JPH09191861A - 果汁、果肉含有飲食品の香味改良剤およびそれを用いた果汁、果肉含有飲食品 - Google Patents
果汁、果肉含有飲食品の香味改良剤およびそれを用いた果汁、果肉含有飲食品Info
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- JPH09191861A JPH09191861A JP643596A JP643596A JPH09191861A JP H09191861 A JPH09191861 A JP H09191861A JP 643596 A JP643596 A JP 643596A JP 643596 A JP643596 A JP 643596A JP H09191861 A JPH09191861 A JP H09191861A
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- juice
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 酵母醗酵を利用する果汁の風味改善の実用性
ある手段の提供。 【解決手段】 定常期の増殖相にある酵母を接種して醗
酵させた果汁を用いて、果汁や果肉を含有する飲食品の
香味を改善する。
ある手段の提供。 【解決手段】 定常期の増殖相にある酵母を接種して醗
酵させた果汁を用いて、果汁や果肉を含有する飲食品の
香味を改善する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は果汁、果肉含有飲食
品の香味改良剤およびそれを用いた果汁、果肉含有飲食
品に関する。さらに詳しくは、本発明は、果汁や果肉の
香味におけるトップノートの匂い立ちを良くし、それら
が持つ苦味感や渋味感を消去し、またはそれらが持つ重
いコク味をスッキリとさせ、より飲食しやすくするため
の果汁、果肉含有飲食品の香味改良剤およびそれを用い
た果汁および/または果肉を含有する飲食品に関する。
品の香味改良剤およびそれを用いた果汁、果肉含有飲食
品に関する。さらに詳しくは、本発明は、果汁や果肉の
香味におけるトップノートの匂い立ちを良くし、それら
が持つ苦味感や渋味感を消去し、またはそれらが持つ重
いコク味をスッキリとさせ、より飲食しやすくするため
の果汁、果肉含有飲食品の香味改良剤およびそれを用い
た果汁および/または果肉を含有する飲食品に関する。
【0002】
【従来の技術】果汁は製造工程上、濃縮時の加熱処理、
最終工程での熱殺菌処理を経るため、フレッシュ感の欠
如、芋臭の増大、コク味が重くなったり、また、果汁に
よっては、苦味感が出たりして品質的に劣化する。そこ
で、果汁の風味を改良するため、果汁濃縮時に得られる
回収香の添加が行われるが、その改良には自ずと限界が
ある。近年、果汁を酵母醗酵させて、その果汁の風味を
改良する方法が提案されている(特公昭63−4251
1号、特公平2−51591号、特開平4−35616
2号、特開平5−137547号、特開平6−1475
3号)。しかし、これらの方法は、いずれも、醗酵して
得られる醗酵果汁そのものを飲食品素材とするもので、
添加剤として最終製品へ少量添加し、風味を改良するも
のではない。
最終工程での熱殺菌処理を経るため、フレッシュ感の欠
如、芋臭の増大、コク味が重くなったり、また、果汁に
よっては、苦味感が出たりして品質的に劣化する。そこ
で、果汁の風味を改良するため、果汁濃縮時に得られる
回収香の添加が行われるが、その改良には自ずと限界が
ある。近年、果汁を酵母醗酵させて、その果汁の風味を
改良する方法が提案されている(特公昭63−4251
1号、特公平2−51591号、特開平4−35616
2号、特開平5−137547号、特開平6−1475
3号)。しかし、これらの方法は、いずれも、醗酵して
得られる醗酵果汁そのものを飲食品素材とするもので、
添加剤として最終製品へ少量添加し、風味を改良するも
のではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】果汁を酵母醗酵して、
得られる醗酵果汁をそのまま飲食品素材として用いた場
合、原料費が高くなって必然的にコスト高になり、実用
性がない。本発明は、酵母醗酵を利用する果汁の風味改
善の実用性ある手段を提供することを目的とする。
得られる醗酵果汁をそのまま飲食品素材として用いた場
合、原料費が高くなって必然的にコスト高になり、実用
性がない。本発明は、酵母醗酵を利用する果汁の風味改
善の実用性ある手段を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、この課題
を解決すべく、種々の醗酵法を鋭意研究した。その結
果、果汁に接種する酵母の増殖相と醗酵度合を制御する
ことによって得られる醗酵果汁を使用すれば、いわゆる
添加剤的な、少量の添加でもって果汁や果肉を含有する
飲食品の風味を改善できることを見出した。
を解決すべく、種々の醗酵法を鋭意研究した。その結
果、果汁に接種する酵母の増殖相と醗酵度合を制御する
ことによって得られる醗酵果汁を使用すれば、いわゆる
添加剤的な、少量の添加でもって果汁や果肉を含有する
飲食品の風味を改善できることを見出した。
【0005】すなわち、果汁に接種する酵母の増殖相
を、誘導期、対数増殖期、定常期または死滅期に揃え、
アルコール濃度にして0から10%程度まで醗酵させた
果汁を少量添加して、果汁および/または果肉を含有す
る飲食品の風味を評価した結果、酵母の増殖相を定常期
に限定し、アルコール濃度にして10%以下、好ましく
は2%以下程度で醗酵を終了することによって得られた
醗酵果汁を使用する場合のみ、少量の添加でもって果汁
および/または果肉含有飲食品の風味を改善できること
を見出し、本発明を完成するに至った。
を、誘導期、対数増殖期、定常期または死滅期に揃え、
アルコール濃度にして0から10%程度まで醗酵させた
果汁を少量添加して、果汁および/または果肉を含有す
る飲食品の風味を評価した結果、酵母の増殖相を定常期
に限定し、アルコール濃度にして10%以下、好ましく
は2%以下程度で醗酵を終了することによって得られた
醗酵果汁を使用する場合のみ、少量の添加でもって果汁
および/または果肉含有飲食品の風味を改善できること
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】かくして、本発明は、(1)果汁を酵母に
より醗酵させて得られる醗酵果汁を有効成分としてなる
果汁、果肉飲食品の香味改良剤を提供するものであり、
特に、(2)定常期の増殖相にある酵母を接種して醗酵
させる上記(1)記載の香味改良剤、(3)醗酵果汁の
アルコール濃度が約10%以下である上記(1)記載の
香味改良剤、(4)醗酵果汁のアルコール濃度が約2%
以下である上記(3)記載の香味改良剤、(5)酵母
が、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cer
evisiae)である上記(1)の香味改良剤、および
(6)糖度20〜30゜ブリックスの果汁を醗酵させる
上記(1)記載の香味改良剤、を提供する。
より醗酵させて得られる醗酵果汁を有効成分としてなる
果汁、果肉飲食品の香味改良剤を提供するものであり、
特に、(2)定常期の増殖相にある酵母を接種して醗酵
させる上記(1)記載の香味改良剤、(3)醗酵果汁の
アルコール濃度が約10%以下である上記(1)記載の
香味改良剤、(4)醗酵果汁のアルコール濃度が約2%
以下である上記(3)記載の香味改良剤、(5)酵母
が、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cer
evisiae)である上記(1)の香味改良剤、および
(6)糖度20〜30゜ブリックスの果汁を醗酵させる
上記(1)記載の香味改良剤、を提供する。
【0007】また、本発明は、(7)上記(1)〜
(6)いずれか1項記載の香味改良剤を、当該醗酵果汁
として0.001〜2.0重量%配合してなる果汁およ
び/または果肉を含有する飲食品を提供するものであ
る。
(6)いずれか1項記載の香味改良剤を、当該醗酵果汁
として0.001〜2.0重量%配合してなる果汁およ
び/または果肉を含有する飲食品を提供するものであ
る。
【0008】本発明によれば、果汁および/または果肉
を原料として含有する飲食品に、該醗酵果汁を0.00
1〜2.0重量%程度の少量添加することにより、果汁
や果肉の香味におけるトップノートの匂い立ちを良く
し、それらのコク味をスッキリさせ、それらの持つ苦味
感や渋味感を消去して、総合的に飲食しやすく、香味を
改良することができる。
を原料として含有する飲食品に、該醗酵果汁を0.00
1〜2.0重量%程度の少量添加することにより、果汁
や果肉の香味におけるトップノートの匂い立ちを良く
し、それらのコク味をスッキリさせ、それらの持つ苦味
感や渋味感を消去して、総合的に飲食しやすく、香味を
改良することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に用いる果汁は、イチゴ果
汁、グレープフルーツ果汁、温州みかん、バレンシア果
汁、温州バレンシア混合果汁、ピーチ果汁、巨峰果汁、
りんご果汁、メロン果汁、バナナ果汁等の、一般に飲食
に供される果汁であれば良く、特に限定されるものでな
い。醗酵に供する果汁は、得られる醗酵果汁の香味改善
効果から、通常、糖度20〜30゜ブリックスが好まし
く、ストレート果汁の濃縮、濃縮果汁の還元等により、
糖度を調整できる。
汁、グレープフルーツ果汁、温州みかん、バレンシア果
汁、温州バレンシア混合果汁、ピーチ果汁、巨峰果汁、
りんご果汁、メロン果汁、バナナ果汁等の、一般に飲食
に供される果汁であれば良く、特に限定されるものでな
い。醗酵に供する果汁は、得られる醗酵果汁の香味改善
効果から、通常、糖度20〜30゜ブリックスが好まし
く、ストレート果汁の濃縮、濃縮果汁の還元等により、
糖度を調整できる。
【0010】また、本発明に用いる酵母は、サッカロミ
セス(Saccharomyces)属が最も好ましいが、その他、
シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属やチゴ
サッカロミセス(Zygosaccharomyces)属なども使用可
能である。通常は、サッカロミセス・セレビシエ(Sac
charomyces cerevisiae)の単用またはこれと他の酵母
との併用によって行うことができる。これらの酵母は、
増殖相の定常期にあるものを果汁に接種して醗酵させる
ことにより、所望の香味改善効果が得られる。
セス(Saccharomyces)属が最も好ましいが、その他、
シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属やチゴ
サッカロミセス(Zygosaccharomyces)属なども使用可
能である。通常は、サッカロミセス・セレビシエ(Sac
charomyces cerevisiae)の単用またはこれと他の酵母
との併用によって行うことができる。これらの酵母は、
増殖相の定常期にあるものを果汁に接種して醗酵させる
ことにより、所望の香味改善効果が得られる。
【0011】これらの酵母を用い、以下のようにして醗
酵果汁を得る。糖度を20〜30゜ブリックスに調整し
た果汁を、必要に応じて除菌または殺菌処理を行った
後、これに、酵母用培地、例えば、グルコース2%、酵
母エキス0.4%、ポリペプトン0.5%、リン酸一カ
リウム0.1%、硫酸マグネシウム0.05%からなる
培地にて25〜30℃で1日間程度培養して得られた定
常期の酵母を接種することにより醗酵させる。醗酵は、
静置培養が好ましいが、その他、緩やかな撹拌培養、通
気培養なども可能である。醗酵条件は、5〜20℃で2
0〜100時間が適当である。醗酵終了後、得られた醗
酵果汁のアルコール濃度は、約10%以下、好ましくは
約2%以下程度となる。
酵果汁を得る。糖度を20〜30゜ブリックスに調整し
た果汁を、必要に応じて除菌または殺菌処理を行った
後、これに、酵母用培地、例えば、グルコース2%、酵
母エキス0.4%、ポリペプトン0.5%、リン酸一カ
リウム0.1%、硫酸マグネシウム0.05%からなる
培地にて25〜30℃で1日間程度培養して得られた定
常期の酵母を接種することにより醗酵させる。醗酵は、
静置培養が好ましいが、その他、緩やかな撹拌培養、通
気培養なども可能である。醗酵条件は、5〜20℃で2
0〜100時間が適当である。醗酵終了後、得られた醗
酵果汁のアルコール濃度は、約10%以下、好ましくは
約2%以下程度となる。
【0012】得られた醗酵果汁は、そのまま、要すれ
ば、常法により殺菌し、凍結するなどして本発明の果
汁、果肉飲食品の香味改良剤として供することができ
る。また、醗酵果汁の香味改善効果をさらに向上させる
ため、糖類(砂糖、オリゴ糖、トレハロース等)、糖ア
ルコール(ソルビトール、マルチトール等)、多価アル
コール(グリセリン、プロピレングリコール)、エチル
アルコールなどの添加剤を添加、混合して本発明の果
汁、果肉飲食品の香味改良剤とすることもできるが、こ
の場合、醗酵果汁は、少なくとも、香味改良剤全体の1
重量%とする。
ば、常法により殺菌し、凍結するなどして本発明の果
汁、果肉飲食品の香味改良剤として供することができ
る。また、醗酵果汁の香味改善効果をさらに向上させる
ため、糖類(砂糖、オリゴ糖、トレハロース等)、糖ア
ルコール(ソルビトール、マルチトール等)、多価アル
コール(グリセリン、プロピレングリコール)、エチル
アルコールなどの添加剤を添加、混合して本発明の果
汁、果肉飲食品の香味改良剤とすることもできるが、こ
の場合、醗酵果汁は、少なくとも、香味改良剤全体の1
重量%とする。
【0013】本発明の香味改良剤は、少量、例えば、醗
酵果汁として0.001〜2.0重量%添加することに
よって果汁および/または果肉を含有する飲食品の香味
を改良することができ、そのような飲食品も本発明の範
囲内のものである。かかる本発明の果汁および/または
果肉を含有する飲食品としては、飲料では、清涼飲料水
として、例えば、天然果汁、果汁飲料、果肉飲料等(た
だし、酒精飲料を除く)、食品では、菓子類として、例
えば、ゼリー等、一般食品として、例えば、フルーツソ
ース等および冷菓類として、例えば、氷菓を挙げること
ができる。これらの飲食品は、本発明の香味改良剤を適
宜の工程で添加する以外は、常法によって製造すること
ができ、製品化に際して、必要に応じて濾過法、遠心分
離法などによる除菌処理や高温加熱などの手段により殺
菌処理してもよい。
酵果汁として0.001〜2.0重量%添加することに
よって果汁および/または果肉を含有する飲食品の香味
を改良することができ、そのような飲食品も本発明の範
囲内のものである。かかる本発明の果汁および/または
果肉を含有する飲食品としては、飲料では、清涼飲料水
として、例えば、天然果汁、果汁飲料、果肉飲料等(た
だし、酒精飲料を除く)、食品では、菓子類として、例
えば、ゼリー等、一般食品として、例えば、フルーツソ
ース等および冷菓類として、例えば、氷菓を挙げること
ができる。これらの飲食品は、本発明の香味改良剤を適
宜の工程で添加する以外は、常法によって製造すること
ができ、製品化に際して、必要に応じて濾過法、遠心分
離法などによる除菌処理や高温加熱などの手段により殺
菌処理してもよい。
【0014】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。 実施例1 糖度35゜ブリックスのストロベリー果汁を糖度25゜
ブリックスに調整後、80℃、1分間加熱殺菌した。酵
母用合成培地で無菌的に培養し、定常期に達した酵母
を、菌数が果汁1ml当たり107個になるように果汁に
添加した。果汁を10〜15℃で60〜70時間保持し
た後、15,000×g、5分間遠心処理して得られた上
清を80℃、1分間加熱殺菌することによってストロベ
リー醗酵果汁を調製した。得られた醗酵果汁のアルコー
ル濃度は0.4〜0.5%、pHは3.3〜3.4であ
った。この醗酵果汁を0.2重量%添加したシャーベッ
ト(組成1)および無添加の対照を表1の配合に従って
調製した。また、この醗酵果汁を0.6%添加したチル
ドゼリー(組成1)および無添加の対照を表2の配合に
従って調製した。さらに、該発酵果汁を0.1重量%添
加した冷凍いちご(糖置換品)(組成1)および無添加
の対照を表3の配合に従って調製した。
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。 実施例1 糖度35゜ブリックスのストロベリー果汁を糖度25゜
ブリックスに調整後、80℃、1分間加熱殺菌した。酵
母用合成培地で無菌的に培養し、定常期に達した酵母
を、菌数が果汁1ml当たり107個になるように果汁に
添加した。果汁を10〜15℃で60〜70時間保持し
た後、15,000×g、5分間遠心処理して得られた上
清を80℃、1分間加熱殺菌することによってストロベ
リー醗酵果汁を調製した。得られた醗酵果汁のアルコー
ル濃度は0.4〜0.5%、pHは3.3〜3.4であ
った。この醗酵果汁を0.2重量%添加したシャーベッ
ト(組成1)および無添加の対照を表1の配合に従って
調製した。また、この醗酵果汁を0.6%添加したチル
ドゼリー(組成1)および無添加の対照を表2の配合に
従って調製した。さらに、該発酵果汁を0.1重量%添
加した冷凍いちご(糖置換品)(組成1)および無添加
の対照を表3の配合に従って調製した。
【0015】5人のパネラーにより、これらの製品の官
能評価を行った。その結果、シャーベットでは、5人の
パネラー全員が、対照に比べ、組成1はいちごの重い風
味がなくなり、ムレ臭をマスキングしたと判定した。ま
た、チルドゼリーでも、5人のパネラー全員が対照に比
べ、組成1の風味が華やかで、軽くムレ臭をマスキング
したと判定した。冷凍いちご(糖置換品)でも、5人の
パネラー全員が、対照に比べ、組成1がいちごを冷凍し
た時の冷凍臭をマスキングしたと判定した。
能評価を行った。その結果、シャーベットでは、5人の
パネラー全員が、対照に比べ、組成1はいちごの重い風
味がなくなり、ムレ臭をマスキングしたと判定した。ま
た、チルドゼリーでも、5人のパネラー全員が対照に比
べ、組成1の風味が華やかで、軽くムレ臭をマスキング
したと判定した。冷凍いちご(糖置換品)でも、5人の
パネラー全員が、対照に比べ、組成1がいちごを冷凍し
た時の冷凍臭をマスキングしたと判定した。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
【表3】
【0019】実施例2 濃縮グレープフルーツ果汁を糖度25゜ブリックスに調
製した。酵母用合成培地で無菌的に培養し、定常期に達
した酵母を、菌数が果汁1ml当り107個になるように
果汁に添加した。果汁を10〜15℃で25〜35時間
保持し、15,000×g、5分間遠心処理した上清を、
80℃、1分間加熱殺菌することによってグレープフル
ーツ醗酵果汁を調製した。得られた醗酵果汁のアルコー
ル濃度は0.4〜0.5%、pHは3.3〜3.4であ
った。この醗酵果汁を0.2%添加したシャーベット
(組成1)および無添加の対照を表4の配合に従って調
製した。また、この醗酵果汁を0.6%添加したチルド
ゼリー(組成1)および無添加の対照を表5の配合に従
って調製した。5人のパネラーにより、これらの製品の
官能評価を行った。その結果、シャーベットでは5人の
パネラー全員が、対照に比べ、組成1はグレープフルー
ツの苦味感を抑えて重い呈味がすっきりしたと判定し
た。また、チルドゼリーでも、5人のパネラー全員が、
対照に比べ、組成1の後味の苦味がマスキングされ、す
っきりしたと判定した。
製した。酵母用合成培地で無菌的に培養し、定常期に達
した酵母を、菌数が果汁1ml当り107個になるように
果汁に添加した。果汁を10〜15℃で25〜35時間
保持し、15,000×g、5分間遠心処理した上清を、
80℃、1分間加熱殺菌することによってグレープフル
ーツ醗酵果汁を調製した。得られた醗酵果汁のアルコー
ル濃度は0.4〜0.5%、pHは3.3〜3.4であ
った。この醗酵果汁を0.2%添加したシャーベット
(組成1)および無添加の対照を表4の配合に従って調
製した。また、この醗酵果汁を0.6%添加したチルド
ゼリー(組成1)および無添加の対照を表5の配合に従
って調製した。5人のパネラーにより、これらの製品の
官能評価を行った。その結果、シャーベットでは5人の
パネラー全員が、対照に比べ、組成1はグレープフルー
ツの苦味感を抑えて重い呈味がすっきりしたと判定し
た。また、チルドゼリーでも、5人のパネラー全員が、
対照に比べ、組成1の後味の苦味がマスキングされ、す
っきりしたと判定した。
【0020】
【表4】
【0021】
【表5】
【0022】実施例3 糖度30゜ブリックスのメロン果汁を糖度25゜ブリッ
クスに調整後、80℃、1分間加熱殺菌した。酵母用合
成培地で無菌的に培養して定常期に達した酵母を、菌数
が果汁1ml当り107個になるように果汁に添加した。
果汁を10〜15℃で25〜45時間保持し、15,0
00×g、5分間遠心処理した上清を、80℃、1分間
加熱殺菌することによってメロン醗酵果汁を調製した。
得られた醗酵果汁のアルコール濃度は0.4〜0.8
%、pH5.8〜5.9であった。この醗酵果汁を0.
2%添加したシャーベット(組成1)および無添加の対
照を表6の配合に従って調製し、5人のパネラーにより
官能評価を行った。その結果、5人のパネラー全員が、
対照に比べ、組成1は濃縮果汁独特の加熱臭と生臭い匂
いのマスキングがなされ、すっきりとした呈味になった
と判定した。
クスに調整後、80℃、1分間加熱殺菌した。酵母用合
成培地で無菌的に培養して定常期に達した酵母を、菌数
が果汁1ml当り107個になるように果汁に添加した。
果汁を10〜15℃で25〜45時間保持し、15,0
00×g、5分間遠心処理した上清を、80℃、1分間
加熱殺菌することによってメロン醗酵果汁を調製した。
得られた醗酵果汁のアルコール濃度は0.4〜0.8
%、pH5.8〜5.9であった。この醗酵果汁を0.
2%添加したシャーベット(組成1)および無添加の対
照を表6の配合に従って調製し、5人のパネラーにより
官能評価を行った。その結果、5人のパネラー全員が、
対照に比べ、組成1は濃縮果汁独特の加熱臭と生臭い匂
いのマスキングがなされ、すっきりとした呈味になった
と判定した。
【0023】
【表6】
【0024】実施例4 濃縮巨峰果汁を糖度25゜ブリックスに調整後、80
℃、1分間加熱殺菌した。酵母用合成培地で無菌的に培
養し、定常期に達した酵母を、菌数が果汁1ml当り10
7個になるように果汁に添加した。果汁を10〜15℃
で45〜55時間保持し、15,000×g、5分間遠心
処理した上清を80℃、1分間加熱殺菌することによっ
て巨峰醗酵果汁を調製した。得られた醗酵果汁のアルコ
ール濃度は0.8〜1.0%、pH3.1〜3.2であ
った。この醗酵果汁を0.2%添加したシャーベット
(組成1)および無添加の対照を表7の配合に従って調
製し、5人のパネラーにより官能評価を行った。その結
果、5人のパネラー全員が、対照に比べ、組成1は果汁
の加熱臭をマスキングし、巨峰の風味を強調すると同時
に後味がすっきりしたと判定した。
℃、1分間加熱殺菌した。酵母用合成培地で無菌的に培
養し、定常期に達した酵母を、菌数が果汁1ml当り10
7個になるように果汁に添加した。果汁を10〜15℃
で45〜55時間保持し、15,000×g、5分間遠心
処理した上清を80℃、1分間加熱殺菌することによっ
て巨峰醗酵果汁を調製した。得られた醗酵果汁のアルコ
ール濃度は0.8〜1.0%、pH3.1〜3.2であ
った。この醗酵果汁を0.2%添加したシャーベット
(組成1)および無添加の対照を表7の配合に従って調
製し、5人のパネラーにより官能評価を行った。その結
果、5人のパネラー全員が、対照に比べ、組成1は果汁
の加熱臭をマスキングし、巨峰の風味を強調すると同時
に後味がすっきりしたと判定した。
【0025】
【表7】
【0026】実施例5 糖度32゜ブリックスのピーチ果汁の糖度を25゜ブリ
ックスに調整後、80℃、1分間加熱殺菌した。酵母用
合成培地で無菌的に培養し、定常期に達した酵母を、菌
数が果汁1ml当り107個になるように果汁に添加し
た。果汁を10〜15℃で30〜40時間保持し、80
℃、10分間加熱殺菌することによって、ピーチ醗酵果
汁を調製した。得られた醗酵果汁のアルコール濃度は
0.8〜1.0%、pHは4.0〜4.1であった。こ
の醗酵果汁を0.65%添加したチルドゼリー(組成
1)および無添加の対照を表8の配合に従って調製し、
5人のパネラーにより官能評価を行った。その結果、5
人のパネラー全員が、対照に比べ、組成1はボディ感、
果汁感が増強され全体的にパンチ力が出たと判定した。
ックスに調整後、80℃、1分間加熱殺菌した。酵母用
合成培地で無菌的に培養し、定常期に達した酵母を、菌
数が果汁1ml当り107個になるように果汁に添加し
た。果汁を10〜15℃で30〜40時間保持し、80
℃、10分間加熱殺菌することによって、ピーチ醗酵果
汁を調製した。得られた醗酵果汁のアルコール濃度は
0.8〜1.0%、pHは4.0〜4.1であった。こ
の醗酵果汁を0.65%添加したチルドゼリー(組成
1)および無添加の対照を表8の配合に従って調製し、
5人のパネラーにより官能評価を行った。その結果、5
人のパネラー全員が、対照に比べ、組成1はボディ感、
果汁感が増強され全体的にパンチ力が出たと判定した。
【0027】
【表8】
【0028】実施例6 濃縮オレンジ果汁を糖度25゜ブリックスに調整後、8
0℃、0.5分間加熱殺菌した。酵母用合成培地で無菌
的に培養し、定常期に達した酵母を、菌数が果汁1ml当
り107個になるように果汁に添加した。果汁を10〜
15℃で25〜35時間保持し、80℃、0.5分間加
熱殺菌することによって、オレンジ醗酵果汁を調製し
た。得られた醗酵果汁のアルコール濃度は0.4〜0.
5%、pHは3.2〜3.3であった。この醗酵果汁を
0.9%添加したチルドゼリー(組成1)および無添加
の対照を表9の配合に従って調製し、5人のパネラーに
より官能評価を行った。その結果、5人のパネラー全員
が、対照に比べ、組成1は濃縮果汁独特のイモ臭がマス
キングされ、後口がすっきりしたと判定した。
0℃、0.5分間加熱殺菌した。酵母用合成培地で無菌
的に培養し、定常期に達した酵母を、菌数が果汁1ml当
り107個になるように果汁に添加した。果汁を10〜
15℃で25〜35時間保持し、80℃、0.5分間加
熱殺菌することによって、オレンジ醗酵果汁を調製し
た。得られた醗酵果汁のアルコール濃度は0.4〜0.
5%、pHは3.2〜3.3であった。この醗酵果汁を
0.9%添加したチルドゼリー(組成1)および無添加
の対照を表9の配合に従って調製し、5人のパネラーに
より官能評価を行った。その結果、5人のパネラー全員
が、対照に比べ、組成1は濃縮果汁独特のイモ臭がマス
キングされ、後口がすっきりしたと判定した。
【0029】
【表9】
【0030】実施例7 糖度23°ブリックスのバナナ果汁を80℃、1分間加
熱殺菌した。酵母用合成培地で無菌的に培養し、定常期
に達した酵母を、菌数が果汁1ml当り107個になるよ
うに果汁に添加した。果汁を10〜15℃で30〜40
時間保持し、15,000×g、5分間遠心処理した上清
を80℃、1分間加熱殺菌することによってバナナ発酵
果汁を調製した。得られた発酵果汁のアルコール濃度は
1.0〜1.5%、pHは4.0〜4.1であった。こ
の発酵果汁を0.02重量%添加した冷凍バナナ(糖置
換品)(組成1)および無添加の対照を表10の配合に
従って調製し、5人のパネラーにより官能評価を行っ
た。その結果5人のパネラー全員が、対照に比べ、組成
1が、バナナの後味の渋味をマスキングしたと判定し
た。
熱殺菌した。酵母用合成培地で無菌的に培養し、定常期
に達した酵母を、菌数が果汁1ml当り107個になるよ
うに果汁に添加した。果汁を10〜15℃で30〜40
時間保持し、15,000×g、5分間遠心処理した上清
を80℃、1分間加熱殺菌することによってバナナ発酵
果汁を調製した。得られた発酵果汁のアルコール濃度は
1.0〜1.5%、pHは4.0〜4.1であった。こ
の発酵果汁を0.02重量%添加した冷凍バナナ(糖置
換品)(組成1)および無添加の対照を表10の配合に
従って調製し、5人のパネラーにより官能評価を行っ
た。その結果5人のパネラー全員が、対照に比べ、組成
1が、バナナの後味の渋味をマスキングしたと判定し
た。
【0031】
【表10】
【0032】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、酵母醗酵
を利用する果汁の風味改善の実用性ある手段が提供でき
る。
を利用する果汁の風味改善の実用性ある手段が提供でき
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12G 3/02 118 A23L 2/26 //(C12G 1/00 C12R 1:865) (C12G 3/02 C12R 1:865) (72)発明者 濱地 正昭 兵庫県西宮市今津出在家町4番9号 大関 株式会社総合研究所内 (72)発明者 熊谷 知栄子 兵庫県西宮市今津出在家町4番9号 大関 株式会社総合研究所内 (72)発明者 杉本 茂 兵庫県神戸市西区伊川谷町潤和1250−4 県住2−202 (72)発明者 三宅 智美 大阪府柏原市法善寺1丁目4番19号 (72)発明者 島田 光男 大阪府枚方市東香里1丁目2番50号 (72)発明者 宮脇 英昭 奈良県奈良市千代ケ丘2丁目8番57号
Claims (7)
- 【請求項1】 果汁を酵母により醗酵させて得られる醗
酵果汁を有効成分としてなる果汁、果肉飲食品の香味改
良剤。 - 【請求項2】 定常期の増殖相にある酵母を接種して醗
酵させる請求項1記載の香味改良剤。 - 【請求項3】 醗酵果汁のアルコール濃度が約10%以
下である請求項1記載の香味改良剤。 - 【請求項4】 醗酵果汁のアルコール濃度が約2%以下
である請求項3記載の香味改良剤。 - 【請求項5】 酵母が、サッカロミセス・セレビシエ
(Saccharomyces cerevisiae)である請求項1記載の
香味改良剤。 - 【請求項6】 糖度20〜30゜ブリックスの果汁を醗
酵させる請求項1記載の香味改良剤。 - 【請求項7】 請求項1〜6いずれか1項記載の香味改
良剤を、当該醗酵果汁として0.001〜2.0重量%
配合してなる果汁および/または果肉を含有する飲食
品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP643596A JPH09191861A (ja) | 1996-01-18 | 1996-01-18 | 果汁、果肉含有飲食品の香味改良剤およびそれを用いた果汁、果肉含有飲食品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP643596A JPH09191861A (ja) | 1996-01-18 | 1996-01-18 | 果汁、果肉含有飲食品の香味改良剤およびそれを用いた果汁、果肉含有飲食品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09191861A true JPH09191861A (ja) | 1997-07-29 |
Family
ID=11638326
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP643596A Pending JPH09191861A (ja) | 1996-01-18 | 1996-01-18 | 果汁、果肉含有飲食品の香味改良剤およびそれを用いた果汁、果肉含有飲食品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09191861A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011097873A (ja) * | 2009-11-06 | 2011-05-19 | Ito En Ltd | 果汁飲料及びその製造方法 |
WO2015087765A1 (ja) * | 2013-12-10 | 2015-06-18 | 長谷川香料株式会社 | 果実風味飲食品用呈味改善剤 |
JP2020145963A (ja) * | 2019-03-13 | 2020-09-17 | キリンホールディングス株式会社 | 飲料の香味改良剤およびその製造方法 |
-
1996
- 1996-01-18 JP JP643596A patent/JPH09191861A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011097873A (ja) * | 2009-11-06 | 2011-05-19 | Ito En Ltd | 果汁飲料及びその製造方法 |
WO2015087765A1 (ja) * | 2013-12-10 | 2015-06-18 | 長谷川香料株式会社 | 果実風味飲食品用呈味改善剤 |
JP2015112038A (ja) * | 2013-12-10 | 2015-06-22 | 長谷川香料株式会社 | 果実風味飲食品用呈味改善剤 |
JP2020145963A (ja) * | 2019-03-13 | 2020-09-17 | キリンホールディングス株式会社 | 飲料の香味改良剤およびその製造方法 |
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