JPH09203895A - 液晶表示素子および光学異方素子 - Google Patents

液晶表示素子および光学異方素子

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JPH09203895A
JPH09203895A JP8161454A JP16145496A JPH09203895A JP H09203895 A JPH09203895 A JP H09203895A JP 8161454 A JP8161454 A JP 8161454A JP 16145496 A JP16145496 A JP 16145496A JP H09203895 A JPH09203895 A JP H09203895A
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optical
liquid crystal
optically anisotropic
anisotropic
layer
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JP8161454A
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English (en)
Inventor
Masahito Ishikawa
正仁 石川
Atsuyuki Manabe
敦行 真鍋
Yasuharu Tanaka
康晴 田中
Masumi Okamoto
ますみ 岡本
Hitoshi Hado
仁 羽藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 視角依存性特にコントラスト比、表示色の視
角依存性を改善する。 【解決手段】少なくとも1枚の偏光板1、4と、2枚の
基板3a、3b間に液晶3eを挟持した駆動用液晶セル
とを具備する液晶表示素子において、厚さ方向に光学異
方性単位をつらねてなる光学異方素子2を有し、それぞ
れの光学異方性単位の光軸の角度が厚さ方向に対して一
定でなく厚さ方向で旋光性が最小になるように配列さ
れ、かつ前記光学異方性単位の光学異方性が厚さ方向に
対して負号である。また、光学異方素子2の光軸と駆動
用液晶セルの基板表面とのなす角度は、光学異方素子の
層厚方向に連続的あるいは段階的に変化している。この
光学異方素子に光学異方性が正号の光学異方素子を組み
合わせることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学的補償がされ
た液晶表示素子および光学的補償用の光学異方素子に関
する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子は、薄型軽量・低消費電力
という大きな利点をもつ為、腕時計や電卓、日本語ワー
ドプロセッサ、パーソナルコンピュータ等のディスプレ
イとしてだけではなく、液晶表示素子の利点を積極的に
活用した新規な構想の製品にも活用されている。中でも
パーソナルコンピュータなどに用いられる液晶表示素子
は、大面積・大容量表示化しており、表示面の大きさが
対角10インチ、640×480画素といったものが主
流になってきた。このクラスの液晶表示素子に用いられ
ている表示方式としては、大きく2つに分類できる。1
つは、単純マトリクス方式、もう1つはアクティブマト
リクス方式である。
【0003】単純マトリクス方式は、液晶を櫛形の透明
電極が付いた2枚のガラス基板で挟んだけの単純な構造
をしている。それゆえ、単純マトリクス方式において
は、液晶に高い性能が要求される。この液晶に要求され
る性能を説明する前に、液晶表示素子の表示原理につい
て説明する。液晶表示素子の表示は、液晶にかかる電圧
を変化させて液晶分子の向き変化させて表示を行ってい
る。一般に、大きなコントラスト比を得るには大きな電
圧差が必要である。しかし、640×480画素もの表
示を実現するには、暗と明の電圧差は約1Vと小さく、
1V差だけで液晶分子の大きな状態変化が要求される。
これを実現するため、長い間、多くの研究者らにより検
討され、1985年、シェーファらの研究グループによ
りなされた。彼らの研究によると、液晶分子の配列のね
じれ角(ツイスト角)を大きくすることで配列の変化が
電圧に対して敏感に変化し、また、大きなねじれ角で安
定な配列を得るには、液晶分子はある程度の傾きを持っ
ていることが必要であることを見いだした。この研究報
告以来、これを実現するための配向技術が盛んに行われ
実用化に成功した。
【0004】配列640×480画素もの表示を実現す
るには、一般にツイスト角は180゜以上必要であり、
このようにツイスト角が大きいことから、この液晶をス
ーパーツイストネマティック(STN)と呼ばれた。し
かし、初期のSTNディスプレイは背景が黄色で緑の文
字表示など表示に色づきがあり、白黒の表示ではなかっ
た。これは、ツイスト角が大きいためで、このような表
示の着色を解消する手段として、液晶層の配列が逆の方
向にねじれた第2の液晶セルを偏光板と液晶セルの間に
配置することによって白黒表示を実現できることが特公
昭63−53528号公報にて報告されている。
【0005】この白黒化の原理は、液晶分子がねじれ配
列とされる第1の液晶セルを透過し旋光分散を生じた光
を、第1の液晶セルと対象構造の第2の液晶セルに透過
させる事によって旋光分散を解消した。その結果、光の
旋光分散に起因する着色が解消され、白黒表示を実現す
ることができる。このような変換を正確に行うには、光
学補償板である第2の液晶セルは、第1の液晶セルとリ
タデーション値がほぼ同一で、かつねじれ方向が相互間
で逆であり、それらの配置は、相互に最近接する液晶分
子の配向方位が直交するように構成することが必要であ
る。
【0006】この他の手段としては、前述した第2の液
晶セルの替わりに光学異方性フィルムを用いる手法も種
々提案されている。これは、光学異方性フィルムを液晶
セル上に数枚積層することにより、第2の液晶セルとほ
ぼ同一な機能をもたせる手法である。
【0007】以上述べた光学補償によりSTNディスプ
レイでも白黒表示が可能となり、更にカラーフィルタと
の組み合わせにより、より付加価値の高いカラー表示も
実現することができる。しかし、単純マルチプレクス方
式は、電圧平均化法に基づく時分割駆動を原理としてい
る為、表示容量を増大するために走査線数を増加する
と、光を遮断する際の電圧値と、光を透過させるの際の
電圧差が著しく減少し、その結果コントラスト比が小さ
くなったり、液晶の応答速度が遅くなる本質的な問題が
ある。また、この様な従来技術は、液晶表示素子を見る
時の方位や角度によって表示画が反転して見えたり、表
示画が全く見えなくなったり、あるいは表示が色づくと
いった現象として観測され、より表示品位の高い液晶表
示素子を実現する際、大きく問題となる。
【0008】一方、アクティブマトリクス方式は、各表
示画素ごとに薄膜トランジスタやダイオードからなるス
イッチング素子を具備しているため、走査線の数に関係
なく各画素の液晶層に任意の電圧比を設定できる。従っ
て、単純マトリクス方式の場合の様な特別な性能は液晶
には要求されない。ツイスト角をSTNのように大きく
する必要はなく、90゜とされている。
【0009】ツイスト角が90゜の液晶セル(TN)
は、ねじれ角が小さいため旋光分散がなく、無彩色で高
コントラストな表示が得られる。また、電圧に対する応
答もSTNより速い。アクティブマトリクス方式とTN
とを組み合わせることにより、大表示容量でコントラス
ト比が高く、応答速度が速い液晶表示素子が実現するこ
とができる。また、各画素毎にスイッチング素子がある
ため中間的電圧を印加できこれにより中間調表示も可能
である。更に、カラーフィルタと組み合わせることによ
り、フルカラー表示も実現が容易である。
【0010】しかし、アクティブマトリクス方式の場合
でも、2値表示をした場合にはそれほどでもないが、中
間調を表示したときに、見る方向によって表示画が反転
して見えたり、表示画が全く見えなくなったり、あるい
は表示が色づくといった現象として観測され、より表示
品位の高い液晶表示素子を実現する際、大きく問題とな
る。
【0011】このような表示の視角依存性を低減させる
手段として、特開昭62−21423号公報に2枚の偏
光板の間に、液晶セルと光学異方性が厚み方向に負のポ
リマーフィルムである複屈折層を配置することが開示さ
れている。一方、特開平3−67219号公報に、螺旋
ピッチ長と屈折率の積が400nm以下のコレステリッ
ク液晶相を示す液晶化合物(または高分子液晶)からな
る複屈折層を液晶セル上に配置することが開示されてい
る。これら2つの提案は、垂直配列(配向基板に対して
液晶分子が垂直に配列したもの)した液晶セルの場合し
か考慮されてなく、TN方式やSTN方式のようなねじ
れた配列をした液晶セルの場合には考えられていない。
また、特願平3−121578号にツイスト角360゜
以上の配列で、チルト角をもつ光学補償素子で液晶表示
素子の視野角を制御する提案もあるが、階調表示をした
場合には視野角拡大の効果がまだ十分とはいえない。そ
して、負の光学異方性物質の光軸を斜め配列させ、TN-L
CDの視野角特性を改善する技術報告もされている(第2
1回液晶討論会講演予稿集、p.298 〜301 )が、全ての
方位に関しては補償できていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】以上述べた液晶表示素
子の基本的な表示原理は、液晶に印加する電圧により液
晶分子の向きを変化させ、液晶セルに光学的な変化を生
じさせるところにある。
【0013】従って、液晶表示素子を傾けてみると液晶
分子の向きが変化して見え、特に微妙な中間調を表示す
る場合、液晶分子の傾き具合を細かく変化させるのでよ
り顕著である。
【0014】このような、液晶分子の配列の見え方の視
角依存性により、表示画が反転して見えたり全く識別で
きなかったりするといった現象として観測され、特にカ
ラーフィルターと組み合わせてフルカラー表示を行う際
には、表示画の再現性が著しく低下し大きく問題とな
る。
【0015】本発明は上記不都合を解決するものであ
り、コントラスト比および表示色の視角依存性を改善し
た液晶表示素子およびこれに使用する光学異方素子を得
るものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下に示す特
徴をもつ液晶表示素子にある。
【0017】少なくとも1枚の偏光板と、2枚の基板間
に液晶を挟持した駆動用液晶セルと、複数の光学異方性
単位が厚さ方向に連なる少なくとも1つの光学異方素子
とで構成され、前記光学異方素子は前記光学異方性単位
の光学異方性が前記厚さ方向に対して負号であり、それ
ぞれの光軸の角度が前記厚さ方向に対して一定でなく、
かつ前記厚さ方向で最小の旋光性を有するように配列さ
れていることを特徴とする液晶表示素子。
【0018】前記光学異方素子の光軸と駆動用液晶セル
の基板表面とのなす角度が、前記光学異方素子の層厚方
向に連続的あるいは段階的に変化していることが好まし
い。
【0019】光学異方素子の光軸の角度が、駆動用液晶
セルに近い側では基板表面にほぼ平行であり、前記基板
から離れた側では前記基板の法線にほぼ沿うように前記
光学異方素子の層内で変化していることが好ましい。
【0020】光学異方素子の光軸の角度が、駆動用液晶
セルに近い側では基板の法線にほぼ沿っており、前記基
板から離れた側では前記基板表面にほぼ平行になるよう
に前記光学異方素子の層内で変化していることが好まし
い。
【0021】駆動用液晶セルの基板の法線方向から見た
ときに光学異方素子の光軸の向きが層方向に傾いて単一
の軸上にあることが好ましい。
【0022】駆動用液晶セルの基板の法線方向から見た
ときに光学異方素子の光軸の向きがねじれている場合も
効果があり、ただし旋光性が少ないことが好ましい。
【0023】さらに、光学異方素子の光軸の角度が駆動
用液晶セルに近い側では基板表面にほぼ平行であり、前
記基板から離れた側では前記基板の法線にほぼ沿うよう
に前記光学異方素子の層内で変化している第1の光学異
方素子と、光学異方素子の光軸の角度が駆動用液晶セル
に近い側では基板の法線にほぼ沿っており、前記基板か
ら離れた側では前記基板表面にほぼ平行になるように前
記光学異方素子の層内で変化している第2の光学異方素
子とが、それぞれ少なくとも1つ配置されていることを
特徴とする液晶表示素子を得るものである。
【0024】前記光学異方素子の光軸が、この光学異方
素子の一方の面側ではこの面の法線方向にほぼ平行であ
り、前記面から離れた側では10°〜80°となるよう
に前記光学異方素子の層内で厚さ方向に変化しているこ
とが好ましい。
【0025】光学異方素子の光軸がこの光学異方素子の
一方の面となす角度が、一方の面側では10°〜90°
から選ばれた第1の角度であり、前記面から離れた他方
の面側では前記第1の角度よりも小さくかつ0°〜80
°の範囲の第2の角度となように前記光学異方素子の層
内で変化していることが好ましい。
【0026】さらに、光学異方素子の駆動用液晶セルの
基板表面にほぼ平行である側の光軸が、前記基板の法線
方向から見たときに、偏光板の吸収軸に対して平行およ
びそれに近い角度、または直交およびそれに近い角度で
配置されていることが好ましい。
【0027】また、少なくとも1枚の偏光板と、2枚の
基板間に液晶を挟持した駆動用液晶セルと、1層以上の
光学異方性単位からなる少なくとも1つの光学異方素子
とで構成された、前記光学異方素子の光軸と駆動用液晶
セルの基板表面とのなす角度が前記駆動用液晶セルに近
い側と遠い側とではほぼ同じであるが、中間部において
は変化しており、かつ前記光学異方素子の光学異方性が
厚さ方向に対して負号であることを特徴とする液晶表示
素子を得るものである。。
【0028】光学異方素子の光軸と駆動用液晶セルの基
板表面とのなす角度が前記駆動用液晶セルに近い側と遠
い側とではほぼ同じであるが、中間部では前記光学異方
素子の層厚方向に連続的あるいは段階的に変化している
ことが好ましい。
【0029】駆動用液晶セルの基板の法線方向から見た
ときに、光学異方素子の光軸の方向が単一軸上にあるこ
とが好ましい。
【0030】駆動用液晶セルの基板の法線方向から見た
ときに、光学異方素子の光軸の方向が2方向以上あるこ
とが好ましい。
【0031】駆動用液晶セルの基板の法線方向から見た
ときに、光学異方素子の光軸が連続的または段階的にね
じれていることが好ましい。
【0032】偏光板と光学異方素子との間に二軸性のリ
タデーションフィルムを配置してなることが好ましい。
【0033】光学異方素子の光学異方性単位が、有機ま
たは無機材料、あるいは高分子液晶からなることが好ま
しい。
【0034】さらに本発明は以下に示す特徴をもつ光学
異方素子にある。
【0035】複数の光学異方性単位が厚さ方向に連なる
光学異方素子において、前記光学異方素子の光軸と表面
とのなす角度が、前記光学異方素子中の上下の表面近傍
で異なり、前記光学異方素子の光学異方性が厚さ方向に
対して負号であることを特徴とする光学異方素子。
【0036】光学異方素子の光軸の角度が光学異方素子
表面に対して、前記光学異方素子の層厚方向に連続的あ
るいは段階的に変化していることが好ましい。
【0037】光学異方素子の光軸の角度が光学異方素子
表面にほぼ平行であり、前記光学異方素子の他の側の表
面の法線にほぼ沿うように前記光学異方素子の層内で変
化していることが好ましい。
【0038】光学異方素子の光軸の角度が光学異方素子
表面の法線にほぼ沿っており、前記光学異方素子の他の
側の表面にほぼ平行になるように前記光学異方素子の層
内で変化していることが好ましい。
【0039】光学異方素子表面の法線方向から見たとき
に光学異方素子の光軸の向きが単一の軸上にあることが
好ましい。
【0040】光学異方素子表面の法線方向から見たとき
に光学異方素子の光軸の向きがねじれていることが好ま
しい。
【0041】光学異方素子の光軸と表面のなす角度が、
一方の側と他の側とではほぼ同じであるが、中間部では
変化しており、かつ前記光学異方素子の光学異方性が厚
さ方向に対して負号であることを特徴とする光学異方素
子。
【0042】光学異方素子の光軸と表面のなす角度が、
一方の側と他の側とではほぼ同じであるが、中間部では
前記光学異方素子の層厚方向に連続的あるいは段階的に
変化していることが好ましい。
【0043】光学異方素子表面の法線方向から見たとき
に、前記光学異方素子の光軸の方向が単一軸上にあるこ
とを特徴とすることが好ましい。
【0044】光学異方素子表面の法線方向から見たとき
に、前記光学異方素子の光軸の方向が2方向以上あるこ
とを特徴とすることが好ましい。
【0045】光学異方素子表面の法線方向から見たとき
に、前記光学異方素子の光軸が連続的または段階的にね
じれていることを特徴とすることが好ましい。
【0046】光学異方素子の光学異方性物質層が、有機
または無機材料、あるいは高分子液晶からなることが好
ましい。
【0047】さらに本発明は、少なくとも2枚の偏光板
の間に、2枚の基板間に液晶を挟持した駆動用液晶セル
と、光学異方性単位の光学異方性の符号が互いに異なる
異光学方性層が少なくともそれぞれ1層以上組合わされ
て配置され,前記組合わされた光学異方性層の法線方向
より傾いた方向での旋光性が,法線方向での旋光性より
大きいことを特徴とする光学異方性層を有す液晶表示素
子を得るものである。
【0048】前記光学異方性単位の光学異方性が正号で
ある光学異方性層の光学異方性単位の光軸が光学異方性
層厚方向に対し均一に斜め、あるいは光学異方性層厚方
向に連続的に変化していることが好ましい。
【0049】前記光学異方性層の光学異方性単位の光軸
が光学異方性層厚方向に対し均一に斜め、あるいは光学
異方性層厚方向に連続的に変化しており、前記光軸の方
位が同一の向きに配列していることが好ましい。
【0050】前記光学異方性単位の光学異方性が負号で
ある光学異方性層と光学異方性単位の光学異方性が正号
である光学異方性層の組合せ体を、駆動用液晶セルの両
面側に配置してなることが好ましい。
【0051】前記負の光学異方性である光学異方性単位
からなる光学異方性層を駆動用液晶セルに隣接させて配
置することが好ましい。
【0052】前記光学異方性層の光学異方性単位の光軸
が光学異方性層厚方向に対し連続的に変化している光学
異方性層の光軸の傾き角が小さい方の面を前記駆動用液
晶セルに隣接させて配置することを特徴とすることが好
ましい。
【0053】前記光学異方性単位の光学異方性が正号で
ある光学異方性層の光軸方位と、光学異方性単位の光学
異方性が負号である光学異方性層の光軸方位とが互いに
直交して配置されることが好ましい。
【0054】さらに上記液晶表示素子において、前記光
学異方性単位の光学異方性が正号である光学異方性層の
光学異方性単位の光軸が光学異方性層厚方向に対し均一
に斜め、あるいは光学異方性層厚方向に連続的に変化し
ていることを特徴とする光学異方素子を配置する。
【0055】光学異方素子は、光学異方性単位の光学異
方性が負号であり、光軸が厚み軸と層端面のある方向の
軸からなる面内で、層厚み方向に連続的に変化した配列
で、層端面で前記光軸が層端面に対しほぼ垂直で、他方
の層端面で前記光軸が層端面に対し10°〜60°傾い
ていることが好ましい。
【0056】前記光学異方素子は、前記光学異方性単位
の光学異方性が正号である光学異方性層の光軸方位と、
光学異方性単位の光学異方性が負号である光学異方性層
の光軸方位とが互いに直交して配置されることが好まし
い。
【0057】また、駆動用液晶セルの配列は、厚さ方向
に連続的に変化したものであることが好ましい。
【0058】
【発明の実施の形態】本発明は、上記により課題を解決
するものであり、液晶表示素子のコントラスト比や階調
表示時の明るさ、表示色の視角依存性を同時に軽減す
る、もしくは液晶表示素子のある特定のコントラスト比
が得られる領域をある特性の方位、視角に制御しようす
るものである。その作用について以下に説明する。
【0059】TNやSTNなどの液晶表示素子におい
て、光が液晶表示素子の表示面に垂直に入射する場合と
斜めに入射する場合とでは、液晶表示素子中を伝搬する
光の偏光状態は異なり、この偏光状態の違いが表示画の
反転現象や着色現象に直接反映する。このような現象
は、液晶表示素子の表示面を見る角度を表示面法線から
大きく傾けていくと観測され、特に液晶層に電圧を印加
する手段を有する液晶セル(以下駆動セルという)の液
晶層に電圧が印加されている画素で顕著に見られる。
【0060】図35は従来のTN液晶表示素子の表示面
法線から左右の方向に0°から60°まで傾いた時の表
示輝度の角度依存性を示す図である。1から8レベルと
示されているのは、階調表示の各階調番号で、液晶セル
に印加される電圧が順に異なっている。レベル1は0
V、レベル8は5Vが液晶セルに印加されている。例え
ば、上方位の場合、ディスプレイの表示面の法線から傾
ける角度(視角)を0°(正面)から60°へと大きく
なるにつれて、輝度は徐々に大きくなっている。実際の
表示では、表示色が白っぽくなる(白抜け)として観測
される。一方、下方位についてみると、視角を正面(0
°)から60°へと傾けていくと、上方位とは逆に輝度
は低下していく。この現象は、実際の表示画において
は、表示色が暗くなる(黒つぶれ)として観測される。
また、正面において、最も明るい表示レベル1とそれよ
り低い階調レベル2は、上方位の視角35°で大小関係
が逆転しており、実際の表示画においては、写真フィル
ムのネガのような反転した表示(反転)として観測され
る。どの階調レベルに関しても視角変化しても透過率が
変化しないのが理想である。しかし、実際のTNの視角
特性は図35に示したように左右方位の特性は比較的よ
いが、上下方位の特性は悪い。
【0061】このような現象がおきるのは、上述のよう
に液晶表示素子の視角特性は、液晶表示素子に入射する
光の入射角度により偏光状態が異なることに起因するた
めであるが、これについてTNを例に詳しく説明する。
【0062】図3にTN型液晶表示素子の動作原理を示
す。図3(a)は電極3c、3dに電圧無印加時のTN
セル中の液晶分子LMの配列状態を示している。電圧V
が印加されていない時には、液晶分子は基板に対してほ
ぼ平行に液晶層の厚さ方向(図ではZ軸の方向)に液晶
分子同士が平行になって連続的にねじれた配列をしてい
る。この配列に偏光子Piにより偏光された光Liが入
射すると、偏光面は液晶分子LMのねじれ配列にしたが
って回転し、液晶層を出たところでは偏光面は、液晶層
に入る前の偏光面に対し液晶層のツイスト角分回転す
る。この回転した方向に検光子Poの透過軸Potを合
わせると透過光Loが得られる。
【0063】図3(b)は、電圧印加時のTNセル中の
液晶分子の配列状態を示している。電圧Vの印加により
液晶分子LMは立上がり、セルの中央付近の液晶分子L
Mcは電極近傍の液晶分子LMsよりも傾く。電極3
c、3d近傍の液晶分子LMsの傾きが小さいのは、電
極−液晶層界面の配向規制力(液晶を配向させるために
必要)があるためである。電圧Vの大きさに応じて液晶
分子の傾きが大きくなり、これと同時にねじれ配列も歪
み、電圧がさらに大きくなるとついにはねじれが解かれ
る。このような状態に偏光Liが入射すると、ねじれ配
列ではないために偏光面Lpは回転せず液晶層を進行
し、液晶層を出たところでは偏光面は液晶層に入射する
前と変わらない。したがって検光子Poの透過軸Pot
は偏光面Lpと直交するので偏光は透過できない。ま
た、中間調を表示するには液晶層に印加する電圧の大き
さをこれより小さく設定し、配向のねじれ配列を若干残
し、液晶層を出射する偏光面を幾分回転させて中間の透
過光を得る。
【0064】以上の原理により、透過光をねじれ配列の
歪みを利用して制御している。次に斜め方向の光に対す
る現象を説明する。
【0065】図4は中間調を表示するときの分子配列状
態に斜めから光が入射する状態を説明する図である。図
4(a)は、中間調表示時の分子配列状態LMintと
2つの入射光の方向L、Uの関係を示す斜視図で、これ
をよりわかりやすくするため、Y軸方向から見た図を図
4(b)、(c)に示す。ここに駆動用液晶セルの基板
の法線方向をZ軸、基板面をXY軸で表している。上下
の基板の電極3c、3d付近の液晶分子LMsはやや傾
きをもって配列している。この傾きはプレチルト角と呼
ばれ、一般に、プレチルトとは基板−液晶界面における
液晶分子の傾きのことを示し、その傾きの角度をプレチ
ルト角α0という。電圧無印加時には、上下の基板3
a、3b間にわたり同一の角度で傾いている。電圧Vが
印加される領域にわたり所定の傾き(プレチルト)があ
ると、電圧が印加された際の傾き方向がプレチルトの方
向に揃うので、その結果均一な表示ができる。もし、プ
レチルトがない場合には、電圧が印加されたときに液晶
分子の傾く方向がまちまちとなり、傾き方向の異なる領
域の境界に欠陥線が発生し表示品位を著しく低下させる
原因となる。したがって均一な表示を得るためにはプレ
チルトは不可欠であり、その角度はTNモードにおいて
は1°から6°が一般的である。
【0066】したがって図4(b)、(c)に示したよ
うに、特に中間調を表示した際には、液晶分子の配列状
態はY軸に対して非対称になる。図4(b)の+X軸か
ら+Z軸の方向へ斜めに入射するLの偏光に関しては、
図5のLM−Lに示したように、配列は液晶分子LMに
傾きがない状態(あたかも電圧無印加時の配列状態)と
なり偏光面は大きく回転することができる。その結果、
透過光は正面からの入射光(Z軸に平行な光)に対する
出射光の強度よりも大きくなる。一方、図4(c)のこ
れと反対の方位から(−X軸から+Z軸の方向へ斜め
に)入射する偏光Uに対しては、図5のLM−Uに示し
たように、配列は液晶分子LMが大きく傾いた状態(あ
たかもさらに大きな電圧が印加された配列状態)となり
偏光面は回転することができなくなる。その結果、透過
光は正面からの入射光(Z軸に平行な光)に対する出射
光の強度よりも小さくなる。図35との対応関係は、図
4のLの方位は図35の上方位に、図4のUの方位は図
35の下方位に相当する。
【0067】以上説明したように、中間調での透過光の
方位依存性は液晶分子の配列の非対称性に起因する。こ
の配列の非対称性は、光が入射する方位により偏光面の
回転(旋光性)角度が異なり、その結果透過率に変化を
生じる。TN型液晶表示素子では、上方位では旋光性が
生じ、下方位では旋光性が減じる傾向があるといえる。
したがって、これを改善するには上方位で旋光性が減
り、下方位で旋光性が生じる光学異方素子を加えること
により、液晶表示素子の視角依存性を改善することがで
きる。
【0068】第1に光学異方素子に要求される特性をま
とめると、光学異方素子に求められる特性は、上下方位
のいずれかの視角特性が良好でない駆動用液晶セルに対
して、上方位と下方位間で旋光の回転方向が逆であると
いうことになる。
【0069】さらに、第2に他の方位に対して視角特性
を改善する特性であることが要求される。
【0070】本発明は、このような特性をもつ光学異方
素子およびこの光学異方素子を備えた液晶表示素子を得
るものである。
【0071】本発明に関する光学異方素子の構成につい
て説明する。
【0072】本発明における光学異方素子は、光学異方
性を持つ膜、板、シート状の平面体であり、厚みを有す
る。光学異方性が負号の素子では、図9に示すように、
平面を構成するXY軸方向に対して垂直なZ軸即ち光軸
の屈折率が小さい。
【0073】光軸が一定の方向を向いた光学異方性を持
つ薄い層を光学異方性単位と定義し、上記光学異方素子
は、この単位が多層に積載された構成であるとする。各
層の境界が区分されないものも含む。
【0074】従って、本発明の代表構成は、少なくとも
1枚の偏光板と、2枚の基板間に液晶を挟持した駆動用
液晶セルと、複数の光学異方性単位が厚さ方向に連なる
少なくとも1つの光学異方素子とで構成され、前記光学
異方素子は前記光学異方性単位の光学異方性が前記厚さ
方向に対して負号であり、それぞれの光軸の角度が前記
厚さ方向に対して一定でなく、かつ前記厚さ方向で最小
の旋光性を有するように配列されていることを特徴とす
る液晶表示素子にある。
【0075】例えばその一実施例として、素子の一方の
面から他方の面にかけて、光軸が一方の面でほぼ面に平
行で、他方の面にかけて徐々に傾きを変化させ他方の面
でほぼ垂直になるハイブリッド構造の光学異方素子を上
げることができる。
【0076】さらに視角依存性を改善するために、本発
明は、光学異方性単位の光学異方性の符号が互いに異な
る光学異方性層が少なくともそれぞれ1層以上組合わさ
れた光学異方素子組合体にある。これらの異方性素子は
組合わされた光学異方性層の法線方向より傾いた方向で
の旋光性が,法線方向での旋光性より大きいことを特徴
とし、例えば正と負号の光学異方性体を一対とする組合
せ体として用いる。これを例えば駆動用液晶セルの両面
側に配置する。
【0077】まず、光学異方素子に要求される特性をま
とめると、光学異方素子に求められる特性は、「上方位
と下方位間で旋光の回転方向が逆」ということにある。
【0078】図6は、本発明の光学異方素子の光軸の配
列状態を示す図で、図6(a)は本発明の光学異方素子
の断面図であり、楕円で示されているのは光学異方素子
を構成する光学異方性単位LDを示しており、楕円の短
軸法線が光軸OLに相当する。単位は1つの分子でもよ
いし、積層などでつらなる複数の分子から構成されても
よい。
【0079】下側の基板2dから上側の基板2aにかけ
て長軸の傾きが連続的に変化しており、下基板2d付近
では基板面に対してほぼ垂直で上基板2a付近でほぼ平
行である(ハイブリッド配向)。この配列を上から見た
例が図6(b)に示されている。図中の矢印は、光軸の
向きを示している。図6(c)はZ軸から斜めに観測し
たときの配列図である。傾き方向は図中のXYZ軸で示
されている。これと逆の斜め方向から見た図を図6
(d)に示した。図(c)(d)からわかるように、図
6(a)の配列をZ軸より斜めから観測すると、(c)
では下から上に進行するにしたがい進行方向から見て左
ねじれ、(d)ではこの逆の右にねじれて配列してい
る。このように斜めに配列している光学異方素子によ
り、上述の「上方位と下方位間で旋光の回転方向が逆」
という特性が実現できる。
【0080】また、本発明の光学異方素子としての光学
異方素子は、その厚さ方向に光学的に光学異方性物質層
単位を多層に積層した構造とみることができる。各層単
位が光軸をもち、これらの光軸の傾きが連続的にまたは
段階的に変化している構成である。
【0081】さらに、厚さ方向で最小の旋光性を有する
光軸配列をとっている。
【0082】次にこのような光学異方素子をどのように
して駆動セルと組み合わせると良好な補償効果が得られ
るかについて説明する。
【0083】図7(a)は、図3、4、5に示した駆動
セルを、図6と同様に矢印を加えて示した図で、符号L
ipが入射光の偏光軸、符号Lopが出射光の偏光軸を
表している。図7(a)は光学異方素子を、(b)は中
間調に相当する電圧を印加した駆動セル(TN)をZ軸
から見た図である。(c)はZ軸上から+X軸側に倒し
て見たときの光学異方素子を構成する各光学異方性物質
層の分子の配列を示した図であり、図中に直線偏光が入
射した場合の旋光状態を示した。この方向では光学異方
素子は、入射光の偏光面を左方向に回転させる性質(左
旋光能)がある。(d)に(c)と同じ方向から見たと
きの駆動セルの配列状態を示した。液晶分子は中間調に
相当する電圧(液晶が動作する臨界電圧(しきい値電
圧)よりやや大きい電圧)が印加されているために斜め
に傾いており、この方向から見ると液晶分子の長軸方向
の長さと短軸方向の長さがほぼ同じとなる配向部分が生
じる。そのため、入射偏光はあまり旋光せずに透過し、
出射光の偏光軸Lopの方向は入射光の偏光軸Lipと
ほぼ変わらない。これが表示が暗くなる「黒つぶれ」と
呼ばれる表示異常の原因であり、この場合、左回りに偏
光を旋光(旋光能を増加させる)させれば、これが改善
される。それには、前述の図(c)の光学異方素子がこ
れに適合する。図(c)の光学異方素子には左旋光能が
あり、駆動セルで足りない旋光を補う。
【0084】一方、これと逆方位については、図(e)
(f)を用いて説明する。図(e)(f)は、図(a)
の光学異方素子をZ軸の方向から−X軸より観測したと
きの光軸の配列を示したもので、図の入射光に対して右
に旋回させる特性(右旋光能)をもつ。図(f)は、図
(d)と同様、中間調の電圧が印加された状態であり、
この方向からは実際には液晶分子が傾いているのにもか
かわらず傾いてないなように見え、そのため大きな旋光
能がでる。これが表示が必要以上に明るくなる「白抜
け」と呼ばれる表示異常の原因となり、左回りの旋光を
抑制する右旋光を適用すれば余分な旋光を解消でき「白
抜け」が改善される。図(e)の光学異方素子は右旋光
能があり、これを駆動セルと組み合わせることで素子の
特性改善がはかれる。
【0085】以上、光学異方素子表面の法線に対して傾
いた方向での旋光性が、法線の方向での旋光性よりも大
きいハイブリッド配向の光学異方素子を例にして視野拡
大の原理説明をしたが、ハイブリッド配向でねじれ配向
した光学異方素子や、上下基板間で均一にチルト配向し
た光学異方素子でもハイブリッド配向の光学異方素子と
類似の特性が得られ、それは液晶表示素子の設計仕様に
応じて選択することができる。また、TNを例に説明し
たが、STNでも同様の原理が適用できるので、STN
の視角を改善する手段として用いることも可能である。
【0086】負の光学異方性を示す光学異方体を上述の
ようなハイブリッド配列により素子の斜め方向の旋光性
の方が正面方向(Z軸)よりも大きい特性をもつことに
より、主に「黒つぶれ」や「白抜け」の表示異常に関
し、大きな改善効果がある。また、上述の説明では光学
異方素子を構成する光学異方性単位の光学異方性が負号
である場合を示したが、斜め方向の旋光性の方が正面方
向より大きい特性を示す場合は、光学異方性が正号でも
同様な効果を発揮するのはいうまでもない。
【0087】また、上述の説明ではハイブリッド配列に
ついて示したが、斜め方向の旋光性の方が正面方向より
大きい特性を示すのはこのような配列のみではなく、素
子法線方向から見たときに光学異方素子を構成する光学
異方性単位の光軸が素子面方向にねじれた配列でも、光
学異方素子の両端面での光軸の向きが同一で、内部配列
が連続的または段階的変化した配列や例えばハイブリッ
ド配列を2つ重ねたベンド配列やスブレイ配列でも同一
の効果が得られる。また、光学異方素子のリタデーショ
ン値は、駆動用液晶セルのリタデーション値よりも小さ
な値であることが望ましく、中間調を表示する電圧が印
加された時の駆動用液晶セルのリタデーション値近傍の
値であることがより望ましい。しかし、この値は製品仕
様や量産性などにより依存し必ずしもこの限りでない。
また、組み合わされて使用する光学異方素子やその枚数
などにより、光学異方素子の配列や配置などは製品仕
様、量産性、コストなどにより種々変化する。
【0088】また、製品仕様に視角特性を組み合わせる
際に、STNに用いられるような2軸性の光軸をもつ光
学異方素子や、光学異方性単位の光学異方性が正号であ
る光学異方体を種々配列された光学異方素子、あるいは
光学異方性物質の光学異方性が2軸性である光学異方体
を種々配列させた光学異方素子などと組み合わせて使用
しても同様な効果が得られることはいうまでもない。
【0089】負の光学異方性を示す物質としてトリフェ
ニレン核にエステル結合でアルキル鎖のついたC18H6
(OCOC7 H15)6 やベンゼン核を有するC6 (OC
OCm H2m+1)6 などがあり、これらはディスコティッ
ク液晶と呼ばれる。これらを液晶相を示す温度領域で所
望な配列を形成させ、配列が変化しないように結晶相で
使用することなどもできる。また、液晶相を示す温度範
囲を液晶モジュールの動作温度範囲にし、電界等により
配列を制御できるように光学異方素子を作製すれば視角
特性を電圧制御することも可能である。
【0090】本発明では、光学異方素子を構成する光学
異方性物質が、光学異方性の光軸の傾きが異なる負号な
のでさらに良い視角改善効果を発揮する。次に光学異方
性が負号の液晶を用いる際に視野角特性が改善される原
理を説明する。
【0091】駆動用液晶セルにしきい値電圧以上の電圧
が印加された状態を3次元の屈折率楕円体で表すと図8
に示すようになる。Z軸は液晶セルの厚み方向で、XY
面は液晶セルの基板面に相当する。複屈折現象は、この
屈折率楕円体RA の中心点をある方向から見たときの観
測点と、屈折率楕円体RA の中心点とを結ぶ線の屈折率
楕円体RA の中心点上の法線面が、屈折率楕円体RA を
切断したときに形成される楕円状の切断面の形状(ここ
では、2次元面内の屈折率体と呼ぶ)により示される。
この2次元面内の屈折率体の長軸と短軸の長さの差が、
常光と異常光の位相差に相当し、液晶セルを挟む偏光板
の透過軸が互いに直交していれば、その位相差が零のと
き液晶セルの透過光は遮断され、位相差が零でないとき
にはその位相差と入射光の波長に応じた透過光が生じ
る。
【0092】液晶セルの基板面に垂直に光が入射した場
合(液晶セルを真正面から見たとき)には、2次元面内
の屈折率体RA4は円となり、常光と異常光の位相差は零
となるが、液晶セルの基板面から傾いた方向RA1より光
が入射した場合、屈折率楕円体RA5は楕円となり、常光
と異常光の位相差が生じ、真正面方向と斜め方向では液
晶セルを透過する光の偏光状態は異なる。
【0093】図8の屈折率楕円体RA を見る角度、すな
わち視角RA3を大きくしていくと視軸RA1の2次元面内
の屈折率体RA5はnRA1 の長さ方向に大きくなり、視軸
RA1の方向から見たときより大きい透過光が観測され
る。理想的には、どの方位でも視角を変化したとき、2
次元面内の屈折率体の形状が変化しないことが望まし
い。
【0094】このような光学的な補償は、図9に示すよ
うな円盤状の屈折率楕円体RB を図8の屈折率楕円体R
A のZ軸上に配置する(すなわち液晶セルの上あるいは
下に隣接して配置する)ことにより実現できる。このよ
うな構成にすると、視角RA3を大きくしていったとき、
屈折率楕円体RA の2次元面内の屈折率体RA がnRA1
の長さ方向に大きくなるのに対して、屈折率楕円体RB
のnRA2 の長さ方向の屈折率が大きくなり、その結果、
合成された2次元面内の屈折率体は円になり、屈折率楕
円体RA を光学的に補償することができ、視角特性が向
上する。
【0095】実際の液晶表示素子では駆動用液晶セルの
屈折率楕円体は、図8に示したように楕円の長軸は、表
示面に対して垂直ではなく、若干傾いている。従って、
これを補償する図9の光学異方素子の屈折率楕円体RB
はこれに合わせて円盤形状の短軸が傾いているのが好ま
しい。
【0096】実際には図9に示すような屈折率楕円体
は、光軸が連続的にねじれた配列をした光学異方性物質
層からなる光学異方素子や、厚み方向よりも面内方向の
屈折率の方が小さい材料で構成することにより実現でき
る。
【0097】以下、光軸が連続的にねじれた配列をした
光学異方性物質層からなる光学異方素子で、光学異方性
が負号の光学異方素子を実現する方法について説明す
る。
【0098】一般に駆動用液晶セルは、液晶セルに印加
する電圧によって可視の波長領域の光(一般には380
nmから750nmまでの領域)の偏光方向を積極的に
変化させて表示している。
【0099】一方、本発明の光学補償用の光学異方素子
の場合、光学異方性物質層の光軸が連続的にねじれてい
るため、光学異方素子の光学条件によっては旋光性が生
じることがある。ここで旋光性とは、光が媒質中を進行
するに従ってその光の振動方向が、進行方向を軸として
左または右に旋回する性質のことを示す。光軸が連続的
にねじれた光学異方素子のリタデーション値を一定とし
たとき、光軸のねじれピッチが長い場合、光はその光軸
のねじれに従ってその偏光面を回転させるが、光軸のね
じれピッチが短い場合、光はその光軸のねじれに追従で
きなくなり、旋光現象は起きない。光学異方素子の旋光
性が大きいと、素子を透過する光の偏光面を変化させて
しまい、その結果コントラスト比を減少させてしまった
り、場合によっては光の波長により偏光面が種々変化
し、光学異方素子を透過した光が着色するなどの問題が
生じる。
【0100】従って、少なくとも光学異方素子の可視光
に対する旋光性は、駆動用液晶セルの可視光に対する旋
光性に比べて小さくなるようにすることが必要である。
旋光性は、媒質を透過する光の波長と、光が透過する媒
質により大きく依存する。旋光性の大小は、光軸の変化
に対する媒質のリタデーション値の変化の度合いで表さ
れる。
【0101】従って、駆動用液晶セルの旋光性の大小
は、駆動用液晶セルの液晶の常光に対する屈折率noと
異常光に対する屈折率neとの差をΔn1 (=ne−n
o:屈折率異方性)、液晶層の厚みをd1 、液晶層のね
じれ配列の角度(ツイスト角)をT1 とすると、 Δn1 ・d1 /T1 = R1 /T1 [1.1] ただし R1 =Δn1 ・d1 (リタデーション値) で表すことができる。
【0102】同様にして補償用光学異方素子の旋光性の
大小は、補償用光学異方素子の光学異方性物質層の屈折
率異方性をΔn2 、積層された光学異方性物質層の厚み
をd2 、光学異方性物質層の光軸の総ねじれ角度をT2
とすると、 Δn2 ・d2 /T2 = R2 /T2 [1.2] ただし R2 =Δn2 ・d2 で表すことができる。
【0103】従って、補償用光学異方素子の旋光性と駆
動用液晶セルの旋光性の大小関係は、[1.1] 、[1.2] 式
から (R1 /T1 )>(R2 /T2 ) [1.3] となる。
【0104】光学異方性物質層の光軸が連続的にねじれ
ている光学異方素子中の光の伝搬は、次式によって示さ
れるパラメータで表せる(C. Z. Van Doorn, Physics L
etters 42A, 7(1973) )。
【0105】 f=λ/(p×Δn) [1.4] ただし λは真空中の光の波長(可視の波長範囲) pは光軸のねじれピッチ長(p=d/T) f<<1の場合には、光学異方素子中の光は偏光面が光
軸のねじれ角に従い変化し、旋光性を持つ。先述したよ
うに光学異方素子は旋光性が小さいことが望ましく、光
学異方素子はf>>1の条件を満たすことが必要であ
る。よって光学異方性は、[1.4] 式から p×Δn<λ [1.5] が成り立つことが必要である。
【0106】ところで、ツイスト角が非常に大きい、す
なわち螺旋ピッチの長さが短い液晶をコレステリック液
晶と一般に称すが、この液晶の螺旋ピッチの長さpとコ
レステリック液晶の平均屈折率nとの積n×pの値が、
可視の波長範囲(条件によって異なり、短波長端は36
0nmから400nm、長波長端は760nmから83
0nmの範囲)にあると選択散乱を生じる(J. L. Ferg
ason ; Molecular Crystals. 1. 293(1966) )。このよ
うな現象はコレステリック液晶セルにだけ見られる現象
ではなく、光学異方体の光軸が連続的にねじれた光学異
方素子でも起こり得る。選択散乱が生じると光学異方素
子の着色現象が生じて表示色が変化する。従って、光学
異方素子を形成する光学異方性物質層の平均屈折率n
と、光軸のねじれピッチpとの積n×pが可視の波長範
囲から外れるようにすると着色現象が防止できる。
【0107】また、光学異方素子は高分子フィルムを延
伸することにより光学異方性を生じさせた位相差フィル
ム(retardation film)を積層したものや、ねじれ配列
させた液晶セル、ならびに高分子液晶をねじれ配列させ
た薄膜によって実現できる。この場合、例えば駆動用液
晶セルの基板の少なくともどちらか一方にこの高分子層
を塗布することによって得られるため製造上容易とな
り、より望ましい液晶表示素子が得られる。例えばポリ
シロキサンを主鎖とし、側鎖にビフェニルベンゾエート
とコレステリル基を適当な比で有したような高分子共重
合体などを用いることなどができる。
【0108】これらの光学異方素子は偏光板、基板間だ
けでなく、基板の内側のセル内に作製しても同様な効果
が得られる。例えば高分子液晶を基板の内側に塗布し、
その上に配向膜を作製しても良い。
【0109】しかし、光学異方素子に求められる特性で
ある「上方位と下方位間で旋光の回転方向が逆」を一枚
あるいは同種のも複数枚で実現しようとすると厚みが増
し、リタデーション値が大きくなりすぎ表示色が変化し
てしまう欠点がある。この原因は光学異方素子を透過す
る光は、旋光とともに複屈折効果が生じ、直線偏光が楕
円偏光となり、その楕円率が光の波長により異なること
で透過光に波長依存性が発生し、色づきが生まれる。
【0110】そこで、所望な旋光能と色づきを解消する
には、光学異方性が異符号の光学異方性単位からなる光
学異方素子をこれと同様なハイブリット配列したものと
を正号と負号の素子を組み合わせることで、両方の要求
性能が得られることを見出した。
【0111】次に、負号の光学異方素子に組合せる正の
光学異方素子について説明する。
【0112】負号の光学異方素子で説明したと同様に、
上方位と下方位間で旋光の回転方向が逆である特性を得
る場合について説明する。
【0113】図24は、本発明の光学異方素子の光軸の
配列状態を示す図で、図24(a)は本発明の実施形態
の光学異方素子の断面図であり、楕円で示されているの
は光学異方素子を構成する光学異方体LDを示しており
楕円の長軸が光軸OL に相当する。下側の基板2bの電
極から上側の基板2aの電極にかけて長軸の傾きが連続
的に変化しており、下の基板電極付近では基板面に対し
ほぼ平行で上の基板電極付近ではほぼ垂直である(ハイ
ブリット配向)。この配列を上から見た例が図24
(b)に示されている。図中の楕円内の矢印は、光軸の
向きを示している。層内のそれぞれの光軸の向きが同一
平面上にあり、すなわち単一の軸上に揃って配列してい
る。図24(c)はZ軸から斜めに観測したときの配列
図である。傾き方向は図中のXYZ軸で示されている。
これと逆の斜め方向から見た図を図24(d)に示し
た。図24(c)、(d)から分かるように、図24
(a)の配列をZ軸より斜めから観測すると、(c)で
は下から上に進行するに従い進行方向からみて左ねじ
れ、(d)ではこの逆の右ねじれで配列している。この
様に斜め配列している光学異方素子により、先ほど述べ
た「上方位と下方位間で旋光の回転方向が逆」という性
質が実現できる。
【0114】次に、この様な光学異方素子をどのように
駆動用液晶セルと組み合わせると良好な補償効果が得ら
れるかを次に説明する。
【0115】図25(a)は、図3、4、5に示した駆
動用液晶セルを、図24と同様に矢印を加えて示した図
で、符号Lipが入射光の偏光軸、符号Lopが出射光の偏
光軸を表している。図25(a)は光学異方素子を、
(b)は中間調に相当する電圧を印加した駆動用液晶セ
ル(TN)をZ軸から見た図である。(c)はZ軸上か
ら+X側に倒して見たときの光学異方素子の光軸の配列
を示した図であり、図中に直線偏光が入射した場合の旋
光状態を示した。この方向では光学異方素子は、入射光
の偏光面を左方向に回転させる性質(左旋光能)があ
る。(d)に(c)と同じ方向から見たときの駆動用液
晶セルの配列状態を示した。液晶分子は中間調に相当す
る電圧(液晶が動作する臨界電圧(しきい値電圧)より
やや大きい電圧)が印加されているため斜めに傾いてい
ており、この方向から見ると液晶分子の長軸方向の長さ
と短軸方向の長さがほぼ同じとなる配向部分が生じる。
そのため、入射偏光はあまり旋光せずに透過し、出射光
の偏光軸Lopの方向は入射光の偏光軸Lipとほぼ変わら
ない。これが表示が暗くなる「黒つぶれ」と呼ばれる表
示異常の原因であり、この場合、左回りに偏光を旋光さ
せれば(旋光能を増加させる)これが改善される。それ
には、先ほど示した図(c)の光学異方素子がこれに適
合する。図(c)の光学異方素子には左旋光能があり、
駆動用液晶セルで足りない旋光を補う。
【0116】一方、これと逆方位について、図(e)、
(f)を用いて説明する。図(e)(f)は、図(a)
の光学異方素子をZ軸の方向から−X軸より観測したと
きの光軸の配列を示したもので、図の入射光に対して右
に旋回させる特性をもつ(右旋光能)。図(f)は、図
(d)と同様中間調の電圧が印加された状態であり、こ
の方向からは実際には液晶分子が傾いているのにもかか
わらず傾いていないように見え、そのため大きな旋光能
がでる。これが表示が必要以上に表示が明るくなる「白
抜け」と呼ばれる表示異常の原因となり、左回りの旋光
を抑制する右旋光を適用すれば余分な旋光を解消でき
「白抜け」が改善される。図(e)の光学異方素子は右
旋光能があり、これを駆動用液晶セルと組み合わせるこ
とで特性改善が得られる。
【0117】以上、光学異方素子表面の法線に対して傾
いた方向での旋光性が、前記法線の方向での旋光性より
も大きいハイブリッド配向の光学異方素子を例にして視
野角拡大の原理説明をしたが、ハイブリット配向でねじ
れ配向した光学異方素子や、上下基板間で均一にチルト
配向した光学異方素子でもハイブリット配向の光学異方
素子と類似の特性が得られ、それは液晶表示素子の設計
仕様に応じて選択することができる。また、TNを例に
説明したが、STNやハイブリッド配列の(Hybri
d Aligned Nematic)でも同様の原理
が適用できるのでSTNの視角を改善する手段として用
いることも可能である。
【0118】以上から、負の光学異方性を示す光学異方
単位を上述の様なハイブリット配列により素子の斜め方
向の旋光性の方が正面方向より大きい特性をもつことに
より、主に「黒つぶれ」や「白抜け」の表示異常に関し
大きな改善効果があるが、斜め方向の旋光性の方が正面
方向より大きい特性を示すのは光学異方性物質の光学異
方性が正号でも同様な効果を発揮する。
【0119】本発明はこの正号と負号の光学異方性をも
つ光学異方性層または素子を少なくとも1枚ずつ組合せ
ることにより、全方位にわたって、駆動用液晶セルの視
角依存特性を改善することができるものである。
【0120】なお、上述の説明では各光学異方素子を光
学異方性単位がハイブリット配列になっている場合につ
いて示したが、斜め方向の旋光性の方が正面方向より大
きい特性を示すのはこの様な配列のみではなく、素子法
線方向から見たとき光学異方素子を構成する光学異方性
物質層の光軸が素子面方向にねじれた配列でも、光学異
方素子の両端面での光軸の向きが同一で、内部配列が連
続的、段階的に変化していても同一の効果が得られる。
【0121】以上のような光学異方素子を実現するに
は、例えばアクリロイルオキシ基などの重合性官能基を
液晶に付与した紫外線硬化型の液晶を用いると良い。
【0122】発明の液晶表示素子の実施形態を詳細に説
明する。
【0123】(実施形態1)図1および図2に本実施形
態における液晶表示素子の断面図を示す。液晶表示素子
10は2枚の偏光板1、4(LLC2-92-18:SANRITZ 社
製)と、これらの間に視角補償用の光学異方素子である
液晶セル2と駆動用液晶セル3とを挟む構成を有してい
る。偏光板1は透明基板1bの内側に偏光膜1aをはさ
んで付けたものであり、偏光板4も同様に透明基板4b
に偏光膜4aをつけて形成される。
【0124】光学異方素子として視角補償用液晶セル2
はこれらの偏光板1、4間に配置され、透明基板2a、
2b間に光学異方性物質層2cを介在させたセル構造を
有する。基板2a、2bはそれぞれ異なる角度で表面に
SiO2 を斜方蒸着し、間に光学異方性が負であるディ
スコティック液晶(トリフェニレン核にエステル結合で
アルキル鎖のついたC18H6(OCOC7 H15)6)が光学
異方性物質層として導入されており、プレチルト角は駆
動用液晶セル3に近い方を30°、遠い方を60°とし
ている。視角補償用液晶セル2に用いた光学異方性物質
層のΔndは−570nmである。
【0125】駆動用液晶セル3は視角補償用液晶セル2
と偏光板4間に配置される。2枚の上側基板3aと下側
基板3bとはそれぞれ透明電極3c、3dを形成してお
り、駆動電源3fに接続される。基板3a、3b間に正
の誘電率異方性を持つねじれネマティック液晶(ZLI
−4287、E. Merck Co. Ltd 社製)にカイラル剤S
811(商品名、E. Merck Co. Ltd 社製)を混入した
ものが、ねじれ角が90°で導入され、駆動電源3fか
らの印加電圧に応じて状態を変化する。電圧無印加時は
ねじれ配列を維持する。
【0126】駆動用液晶セル3に用いた液晶のΔnは
0.093、液晶層の厚みは5.5μmである。駆動用
液晶セル3の液晶分子は下側基板3bから上側基板3a
へと反時計回りにねじれている(左ねじれ)。本セル3
は90°ツイスト角のTNセルとして動作し、旋光作用
により光制御する。
【0127】図2(a)は本実施形態における液晶表示
素子の構成を示す分解斜視図である。(1.1)および
(4.1)は2枚の偏光板1および4の透過軸であり、
これらは互いに直交し(1.1)はY軸に対し基板の法
線方向である+Z方向から見て反時計回りに135°で
配置される。(3.1)、(3.2)は駆動用液晶セル
3の上側基板3aと下側基板3bのラビング軸すなわち
配向処理方向で、これらは互いに直交し、Y軸に対しラ
ビング軸(3.1)とのなす角は+Z方向から見て反時
計回りで45°で配置される。
【0128】光学異方素子である視角補償用液晶セル2
の(2.1)、(2.2)はそれぞれ上側と下側の基板
2a、2bのラビング軸で、視角補償用液晶セル2はラ
ビング軸(2.2)が駆動用液晶セル3のラビング軸
(3.1)と平行になるように配置される。すなわち、
液晶分子LMの光軸OL (図6)はこれらラビング軸に
沿って配置され、液晶層が基板のラビング処理された面
に接する側における液晶層の光軸となる。
【0129】偏光板1は透過軸(1.1)が視角補償用
液晶セル2のラビング軸(2.1)と直交するように配
置した。
【0130】本構成の液晶表示素子を図2(b)の座標
系で電気光学特性を測定した。測定時の電圧値(駆動電
圧3fから駆動用液晶セル3の電極3c−3d間に印加
する電圧)は、1Vから5Vまで変化させた。結果を図
10に示す。図10は上下左右の4方位の印加電圧−透
過率特性がそれぞれ示されており、正面から60°まで
視角を30°ごと変化させたときの透過率を示してい
る。理想はどの角度でも正面(視角θ=0°)の透過率
曲線と同一であることである。正面の方向では、ある電
圧を越えると電圧の増加と共に透過率が減少する。
【0131】図11は従来技術の比較例のTN−LCD
の印加電圧−透過率特性図であるが、下方位の特性は視
角が大きくなるに従い透過率が減少する。これは実際に
階調表示をした場合には「黒つぶれ」が生じることに相
当する。また、視角60°での3V付近の透過率の再増
加は、実際の表示では「反転」に相当する。上方位につ
いてみれば、3Vの電圧で視角が0°から60°へと大
きくなるにつれて、透過率が増大してゆく。これは実際
の表示では「白抜け」に相当する。
【0132】本実施形態の場合、図10を見ると、下方
位の特性はほとんど変わらず、右方位、上方位は悪化し
ており、左方位についてのみ視角60°での「反転」が
減少しており改善がみられる。
【0133】このような特性はカーナビゲーションまた
は個人用情報端末などの特定方向のみの視角を改善した
いときに利用可能である。
【0134】(比較例1)実施形態1において、視角補
償用液晶セル2が無い場合の電圧−透過率特性を測定し
た。測定結果を図11に示す。本比較例では角度によっ
て上方位においては表示が白くなり、下方位においては
表示が黒くなったり階調が反転したりする現象が見られ
た。
【0135】(実施形態2)図12は本実施形態におけ
る液晶表示素子の構成を示す分解斜視図である。実施形
態1において、光学異方素子である視角補償用液晶セル
2は下側基板2bの液晶と接する面側にポリイミドAL
−1051(日本合成ゴム製)が塗布され、その表面に
ラビング処理が施されている。プレチルト角は1°であ
る。一方、上側基板2aの液晶と接する側には、垂直配
向処理が施されている。こうして作製した視角補償用液
晶セルのΔndは−570nmである。液晶分子の光軸
すなわち光学異方素子の光軸は、駆動用液晶セル側でセ
ルに平行で、層厚方向に連続的に変化して液晶セル3か
ら離れた側でセル基板の法線方向にほぼ沿っている。ツ
イスト角は0°である。
【0136】(1.1)および(4.1)は偏光板1お
よび4の透過軸であり、これらは互いに直交し(1.
1)はY軸に対し+Z方向から見て反時計回りに135
°で配置される。(3.1)と(3.2)は駆動用液晶
セル3の上側と下側の基板3a、3bのラビング軸で、
これらは互いに直交し、Y軸に対しラビング軸(3.
1)とのなす角は+Z方向から見て反時計回りで45°
で配置される。
【0137】視角補償用液晶セル2の光軸(2.2)は
下側の基板2bのラビング軸で、駆動用液晶セル3の上
側基板のラビング軸(3.1)に直交し、下側基板のラ
ビング軸(3.1)と平行になるように配置される(ハ
イブリッド配列)。
【0138】偏光板1の透過軸(1.1)は、駆動用液
晶セル3の上側基板のラビング軸(3.1)と平行にな
るように配置する。
【0139】本構成の液晶表示素子を図2(b)の座標
系で電気光学特性を測定した。測定時の電圧値(駆動電
源3fから駆動用液晶セル3の電極3c−3d間に印加
する電圧)は、1Vから5Vまで変化させた。結果を図
13に示す。従来例の特性図11と比較すると分かる通
り、上方位、右方位の視角は悪化しているが、下方位の
「反転」がほぼ無くなり、左方位の視角60°のコント
ラストが改善されている。
【0140】(実施形態3)実施形態2において、視角
補償用液晶セル2の液晶層をツイスト角10°のねじれ
配列となるようにした。ツイスト方向は下側基板2bか
ら上側基板2aへと反時計回りにねじれている(左ねじ
れ)。それ以外の条件は、実施形態2と全く同一であ
る。電圧−透過率特性を図14に示す。ツイスト角が1
0°であるため実施形態2とあまり大きな違いは見られ
ないが、視角補償用液晶セル2にねじれが加わったこと
で、左右方位の反転が大きくなり、下方位のコントラス
トが改善された。
【0141】(実施形態4)図15は本実施形態におけ
る液晶表示素子の構成を示す分解斜視図である。第1の
光学異方素子である視角補償用液晶セル2は実施形態2
における視角補償用液晶セル2と同様である。
【0142】第2の光学異方素子である視角補償用液晶
セル5は、前記の視角補償用液晶セル2の構造を上下反
対にしたものである。前記視角補償用液晶セル2の下側
基板2bおよび前記視角補償用液晶セル5の上側基板5
aの液晶と接する面側にポリイミドAL−1051(日
本合成ゴム製)が塗布され、その表面にラビング処理が
施されている。プレチルト角は1°である。一方、前記
視角補償用液晶セル2の上側基板2aおよび前記視角補
償用液晶セル5の下側基板5bの液晶と接する側には、
垂直配向処理が施されている。視角補償用セルのΔnd
は両セルとも−570nmである。液晶分子の光軸すな
わち光学異方素子の光軸は、前記視角補償用液晶セル2
の駆動用液晶セルに近い側でセル基板表面に平行であ
り、層厚方向に連続的に変化して液晶セル4から離れた
側でセル基板の法線方向にほぼ沿っており、セル5はそ
の逆である。
【0143】ツイスト角は両セルとも0°である。
【0144】(1.1)および(4.1)は偏光板1お
よび4の透過軸であり、これらは互いに直交し(1.
1)はY軸に対し+Z方向から見て反時計回りに135
°で配置される。(3.1)と(3.2)は駆動用液晶
セル3の上側と下側の基板3a、3bのラビング軸で、
これらは互いに直交し、Y軸に対しラビング軸(3.
1)とのなす角は+Z方向から見て反時計回りで45°
で配置される。
【0145】視角補償用液晶セル2の光軸(2.2)は
下側の基板2bのラビング軸で、駆動用液晶セル3の上
側基板のラビング軸(3.1)に直交し、下側基板のラ
ビング軸(3.2)と平行になるように配置される。
【0146】視角補償用液晶セル5の光軸(5.1)は
上側の基板5aのラビング軸で、駆動用液晶セル3の上
側基板のラビング軸(3.1)に平行で、下側基板のラ
ビング軸(3.2)と直交するように配置される。
【0147】偏光板1の透過軸(1.1)は、駆動用液
晶セル3の上側基板のラビング軸(3.1)と平行にな
るように配置した。
【0148】本構成の液晶表示素子を図2(b)の座標
系で電気光学特性を測定した。測定時の電圧値(駆動電
源3fから駆動用液晶セル3の電極3c−3d間に印加
する電圧)は、1Vから5Vまで変化させた。結果を図
16に示す。従来例の特性図11と比較すると左方位お
よび下方位の特性は悪くなったが、右方位の「反転」が
無くなり、上方位の「白抜け」も改善された。
【0149】(実施形態5)図17は本実施形態におけ
る液晶表示素子の構成を示す分解斜視図である。第1の
光学異方素子である視角補償用液晶セル2は実施形態2
における視角補償用液晶セル2と似た構造である。ただ
し片側基板はSiO2 を斜方蒸着し、下側基板のプレチ
ルト角は60°である。上側基板2aの液晶と接する側
には、垂直配向処理が施されている。
【0150】第2の光学異方素子である視角補償用液晶
セル5は、前記の視角補償用液晶セル2の構造を上下反
対にしたものである。視角補償用セルのΔndは両セル
とも−180nmである。ツイスト角は両セルとも0°
である。
【0151】(1.1)および(4.1)は偏光板1お
よび4の透過軸であり、これらは互いに直交し、(1.
1)はY軸に対し+Z方向から見て反時計回りに135
°で配置される。(3.1)と(3.2)は駆動用液晶
セル3の上側と下側の基板3a、3bのラビング軸で、
これらは互いに直交し、Y軸に対しラビング軸(3.
1)とのなす角は+Z方向から見て反時計回りで45°
で配置される。
【0152】視角補償用液晶セル2の光軸(2.2)は
下側の基板2bの配向方向で、駆動用液晶セル3の上側
基板のラビング軸(3.3)に直交し、下側基板のラビ
ング軸(3.2)と平行になるように配置される。
【0153】視角補償用液晶セル5の光軸(5.1)は
上側の基板5aの配向方向で、駆動用液晶セル3の上側
基板のラビング軸(3.1)に平行で、下側基板のラビ
ング軸(3.2)と直交するように配置される。
【0154】偏光板1の透過軸(1.1)は、駆動用液
晶セル3の上側基板のラビング軸(3.1)と平行にな
るように配置した。
【0155】本構成の液晶表示素子を図2(b)の座標
系で電気光学特性を測定し。測定時の電圧値(駆動電源
3fから駆動用液晶セル3の電極3c、3d間に印加す
る電圧)は、1Vから5Vまで変化させた。結果を図1
8に示す。従来例(比較例1)の特性図11と比較する
と、下方位の「反転」は悪くなったが、左右方位の「反
転」が無くなり、上方位の「白抜け」も大きく改善され
た。
【0156】(実施形態6)図19は本実施形態におけ
る液晶表示素子の構成を示す分解斜視図である。本実施
形態においての光学異方素子である視角補償用液晶セル
20は2層の光学異方層から構成されており、実施形態
4における視角補償用セル2および5が重なった構造で
ある。Δndは−380nmとした。
【0157】図20は視角補償用液晶セル2の+X軸方
向から見た断面図である。両面に垂直配向処理を行った
基板2dを境界として、+Z軸方向から見たときの光軸
方向が、上部2a・2d間は図19のセル2におけるラ
ビング軸(2.1)方向、下部2d・2b間は(2.
2)方向と異なっている。このラビング軸(2.1)お
よび(2.2)を同方向にすると光軸が単一軸上にな
り、異なる方向にすると本実施形態に示す通り2軸にな
る。また液晶層をツイストさせることにより、光軸が連
続的に変化する。
【0158】本構成の液晶表示素子を図2(b)の座標
系で電気光学特性を測定した。測定時の電圧値(駆動電
源3fから駆動用液晶セル3の電極3c−3d間に印加
する電圧)は、1Vから5Vまで変化させた。結果を図
20に示す。従来例の特性を示す図11と比較すると下
方位の「反転」「黒つぶれ」が改善され、他の方位につ
いてはあまり変化がない。
【0159】本実施例において使用した光学異方素子
は、実施例4に示すように数枚の本発明の光学異方素子
を組み合わせることによっても同様の特性のものが得ら
れる。また光学異方性が負号の液晶をベンド配列・ベン
ドツイスト配列させることにより、1層の光学異方層か
らなる光学異方素子を作製することが可能である。
【0160】(実施形態7)本実施形態の構成を図21
に示す。実施形態2において第1の光学異方素子である
視角補償用液晶セル2と駆動用液晶セル3との間に、不
安定なディスコティック配列の光学異方性を補うことを
目的に二軸性位相差フィルム50を配置した。特性的に
は大きな改善は見られなかったが、配列不良による表示
むらを緩和することができた。
【0161】(実施形態8)実施形態2において視角補
償用液晶セル2をポリシロキサン主鎖とし、側鎖にビフ
ェニルベンゾエートとコレステリル基を適当な比で有し
たような高分子共重合体で作製したところ、実施形態2
と同様な特性が得られた。さらに高分子共重合体で光学
異方素子を作製することにより、より薄型の液晶表示素
子が実現する。
【0162】(実施形態9)図22に本実施形態におけ
る液晶表示素子の断面図を、図23にその作用を説明す
る図を示す。液晶表示素子は2枚の偏光板(LLC2-92-1
8:SANRITZ 社製)1、4と、これらの間に視角補償用
の光学異方素子である液晶セル2、5、6、7と駆動用
液晶セル3とを挟む構成を有している。
【0163】光学異方素子2、5として用いる視角補償
用液晶セルは、これらの偏光板1と駆動用液晶セル3間
に配置される。光学異方素子2は光学異方性が正号であ
る。
【0164】透明基板2a、2b間に液晶2cを介在さ
せた液晶セル構造を有する。基板2a、2bはそれぞれ
異なる配向処理がなされ、2aは垂直配向、2bは水平
配向がなされ、2bの水平配向処理としては、配向膜上
をラビングを行い約2゜のチルト配向が得られている。
液晶2cとして、光学異方性が正であるネマティック液
晶(ZLI−4287、E. Merck Co. Ltd 社製)が用
いられ、1.9 μmの厚みを有し、リタデーション(液晶
の光学異方性と液晶層厚との積)は180nm である。光学
異方素子7(基板7a、7b)は光学異方性素2と同一
の光学異方性が正号の素子であり、これを裏返して配置
される。
【0165】光学異方素子5は光学異方性かけ負号であ
る視角補償用セルからなり、透明基板5a、5b間に液
晶5cを介在させた液晶セル構造を有する。
【0166】透明基板3bには角度で表面にSiO2 を
斜方蒸着し、光学異方性が負であるディスコティック液
晶(トリフェニレン核にエステル結合でアルキル鎖のつ
いたC18H6(OCOC7 H15)6)が光学異方性物質層と
して導入されており、プレチルト角は駆動用液晶セル4
に近い方を60°、遠い方を90°としている。リタデ
ーションは−220nmである。光学異方素子6(基板
6a、6b)は光学異方素子5と同一の光学異方性が負
号の視角補償用セルからなり、これを裏返して配置され
る。
【0167】光学異方素子2、5と光学異方素子6、7
とはそれぞれ対をなしており、光学異方性が負号である
素子が駆動用液晶セル3に対面する配置となっている。
すなわち、駆動用液晶セル3は光学異方性が負号の光学
異方素子5と負号の光学異方素子6間に配置される。
【0168】駆動用液晶セル3の上側基板3aはカラー
フィルタ上に透明電極3a1が形成された基板3aと各
絵素に薄膜トランジスタおよび画素電極3b1が形成さ
れた基板3b間に液晶3cが挟持され、電圧無印加時に
90゜ねじれの配向を形成する。液晶3cはネマティッ
ク液晶(ZLI−4287、E. Merck Co. Ltd 社製)
にカイラル剤S811(商品名、E. Merck Co. Ltd 社
製)を混入したものが、ねじれ角が90°で導入され、
電圧印加手段である駆動電源4Eからの印加電圧に応じ
て状態を変化する。電圧無印加時はねじれ配列を維持す
る。
【0169】駆動用液晶セル3に用いた液晶のΔnは
0.093、液晶層の厚みは5.0μmである。駆動用
液晶セル3の液晶分子は下側基板3bから上側基板3a
へと反時計回りにねじれている(左ねじれ)。本セル3
は90°ツイスト角のTNセルとして動作し、旋光作用
により光制御する。
【0170】図26は本実施形態における液晶表示素子
の構成を示す分解説明図で(a)は斜視図、(b)は上
面図、(c)は側面図である。(1.1)および(4.
1)は2枚の偏光板1および7の吸収軸であり、これら
は互いに直交し(1.1)はX軸に対し基板の法線方向
である+Z方向から見て反時計回りに45°で配置され
る。
【0171】(3.1)、(3.2)は駆動用液晶セル
の上側基板3aと下側基板3bのラビング軸すなわち配
向処理方向で、これらは互いに直交し、X軸に対しラビ
ング軸(3.1)とのなす角は+Z方向から見て反時計
回りで135°で配置される。
【0172】正の光学異方素子2はその光学異方性単位
の光軸20Uが同一方位にそろって配列し、かつ(c)
の側面図に見られるように下側基板で約2゜のチルト配
向で、上基板で略90゜でその間は連続的に傾いて配列
してる(ハイブリット配列)。これらの光学異方性単位
の光軸の平均、すなわち平均光軸2OAは、X軸に対し
+Z方向から見て反時計回りで225°で配置される。
【0173】液晶セル3の他の面側に配置される正の光
学異方素子7も、光学異方素子2と同様の構成で、その
配置は+Z軸から見て光学異方素子2を天地逆転させ、
かつ平均光軸60Aを+Z軸からX軸に対し135°と
なっている。
【0174】一方、負の光学異方素子5は、光学異方性
単位の光軸5OU(屈折率の最も小さい方向を光軸と定
義する)は、図26(c) に示してあるとおり上基板で
90゜、下基板で60゜傾き、その間は傾き角が連続的
に変化している。したがって平均光軸5OAは素子面に
対し斜めになり、その向きは+Z軸からみてX軸より、
−45°で配置される。
【0175】負の光学異方素子5も光学異方素子3と同
様の構成であり、+Z軸から見て光学異方素子2を天地
逆転させ、かつ平均光軸60Aは平均光軸20Aを+Z
軸からX軸に対し45゜となるように配置される。
【0176】本構成の液晶表示素子を図2(b)の座標
系で観察点の角度、方位角φ、視角θを変えて電気光学
特性を測定した。測定時の電圧値(駆動電圧3fから駆
動用液晶セル3の液晶層4Cに印加する電圧を、0Vから
5Vまで変化させ、液晶パネルの透過率を測定した。結
果を図27に示す。図27は上下左右の4方位の印加電
圧−透過率特性がそれぞれ示されており(カラーフィル
ターによる透過率の減少分は除いて)、正面から60°
まで視角を30°ごと変化させたときの透過率を示して
いる。どの角度でも正面(視角θ=0°)の透過率曲線
と同一であることが理想的な特性である。
【0177】図28は従来技術の光学異方素子を用いな
い場合の印加電圧−透過率特性図である。下方位の特性
は視角が大きくなるに従い透過率が減少する。これは実
際に階調表示をした場合には「黒つぶれ」が生じること
に相当する。また、視角60°での3V付近の透過率の
再増加は、実際の表示では「反転」に相当する。上方位
についてみれば、3Vの電圧で視角が0°から60°へ
と大きくなるにつれて、透過率が増大してゆく。これは
実際の表示では「白抜け」に相当する。
【0178】本実施形態の場合、図27では全ての方位
の特性に改善が見られ、特に0Vでの斜め60゜での透
過率は、上方位をのぞき高い値を示しており、斜め方向
でも明るい表示が実現できる。
【0179】実際の本液晶表示素子を64階調表示させ
観測したところ、角度を大きくしても良好な表示が得ら
れた。
【0180】(比較例2)実施形態9において、負の光
学異方素子3、5のみで、正の光学異方素子2、6が無
い場合の電圧−透過率特性を測定した。測定結果を図2
9に示す。本比較例では下方位の特性は多少改善される
が、左右での5Vでの透過率が高くコントラスト比が低
い。
【0181】(比較例3)図22の実施形態9に対し
て、正の光学異方素子2、7のみで、負の光学異方素子
5、6が無い場合の電圧−透過率特性を測定した。測定
結果を図30に示す。本比較例では上右左方位の透過率
は5Vでも低く押さえられてはいるが、下方位での透過
率の急激な低下が著しく、反転、黒つぶれが生じる。
【0182】(実施形態10)実施形態9において第1
の光学異方素子である視角補償用液晶セル2と駆動用液
晶セル3との間に、不安定なディスコティック配列の光
学異方性を補うことを目的に二軸性位相差フィルムを配
置した。特性的には大きな改善は見られなかったが、配
列不良による表示ムラを緩和することができた。
【0183】(実施形態11)図31および図32に本
実施形態における液晶表示素子を示す。液晶表示素子1
0は2枚の偏光板1、4(LLC-92-18:SANRITZ 社製)
と、これらの間に視角補償用の光学異方素子である液晶
セル2と駆動用液晶セル3とを挟む構成を有している。
偏光板1は透明基板に偏光膜を挟んでつけたものであ
り、偏光板4も同様に透明基板に偏光膜をつけて形成さ
れる。
【0184】光学異方素子として視角補償用液晶セル2
はこれらの偏光板1、4間に配置され、透明基板2a、
2b間に光学異方性物質層2cを介在させたセル構造を
有する。基板2a、2bはそれぞれ異なる角度で表面に
SiO2 を斜め蒸着し、間に光学異方性が負号であるデ
ィスコティック液晶(トリフェニレン核にエステル結合
でアルキル鎖のついたC18H6(OCOC7 H15)6)が光
学異方性物質層として導入されており、プレチルト角
(基板面に対する光軸20Uの傾き)は駆動用液晶セル
3に近い方を30°、遠い方を約90°としている(図
33参照)。視角補償用液晶セル2に用いた光学異方性
物質層の実効的なΔndは−60nmである。
【0185】駆動用液晶セル3は視角補償用液晶セル2
と偏光板4間に配置される。2枚の上側基板3aと下側
基板3bとはそれぞれ透明電極3a1、3b1を形成してお
り、駆動電源3Eに接続される。基板3a、3b間に正
の誘電異方性をもつネマティック液晶(ZLI-4287、E.Mer
ck Co.Ltd.製)が充填され、駆動電源3Eからの印加電
圧に応じて状態を変化する。電圧無印加時はハイブリッ
ド配列を維持する。
【0186】駆動用液晶セル3の液晶分子のΔndは
0.093、液晶層の厚みは5.0μmである。駆動用
液晶セル3の液晶分子は下側基板3bから上側基板3a
へチルト角がほぼ垂直から水平へと変化して配列する
(ハイブリッド配列)。
【0187】図32は本実施形態における液晶表示素子
の構成を示す分解斜視図である。
【0188】(1.1)および(4.1)は2枚の偏光
板1および4の透過軸であり、これらは互いに直交し
(1.1)はY軸に対し基板の法線方向である+Z方向
から見て反時計回りに45°で配置される。(3.1)
は駆動用液晶セル3の上側基板3aのラビング軸すなわ
ち配向処理方向で、Y軸に対しラビング軸(3.1)と
のなす角は+Z方向から見て反時計回りで180°で配
置される。(3.2)は下側基板3bの配向方向で、ほ
ぼ−Z方向と一致する。
【0189】光学異方素子である視角補償用液晶セル2
の(2.1)、(2.2)はそれぞれ上側と下側の基板
2a、2bの配向処理方向で、視角補償用液晶セル2は
その配向処理方向(2.2)が駆動用液晶セル3のラビ
ング軸(3.1)と平行になるように配置される。
【0190】偏光板1は透過軸(1.1)が視角補償用
液晶セル2のラビング軸(2.1)と45°の角度をな
すように配置した。
【0191】本構成の液晶表示素子を図2(b)の座標
系で電気光学特性を測定した。測定時の電圧値(駆動電
圧3Eから駆動用液晶セル3の電極3a1、3b1間に印加
する電圧)は0Vから5Vまで変化させた。結果を図3
4に示す。図34は上下左右の階調ごとの視角−輝度特
性がそれぞれ示されており、正面から60°まで視角を
10°ごとに変化させたときの各階調輝度を示してい
る。理想はどの角度でも正面(視角θ=0°)の透過率
曲線と同一であることである。
【0192】本実施形態の場合、図34を見ると、TN
と比較して上下左右いずれの方位においても「反転」が
減少しており、また黒の透過率が増大しにくいため、広
い視角で良好なコントラストが得られる。
【0193】
【発明の効果】本発明によれば、液晶表示素子のコント
ラスト、表示色の視角特性が改善され、視認性に優れる
高品位表示の液晶表示素子を提供することができる。ま
た本発明は、特定の条件下、たとえばカーナビゲーショ
ンなどのある方向のみの視角を変化させたいときにも使
用できる。
【0194】なお、本発明はTFTを用いたTN型液晶
表示素子のみについて触れたが、MIMなどを用いたア
クティブマトリクスおよびSTNなどのシンプルマトリ
クス液晶表示素子に応用しても優れた効果が得られるこ
とは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1の構成を示す断面図
【図2】本発明の実施形態1を説明するもので、(a)
は構成を示す分解斜視図、(b)は電気光学特性を測定
する座標系を説明する図。
【図3】TN型液晶表示素子の動作原理を説明する図。
【図4】TN型液晶表示素子の視角特性の発生原理を説
明する図。
【図5】TN型液晶表示素子の視角特性の発生原理を説
明する図。
【図6】本発明の光学異方素子の配列状態を示す図。
【図7】本発明の光学異方素子を用いた場合の光学補償
原理を説明する図。
【図8】電圧印加時の駆動セルの屈折率楕円体を示す
図。
【図9】厚み方向に屈折率異方性が負号の光学異方素子
の屈折率楕円体を示した図。
【図10】実施形態1の液晶表示素子の電気光学特性。
【図11】従来例の液晶表示素子の電気光学特性。
【図12】実施形態2の構成を説明する図。
【図13】実施形態2の効果を説明する図。
【図14】実施形態3の効果を説明する図。
【図15】実施形態4の構成を説明する図。
【図16】実施形態4の効果を説明する図。
【図17】実施形態5の構成を説明する図。
【図18】実施形態5の構成を説明する図。
【図19】実施形態6の構成を説明する図。
【図20】実施形態6の効果を説明する図。
【図21】実施形態7の構成を説明する図。
【図22】実施形態9の構成を説明する図。
【図23】実施形態9の効果を説明する図。
【図24】本発明に係わる正の光学異方素子の配列状態
を示す図。
【図25】本発明に係わる正の光学異方素子を用いた場
合の光学補償原理を説明する図。
【図26】実施形態9の液晶表示素子の構成図。
【図27】実施形態9の液晶表示素子の電気光学特性を
示す曲線図。
【図28】従来例の液晶表示素子の電気光学特性を示す
曲線図。
【図29】比較例1の電気光学特性を示す曲線図。
【図30】比較例2の電気光学特性を示す曲線図。
【図31】実施形態11の液晶表示素子の断面図。
【図32】実施形態11の液晶表示素子の構成図。
【図33】実施形態11の液晶表示素子の模式図。
【図34】実施形態11の液晶表示素子の電気光学特性
を示す曲線図。
【図35】従来のTN型液晶表示素子の輝度の視角依存
性を示す曲線図。
【符号の説明】
1、4…偏光板 2 …光学異方素子 2c …光学異方性物質層 3 …駆動用液晶セル
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年8月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】このような表示の視角依存性を低減させる
手段として、特開昭62−21423号公報に2枚の偏
光板の間に、液晶セルと光学異方性が厚み方向に負のポ
リマーフィルムである複屈折層を配置することが開示さ
れている。一方、特開平3−67219号公報に、螺旋
ピッチ長と屈折率の積が400nm以下のコレステリッ
ク液晶相を示す液晶化合物(または高分子液晶)からな
る複屈折層を液晶セル上に配置することが開示されてい
る。これら2つの提案は、垂直(配向基板に対して液晶
分子が垂直に配列したもの)した液晶セルの場合しか考
慮されてなく、TN方式やSTN方式のようなねじれた
配列をした液晶セルの場合には考えられていない。ま
た、特願平3−121578号(特開平4−34942
9号)にツイスト角360゜以上の配列で、チルト角を
もつ光学補償素子で液晶表示素子の視野角を制御する提
案もあるが、階調表示をした場合には視野角拡大の効果
がまだ十分とはいえない。そして、負の光学異方性物質
の光軸を斜め配列させ、TN-LCDの視野角特性を改善する
技術報告もされている(第21回液晶討論会講演予稿
集、p.298 〜301 )が、全ての方位に関しては補償でき
ていない。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正内容】
【0087】また、上述の説明ではハイブリッド配列に
ついて示したが、斜め方向の旋光性の方が正面方向より
大きい特性を示すのはこのような配列のみではなく、素
子法線方向から見たときに光学異方素子を構成する光学
異方性単位の光軸が素子面方向にねじれた配列でも、光
学異方素子の両端面での光軸の向きが同一で、内部配列
が連続的または段階的変化した配列や例えばハイブリッ
ド配列を2つ重ねたベンド配列やスレイ配列でも同一
の効果が得られる。また、光学異方素子のリタデーショ
ン値は、駆動用液晶セルのリタデーション値よりも小さ
な値であることが望ましく、中間調を表示する電圧が印
加された時の駆動用液晶セルのリタデーション値近傍の
値であることがより望ましい。しかし、この値は製品仕
様や量産性などにより依存し必ずしもこの限りでない。
また、組み合わされて使用する光学異方素子やその枚数
などにより、光学異方素子の配列や配置などは製品仕
様、量産性、コストなどにより種々変化する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0131
【補正方法】変更
【補正内容】
【0131】図11は従来技術の比較例のTN−LC
Dの印加電圧−透過率特性図であるが、下方位の特性は
視角が大きくなるに従い透過率が減少する。これは実際
に階調表示をした場合には「黒つぶれ」が生じることに
相当する。また、視角60°での3V付近の透過率の再
増加は、実際の表示では「反転」に相当する。上方位に
ついてみれば、3Vの電圧で視角が0°から60°へと
大きくなるにつれて、透過率が増大してゆく。これは実
際の表示では「白抜け」に相当する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0158
【補正方法】変更
【補正内容】
【0158】本構成の液晶表示素子を図2(b)の座標
系で電気光学特性を測定した。測定時の電圧値(駆動電
源3Eから駆動用液晶セル3の電極3c−3d間に印加
する電圧)は、1Vから5Vまで変化させた。従来例の
特性を示す図11と比較すると下方位の「反転」「黒つ
ぶれ」が改善され、他の方位についてはあまり変化がな
い。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図20
【補正方法】変更
【補正内容】
【図20】実施形態6の作用を説明する図。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図29
【補正方法】変更
【補正内容】
【図29】比較例の電気光学特性を示す曲線図。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図30
【補正方法】変更
【補正内容】
【図30】比較例の電気光学特性を示す曲線図。
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図34
【補正方法】変更
【補正内容】
【図34】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡本 ますみ 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 羽藤 仁 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内

Claims (40)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1枚の偏光板と、2枚の基板
    間に液晶を挟持した駆動用液晶セルと、複数の光学異方
    性単位が厚さ方向に連なる少なくとも1つの光学異方素
    子とで構成され、前記光学異方素子は前記光学異方性単
    位の光学異方性が前記厚さ方向に対して負号であり、そ
    れぞれの光軸の角度が前記厚さ方向に対して一定でな
    く、かつ前記厚さ方向で最小の旋光性を有するように配
    列されていることを特徴とする液晶表示素子。
  2. 【請求項2】 光学異方素子を構成する光学異方性単位
    の光軸と駆動用液晶セルの基板表面とのなす角度が、前
    記光学異方素子の層厚方向に連続的あるいは段階的に変
    化していることを特徴とする請求項1記載の液晶表示素
    子。
  3. 【請求項3】 光学異方素子を構成する光学異方性単位
    の光軸の向きが、駆動用液晶セルに近い側では基板表面
    にほぼ平行であり、前記基板から離れた側では前記基板
    の法線にほぼ沿うように前記光学異方素子の層内で変化
    している請求項1または請求項2記載の液晶表示素子。
  4. 【請求項4】 光学異方素子を構成する光学異方性単位
    の光軸の向きが、駆動用液晶セルに近い側では基板の法
    線にほぼ沿っており、前記基板から離れた側では前記基
    板表面にほぼ平行になるように前記光学異方素子の層内
    で変化している請求項1または請求項2記載の液晶表示
    素子。
  5. 【請求項5】 駆動用液晶セルの基板の法線方向から見
    たときに光学異方素子を構成する光学異方性単位のそれ
    ぞれの光軸の向きが単一の軸上に揃っていることを特徴
    とする請求項1または請求項2記載の液晶表示素子。
  6. 【請求項6】 駆動用液晶セルの基板の法線方向から見
    たときに光学異方素子を構成する光学異方性単位の光軸
    の向きが素子面方向にねじれている請求項1または請求
    項2記載の液晶表示素子。
  7. 【請求項7】 光学異方素子を構成する光学異方性単位
    の光軸の角度が駆動用液晶セルに近い側では基板表面に
    ほぼ平行であり、前記基板から離れた側では前記基板の
    法線にほぼ沿うように前記光学異方素子の層内で変化し
    ている第1の光学異方素子と、 光学異方素子を構成する光学異方性単位の光軸の角度が
    駆動用液晶セルに近い側では基板の法線にほぼ沿ってお
    り、前記基板から離れた側では前記基板表面にほぼ平行
    になるように前記光学異方素子の層内で変化している第
    2の光学異方素子とが、 それぞれ少なくとも1つ配置されていることを特徴とす
    る請求項1または請求項2記載の液晶表示素子。
  8. 【請求項8】 光学異方素子の光軸が、この光学異方素
    子の一方の面側ではこの面の法線方向にほぼ平行であ
    り、前記面から離れた側では10°〜80°となるよう
    に前記光学異方素子の層内で厚さ方向に変化している請
    求項1又は2記載の液晶表示素子。
  9. 【請求項9】 光学異方素子の光軸がこの光学異方素子
    の一方の面となす角度が、一方の面側では10°〜90
    °から選ばれた第1の角度であり、前記面から離れた他
    方の面側では前記第1の角度よりも小さくかつ0°〜8
    0°の範囲の第2の角度となように前記光学異方素子の
    層内で変化していることを特徴とする請求項1又は2記
    載の液晶表示素子。
  10. 【請求項10】 光学異方素子を構成する光学異方性単
    位の駆動用液晶セルの基板表面にほぼ平行である側の光
    軸の向きが、前記基板の法線方向から見たときに、偏光
    板の吸収軸に対してほぼ平行、またはほぼ直交に配置さ
    れている請求項3又は4記載の液晶表示素子。
  11. 【請求項11】 少なくとも1枚の偏光板と、2枚の基
    板間に液晶を挟持した駆動用液晶セルと、1層以上の光
    学異方性単位からなる少なくとも1つの光学異方素子と
    で構成され、前記光学異方素子を構成する光学異方性単
    位の前記駆動用液晶セルに近い側と遠い側の層の光軸の
    素子面とのなす角がほぼ同じであり、その中間の層の光
    軸の角度が変化しており、かつ前記光学異方素子の光学
    異方性が厚さ方向に対して負号であることを特徴とする
    液晶表示素子。
  12. 【請求項12】 光学異方素子の光軸と駆動用液晶セル
    の基板表面とのなす角度が前記駆動用液晶セルに近い側
    と遠い側とではほぼ同じであるが、中間部では前記光学
    異方素子の層厚方向に連続的あるいは段階的に変化して
    いることを特徴とする請求項11記載の液晶表示素子。
  13. 【請求項13】 駆動用液晶セルの基板の法線方向から
    見たときに、光学異方素子を構成する光学異方性単位の
    光軸の方向が単一軸上にあることを特徴とする請求項1
    1記載の液晶表示素子。
  14. 【請求項14】 駆動用液晶セルの基板の法線方向から
    見たときに、光学異方素子を構成する光学異方性単位の
    光軸の方向が2方向以上あることを特徴とする請求項1
    1記載の液晶表示素子。
  15. 【請求項15】 駆動用液晶セルの基板の法線方向から
    見たときに、光学異方素子を構成する光学異方性単位の
    光軸が素子面内に連続的または段階的にねじれている請
    求項11記載の液晶表示素子。
  16. 【請求項16】 偏光板と光学異方素子との間に二軸性
    のリターデーションフィルムを配置してなる請求項1お
    よび請求項11記載の液晶表示素子。
  17. 【請求項17】 光学異方素子の光学異方性物質層が、
    有機または無機材料、あるいは高分子液晶からなること
    を特徴とする請求項1および請求項11記載の液晶表示
    素子。
  18. 【請求項18】 光学異方素子が駆動用液晶セル内に配
    置される請求項1、9、17のいずれかに記載の液晶表
    示素子。
  19. 【請求項19】 複数の光学異方性単位が厚さ方向に連
    なる光学異方素子において、前記光学異方素子の光軸と
    表面とのなす角度が、前記光学異方素子中の上下の表面
    近傍で異なり、前記光学異方素子の光学異方性が厚さ方
    向に対して負号であることを特徴とする光学異方素子。
  20. 【請求項20】 光学異方素子を構成する光学異方性単
    位の光軸の角度が光学異方素子表面に対して、前記光学
    異方素子の層厚方向に連続的あるいは段階的に変化して
    いることを特徴とする請求項16記載の光学異方素子。
  21. 【請求項21】 光学異方素子を構成する光学異方性単
    位の素子面側の光軸の向きが光学異方素子表面にほぼ平
    行であり、前記光学異方素子の他の側の光軸の向きは素
    子法線になり、その中間層の光軸は前記光学異方素子の
    層内で連続的に変化している請求項19又は請求項20
    記載の光学異方素子。
  22. 【請求項22】 光学異方素子を構成する光学異方性単
    位の素子面側の光軸の向きが光学異方素子表面の法線方
    向に沿っており、前記光学異方素子の他の側の光軸が表
    面素子にほぼ平行になり、その中間層の光軸は層内で連
    続的に変化している請求項19または請求項20記載の
    光学異方素子。
  23. 【請求項23】 光学異方素子を構成する光学異方性単
    位のそれぞれの光軸の向きが光学異方素子表面の法線方
    向から見たとき単一の軸上に揃った配列をしている請求
    項19、20または22記載の光学異方素子。
  24. 【請求項24】 光学異方素子を構成する光学異方性単
    位のそれぞれの光軸の向きが光学異方素子表面の法線方
    向から見たとき素子面方向にねじれて配列をしている請
    求項19または21または22記載の光学異方素子。
  25. 【請求項25】 光学異方素子を構成する光学異方性単
    位の光軸と表面とのなす角度が、一方の側と他の側とで
    はほぼ同じであるが、中間部においては変化しており、
    かつ前記光学異方素子の光学異方性が厚さ方向に対して
    負号であることを特徴とする光学異方素子。
  26. 【請求項26】 光学異方素子を構成する光学異方性単
    位の光軸と表面とのなす角度が、一方の側と他の側とで
    はほぼ同じであるが、中間部では前記光学異方素子の層
    厚方向に連続的あるいは段階的に変化していることを特
    徴とする請求項25記載の光学異方素子。
  27. 【請求項27】 光学異方素子表面の法線方向から見た
    ときに、前記光学異方素子を構成する光学異方性単位の
    それぞれの光軸の方向が単一軸上にあることを特徴とす
    る請求項25記載の光学異方素子。
  28. 【請求項28】光学異方素子表面の法線方向から見たと
    きに、前記光学異方素子を構成する光学異方性単位の光
    軸の方向が2方向以上であることを特徴とする請求項2
    5記載の光学異方素子。
  29. 【請求項29】 光学異方素子表面の法線方向から見た
    ときに、前記光学異方素子を構成する光学異方性単位の
    それぞれの光軸が連続的または段階的に素子面方向にね
    じれている請求項25記載の光学異方素子。
  30. 【請求項30】 光学異方素子の光学異方性物質層が、
    有機または無機材料、あるいは高分子液晶からなること
    を特徴とする請求項19および請求項25記載の光学異
    方素子。
  31. 【請求項31】 少なくとも2枚の偏光板の間に、2枚
    の基板間に液晶を挟持した駆動用液晶セルと、光学異方
    性単位の光学異方性の符号が互いに異なる異光学方性層
    が少なくともそれぞれ1層以上組合わされて配置され,
    前記組合わされた光学異方性層の法線方向より傾いた方
    向での旋光性が,法線方向での旋光性より大きいことを
    特徴とする光学異方性層を有す液晶表示素子。
  32. 【請求項32】 光学異方性単位の光学異方性が正号で
    ある光学異方性層の光学異方性単位の光軸が光学異方性
    層厚方向に対し均一に斜め、あるいは光学異方性層厚方
    向に連続的に変化していることを特徴とする請求項31
    記載の液晶表示素子。
  33. 【請求項33】 光学異方性層の光学異方性単位の光軸
    が光学異方性層厚方向に対し均一に斜め、あるいは光学
    異方性層厚方向に連続的に変化しており、前記光軸の方
    位が同一の向きに配列していることを特徴とする請求項
    32記載の液晶表示素子。
  34. 【請求項34】 光学異方性単位の光学異方性が負号で
    ある光学異方性層と光学異方性単位の光学異方性が正号
    である光学異方性層の組合せ体を、駆動用液晶セルの両
    面側に配置してなる請求項31記載の液晶表示素子。
  35. 【請求項35】 負の光学異方性である光学異方性単位
    からなる光学異方性層を駆動用液晶セルに隣接させて配
    置することを特徴とする請求項31または34記載の液
    晶表示素子。
  36. 【請求項36】 光学異方性層の光学異方性単位の光軸
    が光学異方性層厚方向に対し連続的に変化している光学
    異方性層の光軸の傾き角が小さい方の面を前記駆動用液
    晶セルに隣接させて配置することを特徴とする請求項3
    5記載の液晶表示素子。
  37. 【請求項37】 光学異方性単位の光学異方性が正号で
    ある光学異方性層の光軸方位と、光学異方性単位の光学
    異方性が負号である光学異方性層の光軸方位とが互いに
    直交して配置されることを特徴とする請求項35記載の
    液晶表示素子。
  38. 【請求項38】 光学異方性単位の光学異方性が負号で
    あり、光軸が厚み軸と層端面のある方向の軸からなる面
    内で、層厚み方向に連続的に変化した配列で、層端面で
    前記光軸が層端面に対しほぼ垂直で、他方の層端面で前
    記光軸が層端面に対し10°〜60°傾いている請求項
    1又は3記載の光学異方素子。
  39. 【請求項39】 光学異方性単位の光学異方性が正号で
    ある光学異方性層の光軸方位と、光学異方性単位の光学
    異方性が負号である光学異方性層の光軸方位とが互いに
    直交して配置されることを特徴とする請求項38記載の
    光学異方素子。
  40. 【請求項40】 駆動用液晶セルの配列が厚さ方向に連
    続的に変化することを特徴とする請求項1、4および1
    0のうちのいずれかに記載の液晶表示素子。
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