JP3450565B2 - 電子源基板および画像形成装置の製造方法 - Google Patents

電子源基板および画像形成装置の製造方法

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JP3450565B2
JP3450565B2 JP00677796A JP677796A JP3450565B2 JP 3450565 B2 JP3450565 B2 JP 3450565B2 JP 00677796 A JP00677796 A JP 00677796A JP 677796 A JP677796 A JP 677796A JP 3450565 B2 JP3450565 B2 JP 3450565B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子源およびその
応用である表示装置等の画像形成装置にかかわり、特に
表面伝導型電子放出素子を多数個備える電子源基板およ
びその応用である表示装置等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子として熱電子源と冷
陰極電子源の2種類が知られている。冷陰極電子源には
電界放出型(以下、FEと称する)、金属/絶縁層/金
属型(以下、MIMと称する)や、表面伝導型電子放出
素子等がある。
【0003】FE型の例としては、Dykeらの報告(W.
P. Dyke and W. W. Dolan, "Field emission", Advance
in Electron Physics, 8, 89(1956))に記載のもの、S
pindtの報告(C. A. Spindt, "Physical Properties of
thin-film field emission cathodes with molybdeniu
m cones", J. Appl. Phys., 47, 5248(1976))に記載の
もの等が知られている。
【0004】MIM型の例としては、Meadの報告(C.
A. Mead, "The tunnel-emission amplifier", J. Appl.
Phys., 32, 646(1961))に記載のもの等が知られてい
る。
【0005】表面伝導型電子放出素子の例としては、エ
リンソンの報告(M. I. Elinson, Radio Eng. Electron
Phys., 10(1965))に記載のもの等がある。
【0006】表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成
された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことに
より、電子放出が生ずる現象を利用するものである。
【0007】この表面伝導型電子放出素子としては、前
記のエリンソンの報告に記載のSnO2薄膜を用いたも
の、Au薄膜によるもの(G. Dittmer,"Thin Solid Fil
ms",9, 317(1972))、In23/SnO2薄膜によるも
の(M. Hartwell and C. G. Fonstad,"IEEE Trans. ED
Conf.", 519(1975))、カーボン薄膜によるもの(荒木
ら,真空,第26巻,第1号,22頁(1983))な
どが報告されている。
【0008】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な素子構成として前述のハートウェル(Hartwell)の素
子の構成を図5に示す。同図において、1は基板であ
る。2は電子放出部形成用薄膜で、スパッタリングで形
成されたH型形状の金属酸化物薄膜等からなり、後述の
通電フォーミングと呼ばれる通電処理により電子放出部
3が形成される。なお、図中の素子電極間隔L1は、
0.5〜1.0mm、W’は、0.1mmで設定されて
いる。なお、電子放出部3の位置および形状については
不明であるので模式図として表わした。
【0009】従来、これらの表面伝導型電子放出素子に
おいては、電子放出をおこなう前に電子放出部形成用薄
膜2を予めフォーミングと呼ばれる通電処理によって電
子放出部3を形成するのが一般的であった。即ち、通電
フォーミングとは、前記電子放出部形成用薄膜2の両端
に直流電圧あるいは非常にゆっくりとした昇電圧、例え
ば1V/分程度を印加通電し、導電性薄膜を局所的に破
壊、変形もしくは変質せしめ、電気的に高抵抗な状態に
した電子放出部3を形成することである。なお、電子放
出部3は電子放出部形成用薄膜2の一部に亀裂が発生
し、その亀裂付近から電子放出が行われる。以下、フォ
ーミングにより発生した電子放出部を含む電子放出部形
成用薄膜を電子放出部を含む薄膜(図中4)と呼ぶ。
【0010】前記フォーミング処理をした表面伝導型電
子放出素子は、上述の電子放出部を含む薄膜4に電圧を
印加し、素子表面に電流を流すことにより、上述の電子
放出部3より電子を放出せしめるものである。
【0011】さらに、通常はフォーミング工程の終了後
に、「活性化」と呼ばれる工程が導入されている。この
目的は、フォーミングにより高抵抗化された表面伝導型
電子放出素子に一定の電圧を一定時間通電しつづけるこ
とによって、電子放出量を増加せしめることである。
【0012】上述の表面伝導型放出素子は構造が単純で
製造も容易であることから、それを大面積にわたり多数
配列形成できるという利点を有している。そこでこの特
徴を生かすべく各種の応用が研究されている。例えば、
荷電ビーム源、画像形成装置等の表示装置等への応用が
あげられる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上説
明したような表面伝導型電子放出素子を画像形成装置と
して大面積化するには以下のような問題点がある。前記
表面伝導型電子放出素子の製造工程において電極や配線
パターンを加工する場合、基板上に電極および配線材料
の金属薄膜を成膜し、これを通常のフォトリソグラフィ
ー、エッチング技術を用いてパターン加工し、電極や配
線パターンを形成する。しかしながら、例えば、40c
m角以上の大型基板上にフォトリソグラフィー、エッチ
ング技術により製造する場合、蒸着装置を初め、露光装
置、エッチング装置等を含む大型製造設備が必要となり
莫大な費用がかかるだけでなく、基板を大型化した場
合、製造装置自体の大型化が困難となり、製造方法上あ
るいはコスト上の問題があった。また、大面積化するこ
とで電極数の増加や配線の増加・複雑化により、工程数
が増え、断線や短絡等の欠陥が発生しやすくなり、歩留
りが低下する等の問題があった。
【0014】本発明は、かかる従来の問題を鑑みて、表
面伝導型電子放出素子を複数設置した電子源基板および
画像形成装置の製造方法で、安価で工程数が少なく、ま
た電極と配線部分の構成を簡略化することにより、相互
の電気的接続部分の信頼性向上が図れ、より高密度な画
素配列による高品位な画像が実現可能なものを提供する
ことを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、第1の素子電
極と第2の素子電極からなる素子電極対を有する電子放
出素子と、該電子放出素子を駆動するための互いに交差
する第1層の配線と第2層の配線とを有する電子源基板
の製造方法において、 1)基板上に複数の素子電極対を形成する工程、 2)前記素子電極対の一方の第1の素子電極と接触する
帯状の第1層の配線を形成する工程、 3)前記第1層の配線の全面を覆う帯状の絶縁層を形成
する工程、 4)次に形成する第2層の配線の下に、該第2層配線方
向に沿う絶縁層を形成することなく、前記第1層の配線
と直交し、前記素子電極対のもう一方の第2の素子電極
と接触する帯状の第2層の配線を形成する工程、および 5)前記素子電極対を有する電子放出素子を形成する工
程を含むことを特徴とする電子源基板の製造方法に関す
る。
【0016】前記電子放出素子を形成する工程は、前記
素子電極対の間に導電性薄膜を形成し、通電処理によっ
て該薄膜の一部に電子放出部を形成して、電子放出素子
として表面伝導型電子放出素子を形成する工程とするこ
とができる。また、前記素子電極対、第1層の配線、第
2層の配線および絶縁層の形成は印刷法などで行うこと
ができる。
【0017】さらに本発明は、前述のそれぞれの方法で
製造される電子源基板と、画像が形成される領域を備え
た基板とを対向させ、支持枠を介して接合する工程、両
基板の間の空間を減圧状態とする工程、前記電子源基板
に画像形成用の駆動回路を接続する工程を含む画像形成
装置の製造方法に関する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明にかかわる表面伝導型電子放出素子の基本的な構成と
製造方法およびその特徴(参考:特開平2−56822
等)について概説する。
【0019】まず、本発明の特徴である単純マトリクス
配線の構成および製造手順に関して、図1および図2を
用いて詳細に説明する。図1は本発明の電子源基板の1
実施態様の製造例を示す工程図であり、図2は、図1
(e)のB1−B2断面の一部拡大図である。
【0020】まず、良く洗浄した絶縁性基板(図2の5
6)の上に一対の素子電極50および51を形成する
(図1(a))。それらの素子電極はそれぞれ異なる大
きさで作られ、一方の素子電極51がもう一方の素子電
極50より長い。次に、第1導電層52を、素子電極5
0の他方の素子電極51と逆側の端部で電気的に接続す
るように重ねて形成する(図1(b))。次に、絶縁層
53を、第1導電層52を電気的に絶縁するのに十分な
幅と厚みで第1導電層52を覆うように形成する(図1
(c))。次に、第2導電層54を、第1導電層52お
よび絶縁層53に直交し、かつ素子電極51が素子電極
50よりも突出している部分で電気的に接続するように
重ねて形成する(図1(d))。そして最後に、素子電
極50・51間の間隙にわたってこれら素子電極と電気
的に接続するように電子放出部形成用薄膜55を形成す
る(図1(e))。
【0021】以上で形成した単純マトリクス配線は、絶
縁層も含めて、基板面内方向に関して、配線方向に細長
い長方形状のもので作製手段に依存するもの以外に凹凸
は存在しない。従って、配線および絶縁層形成時に必要
となるパターニングにおいて余分な凹凸や曲線を描く必
要がなく、様々な成膜方法に無理なく対応できる。しか
も、その凹凸の少なさのゆえに、従来のものに比べて絶
縁不良を起こしにくい。さらに、大面積化に際して、大
きなマスク等が必要な場合においてもパターンが単純な
ためその製作コストを低く抑えることができる。電子源
基板上でマトリクス配線が占有する面積を小さくするこ
とができるので、電子源を作るための領域を大きく取れ
る。配線とそれが電気的に接続する素子電極との位置合
わせにおいて、他の要因で制限されない限り配線方向の
自由度を大きく取れる。
【0022】そのような単純マトリクス配線を実現する
手段には、スクリーン印刷法やメッキ法があるが、特に
これらに限定されるものではない。さらに、配線材料と
しては抵抗値の小さい材料であれば何でも良く、例え
ば、Au、Ag、Cu、Pt、Pd、Ru、Ni等の金
属が用いられる。
【0023】なお、素子電極と電子放出部形成用薄膜の
作製および材料、ならびに電子源基板の画像表示装置化
に関しては以下に述べる。
【0024】本発明に関わる表面伝導型電子放出素子の
構成および製法の特徴としては、次のようなものが挙げ
られる。
【0025】1)フォーミングと呼ばれる通電処理前の
電子放出部形成用薄膜は、微粒子分散体を分散し形成さ
れた微粒子からなる薄膜、あるいは有機金属等を加熱焼
成し形成された微粒子からなる薄膜等、基本的には、微
粒子より構成される。
【0026】2)フォーミングと呼ばれる通電処理後の
電子放出部を含む薄膜は、電子放出部、電子放出部を含
む薄膜とも基本的には微粒子より構成される。
【0027】図6(a)および(b)は、それぞれ、本
発明にかかわる基本的な表面伝導型電子放出素子の構成
を示す平面図および断面図である。図6を用いて、本発
明にかかわる素子の基本的な構成を説明するが、本発明
の電子源および画像形成装置では後述するように、この
表面伝導型電子放出素子を多数個、同一基体上に配線電
極と共に形成しているものである。
【0028】図6において1は絶縁性基板、5と6は素
子電極、4は電子放出部を含む薄膜、3は電子放出部で
ある。
【0029】絶縁性基板1としては、石英ガラス、Na
等の不純物含有量を減少させたガラス、青板ガラス、青
板ガラスにスパッタ法等により形成したSiO2(絶縁
体層)を積層したガラス基板等およびアルミナ等のセラ
ミックス等があげられる。
【0030】対向する素子電極5および6の材料として
は一般的な導電体が用いられ、例えば、Ni、Cr、A
u、Mo、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pd、Ag、
Ru、Ta、Pb、Zr、Hf、Sb、La等の金属、
あるいはこれらの金属の合金、ならびにPd、Ag、A
u、RuO2、Pd−Ag等の金属または金属酸化物と
ガラス等から構成される印刷導体、In23−SnO2
等の透明導電体およびポリシリコン等の半導体材料等が
挙げられる。
【0031】素子電極間隔L1は、数Å〜数百μmであ
り、素子電極の製法の基本となるフォトリソグラフィー
技術、即ち、露光機の性能とエッチング方法等や、素子
電極間に印加する電圧と電子放出し得る電界強度等によ
り設定されるが、好ましくは、数μm〜数十μmであ
る。素子電極長さW1、素子電極5および6の膜厚d
は、電極の抵抗値、後述するX、Y配線との結線、多数
配置された電子源の配置上の問題より適宜設計され、通
常は、素子電極長さW1は、数μm〜数百μmであり、
素子電極5および6の膜厚dは、数百Å〜数千Åであ
る。
【0032】絶縁性基板1上に設けられた対向する素子
電極対5・6間および素子電極対5・6上に設けられた
電子放出部を含む薄膜4は、電子放出部3を含むが、図
6(b)に示された場合だけでなく、素子電極5および
6上には設けられない場合もある。すなわち、絶縁性基
板1上に、先述した電子放出部形成用薄膜、対向する素
子電極対5・6の順に積層される場合もあり得る。ま
た、製法によっては、対向する素子電極対5・6間の間
隔部全体が電子放出部として機能する場合もある。この
電子放出部を含む薄膜4の膜厚は、数Å〜数千Åであ
り、素子電極5および6へのステップカバレージ、電子
放出部3と素子電極5・6間の抵抗値および電子放出部
3の導電性微粒子の粒径、後述する通電処理条件等によ
って適宜設定される。その抵抗値は、103〜107Ω/
□のシート抵抗値を示す。
【0033】電子放出部を含む薄膜4を構成する材料と
しては、Pd、Pt、Ru、Ag、Au、Ti、In、
Cu、Cr、Fe、Zn、Sn、Ta、W、Pb等の金
属;PdO、SnO2、In23、PbO、Sb23
の酸化物;HfB2、ZrB2、LaB6、CeB6、YB
4、GdB4等の硼化物;TiC、ZrC、HfC、Ta
C、SiC、WC等の炭化物;TiN、ZrN、HfN
等の窒化物;Si、Ge等の半導体;カーボン等を挙げ
ることができる。
【0034】なお、ここで述べる微粒子膜とは、複数の
微粒子が集合した膜であり、その微細構造として、微粒
子が個々に分散配置した状態のみならず、微粒子が互い
に隣接あるいは重なり合った状態(島状も含む)の膜を
指しており、微粒子の粒径は、数Å〜数千Å、好ましく
は10Å〜200Åである。
【0035】電子放出部3は電子放出部を含む薄膜4の
一部に形成された高抵抗の亀裂であり、通電フォーミン
グ等により形成される。また、亀裂内には数Å〜数百Å
の粒径の導電性微粒子を有することもある。この導電性
微粒子は電子放出部を含む薄膜4を構成する物質の少な
くとも一部の元素を含んでいる。また、電子放出部3お
よびその近傍の電子放出部を含む薄膜4は炭素または炭
素化合物を有することもある。
【0036】電子放出部3を有する電子放出素子の製造
方法としては様々な方法が考えられるが、その1例を図
7に示す。2は電子放出部形成用薄膜で例えば微粒子膜
が挙げられる。
【0037】以下、順を追ってこの素子の製造方法の説
明を図6および図7に基づいて説明する。
【0038】1)絶縁性基板1を洗剤、純水および有機
溶剤により十分に洗浄後、真空蒸着法、スパッタ法等に
より素子電極材料を堆積後、フォトリソグラフィー技術
により、その絶縁性基板1の面上に素子電極5および6
を形成する(図7(a))。
【0039】2)絶縁性基板1上に設けられた素子電極
5と6の間に有機金属溶液を塗布して放置することによ
り、有機金属薄膜を形成する。なおここで言う有機金属
溶液とは、前記Pd,Ru,Ag,Au,Ti,In,
Cu,Cr,Fe,Zn,Sn,Ta,W,Pb等の金
属を構成元素とする有機化合物の溶液である。この後、
有機金属薄膜を加熱焼成処理し、リフトオフ、エッチン
グ等によりパターニングし、電子放出部形成用薄膜2を
形成する(図7(b))。
【0040】なお、ここでは有機金属の塗布法により説
明したが、これに限るものではなく、真空蒸着法、スパ
ッタ法、化学的気相堆積法、分散塗布法、ディッピング
法、スピナー法等によって形成される場合もある。
【0041】3)続いて、フォーミングと呼ばれる通電
処理を行う。通電フォーミングは素子電極5・6間に不
図示の電源により通電を行い、電子放出部形成用薄膜2
を局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、構造を変化
させた部位を形成させるものである。この局所的に構造
変化させた部位を電子放出部3と呼ぶ(図7(c))。
先に説明したように、電子放出部3は導電性微粒子で構
成されていることを本発明者は観察している。
【0042】次に上記フォーミング処理の電圧波形の1
例を図8に示す。
【0043】電圧波形は特にパルス形状が好ましく、パ
ルス波高値が一定の電圧パルスを連続的に印加する場合
(図8(a))と、パルス波高値を増加させながら電圧
パルスを印加する場合(図8(b))とがある。まず、
パルス波高値を一定電圧とした場合(図8(a))につ
いて説明する。
【0044】図8(a)におけるT1およびT2は電圧波
形のパルス幅とパルス間隔であり、T1を1μ秒〜10
ミリ秒、T2を10μ秒〜100ミリ秒とし、三角波の
波高値(通電フォーミング時のピーク電圧)は表面伝導
型電子放出素子の形態に応じて適宜選択し、適当な真空
度、例えば1×10-5Torr程度の真空雰囲気下で、
数秒〜数十分印加する。なお、素子の電極間に印加する
波形は三角波に限定する必要はなく、矩形波など所望の
波形を用いてもよい。また、その波高値およびパルス幅
・パルス間隔等についても上述の値に限ることなく、電
子放出部が良好に形成されれば所望の値を選択すること
ができる。
【0045】図8(b)におけるT1およびT2は、図8
(a)の場合と同様であり、三角波の波高値(通電フォ
ーミング時のピーク電圧)は、例えば0.1Vステップ
程度ずつ増加させ適当な真空雰囲気下で印加する。
【0046】なお、この場合の通電フォーミング処理
は、パルス間隔T2中に、電子放出部形成用薄膜2を局
所的に破壊・変形しない程度の電圧、例えば0.1V程
度の電圧で、素子電流を測定し、抵抗値を求め、例えば
1MΩ以上の抵抗を示した時に通電フォーミング終了と
する。
【0047】次に通電フォーミングが終了した素子に活
性化工程と呼ぶ処理を施すことが望ましい。
【0048】活性化工程とは、例えば、10-4〜10-5
Torr程度の真空度で、通電フォーミング同様、パル
ス波高値が一定の電圧パルスを繰返し印加する処理のこ
とであり、真空中に存在する有機物質に起因する炭素も
しくは炭素化合物を薄膜上に堆積させ素子電流If、放
出電流Ieを著しく変化させる処理である。活性化工程
は素子電流Ifと放出電流Ieを測定しながら、例えば、
放出電流Ieが飽和した時点で終了する。また、印加す
る電圧パルスは動作駆動電圧で行うことが好ましい。
【0049】なお、ここで炭素もしくは炭素化合物と
は、グラファイト(単結晶および多結晶の両方を指
す。)、非晶質カーボン(非晶質カーボンおよび多結晶
グラファイトの混合物を指す)であり、その膜厚は50
0Å以下が好ましく、より好ましくは300Å以下であ
る。
【0050】こうして作製した電子放出素子は、通電フ
ォーミング工程、活性化工程における真空度よりも高い
真空度の雰囲気下に置いて動作駆動させるのがよい。ま
た、さらに高い真空度の雰囲気下で、80℃〜150℃
の加熱後に動作駆動させることが望ましい。
【0051】なお、通電フォーミング工程や活性化処理
での真空度より高い真空度とは、例えば約10-6Tor
r以上の真空度であり、より好ましくは超高真空系であ
り、新たに炭素もしくは炭素化合物が導電薄膜上にほと
んど堆積しない真空度である。こうすることによって、
素子電流If、放出電流Ieを安定化させることが可能と
なる。
【0052】次に上述のような素子構成と製造方法によ
って作成された本発明に関わる電子放出素子の基本特性
について図9および図10を用いて説明する。
【0053】図9は図6で示した構成を有する素子の電
子放出特性を測定するための測定評価装置の概略構成図
である。図9において、1は絶縁性基板、5および6は
素子電極、4は電子放出部を含む薄膜、3は電子放出部
を示す。また、91は素子に素子電圧Vfを印加するた
めの電源、90は素子電極5・6間の電子放出部を含む
薄膜4を流れる素子電流Ifを測定するための電流計、
94は素子の電子放出部より放出される放出電流Ieを
捕捉するためのアノード電極、93はアノード電極94
に電圧を印加するための高圧電源、92は素子の電子放
出部3より放出される放出電流Ieを測定するための電
流計である。電子放出素子の上記素子電流Ifおよび放
出電流Ieの測定にあたっては、素子電極5および6に
電源91と電流計90とを接続し、その電子放出素子の
上方に高圧電源93と電流計92とを接続したアノード
電極94を配置している。また、本電子放出素子および
アノード電極94は真空装置内に配置され、その真空装
置には排気ポンプおよび真空計等の真空装置に必要な機
器が具備されており、所望の真空下にて本素子の測定評
価を行えるようになっている。なお、アノード電極の電
圧は1〜10kV、アノード電極と電子放出素子との距
離Hは3〜8mmの範囲で測定した。
【0054】図9に示した測定評価装置により測定され
た放出電流Ieおよび素子電流Ifと素子電圧Vfの関係
の典型的な例を図10に示す。なお、図10は任意単位
で示されており、放出電流Ieは素子電流Ifのおよそ1
000分の1程度である。図からも明らかなように、本
電子放出素子は放出電流Ieに対して3つの特性を有す
る。
【0055】第1に、本素子では、ある電圧(閾値電圧
と呼ぶ。図10中のVth)以上の素子電圧を印加する
と、急激に放出電流Ieが増加する。一方、閾値電圧よ
り低い電圧では放出電流Ieはほとんど検出されない。
すなわち、放出電流Ieに対する明確な閾値電圧Vthを
持った非線形素子である。
【0056】第2に、放出電流Ieが素子電圧Vfに依存
するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御できる。
【0057】第3に、アノード電極94に捕捉される電
荷量は、素子電圧Vfを印加する時間により制御でき
る。
【0058】以上のような特性を有するため、本発明に
関わる電子放出素子は、他方面への応用が期待される。
また、素子電流Ifは素子電圧Vfに対して単調に増加す
る(M1)特性の例を図10に示したが、この他にも、
素子電流Ifが素子電圧Vfに対して電圧制御型負性抵抗
(VCNR)特性を示す場合もある。この場合も電子放
出素子は上述した3つの特性を有する。なお、予め導電
性微粒子を分散して構成した表面伝導型電子放出素子に
おいては、前記本発明の基本的な素子構成の基本的な製
造方法の一部を変更しても作製できる。
【0059】次に、本発明の電子源および画像形成装置
について述ベる。
【0060】画像形成装置に用いられる電子源基板は複
数の表面伝導型電子放出素子を基板上に配列することに
より形成される。表面伝導型電子放出素子の配列の方式
には表面伝導型電子放出素子を並列に配置し、個々の素
子の両端を配線で接続する梯子型配置(以下、梯子型配
置電子源基板と呼ぶ)や、表面伝導型電子放出素子の一
対の素子電極にそれぞれX方向配線、Y方向配線を接続
した単純マトリクス配置(以下、マトリクス型配置電子
源基板と呼ぶ)があげられる。なお、梯子型配置電子源
基板を有する画像形成装置には電子放出素子からの電子
の飛翔を制御する電極である制御電極(グリッド電極)
を必要とする。
【0061】以下、この原理に基づき構成した電子源基
板の構成について図11を用いて説明する。111は絶
縁性基板、112はX方向配線、113はY方向配線、
114は表面伝導型電子放出素子、115は結線であ
る。同図において、絶縁性基板111は、前述したガラ
ス等であり、その大きさおよび厚みは、表面伝導型電子
放出素子の個数および個々の素子の設計上の形状、さら
には電子源の使用時に容器の一部を構成する場合には、
その容器を真空に保持するための条件等に依存して適宜
設定される。m本のX方向配線112はDx1、Dx2・
・・Dxmからなり、絶縁性基板111上に、所定の形
状にパターニングされた導電性金属等からなり、多数の
表面伝導型電子放出素子にほぼ均等な電圧が供給される
ように、材料、膜厚、配線幅等が設定される。Y方向配
線113は、Dy1、Dy2・・・Dynのn本の配線よ
りなり、X方向配線112と同様に所定の形状にパター
ニングされた導電性金属等からなり、多数の表面伝導型
電子放出素子にほぼ均等な電圧が供給されるように、材
料、膜厚、配線幅等が設定される。
【0062】これらm本のX方向配線112とn本のY
方向配線113の間には、不図示の層間絶縁層が設置さ
れ、電気的に分離されて、マトリクス配線を構成する。
なお、このm、nは共に正の整数である。不図示の層間
絶縁層は、SiO2等からなる層であり、X方向配線1
12を形成した絶縁性基板111の全面または一部に所
定の形状で形成され、特にX方向配線112とY方向配
線113の交差部の電位差に耐え得るように、膜厚、材
料、製法が適宜設定される。また、X方向配線112と
Y方向配線113は、それぞれ外部端子として引き出さ
れている。
【0063】なおここでは、m本のX方向配線112の
上にn本のY方向配線113を層間絶縁層を介して設置
した例で説明しているが、n本のY方向配線113の上
にm本のX方向配線112を層間絶縁層を介して設置す
ることもできる。
【0064】さらに、前述と同様にして、表面伝導型電
子放出素子114の対向する素子電極(不図示)がDx
1、Dx2・・・Dxmのm本のX方向配線112と、D
y1、Dy2・・・Dynのn本のY方向配線113と結
線115によって電気的に接続されているものである。
【0065】なお、m本のX方向配線112とn本のY
方向配線113と結線115と素子電極の導電性金属
は、その構成元素の一部または全部が同一であっても異
なってもよく、Ni、Cr、Au、Mo、W、Pt、T
i、Al、Cu、Pd等の金属またはそれらの合金;P
d、Ag、Au、RuO2、Pd−Ag等の金属または
金属酸化物とガラス等から構成される印刷導体;In2
3−SnO2等の透明導体およびポリシリコン等の半導
体材料等より適宜選択される。また表面伝導型電子放出
素子は、絶縁性基板111あるいは不図示の層間絶縁層
上のどちらに形成してもよい。
【0066】また、前記X方向配線112には、X方向
に配列する表面伝導型電子放出素子114の行を任意に
走査するための走査信号を印加するための不図示の走査
信号発生手段が電気的に接続されている。一方Y方向配
線113には、Y方向に配列する表面伝導型電子放出素
子114の列の各列を任意に変調するための変調信号を
印加するための不図示の変調信号発生手段が電気的に接
続されている。
【0067】さらに、各表面伝導型電子放出素子に印加
される駆動電圧は、その素子に印加される走査信号と変
調信号の差電圧として供給されるものである。上記の構
成において単純なマトリクス配線だけで個別の素子を選
択して独立に駆動可能になる。
【0068】次に、以上のようにして作製される単純マ
トリクス配置の電子源を用いた画像形成装置について、
図3および図4を用いて説明する。図3は画像形成装置
の基本構成図であり、図4はその画像形成装置に用いら
れる蛍光膜のパターンである。
【0069】図3において31は上述のようにして電子
放出素子を基板上に作成した電子源基板、34は電子放
出素子に相当し、35および36は表面伝導型電子放出
素子の一対の素子電極と接続されたX方向配線およbび
Y方向配線である。32は電子源基板31を固定したリ
アプレート、40はガラス基板37の内面の蛍光膜38
とメタルバック39等が形成されたフェースプレート、
33は支持枠であり、リアプレート32、支持枠33お
よびフェースプレート40にフリットガラス等を塗布
し、大気中あるいは窒素中で400〜500℃で10分
以上焼成することで封着して外囲器41を構成する。
【0070】外囲器41は、上述の如くフェースプレー
ト40、支持枠33、リアプレート32で構成される
が、リアプレート32は主に電子源基板31の強度を補
強する目的で設けられることから、電子源基板31自体
で十分な強度を持つ場合は別体のリアプレート32は不
要であり、電子源基板31に直接、支持枠33を封着
し、フェースプレート40、支持枠33および電子源基
板31で外囲器41を構成しても良い。さらには、フェ
ースプレート40とリアプレート32の間にスペーサー
と呼ばれる耐大気圧支持部材を設置することで大気圧に
対して十分な強度を持つ外囲器41とすることもでき
る。
【0071】図3中、38は蛍光膜である。蛍光膜38
はモノクロームの場合は蛍光体のみからなるが、カラー
の蛍光膜38の場合は、図4に示されるように、蛍光体
43の配列によりブラックストライプあるいはブラック
マトリクスなどと呼ばれる黒色部材42と蛍光体43と
で構成される。ブラックストライプ、ブラックマトリク
スが設けられる目的は、カラー表示の場合、必要となる
三原色蛍光体の各蛍光体43間の塗り分け部を黒くする
ことで混色等を目立たなくすることと、蛍光膜38にお
ける外光反射によるコントラストの低下を抑制すること
である。ブラックストライプの材料としては通常、良く
用いられている黒鉛を主成分とする材料だけでなく、光
の透過および反射が少ない材料であればこれに限るもの
ではない。
【0072】ガラス基板37に蛍光体43を塗布する方
法は、モノクロームかカラーかによらず、沈殿法や印刷
法が用いられる。
【0073】また、蛍光膜38の内面側には通常メタル
バック39が設けられる。メタルバック39の目的は、
蛍光体43に照射された電子が帯電するのを防止するこ
と、蛍光体43の発光のうち内面側への光をフェースプ
レート40側へ鏡面反射することにより輝度を向上させ
ること、電子ビーム加速電圧を印加するための電極とし
て作用させること、外囲器内で発生した負イオンの衝突
によるダメージからの蛍光体43の保護等である。メタ
ルバック39は、蛍光膜38作製後に蛍光膜38の内面
側表面の平滑化処理(通常、フィルミングと呼ばれる)
を行い、その後、Alを真空蒸着等で堆積することで作
製できる。フェースプレート40には、さらに蛍光膜3
8の導電性を高めるため、蛍光膜38の外面側に透明電
極(不図示)を設けてもよい。
【0074】前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体と電子放出素子とを対応させなくてはいけないた
め、十分な位置合わせを行う必要がある。
【0075】外囲器41は不図示の排気管を通じ、10
-7Torr程度の真空度にされ、封止が行われる。ま
た、外囲器41の封止後の真空度を維持するために、ゲ
ッター処理を行う場合もある。これは、外囲器41の封
止を行う直前、あるいは封止後に抵抗加熱、高周波加熱
等の加熱法により、外囲器41内の所定の位置(不図
示)に配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形成する
処理である。ゲッターは通常、Ba等が主成分であり、
その蒸着膜の吸着作用により、例えば1×10-5〜1×
10-7Torrの真空度を維持するものである。なお、
表面伝導型電子放出素子のフォーミング以降の工程は適
宜設定される。
【0076】以上のようにして作製される本発明の画像
形成装置において、各電子放出素子には、容器外端子D
x1〜Dxm、Dy1〜Dynを通じ、電圧を印加すること
により電子放出させ、高圧端子Hvを通じ、メタルバッ
ク39あるいは透明電極(不図示)に数kV以上の高圧
を印加し、電子ビームを加速し、蛍光膜38に衝突さ
せ、励起・発光させることで画像を表示することができ
る。
【0077】以上述ベた構成は、画像表示等に用いられ
る好適な画像形成装置を作成する上で必要な概略構成で
あり、例えば各部材の材料等、詳細な部分は上述内容に
限られるものではなく、画像形成装置の用途に適するよ
う適宜選択する。
【0078】次に、前述の梯子型配置電子源基板および
それを用いた画像表示装置について図12および図13
を用いて説明する。
【0079】図12において、120は電子源基板、1
21は電子放出素子、122のDx1〜Dx10は前記電
子放出素子に接続する共通配線である。電子放出素子1
21は、基板120上にX方向に並列に複数個配置され
る(これを素子行と呼ぶ)。この素子行を複数個基板上
に配置することで梯子型電子源基板となる。各素子行の
共通配線間に適宜駆動電圧を印加することで、各素子行
を独立に駆動することが可能になる。すなわち、電子ビ
ームを放出させる素子行には電子放出閾値以上の電圧
を、電子ビームを放出させない素子行には電子放出閾値
以下の電圧を印加すれば良い。また、各素子行間の共通
配線Dx2〜Dx9では、例えばDx2とDx3を同一配線
とするような構成としても良い。
【0080】図13は、梯子型配置の電子源を備えた画
像形成装置の構造を示す図である。図14において、1
30はグリッド電極、131は電子が通過するための空
孔、132はDox1、Dox2・・・Doxmよりなる容器
外端子、133はグリッド電極130と接続されたG
1、G2・・・Gnからなる容器外端子、134は前述
のように各素子行間の共通配線を同一配線とした電子源
基板である。なお、図3と図12で同一の符号は、同一
の部材を示す。前述の単純マトリクス配置の画像形成装
置(図3)との違いは、電子源基板120とフェースプ
レート40の間にグリッド電極130を備えていること
である。
【0081】グリッド電極130は、表面伝導型電子放
出素子から放出された電子ビームを変調することができ
るもので、梯子型配置の素子行と直交して設けられたス
トライプ状の電極に電子ビームを通過させるため、各素
子に対応して一個ずつ円形の開口131が設けられてい
る。グリッドの形状や設置位置は必ずしも図13のよう
なものでなくとも良く、開口としてメッシュ状に多数の
通過口を設けることもあり、また表面伝導型電子放出素
子の周囲や近傍に設けても良い。容器外端子132およ
びグリッド容器外端子133は、不図示の制御回路と電
気的に接続されている。
【0082】このような画像形成装置では、素子行を一
列ずつ順次駆動(走査)していくのと同期してグリッド
電極列に画像の1ライン分の変調信号を同時に印加する
ことにより、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、
画像を1ラインずつ表示することができる。
【0083】本発明によれば、テレビジョン放送の表示
装置のみならずテレビ会議システム、コンピュータ等の
表示装置に適した画像形成装置を提供することができ
る。さらには本発明の電子源を、感光性ドラム等で構成
された光プリンタとしての画像形成装置として用いるこ
ともできる。
【0084】
【実施例】実施例を用いて本発明を具体的に説明する。
【0085】図1を用いて本発明の実施例を示す。同図
において50、51は図中で不図示の絶縁性基板である
青板ガラス上に形成された一対のPt素子電極、52は
素子電極50に一部を重ねて形成した第1導電層(第1
層の配線)、53は配線52を覆うように形成された絶
縁層、54は第1導電層52および絶縁層53に直交
し、かつ、素子電極51に一部を重ねて形成した第2導
電層(第2層の配線)、55は電子放出部形成用薄膜で
ある。以下で、図1の構成を有する単純マトリクス配線
の電子源基板を作製し、これを用いた画像形成装置を示
す。ただし、ここでは表現の簡易化のため電子源基板は
素子が3個×3個の例を示す。
【0086】良く洗浄した青板ガラス基板上に、Pt
MODペーストを用いてスクリーン印刷法により素子電
極50、51のパターンを転写する。乾燥および焼成工
程を経てPt MODペーストは膜厚3000Å程度の
Pt薄膜へと変化し、素子電極50、51となる。これ
ら一対の素子電極50、51の一方の素子電極50の一
部と重なるように、Agペーストを用いてスクリーン印
刷法により第1導電層52のパターンを転写する。乾
燥、焼成を行うことで素子電極50と電気的に接続した
厚膜配線としての第1導電層52が得られた。第1導電
層52自身の露出している部分が容器外端子との接続部
のみとなるようにガラスペーストを用いてスクリーン印
刷法により、絶縁層53のパターンを第1導電層を覆う
ように形成する。乾燥、焼成を行うことで図1のような
第1導電層に沿って形成された絶縁層53を得た。第1
導電層52および絶縁層53に直交し、かつ、全ての素
子電極51と一部が重なるようにAgペーストを用いて
スクリーン印刷法により第2導電層54のパターンを形
成する。乾燥、焼成を行うことで、素子電極51と電気
的に接続した厚膜配線としての第2導電層が得られた。
【0087】一対の素子電極50、51間にフォトリソ
グラフィー法により有機Pd溶液を用いてPdO電子放
出部形成用薄膜55を形成する。以上で単純マトリクス
配線の電子源基板が完成した。
【0088】次に、以上のようにして作製した単純マト
リクス配線の電子源基板を用いて画像形成装置を構成し
た例を、図8と図9を用いて説明する。
【0089】多数の表面伝導型電子放出素子を作製した
電子源基板31をリアプレート32上に固定した後、基
板31の5mm上方に、フェースプレート40(ガラス
基板37の内面に蛍光膜38とメタルバック39が形成
されて構成される)を支持枠33を介し配置し、フェー
スプレート40、支持枠33、リアプレート32の接合
部にフリットガラスを塗布し、大気中あるいは窒素雰囲
気中で400℃ないし500℃で10分以上焼成するこ
とで封着した(図3参照)。また、リアプレート32へ
の基板31の固定もフリットガラスで行った。図3にお
いて、34は電子放出素子、35、36はそれぞれX方
向及びY方向の配線である。
【0090】蛍光膜38は、モノクロームの場合は蛍光
体のみから成るが、本実施例では蛍光体はストライプ形
状(図4参照)を採用し、先にブラックストライプを形
成し、その間隙部に各蛍光体を塗布し、蛍光膜38を作
製した。ブラックストライプの材料は、通常良く用いら
れている黒鉛を主成分とする材料を用いた。
【0091】ガラス基板37に蛍光体を塗布する方法は
スラリー法を用いた。また、蛍光膜38の内面側には通
常、メタルバック39が設けられる。メタルバックは、
蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理(通
常、フィルミングと呼ばれる)を行ない、その後、Al
を真空蒸着することで作製した。
【0092】フェースプレート40には、更に蛍光膜3
8の導電性を高めるため、蛍光膜38の外面側に透明電
極(不図示)が設けられる場合もあるが、本実施例で
は、メタルバックのみで十分な導電性が得られたので省
略した。
【0093】前述の封着を行なう際、カラーの場合は各
色蛍光体と電子放出素子とを対応させなくてはいけない
ため、十分な位置合わせを行なった。以上のようにして
完成したガラス容器内の雰囲気を排気管(図示せず)を
通じ真空ポンプにて排気し、十分な真空度に達した後、
容器外端子Dx1〜DxmとDy1〜Dynを通じ、電子放
出素子34の素子電極間に電圧を印加し、電子放出部形
成用薄膜2を通電処理(フォーミング処理)することに
より、電子放出部3を作製した。フォーミング処理の電
圧波形を図8に示す。
【0094】図8中、T1及びT2は電圧波形のパルス幅
とパルス間隔であり、本実施例ではT1を1ミリ秒、T2
を10ミリ秒とし、三角波の波高値(フォーミング時の
ピーク電圧)は14Vとし、フォーミング処理は約1×
10-6Torrの真空雰囲気下で60秒間行なった。
【0095】このように作製された電子放出部3はパラ
ジウム元素を主成分とする微粒子が分散配置された状態
となり、その微粒子の平均粒径は30Åであった。
【0096】次に、1×10-6Torr程度の真空度
で、不図示の排気管をガスバーナーで熱することで溶着
し、外囲器の封止を行なった。
【0097】最後に封止後の真空度を維持するために、
ゲッター処理を行なった。これは封止を行なう直前、あ
るいは封止後に抵抗加熱あるいは高周波加熱等の加熱法
により、画像形成装置内の所定の位置(不図示)に配置
されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形成する処理であ
る。ゲッターは通常Ba等が主成分であり、その蒸着膜
の吸着作用により、例えば1×10-5Torr〜1×1
-7Torrの真空度を維持するものである。
【0098】以上のように完成した本発明の画像形成装
置において、各表面伝導型電子放出素子には、容器外端
子Dx1〜Dxm、Dy1〜Dynを通じ、走査信号及び変
調信号を不図示の信号発生手段によりそれぞれ印加する
ことによって電子放出させ、高圧端子Hvを通じて、メ
タルバック39に数KV以上の高圧を印加し、電子ビー
ムを加速して、蛍光膜38に衝突させ、励起・発光させ
ることで画像を表示した。
【0099】以上説明したように本実施例による画像表
示装置は、電子源基板の単純マトリクス配線作製におい
て、スクリーン印刷法を用いることでどうしても避けら
れないスクリーン印刷ペーストの印刷直後の拡大変形と
いった問題に対して、配線が余分な突出部を持たない構
成のため、拡大変形があるにも係わらずマトリクス配線
の開口部を大きく取ることができ、電子放出部を大きく
することができ、しかも凹凸が少ないことから絶縁不良
を起こしにくい信頼性の高いものであった。
【0100】
【発明の効果】本発明を用いることで基板面方向での配
線形状を必要最低限の線幅の細長い長方形とすることが
できる。
【0101】したがって、配線および絶縁層形成時に必
要となるパターニングにおいて余分な凹凸や曲線を描く
必要がなく、様々な成膜方法に無理なく対応できる。し
かも、その凹凸の少なさのゆえに、従来のものに比べて
絶縁不良を起こしにくい。大面積化に際して、大きなマ
スク等が必要な場合においてもパターンが単純なためそ
の製作コストを低く抑えることができる。電子源基板上
でマトリクス配線が占有する面積を小さくすることがで
きるので、電子源を作るための領域を大きく取れる。配
線とそれが電気的に接続する素子電極との位置合わせに
おいて、他の要因で制限されない限り配線方向の自由度
を大きく取れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子源基板の1例の製造手順例を示す
工程図である。
【図2】図1のB1−B2線断面の一部拡大図である。
【図3】本発明の画像形成装置の1例の構成を示す部分
切り欠き斜視図である。
【図4】蛍光膜の構成を示す模式的部分図であり、
(a)はブラックストライプの設けられたもの、(b)
はブラックマトリクスの設けられたものの図である。
【図5】表面伝導型電子放出素子の1例の構成を示す模
式的平面図である。
【図6】本発明の電子源に設けられる表面伝導型電子放
出素子の1例の構成を示す示す模式図であり、(a)は
平面図、(b)は断面図である。
【図7】図6の素子の形成手順を示す工程図である。
【図8】本発明の電子源における表面伝導型電子放出素
子製造時の通電フォーミングにおける電圧波形を示すグ
ラフであり、(a)はパルス波高値が一定の場合、
(b)はパルス波高値が増加する場合である。
【図9】表面伝導型電子放出素子の電子放出特性の測定
評価装置の概略構成図である。
【図10】表面伝導型電子放出素子の電流―電圧特性を
示す図である。
【図11】多数の表面伝導型電子放出素子を単純マトリ
クス配線して構成した電子源基板の概略図である。
【符号の説明】
1 絶縁性基板 2 電子放出部形成用薄膜 3 電子放出部 4 電子放出部を含む薄膜 5 素子電極 6 素子電極 11 素子電極 12 素子電極 13 第1層の配線 14 層間絶縁層 14a 凹部 15 第2層の配線 16 第3層の配線 17 電子放出部 31 電子源基板 32 リアプレート 33 支持枠 34 電子放出素子 35 X方向配線 36 Y方向配線 37 ガラス基板 38 蛍光膜 39 メタルバック 40 フェースプレート 41 外囲器 42 黒色部材 43 蛍光体 90 電流計 91 電源 92 電流計 93 高圧電源 94 アノード電極 111 絶縁性基板 112 X方向配線 113 Y方向配線 114 表面伝導型電子放出素子 120 電子源基板 121 表面伝導型電子放出素子 122 共通配線 130 グリッド電極 131 電子が通過するための空孔 132 容器外端子 133 容器外端子 134 電子源基板 141 素子電極 142 素子電極 143 第1層の配線 144 第2層の配線 145 電子放出部 146 第3層の配線 147 接続パターン(接続層) 148 接続パターン(接続層)
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 9/02 H01J 1/316 H01J 1/304 H01J 29/04 H01J 31/12 H05K 3/46

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の素子電極と第2の素子電極からな
    る素子電極対を有する電子放出素子と、該電子放出素子
    を駆動するための互いに交差する第1層の配線と第2層
    の配線とを有する電子源基板の製造方法において、 1)基板上に複数の素子電極対を形成する工程、 2)前記素子電極対の一方の第1の素子電極と接触する
    帯状の第1層の配線を形成する工程、 3)前記第1層の配線の全面を覆う帯状の絶縁層を形成
    する工程、 4)次に形成する第2層の配線の下に、該第2層配線方
    向に沿う絶縁層を形成することなく、前記第1層の配線
    と直交し、前記素子電極対のもう一方の第2の素子電極
    と接触する帯状の第2層の配線を形成する工程、および 5)前記素子電極対を有する電子放出素子を形成する工
    程を含むことを特徴とする電子源基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記電子放出素子を形成する工程が、前
    記素子電極対の間に導電性薄膜を形成し、通電処理によ
    って該薄膜の一部に電子放出部を形成して、電子放出素
    子として表面伝導型電子放出素子を形成する工程である
    請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記素子電極対、第1層の配線、第2層
    の配線および絶縁層の形成を印刷法で行う請求項1また
    は2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の方法で
    製造される電子源基板と、画像が形成される領域を備え
    た基板とを対向させ、支持枠を介して接合する工程、両
    基板の間の空間を減圧状態とする工程、前記電子源基板
    に画像形成用の駆動回路を接続する工程を含む画像形成
    装置の製造方法。
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