JPH09208745A - 樹脂の帯電防止方法及び永久帯電防止性樹脂組成物 - Google Patents

樹脂の帯電防止方法及び永久帯電防止性樹脂組成物

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JPH09208745A
JPH09208745A JP3732396A JP3732396A JPH09208745A JP H09208745 A JPH09208745 A JP H09208745A JP 3732396 A JP3732396 A JP 3732396A JP 3732396 A JP3732396 A JP 3732396A JP H09208745 A JPH09208745 A JP H09208745A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種樹脂組成物の体積抵抗率を低下せしめ、
低温・低湿下でも優れた帯電防止能を半永久的に持続さ
せる方法を提供する。 【解決手段】 樹脂100重量部に対し、体積固有抵抗
率が1012Ω・cm以下である有機変性層状珪酸塩化合
物(例えば有機アンモニウム塩変性層状珪酸塩)2乃至
30重量部を、1次凝集体及び/又は凝集体の短径が5
00nm以下の2次凝集体の形で、かつ、平均最近接粒
子間距離が500nm以下の状態となるよう分散させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は樹脂組成物への永久
帯電防止能付与方法に関する。さらに詳しくは本発明
は、樹脂組成物の体積抵抗率を低下せしめ、低温・低湿
下でも優れた帯電防止能を半永久的に持続させる方法な
らびに、低温・低湿下でも優れた永久帯電防止性を呈す
る樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】合成高
分子材料は、軽量さと易加工性から広範な分野で使用さ
れているが、一般に1015〜1017Ω・cm以上の高い
体積固有抵抗率を有するため静電気を帯び易く、種々の
静電気障害を引き起こしたり、成型体表面に周囲のチリ
・ホコリを吸着し、美観を著しく損ねるといった重大な
問題を有している。このため、従来から、これら合成高
分子材料に帯電防止性を付与する目的で、様々な試みが
行なわれてきた。樹脂への帯電防止能の付与法として
は、大別して以下の3つがある。 (1)界面活性剤を表面に塗布し、その親水基に大気中
の水を吸着させることで成型体の表層に低抵抗率の導電
層を形成させるもの。 (2)低分子量の界面活性剤を樹脂内部に練り込み、成
型中又は成型後にそれを成型体表面に浸出(ブリード・
アウト)させ、その親水基に大気中の水を吸着させるこ
とで成型体の表層に低抵抗率の導電層を形成させるも
の。 (3)イオン導電性ポリマーを目的樹脂にアロイ化し、
成型時に表層付近に薄層状の導電性ポリマー相を形成さ
せ、これに大気中の水を吸着させることで導電層を形成
させるもの。
【0003】この内、(2)の手法が最も一般的で、広
範に流布している。本法は、(1)と異なり煩雑な塗布
作業を必要とせず、また、(3)と異なり、0.05−
2wt%という少量の帯電防止剤の添加で機能し、種々
の形状の成型体にも対応できることが最大の利点となっ
ている。反面、ブリード・アウト遅延により帯電防止能
が発現するまでに長時間を要す、逆にブリード・アウト
過多で成型時の揮散ロスが大きくなる、成型作業環境の
悪化、金型汚濁、表面べたつき、印刷性の低下を招く
等、様々な問題を抱え、使用対象に合わせ、適切な帯電
防止剤種とその使用量、成型条件やエージング条件など
を最適化せねばならぬという煩わしさを有する。また、
基本的に樹脂中を移行できるような低分子量化合物を使
用するため、表面にブリード・アウトした活性剤は、成
型体表面の洗浄、拭き取りにより容易に除去されて、帯
電防止性が消失し、回復しない。この意味で、本系帯電
防止剤は(1)系帯電防止剤と同じく「非永久帯電防止
剤」とされる。また、シート、フィルム等の比表面積の
大きな成型体に対しては、必要添加量が大幅に増大し、
かつ、前述の種々の問題点も一層顕著になる。ところ
で、この(2)法はその原理上、界面活性剤が樹脂中を
移行し得るような、ガラス転移点が室温程度以下の樹脂
が主対象となる。すなわち本法は、ポリプロピレン、ポ
リエチレンを中心に、一部、軟質ポリ(塩化ビニル)等
には使用されるが、ガラス転移温度の高い、ポリスチレ
ン、ABS樹脂、ポリ(メタクリル酸メチル)、硬質ポ
リ(塩化ビニル)、ポリカーボネート等には効果が極め
て低い。これら高ガラス転移点樹脂用の帯電防止法とし
て開発されたのが(3)の手法である。これは、特開昭
60−23435号、特開平2−255851号や特開
平5−93118号に代表されるように、ポリエーテ
ル、ポリアミド、アンモニウム、スルホン酸塩等の極性
基を含有したイオン伝導性ポリマーを目的樹脂に混練/
アロイ化するもので、表面洗浄によっても導電担体は除
去されないので帯電防止能が失活することはない(「永
久帯電防止」)が、樹脂内部にまで導電ポリマー相が展
開するため、高価なイオン伝導性ポリマーを、パーコレ
ーション理論に基づく閾値である20〜30vol%以
上配合しなければ充分な帯電防止効果が得られないとい
う致命的な欠点を有する。これを軽減するため、通常様
々な相溶化剤を添加して分散相を微細化した上、両相の
溶融粘度特性を微妙に調整することで、射出成型時に薄
層状の導電ポリマー相を成型体表層付近に優先的に凝縮
させるといった方法が採られる。しかし、これによって
も確実に帯電防止能を発現できる導電ポリマー相の下限
分率は、15vol%程度にとどまる。また、これによ
って成型上の制約はさらに厳しくなり、高シェアの印加
できる成型機の極狭い温度域でしか機能発現ができなく
なる上、フィラーや第三成分の添加、高濃度マスターバ
ッチの稀釈使用といった、アロイの相分離構造を大きく
変化させる使用法には対応できなくなるため、未だ本法
は広範に使用されるには至っていない。また、本法
(3)で得られる樹脂組成物は本来、成型体の厚さ方向
に対しても低い体積抵抗を示すはずであるが、表面と平
行に並んだ層状導電ポリマー相構造のため、実際は厚さ
方向の体積抵抗率は、表面抵抗率から換算される値の1
00倍以上に達する(SPE Tech. Paper (ANTEC), 1991,
49th, 551)。さらに、非極性の脂肪族ポリマーである
ポリオレフィン系樹脂は、異種ポリマー(物質)との混
和が著しく困難なため、極性基含有ポリマーを用いる本
法は事実上適用できない。即ち、ポリプロピレン、ポリ
エチレン等に有効な永久帯電防止法は未だ見出されてい
ないのが現状である。また、シートやフィルム状のポリ
オレフィン樹脂に対して効果的な帯電防止法もこれま
で、見い出されていなかった。さらには、(1)、
(2)、(3)法とも、吸着あるいは吸蔵した水による
イオン伝導をその導電機構の本質に於くため、乾燥した
条件下、冬季等には帯電防止効果が著しく損なわれると
いった点では共通した問題点を有していた。
【0004】この他、高電圧発生機器周辺や静電気に極
めて敏感なICチップのトレー等にはより積極的な除電
効果が求められ、こういった用途に、金属粉、カーボン
ブラック等が用いられている。これらは水の関与を必要
としない電子伝導性の導電材で、10-1〜105 Ω・c
m程度の体積抵抗率を樹脂に付与するものであるが、基
本的に樹脂に不溶性であるため、連続ないし最近接粒子
間距離が100Å程度以下に近接した粒子ネットワーク
を効率よく形成させるべく、様々な表面処理がなされた
上、15〜40wt%もの多量を使用せねばならない。
また、これらの導電材は高価である上、有色で、樹脂物
性を甚だ低下させることが最大の欠点となっていた。
【0005】ところで、層状珪酸塩は、粘土を構成する
代表的な層状無機化合物であって、例えば2:1型層状
珪酸塩鉱物では、2枚のシリカ四面体珪酸塩シートがマ
グネシウム又はアルミニウムを含む八面体シートをサン
ドイッチ型に挟み込み、3枚一組でひとつの不可分の珪
酸塩層(厚さ10Å前後)を形成し、これが数〜数十層
平行に積層して1次凝集体を形成している。通常、この
層状珪酸塩1次凝集体はさらに無秩序に凝集して、粒径
数百nm〜数μmの2次凝集体として存在する。スメク
タイト、バーミキュライト、タルク、マイカ等はこのよ
うな構造を有する代表的な層状珪酸塩化合物である。中
でもスメクタイトや合成マイカは程良い層間電荷密度を
有するため、水膨潤性に優れ、水中では2次凝集を解い
て均一分散し、品種によっては強固な1次凝集さえ解き
放ち単層剥離分散するとされている(「粘土ハンドブッ
ク 第2版」日本粘土学会編)。これらは、イオン交換
能を有し、種々のカチオン性化合物と接触させてこれを
元の金属イオンの代わりにスメクタイトや合成マイカの
層間に導入した複合体を形成させることができる。この
際、有機カチオンである有機アンモニウム塩を用いれば
親油性(疎水性)の有機変性層状珪酸塩が得られる(こ
の場合“有機変性”とは、カップリング剤や活性剤によ
る凝集体の単なる表面修飾や表面処理ではなく、層間イ
オンの交換を伴う変質された状態を指す)。これら有機
変性層状珪酸塩は、前述の未変性層状珪酸塩に類似した
2次凝集体の形態で産する。すなわち、層間に取り込ま
れた有機アンモニウムの構造に応じて面間隔(1枚の珪
酸塩層の厚さを含む)は十数〜70Å程度に拡大するも
のの、規則正しい層状1次凝集構造を基本とし、これが
無秩序に凝集した2次凝集体を形成する。スメクタイト
系粘土鉱物の有機変性体、特に、ドデシルアンモニウ
ム、オクタデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシ
ルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウ
ム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウム等によ
る変性体は有機ベントナイトの名で商品化され、塗料用
増粘剤等として古くから用いられてきた。これら公知の
有機変性層状珪酸塩は、アンモニウム塩の合成の利便
上、炭素数18以下の単長鎖又は2長鎖(窒素原子上の
他の置換基は水素、メチル基、又はベンジル基)のアル
キルアンモニウムによる変性体で、トルエン、ベンゼン
等、一部の芳香族系溶媒には可溶であるが、アルコー
ル、アセトン等の極性溶媒には親和性が低く、ヘキサ
ン、ペンタン等の脂肪族系炭化水素溶媒には溶解しな
い。近年、極性溶媒への溶解性改善を目的として特殊な
有機アンモニウムを用いた有機変性層状珪酸塩化合物が
開発され、特開平6−287014号公報、特公平7−
23210号公報、特公平7−23212号公報等にそ
の技術が開示されているが、これらも、脂肪族系溶媒に
は均一分散しない。因みに、有機変性層状珪酸塩化合物
は特定の有機溶媒中で膨潤、均一分散する(2次凝集解
離)ものであるが、これら媒体中でも1次凝集構造は堅
持し剥離分散しないというのが通説となっている。
【0006】ところで、これら既存の有機変性粘土の樹
脂中への分散は、溶解度パラメータの分子量依存性のた
め、有機溶媒に対して以上に困難で、通常、2次凝集さ
え解けない。
【0007】ドデシルトリメチルアンモニウム変性粘土
やトリメチルオクタデシルアンモニウム変性粘土等、単
長鎖の有機変性粘土は有機親和性が低く、ポリスチレン
やポリプロピレンといった樹脂中ではほとんど数〜数十
μmの2次凝集体のまま不均一に存在する。樹脂中のこ
ういった巨大な層状珪酸塩2次凝集体は目視でも容易に
認識できるし、巨視的には透明な樹脂も白濁して見え
る。また、電子顕微鏡等の手段に依れば、樹脂マトリッ
クス部には何ら珪酸塩層の拡散が起こっていないことが
確認できる(図1)。最も広範に流布している2長鎖の
ジメチルジオクタデシルアンモニウム変性粘土では若干
樹脂との相溶性が改善されるが、未だ不十分で、例え
ば、同変性粘土とポリプロピレン樹脂との小型混練機で
の10min溶融混練物には厚さ1μm以上の巨大な2
次凝集粒が残存するし(「第4回ポリマー材料フォーラ
ム予稿集」1995, p.294)、より混合効率の高い溶媒中
の混合によっても、透明度が大きく低下した〔すなわ
ち、短径が可視光波長程度以上(=1μm以上)の凝集
粒を多量に含む〕有機粘土−樹脂組成物しか得られない
ことが知られている(「第38回粘土科学討論会予稿
集」1994, p.52)。懸かる分散不良の系では、特開昭6
1−213231号公報の比較例3に明示されているよ
うに、帯電防止効果が発揮されない。
【0008】帯電防止性付与を目的とした導電性無機粉
体を与えるものとして、特開昭62−256724号公
報に開示された技術がある。これは炭酸カルシウム、タ
ルク等の無機粉を第4級アンモニウム塩で表面処理する
ものであるが、絶乾状態の炭酸カルシウムや、タルク、
第4級アンモニウム塩が高抵抗率であることを考慮する
と、本法は、乾燥不完全で水を吸蔵した第4級アンモニ
ウム塩によるイオン伝導と考えられる。しかも樹脂に添
加された時の帯電防止性の発現は、実質的に低分子量の
可塑剤(DOP)や安定剤を多量に含むポリ(塩化ビニ
ル)系のみに限られる。懸かる系は極性に富み、ガラス
転移点が極端に低く含有物の可動性に富む極めて特異な
系であり、恰好のイオン伝導媒体となる。即ち、本公報
に記載された技術の本質は、懸かる場に於いて容易にブ
リードアウト/局在化することなくイオン伝導性を発現
する担体を提供することにある。また、特開昭64−6
5158号公報には、ジメチルジオクタデシルアンモニ
ウム等で有機変性された粘土鉱物を配合した帯電防止性
ポリ(塩化ビニル)樹脂組成物が記述されているが、こ
こでも可塑剤や滑剤、安定剤が共存しない系では抵抗率
が低下しなかった。
【0009】前述の特開昭61−213231号公報
は、有機帯電防止剤を含む樹脂組成物に有機変性粘土を
加え、有機帯電防止剤のブリードを抑制して帯電防止能
の長期安定性を図る技術を記述したものである。ここで
抵抗率の低下しない系として、同公報の比較例8に例示
されたトリメチルオクタデシルアンモニウム変性粘土と
(可塑剤を多量に含む)ポリ(塩化ビニル)から成る組
成物系の体積抵抗値として、7×1011Ω・cmが示さ
れているが、ここでは樹脂100重量部に対し有機変性
粘土を40重量部も用いており、懸かる通常のパーコレ
ーション閾値を超えた系での抵抗率の若干の低下は自明
であって、技術的な意義も産業上の有用性もなく、ま
た、本発明者等が目指すものとも本質的に異なるもので
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
の結果、全く新しい機構に基づく、樹脂の永久帯電防止
法を見い出すに至った。すなわち、適度に有機変性され
た層状珪酸塩化合物が108 〜1012Ω・cmの極めて
低い電子伝導性体積固有抵抗率を有すること、並びにこ
れら有機変性層状珪酸塩化合物を樹脂中に均一分散させ
ることにより、樹脂に永久帯電防止性を付与できること
を見出した。詳しくは、体積固有抵抗率が1012Ω・c
m以下の有機変性層状珪酸塩化合物を、樹脂中に、1次
凝集体及び/又は短径が500nm以下の2次凝集体の
形で、均一に、しかも平均最近接粒子間距離が500n
m以下となるようなオーダーで分散させるもので、本法
によれば、樹脂組成物成型体の表面払拭等でその性能が
損なわれることのない永久帯電防止能が、種々の樹脂群
に対し付与できる。これは、ポリオレフィン樹脂のよう
な非極性ポリマーにも適用できる。この帯電防止能は、
成型直後から発現し、吸着水の介在を必要としないため
低湿・低温下でも機能するものである。また、樹脂全体
に亙って均一な体積抵抗率の低下をもたらすため、肉厚
製品や比表面積の大きいフィルム状成型品にも有効で、
機能発現のための特殊な成型条件を必要としないし、フ
ィラーや第三成分添加系での使用、高濃度マスターバッ
チの稀釈使用も基本的に問題ない。しかもこの時、樹脂
物性を低下させることがなく、また、樹脂の色調を全く
損ねず、透明な樹脂にあってはその透明性を維持でき
る。さらに、本発明で開示する永久帯電防止技術で導電
担体となる有機変性層状珪酸塩化合物の下限必要添加量
が2〜3vol%と、極めて少ないことも特筆できる。
さらに本発明の方法を適用して得られる永久帯電防止性
樹脂組成物は、その副次的な効果として、耐候性、耐熱
性、寸法安定性、耐蝕性、耐磨耗性、難燃性、ガスバリ
ア性に優れる。
【0011】本発明の技術ポイントは、体積固有抵抗率
1012Ω・cm程度以下の有機変性層状珪酸塩化合物を
平均最近接粒子間距離500nm以下に微分散させるこ
とにある。ここで、「粒子」とは、樹脂中で独立して存
在する連続した有機変性粘土相の個々の最大単位を指
す。2次凝集体を形成する相にあっては、1次凝集体単
位ではなく2次凝集体を指すものとする。また、粒子間
の「距離」とは、図2における粒子1の重心間距離Lで
はなく、粒子1の外縁間距離L1 を指すものとする。
【0012】未変性の層状珪酸塩は、通常、絶乾状態で
は1013Ω・cm以上の絶縁体であるが、本発明者等
は、適度に有機変性された層状珪酸塩化合物が、108
〜1012Ω・cmの極めて低い電子伝導性体積抵抗率を
有し得ることを見い出した。さらに本発明者等は、従
来、せいぜい100V程度の印加電圧下で隔絶された二
体の物質(粒子/分子/イオン)間に実質的に電流が流
れる(電荷移動が起こる)際の物質間距離は100Å程
度以下とされていたのに対し、同様の印加電圧下、10
-9〜10-11 A程度の極微電流が流れれば事足りる樹脂
の帯電防止の世界では、実に500nmもの遠距離隔絶
した二体間にも、充分な電流が流れ得ることを見い出し
たものである。即ち、体積固有抵抗率1012Ω・cm以
下の物質が、平均最近接粒子間距離500nm程度以下
を保ってマトリックスを充填していれば、極めて少ない
添加量で有効に、系全体の体積抵抗率を低減でき、互い
に接触又は100Å以下の距離に近接して存在する必要
はない。この時必要とされる低抵抗率物質の最小必要体
積分率(パーコレーション閾値)は、該低抵抗率物質の
形状(異方性)、サイズ、分散度等の諸条件によって変
わり得ることが知られているが、本発明者等は有機変性
層状珪酸塩化合物のように極めて形状異方性に富み微細
な粒子〔1次凝集体では、(数十nm〜数μm)×(数
十nm〜数μm)×(数〜十数nm)〕を用いると、そ
れが2〜3vol%程度にまで低減できることを見い出
した。これは、これまでに知られているパーコレーショ
ン閾値としては最も少ないものである。
【0013】ところが、上記概念を実現するような、樹
脂組成物系はこれまで基本的に知られていなかった。即
ち、樹脂に懸かるスケールで均一分散可能な無機化合物
は全く知られておらず(ガラスファイバー、炭素繊維、
カーボンブラック、マイカ、金属粒子等は、それら自身
が上記スケールよりはるかに巨大なものであり、他方、
炭酸カルシウム、酸化アルミニウム等の化合物の構成単
位は微細だが、凝集粒が崩壊して上記スケールで分散し
た例はない)、また、有機化合物では、比較的樹脂に相
溶可能な低分子化合物はブリードし易く偏在してしま
い、相溶性の低い化合物は巨大な粒子として相分離して
分散しない。さらに、高分子量化合物は一般に樹脂に相
溶しにくく、数μm以上の巨大な相分離構造を呈する。
このように添加物が分散し難い傾向は、極性の低いポリ
スチレン、ポリオレフィン系樹脂等の炭化水素系樹脂、
とりわけ、ポリプロピレン、ポリエチレン等の脂肪族炭
化水素系樹脂では顕著となる。もちろん、如何に分散性
不良の系であっても、低抵抗率の分散体(粒子)が互い
に接触し得るほど多量(40〜70vol%程度以上)
に添加/使用すれば、樹脂組成物系全体の体積抵抗率が
低下することは自明であるが、懸かる系に実用上の意義
はない。
【0014】本発明においては、体積固有抵抗率が10
12Ω・cm以下である有機変性層状珪酸塩化合物を、
(1)1次凝集体及び/又は凝集体の短径が500nm
以下の2次凝集体の形で、かつ、(2)平均最近接粒子
間距離が500nm以下の状態となるように、樹脂中に
分散させるものである。1次凝集体の積層枚数は、平均
で数〜十数枚が好ましい。1次凝集体の積層枚数が少な
いと体積抵抗率が増大する。多すぎると(同一使用量で
も)粒子総数が減少し効率が悪い。また、2次凝集体の
短径は500nm以下、好ましくは200nm以下、さ
らに好ましくは100nm以下である。2次凝集体の短
径が500nm以下のものを用いることにより、良好な
透明度や衝撃強度が得られ、また粒子数を増やせるた
め、同一添加量でも帯電防止性の発現確率が向上する。
さらに、1次凝集体と短径500nm以下の2次凝集体
の比率は、1次凝集体の比率が高いほど好ましく、2次
凝集体が多いと粒子数が減るため、同一添加量でも帯電
防止性の発現確率が低下する。
【0015】なお、有機変性層状珪酸塩化合物の樹脂中
の分散性の定量について、一般に、分散状態の記述は極
めて困難で、未だ満足される表記法は見い出だされてい
ないのが現状である。球状粒子の分散に関しては、便宜
的に単位体積中に含まれる平均粒子数を平均粒径と共に
記したりするが、本発明で目的とする、新しい導電機構
に基づく帯電防止性の発現をもたらす有機変性層状珪酸
塩化合物の樹脂中での分散形態を記述するには十分では
ない。また、本発明に用いられる有機変性層状珪酸塩化
合物は、一般に数百nm×数百nm×1nmという極め
て微細な構成単位から成るため、その分散状態の判別に
は高解像度の透過型電子顕微鏡像が不可欠であることも
事態の解決を困難なものにしている。しかしながら、極
めて多数の帯電防止能を有する有機変性層状珪酸塩化合
物−樹脂組成物と帯電防止性を呈しない有機変性層状珪
酸塩化合物−樹脂組成物の透過型電子顕微鏡像を詳細に
比較検討した結果、本発明者等は、特殊な例外系を除
き、体積固有抵抗率1012Ω・cm以下の有機変性層状珪
酸塩化合物が、その2次凝集を解き、1次凝集体及び/
又は最短径が大きくとも500nm以下の2次凝集体の
形で分散し、隣接する粒子との距離を概ね500nm以
下に保ってマトリックスを埋め尽くしているときには樹
脂組成物全体の体積抵抗率が低下し、帯電防止性が発現
することを見い出だしたものである。有機変性層状珪酸
塩化合物が少量の添加量であっても、最近接粒子間距離
500nm程度以下を保って均一に分散していれば、導
電経路が確保され、樹脂の帯電防止といった目的には充
分なレベルで電荷の移動が起こるようである。この時、
低抵抗率の導電担体たる有機変性層状珪酸塩化合物が、
樹脂組成物中に占める体積分率が、如何に分散性が不良
であっても70〜80vol%以上、また、通常の分散
度であれば20〜30vol%(約30wt%〜40w
t%に相当)以上もあれば、樹脂組成物全体の体積抵抗
率が低下し得ることは自明であるが、本発明は、前述の
(1)及び(2)の分散性が実現していれば、2乃至1
5vol%(約3.3wt%〜23wt%相当)の添加
量でも樹脂組成物全体の体積抵抗率を低下せしむること
が可能であることを示したものである。効率的に樹脂に
永久帯電防止性を付与するには、短径500nm以上の
巨大な2次凝集粒はない方が好ましいが、樹脂100重
量部に対し2乃至30重量部の有機変性層状珪酸塩化合
物が上記分散状態を実現していれば、それ以外に未解離
の巨大な2次凝集粒や、その他のフィラー等が含まれて
いても一向に構わない。懸かる系では実質的な樹脂マト
リックス中での有機変性層状珪酸塩の体積分率が上記範
囲内にあれば良く、機能発現に必要とされる有機変性層
状珪酸塩の下限量は、見かけ上さらに少なくて済む。
【0016】本発明に用いられる有機変性層状珪酸塩の
体積固有抵抗率は、1012Ω・cm以下、好ましくは1
10Ω・cm以下、さらに好ましくは109 Ω・cm以
下である。有機変性層状珪酸塩の体積固有抵抗率が低い
ほど、低抵抗率が実現でき、使用量が少量で済む。また
有機変性層状珪酸塩の体積固有抵抗率が1012Ω・cm
を超えると、30重量部使用しても良好な帯電防止性が
得られない。
【0017】また、本発明の対象となる樹脂としては、
熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱分解性樹脂等が挙げら
れる。熱硬化性樹脂とは、重合後不融・不溶の樹脂を与
えるものである。故に、有機変性層状珪酸塩は重合完了
前のプレポリマー又はモノマーに添加せねばならない。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メ
ラミン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。また、熱可
塑性樹脂としては、ポリプロピレン及びポリプロピレン
ユニット含有樹脂、ポリエチレン及びポリエチレンユニ
ット含有樹脂、ポリブタジエン、ポリイソブチレン等の
熱可塑性ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂及び
スチレン−ブタジエン共重合樹脂等のスチレンユニット
含有熱可塑性樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−ス
チレン(ABS)樹脂等の熱可塑性ニトリル基含有樹
脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ(メ
タ)アクリル酸エステル樹脂等の熱可塑性エステル基含
有樹脂、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデ
ン)、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ナイロン等のポリ
アミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリイミド等の熱可塑性樹脂が挙げられる。さら
に、熱可塑性樹脂としては、ポリフェニレンサルファイ
ド(PPS)、ポリエーテルサルフォン(PES)等の
スーパーエンジニアリングプラスチック等が挙げられ
る。なお、熱可塑性極性基含有樹脂とは、エーテル結合
(-O-) 、ウレタン結合(-NHCOO-) 、アミド結合(-CONH
-)、イミド結合やヒドロキシル基(-OH) 、ニトリル基(-
CN) のような極性のある結合や基を分子中に有する樹脂
をいう。さらに、熱分解性樹脂とは、加熱により、可塑
化する前に分解するものであり、ポリビニルアルコー
ル、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。特に熱可塑
性樹脂が好適である。
【0018】本発明において、有機変性層状珪酸塩の配
合量は、樹脂100重量部に対し、前記した(1)、
(2)の分散状態のものが、2乃至30重量部である。
但し、最終使用状態の樹脂組成物中では、2乃至20重
量部、好ましくは3乃至15重量部、さらに好ましくは
5乃至10重量部とするのが良い。この配合量の範囲に
おいて、良好な帯電防止効果の発現確率や樹脂物性が得
られる。また、稀釈使用目的のマスター樹脂組成物中で
は、樹脂100重量部に対し、5乃至30重量部、好ま
しくは10乃至30重量部である。なお、前記した
(1)、(2)記載の状態以外の分散状態にある有機変
性層状珪酸塩化合物は如何なる分率で含まれていても良
いし、また、含まれていなくとも良い。更に炭酸カルシ
ウム、クレー等のフィラーや、ガラス繊維、カーボン繊
維等の補強材、酸化防止剤、UV安定剤、滑剤、耐候
剤、核剤、顔料、染料、防黴剤等の樹脂添加剤は、本発
明で実現する永久帯電防止性を損なわない限りに於いて
如何なる分率で添加併用されていても良いし、また併用
されていなくとも良い。
【0019】永久帯電防止性を呈する本発明の有機変性
層状珪酸塩化合物−樹脂組成物は、有機変性層状珪酸塩
化合物と熱可塑性樹脂の溶融混練、有機変性層状珪酸塩
を均一分散させたモノマー又はプレポリマーの重合/樹
脂化、あるいは、有機変性層状珪酸塩化合物と樹脂との
溶媒中での混合/溶媒留去、の何れの方法によっても得
ることができるが、これらの方法に限定されるものでな
い。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる有機変性層状
珪酸塩化合物は、50 meq/100g以上のカチオン交
換容量を有する層状珪酸塩と、炭素数の総和が26以上
の有機アンモニウム塩との反応生成物であることが特に
好ましい。有機アンモニウム塩の層状珪酸塩に対する使
用量は、有機変性層状珪酸塩化合物を前記した(1)、
(2)の状態を保って樹脂に分散させることができる範
囲内において特に限定されないが、一般的に層状珪酸塩
のカチオン交換容量の0.5乃至2.0倍当量であるこ
とが好ましい。具体的な有機アンモニウム塩を以下に示
す。
【0021】下記一般式(I)で表される有機アンモ
ニウム塩
【0022】
【化8】 〔式中、R1、R2は、同一又は異なり、それぞれ、置換基
を有していてもよい炭素数12以上のアルキル基を示
す。Xは、対イオンを表す。〕 下記一般式(II)で表される有機アンモニウム塩
【0023】
【化9】 〔式中、R3、R4は、同一又は異なり、それぞれ、置換基
を有していてもよい炭素数12以上のアルキル基を示
し、R5は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数
2乃至7のアルキル基又はアリール基を示し、R6は、水
素原子、置換基を有していてもよい炭素数1乃至7のア
ルキル基又はアリール基を示す。X は、対イオンを表
す。〕 下記一般式(III)で表される有機アンモニウム塩
【0024】
【化10】 〔式中、R7、R8、R9は、同一又は異なり、それぞれ、置
換基を有していてもよい炭素数8以上のアルキル基を示
し、R10 は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素
数1以上のアルキル基又はアリール基を示す。X は、対
イオンを表す。〕 下記一般式(IV)で表される有機アンモニウム塩
【0025】
【化11】 〔式中、R11は置換基を有していてもよい炭素数8以上
のアルキル基を示し、R12は置換基を有していてもよい
炭素数1乃至11のアルキル基を示し、R13、R14は、同
一又は異なり、それぞれ、置換基を有していてもよい炭
素数1乃至7のアルキル基を示す。X は、対イオンを表
す。〕 下記一般式(V)で表される有機アンモニウム塩
【0026】
【化12】 〔式中、R15 は、炭素数2乃至4のオキシアルキレンユ
ニットからなるモノ又はポリオキシアルキレン基を示
し、R16、R17は、同一又は異なり、それぞれ、置換基を
有していてもよい炭素数1乃至30のアルキル基及び炭
素数2乃至4のオキシアルキレンユニットからなるモノ
又はポリオキシアルキレン基の群から選ばれる置換基を
示す。オキシアルキレンユニットの付加モル数は、1乃
至50である。R18 は、水素原子、置換基を有していて
もよい炭素数1乃至8のアルキル基又はアリール基を示
す。Xは、対イオンを表す。〕 下記一般式(VI)で表される有機アンモニウム塩
【0027】
【化13】 〔式中、R19 は、置換基を有していてもよい炭素数1以
上のアルキルユニット及び炭素数2乃至4のオキシアル
キレンユニットからなるアルキルモノもしくはポリオキ
シアルキレン基、水素原子もしくは置換基を有していて
もよい炭素数1以上のアルキルユニット及び炭素数2乃
至4のオキシアルキレンユニットからなるアルキルフェ
ニルモノもしくはポリオキシアルキレン基、又は、置換
基を有していてもよい炭素数2以上のアシルユニット(R
CO) 及び炭素数2乃至4のオキシアルキレンユニットか
らなるアシルモノもしくはポリオキシアルキレン基を示
し、R20 、R21 は、同一又は異なり、それぞれ、置換基
を有していてもよい炭素数1乃至30のアルキル基、炭
素数2乃至4のオキシアルキレンユニットからなるモノ
又はポリオキシアルキレン基、置換基を有していてもよ
い炭素数1以上のアルキルユニット及び炭素数2乃至4
のオキシアルキレンユニットからなるアルキルモノ又は
ポリオキシアルキレン基、水素原子又は置換基を有して
いてもよい炭素数1以上のアルキルユニット及び炭素数
2乃至4のオキシアルキレンユニットからなるアルキル
フェニルモノ又はポリオキシアルキレン基、並びに、置
換基を有していてもよい炭素数2以上のアシルユニット
及び炭素数2乃至4のオキシアルキレンユニットからな
るアシルモノ又はポリオキシアルキレン基の群から選ば
れる置換基を示す。オキシアルキレンユニットの付加モ
ル数は、1乃至50である。R22 は、水素原子、置換基
を有していてもよい炭素数1乃至8のアルキル基又はア
リール基を示す。X は、対イオンを表す。〕 一般式(VII) で表される有機アンモニウム塩
【0028】
【化14】 〔式中、R23、R24、R25 は、同一又は異なり、それぞ
れ、置換基を有していてもよい炭素数1乃至30のアル
キル基、炭素数2乃至4のオキシアルキレンユニットか
らなるモノ又はポリオキシアルキレン基、置換基を有し
ていてもよい炭素数1以上のアルキルユニット及び炭素
数2乃至4のオキシアルキレンユニットからなるアルキ
ルモノ又はポリオキシアルキレン基、水素原子又は置換
基を有していてもよい炭素数1以上のアルキルユニット
及び炭素数2乃至4のオキシアルキレンユニットからな
るアルキルフェニルモノ又はポリオキシアルキレン基、
並びに、置換基を有していてもよい炭素数2以上のアシ
ルユニット及び炭素数2乃至4のオキシアルキレンユニ
ットからなるアシルモノ又はポリオキシアルキレン基の
群から選ばれる置換基を示し、R26 は、水素原子、置換
基を有していてもよい炭素数1乃至8のアルキル基又は
アリール基を示す。オキシアルキレンユニットの付加モ
ル数は、1乃至50である。また、Y 、Z 、Wの内、少
なくとも1つは、-CH2O-、-CH2COO-、-CH2CH2COO-、-CH
2OCO-、-CH2CH2OCO-、-(CH2)mNHCO-、-(CH2)mNHCO-CH2O
-の群から選ばれる連結基を示し、残りはアンモニウム
基の窒素原子と直接結合する単結合を表す。mは、1乃
至4の整数を表す。〕。
【0029】なお、有機アンモニウム塩〜は、得ら
れる有機変性層状珪酸塩化合物を前記した(1)、
(2)の状態を保って樹脂中に分散させることができる
範囲内において、単独で用いられても良いし、二種以上
混合して用いられても良い。
【0030】有機アンモニウム塩〜により変成され
た有機変性層状珪酸塩化合物の好ましい面間隔は23乃
至50Å、より好ましくは25乃至40Å、特に好まし
くは25〜35Åである。また、有機アンモニウム塩
〜により変成された有機変性層状珪酸塩化合物の好ま
しい面間隔は23乃至70Å、好ましくは25〜45Å
である。ここで、「面間隔」とは、結晶学的には、X線
回折で反射を与えるような層状の繰り返し単位距離を示
すもので、層状珪酸塩のように実質的に厚みを持つもの
では、1層分の厚さをも含む。つまり、本発明における
面間隔は、図3における層状の繰り返し単位2の距離L
2 をいう。
【0031】体積固有抵抗率1012Ω・cm以下の有機
変性層状珪酸塩化合物を前記した(1)、(2)の状態
を保って樹脂中に分散させるためには、有機変性層状珪
酸塩化合物と樹脂の組み合わせを考慮する必要がある。
即ち、一般に樹脂全般に対して有機アンモニウム塩〜
により変性された有機変性層状珪酸塩化合物を用いる
ことが可能であるが、特に樹脂が、熱可塑性ポリエチレ
ン又はポリエチレンユニット含有樹脂、熱可塑性ポリプ
ロピレン又はポリプロピレンユニット含有樹脂、熱可塑
性ポリスチレン樹脂、熱可塑性スチレンユニット含有樹
脂等の低極性ないし非極性樹脂の場合、有機アンモニウ
ム塩〜により変性された有機変性層状珪酸塩化合物
を用いるのが好適である。また、樹脂が、比較的極性に
富む場合は、有機アンモニウム塩〜により変成され
た有機変性層状珪酸塩化合物を用いるのが好適である。
【0032】更に、有機変性層状珪酸塩化合物の樹脂中
への分散性向上を目的とし、相溶化剤や活性剤、分散助
剤を併用したり、有機変性層状珪酸塩化合物自体を活性
剤やカップリング剤で処理することで、機能実現可能な
有機変性層状珪酸塩化合物と樹脂の組み合わせの範囲は
広がるし、また有機変性層状珪酸塩化合物の使用量も少
量で済むようになる。
【0033】本発明に用いられる有機変性層状珪酸塩の
粒径は、50nm〜8μm、好ましくは100nm〜5
μm、さらに好ましくは、200nm〜5μmである。
粒径が50nm以上が形状異方性の利点という観点か
ら、また粒径8μm以下が樹脂の透明性などの外観や樹
脂の衝撃強度などの物性の観点から好ましい。
【0034】また、本発明に用いられる有機変性層状珪
酸塩のカチオン交換容量は、50meq/100g以
上、好ましくは70〜120meq/100gである。
カチオン交換容量が少なすぎると有機変性剤の置換量が
低下し、樹脂への親和性が低下する(総炭素数の多い有
機変性剤を用いれば多少はカバーできる)。多すぎると
置換できずに残存する金属イオンが生じてくるので好ま
しくない。
【0035】
【実施例】以下、実施例にて本発明を説明するが、本発
明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0036】《有機変性層状珪酸塩(化合物A〜K及び
P〜X)の調製法》表1〜3に示す有機変性剤と層状珪
酸塩とを用いて有機変性層状珪酸塩(化合物A〜K及び
P〜X)を調製した。即ち、70℃のイオン交換水1リ
ットルに未変性の層状珪酸塩15gを溶解する。激しく
撹拌しながら、これに、用いた層状珪酸塩のイオン交換
容量の1.05当量の有機変性剤を70℃の水、エタノ
ール、又は水/エタノール混合液に溶解したものを一気
に添加する。30min撹拌後静置し、沈殿した有機変
性層状珪酸塩化合物を濾取する。温水、次いでエタノー
ルで洗浄後、0.5mmHg/80℃にて72h乾燥す
る。本実施例中で用いた未変性の層状珪酸塩は、以下の
4種である。 ・クニピアF(クニミネ工業株式会社製)…イオン交換
容量119 meq/100 g (化合物L) ・ベンゲル23(株式会社豊順洋行製)…イオン交換容
量87 meq/100 g ・SWN(コープ・ケミカル株式会社製)…イオン交換
容量115 meq/100 g ・ME−100(コープ・ケミカル株式会社製)…イオ
ン交換容量75 meq/100 gなお、市販の有機変性層状珪酸
塩化合物として、下記の3種を使用した(前2者はジメ
チルジオクタデシルアンモニウム変性体、最後者はポリ
オキシプロピレン鎖含有アンモニウム変性体とされ
る)。
【0037】 ・SAN(コープ・ケミカル株式会社製)…化合物M ・BENTONE 52(RHEOX,INC製)…化合物N ・SPN(コープ・ケミカル株式会社製)…化合物Y 市販、及び合成した有機変性層状珪酸塩化合物の面間隔
は、粉末X線回折法(理学電機株式会社製RU−20
0、CuKα−40kV)にて測定、また、体積固有抵
抗率は、五酸化リンを配した真空デシケータ中で充分に
乾燥した有機変性層状珪酸塩化合物をφ=20mm、厚
さ1mmの圧縮ペレットとし、乾燥グローブボックス中
で測定した。測定には、アドバンテスト社製デジタル超
高抵抗/微少電流計R8340Aと、ダイヤ・インスト
ルメンツ社製HRSプローブに自作のシールド外套を取
り付けたものを使用した。結果を表1〜3に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】 (注)化合物Xにおいて、EOは-CH2CH2O- 、POは-C
H2CH(CH3)O- であり、(1/2)は、EO/POモル比が
1:2であることを意味する。
【0041】〔性能評価〕下記の実施例及び比較例に示
す各有機変性層状珪酸塩化合物−樹脂組成物について、
以下のような評価を行った。
【0042】《有機変性層状珪酸塩化合物の樹脂中での
分散性の評価》明らかに均質な有機変性層状珪酸塩化合
物−樹脂組成物については、該樹脂組成物の異なる3つ
以上の部位から得た倍率1万倍ないし10万倍の複数の
透過型電子顕微鏡像(TEM写真;厚さ100nmの切
片から得た像)から、1次凝集体または最短径が500
nm以下の2次凝集体粒子のみをピック・アップし、そ
れらの有機変性層状珪酸塩粒子相がTEM画面上で占め
る面積の総和と、樹脂マトリックス相がTEM画面上で
占める総面積、及び両相の密度(g/cm3 )とから、
前述の分散度の規定(1)を満足する有機変性層状珪酸
塩粒子が樹脂 100重量部に対して2乃至30重量部の範疇
にあるか否かを判じた〔評価(A)〕。他方、同じく倍
率1万倍ないし10万倍の複数のTEM写真から、50
0nm四方の区画を無作為に200個抽出し、その中に
有機変性層状珪酸塩化合物の異なる粒子(独立した1次
凝集体にあってはその1次凝集粒を指し、連続した相を
なす2次凝集体にあってはその2次凝集体を1つの粒子
とみなすものとする)及び/またはその断片が2個以上
見い出される確率を求め、この確率が50%以上である
系は前記した分散度の規定(2)を満足するものとみな
した〔評価(B);実際は、本評価は分散度規定(1)
や有機変性層状珪酸塩化合物の量に関わる情報をも含む
ことになり、分散度規定(2)より厳しくなることが多
い〕。均質な有機変性層状珪酸塩化合物−樹脂組成物系
に関しては、これら(A)、(B)両評価を何れも満た
せば、事実上、有機変性層状珪酸塩化合物の2ないし3
0重量部が、(1)及び(2)の分散度規定を何れも満
足して樹脂マトリックス100重量部中に分散している
と云って良い。なお、何れの評価に於いても、有機変性
層状珪酸塩化合物が不可侵のゴム状粒子や非相溶性樹脂
粒子相、フィラー等の第3成分を含有する樹脂組成物系
については、これらの不可侵領域を排した樹脂マトリッ
クス部位に対して上記解析を適用した。但し、有機変性
層状珪酸塩化合物が特殊な偏在構造を採ることにより、
微視的には均一ではないにも拘わらず帯電防止性を示す
ような系(例えば実施例4)は、例外的に本解析法の適
用外とし、充分に大きなTEM視野に亙って連続した有
機変性層状珪酸塩相が形成され、かつ、前記(1)及び
(2)の分散状態を満足するものであることを確認し
た。結果を表4〜7に示す。
【0043】《有機変性層状珪酸塩化合物−樹脂組成物
の帯電防止性の評価》帯電防止性の評価として、洗浄前
後の帯電圧の半減期と体積固有抵抗率を評価した。有機
変性層状珪酸塩化合物−樹脂組成物の帯電圧半減期、体
積/表面抵抗率の測定は、特記せぬ限り、23℃、湿度
60%の恒温恒湿室に24h保存した試料を用いて行な
った。帯電防止性の確認は、樹脂組成物の帯電圧半減期
が15sec以下であることを目処とした。帯電防止性
が所謂“永久帯電防止性”であることは、試験片を水/
エタノールで充分洗浄後、乾燥して帯電圧半減期を再測
定することで確認したが、有機変性層状珪酸塩粒子が分
子レベルから見れば極めて巨大で、事実上樹脂中で不動
である故、体積抵抗率が1013Ω・cm以下に低下して
いることをもってその確認に替えることができる。帯電
圧半減期測定には、オネストメータ TYPE S−5109
(Shishido Electrostat.,LTD.製)を用いた。結果を表
4〜7に示す。また、有機変性層状珪酸塩化合物−樹脂
組成物の表面抵抗率、体積抵抗率の測定は、アドバンテ
スト社製デジタル超高抵抗/微少電流計R8340Aと
高抵抗測定チャンバーR12702Aを用い、JIS
K−6911に準拠して行なった。
【0044】実施例1 株式会社グランドポリマー製ランダムポリプロピレン
(PP)樹脂「F658H」100重量部に、化合物A
5重量部を、池貝鉄工株式会社製二軸押出し機「EC
M45−33.5」を用いて溶融混練した(190℃、
100rpm)。ここから溶融プレスにより100×1
00×1mmの試験片10枚を作成し、各種測定に供し
た。得られた、化合物A−ポリプロピレン組成物は、樹
脂単独時の透明性を維持しており(ヘイズ値:40)、
肉眼では、有機変性層状珪酸塩粒子が全く確認できぬ
程、透明に均一分散していた。試料片の帯電圧半減期
は、何れも0.2sec以下で、本樹脂組成物が充分な
帯電防止性を示す範疇にあることを確認した。また、試
験片表面を水洗/エタノール洗浄後、乾燥して再測定し
た帯電圧半減期は、0.2sec以下と変わらず、本樹
脂組成物が永久帯電防止性を有することが確認された。
また、本樹脂組成物を、室温/湿度5%のグローブ・ボ
ックス中に3日間保存しても帯電圧半減期は変わらなか
った。
【0045】この化合物A−ポリプロピレン組成物の体
積抵抗率は、2.0×1011Ω・cmと、樹脂単独時に
比べ大きく低下している。他方、表面抵抗率は3.4×
1013Ω/□を呈し、樹脂単独時より低下してはいるも
のの、先の帯電圧半減期から、従来の低分子活性剤型帯
電防止剤含有樹脂組成物系や、アロイ型帯電防止性樹脂
組成物系での「帯電圧半減期−表面抵抗率」相関常識に
沿って類推される値からは大きく逸脱し、2桁ほど大き
な値となっている。しかし、表面抵抗率測定時の試料背
面の対抗電極をテフロン版に替えると、表面抵抗値とし
て2.1×1012Ω/□なる値が得られた。1mm厚の
試料片の表面抵抗率が懸かる値を示すことは、本樹脂組
成物が、成型体全体に亙って、全く均一な体積抵抗率を
有することを示すものである。
【0046】本実施例1で得られた化合物A−ポリプロ
ピレン樹脂組成物の透過型電子顕微鏡像を図4に示す。
有機変性層状珪酸塩化合物Aは、ポリプロピレン樹脂中
に、厚さ数〜数十nmの1次凝集体単位で分散し、短径
が500nm以上の巨大な2次凝集粒は、数十カ所画面
を変えても全く見いだされなかった〔評価(A):○;
このように巨大な2次凝集体が全く存在しないのが目視
で透明に見える所以である〕。化合物Aの配合量は5重
量部と少量ではあるが、解離した珪酸塩1次凝集体が互
いに近接して樹脂マトリックス中に分散し、珪酸塩粒子
が1μm四方の区画中に一つも見いだされない領域は見
られなかった。また、同倍率の複数枚のTEM写真から
無作為に抽出した500nm四方の区画200個中に2
個以上の有機変性層状珪酸塩粒子が見い出だされる確率
は、67%であった〔評価(B):○〕。なお、分散度
規定を(1)と(2)を満たす有機変性層状珪酸塩化合
物Aの全化合物Aに対する割合は、およそ96%と見積
もられた。
【0047】なお、本樹脂組成物のX線回折では、面間
隔が28.3Åと、化合物A単独時と基本的に変わら
ず、しかもシャープな反射が得られる。化合物Aはポリ
プロピレン樹脂中でほとんど膨潤することもなく、その
1次凝集構造をほぼ保ったまま分散したものと思われ
る。
【0048】実施例2 住友化学工業株式会社製ポリエチレン(PE)樹脂「ス
ミカセンF208−1」100重量部に、化合物A 3
0重量部を添加、実施例1同様に溶融混練した(190
℃、100rpm)。化合物Aは、短径500nm以上
の巨大な2次凝集粒を残すことなく事実上透明にポリエ
チレン樹脂中に分散した。本樹脂組成物の帯電圧半減期
は0.2秒以下、体積抵抗率は、7.6×1010Ω・c
mであった。試料片表面の水/エタノール洗浄後の帯電
圧半減期も0,2sec以下であった。本樹脂組成物で
化合物Aはやや膨潤していた(面間隔;31.5Å)。
【0049】実施例3 実施例2で得た有機変性層状珪酸塩化合物−ポリエチレ
ン樹脂組成物100重量部を、385重量部のポリエチ
レン樹脂と190℃で溶融混練した(100rpm)。
得られた稀釈樹脂組成物の帯電圧半減期は0.7se
c、水/エタノール洗浄後の帯電圧半減期は0.8se
cで、良好な永久帯電防止性を呈した。体積抵抗率は、
3.6×1011Ω・cmであった。
【0050】実施例4 旭化成工業株式会社製高耐衝撃性ポリスチレン(HIP
S)樹脂「H8652」100重量部に対し、化合物B
2重量部を添加し、実施例1と同様に溶融混練した
(220℃、100rpm)。本樹脂組成物の体積抵抗率
は、6.5×1011Ω・cmであった。本樹脂組成物中
での有機変性層状珪酸塩化合物は、例外的に特異な分散
形態を示す。本実施例4で得られた化合物B−HIPS
樹脂組成物の透過型電子顕微鏡像を図5に示す。図5
中、酸化オスミウムで染色され、多重相を形成している
のはHIPSに配合されたポリブタジエン相である。化
合物Bは、これとは別に、ポリスチレン・マトリックス
部に、短径(厚さ)20〜30nmの帯ないしフィルム
状組織からなるネットワークを形成して存在しているこ
とが見て取れる。このネットワーク自体が極めて巨大な
2次凝集粒となっており、実際、より低倍率の一辺50
μmのTEM画面の片端から他端まで、化合物Bの連続
相ないし500nm以下の距離で隔絶した異なる凝集粒
子相を辿って、容易にたどり着くことができる。即ち、
化合物Bは少ない添加量ながら、極めて効率の良い導電
経路が形成され、永久帯電防止能が樹脂に付与されてい
るものと考えられる。なお、本樹脂組成物中の化合物B
の面間隔は、29.9Åで、配合前よりわずかに増大し
ていた。
【0051】実施例5 東レ株式会社製アクリロニトリル−ブタジエン−スチレ
ン共重合体(ABS樹脂)「トヨラック100」100
重量部に、化合物C 3重量部を添加、実施例1同様に
溶融混練し(220℃、100rpm)、化合物C−A
BS樹脂組成物を得た。樹脂組成物中、化合物Cの面間
隔は、34Åに増大していた。
【0052】実施例6 三井東圧化学株式会社製ホモポリプロピレン樹脂「三井
ノーブレンJHH−G」100重量部に、化合物D 5
重量部を添加、実施例1同様に溶融混練し(200℃、
100rpm)、透明な化合物D−ポリプロピレン樹脂
組成物を得た。複数枚のTEM写真から無作為に抽出し
た500nm四方の区画200個中に2個以上の有機変
性層状珪酸塩粒子が見い出だされる確率は、70%であ
った。
【0053】実施例7 三井石油化学工業株式会社製フィラー強化ポリプロピレ
ン樹脂「サンレットTT7030」100重量部に、化
合物E 5重量部を添加、実施例1同様に溶融混練し
(200℃、100rpm)、化合物E−(フィラー含
有)ポリプロピレン樹脂組成物を得た。フィラー含有ポ
リオレフィン樹脂に対して有効な帯電防止法はこれまで
なかったが、ここで得られた樹脂組成物は、帯電圧半減
期2.8sec、体積抵抗率1.2×1012Ω・cmを
呈し、良好な永久帯電防止性を示した。
【0054】実施例8 有機変性層状珪酸塩化合物として化合物Fを用いた以外
は実施例1と全く同様にして、透明な化合物F−ポリプ
ロピレン樹脂組成物を得た。
【0055】実施例9 ランダムポリプロピレン樹脂「F658H」100重量
部に、化合物G 10重量部を添加、西村工機株式会社
製ベビーインチロールを用いて155℃、20rpmで
15min混練した。得られた化合物G−ポリプロピレ
ン樹脂組成物は透明で、体積抵抗率6.4×1012Ω・
cmを示した。
【0056】比較例1 混練時間を5minとした以外は実施例9と全く同様に
して、化合物G−ポリプロピレン樹脂組成物を得た。得
られた樹脂組成物はわずかに曇りが認められるものの、
ほぼ透明であった。しかし、TEM写真(図6)上、1
次凝集体単位に解離した化合物Gが行き渡らぬ領域が多
く見られ、大部分は長く延伸された2次凝集体として存
在していた。また、画像解析に依れば、添加した化合物
Gの約10%が短径1μm以上の2次凝集粒として存在
していた。無作為に抽出した500nm四方の区画20
0個中に2個以上の有機変性層状珪酸塩粒子が見い出だ
される確率は、25%にとどまった。本樹脂組成物の帯
電圧半減期は30sec以上、体積抵抗率は8.1×1
13Ω・cmであった。
【0057】比較例2 ランダムポリプロピレン樹脂「F658H」100重量
部と、樹脂中で無機分が5.4wt%となる量の化合物
Gを、「第4回ポリマー材料フォーラム予稿集」の29
4頁記載の方法で混練した。得られた樹脂組成物は、至
る所に肉眼でも化合物G粒子が確認でき、ヘイズ値も樹
脂単独時の40に比して55に増大していた。TEM
上、化合物Gは概ね帯状の2次凝集粒として存在し(短
径:200nm〜2μm)、この他に短径3μm以上の
巨大な凝集粒も各所に認められた。有機変性層状珪酸塩
化合物の分散性は極めて劣悪で、500nm四方の無作
為に抽出した区画200個中に2個以上の有機変性層状
珪酸塩粒子が見い出だされる確率は、13%に過ぎなか
った。本樹脂組成物の体積抵抗率は1.2×1014Ω・
cmであった。
【0058】比較例3 化合物Aの代わりに化合物Hを用いた以外は実施例1と
全く同様にして、化合物H−ポリプロピレン樹脂組成物
を得た。本樹脂組成物は、未解離の化合物H粒子により
白濁して見えた。TEM観察では、数〜数百μmの巨大
な化合物Hの2次凝集粒が各所に見られ、樹脂マトリッ
クス部には、化合物Hの1次凝集体の拡散がほとんど見
られなかった。無作為に抽出した500nm四方の区画
200個中に2個以上の有機変性層状珪酸塩粒子が見い
出だされる確率は、0.5%、体積抵抗率は5.2×1
15Ω・cmであった。
【0059】比較例4 化合物Aの代わりに化合物Iを用いた以外は実施例1と
全く同様にして、化合物I−ポリプロピレン樹脂組成物
を得た。本樹脂組成物は、未解離の化合物I粒子により
白濁して見えた。TEM観察では、数〜数百μmの巨大
な化合物Iの2次凝集粒が各所に見られ、樹脂マトリッ
クス部には、化合物Iの1次凝集体の拡散がほとんど見
られなかった。無作為に抽出した500nm四方の区画
200個中に2個以上の有機変性層状珪酸塩粒子が見い
出だされる確率は、1%、体積抵抗率は7.7×1015
Ω・cmであった。
【0060】比較例5 化合物Aの代わりに化合物Jを用いた以外は実施例1と
全く同様にして、化合物J−ポリプロピレン樹脂組成物
を得た。本樹脂組成物は、未解離の化合物J粒子により
白濁して見えた。TEM観察では、数〜数百μmの巨大
な化合物Jの2次凝集粒が各所に見られ、樹脂マトリッ
クス部への化合物Jの1次凝集体の拡散は、巨大2次凝
集粒の近傍に限られていた。無作為に抽出した500n
m四方の区画200個中に2個以上の有機変性層状珪酸
塩粒子が見い出だされる確率は、11%、体積抵抗率は
6.3×1013Ω・cmであった。
【0061】比較例6 化合物Aの代わりに化合物Kを用いた以外は実施例1と
全く同様にして、化合物K−ポリプロピレン樹脂組成物
を得た。本樹脂組成物は、未解離の化合物K粒子により
白濁して見えた。TEM観察では、数〜数百μmの巨大
な化合物Kの2次凝集粒が各所に見られ、樹脂マトリッ
クス部には、化合物Kの1次凝集体の拡散がほとんど見
られなかった。無作為に抽出した500nm四方の区画
200個中に2個以上の有機変性層状珪酸塩粒子が見い
出だされる確率は、3%、体積抵抗率は2.2×1014
Ω・cmであった。
【0062】比較例7 化合物Aの代わりに未変性のモンモリロナイト「クニピ
アF」(化合物L)を用いた以外は実施例1と全く同様
にして、化合物L−ポリプロピレン樹脂組成物を得た。
本樹脂組成物は、未解離の化合物L粒子により白濁して
見えた。TEM観察では、数十〜数百μmの巨大な化合
物Lの2次凝集粒が各所に見られ、樹脂マトリックス部
には、化合物Lの1次凝集体の拡散が全く見られなかっ
た。無作為に抽出した500nm四方の区画200個中
に2個以上の層状珪酸塩粒子が見い出だされる確率は、
0%、体積抵抗率は1016Ω・cm以上であった。
【0063】比較例8 「第38回粘土科学討論会 予稿集」52頁記載の方法
(大谷らの手法)に従い、コープ・ケミカル株式会社製
有機変性層状珪酸塩「SAN」(化合物M)をポリプロ
ピレン樹脂に添加し、化合物Mを3wt%含有するポリ
プロピレン樹脂組成物を得た。本樹脂組成物は、未解離
の化合物M粒子により白濁して見えた。TEM観察で
は、数〜数百μmの巨大な化合物Mの2次凝集粒が各所
に見られ、樹脂マトリックス部には、化合物Mの1次凝
集体の拡散がほとんど見られなかった。無作為に抽出し
た500nm四方の区画200個中に2個以上の有機変
性層状珪酸塩粒子が見い出だされる確率は、8%、体積
抵抗率は2.8×1014Ω・cmであった。
【0064】比較例9 ランダムポリプロピレン樹脂の代わりにポリエチレン樹
脂「スミカセンF208−1」を使用し、化合物A 5
重量部の代わりにRHEOX,INC製「BENTON
E 52」(化合物N)10重量部を用いた以外は実施
例1と全く同様にして、化合物N−ポリエチレン樹脂組
成物を得た。本樹脂組成物は、未解離の化合物N粒子に
より白濁して見えた。TEM観察では、数〜数百μmの
巨大な化合物Nの2次凝集粒が各所に見られ、樹脂マト
リックス部への、化合物Nの1次凝集体の拡散はわずか
であった。無作為に抽出した500nm四方の区画20
0個中に2個以上の有機変性層状珪酸塩粒子が見い出だ
される確率は、21%、体積抵抗率は5.6×1013Ω
・cmであった。
【0065】比較例10 化合物A 5重量部の代わりにテトラ−n−デシルアン
モニウムブロミド(化合物O)1.5重量部を用いた以
外は実施例1と全く同様にして、化合物O−ポリプロピ
レン樹脂組成物を得た。本樹脂組成物は成型直後には透
明であったが、3日後には表面がわずかに白濁した。本
樹脂組成物の帯電圧半減期は30sec以上、表面抵抗
率は1015Ω/□以上、体積抵抗率は1016Ω・cm以
上であった。
【0066】実施例10 ABS樹脂「トヨラック100」100重量部に化合物
P 5重量部を添加し、220℃で実施例1と同様に溶
融混練した。TEM解析に依れば、得られた化合物P−
ABS樹脂組成物中、化合物Pの約15%は1次凝集体
単位に解離し、残りは短径100nm程度以下の2次凝
集体として、樹脂マトリックス中に均一に分散してい
た。無作為に抽出した500nm四方の区画200個中
に2個以上の有機変性層状珪酸塩粒子が見い出だされる
確率は、90%であった(X線回折に依れば、本樹脂組
成物中で化合物Pは面間隔45.7Åにまで膨潤してい
る)。本樹脂組成物の帯電圧半減期は0.6sec、水
/エタノール洗浄後の帯電圧半減期は4.2secであ
り、また、体積抵抗率は、7.5×1011Ω・cmで、
永久帯電防止性であることが確認された。なお、化合物
Pが樹脂中に均一分散しているにもかかわらず、1mm
厚の試料片を用いて得られた本樹脂組成物の表面抵抗率
は、4.5×1011Ω/□なる値を示したが、湿度5%
に保持したグローブ・ボックス中に半日保存すると、こ
の値は3.8×1013Ω/□に増大した。また、帯電圧
半減期は7secに、体積抵抗率は、2.1×1012Ω
・cmにそれぞれ増加し、帯電防止能は標準条件下に比
してやや低下したものの、依然良好な範疇にあった。
【0067】実施例11 旭化成工業株式会社製ポリスチレン(PSt)樹脂「G
P666」100重量部に、化合物Q 5重量部を添
加、200℃で実施例10と同様に混練し、化合物Q−
ポリスチレン樹脂組成物を得た。TEM解析に依れば、
得られた化合物Q−ポリスチレン樹脂組成物中、化合物
Qの約30%は1次凝集体単位に解離し、残りは短径1
00nm程度以下の2次凝集体として、樹脂マトリック
ス中に均一に分散していた。無作為に抽出した500n
m四方の区画200個中に2個以上の有機変性層状珪酸
塩粒子が見い出だされる確率は、72%であった。本樹
脂組成物の帯電圧半減期は4.2sec、水/エタノー
ル洗浄後の帯電圧半減期は7.3secであった。
【0068】実施例12 化合物P 5重量部の代わりに化合物R 7重量部を用
いた以外は実施例10と全く同様にして、化合物R−A
BS樹脂組成物を得た。TEM解析に依れば、得られた
化合物R−ABS樹脂組成物中、化合物Rの約30%は
1次凝集体単位に解離し、残りは短径100nm程度以
下の2次凝集体として、樹脂マトリックス中に均一に分
散していた。無作為に抽出した500nm四方の区画2
00個中に2個以上の有機変性層状珪酸塩粒子が見い出
だされる確率は、90%であった。本樹脂組成物の帯電
圧半減期は0.2sec以下、水/エタノール洗浄後の
帯電圧半減期も0.2sec以下であった。
【0069】実施例13 株式会社クラレ製ポリエチレンテレフタレート(PE
T)樹脂「クラペット1030」100重量部に、化合
物S 10重量部を添加、270℃で実施例10と同様
にして、化合物S−PET樹脂組成物を得た。TEM解
析に依れば、得られた化合物S−PET樹脂組成物中、
化合物Sの80%以上は短径数十〜200nmの2次凝
集体として樹脂マトリックス中に均一に分散していた。
無作為に抽出した500nm四方の区画200個中に2
個以上の有機変性層状珪酸塩粒子が見い出だされる確率
は、77%であった。本樹脂組成物の体積抵抗率は7.
3×1011Ω・cmであった。
【0070】実施例14 化合物Pの代わりに化合物Tを用いた以外は実施例10
と全く同様にして、化合物T−ABS樹脂組成物を得
た。本樹脂組成物の体積抵抗率は5.0×109Ω・c
mであった。
【0071】実施例15 旭化成工業株式会社製ポリメチルメタクリレート(PM
MA)樹脂「デルペット560F」100重量部に、化
合物U 7重量部を添加、210℃で実施例10と同様
に混練を行ない、わずかに曇りは見られるが基本的には
透明な、化合物U−PMMA樹脂組成物を得た。TEM
写真上、無作為に抽出した500nm四方の区画200
個中に2個以上の有機変性層状珪酸塩粒子が見い出ださ
れる確率は、69%であった。本樹脂組成物の体積抵抗
率は8.1×1012Ω・cmであった。
【0072】実施例16 化合物Uの代わりに化合物Vを用いた以外は実施例15
と全く同様にして、化合物V−PMMA樹脂組成物を得
た。本樹脂組成物の体積抵抗率は3.6×1011Ω・c
mであった。
【0073】実施例17 化合物W 5重量部、禁止剤除去後減圧蒸留精製したス
チレンモノマー100重量部、並びに和光純薬製重合開
始剤「V−59」0.4重量部を乾燥後アルゴン下に蒸
留精製したトルエン200重量部に添加、アルゴン雰囲
気下、75℃で12h撹拌しながら重合を行なった。放
冷後、混合液を大量のヘキサン中に添加し、生じた沈澱
をトルエン/ヘキサンで再沈澱させた。白色の化合物W
−ポリスチレン樹脂組成物は、溶融成型すると、わずか
に曇りは残るがほぼ透明になった。TEM写真上、化合
物Wの大部分は、短径50〜200nmの2次凝集体粒
子として存在しており、無作為に抽出した500nm四
方の区画200個中に2個以上の有機変性層状珪酸塩粒
子が見い出だされる確率は、64%であった。本樹脂組
成物の体積抵抗率は4.1×1012Ω・cmであった。
【0074】実施例18 化合物Q 10重量部を、グリセリン型ポリエーテルポ
リオール(OHV=235;三井東圧化学株式会社
製):エチレングリコール=10:1の混合溶液100
重量部に添加、60℃で一時間撹拌して分散させた。こ
の組成液に、三井東圧化学株式会社製多官能イソシアネ
ートモノマー「TR−50」97.2重量部と、花王株
式会社製重合触媒「カオーライザーNo.1」1重量部
を添加し、1分間撹拌した後、100mm×100mm
×5mmの金型内に展開、50℃で24h反応させるこ
とにより、化合物Q−架橋ポリウレタン(PU)樹脂組
成物を得た。TEM観察に依れば、本樹脂組成物中、化
合物Qの大部分は短径数十〜500nmの2次凝集体と
して存在していた。
【0075】実施例19 化合物Qの代わりに化合物Xを用いた以外は実施例18
と全く同様にして、化合物X−架橋ポリウレタン樹脂組
成物を得た。TEM解析に依れば、得られた化合物X−
架橋ポリウレタン樹脂組成物中、化合物Xの大部分は短
径数十〜500nmの2次凝集体として存在していた。
無作為に抽出した500nm四方の区画200個中に2
個以上の有機変性層状珪酸塩粒子が見い出だされる確率
は、81%であった。本樹脂組成物の帯電圧半減期は
0.8sec、水/エタノール洗浄後の帯電圧半減期は
3.4secであった。
【0076】実施例20 無水マレイン酸50重量部とビスフェノールA 128
重量部を、アルゴン気流下、150℃で1時間撹拌した
後、210℃まで昇温し、生じた水を除去しつつ、さら
に2時間反応させた。放冷後、得られた不飽和ポリエス
テル樹脂を粉砕し、これと、化合物X 23重量部とを
スチレンモノマー300重量部に添加/30min混合
した。この混合溶液に過酸化ベンゾイル10重量部とジ
メチルアニリン2.5重量部を添加後、100mm×1
00mm×5mmの金型内に展開し、40℃で3時間静
置することにより、重合させた。TEM解析に依れば、
得られた化合物X−不飽和ポリエステル樹脂組成物中、
化合物Xはその大部分が、短径数十〜500nmの2次
凝集粒として分散していた。本樹脂組成物の体積抵抗率
は、5.4×1011Ω・cmであった。
【0077】比較例11 ホモポリプロピレン樹脂「三井ノーブレンJHH−G」
100重量部に、コープ・ケミカル株式会社製有機変性
層状珪酸塩「SPN(化合物Y)」を7重量部添加、2
00℃で実施例10と同様に混練を行ない、化合物Y−
ポリプロピレン樹脂組成物を得た。本樹脂組成物中、化
合物Y粒子は肉眼でも至る所に見い出だせるが、TEM
解析に依れば、化合物Yの80%以上は短径1〜百数十
μmの2次凝集体として樹脂マトリックス中に偏在して
いた。無作為に抽出した500nm四方の区画200個
中に2個以上の有機変性層状珪酸塩粒子が見い出だされ
る確率は、8%であった。本樹脂組成物の帯電圧半減期
は30sec以上で、帯電防止性を示さなかった。
【0078】比較例12 ポリスチレン樹脂「GP666」100重量部に、化合
物V 7重量部を添加、200℃で実施例11と同様に
混練し、化合物V−ポリスチレン樹脂組成物を得た。T
EM解析に依れば、本樹脂組成物中、化合物Vの80%
以上は短径1〜百数十μmの2次凝集体として樹脂マト
リックス中に偏在していた。無作為に抽出した500n
m四方の区画200個中に2個以上の有機変性層状珪酸
塩粒子が見い出だされる確率は、10%であった。本樹
脂組成物の帯電圧半減期は30sec以上で、帯電防止
性を示さなかった。
【0079】比較例13 化合物Yの代わりに化合物W 7重量部を用いた以外は
比較例11と全く同様にして、化合物W−ポリプロピレ
ン樹脂組成物を得た。本樹脂組成物は、未解離の化合物
W粒子により白濁して見えた。TEM観察では、数〜数
百μmの巨大な化合物Wの2次凝集粒が各所に見られ、
樹脂マトリックス部には、化合物Wの1次凝集体の拡散
がほとんど見られなかった。無作為に抽出した500n
m四方の区画200個中に2個以上の有機変性層状珪酸
塩粒子が見い出だされる確率は、9%、体積抵抗率は
7.9×1013Ω・cmであった。
【0080】比較例14 ABS樹脂「トヨラック100」100重量部に、ドデ
シルジメチルポリオキシプロピレンアンモニウムクロリ
ド(化合物Z)を0.3重量部添加し、実施例10と同
様にして、化合物Z−ABS樹脂組成物を得た。成型直
後、3.2×1015Ω/□であった本樹脂組成物の表面
抵抗率は、室温で30日保存後、2.8×1012Ω/□
にまで低下し、弱いながらも帯電防止能を呈した。しか
し、試料片表面を水/エタノールで洗浄後乾燥すると、
表面抵抗率は1016Ω/□以上となった。
【0081】比較例15 ランダムポリプロピレン樹脂「F658H」のみを、1
90℃の二軸押出し機に通し(100rpm)、実施例
1と同様の処理にてポリプロピレン樹脂試験片を作成し
た。本樹脂は、帯電圧半減期30sec以上、体積抵抗
率1016Ω・cm以上で、高い絶縁性を示した。
【0082】比較例16 ホモポリプロピレン樹脂「三井ノーブレンJHH−G」
のみを、200℃の二軸押出し機に通し(100rp
m)、実施例1と同様の処理にてポリプロピレン樹脂試
験片を作成した。本樹脂は、帯電圧半減期30sec以
上、体積抵抗率1016Ω・cm以上で、高い絶縁性を示
した。
【0083】比較例17 フィラー強化ポリプロピレン樹脂「サンレットTT70
30」のみを、200℃の二軸押出し機に通し(100
rpm)、実施例1と同様の処理にて(フィラー含有)
ポリプロピレン樹脂組成物試験片を作成した。本樹脂組
成物は、帯電圧半減期30sec以上、体積抵抗率10
16Ω・cm以上で、高い絶縁性を示した。
【0084】比較例18 ポリエチレン樹脂「スミカセンF208−1」のみを、
200℃の二軸押出し機に通し(85rpm)、実施例
1と同様の処理にてポリエチレン樹脂試験片を作成し
た。本樹脂は、帯電圧半減期30sec以上、体積抵抗
率1016Ω・cm以上で、高い絶縁性を示した。
【0085】比較例19 HIPS樹脂「H8652」のみを、220℃の二軸押
出し機に通し(100rpm)、実施例1と同様の処理
にてHIPS樹脂試験片を作成した。本樹脂は、帯電圧
半減期30sec以上、体積抵抗率1016Ω・cm以上
で、高い絶縁性を示した。
【0086】比較例20 ABS樹脂「トヨラック100」のみを、220℃の二
軸押出し機に通し(85rpm)、実施例1と同様の処
理にてABS樹脂試験片を作成した。本樹脂は、帯電圧
半減期30sec以上、体積抵抗率1016Ω・cm以上
で、高い絶縁性を示した。
【0087】比較例21 ポリスチレン樹脂「GP666」のみを、200℃の二
軸押出し機に通し(100rpm)、実施例1と同様の
処理にてポリスチレン樹脂試験片を作成した。本樹脂
は、帯電圧半減期30sec以上、体積抵抗率1016Ω
・cm以上で、高い絶縁性を示した。
【0088】比較例22 PMMA樹脂「デルペット560F」のみを、210℃
の二軸押出し機に通し(100rpm)、実施例1と同
様の処理にてPMMA樹脂試験片を作成した。本樹脂
は、帯電圧半減期30sec以上、体積抵抗率2×10
15Ω・cmで、高い絶縁性を示した。
【0089】比較例23 PET樹脂「クラペット1030」のみを、270℃の
二軸押出し機に通し(100rpm)、実施例1と同様
の処理にてPET樹脂試験片を作成した。本樹脂は、帯
電圧半減期30sec以上、体積抵抗率7.8×1014
Ω・cmで、高い絶縁性を示した。
【0090】比較例24 化合物Qを添加しなかった以外は、実施例18記載の処
方と同様の操作により、架橋ポリウレタン樹脂を得た。
本樹脂は、帯電圧半減期30sec以上、体積抵抗率
7.9×1012Ω・cmで、高い絶縁性を示した。
【0091】比較例25 化合物Xを添加しなかった以外は、実施例20記載の処
方と同様の操作により、不飽和ポリエステル樹脂組成物
を得た。本樹脂組成物は、帯電圧半減期30sec以
上、体積抵抗率6.4×1013Ω・cmで、高い絶縁性
を示した。
【0092】
【表4】
【0093】
【表5】
【0094】
【表6】
【0095】
【表7】 (注) *1 表中、化合物の配合量は、樹脂100重量部に対
する重量部である。*2 表中、凝集体の短径と平均最
近接粒子間距離における記号は以下の意味である。 (A)凝集体の短径 ○:1次凝集体及び短径500nm以下の2次凝集体の
分率が、樹脂マトリックス100重量部に対し、2乃至
30重量部の範囲内にある。 ×:1次凝集体及び短径500nm以下の2次凝集体の
分率が、樹脂マトリックス100重量部に対し、2重量
部未満である。 (B)平均最近接粒子間距離 ○:500nm四方の区画内に2個以上の粒子が存在す
る確率が50%以上である。 ×:500nm四方の区画内に2個以上の粒子が存在す
る確率が50%未満である。
【図面の簡単な説明】
【図1】市販されているトリメチルオクタデシルアンモ
ニウム変性粘土−ポリプロピレン樹脂組成物の粒子構造
を示す電子顕微鏡像である。
【図2】本発明における平均最近接粒子間を説明するモ
デル図である。
【図3】本発明における面間隔を説明するモデル図であ
る。
【図4】実施例1で得られた化合物A−ポリプロピレン
樹脂組成物の粒子構造を示す透過型電子顕微鏡像であ
る。
【図5】実施例4で得られた化合物B−HIPS組成物
の粒子構造を示す透過型電子顕微鏡像である。
【図6】比較例1で得られた化合物G−ポリプロピレン
樹脂組成物の粒子構造を示す透過型電子顕微鏡像であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西 勲 和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社研 究所内 (72)発明者 角田 裕三 和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社研 究所内

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】樹脂100重量部に対し、体積固有抵抗率
    が1012Ω・cm以下である有機変性層状珪酸塩化合物
    2乃至30重量部を、(1)1次凝集体及び/又は凝集
    体の短径が500nm以下の2次凝集体の形で、かつ、
    (2)平均最近接粒子間距離が500nm以下、の状態
    となるよう分散させることを特徴とする樹脂の帯電防止
    方法。
  2. 【請求項2】樹脂100重量部中に、体積固有抵抗率が
    1012Ω・cm以下である有機変性層状珪酸塩化合物2
    乃至30重量部が、(1)1次凝集体及び/又は凝集体
    の短径が500nm以下の2次凝集体の形で、かつ、
    (2)平均最近接粒子間距離が500nm以下、の状態
    で分散していることを特徴とする永久帯電防止性樹脂組
    成物。
  3. 【請求項3】有機変性層状珪酸塩化合物が、50 meq/
    100g以上のカチオン交換容量を有する層状珪酸塩と
    炭素数の総和が26以上の有機アンモニウム塩との反応
    生成物であることを特徴とする請求項2記載の永久帯電
    防止性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】有機アンモニウム塩が、下記一般式(I)
    で表されることを特徴とする請求項3記載の永久帯電防
    止性樹脂組成物。 【化1】 〔式中、R1、R2は、同一又は異なり、それぞれ、置換基
    を有していてもよい炭素数12以上のアルキル基を示
    す。Xは、対イオンを表す。〕
  5. 【請求項5】有機アンモニウム塩が、下記一般式(II)
    で表されることを特徴とする請求項3記載の永久帯電防
    止性樹脂組成物。 【化2】 〔式中、R3、R4は、同一又は異なり、それぞれ、置換基
    を有していてもよい炭素数12以上のアルキル基を示
    し、R5は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数
    2乃至7のアルキル基又はアリール基を示し、R6は、水
    素原子、置換基を有していてもよい炭素数1乃至7のア
    ルキル基又はアリール基を示す。X は、対イオンを表
    す。〕
  6. 【請求項6】有機アンモニウム塩が、下記一般式 (III)
    で表されることを特徴とする請求項3記載の永久帯電防
    止性樹脂組成物。 【化3】 〔式中、R7、R8、R9は、同一又は異なり、それぞれ、置
    換基を有していてもよい炭素数8以上のアルキル基を示
    し、R10 は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素
    数1以上のアルキル基又はアリール基を示す。X は、対
    イオンを表す。〕
  7. 【請求項7】有機アンモニウム塩が、下記一般式(IV)
    で表されることを特徴とする請求項3記載の永久帯電防
    止性樹脂組成物。 【化4】 〔式中、R11は置換基を有していてもよい炭素数8以上
    のアルキル基を示し、R12は置換基を有していてもよい
    炭素数1乃至11のアルキル基を示し、R13、R14は、同
    一又は異なり、それぞれ、置換基を有していてもよい炭
    素数1乃至7のアルキル基を示す。X は、対イオンを表
    す。〕
  8. 【請求項8】有機変性層状珪酸塩化合物の面間隔が23
    乃至50Åであることを特徴とする、請求項4、5、6
    又は7記載の永久帯電防止性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】有機アンモニウム塩が、下記一般式(V)
    で表されることを特徴とする請求項3記載の永久帯電防
    止性樹脂組成物。 【化5】 〔式中、R15 は、炭素数2乃至4のオキシアルキレンユ
    ニットからなるモノ又はポリオキシアルキレン基を示
    し、R16、R17は、同一又は異なり、それぞれ、置換基を
    有していてもよい炭素数1乃至30のアルキル基及び炭
    素数2乃至4のオキシアルキレンユニットからなるモノ
    又はポリオキシアルキレン基の群から選ばれる置換基を
    示す。オキシアルキレンユニットの付加モル数は、1乃
    至50である。R18 は、水素原子、置換基を有していて
    もよい炭素数1乃至8のアルキル基又はアリール基を示
    す。Xは、対イオンを表す。〕
  10. 【請求項10】有機アンモニウム塩が、下記一般式(V
    I)で表されることを特徴とする請求項3記載の永久帯
    電防止性樹脂組成物。 【化6】 〔式中、R19 は、置換基を有していてもよい炭素数1以
    上のアルキルユニット及び炭素数2乃至4のオキシアル
    キレンユニットからなるアルキルモノもしくはポリオキ
    シアルキレン基、水素原子もしくは置換基を有していて
    もよい炭素数1以上のアルキルユニット及び炭素数2乃
    至4のオキシアルキレンユニットからなるアルキルフェ
    ニルモノもしくはポリオキシアルキレン基、又は、置換
    基を有していてもよい炭素数2以上のアシルユニット及
    び炭素数2乃至4のオキシアルキレンユニットからなる
    アシルモノもしくはポリオキシアルキレン基を示し、R
    20 、R21 は、同一又は異なり、それぞれ、置換基を有
    していてもよい炭素数1乃至30のアルキル基、炭素数
    2乃至4のオキシアルキレンユニットからなるモノ又は
    ポリオキシアルキレン基、置換基を有していてもよい炭
    素数1以上のアルキルユニット及び炭素数2乃至4のオ
    キシアルキレンユニットからなるアルキルモノ又はポリ
    オキシアルキレン基、水素原子又は置換基を有していて
    もよい炭素数1以上のアルキルユニット及び炭素数2乃
    至4のオキシアルキレンユニットからなるアルキルフェ
    ニルモノ又はポリオキシアルキレン基、並びに、置換基
    を有していてもよい炭素数2以上のアシルユニット及び
    炭素数2乃至4のオキシアルキレンユニットからなるア
    シルモノ又はポリオキシアルキレン基の群から選ばれる
    置換基を示す。オキシアルキレンユニットの付加モル数
    は、1乃至50である。R22は、水素原子、置換基を有
    していてもよい炭素数1乃至8のアルキル基又はアリー
    ル基を示す。X は、対イオンを表す。〕
  11. 【請求項11】有機アンモニウム塩が、下記一般式(VI
    I) で表されることを特徴とする、請求項3記載の永久
    帯電防止性樹脂組成物。 【化7】 〔式中、R23、R24、R25 は、同一又は異なり、それぞ
    れ、置換基を有していてもよい炭素数1乃至30のアル
    キル基、炭素数2乃至4のオキシアルキレンユニットか
    らなるモノ又はポリオキシアルキレン基、置換基を有し
    ていてもよい炭素数1以上のアルキルユニット及び炭素
    数2乃至4のオキシアルキレンユニットからなるアルキ
    ルモノ又はポリオキシアルキレン基、水素原子又は置換
    基を有していてもよい炭素数1以上のアルキルユニット
    及び炭素数2乃至4のオキシアルキレンユニットからな
    るアルキルフェニルモノ又はポリオキシアルキレン基、
    並びに、置換基を有していてもよい炭素数2以上のアシ
    ルユニット及び炭素数2乃至4のオキシアルキレンユニ
    ットからなるアシルモノ又はポリオキシアルキレン基の
    群から選ばれる置換基を示し、R26 は、水素原子、置換
    基を有していてもよい炭素数1乃至8のアルキル基又は
    アリール基を示す。オキシアルキレンユニットの付加モ
    ル数は、1乃至50である。また、Y 、Z 、Wの内、少
    なくとも1つは、-CH2O-、-CH2COO-、-CH2CH2COO-、-CH
    2OCO-、-CH2CH2OCO-、-(CH2)mNHCO-、-(CH2)mNHCO-CH2O
    -の群から選ばれる連結基を示し、残りはアンモニウム
    基の窒素原子と直接結合する単結合を表す。mは、1乃
    至4の整数を表す。〕
  12. 【請求項12】有機変性層状珪酸塩化合物の面間隔が2
    3乃至70Åであることを特徴とする請求項9、10又
    は11記載の永久帯電防止性樹脂組成物。
  13. 【請求項13】樹脂が、熱可塑性樹脂であることを特徴
    とする請求項2〜12の何れか1項記載の永久帯電防止
    性樹脂組成物。
  14. 【請求項14】樹脂が、熱可塑性ポリオレフィン系樹脂
    であることを特徴とする請求項2〜12の何れか1項記
    載の永久帯電防止性樹脂組成物。
  15. 【請求項15】樹脂が、熱可塑性ポリスチレン系樹脂で
    あることを特徴とする請求項2〜12の何れか1項記載
    の永久帯電防止性樹脂組成物。
  16. 【請求項16】樹脂が、熱可塑性極性基含有樹脂である
    ことを特徴とする請求項2〜12の何れか1項記載の永
    久帯電防止性樹脂組成物。
  17. 【請求項17】樹脂が、熱可塑性ポリエチレン又はポリ
    エチレンユニット含有樹脂であることを特徴とする請求
    項4、5、6、7又は8記載の永久帯電防止性樹脂組成
    物。
  18. 【請求項18】樹脂が、熱可塑性ポリプロピレン又はポ
    リプロピレンユニット含有樹脂であることを特徴とする
    請求項4、5、6、7又は8記載の永久帯電防止性樹脂
    組成物。
  19. 【請求項19】樹脂が、熱可塑性ポリスチレン樹脂であ
    ることを特徴とする請求項4、5、6、7又は8記載の
    永久帯電防止性樹脂組成物。
  20. 【請求項20】樹脂が、熱可塑性スチレンユニット含有
    樹脂であることを特徴とする請求項4、5、6、7又は
    8記載の永久帯電防止性樹脂組成物。
  21. 【請求項21】樹脂が、熱可塑性ニトリル基含有樹脂で
    あることを特徴とする請求項4、5、6、7、8、9、
    10、11又は12記載の永久帯電防止性樹脂組成物。
  22. 【請求項22】樹脂が、熱可塑性エステル基含有樹脂で
    あることを特徴とする請求項4、5、6、7、8、9、
    10、11又は12記載の永久帯電防止性樹脂組成物。
  23. 【請求項23】樹脂が、熱可塑性極性基含有樹脂である
    ことを特徴とする請求項9、10、11又は12記載の
    永久帯電防止性樹脂組成物。
  24. 【請求項24】樹脂が、熱可塑性樹脂のブレンド系樹脂
    であることを特徴とする請求項2〜12の何れか1項記
    載の永久帯電防止性樹脂組成物。
  25. 【請求項25】ポリオレフィン系熱可塑性樹脂100重
    量部に対して、体積固有抵抗率が1012Ω・cm以下の
    有機変性層状珪酸塩化合物2乃至30重量部を均一分散
    させることを特徴とする樹脂の帯電防止方法。
  26. 【請求項26】ポリスチレン系熱可塑性樹脂100重量
    部に対して、体積固有抵抗率が1012Ω・cm以下の有
    機変性層状珪酸塩化合物2乃至30重量部を均一分散さ
    せることを特徴とする樹脂の帯電防止方法。
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