合もあり得る。また、製法によっては、対向する
素子電極対5・6間の間隔部全体が電子放出部として機
能する場合もある。
【0028】電子放出部を含む薄膜4の膜厚は、数Å〜
数千Åであり、電子放出部を境にして素子電極5側の方
が素子電極6側より厚くなっている膜厚分布を持ってお
り、ステップカバレージ、電子放出部3と素子電極5・
6間の抵抗値および電子放出部3の導電性微粒子の粒
径、後述する通電処理条件等によって適宜設定される。
その抵抗値は、103〜107Ω/□のシート抵抗値を示
す。
【0029】電子放出部を含む薄膜4を構成する材料と
しては、Pd、Pt、Ru、Ag、Au、Ti、In、
Cu、Cr、Fe、Zn、Sn、Ta、W、Pb等の金
属;PdO、SnO2、In23、PbO、Sb23
の酸化物;HfB2、ZrB2、LaB6、CeB6、YB
4、GdB4等の硼化物;TiC、ZrC、HfC、Ta
C、SiC、WC等の炭化物;TiN、ZrN、HfN
等の窒化物;Si、Ge等の半導体;カーボン等を挙げ
ることができる。
【0030】なお、ここで述べる微粒子膜とは、複数の
微粒子が集合した膜であり、その微細構造として、微粒
子が個々に分散配置した状態のみならず、微粒子が互い
に隣接あるいは重なり合った状態(島状も含む)の膜を
指しており、微粒子の粒径は、数Å〜数千Å、好ましく
は10Å〜200Åである。
【0031】このような電子放出部3は電子放出部を含
む薄膜4の素子電極6の近傍に形成された高抵抗の亀裂
であり、薄膜4の持つ膜厚分布が素子電極6の近傍で薄
いことから、通電フォーミングを行うと、抵抗の高い、
すなわち膜厚の薄くなっている素子電極6の近傍に形成
される。また、亀裂内には数Å〜数百Åの粒径の導電性
微粒子を有することもある。この導電性微粒子は電子放
出部を含む薄膜4を構成する物質の少なくとも一部の元
素を含んでいる。また、電子放出部3およびその近傍の
電子放出部を含む薄膜4は炭素または炭素化合物を有す
ることもある。続いて、後述の活性化という工程を行
い、素子の電子放出特性を改善して、表面伝導型電子放
出素子として完成する。
【0032】完成した該素子を駆動する場合、本発明に
おいては、電子放出部3に近い側の素子電極6の電位が
もう一方の素子電極よりも低くして駆動しなければなら
ない。こうしたバイアス方向で該素子を駆動すると、放
出電子のうちの蛍光面上で暗く、いびつな形状を構成し
ている成分は素子電極6に近い軌道を通過するため、素
子電極間近傍の空間の強い電界で素子電極5へ向う力を
より強く受けて偏向されるため、蛍光面上に達したと
き、電子ビームスポットは1組の素子電極の内側の端部
に平行に細長く伸びた楕円形状のパターンを形成する。
【0033】また、同様の効果をさらに強めるために
は、1組の素子電極の内側端部のうち、素子電極6側の
みをさらに厚くするだけでなく、代りに素子電極6上に
数十μm程度の厚膜電極を形成することでも可能であ
る。
【0034】電子放出部3を有する電子放出素子の製造
方法としては様々な方法が考えられるが、その1例を図
2に示す。同図においては、1は基板、2は電子放出部
形成用薄膜、3は電子放出部、4は電子放出部を含む薄
膜、5および6は素子電極である。
【0035】以下、順を追ってこの素子の製造方法の説
明を図1および図2に基づいて説明する。
【0036】1)絶縁性基板1を洗剤、純水および有機
溶剤により十分に洗浄後、真空蒸着法、スパッタ法等に
より素子電極材料を堆積後、フォトリソグラフィー技術
により、その絶縁性基板1の面上に素子電極5および6
を形成する。同様にして素子電極6を複数回積層して所
望の膜厚まで成膜する(図2(a))。
【0037】2)絶縁性基板1上に設けられた素子電極
5と6の間に、有機金属溶液を塗布して放置することに
より、有機金属薄膜を形成する。なおここで言う有機金
属溶液とは、前記Pd,Ru,Ag,Au,Ti,I
n,Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,Ta,W,Pb等
の金属を構成元素とする有機化合物の溶液である。この
後、有機金属薄膜を加熱焼成処理し、リフトオフ、エッ
チング等によりパターニングし、電子放出部形成用薄膜
2を形成する(図2(b))。
【0038】なお、ここでは有機金属溶液の付与を塗布
法により説明したが、これに限るものではなく、真空蒸
着法、スパッタ法、化学的気相堆積法、分散塗布法、デ
ィッピング法、スピナー法等によって形成される場合も
ある。
【0039】3)続いて、フォーミングと呼ばれる通電
処理を行う。通電フォーミングは素子電極5・6間に不
図示の電源により通電を行い、電子放出部形成用薄膜2
を局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、構造を変化
させた部位を形成させるものである。この局所的に構造
変化させた部位を電子放出部3と呼ぶ(図2(c))。
先に説明したように、電子放出部3は導電性微粒子で構
成されていることを本発明者は観察している。
【0040】次に上記フォーミング処理の電圧波形の1
例を図7に示す。
【0041】電圧波形は特にパルス形状が好ましく、パ
ルス波高値が一定の電圧パルスを連続的に印加する場合
(図7(a))と、パルス波高値を増加させながら電圧
パルスを印加する場合(図7(b))とがある。まず、
パルス波高値を一定電圧とした場合(図7(a))につ
いて説明する。
【0042】図7(a)におけるT1およびT2は電圧波
形のパルス幅とパルス間隔であり、T1を1μ秒〜10
ミリ秒、T2を10μ秒〜100ミリ秒とし、三角波の
波高値(通電フォーミング時のピーク電圧)は表面伝導
型電子放出素子の形態に応じて適宜選択し、適当な真空
度、例えば1×10-5Torr程度の真空雰囲気下で、
数秒〜数十分印加する。なお、素子の電極間に印加する
波形は三角波に限定する必要はなく、矩形波など所望の
波形を用いてもよい。また、その波高値およびパルス幅
・パルス間隔等についても上述の値に限ることなく、電
子放出部が良好に形成されれば所望の値を選択すること
ができる。
【0043】図7(b)におけるT1およびT2は、図7
(a)の場合と同様であり、三角波の波高値(通電フォ
ーミング時のピーク電圧)は、例えば0.1Vステップ
程度ずつ増加させ適当な真空雰囲気下で印加する。
【0044】なお、この場合の通電フォーミング処理
は、パルス間隔T2中に、電子放出部形成用薄膜2を局
所的に破壊・変形しない程度の電圧、例えば0.1V程
度の電圧で、素子電流を測定し、抵抗値を求め、例えば
1MΩ以上の抵抗を示した時に通電フォーミング終了と
する。
【0045】次に通電フォーミングが終了した素子に活
性化工程と呼ぶ処理を施すことが望ましい。
【0046】活性化工程とは、例えば、10-4〜10-5
Torr程度の真空度で、通電フォーミング同様、パル
ス波高値が一定の電圧パルスを繰返し印加する処理のこ
とであり、真空中に存在する有機物質に起因する炭素も
しくは炭素化合物を薄膜上に堆積させ素子電流If、放
出電流Ieを著しく変化させる処理である。活性化工程
は素子電流Ifと放出電流Ieを測定しながら、例えば、
放出電流Ieが飽和した時点で終了する。また、印加す
る電圧パルスは動作駆動電圧で行うことが好ましい。
【0047】なお、ここで炭素もしくは炭素化合物と
は、グラファイト(単結晶および多結晶の両方を指
す。)、非晶質カーボン(非晶質カーボンおよび多結晶
グラファイトの混合物を指す)であり、その膜厚は50
0Å以下が好ましく、より好ましくは300Å以下であ
る。
【0048】こうして作製した電子放出素子は、通電フ
ォーミング工程、活性化工程における真空度よりも高い
真空度の雰囲気下に置いて動作駆動させるのがよい。ま
た、さらに高い真空度の雰囲気下で、80℃〜150℃
の加熱後に動作駆動させることが望ましい。
【0049】なお、通電フォーミング工程、活性化処理
した真空度より高い真空度とは、例えば約10-6Tor
r以上の真空度であり、より好ましくは超高真空系であ
り、新たに炭素もしくは炭素化合物が導電薄膜上にほと
んど堆積しない真空度である。こうすることによって、
素子電流If、放出電流Ieを安定化させることが可能と
なる。
【0050】次に上述のような素子構成と製造方法によ
って作成された本発明に関わる電子放出素子の基本特性
について図8および図9を用いて説明する。
【0051】図8は図1で示した構成を有する素子の電
子放出特性を測定するための測定評価装置の概略構成図
である。図8において、1は絶縁性基板、5および6は
素子電極、4は電子放出部を含む薄膜、3は電子放出部
を示す。また、91は素子電極5に正の電圧を印加する
ための電源、90は素子電極5・6間の電子放出部を含
む薄膜4を流れる素子電流Ifを測定するための電流
計、94は素子の電子放出部より放出される放出電流I
eを捕捉するためのアノード電極、93はアノード電極
94に電圧を印加するための高圧電源、92は素子の電
子放出部3より放出される放出電流Ieを測定するため
の電流計である。電子放出素子の上記素子電流Ifおよ
び放出電流Ieの測定にあたっては、素子電極5および
6に電源91と電流計90とを接続し、その電子放出素
子の上方に電源93と電流計92とを接続したアノード
電極94を配置している。また、本電子放出素子および
アノード電極94は真空装置内に配置され、その真空装
置には排気ポンプおよび真空計等の真空装置に必要な機
器が具備されており、所望の真空下にて本素子の測定評
価を行えるようになっている。なお、アノード電極の電
圧は1〜10kV、アノード電極と電子放出素子との距
離Hは3〜8mmの範囲で測定した。
【0052】図8に示した測定評価装置により測定され
た放出電流Ieおよび素子電流Ifと素子電圧Vfの関係
の典型的な例を図9に示す。なお、図9は任意単位で示
されており、放出電流Ieは素子電流Ifのおよそ100
0分の1程度である。図からも明らかなように、本電子
放出素子は放出電流Ieに対して3つの特性を有する。
【0053】第1に、本素子では、ある電圧(閾値電圧
と呼ぶ。図9中のVth)以上の素子電圧を印加すると、
急激に放出電流Ieが増加する。一方、閾値電圧より低
い電圧では放出電流Ieはほとんど検出されない。すな
わち、放出電流Ieに対する明確な閾値電圧Vthを持っ
た非線形素子である。
【0054】第2に、放出電流Ieが素子電圧Vfに依存
するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御できる。
【0055】第3に、アノード電極94に捕捉される電
荷量は、素子電圧Vfを印加する時間により制御でき
る。
【0056】以上のような特性を有するため、本発明に
関わる電子放出素子は、他方面への応用が期待される。
また、素子電流Ifは素子電圧Vfに対して単調に増加す
る(M1)特性の例を図9に示したが、この他にも、素
子電流Ifが素子電圧Vfに対して電圧制御型負性抵抗
(VCNR)特性を示す場合もある。この場合も電子放
出素子は上述した3つの特性を有する。なお、予め導電
性微粒子を分散して構成した表面伝導型電子放出素子に
おいては、前記本発明の基本的な素子構成の基本的な製
造方法の一部を変更しても作製できる。
【0057】次に、本発明の電子源および画像形成装置
について述ベる。
【0058】画像形成装置に用いられる電子源基板は複
数の表面伝導型電子放出素子を基板上に配列することに
より形成される。表面伝導型電子放出素子の配列の方式
には表面伝導型電子放出素子を並列に配置し、個々の素
子の両端を配線で接続する梯子型配置(以下、梯子型配
置電子源基板と呼ぶ)や、表面伝導型電子放出素子の一
対の素子電極にそれぞれX方向配線、Y方向配線を接続
した単純マトリクス配置(以下、マトリクス型配置電子
源基板と呼ぶ)があげられる。なお、梯子型配置電子源
基板を有する画像形成装置には電子放出素子からの電子
の飛翔を制御する電極である制御電極(グリッド電極)
を必要とする。
【0059】以下、この原理に基づき構成した電子源基
板の構成について図10を用いて説明する。111は絶
縁性基板、112はX方向配線、113はY方向配線、
114は表面伝導型電子放出素子、115は結線であ
る。同図において、絶縁性基板111は、前述したガラ
ス等であり、その大きさおよび厚みは、表面伝導型電子
放出素子の個数および個々の素子の設計上の形状、さら
には電子源の使用時に容器の一部を構成する場合には、
その容器を真空に保持するための条件等に依存して適宜
設定される。m本のX方向配線112はDx1、Dx2・
・・Dxmからなり、絶縁性基板111上に、所定の形
状にパターニングされた導電性金属等からなり、多数の
表面伝導型電子放出素子にほぼ均等な電圧が供給される
ように、材料、膜厚、配線幅等が設定される。Y方向配
線113は、Dy1、Dy2・・・Dynのn本の配線よ
りなり、X方向配線112と同様に所定の形状にパター
ニングされた導電性金属等からなり、多数の表面伝導型
電子放出素子にほぼ均等な電圧が供給されるように、材
料、膜厚、配線幅等が設定される。
【0060】これらm本のX方向配線112とn本のY
方向配線113の間には、不図示の層間絶縁層が設置さ
れ、電気的に分離されて、マトリクス配線を構成する。
なお、このm、nは共に正の整数である。不図示の層間
絶縁層は、SiO2等からなる 層であり、X方向配線1
12を形成した絶縁性基板111の全面または一部に所
定の形状で形成され、特にX方向配線112とY方向配
線113の交差部の電位差に耐え得るように、膜厚、材
料、製法が適宜設定される。また、X方向配線112と
Y方向配線113は、それぞれ外部端子として引き出さ
れている。
【0061】なおここでは、m本のX方向配線112の
上にn本のY方向配線113を層間絶縁層を介して設置
した例で説明しているが、n本のY方向配線113の上
にm本のX方向配線112を層間絶縁層を介して設置す
ることもできる。
【0062】さらに、前述と同様にして、表面伝導型電
子放出素子114の対向する素子電極(不図示)がDx
1、Dx2・・・Dxmのm本のX方向配線112と、D
y1、Dy2・・・Dynのn本のY方向配線113と結
線115によって電気的に接続されているものである。
【0063】なお、m本のX方向配線112とn本のY
方向配線113と結線115と素子電極の導電性金属
は、その構成元素の一部または全部が同一であっても異
なってもよく、Ni、Cr、Au、Mo、W、Pt、T
i、Al、Cu、Pd等の金属またはそれらの合金;P
d、Ag、Au、RuO2、Pd−Ag等の金属または
金属酸化物とガラス等から構成される印刷導体;In2
3−SnO2等の透明導体およびポリシリコン等の半導
体材料等より適宜選択される。また表面伝導型電子放出
素子は、絶縁性基板111あるいは不図示の層間絶縁層
上のどちらに形成してもよい。
【0064】また、前記X方向配線112には、X方向
に配列する表面伝導型電子放出素子114の行を任意に
走査するための走査信号を印加するための不図示の走査
信号発生手段が電気的に接続されている。一方Y方向配
線113には、Y方向に配列する表面伝導型電子放出素
子114の列の各列を任意に変調するための変調信号を
印加するための不図示の変調信号発生手段が電気的に接
続されている。
【0065】さらに、各表面伝導型電子放出素子に印加
される駆動電圧は、その素子に印加される走査信号と変
調信号の差電圧として供給されるものである。上記の構
成において単純なマトリクス配線だけで個別の素子を選
択して独立に駆動可能になる。
【0066】次に、以上のようにして作製される単純マ
トリクス配置の電子源を用いた画像形成装置について、
図4および図5を用いて説明する。図4は画像形成装置
の基本構成図であり、図5はその画像形成装置に用いら
れる蛍光膜のパターンである。
【0067】図4において31は上述のようにして電子
放出素子を基板上に作成した電子源基板、34は電子放
出素子に相当し、35および36は表面伝導型電子放出
素子の一対の素子電極と接続されたX方向配線およbび
Y方向配線である。32は電子源基板31を固定したリ
アプレート、40はガラス基板37の内面の蛍光膜38
とメタルバック39等が形成されたフェースプレート、
33は支持枠であり、リアプレート32、支持枠33お
よびフェースプレート40にフリットガラス等を塗布
し、大気中あるいは窒素中で400〜500℃で10分
以上焼成することで封着して外囲器41を構成する。
【0068】外囲器41は、上述の如くフェースプレー
ト40、支持枠33、リアプレート32で構成される
が、リアプレート32は主に電子源基板31の強度を補
強する目的で設けられることから、電子源基板31自体
で十分な強度を持つ場合は別体のリアプレート32は不
要であり、電子源基板31に直接、支持枠33を封着
し、フェースプレート40、支持枠33および電子源基
板31で外囲器41を構成しても良い。さらには、フェ
ースプレート40とリアプレート32の間にスペーサー
と呼ばれる耐大気圧支持部材を設置することで大気圧に
対して十分な強度を持つ外囲器41にすることもでき
る。
【0069】図4中、38は蛍光膜である。蛍光膜38
はモノクロームの場合は蛍光体のみからなるが、カラー
の蛍光膜38の場合は、図5に示されるように、蛍光体
43の配列によりブラックストライプあるいはブラック
マトリクスなどと呼ばれる黒色部材42と蛍光体43と
で構成される。ブラックストライプ、ブラックマトリク
スが設けられる目的は、カラー表示の場合、必要となる
三原色蛍光体の各蛍光体43間の塗り分け部を黒くする
ことで混色等を目立たなくすることと、蛍光膜38にお
ける外光反射によるコントラストの低下を抑制すること
である。ブラックストライプの材料としては通常、良く
用いられている黒鉛を主成分とする材料だけでなく、光
の透過および反射が少ない材料であればこれに限るもの
ではない。
【0070】ガラス基板37に蛍光体43を塗布する方
法は、モノクロームかカラーかによらず、沈殿法や印刷
法が用いられる。
【0071】また、蛍光膜38の内面側には通常メタル
バック39が設けられる。メタルバック39の目的は、
蛍光体43に照射された電子が帯電するのを防止するこ
と、蛍光体43の発光のうち内面側への光をフェースプ
レート40側へ鏡面反射することにより輝度を向上させ
ること、電子ビーム加速電圧を印加するための電極とし
て作用させること、外囲器内で発生した負イオンの衝突
によるダメージからの蛍光体43の保護等である。メタ
ルバック39は、蛍光膜38作製後に蛍光膜38の内面
側表面の平滑化処理(通常、フィルミングと呼ばれる)
を行い、その後、Alを真空蒸着等で堆積することで作
製できる。フェースプレート40には、さらに蛍光膜3
8の導電性を高めるため、蛍光膜38の外面側に透明電
極(不図示)を設けてもよい。
【0072】前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体と電子放出素子とを対応させなくてはいけないた
め、十分な位置合わせを行う必要がある。
【0073】外囲器41は不図示の排気管を通じ、10
-7Torr程度の真空度にされ、封止が行われる。ま
た、外囲器41の封止後の真空度を維持するために、ゲ
ッター処理を行う場合もある。これは、外囲器41の封
止を行う直前、あるいは封止後に抵抗加熱、高周波加熱
等の加熱法により、外囲器41内の所定の位置(不図
示)に配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形成する
処理である。ゲッターは通常、Ba等が主成分であり、
その蒸着膜の吸着作用により、例えば1×10-5〜1×
10-7Torrの真空度を維持するものである。なお、
表面伝導型電子放出素子のフォーミング以降の工程は適
宜設定される。
【0074】以上のようにして作製される本発明の画像
形成装置において、各電子放出素子には、容器外端子D
x1〜Dxm、Dy1〜Dynを通じ、電圧を印加すること
により電子放出させ、高圧端子Hvを通じ、メタルバッ
ク39あるいは透明電極(不図示)に数kV以上の高圧
を印加し、電子ビームを加速し、蛍光膜38に衝突さ
せ、励起・発光させることで画像を表示することができ
る。
【0075】以上述べた構成は、画像表示等に用いられ
る好適な画像形成装置を作成する上で必要な概略構成で
あり、例えば各部材の材料等、詳細な部分は上述内容に
限られるものではなく、画像形成装置の用途に適するよ
う適宜選択する。
【0076】次に、前述の梯子型配置電子源基板および
それを用いた画像表示装置について図11および図12
を用いて説明する。
【0077】図11において、120は電子源基板、1
21は電子放出素子、122のDx1〜Dx10は前記電
子放出素子に接続する共通配線である。電子放出素子1
21は、基板120上にX方向に並列に複数個配置され
る(これを素子行と呼ぶ)。この素子行を複数個基板上
に配置することで梯子型電子源基板となる。各素子行の
共通配線間に適宜駆動電圧を印加することで、各素子行
を独立に駆動することが可能になる。すなわち、電子ビ
ームを放出させる素子行には電子放出閾値以上の電圧
を、電子ビームを放出させない素子行には電子放出閾値
以下の電圧を印加すれば良い。また、各素子行間の共通
配線Dx2〜Dx9では、例えばDx2とDx3を同一配線
とするような構成としても良い。
【0078】図12は、梯子型配置の電子源を備えた画
像形成装置の構造を示す図である。図12において、1
30はグリッド電極、131は電子が通過するための空
孔、132はDox1、Dox2・・・Doxmよりなる容器
外端子、133はグリッド電極130と接続されたG
1、G2・・・Gnからなる容器外端子、134は前述
のように各素子行間の共通配線を同一配線とした電子源
基板である。なお、図4と図11で同一の符号は、同一
の部材を示す。前述の単純マトリクス配置の画像形成装
置(図4)との違いは、電子源基板120とフェースプ
レート40の間にグリッド電極130を備えていること
である。
【0079】電子源基板120とフェースプレート40
の中間には、グリッド電極130が設けられている。グ
リッド電極130は、表面伝導型電子放出素子から放出
された電子ビームを変調することができるもので、梯子
型配置の素子行と直交して設けられたストライプ状の電
極に電子ビームを通過させるため、各素子に対応して一
個ずつ円形の開口131が設けられている。グリッドの
形状や設置位置は必ずしも図12のようなものでなくと
も良く、開口としてメッシュ状に多数の通過口を設ける
こともあり、また表面伝導型電子放出素子の周囲や近傍
に設けても良い。容器外端子132およびグリッド容器
外端子133は、不図示の制御回路と電気的に接続され
ている。
【0080】このような画像形成装置では、素子行を一
列ずつ順次駆動(走査)していくのと同期してグリッド
電極列に画像の1ライン分の変調信号を同時に印加する
ことにより、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、
画像を1ラインずつ表示することができる。
【0081】本発明によれば、テレビジョン放送の表示
装置のみならずテレビ会議システム、コンピュータ等の
表示装置に適した画像形成装置を提供することができ
る。さらには本発明の電子源を、感光性ドラム等で構成
された光プリンタとしての画像形成装置として用いるこ
ともできる。
【0082】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳しく説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
【0083】本実施例は、図1に示した構成を有する素
子を多数並べた電子源基板(図3)を用いて画像形成装
置を作製したものである。図1〜3を用いて、本例につ
いての説明を行う。
【0084】これらの図において、1は青板ガラス基
板、2は電子放出部形成用薄膜、3は電子放出部、4は
電子放出部を含む薄膜、5および6は素子電極、7は第
1導電層、8は部分導電層、9は層間絶縁膜、10は第
2導電層である。
【0085】良く洗浄した青板ガラス基板1上に、Pt
MODペーストを用いてスクリーン印刷法により素子
電極5および6のパターンを印刷する。乾燥、焼成工程
を経て、そのPt MODペーストから、膜厚3000
Å程度のPt薄膜が得られた。さらに、素子電極6のみ
印刷、焼成を3回繰り返して、1μm程度の膜厚の素子
電極6を作製し、図2(a)の構成の素子電極5および
6を多数並べて図3の配置のようになった基板を得た。
【0086】これら一組の素子電極5および6の一部と
それぞれ重なるように、Agペーストを用いてスクリー
ン印刷法により、第1導電層7、部分導電層8のパター
ンを印刷し、乾燥、焼成の工程を経て、第1導電層7、
部分導電層8を図3のように形成した。その際、部分導
電層8はできる限り素子電極6の内側の端部付近まで重
なるように作製した。
【0087】層間絶縁層9を第1導電層7と直交するよ
うにガラスペーストを用いてスクリーン印刷法により形
成し、層間絶縁層9の上に重なり、第1導電層とは接触
しないように第2導電層10をスクリーン印刷法により
形成した。
【0088】1組の素子電極5・6の間にフォトリソグ
ラフィー法によって有機Pd溶液を用いてPdO電子放
出部形成用薄膜2を図2(c)のように素子電極5から
素子電極6に向って薄くなるように形成し、梯子型配線
の電子源基板が完成した。
【0089】次に、以上のようにして作製した電子源基
板を用いて画像形成装置を構成した例を、図7と図8を
用いて説明する。
【0090】多数の表面伝導型電子放出素子を形成して
得られた電子源基板31をリアプレートに固定した後、
基板31の5mm上方に、フェースプレート40(ガラ
ス基板37の内面に蛍光膜38とメタルバック39が形
成されて構成される)を支持枠33を介して配置し、フ
ェースプレート40、支持枠33、リアプレート32の
接合部にフリットガラスを塗布し、大気中あるいは窒素
雰囲気中で400℃ないし500℃で10分以上焼成す
ることで封着した(図4参照)。また、リアプレート3
2への基板31の固定もフリットガラスで行った。
【0091】図4において、34は電子放出素子、35
および36はそれぞれX方向配線およびY方向配線であ
り、図4の第1導電層7および第2導電層10にそれぞ
れ対応する。
【0092】蛍光膜38は、モノクロームの場合は蛍光
体のみからなるが、本実施例では、蛍光体は、ストライ
プ形状(図5参照)を採用し、先にブラックストライプ
を形成し、その間隙部に各蛍光体を塗布し、蛍光膜38
を作製した。ブラックストライプの材料は、通常良く用
いられている黒鉛を主成分とする材料を用いた。
【0093】ガラス基板37に蛍光体を塗布する方法と
しては、スラリー法を用いた。
【0094】また、蛍光膜38の内面側には通常、メタ
ルバック39が設けられる。メタルバックは、蛍光膜作
製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理(通常、フィル
ミングと呼ばれる)を行ない、その後、Alを真空蒸着
することで作製した。
【0095】フェースプレート40には更に、蛍光膜3
8の導電性を高めるため、蛍光膜38の外面側に透明電
極(不図示)が設けられる場合もあるが、本実施例で
は、メタルバックのみで十分な導電性が得られたので省
略した。
【0096】前述の封着を行なう際、カラーの場合は各
色蛍光体と電子放出素子とを対応させなければならない
ため、十分な位置合わせを行なった。以上のようにし
て、完成したガラス容器内の雰囲気を排気管(図示せ
ず)を通じ真空ポンプにて排気し、十分な真空度に達し
た後、容器外端子Dx1〜DxmとDy1〜Dynを通じ、
電子放出素子34の素子電極間に電圧を印加し、電子放
出部形成用薄膜2を通電処理(フォーミング処理)する
ことにより、電子放出部3を形成した。フォーミング処
理の電圧波形を図7に示す。
【0097】図7中、T1及びT2は電圧波形のパルス幅
とパルス間隔であり、本実施例ではT1を1ミリ秒、T2
を10ミリ秒とし、三角波の波高値(フォーミング時の
ピーク電圧)は14Vとし、フォーミング処理は約1×
10-6Torrの真空雰囲気下で60秒間行った。
【0098】そのようにして作製された電子放出部は、
パラジウム元素を主成分とする微粒子が分散配置された
状態となり、その微粒子の平均粒径は30Åであった。
【0099】次に、10-6Torr程度の真空度で、不
図示の排気管をガスバーナーで熱することで溶着し、外
囲器の封止を行った。
【0100】最後に封止後の真空度を維持するために、
ゲッター処理を行なった。これは封止を行なう直前ある
いは封止後に、抵抗加熱あるいは高周波加熱等の加熱法
により、画像形成装置内の所定の位置(不図示)に配置
されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形成する処理であ
る。ゲッターは通常Ba等が主成分であり、その蒸着膜
の吸着作用により、例えば1×10-5〜1×10-7To
rrの真空度を維持するものである。
【0101】以上のようにして完成した本発明の画像形
成装置において、各表面伝導型電子放出素子には、容器
外端子Dx1〜Dxm、Dy1〜Dynを通じ、走査信号及
び変調信号を不図示の信号発生手段によりそれぞれ印加
することによって電子放出させ、高圧端子Hvを通じ
て、メタルバック39に数KV以上の高圧を印加し、電
子ビームを加速して、蛍光膜38に衝突させ、励起・発
光させると、図13(b)に示したような、ボケのない
シャープな電子ビームスポットが得られた。
【0102】以上説明したように、本実施例による電子
源基板を用いたことにより、分解能の良好な画像形成装
置を得ることができた。
【0103】また、本実施例の構成によれば、容易に高
密度にX、Yマトリクス状に多数の表面伝導型電子放出
素子を配置することができ、本発明が大画面の画像形成
装置の作製に適していることが明らかである。
【0104】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
により、 1)蛍光面上の電子ビームスポットが小さくなり、フェ
ースプレートと電子源基板の組立マージンが大きく取れ
るため、製造コストの低減が可能となり、 2)電子ビームスポットの明るさが均一になって、かつ
明るさが増すため、画像形成装置の省電力化が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子放出素子の1例の構成を示す模式
図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図2】本発明の電子放出素子の製造方法の1例の手順
を示す工程図である。
【図3】実施例で製造される電子源基板の構成を示す模
式的平面図である。
【図4】本発明による画像形成装置の構成例を示す一部
切り欠き斜視図である。
【図5】蛍光膜の例を示す模式図である。
【図6】表面伝導型電子放出素子の1例の構成を示す模
式的平面図である。
【図7】表面伝導型電子放出素子の製造に際して採用で
きる通電フォーミング処理における電圧波形2例を示す
波形図である。
【図8】表面伝導型電子放出素子の電子放出特性の測定
評価装置を示す概略構成図である。
【図9】表面伝導型電子放出素子の電流−電圧特性を示
す図である。
【図10】単純マトリクス配置型の電子源の1例を示す
模式図である。
【図11】梯子配置型の電子源の1例を示す模式図であ
る。
【図12】本発明による画像形成装置の別の構成例を示
す一部切り欠き斜視図である。
【図13】蛍光面上の電子ビームスポット形状を表す模
式図であり、(a)は従来の画像形成装置で得られる形
状の例、(b)は理想的な形状のものである。
【符号の説明】
1 絶縁性基板 2 電子放出部形成用薄膜 3 電子放出部 4 電子放出部を含む薄膜 5 素子電極 6 素子電極 7 第1導電層 8 部分導電層 9 層間導電層 10 第2導電層 31 電子源基板 32 リアプレート 33 支持枠 34 電子放出素子 35 X方向配線 36 Y方向配線 37 ガラス基板 38 蛍光膜 39 メタルバック 40 フェースプレート 41 外囲器 42 黒色部材 43 蛍光体 90 電流計 91 電源 92 電流計 93 高圧電源 94 アノード電極 111 絶縁性基板 112 X方向配線 113 Y方向配線 114 表面伝導型電子放出素子 115 結線 120 電子源基板 121 表面伝導型電子放出素子 122 共通配線 130 グリッド電極 131 電子が通過するための空孔 132 容器外端子 133 容器外端子 134 電子源基板 141 ビームスポットの明部 142 ビームスポットの暗部 143 理想的形状のビームスポット 142 素子電極 143 第1層の配線 144 第2層の配線 145 電子放出部 146 第3層の配線 147 接続パターン(接続層) 148 接続パターン(接続層)

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に形成された電圧を印加される素
    子電極対の間に該両電極に接触するよう形成された導電
    性薄膜の一部に電子放出部を有する電子放出素子におい
    て、電子放出部が、両素子電極の中間位置より一方の素
    子電極側に位置する、該電極の辺に沿って延びた亀裂で
    あることを特徴とする電子放出素子。
  2. 【請求項2】 前記電子放出部に近い方の素子電極は駆
    動時に印加される電位が相対的に低い素子電極(低電位
    素子電極)であり、電子放出部に遠い方の素子電極は駆
    動時に印加される電位が相対的に高い素子電極(高電位
    素子電極)である請求項1記載の電子放出素子。
  3. 【請求項3】 亀裂から低電位素子電極側の導電性薄膜
    の方が、亀裂から高電位素子電極側の導電性薄膜より厚
    い請求項2記載の電子放出素子。
  4. 【請求項4】 導電性薄膜が形成されている部分の低電
    位素子電極が、導電性薄膜が形成されている部分の高電
    位素子電極より厚い請求項2または3記載の電子放出素
    子。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の電
    子放出素子が基板上に複数個配されている電子源基板。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の電子源基板上の複数の電
    子放出素子が配線接続されている電子源。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の電子源を有してなるリア
    プレートと、蛍光膜を有するフェースプレートとが対向
    配置され、前記電子源より放出される電子を前記蛍光膜
    に照射して、画像表示を行うようにした表示パネル。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の表示パネルに駆動回路が
    接続されている画像形成装置。
  9. 【請求項9】 基板上に厚さの異なる1対の素子電極を
    形成し;該両電極に挟まれた領域に、厚い方の素子電極
    側が薄く、薄い方の素子電極側が厚い導電性薄膜を形成
    し;該薄膜に通電処理を施して、該薄膜の薄い部分に素
    子電極の辺に沿って延びる形状の亀裂である電子放出部
    を形成することを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 導電性薄膜の形成を、有機金属溶液の
    塗布・焼成によって行う請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 有機金属溶液の塗布を印刷法によって
    行う請求項10記載の方法。
JP2137096A 1996-02-07 1996-02-07 電子放出素子、電子源基板、電子源、表示パネルおよび画像形成装置 Pending JPH09219142A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6232027B1 (en) 1998-05-26 2001-05-15 Canon Kabushiki Kaisha Toner having negative triboelectric chargeability and image forming method

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