JPH09209069A - 展伸用耐磨耗性Al合金及び展伸用耐磨耗性Al合金よりなるスクロール、並びにそれらの製造方法 - Google Patents

展伸用耐磨耗性Al合金及び展伸用耐磨耗性Al合金よりなるスクロール、並びにそれらの製造方法

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JPH09209069A
JPH09209069A JP27876396A JP27876396A JPH09209069A JP H09209069 A JPH09209069 A JP H09209069A JP 27876396 A JP27876396 A JP 27876396A JP 27876396 A JP27876396 A JP 27876396A JP H09209069 A JPH09209069 A JP H09209069A
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alloy
particles
less
wear
forging
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JP27876396A
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English (en)
Inventor
Akira Ichinose
晃 市之瀬
Akira Hideno
晃 秀野
Nobuaki Ohara
伸昭 大原
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Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高強度、高耐磨耗性、高温での疲労強度、優
れた靭性、高抗折値を有するAl合金及びその製造方法
を提供する。 【解決手段】 Si:8.0〜13.0wt%、Fe:
0.1〜0.5wt%、Cu:1.0〜5.0wt%、
Mg:0.4〜1.5wt%、Cr:0.05〜0.5
wt%、Ni:0.05〜0.5wt%、Sr:0.0
05〜0.05wt%、又はSb:0.05〜0.3w
t%、残部がAl及び不可避不純物よりなり、前記不可
避不純物のMnを0.04wt%以下に規制したAl合
金でSi粒子を微細分散させた金属組織を有し、Si粒
子の円相当径の平均が5.00μm以下でかつ円形度の
平均が0.50以上である展伸用耐磨耗性Al合金。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、展伸用耐磨耗性A
l合金及びその製造方法、並びに鍛造加工により成形し
た展伸用耐磨耗性Al合金よりなるスクロール及びその
製造方法に関するものである。特に、エアコン用コンプ
レッサー、自動車部品であるエンジン用ピストン、バル
ブリフター、あるいはロッカーアーム等に使用される展
伸用耐磨耗性Al合金及びその製造方法に関するもの
で、材料に要求される高強度、高耐磨耗性の他に特に高
温での疲労強度に優れ、高靭性、高抗折値を有するAl
合金及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、高強度及び高耐磨耗性が要求され
る自動車部品、電機製品、機械部品等にはAl−Si系
の4032合金(Al−12wt%Si−1.0wt%
Mg−1.0wt%Ni合金)押出材、AC8A合金
(Al−12wt%Si−1.0wt%Mg−1.0w
t%Cu−1.0wt%Ni合金)鋳物、ADC12合
金(Al−11wt%Si−2.5wt%Cu合金)ダ
イカストなどが用いられてきた。また、このような部品
は近年、寸法の高精度化、高強度化及び軽量化のために
アルミニウム合金の押出材又は鋳造棒材を鋳造(熱間、
冷間)加工して使われる比率が高くなってきている。一
方、アルミニウム合金の需要に伴い、その要求品質にお
いても変化し、且つより高くなりつつある。
【0003】例えば、エアコンのコンプレッサーに用い
られるスクロール、ワッブルプレートの部品には高強度
及び高耐磨耗性と共に靭性や高温での疲労強度の改善が
望まれている。同様に自動車部品でもエンジン部のピス
トン、バルブリフター及びロッカーアームについては1
00〜200℃の高温環境下で高強度及び高耐磨耗性が
要求されると共に高温での疲労強度や靭性の高い材料が
望まれている。しかし従来の前記組成のアルミニウム合
金押出材又は鋳造棒材では高強度、高耐磨耗性の他に、
高温での高疲労強度と高靭性を兼ね備えた材料は得られ
ていない。また、このような用途を目的として、Al−
6〜15wt%Si−Cu−Mg−Ni合金に少量のF
e、Mn、Cr、Sr、Tiを添加したAl合金押出材
も提案されているが(例えば特開平7−19716
4)、各種の特性を全て兼ね備えているとはいえず、特
に高温疲労強度、靭性の点で劣るという問題があった。
さらに、これらの摺動部材としての部品形状も複雑化
し、上記特性に加え新たにコンプレッサースクロールに
代表されるような抗折強度も要求されるようになってき
ており、これらの高温疲労強度、靭性、抗折強度の全て
に優れた材料はこれまで存在しなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
の問題を解決することであり、高強度、高耐磨耗性の他
に特に高温での疲労強度、優れた靭性、高抗折値を有す
るAl合金及びその製造方法を提供するものであり、具
体的には自動車部品、電機部品、機械部品等に使用され
る高強度、高耐磨耗性を有する亜共晶、共晶組成のAl
−Si系合金において、高強度、高耐磨耗性の他に特に
高温での疲労強度と靭性、抗折値を改善すること、即ち
これらの特性をすべて兼ね備えたAl−Si系合金材、
Al合金よりなるスクロール及びそれらの製造方法を提
供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、 Si:8.0〜13.0wt% Fe:0.1〜0.5wt% Cu:1.0〜5.0wt% Mg:0.4〜1.5wt% Cr:0.05〜0.5wt% Ni:0.05〜0.5wt% Sr:0.005〜0.05wt%、又はSb:0.0
5〜0.3wt%、残部がAl及び不可避不純物よりな
り、前記不可避不純物のMnを0.04wt%以下に規
制したAl合金で、Si粒子を微細分散させた金属組織
を有し前記Si粒子の円相当径の平均が5.00μm以
下でかつ円形度の平均が0.50以上であり、焼入時効
硬化熱処理状態で優れた高温疲労強度、靭性、抗折強度
を有することを特徴とする展伸用耐磨耗性Al合金であ
る。
【0006】また本発明は、 Si:8.0〜13.0wt% Fe:0.1〜0.5wt% Cu:1.0〜5.0wt% Mg:0.4〜1.5wt% Cr:0.05〜0.5wt% Ni:0.05〜0.5wt% Sr:0.005〜0.05wt%、又はSb:0.0
5〜0.3wt% Zn:0.25wt%以下、残部がAl及び不可避不純
物よりなり、前記不可避不純物のMnを0.04wt%
以下に規制したAl合金で、Si粒子を微細分散させた
金属組織を有し前記Si粒子の円相当径の平均が5.0
0μm以下でかつ円形度の平均が0.50以上であり、
焼入時効硬化熱処理状態で優れた高温疲労強度、靭性、
抗折強度を有することを特徴とする展伸用耐磨耗性Al
合金である。
【0007】また本発明は、 Si:8.0〜13.0wt% Fe:0.1〜0.5wt% Cu:1.0〜5.0wt% Mg:0.4〜1.5wt% Cr:0.05〜0.5wt% Ni:0.05〜0.5wt% Sr:0.005〜0.05wt%、又はSb:0.0
5〜0.3wt% Ti:0.1wt%以下、及び/又はB:0.05wt
%以下、残部がAl及び不可避不純物よりなり、前記不
可避不純物のMnを0.04wt%以下に規制したAl
合金で、Si粒子を微細分散させた金属組織を有し前記
Si粒子の円相当径の平均が5.00μm以下でかつ円
形度の平均が0.50以上であり、焼入時効硬化熱処理
状態で優れた高温疲労強度、靭性、抗折強度を有するこ
とを特徴とする展伸用耐磨耗性Al合金である。
【0008】また本発明は、 Si:8.0〜13.0wt% Fe:0.1〜0.5wt% Cu:1.0〜5.0wt% Mg:0.4〜1.5wt% Cr:0.05〜0.5wt% Ni:0.05〜0.5wt% Sr:0.005〜0.05wt%、又はSb:0.0
5〜0.3wt% Zn:0.25wt%以下 Ti:0.1wt%以下、及び/又はB:0.05wt
%以下、残部がAl及び不可避不純物よりなり、前記不
可避不純物のMnを0.04wt%以下に規制したAl
合金で、Si粒子を微細分散させた金属組織を有し前記
Si粒子の円相当径の平均が5.00μm以下でかつ円
形度の平均が0.50以上であり、焼入時効硬化熱処理
状態で優れた高温疲労強度、靭性、抗折強度を有するこ
とを特徴とする展伸用耐磨耗性Al合金である。
【0009】また本発明は、Al合金鋳塊を480〜5
40℃で2時間以上均質化熱処理し、その後熱間押出又
は熱間圧延を行って、Si粒子を微細分散させた金属組
織を有し前記Si粒子の円相当径の平均が5.00μm
以下でかつ円形度の平均が0.50以上とし、続いて鍛
造加工し、490℃〜520℃で30分〜4時間保持後
水焼入れし、次いで人工時効処理を170℃〜190℃
で4〜16時間施す焼入時効硬化熱処理を行うことを特
徴とする上述のいずれかに記載の展伸用耐磨耗性Al合
金の製造方法である。
【0010】また本発明は、鍛造加工により成形した
後、焼入時効硬化熱処理をしたものであることを特徴と
する上述のいずれかに記載の展伸用耐磨耗性Al合金よ
りなるスクロールである。また本発明は、鍛造加工によ
る成形が、鍛造型温度120〜170℃、素材温度22
0〜370℃、ラム降下速度200〜800mm/se
cの条件で、MoSを含有させた冷間鍛造用潤滑剤を
用いて一回の鍛造加工により成形したものであることを
特徴とする上述の展伸用耐磨耗性Al合金よりなるスク
ロールである。
【0011】さらに、発明は、Al合金鋳塊を480〜
540℃で2時間以上均質化熱処理し、その後熱間押出
又は熱間圧延を行って、Si粒子を微細分散させた金属
組織を有し前記Si粒子を円相当径の平均が5.00μ
m以下でかつ円形度の平均が0.50以上とし、続いて
鍛造型温度120〜170℃、素材温度220〜370
℃、ラム降下速度200〜800mm/secの条件
で、MoSを含有させた冷間鍛造用潤滑剤を用いて一
回の鍛造加工により成形し、続いて、490℃〜520
℃で30分〜4時間保持後水焼入れ、次いで人工時効処
理を170℃〜190℃で4〜16時間施す焼入時効硬
化熱処理を行うことを特徴とする鍛造加工後の寸法精度
に優れた上記の展伸用耐磨耗性Al合金よりなるスクロ
ールの製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明について詳細に説明する。
まず、合金組成の限定理由について説明する。Siは、
アルミニウム合金のマトリックスに硬い共晶Siとして
晶出し、主に耐磨耗性を改善すると共に熱膨張係数を低
下させる。その含有量を8.0〜13.0wt%と限定
したのは、8.0wt%未満ではその効果に乏しく、ま
た13.0wt%を越えると粗大な初晶Siが晶出し、
靭性及び高温での疲労強度が著しく低下するからであ
る。Si含有量は、好ましくは10.0〜12.0wt
%である。
【0013】Cuは、アルミニウム合金に引張強度及び
耐磨耗性を付与する。その含有量を1.0〜5.0wt
%と限定したのは、1.0wt%未満ではその効果が不
十分であり、5.0wt%を越えると鍛造加工性を著し
く低下させ、さらに耐食性も低下し応力腐食割れが発生
し易くなるためである。Cu含有量は、好ましくは2.
0〜4.0wt%である。
【0014】Mgは、MgSiの析出物を生成して強
度を付与する。その含有量を0.4〜1.5wt%と限
定したのは、0.5wt%未満ではその効果が不十分で
あり、1.5wt%を越えると伸びが低下し、鍛造加工
性及び高温疲労強度が劣化するためである。Mg含有量
は、好ましくは0.5〜1.2wt%である。
【0015】Crは、耐磨耗性を改善する。その含有量
を0.05〜0.5wt%と限定したのは、0.05w
t%未満ではその効果が不十分で、0.5wt%を越え
ると粗大な化合物を生成し、高温での疲労強度を低下さ
せるためである。Cr含有量は、好ましくは0.05〜
0.3wt%である。
【0016】Feは、アルミニウム合金の硬度を上昇さ
せる作用があり、Feを含有させることによりアルミニ
ウム合金の耐磨耗性が向上する。その含有量を0.1〜
0.5wt%と限定したのは、0.1wt%未満ではそ
の効果が不十分であり、0.5wt%を越えると巨大晶
出物が発生し、高温での疲労強度が低下するからであ
る。
【0017】Niは、耐熱性や高温疲労強度を向上させ
る。その含有量を0.05〜0.5wt%と限定したの
は、0.05wt%未満ではその効果が不十分であり、
0.5wt%を越えるとその効果が飽和するばかりでな
くAlNi等の粗大化合物を生成して高温での疲労強
度を低下させるからである。Ni含有量は、好ましくは
0.2〜0.3wt%である。
【0018】Srは、鋳造時に添加され合金の凝固時に
初晶Si、共晶Siを微細化し、耐磨耗性、強度、靭
性、鍛造加工性を改善するが、その添加量を0.005
〜0.05wt%と限定したのは、0.005wt%未
満ではその効果が十分でなく、また0.05wt%を越
えるとその効果が飽和してしまい、いたずらにコスト高
となるからである。Sr含有量は、好ましくは0.01
〜0.03wt%である。
【0019】また、Sbも、Srと同様に、鋳造時に添
加され合金の凝固時に初晶Si、共晶Siを微細化し、
耐磨耗性、強度、靭性、鍛造加工性を改善するもので、
その添加量を0.05〜0.3wt%と限定したのは、
0.05wt%未満ではその効果が十分でなく、また
0.3wt%を越えるとその効果が飽和してしまい、い
たずらにコスト高となるからである。Sb含有量は、好
ましくは0.1〜0.2wt%である。SrとSbは同
時添加しても良いが、その効果が単独添加と変わらない
ため、このように、Sr:0.005〜0.05wt%
を単独での添加含有、もしくはSb:0.05〜0.3
wt%を単独で添加含有させるものである。
【0020】Znは、アルミニウム合金の硬度を上昇さ
せる作用があり、Znを含有させることにより耐磨耗性
を向上させるものである。その含有量を0.25wt%
以下と限定したのは、0.25wt%を越えると鍛造加
工性を低下させ、また耐食性も低下し応力腐食割れが発
生し易くなるためである。Zn含有量は、好ましくは
0.15wt%以下である。
【0021】Tiは、本発明のアルミニウム合金のマト
リックスの結晶粒を微細化させるもので、その含有量を
0.1wt%以下としのは、0.1wt%を越えるとそ
の効果が飽和するとともに、粗大金属間化合物を生成し
て高温疲労強度を低下させるからである。Ti含有量
は、好ましくは0.08wt%以下である。Bは、Ti
と同様に結晶粒を微細化させるもので、その含有量を
0.05wt%以下としのは、0.05wt%を越える
とその効果が飽和するとともに、粗大金属間化合物であ
るAlBが晶出し高温疲労強度を低下させるからであ
る。B含有量は、好ましくは0.01wt%以下であ
る。そして、Ti:0.1wt%以下を単独での含有、
B:0.05wt%以下を単独での含有、もしくはT
i:0.1wt%以下とB:0.05wt%以下の両者
を含有させるものである。
【0022】不純物のMnは、その含有量を0.04w
t%以下に規制する必要がある。その理由は、初晶S
i、共晶Siを球状化すると同時に粗大化を防止し、高
温での疲労強度、靭性を改善するためである。Mnが
0.04wt%を越えて含有すると初晶Siの晶出粗大
化及び共晶Siの粗大化を誘発すると共にAl−Fe−
Si−Mn系粗大金属間化合物を生成し、高温での疲労
強度、靭性を著しく低下させ、またそのバラツキを大き
くする。好ましくは、Mnの含有量を0.02wt%以
下に規制することが望ましい。
【0023】次に、本発明におけるSi粒子の分散状態
について説明する。Si粒子の粒径だけでなく形状(円
形度)を制御していることが本発明の特徴である。ここ
で、Si粒子の円形度とは、円形の程度を表し、真円を
1とした場合の粒子の平均的な円形の程度を表すパラメ
ータである。これらの測定は、金属組織写真の画像解析
により、例えば以下のようにして求めることが出来る。
【0024】試験材の組織について、金属顕微鏡により
400倍で撮影したミクロ組織写真を画像解析装置によ
り画像解析を行いSi粒子の大きさ、形状の測定する。
Si粒子の大きさは、画像解析によりSi粒子面積を面
積等価の円に置き換えて、その円を代表して平均Si粒
子径とする平均円相当径を下記により求める。 またSi粒子の形状は、画像解析により真円を1とした
場合の円形の程度である平均円形度を下記により求め
る。
【0025】このSi粒子の円形度について図1に示
す。これは本発明の展伸用耐磨耗性Al合金における金
属組織中に分散しているSi粒子の中の形状を例示し
て、その円形度を示す。図1(a)の形状1はSi粒子
がほぼ真円のもので、円形度は1.00である。図1
(b)の形状2はSi粒子の円形度は0.78であり、
図1(c)の形状3はSi粒子の円形度は0.50であ
る。図1(d)の形状4はSi粒子は針状をしており、
その円形度は0.36である。そして、Si粒子の円形
度の平均が0.50以上とは、種々の形状のSi粒子の
円形度を平均したものが0.50以上ということであ
る。
【0026】本発明における金属組織中に分散したSi
粒子の大きさ及び形状が、円相当径で5.00μm以下
であり、かつ円形度で0.50以上というようにSr又
はSbの添加、Mn含有量の抑制、均熱、押出条件の選
定等により、Si粒子の粒径(円相当径)と形状(円形
度)を同時に制御したのは、Si粒子の大きさ(円相当
径)を5.00μm以下に制御しても形状が角張ってい
ると、Si粒子とマトリックスの界面での亀裂が発生
し、高温での疲労強度、靭性が低下し、Si粒子の大き
さ、形状がこの範囲外のものでは、疲労強度、靭性と抗
折強度が劣るようになるためである。なお、Si粒子は
円相当径で3.00μm以下でかつ円形度で0.50以
上とするのがより好ましい。
【0027】図2(a)(b)は、Al−Si系合金材
の金属組織におけるSi粒子の分布(大きさ、形状)を
示す顕微鏡写真(×400)である。図2(a)は本発
明に係わるもの(表1に示す本発明例No.1)で、M
n0.01wt%、円相当径2.85μm、円形度0.
62であり、Si粒子は微細で丸みをおびていることが
わかる。また、図2(b)は従来のもの(表3に示す比
較例No.21)で、Mn0.08wt%、円相当径
3.91μm、円形度0.35であり、円相当径は本発
明の5.00μm以下を満足するが円形度は本発明を満
足せず、Si粒子はやや大きく角ばっていることがわか
る。本発明のAl−Si系合金のSi粒子の円相当径及
び円形度は、合金組成(SrまたはSbの積極添加とM
n量の添加を規制すること)、鋳塊ビレットの均質化熱
処理条件、熱間押出加工でほぼ決まり、その後の鍛造加
工、熱処理では殆ど変化はない。
【0028】また本発明は、前述のように合金組成、金
属組織中のSi粒子の分散(円相当径、円形度)を制御
した材料を、熱間押出後、鍛造加工等で所定の形状に加
工した後、最終的に焼入時効硬化熱処理した材料(T6
材 溶体化処理後人工時効硬化処理したもの)である
が、このような熱処理を受けた材料は、高強度、高耐磨
耗性を有すると共に、高温での疲労強度、靭性、抗折値
が優れたものである。
【0029】次に、本発明の展伸用耐磨耗性Al合金の
製造方法について説明する。即ち、本発明は前述した組
成のAl合金鋳塊ビレットを480〜540℃で2時間
以上均質化熱処理し、その後熱間押出を行って、その金
属組織におけるSi粒の円相当径が5.00μm以下で
かつ円形度が0.50以上とし、続いて鍛造加工後、焼
入時効硬化熱処理(T6処理 溶体化処理後人工時効硬
化処理)を行うものである。
【0030】ここで、480〜540℃で2時間以上均
質化熱処理するのは、鋳塊のミクロ偏析を分散させたり
添加元素の析出物を固溶させることと、Siの板状、針
状晶出物を微細化、球状化するためである。温度が48
0℃より低く時間が短い場合はその効果がなく前記の各
特性がえられない。また、温度が540℃より高い場合
は溶融のおそれがある。従って、鋳塊の均質化熱処理は
前記の範囲で行う。なお時間は長時間でもさしつかえな
いが不経済であり、16時間以下が好ましい。
【0031】その後熱間押出を行うのは、鋳塊の共晶S
iを分断、微細化し、マトリックス中に細かく分散させ
てその金属組織におけるSi粒子を円相当径で5.00
μm以下、円形度で0.50以上とするためである。熱
間押出に換えて熱間圧延を行って同様な金属組織とする
ことができる。
【0032】続いて鍛造加工、焼入時効硬化熱処理(T
6処理溶体化処理後人工時効硬化処理)を行うのは、鍛
造加工で所定の形状に成形した後、使用状態での各特性
を更に向上させるためのもので、本発明の合金組成のも
のでは、490℃〜520℃で30分〜4時間保持後水
焼入れ、次いで人工時効処理を170℃〜190℃で4
〜16時間施す焼入時効硬化熱処理を行うことにより高
温での疲労強度、靭性、抗折値、強度、耐磨耗性を向上
させるものである。
【0033】これは、Si粒の円相当径及び円形度は、
本発明の合金組成(特にSr、Sbと不純物のMnを
0.04wt%以下に規制すること)、合金鋳塊ビレッ
トの均質化熱処理条件、熱間押出加工又は熱間圧延でほ
ぼ決まり、その後の鍛造加工、熱処理ではSi粒の円相
当径及び円形度は殆ど変化はなく、高温での疲労強度、
靭性、抗折値、強度、耐磨耗性等を向上させるものであ
る。
【0034】本発明は、特定の合金組成でその金属組織
のSi粒子の分散を特定した展伸用耐磨耗性Al合金
で、鍛造加工により成形した後焼入時効硬化熱処理を行
ったものは高温での疲労強度、靭性、抗折値、強度、耐
磨耗性等に優れる特徴を有しており、スクロールに成形
して用いることが好ましいものである。その鍛造加工に
よる成形は、鍛造型温度120〜170℃、素材温度2
20〜370℃、ラム降下速度200〜800mm/s
ecの条件で、MoSを含有させた冷間鍛造用潤滑剤
を用いて一回の鍛造加工により成形するものである。
【0035】ここで、本発明の合金組成のAl合金製ス
クロールの鍛造加工による成形について説明する。鍛造
型温度を120〜170℃と限定したのは、120℃未
満では素材に割れが生じ易くなり、鍛造型内での鍛造加
工による成形時に素材の流れが悪くなる。また、170
℃を越えると得られたものの成形品の寸法精度と表面品
質が悪くなるからである。鍛造加工時の素材温度を22
0〜370℃と限定したのは、材料温度が220℃未満
では鍛造が困難であり、370℃を越えると鍛造後の組
織が変化すると共にMoSの潤滑作用が不十分となる
からである。
【0036】ラム降下速度を200〜800mm/se
cと限定したのは、200mm/sec未満では、素材
の温度が低下し鍛造時に素材の割れが生じ易くなり、鍛
造金型内のメタルの流れが悪くなり、また800mm/
secを越えると素材加工による発熱で温度が上昇して
鍛造後の組織が変化するからである。好ましくは、ラム
降下速度は400〜600mm/secである。なお、
ここでいうラム降下速度とは、鍛造型である金型の下型
に対する上型の加工速度の意味である。また、スクロー
ルは、渦巻き状のスクロール部を備えたものである。
【0037】また、スクロールは渦巻き状で形状が複雑
であるにもかかわらず、一回の鍛造加工により成形でき
るのは、Si粒子が微細分散した材料を使用し、上述し
たような条件、即ち鍛造型温度120〜170℃、素材
温度220〜370℃、ラム降下速度200〜800m
m/secの条件で、MoSを含有させた冷間鍛造用
潤滑剤を用いて成形することにより、鍛造型内で力が素
材の内部まで伝えられ、複雑な形状であるスクロールを
成形することができ、それにより内部に欠陥のないスク
ロールを得ることができる。また、MoSを含有させ
た冷間鍛造用潤滑材は、MoSを油脂や鉱油に分散さ
せたものが用いられる。
【0038】また、上述したような鍛造加工の条件で、
本発明における合金組成で金属組織中のSi粒の分散を
特定した展伸用耐磨耗性Al合金のスクロールを成形す
ることにより、内部欠陥がなく、鍛造加工後の寸法精度
に優れ、かつ表面にも欠陥のないものが得られるので、
疲労強度に影響を与える要因が除かれた展伸用耐磨耗性
Al合金のスクロールを成形することができる。
【0039】なお、本発明の合金組成のAl合金製スク
ロールの製造方法における、Al合金鋳塊を480〜5
40℃で2時間以上均質化熱処理し、その後熱間押出又
は熱間圧延を行って、Si粒子を微細分散させた金属組
織を有し、Si粒子を円相当径の平均が5.00μm以
下でかつ円形度の平均が0.50以上とすること、及び
人工時効処理を170℃〜190℃で4〜16時間施す
焼入時効硬化熱処理を行うことについては上述したとこ
ろである。
【0040】
【実施例1】本発明の第1の実施例について、表1〜表
4で説明する。表1及び表2は本発明例で、その焼入時
効硬化材(T6)での機械的特性評価結果であり、表3
及び表4は比較例で、その焼入時効硬化材(T6)での
機械的特性評価結果である。表1〜表4において、それ
ぞれの合金組成のAl合金鋳塊(直径220mm)を半
連続鋳造法によって製造した。この鋳塊ビレットを表
1、表3に示す480〜520℃×4〜12hrの条件
で均質化熱処理した後、押出温度420℃で熱間押出加
工し、直径80mmの押出棒とした。
【0041】この押出棒を機械的性質、高温疲労強度及
び靭性、耐磨耗性の評価のために、焼き入れと人工時効
硬化処理を施した焼入時効硬化熱処理した材料(T6
材、溶体化処理後人工時効硬化処理したもの)を作製し
た。このようにして得られた素材について下記により試
験材を作製し、機械的性質、高温疲労強度、靭性、耐磨
耗性、抗折強度を試験により求めた。
【0042】これらの試験方法は、以下のとおりであ
る。 (1)機械的性質 試験片はJIS4号丸棒試験片を使用した。測定項目
は、引張強さ、耐力及び伸びである。 (2)靭性(破壊強度特性) 試験片は、シャルピー衝撃試験法によるシャルピー衝撃
値の計測を行った。
【0043】(3)耐磨耗性試験 大越式耐磨耗試験機を用いて、下記の条件により供試材
の比磨耗量を測定し、耐磨耗性を評価した。 潤滑条件:ギヤ油(GL−5) 磨耗距離:湿式200mm 荷重 :19.7kg 相手材 :SCM21 磨耗速度:3.62m/sec
【0044】(4)高温疲労強度 小野式高温回転曲げ疲労試験機を用いて、下記の条件に
より供試材の高温疲労強度を評価した。 試験温度:150℃ 繰り返し速度:3600ppm 繰り返し数:1×10
【0045】(5)抗折試験 図3に示すように、試験片(1)を2個の支え具(2)
に載せ、押え具(3)で矢印の方向に荷重をかけ、試験
片(1)が破壊するまでの抗折強度と、試験片(1)が
破壊するまでの押え具(3)の矢印の方向ストロークを
測定した。試験片(1)は、長さ350mm、直径20
mmであり、支え具(2)の距離lは300mmであ
る。この抗折試験は、JISZ2203に準拠して行っ
たもので、抗折試験片はB号に準拠したものである。
【0046】また、Si粒子を微細分散させた金属組織
のSi粒子の大きさ(平均円相当径)、形状(平均円形
度)の測定は前記押出材について押出方向と平行な断面
組織について見たもので、具体的には図1、図2につい
て前述したごとく、金属顕微鏡により400倍で撮影し
たミクロ組織写真を画像解析装置により画像解析を行い
Si粒子の大きさ、形状の測定し、この結果を示したも
のである。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0047】表1、表2に示す本発明例(No.1〜1
2)は、いずれも、機械的特性を表す、引張強さ(N/
mm)≧400、耐力(N/mm)≧360、伸び
値(%)≧6.0、高温疲労特性(Kgf/mm)≧
18、靭性(Kg・m/cm)≧0.40、耐磨耗性
(mm/Kg)≧4.0、抗折強度(Kgf)≧80
0、抗折ストローク(mm)≧25であり、総合評価に
「優」と示すように、機械的特性がバランスよく兼ね備
えられたもので、焼入時効硬化熱処理状態T6で優れた
疲労強度、靭性、抗折強度を有する展伸用耐磨耗性Al
合金であることが明らかである。
【0048】これに対して、本発明との比較を示す表3
及び表4の比較例(No.13〜24)は、機械的特性
の引張強さ、耐力、伸び値、高温疲労特性、靭性、耐磨
耗性、抗折強度、抗折ストロークのいずれかで所望の特
性が得られないもので、総合評価に「劣」と示すように
機械的特性がバランスよく兼ね備えられたものではな
い。具体的には、比較例No.13では、引張強さ、耐
力と高温疲労強度が低く所望の特性が得られない。比較
例No.14、No.15では高温疲労特性と靭性、抗
折強度が低い。比較例No.16、No.17では高温
疲労特性、抗折強度が低い。比較例No.18では伸び
が低い、比較例No.19、No.20では高温疲労特
性、抗折強度が低い。また比較例No.21、No.2
2では、Mnを多く含み、かつ円形度が低いもので所望
の特性が得られず、比較例No.23、No.24では
高温疲労特性と靭性、抗折値が低いというように所望の
特性が得られない。
【0049】次ぎに、表5に本発明の製造方法の熱処理
条件についての実施例を示す。表5は、本発明の鍛造加
工後、490℃〜520℃で30分〜4時間保持後水焼
入れ、次いで人工時効処理を170℃〜190℃で4〜
16時間施す、焼入時効硬化熱処理について示すもので
ある。表5の発明例(No.25〜No.28)に示す
ように、本発明の条件で溶体化焼入れ時効硬化処理を行
ったものは、総合評価に「優」と表示したように、機械
的特性がバランスよく兼ね備えられたもので、疲労強
度、靭性、抗折強度を有する展伸用耐磨耗性Al合金を
製造することができるものである。
【0050】表5との比較のために、本発明の条件の範
囲外で溶体化後、焼入時効硬化処理T6の熱処理を行っ
た。480℃×10時間保持後水焼入れし、180℃×
8時間時効処理したものでは、引張強さ、耐力、抗折強
度、抗折ストロークで所望の特性が得られなかった。5
40℃で2時間の熱処理を行ったものは結晶粒が粗大化
し、結晶粒界が共晶溶融する。また505℃×2時間保
持後水焼入れ、170℃×2時間時効処理、或るいは5
05℃×2時間保持後水焼入れ、190℃×20時間時
効処理したものでも所望の特性は得られなかった。
【表5】
【0051】
【実施例2】本発明の第2の実施例によりスクロールに
ついて説明する。合金組成が、Si 11.51wt
%、Fe 0.15wt%、Cu3.43wt%、Mg
0.60wt%、Cr 0.08wt%、Ti 0.
01wt%、Ni 0.26wt%、Sr 0.02w
t%、Mn 0.01wt%、残部Alの合金を直径が
220mmのAl合金鋳塊を半連続鍛造法により製造
し、495±5℃×8時間の均質化処理を施した後、押
出温度420℃で直径80mmの押出棒とした。押出棒
の金属組織はSi粒が分散されたもので、Si粒の円相
当径の平均が5.00μm以下でかつ円形度の平均が
0.50以上であった。
【0052】この押出棒に370℃×2時間の焼鈍処理
を施した後、切断して単重300gの円板状の鍛造用素
材とした。この鍛造用素材に一般的な冷間鍛造用油にM
oSを含有させた潤滑剤を塗布して、280℃に加熱
した。一方、直径80mmのスクロール形状の金型にも
MoS系潤滑剤を塗布し、145℃に加熱した。この
金型は下型と上型とからなるが、この145℃に加熱さ
れた下型に、前記潤滑剤を塗布して280℃に加熱した
鍛造用素材を装入し、同じく120℃に加熱した上型を
降下させ、1回の鍛造加工でスクロールに形成した。こ
の際、上型の降下速度(ラム降下速度)を250mm/
secとした。
【0053】この製品であるスクロールの形状は、図4
に示すように直径80mm、厚さ10mmのフランジ
(12)の片面に高さ13mm、巾2mmの3重の渦巻
状のスクロール部(11)有し、他の片面にボス部(図
示せず)を有するものである。このような鍛造条件でス
クロールを製造した場合、寸法精度の良い製品が得られ
た。鍛造後のスクロールを、495±5℃×2時間保持
後水焼入れし、180±5℃×8時間人工時効処理を施
すT6の焼入時効硬化熱処理を行った。
【0054】スクロールの渦巻き状部の 引張強さ 434 N/mm 耐力 385 N/mm 伸び 6.0 % シャルピー値 0.367 Kg・m/cm 抗折強度 1918 Kgf 抗折ストローク 1.54mm 高温疲労強度 (試験温度150℃、繰り返し速度3600rpm、応
力15.0Kgf/mm 繰り返し回数 2.58×10 であり、高強度、高耐磨耗性、高温での疲労強度、靭
性、高抗折値を有するスクロールを得ることができ、長
期間、安定して使用することができるものであった。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の展伸用耐
磨耗性Al合金によれば、高強度、高耐磨耗性で、かつ
高温での疲労強度、優れた靭性、高抗折値を有するもの
であり、また高強度、高耐磨耗性、高温での疲労強度、
靭性、高抗折値を有するスクロールを得ることがでると
いう工業上顕著な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】Al合金の金属組織におけるSi粒の形状を説
明する図である。
【図2】Al合金の金属組織におけるSi粒の分布(大
きさ、形状)状況を示す顕微鏡写真(×400)であ
り、(a)は本発明に係わるもの、(b)は従来のもの
である。
【図3】抗折試験を示す図
【図4】スクロールの形状を示す図
【符号の説明】
1 試験片 2 支え 3 押え具 11 渦巻状のスクロール部 12 スクロールのフランジ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Si:8.0〜13.0wt% Fe:0.1〜0.5wt% Cu:1.0〜5.0wt% Mg:0.4〜1.5wt% Cr:0.05〜0.5wt% Ni:0.05〜0.5wt% Sr:0.005〜0.05wt%、又はSb:0.0
    5〜0.3wt% 残部がAl及び不可避不純物よりなり、前記不可避不純
    物のMnを0.04wt%以下に規制したAl合金で、
    Si粒子を微細分散させた金属組織を有し前記Si粒子
    の円相当径の平均が5.00μm以下でかつ円形度の平
    均が0.50以上であり、焼入時効硬化熱処理状態で優
    れた高温疲労強度、靭性、抗折強度を有することを特徴
    とする展伸用耐磨耗性Al合金。
  2. 【請求項2】Si:8.0〜13.0wt% Fe:0.1〜0.5wt% Cu:1.0〜5.0wt% Mg:0.4〜1.5wt% Cr:0.05〜0.5wt% Ni:0.05〜0.5wt% Sr:0.005〜0.05wt%、又はSb:0.0
    5〜0.3wt% Zn:0.25wt%以下 残部がAl及び不可避不純物よりなり、前記不可避不純
    物のMnを0.04wt%以下に規制したAl合金で、
    Si粒子を微細分散させた金属組織を有し前記Si粒子
    の円相当径の平均が5.00μm以下でかつ円形度の平
    均が0.50以上であり、焼入時効硬化熱処理状態で優
    れた高温疲労強度、靭性、抗折強度を有することを特徴
    とする展伸用耐磨耗性Al合金。
  3. 【請求項3】Si:8.0〜13.0wt% Fe:0.1〜0.5wt% Cu:1.0〜5.0wt% Mg:0.4〜1.5wt% Cr:0.05〜0.5wt% Ni:0.05〜0.5wt% Sr:0.005〜0.05wt%、又はSb:0.0
    5〜0.3wt% Ti:0.1wt%以下、及び/又はB:0.05wt
    %以下、残部がAl及び不可避不純物よりなり、前記不
    可避不純物のMnを0.04wt%以下に規制したAl
    合金で、Si粒子を微細分散させた金属組織を有し前記
    Si粒子の円相当径の平均が5.00μm以下でかつ円
    形度の平均が0.50以上であり、焼入時効硬化熱処理
    状態で優れた高温疲労強度、靭性、抗折強度を有するこ
    とを特徴とする展伸用耐磨耗性Al合金。
  4. 【請求項4】Si:8.0〜13.0wt% Fe:0.1〜0.5wt% Cu:1.0〜5.0wt% Mg:0.4〜1.5wt% Cr:0.05〜0.5wt% Ni:0.05〜0.5wt% Sr:0.005〜0.05wt%、又はSb:0.0
    5〜0.3wt% Zn:0.25wt%以下 Ti:0.1wt%以下、及び/又はB:0.05wt
    %以下、残部がAl及び不可避不純物よりなり、前記不
    可避不純物のMnを0.04wt%以下に規制したAl
    合金で、Si粒子を微細分散させた金属組織を有し前記
    Si粒子の円相当径の平均が5.00μm以下でかつ円
    形度の平均が0.50以上であり、焼入時効硬化熱処理
    状態で優れた高温疲労強度、靭性、抗折強度を有するこ
    とを特徴とする展伸用耐磨耗性Al合金。
  5. 【請求項5】Al合金鋳塊を480〜540℃で2時間
    以上均質化熱処理し、その後熱間押出又は熱間圧延を行
    って、Si粒子を微細分散させた金属組織を有し前記S
    i粒子を円相当径の平均が5.00μm以下でかつ円形
    度の平均が0.50以上とし、続いて鍛造加工し、49
    0℃〜520℃で30分〜4時間保持後水焼入れし、次
    いで人工時効処理を170℃〜190℃で4〜16時間
    施す焼入時効硬化熱処理を行うことを特徴とする請求項
    1〜4のいずれかに記載の展伸用耐磨耗性Al合金の製
    造方法。
  6. 【請求項6】鍛造加工により成形した後、焼入時効硬化
    熱処理をしたものであることを特徴とする請求項1〜4
    のいずれかに記載の展伸用耐磨耗性Al合金よりなるス
    クロール。
  7. 【請求項7】鍛造加工による成形が、鍛造型温度120
    〜170℃、素材温度220〜370℃、ラム降下速度
    200〜800mm/secの条件で、MoSを含有
    させた冷間鍛造用潤滑剤を用いて一回の鍛造加工により
    成形したものであることを特徴とする請求項6に記載の
    展伸用耐磨耗性Al合金よりなるスクロール。
  8. 【請求項8】Al合金鋳塊を480〜540℃で2時間
    以上均質化熱処理し、その後熱間押出又は熱間圧延を行
    って、Si粒子を微細分散させた金属組織を有し前記S
    i粒子を円相当径の平均が5.00μm以下でかつ円形
    度の平均が0.50以上とし、続いて鍛造型温度120
    〜170℃、素材温度220〜370℃、ラム降下速度
    200〜800mm/secの条件で、MoSを含有
    させた冷間鍛造用潤滑剤を用いて一回の鍛造加工により
    成形し、続いて、490℃〜520℃で30分〜4時間
    保持後水焼入れ、次いで人工時効処理を170℃〜19
    0℃で4〜16時間施す焼入時効硬化熱処理を行うこと
    を特徴とする鍛造加工後の寸法精度に優れた請求項6に
    記載の展伸用耐磨耗性Al合金よりなるスクロールの製
    造方法。
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