JPH09216827A - 毛母細胞賦活剤およびそれを配合してなる養毛剤組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた脱毛防止・発毛効果を有する毛母細胞
賦活剤およびそれを配合してなる養毛剤組成物を提供す
ること。 【解決手段】 オウゴンの水抽出物からなる毛母細胞賦
活剤およびそれを配合した養毛剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、脱毛防止、発毛に
有用な毛母細胞賦活剤およびそれを配合してなる養毛剤
組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、禿や脱毛の原因を取り除くた
め、あるいは、軽減するために、各種薬剤を配合した養
毛化粧料が知られている。これらの養毛化粧料には、例
えば、毛根への血流量を改善するために、センブリエキ
スやアセチルコリン誘導体などが配合されたり、抗男性
ホルモンとしてエストラジオ−ルなどの女性ホルモン剤
が配合されたり、頭皮代謝の改善のためにヒノキチオ−
ルなどが配合され、脱毛症の予防および治療が試みられ
ている。

【０００３】しかし、脱毛や発毛の機構は非常に複雑
で、従来の養毛剤組成物のように、血行促進や男性ホル
モンの低活性化あるいは頭皮代謝の改善を行うだけで
は、満足できる脱毛防止や発毛効果は得られていない。
一方、男性型脱毛症や老人性脱毛ではその毛包が小さ
く、毛を再生する毛母細胞の活性が低下している。した
がって、毛母細胞を活性化することが脱毛防止や発毛に
効果があると考えられる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、活性
が低下した毛母細胞を賦活化することにより脱毛防止、
発毛に有用な毛母細胞賦活剤およびそれを配合してなる
養毛剤組成物を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な事情に鑑みて、毛母細胞を賦活させる活性を有する成
分について鋭意研究を重ねた結果、オウゴンの水抽出
物、とりわけ、特定の分子量画分が、非常に優れた毛母
細胞賦活作用を有することを見い出し本発明に至った。

【０００６】すなわち、本発明は、オウゴンの水抽出物
を含有する毛母細胞賦活剤およびそれを配合してなる養
毛剤組成物を提供するものである。本発明によれば、上
記のような問題を解消して、脱毛防止、発毛に有用な毛
母細胞賦活剤およびそれを配合してなる養毛剤組成物が
提供できる。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明の毛母細胞賦活剤の有効成
分として用いるオウゴンの水抽出物は、特に限定するも
のではないが、例えば、オウゴンの水粗抽出物およびそ
の精製画分が挙げられ、精製画分としては、水粗抽出物
を限外ろ過した分画分子量１３,０００以下の画分およ
び、これをさらにゲルろ過した分子量１,０００〜３,０
００の画分が好ましい。

【０００８】本発明のオウゴンの水抽出物は、例えば、
オウゴン［Scutellaria baicalensis Georgi（シソ科）
の根部]を単純に水で粗抽出して得られるものであって
よい。例えば、オウゴンの乾燥物（細切あるいは粉砕し
たもの）１部に対して水１０重量部を加え、室温〜８０
℃の温度範囲で約１〜６時間穏やかに撹拌しながら抽出
したものが挙げられる。粗抽出物は、そのままの粗抽出
液の状態でも、あるいは、常法に従って濃縮、乾固した
液体または固体の状態でも使用に供することができる。

【０００９】好ましいオウゴンの水抽出物は、前記のオ
ウゴンの水粗抽出物を限外ろ過に付すことにより得られ
る分子量１３,０００以下の画分である。

【００１０】また、前記の限外ろ過液をさらに、例え
ば、セファデックスＧ−２５等のカラムを用いたゲルろ
過に付することにより得られる分子量１,０００〜３,０
００の画分も好ましい。これらの画分も、そのまま、あ
るいは、常法に従って濃縮、乾固した液体または固体の
状態でも使用に供することができる。

【００１１】本発明の毛母細胞賦活剤は、前記のように
して得られたオウゴンの水抽出物自体でもよく、また、
それを有効成分とし、例えば、公知の賦形剤、溶剤、防
腐剤、キレート化剤、香料等の添加剤を適宜配合して、
常法により得られる液体または固体の剤形としてもよ
い。本発明の毛母細胞賦活剤には、特に限定するもので
はないが、通常、少なくとも、水粗抽出液の固形分濃度
として、０.００１重量％（分子量１３,０００以下の画
分の固形分濃度として、０.００１重量％、分子量１,０
００〜３,０００の画分の固形濃度として、０.０００１
重量％）含有させることが好ましい。

【００１２】本発明の養毛剤組成物は、本発明の毛母細
胞賦活剤を有効成分として配合することを特徴とするも
ので、他の配合成分は、通常、公知の養毛剤組成物に配
合される成分いずれでもよい。養毛剤組成物に配合され
る有効成分の量は、特に限定するものではないが、通
常、水粗抽出液の固形分濃度として、０.００１〜１０
重量％（分子量１３,０００以下の画分の固形分濃度と
して、０.００１〜１０重量％、分子量１,０００〜３,
０００の画分の固形分濃度として、０.０００１〜１重
量％）である。本発明に係る養毛剤組成物は、常法に従
ってヘアークリーム、ヘアーローション、ヘアートニッ
クなどの通常公知のいずれの剤形とすることもできる。

【００１３】

【実施例】つぎに、実施例および試験例を挙げて本発明
をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定され
るものではない。 実施例１ オウゴンの水抽出液の製造 オウゴン末１Ｋｇに対して、精製水１０Ｋｇを加え、５
０℃で６時間おだやかに撹拌しながら抽出する。抽出液
をろ過することにより、オウゴンの水抽出液を得る。

【００１４】実施例２ 限外ろ過による精製 上記抽出液を限外ろ過膜（分画分子量１３,０００）を
通過させることにより、限外ろ過液を得る。

【００１５】実施例３ ゲルろ過による精製 上記限外ろ過液を、セファデックスＧ−２５カラムを通
過させ、分子量が１,０００〜３,０００となる画分を回
収することにより、ゲルろ過液を得る。

【００１６】参考例１ エタノール抽出液 オウゴン末１Ｋｇに対してエタノール１０Ｋｇを加え、
５０℃で６時間おだやかに撹拌しながら抽出する。抽出
液をろ過することにより、オウゴンのエタノール抽出液
を得る。

【００１７】試験例１ 培養毛母細胞の増殖に対する作用試験 マウスの毛組織を採取し、無血清培地で毛母細胞を培養
した（Tanigaki N. etal.(1990) Arch. Dermatol. Res.
282:402-407）。実施例１で得られたオウゴン水抽出
液、参考例１で得られたエタノール抽出液あるいは実施
例２および３で得られた水抽出液の分画液を培地に溶解
して０.０５〜５０μｇ／ｍｌの濃度になるように調整
した。培養開始１日目に水抽出液、エタノール抽出液あ
るいは水抽出液の分画液をそれぞれ添加した。６日間培
養した後、細胞をシャ−レより剥離し、細胞数を求め
た。オウゴン水抽出液あるいはその分画液の効果は、対
照群（無血清培地のみで培養した群）の細胞数を１００
％とした場合の相対的割合で表した。結果を表１および
２に示す。

【００１８】 表１ 細胞数 増殖 検 体 相対値（％） 促進率（％） 培地のみ（対照群） １００ − 水抽出液 ０.５μｇ／ｍｌ １２５ ２５ ５ １４６ ４６ ５０ １５２ ５２ エタノール抽出液 ０.５μｇ／ｍｌ １０７ ７ ５ １０８ ８ ５０ １０１ １

【００１９】表１より明らかなように、オウゴンの水抽
出液は培養毛母細胞の顕著な増殖促進効果を有してい
た。

【００２０】 表２ 細胞数 増殖 検 体 相対値（％） 促進率（％） 培地のみ（対照群） １００ − 水抽出液 分子量１３,０００以下の画分 ０.５μｇ／ｍｌ １４４ ４４ ５ １６５ ６５ ５０ １７２ ７２ 分子量１３,０００以上の画分 ０.５μｇ／ｍｌ １０５ ５ ５ １１０ １０ ５０ １１２ １２ 分子量１,０００〜３,０００の画分 ０.５μｇ／ｍｌ １４９ ４９ ５ １８０ ８０ ５０ １７７ ７７

【００２１】表２より明らかなように、オウゴン水抽出
液の中でも、分子量１３,０００以下の画分、特に分子
量１,０００〜３,０００の画分は培養毛母細胞の優れた
増殖促進効果を有していた。

【００２２】試験例２ Ｃ３Ｈマウスによる発毛促進試験 オウゴン水抽出液、エタノール抽出液あるいは水抽出液
の分画液を水に溶解して０.１重量％の濃度になるよう
に調整した。８週令のＣ３Ｈ雄性マウスの背部を約２×
４ｃｍの大きさに刈毛後、翌日より前記溶液を１日、１
回、１５日間刈毛部に０.１ｍｌずつ塗布し、その部位
の毛の再生に及ぼす影響を検討した。オウゴン水抽出液
あるいはその分画液の効果は、対照群（水塗布群）の毛
重量を１００％とした場合の相対的割合で表した。結果
を表３および４に示す。

【００２３】 表３ 毛重量 発毛 検 体 相対値（％） 促進率（％） 水（対照群） １００ − 水抽出液 ２３６ １３６ エタノール抽出液 １８０ ８０

【００２４】表３より明らかなごとく、オウゴン水抽出
液は対照と比較して顕著な発毛促進効果を有する。

【００２５】 表４ 毛重量 発毛 検 体 相対値（％） 促進率（％） 水（対照群） １００ − 水抽出液 分子量１３,０００以下の画分 ３７２ ２７２ 分子量１３,０００以上の画分 １４１ ４１ 分子量１,０００〜３,０００の画分 ３９８ ２９８

【００２６】表４より明らかなごとく、オウゴン水抽出
液中の分子量１３,０００以下の画分、特に、分子量１,
０００〜３,０００の画分は、対照と比較して優れた発
毛促進効果を有する。

【００２７】実施例４ 以下の処方に従い、常法によりヘアトニックを製造し
た。

【００２８】実施例５ 以下の処方に従い、常法によりロ−ションを製造した。

【００２９】実施例６ 以下の処方に従い、常法によりヘアクリ−ムを製造し
た。

【００３０】

【発明の効果】本発明の毛母細胞賦活剤は、優れた脱毛
防止、発毛効果等の養毛作用を有し、医薬品、医薬部外
品、化粧品分野で利用される養毛剤組成物へ応用するこ
とができる。

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 オウゴンの水抽出物を含有する毛母細胞
   賦活剤。
2. 【請求項２】 抽出物が、オウゴンの水粗抽出物である
   毛母細胞賦活剤。
3. 【請求項３】 抽出物が、オウゴンの水粗抽出物を限外
   ろ過に付して得られる、分子量１３,０００以下の画分
   である請求項１記載の毛母細胞賦活剤。
4. 【請求項４】 抽出物が、請求項３記載の画分をさらに
   ゲルろ過に付して得られる、分子量１,０００〜３,００
   ０の画分である請求項１記載の毛母細胞賦活剤。
5. 【請求項５】 請求項１記載の毛母細胞賦活剤を配合し
   てなる養毛剤組成物。
6. 【請求項６】 請求項２記載の毛母細胞賦活剤を配合し
   てなる養毛剤組成物。
7. 【請求項７】 請求項３記載の毛母細胞賦活剤を配合し
   てなる養毛剤組成物。
8. 【請求項８】 請求項４記載の毛母細胞賦活剤を配合し
   てなる養毛剤組成物。