JPH09186628A - 無線通信装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 キャリア再生回路の小規模化、製品の小型化
ができない。 【解決手段】 拡散符号と同位相の逆拡散符号をもとに
逆拡散処理を行ない、ろ波器を介してキャリア信号を抽
出する。そして、リミッタアンプ回路にて、キャリア信
号の位相を保持しながら電圧を制限し、この電圧制限に
て得られたキャリア信号と受信信号をもとに復調処理を
行なってベースバンド信号を生成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、スペクトラム拡散
方式にて通信を行なう無線通信装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来より、スペクトラム拡散方式を用い
た通信システムが知られている。この方式をとるシステ
ム、例えば、単一チャネルのスペクトラム拡散通信シス
テムでは、原信号に、それとは遙かに帯域の広い信号
（拡散符号）を乗算してスペクトラム拡散を行ない、受
信側では、送信信号のスペクトラム拡散に用いられてい
るものと同一の拡散符号をレプリカとして持ち、このレ
プリカと受信信号との周期的な相関演算を行なうことに
よって、情報伝送と同時に符号同期を保持している。

【０００３】図６は、従来の通信システムにて使用され
ているキャリア再生装置の構成を示すブロック図であ
る。同図に示す装置は、逆拡散動作を行なうダブルバラ
ンスドミキサ４１、狭帯域帯域ろ波器（ＢＰＦ）４２、
位相検出器４３、低域ろ波器（ＬＰＦ）４４、直流増幅
器（ＤＣ Ａｍｐ）４５、受信キャリア信号と同一の周
波数で発信する電圧制御発振器(ＶＣＯ）４６、移相器
（ＤＬ）４７、ベースバンド復調動作を行なう乗算器４
８にて構成される。

【０００４】このキャリア再生装置では、入力された受
信信号は、受信信号の持つ拡散符号と同期のとれた逆拡
散符号ＰＮ０によって逆拡散され、キャリア成分のみが
抽出される。そして、逆拡散され、抽出されたキャリア
成分は、狭帯域ろ波器４２によりろ波され、それが位相
検出器４３に入力される。

【０００５】位相検出器４３は、逆拡散され、抽出され
た受信キャリア成分と、電圧制御発振器４６からの自走
周波数出力の位相差を検出し、その位相差に応じた直流
成分を発生する。そして、位相検出器４３より出力され
た直流電圧は、低域ろ波器４４によりその高周波成分が
除去され、直流増幅器４５により所望の電圧に増幅され
た後、電圧制御発振器４６の制御端子に入力される。

【０００６】電圧制御発振器４６の制御端子に入力され
た直流電圧は、逆拡散されたキャリア成分と電圧制御発
振器４６の出力周波数との位相差を９０°とするように
制御され、ロックした時点で、逆拡散されたキャリア成
分と電圧制御発振器４６の出力周波数との位相差は９０
°に保たれる。

【０００７】次に、再生されたキャリア（電圧制御発振
器４６の出力）を用いて、受信信号をベースバンドに復
調するための移相器４７を用いて、再生キャリアの位相
を２７０°シフトさせ、受信信号のキャリアの位相と再
生キャリアの位相を合わせ込む。これによって、復調器
４８には、受信信号のキャリアと同相の再生キャリアが
入力され、結果としてベースバンド信号の復調動作を行
なうことができる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の通信システムには、以下のような課題がある。

【０００９】すなわち、スペクトラム拡散通信システム
において、そのキャリア再生装置にはＰＬＬ回路を用い
ているため、装置の部品点数が多くなり、それに伴って
回路規模が大きくなってしまうという問題がある。

【００１０】本発明は、上述の課題に鑑みてなされたも
ので、その目的とするところは、スペクトラム拡散通信
装置のキャリア再生回路にＰＬＬ回路を用いず、装置の
部品点数を減らした装置を提供することである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、データにより変調されない拡散信号を重
畳して伝送するスペクトラム拡散方式をとる無線通信装
置において、所定の拡散符号によって拡散された受信信
号より該拡散符号と同位相の逆拡散符号を生成する手段
と、前記受信信号と前記逆拡散符号をもとに逆拡散処理
を行なう手段と、前記逆拡散処理にて得られた信号より
キャリア信号を抽出する手段と、前記キャリア信号の位
相を保持しながら該キャリア信号の電圧を制限する手段
と、前記電圧が制限されたキャリア信号と前記受信信号
をもとに復調処理を行なう手段とを備える。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発
明に係る実施の形態を詳細に説明する。

【００１３】図１は、本発明の実施の形態に係るスペク
トラム拡散通信装置（以下、通信装置という）の送信機
の構成を示すブロック図である。同図において、直列変
換器２１は、直列に入力される入力データをｎ個の並列
データに変換するものであり、乗算器２２−１〜２２−
ｎにて構成される乗算器群は、直列変換器２１で並列化
された各データと、拡散符号発生器２３から出力される
ｎ個の拡散符号とを乗算する。

【００１４】拡散符号発生器２３は、ｎ個のそれぞれ異
なる拡散符号と同期専用の拡散符号を発生するものであ
り、加算器２４は、拡散符号発生器２３から出力される
同期専用拡散符号と乗算器２２−１〜２２−ｎからのｎ
個の出力を加算する。

【００１５】高周波段（ＲＦ）２５は、加算器２４から
の出力を送信周波数信号に変換するものであり、この高
周波段２５からの信号は、送信アンテナ２６より送出さ
れる。

【００１６】また、図２は、本発明の実施の形態に係る
通信装置の受信機の構成を示すブロック図である。同図
において、高周波信号処理部（ＲＦ）３２は、受信アン
テナ３１からの受信信号をフィルタリングして増幅し、
所定の周波数信号に変換する。そして、同期回路３３で
は、送信側の拡散符号とクロック信号に対する同期を捕
捉し、維持する。

【００１７】拡散符号発生器３４は、同期回路３３より
入力される符号同期信号及びクロック信号により、送信
側の拡散符号群と同一のｎ＋１個の拡散符号を発生す
る。また、キャリア再生回路３５には、高周波信号処理
部３２の出力、拡散符号発生器３４からの出力の内、Ｐ
Ｎ０の拡散符号が入力され、ベースバンド復調回路３６
は、拡散符号発生器３４からの出力の内、ｎ個の拡散符
号（ＰＮ1〜ＰＮn）とを用いて、ベースバンドにて復調
を行なう。そして、並直列変換器３７は、ベースバンド
復調回路３６の出力であるｎ個の並列復調データを直列
データに変換し、出力する。

【００１８】上述の通信装置の動作について、さらに詳
細に説明する。

【００１９】すなわち、送信機側では、まず、入力され
たデータが直並列変換器２１によって、符号分割多重数
に等しいｎ個の並列データに変換される。一方、拡散符
号発生器２３は、符号同期が同一で、それぞれ異なるｎ
＋１個の拡散符号ＰＮ０〜ＰＮｎを発生している。これ
らの符号の内、ＰＮ０は、同期及びキャリア再生専用の
符号であり、上記の並列データによっては変調されず、
図１に示すように、直接、加算器２４に入力される。ま
た、残りのｎ個の拡散符号は、乗算器２２−１〜２２−
ｎにてｎ個の並列データにより変調され、加算器２４に
入力される。

【００２０】加算器２４は、入力されたｎ＋１個の信号
を線形に加算し、加算されたベースバンド信号を高周波
段２５に出力する。このベースバンド信号は、高周波段
２５にて適当な中心周波数を持つ高周波信号に変換さ
れ、送信アンテナ２６より送信される。

【００２１】次に受信側において、受信アンテナ３１で
受信された信号は、上述のように、高周波信号処理部３
２にて適当にフィルタリング及び増幅され、送信周波数
帯信号のまま、または、適当な中間周波数帯信号に変換
され、出力される。そして、この信号は、同期回路３３
に入力され、そこで、拡散符号発生器３４より出力され
る参照用拡散符号を用いて、送信信号に対する拡散符号
同期及びクロック同期が確立され、図２に示す符号同期
信号及びクロック信号が拡散符号発生器３４に出力され
る。

【００２２】このような同期確立後、拡散符号発生器３
４は送信側の拡散符号群に対して、クロック及び拡散符
号位相が一致した拡散符号群を発生する。これらの符号
群の内、同期専用の拡散符号ＰＮ０は、キャリア再生回
路３５に入力される。このキャリア再生回路３５では、
上述した同期専用の拡散符号ＰＮ０により、高周波信号
処理部３２の出力である送信周波数帯、または中間周波
数帯に変換された受信信号を逆拡散し、送信周波数帯、
または中間周波数帯の搬送波を再生する。

【００２３】図３は、本実施の形態に係る通信装置にて
使用するキャリア再生回路の構成を示すブロック図であ
る。同図において、符号１１は、受信信号と、受信信号
の持つ拡散符号と同期の取れた逆拡散符号ＰＮ０との論
理積をとることによって逆拡散動作を行なうダブルバラ
ンスドミキサである。１２は、受信信号の周波数以外の
信号を遮断する狭帯域ろ波器（ＢＰＦ）、１３は、受信
信号のキャリアの位相と再生キャリアの位相を制御する
移相器（ＤＬ）である。

【００２４】また、１４は、ダブルバランスドミキサ１
１の逆拡散動作によって抽出されたキャリア信号を、同
位相を保ちながら、所望の一定電圧で出力するリミッタ
アンプ回路（ＬＭＴ）である。１５は、リミッタアンプ
回路１４の出力信号と受信信号とより、ベースバンド復
調動作を行なう乗算器である。

【００２５】図４は、図３に示すキャリア再生回路にお
いて、受信信号を逆拡散符号ＰＮ０により逆拡散し、狭
帯域ろ波器１２にて帯域制限した逆拡散キャリア信号の
波形を示す図である。また、図５は、図３に示すリミッ
タアンプ回路１４の出力波形である。

【００２６】そこで、図１に示すキャリア再生回路の動
作を説明する。

【００２７】拡散符号によって拡散された受信信号は、
図１のダブルバランスドミキサ１１に入力される一方、
乗算器１５にも入力される。このダブルバランスドミキ
サ１１では、上述のように受信信号が逆拡散符号ＰＮ０
により逆拡散され、キャリア成分のみ抽出される。そし
て、逆拡散され、抽出されたキャリア成分は、狭帯域ろ
波器１２によりろ波される。

【００２８】このように逆拡散され、抽出されたキャリ
ア信号（図４参照）は、リミッタアンプ回路１４に入力
される。このキャリア信号は、リミッタアンプ回路１４
により、入力前のキャリア信号と同位相で所望の一定の
電圧となって出力される（図５参照）。そして、リミッ
タアンプ回路１４からの出力信号は、結果的に前段の移
相器１３を介して、拡散符号により拡散された受信信号
と同位相となるように調整される。

【００２９】乗算器１５では、上記の拡散符号によって
拡散された受信信号と、リミッタアンプ回路１４からの
出力信号の論理積を取り、それが低域ろ波器１６を介し
てベースバンド信号として生成され、出力される。

【００３０】以上説明したように、本実施の形態によれ
ば、キャリア再生装置内に位相を保持しながら所望の一
定の電圧を出力するリミッタアンプ回路、狭帯帯域ろ波
器を備えて、電圧、位相の双方が安定しているキャリア
信号を得るよう構成することにより、キャリア再生回路
においてＰＬＬ回路を用いずに済むので、装置の部品点
数が少なくなり、回路規模を小さくできる。

【００３１】なお、本発明は、複数の機器から構成され
るシステムに適用しても、１つの機器からなる装置に適
用しても良い。また、本発明はシステムあるいは装置に
プログラムを供給することによって実施される場合にも
適用できることは言うまでもない。この場合、本発明に
係るプログラムを格納した記憶媒体が本発明を構成する
ことになる。そして、該記憶媒体からそのプログラムを
システムあるいは装置に読み出すことによって、そのシ
ステムあるいは装置が、あらかじめ定められた仕方で動
作する。

【００３２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
受信信号と逆拡散符号をもとに逆拡散処理をして得られ
た信号よりキャリア信号を抽出し、その位相を保持しな
がら電圧制限することで、キャリア再生においてＰＬＬ
回路を用いないで済むので、回路規模、製品の小型化が
図れる。

【００３３】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態に係るスペクトラム拡散通
信装置の送信機の構成を示すブロック図である。

【図２】実施の形態に係るスペクトラム拡散通信装置の
受信機の構成を示すブロック図である。

【図３】本実施の形態に係るスペクトラム拡散通信装置
にて使用するキャリア再生回路の構成を示すブロック図
である。

【図４】実施の形態に係る逆拡散キャリア信号の波形を
示す図である。

【図５】実施の形態に係るリミッタアンプ回路の出力信
号を示す図である。

【図６】従来のキャリア再生回路のブロック図である。

【符号の説明】

１１ ダブルバランスドミキサ １２ 狭帯帯域ろ波器 １３ 移相器 １４ リミッタアンプ回路 １５ 乗算器 １６ 低域帯域ろ波器

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 データにより変調されない拡散信号を重
   畳して伝送するスペクトラム拡散方式をとる無線通信装
   置において、 所定の拡散符号によって拡散された受信信号より該拡散
   符号と同位相の逆拡散符号を生成する手段と、 前記受信信号と前記逆拡散符号をもとに逆拡散処理を行
   なう手段と、 前記逆拡散処理にて得られた信号よりキャリア信号を抽
   出する手段と、 前記キャリア信号の位相を保持しながら該キャリア信号
   の電圧を制限する手段と、 前記電圧が制限されたキャリア信号と前記受信信号をも
   とに復調処理を行なう手段とを備えることを特徴とする
   無線通信装置。
2. 【請求項２】 前記キャリア信号の抽出は狭帯域ろ波器
   を介して行なわれることを特徴とする請求項１に記載の
   無線通信装置。
3. 【請求項３】 前記電圧の制限は、リミッタアンプを介
   して行なわれることを特徴とする請求項１に記載の無線
   通信装置。
4. 【請求項４】 前記復調処理はベースバンド信号を生成
   する処理であることを特徴とする請求項１に記載の無線
   通信装置。