JPH09217809A - ボールねじ - Google Patents

ボールねじ

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JPH09217809A
JPH09217809A JP2435896A JP2435896A JPH09217809A JP H09217809 A JPH09217809 A JP H09217809A JP 2435896 A JP2435896 A JP 2435896A JP 2435896 A JP2435896 A JP 2435896A JP H09217809 A JPH09217809 A JP H09217809A
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film layer
ball screw
screw
compound
ball
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JP2435896A
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Inventor
Masaru Konno
大 金野
Takeshi Namimatsu
健 並松
Shunichi Yabe
俊一 矢部
Kunihiko Takahashi
邦彦 高橋
Koichi Yatani
耕一 八谷
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】一般に、ボールねじの場合は剛性増加とトルク
軽減とは両立しにくく、したがって微小な位置決め精度
は困難である 【解決手段】ねじ軸1,ボールねじナット2,ボール3
のうちの少なくともいずれか一つの部材の金属面に、金
属成分と酸素,リン,イオウおよび塩素からなる群れか
ら選ばれた少なくとも一つの元素とを主体とする化合物
の反応膜層を形成すると共に両ねじ溝1b,2b間の螺
旋状空間内に潤滑剤を充填した。化合物反応膜層により
金属部材同士の接触面に潤滑剤が介在し易くなって起動
トルクが軽減され結果、剛性を維持したままでもボール
ねじのトルク軽減が達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボールねじの改良
に係り、特にその構成部材の表面性状を改善することに
より起動トルク及びトルク変動を低減し、もって短時間
での微小位置決め制御を可能としたボールねじに関す
る。
【0002】
【従来の技術】ボールねじは、ねじ軸とこれに多数のボ
ールを介して螺合されたボールねじナットとの間の空間
部にグリースや潤滑油等の潤滑剤を充填して使用してい
る。ボールねじの性能としては、高剛性でしかも低トル
クであることが望ましい。従来、ボールねじのトルクを
軽減させる方法としては、負荷ボールに対してより径の
小さいスペーサボールを一定間隔で挿入する方法、もし
くは予圧量を減らす方法、もしくはボール径に対するね
じ溝の径の比を大きくする方法などがある。技術的に、
剛性とトルク軽減とは相反する機能であるために両立さ
せることは困難であり、ニーズに合わせて両方を調整し
ボールねじの設計に反映させているのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、半導体や液晶製
造装置の高性能化に伴い、その中の位置決め装置として
使われるボールねじは、高剛性でしかも低トルクである
ことが望まれるようになっている。特に、ステッパの露
光パターンの位置決め精度は、ステージを駆動するボー
ルねじの諸性能に依存している。その中にあって、剛性
はもとより、電機制御による微小位置決めは軽トルクで
且つトルク変動(トルクスパイク)が少ないことが必要
であるが、現状では剛性増加とトルク軽減とは両立し得
ないという未解決の課題がある。
【0004】本発明は、このような従来のボールねじの
未解決の課題に着目してなされたものであり、必要な剛
性を維持したまま軽トルクで作動するボールねじを提供
するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る発明は、外
周面に螺旋状のねじ溝を有するねじ軸と、前記ねじ軸の
ねじ溝に対応するねじ溝を有して前記ねじ軸に遊嵌され
るボールねじナットと、前記両ねじ溝間の螺旋状空間内
を転動しつつ循環する多数のボールとを具えたボールね
じにおいて、前記ねじ軸,ボールねじナット,ボールの
うちの少なくともいずれか一つの部材の金属面に、当該
部材の金属成分と酸素,リン,イオウおよび塩素からな
る群れから選ばれた少なくとも一つの元素とを主体とす
る化合物の反応膜層を形成すると共に、前記両ねじ溝間
の螺旋状空間内に潤滑剤を充填したことを特徴とする。
【0006】本発明に係るボールねじは、構成部材の所
定の金属面に形成した化合物反応膜層により、当該金属
面の潤滑剤に対するぬれ性がより向上され、潤滑剤が金
属面に保持されやすくなる。そのため部材同士の接触面
に潤滑剤が介在し易くなって起動トルクが軽減される。
その結果、剛性を維持したままでボールねじのトルク軽
減が達成される。
【0007】前記化合物反応膜層は、金属と、化学周期
表中第V族,第VI族,第VII族の典型元素である酸
素,リン,イオウおよび塩素等の群れから選ばれた単独
または複数の元素との化合物から構成され、ボールねじ
の所定の構成部材の金属表面に、反応速度を制御しつつ
形成した反応膜層である。本願発明者らの研究の結果、
中でも特に、金属面と、化学的に活性な有機化合物であ
る有機イオウ化合物,有機リン化合物,有機塩素化合
物,有機金属化合物の少なくとも一種以上とが反応する
ことにより形成された有機リン化合物−反応膜層,有機
イオウ化合物−反応膜層,有機塩素化合物−反応膜層,
有機金属化合物−反応膜層は、潤滑剤を介した摩擦力が
未処理のままの金属面に比べて小さいことが判った。本
願発明はこの事実に基づきなされたものである。
【0008】前記有機リン化合物−反応膜層を形成する
のに必要な有機リン化合物として、亜リン酸エステル
類,正リン酸エステル類,酸性リン酸エステル類等をあ
げることができる。上記亜リン酸エステル類は、C1
18の炭化水素類(例えば、アルキル,フェニル,ベン
ジル,クレジル,シンナミル,アリル)の亜リン酸エス
テルで、例えばトリオクチルフォスファイト,トリフェ
ニルフォスファイト,トリクレジルフォスファイト,ビ
ス−2−エチルヘキシルフォスファイト,トリデシルフ
ォスファイト,ジブチルハイドロジェンフォスファイ
ト,トリス(ノニルフェニル)フォスファイト,ジラウ
リルハイドロジェンフォスファイト,ジフェニルモノデ
シルフォスファイト,トリラウリルトリチオフォスファ
イト,ジフェニルハイドロジェンフォスファイトなどが
好ましい。
【0009】又、正リン酸エステル類は、C1〜C18
炭化水素類(例えば、アルキル,フェニル,ベンジル,
クレジル,シンナミル,アリル)の正リン酸エステル
で、例えばトリフェニルフォスフェート,トリエチルフ
ォスフェート,トリブチルフォスフェート,トリス(2
−エチルヘキシル)フォスフェート,トリデシルフォス
フェート,ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)フォ
スフェート,トリクレジルフォスフェート,トリオクチ
ルフォスフェート,トリステアリルフォスフェートなど
が好ましい。
【0010】又、酸性リン酸エステル類は、C1〜C20
のモノ又はジヒドロカルビルアッシドフォスフェートで
あり、例えばメチルアッシドフォスフェート,イソプロ
ピルアッシドフォスフェート,ブチルアッシドフォスフ
ェート,2−エチルヘキシルアッシドフォスフェート,
イソデシルアッシドフォスフェート,トリデシルアッシ
ドフォスフェート,ラウリルアッシドフォスフェートな
どが好ましい。
【0011】前記有機イオウ化合物−反応膜層を形成す
るのに必要な有機イオウ化合物としては、例えば硫化鯨
油などの硫化油脂類、硫化オレフィン類,メルカプタン
類,サルファイド類,スルホキシド類、スルホン類等を
あげることができる。上記の硫化オレフィン類は、C3
〜C8のオレフィン又はそれから誘導される低分子量ポ
リオレフィンの硫化物で、例えば硫化ペンテン,硫化ブ
チレン,硫化オクテンなどが好ましい。
【0012】メルカプタン類は、C4〜C20のアルキル
メルカプタン及びメルカプト脂肪酸エステルで、例えば
n−ブチルメルカプタン,イソブチルメルカプタン,第
三ブチルメルカプタン,n−オクチルメルカプタン,第
三ノニルメルカプタン,第三ドデシルメルカプタン,チ
オグリコール酸ブチル,チオロピオン酸エチル,3−メ
ルカプトプロピオン酸オクチルなどが好ましい。
【0013】サルファイド類は、C4〜C18の炭化水素
類(例えば、アルキル,フェニル,ベンジル,シンナミ
ル,アリル)のモノサルファイド( −S− ),ジサ
ルファイド( −S−S− ),トリサルファイド(
−S−S−S− )で、例えばジブチルモノサルファイ
ド,ジブチルジサルファイド,ジフェニルサルファイ
ド,ジベンジルサルファイドなどが好ましい。
【0014】スルホキシド類は、C4〜C20の炭化水素
類(例えば、アルキル,フェニル,ベンジル,シンナミ
ル,アリル)のスルホキシドで、例えばジブチルスルホ
キシド,ジベンジルスルホキシドなどが好ましい。スル
ホン類は、C4〜C20のアルキル,フェニル,ベンジ
ル,シンナミル,アリルのスルホンで、例えばジブチル
スルホン,ジドデシルスルホン,フェニルスルホンなど
が好ましい。
【0015】前記有機塩素化合物−反応膜層を形成する
のに必要な有機塩素化合物としては、塩素化パラフィン
類,塩素化油脂類等がある。塩素化パラフィン類として
は、例えば、n−オクチルクロライド,塩化パラフィ
ン,塩化オクタデシルが存在し、塩素化油脂類として
は、例えば、塩化鯨油が存在する。
【0016】前記有機金属化合物−反応膜層を形成する
のに必要な有機金属化合物としては、金属ジヒドロカル
ビルジチオフォスフェート類,金属ジヒドロカルビルジ
チオカーバメート類,ナフテン酸塩類等がある。上記金
属ジヒドロカルビルジチオフォスフェート類は、各ヒド
ロカルビル基がC4〜C20である金属ジヒドロカルビル
ジチオフォスフェートで、例えばZnジメチルジチオフ
ォスフェート,Znブチルイソオクチルジチオフォスフ
ェート,Znジ(4−メチル−2−ペンチル)ジチオフ
ォスフェート,Znジ(テトラプロぺニルフェニル)ジ
チオフォスフェート,Zn(2−エチル−1−ヘキシ
ル)ジチオフォスフェート,Zn(イソオクチル)ジチ
オフォスフェート,Zn(エチルフェニル)ジチオフォ
スフェート,Zn(アミル)ジチオフォスフェート,Z
nジ(ヘキシル)ジチオフォスフェート、或いは金属と
して上記亜鉛(Zn)の他、鉛(Pb),カドミウム
(Cd),アンチモン(Sb),モリブデン(Mo)な
どのものが好ましい。
【0017】金属ジヒドロカルビルジチオカーバメート
類は、各ヒドロカルビル基がC4〜C20である金属ジヒ
ドロカルビルジチオカーバメートで、例えばZnジメチ
ルジチオカーバメート,Znブチルイソオクチルジチオ
カーバメート,Znジ(4−メチル−2−ペンチル)ジ
チオカーバメート,Znジ(テトラプロぺニルフェニ
ル)ジチオカーバメート,Zn(2−エチル−1−ヘキ
シル)ジチオカーバメート,Zn(イソオクチル)ジチ
オカーバメート,Zn(エチルフェニル)ジチオカーバ
メート,Zn(アミル)ジチオカーバメート,Znジ
(ヘキシル)ジチオカーバメート、或いは金属として上
記亜鉛(Zn)の他、鉛(Pb),カドミウム(C
d),アンチモン(Sb),モリブデン(Mo)などの
ものが好ましい。
【0018】又、ナフテン酸塩類はナフテン酸の金属塩
で、例えばナフテン酸鉛などが好ましい。上述のような
化合物反応膜層を形成する種々の化合物は、そのまま単
体で、或いは油や溶剤に溶解し希釈された状態で、濃度
0.1〜100重量%の範囲で使用することができる。
ここで油としては、例えば、精製パラフィン,ジフェニ
ル等を使用でき、溶剤としては、例えば、トルエン等の
溶媒を使用できる。その他の油,溶媒は相溶性があれば
を使用することもできる。
【0019】化合物反応膜層を形成するには、所定濃度
の前記有機リン化合物,有機イオウ化合物,有機塩素化
合物,有機金属化合物の各々が単独で、もしくは複数種
類混合して用いられる。特に、有機リン化合物と有機イ
オウ化合物とを混合すると、両者の相互作用により化合
物反応膜の形成速度が大きくなることが検討の結果明ら
かとなった。尚、同一種類の化合物内では、各具体的化
合物が単独或いは混合されて用いられる。単独で、もし
くは混合して用いられた前記各化合物の種類とその含有
量に応じて、ボールねじを構成する被処理部材の表面
に、有機リン化合物−反応膜層,有機イオウ化合物−反
応膜層,有機塩素化合物−反応膜層,有機金属化合物−
反応膜層、又はこれらが二種以上混在した化合物反応膜
層が形成される。
【0020】本発明のボールねじにおいて化合物反応膜
層を施す部位は、構成部材であるねじ軸,ボールねじナ
ット,ボールのうちいずれか一つの部材の金属面であれ
ば、ボールねじのトルク軽減に効果がある。もっともこ
れ以外の部分に化合物反応膜層が形成されていても良
い。部材同士が接触する面であれば特に有効である。接
触面のみに化合物反応膜層を形成する場合には、接触面
以外の面には適宜にマスキングを施しておく。
【0021】ボールねじの被処理部材は、予め所定濃度
に調整した化合物液中に浸漬し、温度を室温から200
℃の範囲内の所定温度に制御しつつ、目的の膜厚になる
ように時間を制御して反応させる。または、被処理部材
の金属表面に前記化合物を塗布し熱分解させながら反応
させてもよい。かくすることにより、被処理物の表面に
所定厚みの化合物反応膜層を形成することができる。化
合物反応膜層の厚さ及び表面粗さは、反応液である化合
物液中の当該化合物の濃度もしくは反応温度と時間を調
整することで制御できる。その、化合物反応膜の形成過
程において、例えば、超音波などを利用すると、反応形
成膜の均一性を改善したり、反応速度を増加させること
ができる。
【0022】形成された化合物反応膜層の厚さは、X線
光電子分光分析機(XPS)を用いて測定される。これ
は試料表面にX線を照射し、試料の最外表面(約数オン
グストローム)より放出される光電子のエネルギー解析
によって試料表面の元素の情報(定性,定量)及び結合
状態を得るが、更にアルゴン(Ar)イオン銃を用いて
試料表面をスパッタしながら測定を行うことにより、元
素の深さ方向での分布状態の解析を可能としたものであ
る。
【0023】図1に、例えば有機リン化合物(トリデシ
ルアッシドフォスフェート)によって得られた化合物反
応膜層の厚み測定の一例を示す。XPSを用いて、試料
のデプスプロファイルをとり、化合物反応膜層中のリン
光電子強度が変化しなくなる直前を膜層の厚みと定義す
る。図の場合はエッチング速度は3nm/minで厚み
を換算している。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図2は、循環駒式ボールねじの第
1の実施形態例の斜視図、図3はその循環駒の斜視図で
ある。外周面1aに螺旋状のねじ溝1bを有するねじ軸
1に、内周面2aにねじ軸1のねじ溝1bに対応したね
じ溝2bを有するボールねじナット2が多数のボール3
を介して螺合されている。ボールねじナット2の円筒胴
部には、前記対向した両ねじ溝1b,2bで形成された
螺旋状空間内を転動しつつ移動するボール3を導いて循
環させるためのボール循環路11を有する循環駒10が
嵌着されている。そのボール循環路11はほぼS字状に
湾曲しており、A点からボール循環路11に沿って進ん
だボール3がねじ軸1の外周面(ランド部)1aを乗り
越え、D点でねじ軸のねじ溝1bとボールねじナットの
ねじ溝2bとの間に入り、もとのA点に戻る循環を繰り
返すようになっている。
【0025】このボールねじのねじ軸1のねじ溝1b
に、化合物反応膜層を形成した。すなわち、外径30m
m,長さ300mmのねじ軸1を石油ベンジン中で超音
波洗浄した後、ポリαオレフィンを溶剤とし、それにト
リオクチルフォスフェート(T
【0026】OP:化学式を(化1)に示す)3重量%
と、トリス(ノニルフェニル)ホスフ
【0027】ァイト(化学式を(化2)に示す)2重量
%と、さらにフェニルαナフチルアミン(PAN)3重
量%とを添加した反応液中に浸漬し、温度150℃で1
0時間処理して化合物反応膜層を0.06μmの厚さに
形成したものである。
【0028】
【化1】
【0029】
【化2】
【0030】次に、第2の実施形態例を説明する。図2
に示したボールねじのボールねじナット2の内周面2a
に形成されているねじ溝2bの溝表面部に、化合物反応
膜層を形成した。すなわち、ねじ溝2b以外の部分をマ
スクしたボールねじナット2を石油ベンジン中で超音波
洗浄した後、合成炭化水素を溶剤とし、それにトリクレ
ジルフォスフェート(TCP:化学
【0031】式を(化3)に示す)3重量%と、ジブチ
ルサルファイド(化学式を(化4)に示す)1重量%
と、さらに酸化防止剤としてビス−2,6−ジタートブ
チルフェノール3重量%とを添加した反応液中に浸漬
し、温度180℃で10時間処理して化合物反応膜層を
0.1μmの厚さに形成したものである。
【0032】
【化3】
【0033】
【化4】
【0034】次に、第3の実施形態例を説明する。この
実施形態例の場合は、図2に示したボールねじの多数の
ボール3の表面に化合物反応膜層を形成した。すなわ
ち、これらのボール3を石油ベンジン中で超音波洗浄し
た後、合成炭化水素を溶剤とし、それにトリラウリルア
ッシドフォス
【0035】フェート1重量%と、n−オクチルクロラ
イド(化学式を(化5)に示す)10重量%と、さらに
酸化防止剤としてビス−2,6−ジタートブチルフェノ
ール3重量%とを添加した反応液中に浸漬し、温度10
0℃で40分間処理して化合物反応膜層を0.03μm
の厚さに形成したものである。
【0036】
【化5】
【0037】次に、第4の実施形態例を説明する。この
実施形態例は、図4に示すように、ボールねじの多数の
負荷ボール3の間に一定個数おきに(図では一個おき
に)、負荷ボール3より小径の金属製のスペーサボール
3Aを挿入したボールねじにおいて、それらのスペーサ
ボール3Aの表面に化合物反応膜層を形成した。すなわ
ち、これらのスペーサボール3Aを石油ベンジン中で超
音波洗浄した後、Znジメチルフォスフェート0.5重
量%と、TCP5重量%と、さらに酸化防止剤としてフ
ェニルαナフチルアミン(PAN)2重量%とを添加し
た合成炭化水素油からなる反応液中に浸漬し、温度20
0℃で20時間処理して化合物反応膜層を0.07μm
の厚さに形成したものである。
【0038】続いて、以上の実施形態例1〜4により化
合物反応膜層をそれぞれ所定の構成部材の面に形成した
ボールねじと化合物反応膜層を全く形成しないボールね
じ(比較例)とを供試体として、図5に示すボールねじ
用トルク測定器を用いて初期起動トルクを測定した比較
試験により、本発明の効果を説明する。トルク測定は、
次の通り行った。
【0039】トルク測定器に取り付けた供試体のボール
ねじのねじ軸1を一対の軸受12で支持し、カップリン
グ17を用いてステッピングモータ13回転させて、ボ
ール3の転動を介してボールねじナット2をねじ軸の軸
方向に駆動する。その時の、ボールねじナット2の周方
向の回転力(回転トルク)を板バネ14に張りつけた歪
みゲージ15により計測した。板ばね14の先端には軸
受16を配して板ばねの軸方向の動きを円滑にした。な
お、負荷ボール3の寸法は、ねじ軸1のねじ溝1bとこ
れに対応するボールねじナット2のねじ溝2bとの間の
螺旋状空間の径寸法6.35mmに対して一定量のオー
バーサイズとなる大きさとして、ボールねじにかかる予
圧量が常に均一になるように調整した。
【0040】ボール径:6.35mm、 材質:SUJ
2 トルク測定結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】表1に示される結果から、本発明に係るボ
ールねじにあっては、化合物反応膜層をボールねじの構
成部材の少なくとも一つに施すことにより、初期トルク
及びその後のトルク変動(トルクスパイク)ともに、軽
減されることが明らかである。特に、微小位置決めに必
要不可欠な低速時のトルク軽減に有効といえる。トルク
変動については、いずれもボールに化合物反応膜層を施
した実施形態例3と実施形態例4とを比べると、実施形
態例3の場合に特に顕著な効果が認められる。これは、
実施形態例3のようにボールが全て同一サイズであるい
わゆる総ボールの場合、隣接するボール同士の引っ掛か
りによるトルク変動が一般的に大きいのに対し、化合物
反応膜層でその引っ掛かりが抑制されたためである。そ
の結果、総ボールに比べて本来トルク変動が少ないスペ
ーサボールを用いた実施形態例4よりもトルク変動が少
なくなったと考えられる。
【0043】なお、本発明の化合物反応膜層の形成にあ
たり、反応液中に酸化防止剤を添加して反応液自体の酸
化を抑制すると共に被処理部材の表面に形成される化合
物中に酸素を取り込むようにしても良い。また、化合物
反応膜層の形成方法は上記各実施形態例に限定されず、
形成すべき部位の材質,形状,必要とされる膜厚によっ
て反応液の温度,処理時間等を選定することが可能であ
り、また、被処理部材を反応液中に浸漬するかわりに、
スプレーやオイルプレーティングなどの手段により反応
液を表面に塗布して加熱するようにしてもよい。
【0044】また、本発明に係るボールねじのタイプと
して上記実施形態例では循環駒式のものを示したが、こ
れに限定されることはなく、その他チューブ循環式やエ
ンドキャップ循環式等にたいしても適用可能である。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るボー
ルねじは、少なくとも一部の構成部材の表面に化合物反
応膜層を形成したため、金属表面の潤滑剤に対する油性
向上力が増進されて、起動時のトルクが軽減でき、特に
微小位置決めに必要不可欠な低速時のトルクが軽減でき
ると共に、トルク変動も顕著に抑制できるという効果を
奏する。
【0046】上記トルク軽減効果は、ボールねじのねじ
溝に対するボールのサイズを相対的に大きくして予圧量
を増やしても維持できることから、従来は両立が難しか
った高剛性で且つ軽トルクで微小位置決め精度が保証し
得るボールねじを提供することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機リン化合物反応膜層の厚み測定例を示すグ
ラフである。
【図2】本発明の一実施形態例の一部を切り開いて示す
斜視図である。
【図3】図2に示したものの循環駒の斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態例のボール配列を示す模式
図である。
【図5】ボールねじ用トルク測定器の概要図である。
【符号の説明】
1 ねじ軸 1b ねじ溝 2 ボールねじナット 2b ねじ溝 3 ボール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 邦彦 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 八谷 耕一 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周面に螺旋状のねじ溝を有するねじ軸
    と、前記ねじ軸のねじ溝に対応するねじ溝を有して前記
    ねじ軸に遊嵌されるボールねじナットと、前記両ねじ溝
    間の螺旋状空間内を転動しつつ循環する多数のボールと
    を具えたボールねじにおいて、 前記ねじ軸,ボールねじナット,ボールのうちの少なく
    ともいずれか一つの部材の金属面に、当該部材の金属成
    分と酸素,リン,イオウおよび塩素からなる群れから選
    ばれた少なくとも一つの元素とを主体とする化合物の反
    応膜層を形成すると共に、前記両ねじ溝間の螺旋状空間
    内に潤滑剤を充填したことを特徴とするボールねじ。
JP2435896A 1996-02-09 1996-02-09 ボールねじ Pending JPH09217809A (ja)

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