JPH09185942A - 冷陰極素子及びその製造方法 - Google Patents

冷陰極素子及びその製造方法

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JPH09185942A
JPH09185942A JP12414096A JP12414096A JPH09185942A JP H09185942 A JPH09185942 A JP H09185942A JP 12414096 A JP12414096 A JP 12414096A JP 12414096 A JP12414096 A JP 12414096A JP H09185942 A JPH09185942 A JP H09185942A
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cold cathode
cathode
cathode device
amorphous carbon
cold
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JP12414096A
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English (en)
Inventor
Yoshiyuki Yonezawa
喜幸 米澤
Kenji Kondo
健治 近藤
Haruo Kawakami
春雄 川上
Naoto Fukazawa
直人 深沢
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低い動作電圧で安定して電子放出を行い、さら
には低真空においても作動する、生産性に優れた冷陰極
素子及びその製造方法を得る。 【解決手段】シリコン基板上に異方性エッチングにより
形成した突起を型として用い、電鋳により Ni を堆積し
て表面にマトリックス状の突起を備えた Ni層9Aを製
作し、さらに、DCスパッタ装置により、Cターゲット
を用いて室温の Ar 雰囲気中で成膜を行い、 Ni 層9A
の表面に水素を含まないアモルファス状炭素膜2Bを形
成して冷陰極素子の陰極部とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電界を印加して
電子を放出させる冷陰極素子に係わり、特に安定して高
効率に電子を放出する構造及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、空間に電子を放出してこれを制御
する素子としては、真空管などに代表されるように、タ
ングステン等を加熱して熱励起し、熱電子を放出させる
熱電子放出型の素子が多く用いられてきた。しかしなが
ら熱電子放出型の素子は、加熱操作を含むので、動作に
時間がかかり、また集積化に不向きであるという難点が
ある。
【0003】これに対して、陰極として電界のみを印加
して電子を放出させる電界放出型の素子、すなわち冷陰
極素子は、小型化、集積化が可能な素子として期待さ
れ、走査型電子顕微鏡の電子源、高速動作の真空マイク
ロ素子、さらには Flat PanelDisplay など、様々な分
野への応用を目指して、開発が進められている。とくに
Flat Panel Display では、他の方式に比べて低消費電
力、高視野角、高精密、高輝度等多くの利点が見込ま
れ、次世代のディスプレイとして開発が進められてい
る。
【0004】冷陰極素子の電界放出は、金属や半導体等
の固体表面に外部から非常に高い電界を作用させると、
真空準位が曲がりポテンシャル障壁が薄くなって、電子
がトンネル効果により固体表面から放出される現象によ
るものであり、電子を放出する冷陰極はエミッターと呼
ばれる。冷陰極素子の携帯機器等への応用を考えると、
所要印加電圧の低電圧化、放出電流の安定化の実現が不
可欠である。
【0005】低電圧化の方法としては、電子を放出する
エミッターの先端を尖らせることにより電界集中させ実
効的に高い電界を得る方法と、エミッターの表面に電子
放出の所要エネルギーの低い物質、すなわち低仕事関数
の物質をコーティングする方法、あるいは低仕事関数の
物質自体をエミッターとして用いる方法がある。このう
ち、エミッターの先端を尖らせ電界集中させる方法で
は、Siの半導体プロセス技術であるフォトリソグラフ
ィ、エッチングの技術を用いて、突起をアレイ状に並べ
るFEA(Field Emitter Arrey )等が開発されてい
る。さらに先端を先鋭化するために、突起加工後に熱酸
化を行いこれを再びエッチング処理して酸化膜を除去
し、先端曲率半径を10nm以下にする試みや、微小な
孔から Mo等の金属を斜め蒸着して鋭いエミッターを形
成する試みが行われている。
【0006】また、低仕事関数の物質をコーティングす
る方法では、 Cs などをコーティングする方法が行われ
てきている。さらに、低仕事関数の物質自体をエミッタ
ーとして用いる方法では、ダイヤモンド薄膜が注目され
ている。ダイヤモンドの(111)面は負の電子親和力
(−0.7 eV)を示す(M.W.Geis et al., IEEE TRANS. E
lec. Devices vol.38, 619(1991))ので、伝導帯に電
子を注入することができれば、空間電荷に打ち勝つだけ
の電圧を印加するだけで電子が空間に放出されることと
なる。しかしながら、実際に n-type のダイヤモンドを
成膜することは難しく、低電圧での動作は未だ確認され
ていないが、米国特許( 5,199,918)に開示されている
ように、グラファイト状炭素の中にダイヤモンドを埋め
込んだ形のものにおいて電界放出が確認されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように冷陰極素子
の製作には各種の方法が試みられ、用いられているが、
従来の電界集中を用いる方法においては、複雑なプロセ
スを必要とするため量産性が悪いという難点があり、さ
らに Si や Mo 等をエミッターとして用いる場合には、
酸化等により容易に劣化してしまうので、10-7〔Pa〕以
下の超高真空が必要となり、寿命が短く、動作も不安定
であるという欠点がある。
【0008】さらに、 Flat Panel Display として適用
する場合に Si を用いることとすれば、大きさがウェハ
ーの面積により制限されるばかりでなく、パターニング
にはイオンドーピングを用いることが必要となるため、
製造コストが高くなってしまうこととなる。また、低仕
事関数の Cs などは安定性が悪く、さらにダイヤモンド
薄膜においては、マイクロ波プラズマCVDやイオンビ
ームデポジション等を用いて成膜する必要性があるの
で、大面積化が困難で量産性が悪いという欠点がある。
【0009】本発明は上記のごとき従来技術の難点を考
慮してなされたので、本発明の目的は、低い動作電圧で
安定して電子放出し、低真空においても安定して作動
し、かつ生産性に優れ、さらには大面積化の容易な冷陰
極素子及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明においては、 (1) 陰極として印加された電界により電子を放出し、制
御する冷陰極素子において、陰極部が、スパッタ法によ
り形成された、水素を含まないアモルファス状炭素膜に
より覆われてなるものとする。
【0011】このような構成とすれば、陰極部の酸化が
防止されるので超高真空が不要となり、かつ長寿命化で
きる。また電界放出のしきい値はアモルファス状炭素膜
のしきい値となるので、従来より用いられている Si や
Mo などと比べて低い値とすることができる。 (2) さらに上記 (1)の構成の冷陰極素子において、アモ
ルファス状炭素膜により覆われた陰極部を表面に突起を
備えてなるものとする。
【0012】このような構成とすれば、突起の先端部に
電界を集中させることができ、動作電圧をさらに低く抑
えることができる。 (3) 陰極として印加された電界により電子を放出し、制
御する冷陰極素子において、陰極部が、表面にマトリッ
クス状の突起を有する金属より構成され、その突起が、
シリコン基板上に異方性エッチングにより形成された凹
ピラミッド状窪みを型として電鋳によって形成されてな
るものとする。
【0013】このような構成とすれば、突起の形状およ
びピッチが容易に制御でき、同時に生産性を上げること
ができる。 (4) 陰極として印加された電界により電子を放出し、制
御する冷陰極素子において、陰極部が、表面にマトリッ
クス状の突起を有する金属より構成され、その突起が、
シリコン基板上にエッチングにより形成した突起を型と
して電鋳によって形成された窪みを備える第2の金属製
の型を用い、電鋳によって形成されてなるものとする。
【0014】このような構成とすれば、離型する際に型
を失わずにすむので、上記の(3) よりさらに生産性を上
げることができる。 (5) さらに上記 (3)あるいは(4) の構成の冷陰極素子に
おいて、陰極部が、スパッタ法により形成された、水素
を含まないアモルファス状炭素膜により覆われてなるも
のとする。
【0015】このような構成とすれば、陰極部の酸化が
防止されるので超高真空が不要となり、かつ長寿命化で
きる。また電界放出のしきい値はアモルファス状炭素膜
のしきい値となり、従来より用いられている Si や Mo
などと比べて低い値とすることができる。 (6) 陰極として印加された電界により電子を放出し、制
御する冷陰極素子において、陰極部が、熱硬化性樹脂を
成形後焼成して得られるアモルファス状炭素、あるいは
焼成後さらに成形して得られるアモルファス状炭素から
なるものとする。
【0016】このような構成とすれば、射出成形等の方
法を用いることによって陰極部を任意の形状にすること
が可能で、製造のプロセスを簡略化できるとともに、超
高真空が不要となり、かつ長寿命化でき、また電界放出
のしきい値が下がるので動作電圧を低く抑えることがで
きる。 (7) さらに上記 (6)の構成の冷陰極素子において、陰極
部が、スパッタ法により形成された、水素を含まないア
モルファス状炭素膜により覆われてなるものとする。
【0017】このような構成とすれば、陰極部の表面の
水素を含まない高純度のアモルファス状炭素より電子が
放出することとなるので、(6) の構成に比較してより安
定した特性が得られる。 (8) 上記(6) あるいは(7) の構成の冷陰極素子を製造す
るに際して、シリコン基板上に異方性エッチングにより
凹ピラミッド状窪みを形成し、これを型として熱硬化性
樹脂を成形し、そののち焼成して陰極部を形成すること
とする。
【0018】このようにして製造すれば、射出成形等の
方法を用いることによってアモルファス状炭素(ガラス
状カーボン)による突起を陰極部に形成することがで
き、かつ形状およびピッチを容易に制御することができ
るので、動作電圧が低く抑えられるとともに、生産性が
向上する。 (9) 上記(6) あるいは(7) の構成の冷陰極素子を製造す
るに際して、シリコン基板上にエッチングにより突起を
形成し、これを型として電鋳によって窪みを備えた第2
の金属製の型を形成し、さらに第2の型を用いて熱硬化
性樹脂を成形し、そののち焼成することにより陰極部を
形成することとする。
【0019】このようにして製造すれば、離型する際に
型を失わずにすむので、上記(8) よりさらに生産性を上
げることができる。 (10)上記(6) あるいは(7) の構成の冷陰極素子を製造す
るに際して、熱硬化性樹脂を平板状に成形後、加工を施
して突起を形成し、そののち焼成することにより陰極部
を形成することとする。
【0020】このようにして製造すれば、形成された突
起に電界が集中し動作電圧を低く抑えることができる。
また、突起の形成に際して特別な型を用いる必要がな
く、生産性が向上する。 (11)上記(6) あるいは(7) の構成の冷陰極素子を製造す
るに際して、熱硬化性樹脂を平板状に成形し、焼成した
のちプラズマアッシングを施して突起を形成することに
より陰極部を形成することとする。
【0021】このようにして製造すれば、形成された突
起に電界が集中し動作電圧を低く抑えることができる。 (12)陰極として印加された電界により電子を放出し、制
御する冷陰極素子において、陰極部が、基板、例えばガ
ラス基板に先端形状の鋭い微粒子を固定してなる突起付
きの基板の上に、低仕事関数の薄膜、あるいは電気伝導
性の薄膜を形成してなるものとする。
【0022】このような構成とすれば、陰極部表面に配
された突起の先鋭化された先端部に電界が集中し、低い
動作電圧で電界放出が得られることとなる。また、低仕
事関数の薄膜を形成することとすれば動作電圧はより一
層低くなる。また、本構成は突起付きの基板の上に成膜
することによって形成できるので、複雑なプロセスを用
いなくとも作製できることとなる。
【0023】(13)さらに、上記(12)の微粒子を、例えば
ダイヤモンド、アルミナ、あるいはSiC などの非電気伝
導性の微粒子により構成することとする。このような構
成とすれば、面内での導電性は上部に形成する薄膜のみ
により保持されるので、Flat Panel Displayとして適用
する場合のパターニングは薄膜の形成に対してのみ行え
ばよく、従来のようにイオンドーピング等のプロセスが
不要となり、低コストで作製できることとなる。
【0024】(14)あるいは、上記(12)の微粒子を、研磨
シートに配されたダイヤモンド、アルミナ、あるいは S
iCのうちのいずれかの研磨用砥粒からなる非電気伝導性
の微粒子により構成することとする。このような構成と
すれば、粒径、形状の揃った突起付きの基板が容易に得
られるので、安定した電子放出特性を備える冷陰極素子
を低コストで作製できることとなる。
【0025】(15)あるいは、上記(12)の低仕事関数の薄
膜を、アモルファス状炭素膜、あるいはダイヤモンド状
炭素膜により形成することとする。このように形成すれ
ば、電界放出しきい値が低くなり、低い動作電圧で安定
して電界放出する冷陰極素子が得られる。 (16)陰極として印加された電界により電子を放出し、制
御する冷陰極素子において、陰極部が、先端形状の鋭い
突起を備えた基板の上にアモルファス状炭素膜を形成
し、さらにその表面を水素処理、あるいはエッチング処
理してなるものとする。
【0026】このように構成すれば、表面の活性度が低
下するので、低真空度でも安定した電子放出特性を備え
ることとなる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の冷陰極素子および
その製造方法の実施の形態を例を上げて説明する。 <第1実施例>図1は、本発明による冷陰極素子の第1
実施例の陰極部の基本構成を模式的に示す縦断面図であ
る。図に見られるように、 Si からなる基板1の表面に
アモルファス状炭素膜2を成膜して陰極部が構成されて
いる。
【0028】アモルファス状炭素膜2はDCスパッタ装
置を用いて成膜されたもので、HF50 %溶液により洗
浄した Si 基板1に、Cターゲットを用い、室温の Ar
ガス雰囲気( 0.4 Pa )において出力 300Wで成膜し、
厚さ 100nmの水素を含まないアモルファス状炭素膜2
が形成されている。得られたアモルファス状炭素膜2を
備えた陰極部の電界放出特性を、図2に基本構成を示す
評価装置を用いて測定した。評価装置は、上記のごとく
基板1にアモルファス状炭素膜2を成膜して形成された
陰極部と、ステンレス板よりなる陽極3とを 0.1mmの
ギャップを保持して図示しない真空容器中に配し、高圧
電源4によって 0〜5 kVの電圧(最大電界強度 50 [MV/
m])を印加して、電界放出により陰極部で放出された電
子を陽極3で捕捉し、その量を電流計5で検出するよう
に構成されている。上記の試料の測定結果によれば、電
界放出しきい値は、真空度 1×10-3 Pa において 1.2×
107[V/m]であり、Si、Moなどのしきい値(真空度 1×10
-7 Pa において 5×107[V/m]以上)に比べて非常に低い
値が得られた。また、本真空度においてほぼ安定して電
界放出が起こり、超高真空が必要な Si、Moなどに比べ
て低真空で済むことが確認された。 <第2実施例>図3は、本発明による冷陰極素子の第2
実施例の陰極部の基本構成を模式的に示す縦断面図であ
る。本実施例の陰極部は、 Si からなる基板1の上に突
起6を形成し、その表面に第1実施例と同じく水素を含
まないアモルファス状炭素膜2Aを成膜したものであ
る。
【0029】Si 基板への突起の形成には、以下のプロ
セスを用いた。 Si 基板を熱酸化させて表面に 300nm程度の SiO2
酸化膜を形成する。 リソグラフィーによって直径3μmのレジストをピッ
チ5μmで形成し、バッファ KOHで SiO2 のマスクパタ
ーンを形成する。 ドライエッチングにより等方性のエッチングを行い、
マスク下の基板の先鋭化を図る。
【0030】酸化膜をバッファ KOHで除去する。形成
された突起の先端曲率半径は約 200nmであり、これに
よる電界集中は平板の 12 倍程度となる。このようにし
て得られた試料の電界放出特性を前述の評価装置を用い
て測定した結果によれば、電界放出しきい値は、真空度
1×10-3 Pa において 1.0×106[V/m] で、大幅に低電
圧化ができるとともに、安定な動作を得られることが確
認された。 <第3実施例>図4は、本発明による冷陰極素子の第3
実施例を示す模式縦断面図で、陰極部が表面にマトリッ
クス状の突起を有する金属よりなり、突起が、シリコン
基板上に異方性エッチングにより形成された凹ピラミッ
ド状窪みを型として電鋳によって形成されてなる冷陰極
素子の陰極部の基本構成とその製造方法を示したもので
ある。
【0031】本構成の陰極部の製造方法は次のとおりで
ある。 (100)面 Si 基板8Aを熱酸化させて表面に 300
nm程度の SiO2 酸化膜を形成する リソグラフィーによって格子状のレジストをピッチ5
μmで形成し、バッファ KOHで SiO2 のマスク7Aを形
成する。(図中の (1)マスク形成) 30 % KOH溶液にてウエットエッチングを行う。(1
00)面 Si 基板8Aは(111)面のエッチング速度
が極端に遅いために凹ピラミッド状の窪みが形成され、
自動的にエッチングは停止する。(図中の (2)ウエット
エッチング) マスク7Aを除去し、バッファ KOHで酸化膜を除去し
たのち、 Si 基板8Aに得られた表面の凹ピラミッド状
の窪みを型として、電鋳により Ni 層9Aを堆積する。
(図中の (3)マスク除去&Ni電鋳) Si 基板8Aをヒドラジンを用いて除去する。表面に
マトリックス状の突起を備えた Ni 層9Aからなる陰極
部が得られる。(図中の (4)離型) 上記のプロセスを用いて形成された Ni 層9Aからなる
陰極部の突起の先端曲率半径は約 200nmであった。前
述の評価装置を用いて測定した結果によれば、電界放出
しきい値は、真空度 1×10-7 Pa において 6.0×106[V/
m]で、低電圧化を図ることができた。
【0032】なお、本実施例では電鋳により Ni 層9A
を堆積して陰極部を形成しているが、 Ni に限るもので
はなく、 Cr 等においても同様に電鋳によって陰極部を
形成することができる。 <第4実施例>図5は、本発明による冷陰極素子の第4
実施例を示す模式縦断面図で、陰極部が表面にマトリッ
クス状の突起を有する金属よりなり、突起が、シリコン
基板上にエッチングにより形成した突起を型として電鋳
によって形成された窪みを備える第2の金属製の型を用
い、電鋳によって形成されてなる冷陰極素子の陰極部の
基本構成とその製造方法を示したものである。
【0033】本構成の陰極部の製造方法は次のとおりで
ある。 Si 基板8Bを熱酸化させて、表面に 300nm程度の
SiO2 酸化膜を形成する。 リソグラフィーによって直径3μmのレジストをピッ
チ5μmで形成し、バッファ KOHで SiO2 のマスク7B
を形成する。(図中の (1)マスク形成) ドライエッチングにより等方性のエッチングを行い、
マスク7Bの下の基板の先鋭化を図る。(図中の (2)ド
ライエッチング) マスク7Bを除去し、バッファ KOHで酸化膜を除去し
たのち、 Si 基板8Bに得られた表面の凹ピラミッド状
の窪みを型として、電鋳により Ni 層9Bを堆積する。
(図中の (3)マスク除去&Ni電鋳) Si 基板8Bをヒドラジンを用いて除去する。表面に
マトリックス状の突起を備えた Ni 層9Bが得られる。
(図中の (4)離型) で得られた Ni 層9Bのマトリックス状の突起を型
として、電鋳により Ni 層10を堆積する。 Ni 層9B
を除去して表面にマトリックス状の突起を備えた Ni 層
10からなる陰極部が得られる。(図中の (5)Ni電鋳
&離型) 以上のプロセスを用いて形成された Ni 層10からなる
陰極部の突起の先端曲率半径は 200nm程度であった。
前述の評価装置を用いて測定した結果によれば、電界放
出しきい値は、真空度 1×10-7 Pa において 5.0×10
6[V/m]で、低電圧化を図ることができた。
【0034】なお、本実施例においても、 Ni に代わっ
て Cr 等を用いても同様に電鋳により陰極部が得られる
ことは第3実施例と同様である。 <第5実施例>図6は、本発明による冷陰極素子の第5
実施例の陰極部を模式的に示す縦断面図である。
【0035】本陰極部は、第3実施例のごとく製作され
た、表面にマトリックス状の突起を備えた Ni 層9Aの
表面に、DCスパッタ装置を用いて、第1実施例と同様
の方法により水素を含まないアモルファス状炭素膜2B
を成膜したものである。本試料の電界放出特性を前述の
評価装置を用いて測定した結果によれば、電界放出しき
い値は、真空度 1×10-3 Pa において 1.2×106[V/m]で
あり、第3実施例に比べて大幅に低電圧化が図られ、か
つ、低真空で安定な動作が得られることが確認された。 <第6実施例>図7は、本発明による冷陰極素子の第6
実施例の陰極部を模式的に示す縦断面図である。
【0036】本陰極部はアモルファス状炭素層11によ
り形成されており、熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂
の球状粉末を射出成型器中で加熱、溶融して平板状に成
型したのち、1500〜2000℃で焼成して得られたものであ
る。本試料の電界放出特性を前述の評価装置を用いて測
定した結果によれば、電界放出しきい値は、真空度 1×
10-3 Pa において 1.5×107[V/m]で、前記のSi、Moなど
のしきい値に比べて非常に低い値が得られた。また、こ
の真空度でほぼ安定して電界放出が起こり、超高真空が
必要な Si 、Moなどに比べて低真空で済むことが確認さ
れた。 <第7実施例>図8は、本発明による冷陰極素子の第7
実施例を示す模式縦断面図で、陰極部がシリコン基板上
に異方性エッチングにより凹ピラミッド状窪みを形成
し、これを型として熱硬化性樹脂を成形し、そののち焼
成することにより形成されてなる冷陰極素子の陰極部の
基本構成とその製造方法を示したものである。
【0037】本構成の陰極部の製造方法は次のとおりで
ある。 第3実施例の陰極部の製造方法の〜と同一の工程
により、 Si 基板8A上にマスク7Aを形成し、ウエッ
トエッチングを行う。(図中の (1)マスク形成、および
(2)ウエットエッチング) マスク7Aを除去し、酸化膜を除去したのち、 Si 基
板8Aに得られた表面の凹ピラミッド状の窪みを型とし
て、射出成型によってフェノール樹脂層12Aを成型す
る。(図中の (3)マスク除去&射出成型) 成型したフェノール樹脂層12Aを離型後、焼成する
ことにより表面にマトリックス状の突起を備えたアモル
ファス状炭素層11Aからなる陰極部が得られる。(図
中の (4)離型&焼成) 本製造方法により製作された試料の電界放出特性を前述
の評価装置を用いて測定した結果によれば、電界放出し
きい値は、真空度 1×10-3 Pa において 1.5×106[V/m]
で、突起の先端曲率半径を 200nm程度に形成した Ni
層からなる第3実施例や第4実施例の陰極部の電界放出
しきい値よりさらに大幅に低いしきい値が得られた。 <第8実施例>図9は、本発明による冷陰極素子の第8
実施例を示す模式縦断面図で、陰極部がシリコン基板上
にエッチングにより突起を形成し、これを型として電鋳
によって窪みを備えた第2の金属製の型を形成し、さら
に第2の型を用いて熱硬化性樹脂を成形し、そののち焼
成することにより形成されてなる冷陰極素子の陰極部の
基本構成とその製造方法を示したものである。
【0038】本構成の陰極部の製造方法は次のとおりで
ある。 第4実施例の陰極部の製造方法の〜と同一の工程
により、 Si 基板8Bにマスクを形成し(図中の (1)マ
スク形成)、ドライエッチングを行って(図中の (2)ド
ライエッチング)、表面の凹ピラミッド状の窪みを形成
し、これを型として電鋳により Ni 層9Bを堆積して
(図中の (3)マスク除去&Ni電鋳)、表面にマトリッ
クス状の突起を備えた Ni 層9Bを得る。(図中の (4)
離型) 得られた Ni 層9Bのマトリックス状の突起を型とし
て、射出成型によってフェノール樹脂層を成型する。成
型したフェノール樹脂層を離型後、焼成することにより
表面にマトリックス状の突起を備えたアモルファス状炭
素層11Bからなる陰極部が得られる。(図中の (5)射
出成型&離型&焼成) 本製造方法により製作された試料の電界放出特性を前述
の評価装置を用いて測定した結果によれば、電界放出し
きい値は、真空度 1×10-3 Pa において 1.25×106[V/
m]で、第7実施例よりさらに低いしきい値が得られた。 <第9実施例>図10は、本発明による冷陰極素子の第
9実施例を示す模式縦断面図で、陰極部が熱硬化性樹脂
を平板状に成形後、加工を施して突起を形成し、そのの
ち焼成することにより形成されてなる冷陰極素子の陰極
部の基本構成とその製造方法を示したものである。
【0039】本構成の陰極部は、射出成型によって平板
状のフェノール樹脂層12Bを成形した(図中の (1)射
出成型)のち、エキシマレーザーで表面に幅 10 μm、
ピッチ 10 μm、深さ 20 μmの格子状の溝を加工し、
その後で焼成することにより表面に凸状突起を格子状に
備えたアモルファス状炭素層11Cを得る(図中の (2)
加工&焼成)手順で製作されてものである。
【0040】製作された試料の電界放出特性を前述の評
価装置を用いて測定した結果によれば、電界放出しきい
値は、真空度 1×10-3 Pa において 2.0×106[V/m]であ
った。この値は、第7実施例や第8実施例に比べれば若
干高いが、第3実施例や第4実施例に比べれば約 1/3に
低減されている。 <第10実施例>図11は、本発明による冷陰極素子の
第10実施例を示す模式縦断面図で、陰極部が熱硬化性
樹脂を平板状に成形し、焼成したのちプラズマアッシン
グを施して突起を形成することにより形成されてなる冷
陰極素子の陰極部の基本構成とその製造方法を示したも
のである。
【0041】本構成の陰極部の製造方法は次のとおりで
ある。 射出成型によって平板状のフェノール樹脂層を形成
し、焼成してアモルファス状炭素層11Dを得る。第4
実施例の製造方法のと同一の方法でマスク7Cを形成
する。(図中の (1)射出成型&焼成&マスク形成) プラズマアッシング装置を用いてアモルファス状炭素
層11Dをエッチングする。(図中の (2)プラズマアッ
シング) マスク7Cを除去することにより、表面にマトリック
ス状に配置された突起を有するアモルファス状炭素層1
1Dからなる陰極部が得られる。(図中の (3)マスク除
去) このようにして製作された試料の電界放出特性を前述の
評価装置を用いて測定した結果によれば、電界放出しき
い値は真空度 1×10-3 Pa において 1.7×106[V/m] で
あった。 <第11実施例>図12は、本発明による冷陰極素子の
第11実施例の陰極部を模式的に示す縦断面図である。
【0042】本陰極部は、第7実施例の製造方法を用い
て製作された、表面にマトリックス状の突起を備えたア
モルファス状炭素層11Aの表面に、DCスパッタ装置
を用いて、第1実施例と同様の方法によってアモルファ
ス状炭素膜2Cを成膜したものである。本方法により製
作された試料の電界放出特性を前述の評価装置を用いて
測定した結果によれば、電界放出しきい値は、真空度 1
×10-3 Pa において 1.7×106[V/m] であった。本方法
で製作した試料は、水素を含まない高純度のアモルファ
ス状炭素膜2Cが表面に配されるので、電界放出しきい
値が極めて小さく抑えられることとなる。 <第12実施例>図13は、本発明の冷陰極素子の第1
2実施例の陰極部の基本構成を模式的に示す断面図であ
る。図において、21は基板で、本実施例ではガラス基
板が用いられている。22は先端形状の鋭い微粒子で、
本実施例では、粒径が3〜5μm、先端曲率半径が数〜
数十nmの先端形状の鋭いアルミナ微粒子が用いられて
おり、ポリエチレン系接着材からなる高分子膜23によ
って基板21に固定されている。なお、図においては簡
単化するために微粒子22を一層として表示しているが
多層であってもよい。2DはDCスパッタ装置により成
膜して得られたアモルファス状炭素膜で、ターゲットに
炭素を用い、アルゴンガス雰囲気中で、出力300W、ガ
ス圧力 1.0 Pa 、室温の条件下で成膜したもので、膜厚
は約 50 nmである。
【0043】上記のごとく、基板21に微粒子22を高
分子膜23によって固定して突起付きの基板を形成し、
その上にアモルファス状炭素膜4を形成して作製した陰
極部の電子放出特性を、図2に示した評価装置を用いて
測定した。図14は、上記の評価装置で測定した本実施
例の陰極部の真空度 1×10-3 Paにおける電子放出特性
(図中の)をダイヤモンド薄膜の電子放出特性(図中
の)と比較して示した特性図である。図に見られるよ
うに、本実施例の陰極部の電界放出しきい値は、 450
V、すなわち 4.5×106 [V/m] であり、 Si や Mo など
のしきい値(真空度 1×10-7 Pa において 5×106 [V/
m] 以上)に比べて大幅に低くなっており、ダイヤモン
ド薄膜( 8×106 [V/m] )と比較しても低い値となって
いる。また本実施例の陰極部では、上記の真空度 1×10
-3 Pa において電流 50 μAの安定した電子放出が観測
されており、超高真空が必要な Si や Moなどに比べて
低真空で使用できることが確認された。
【0044】なお、本実施例の陰極部は、基板21に固
定する微粒子22としてアルミナ微粒子を用い、その上
にアモルファス状炭素膜2Dを形成して構成されている
が、微粒子22としてダイヤモンド、あるいは SiCの微
粒子を用いた場合にも低真空で安定した電子放出が観測
されている。また、図15に例示したごとく、アモルフ
ァス状炭素膜2Dの代わりにダイヤモンド状炭素膜24
を成膜して構成されるものとしてもよく、あるいは、M
o,Wのごとき金属薄膜を成膜して構成してもよい。 <第13実施例>図16は、本発明の冷陰極素子の第1
3実施例の陰極部の基本構成を模式的に示す断面図であ
る。本図に示した冷陰極素子の陰極部は、ガラス基板2
1の上に第12実施例で用いたと同様の非電気伝導性の
アルミナ微粒子22を高分子膜23で固定して突起付き
の基板を形成し、メタルマスクを用いて格子状のアモル
ファス状炭素膜2E,2F,2Gを成膜して構成されて
いる。本構成においては、格子状に配されたアモルファ
ス状炭素膜2E,2F,2Gがアルミナ微粒子22によ
って互いに電気絶縁されているので、それぞれ個別に駆
動させることができ、そのパターンに応じてディスプレ
イ駆動を行うことができる。 <第14実施例>図17は、本発明の冷陰極素子の第1
4実施例の陰極部の基本構成を模式的に示す断面図であ
る。本図に示した冷陰極素子の陰極部は、アルミナの研
磨用砥粒25をポリエチレンシート26の上にポリエチ
レン系接着材からなる高分子膜23を用いて固定した研
磨シートをガラス基板21の上に配して突起付きの基板
を形成し、この上にアモルファス状炭素膜2Hを成膜し
て構成したものである。本陰極部の電子放出特性を、図
2に示した評価装置を用いて測定した結果によれば、電
界放出しきい値は 4.6×106 [V/m] であり、第12実施
例とほぼ同等の性能が得られた。また、安定した電子放
出が得られる電流値、真空度も第12実施例の値とほぼ
同等であった。
【0045】なお、研磨用砥粒25はアルミナに限るも
のではなく、ダイヤモンド、あるいは SiC等でもよい。 <第15実施例>図18は、本発明の冷陰極素子の第1
5実施例の陰極部の作製方法の一部を模式的に示す断面
図で、第12実施例の陰極部のごとく、ガラス基板の上
に高分子膜により先端形状の鋭いアルミナ微粒子を固定
して突起付きの基板を形成し、その上にアモルファス状
炭素膜を成膜して作製した陰極部20Aに対して、アモ
ルファス状炭素膜の表面を水素処理する方法を示したも
のである。
【0046】水素処理は、表面の吸着酸素、水、ハイド
ロカーボン等を除去し、表面を水素終端することによっ
て活性度を低下させることを目的としており、本方式で
は、陰極部20Aをガラス管27の中にセットし、真空
引き(〜10-3Pa)を行って、600℃に保持し、水素をガ
ラス管27の中に導入することによって、水素フローに
より表面の水素化がおこなわれる。成膜したアモルファ
ス状炭素膜を大気中に1日放置すると表面の酸素濃度は
約8%となるが、上記のごとく表面の水素化を行うと表
面の酸素濃度は約2%に減少し、さらに表面は水素終端
状態となって再度大気中に放置しても表面吸着は起こら
ず、安定化される。上記のごとく水素処理を行った陰極
部20Aについて、図2に示した評価装置を用いて電子
放出特性を測定した結果によれば、電界放出しきい値は
4.6×106 [V/m] であり、第12実施例とほぼ同等の性
能が得られた。また、 1×10-3 Pa 以下の低い真空度に
おいても安定した電子放出が認められ、所要真空度が低
いことが判った。
【0047】本実施例では、第12実施例の構成の陰極
部のアモルファス状炭素膜の表面を水素フローにより水
素処理を行った例を示したが、本方式の水素処理は、上
記のみならず、第13実施例、あるいは第14実施例の
構成の陰極部においても同様の効果があり、また、Si、
あるいは Mo などの突起にアモルファス状炭素膜を成膜
して構成される陰極部においても表面の活性度が低下
し、同様の効果が得られることとなる。 <第16実施例>図19は、本発明の冷陰極素子の第1
6実施例の陰極部の作製方法の一部を模式的に示す断面
図で、第12実施例の陰極部のごとく作製した陰極部2
0Bに対して、アモルファス状炭素膜の表面を処理する
他の方法を示したものである。
【0048】本方式は、例えばアルゴンイオンビームエ
ッチング等によってエッチング処理することにより、ア
モルファス状炭素膜の表面の吸着酸素、水、ハイドロカ
ーボン等を除去し、さらに変成して活性度を低下させる
ことを目的としており、図に示したように陰極部20B
を図示しないエッチング装置内に挿入し、アルゴンイオ
ンビーム28を照射することによってエッチング処理が
行われている。このようにエッチング処理した陰極部5
のアモルファス状炭素膜の表面の酸素濃度は、当初の約
8%から約3%へと減少しており、さらに表面はアルゴ
ンイオンビーム28により変成された状態となり、再度
大気開放しても酸化などの表面吸着は認められず、安定
化が図られていることが判った。このようにアルゴンイ
オンビーム28によってエッチング処理した陰極部20
Bについて、図2に示した評価装置を用いて電子放出特
性を測定した結果によれば、電界放出しきい値は 4.6×
10 6 [V/m] であり、第12実施例とほぼ同等の性能が得
られた。また、 1×10-3 Pa 以下の低い真空度において
も安定した電子放出が認められた。
【0049】なお、本エッチング処理も、第15実施例
の水素処理の場合と同様に、第13実施例、あるいは第
14実施例の構成の陰極部、さらに、Si、あるいは Mo
などの突起にアモルファス状炭素膜を成膜して構成され
る陰極部においても、表面の活性度が低下し、同様の効
果が得られることとなる。
【0050】
【発明の効果】上述のごとく、本発明の冷陰極素子及び
その製造方法においては、 (1) 冷陰極素子の陰極部の構成を請求項1のごとくとす
れば、低真空でも安定して作動する冷陰極素子が得られ
ることとなり、さらに請求項2のごとき構成とすれば、
陰極部の突起の先端に効果的に電界が集中されるので動
作電圧の低い冷陰極素子が得られることとなる。
【0051】(2) また、冷陰極素子の陰極部の構成を請
求項3あるいは請求項4のごとくとすれば、陰極部の表
面に突起がマトリックス状に配置された動作電圧が低
く、かつ生産性に優れた冷陰極素子が得られることとな
る。さらにこれらの冷陰極素子の陰極部を請求項5のご
とき構成とすれば、低真空でも安定して作動し、一段と
動作電圧の低い冷陰極素子が得られることとなる。
【0052】(3) また、冷陰極素子の陰極部の構成を請
求項6のごとくとすれば、低真空でも安定して作動し、
かつ生産性に優れた冷陰極素子が得られることとなり、
さらにこれらの冷陰極素子を、請求項7のごとき構成と
すれば一段と動作電圧の低い冷陰極素子が得られること
となる。また、請求項8、請求項9、請求項10、ある
いは請求項11のごとき製造方法を用いて上記の冷陰極
素子の陰極部を製作すれば、低真空でも安定して作動
し、動作電圧が低く、かつ生産性に優れた冷陰極素子
が、効果的に得られることとなる。
【0053】(4) また、冷陰極素子の陰極部の構成を請
求項12のごとくとすれば、先端が鋭く電界が集中する
突起を表面に備えた陰極部が簡単なプロセスで形成され
ることとなり、低い動作電圧で安定して電子放出し、か
つ生産コストが安く、大面積化の容易な冷陰極素子が得
られることとなり、さらに請求項13のごとくとすれ
ば、より効果的である。
【0054】(5) また、請求項14、請求項15のごと
くとすれば、低い動作電圧で安定して電子放出する Fla
t Panel Display 用の冷陰極素子が、低コストで得られ
ることとなり、さらに請求項16のごとくとすれば、低
い動作電圧でより一層安定した電子放出特性を備え、か
つ生産コストが安く、大面積化の容易な冷陰極素子が得
られることとなる。
【0055】(6) また、請求項17のごとくとすれば、
電界放出しきい値が低くなり、低真空でも電位放出が得
られるので、低い動作電圧で安定して電子放出し、低真
空でも安定して作動し、かつ生産コストが安く、大面積
化の容易な冷陰極素子が得られることとなる。 (7) また、請求項18あるいは請求項19のごとくとす
れば、表面の活性度が低下して低い真空度でもより一層
安定した電子放出特性が得られるので、低い動作電圧で
安定して電子放出し、低真空でも安定して作動し、かつ
生産コストが安く、大面積化の容易な冷陰極素子として
好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による冷陰極素子の第1実施例の陰極部
の基本構成を模式的に示す縦断面図
【図2】陰極部の電界放出特性の測定に用いた評価装置
の基本構成図
【図3】本発明による冷陰極素子の第2実施例の陰極部
の基本構成を模式的に示す縦断面図
【図4】本発明による冷陰極素子の第3実施例の陰極部
の基本構成とその製造方法を模式的に示す縦断面図
【図5】本発明による冷陰極素子の第4実施例の陰極部
の基本構成とその製造方法を模式的に示す縦断面図
【図6】本発明による冷陰極素子の第5実施例の陰極部
の基本構成を模式的に示す縦断面図
【図7】本発明による冷陰極素子の第6実施例の陰極部
の基本構成を模式的に示す縦断面図
【図8】本発明による冷陰極素子の第7実施例の陰極部
の基本構成とその製造方法を模式的に示す縦断面図
【図9】本発明による冷陰極素子の第8実施例の陰極部
の基本構成とその製造方法を模式的に示す縦断面図
【図10】本発明による冷陰極素子の第9実施例の陰極
部の基本構成とその製造方法を模式的に示す縦断面図
【図11】本発明による冷陰極素子の第10実施例の陰
極部の基本構成を模式的に示す縦断面図
【図12】本発明による冷陰極素子の第11実施例の陰
極部の基本構成を模式的に示す縦断面図
【図13】本発明による冷陰極素子の第12実施例の陰
極部の基本構成を模式的に示す縦断面図
【図14】第12実施例の陰極部の電子放出特性を示す
特性図
【図15】本発明による冷陰極素子の第12実施例の陰
極部の他の構成例の基本構成を模式的に示す縦断面図
【図16】本発明による冷陰極素子の第13実施例の陰
極部の基本構成を模式的に示す縦断面図
【図17】本発明による冷陰極素子の第14実施例の陰
極部の基本構成を模式的に示す縦断面図
【図18】本発明の冷陰極素子の第15実施例の陰極部
の作製方法の一部を模式的に示す断面図
【図19】本発明の冷陰極素子の第16実施例の陰極部
の作製方法の一部を模式的に示す断面図
【符号の説明】
1 基板 2 アモルファス状炭素膜 2A,2B アモルファス状炭素膜 2C,2D アモルファス状炭素膜 2E,2F アモルファス状炭素膜 2G,2H アモルファス状炭素膜 3 陽極 4 高圧電源 5 電流計 6 突起 6A 突起 7A マスク 7B,7C マスク 8A,8B 基板(Si) 9A,9B Ni層 10 Ni層 11 アモルファス状炭素層 11A,11B アモルファス状炭素層 11C,11D アモルファス状炭素層 12A,12B フェノール樹脂層 20 陰極部 21 基板(ガラス) 22 微粒子(アルミナ) 23 高分子膜 24 ダイヤモンド状炭素膜 25 研磨用砥粒(アルミナ) 26 ポリエチレンシート 27 ガラス管 28 アルゴンイオンビーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 深沢 直人 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陰極として印加された電界により電子を放
    出し、制御する冷陰極素子において、陰極部が、スパッ
    タ法により形成された、水素を含まないアモルファス状
    炭素膜により覆われてなることを特徴とする冷陰極素
    子。
  2. 【請求項2】アモルファス状炭素膜により覆われた前記
    陰極部が、表面に突起を有してなることを特徴とする請
    求項1に記載の冷陰極素子。
  3. 【請求項3】陰極として印加された電界により電子を放
    出し、制御する冷陰極素子において、陰極部が、表面に
    マトリックス状の突起を有する金属よりなり、該突起
    が、シリコン基板上に異方性エッチングにより形成され
    た凹ピラミッド状窪みを型として電鋳によって形成され
    てなることを特徴とする冷陰極素子。
  4. 【請求項4】陰極として印加された電界により電子を放
    出し、制御する冷陰極素子において、陰極部が、表面に
    マトリックス状の突起を有する金属よりなり、該突起
    が、シリコン基板上にエッチングにより形成した突起を
    型として電鋳によって形成された窪みを備える第2の金
    属製の型を用い、電鋳によって形成されてなることを特
    徴とする冷陰極素子。
  5. 【請求項5】前記陰極部が、スパッタ法により形成され
    た、水素を含まないアモルファス状炭素膜により覆われ
    て形成されてなることを特徴とする請求項3または4に
    記載の冷陰極素子。
  6. 【請求項6】陰極として印加された電界により電子を放
    出し、制御する冷陰極素子において、陰極部が、熱硬化
    性樹脂を成形後焼成して得られる、あるいは焼成後さら
    に成形して得られるアモルファス状炭素からなることを
    特徴とする冷陰極素子。
  7. 【請求項7】前記陰極部が、スパッタ法により形成され
    た、水素を含まないアモルファス状炭素膜により覆われ
    て形成されてなることを特徴とする請求項6に記載の冷
    陰極素子。
  8. 【請求項8】シリコン基板上に異方性エッチングにより
    凹ピラミッド状窪みを形成し、これを型として熱硬化性
    樹脂を成形し、そののち焼成することにより前記陰極部
    を形成することを特徴とする請求項6または7に記載の
    冷陰極素子の製造方法。
  9. 【請求項9】シリコン基板上にエッチングにより突起を
    形成し、これを型として電鋳によって窪みを備えた第2
    の金属製の型を形成し、さらに第2の型を用いて熱硬化
    性樹脂を成形し、そののち焼成することにより前記陰極
    部を形成することを特徴とする請求項6または7に記載
    の冷陰極素子の製造方法。
  10. 【請求項10】熱硬化性樹脂を平板状に成形後、加工を
    施して突起を形成し、そののち焼成することにより前記
    陰極部を形成することを特徴とする請求項6または7に
    記載の冷陰極素子の製造方法。
  11. 【請求項11】熱硬化性樹脂を平板状に成形し、焼成し
    たのちプラズマアッシングを施して突起を形成すること
    により前記陰極部を形成することを特徴とする請求項6
    または7に記載の冷陰極素子の製造方法。
  12. 【請求項12】陰極として印加された電界により電子を
    放出し、制御する冷陰極素子において、陰極部が、先端
    形状の鋭い微粒子を固定して突起を形成した基板の上
    に、低仕事関数の薄膜、あるいは電気伝導性の薄膜を形
    成してなることを特徴とする冷陰極素子。
  13. 【請求項13】前記基板が、ガラス基板であることを特
    徴とする請求項12に記載の冷陰極素子。
  14. 【請求項14】前記の微粒子が、非電気伝導性の微粒子
    であることを特徴とする請求項12に記載の冷陰極素
    子。
  15. 【請求項15】前記の非電気伝導性の微粒子が、ダイヤ
    モンド、アルミナ、あるいは SiCのうちのいずれかより
    なることを特徴とする請求項14に記載の冷陰極素子。
  16. 【請求項16】前記の非電気伝導性の微粒子が、研磨シ
    ートに配されたダイヤモンド、アルミナ、あるいは SiC
    のうちのいずれかの研磨用砥粒よりなることを特徴とす
    る請求項14に記載の冷陰極素子。
  17. 【請求項17】前記の低仕事関数の薄膜が、アモルファ
    ス状炭素膜、あるいはダイヤモンド状炭素膜よりなるこ
    とを特徴とする請求項12に記載の冷陰極素子。
  18. 【請求項18】陰極として印加された電界により電子を
    放出し、制御する冷陰極素子において、陰極部が、先端
    形状の鋭い突起を備えた基板の上にアモルファス状炭素
    膜を形成し、さらにその表面を水素処理してなることを
    特徴とする冷陰極素子。
  19. 【請求項19】陰極として印加された電界により電子を
    放出し、制御する冷陰極素子において、陰極部が、先端
    形状の鋭い突起を備えた基板の上にアモルファス状炭素
    膜を形成し、さらにその表面をエッチング処理してなる
    ことを特徴とする冷陰極素子。
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