JPH09168393A - 同位体を有する5−アミノレブリン酸の製造方法 - Google Patents
同位体を有する5−アミノレブリン酸の製造方法Info
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- JPH09168393A JPH09168393A JP7333345A JP33334595A JPH09168393A JP H09168393 A JPH09168393 A JP H09168393A JP 7333345 A JP7333345 A JP 7333345A JP 33334595 A JP33334595 A JP 33334595A JP H09168393 A JPH09168393 A JP H09168393A
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Abstract
(57)【要約】
【解決手段】 構成原子の少なくとも1つが12C、
1H、14N及び16O以外の同位体で置換されたグリシン
を、5−アミノレブリン酸産生微生物又はこの微生物由
来の酵素に作用させることを特徴とする構成原子の少な
くとも1つが12C、1H、14N及び16O以外の同位体で
置換された5−アミノレブリン酸の製造方法。 【効果】 工業的に有利に同位体置換5−アミノレブリ
ン酸を製造することができる。
1H、14N及び16O以外の同位体で置換されたグリシン
を、5−アミノレブリン酸産生微生物又はこの微生物由
来の酵素に作用させることを特徴とする構成原子の少な
くとも1つが12C、1H、14N及び16O以外の同位体で
置換された5−アミノレブリン酸の製造方法。 【効果】 工業的に有利に同位体置換5−アミノレブリ
ン酸を製造することができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生化学研究等に有
用な同位体を含む5−アミノレブリン酸の工業的に有利
な製造方法に関する。
用な同位体を含む5−アミノレブリン酸の工業的に有利
な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】5−ア
ミノレブリン酸はヘムやクロロフィル、ビタミンB12等
に代表されるテトラピロール化合物の共通前駆体であ
る。また、5−アミノレブリン酸は生体内で直接重要な
役割を果たしていると考えられている。また、5−アミ
ノレブリン酸は医療分野においては各種のポルフィリン
症、悪性不良性貧血、重金属中毒等の疾病に関連し、農
業分野では光要求性除草剤の作用機作や植物生長促進効
果に関連し、また、微生物分野では光合成微生物の光合
成制御機構に関連しているとして注目されている化合物
である。上述のような観点から5−アミノレブリン酸の
生体内での分布や代謝について強い興味がもたれてお
り、同位体でラベルされた化合物の需要が高まってい
る。
ミノレブリン酸はヘムやクロロフィル、ビタミンB12等
に代表されるテトラピロール化合物の共通前駆体であ
る。また、5−アミノレブリン酸は生体内で直接重要な
役割を果たしていると考えられている。また、5−アミ
ノレブリン酸は医療分野においては各種のポルフィリン
症、悪性不良性貧血、重金属中毒等の疾病に関連し、農
業分野では光要求性除草剤の作用機作や植物生長促進効
果に関連し、また、微生物分野では光合成微生物の光合
成制御機構に関連しているとして注目されている化合物
である。上述のような観点から5−アミノレブリン酸の
生体内での分布や代謝について強い興味がもたれてお
り、同位体でラベルされた化合物の需要が高まってい
る。
【0003】現在、同位体でラベルした5−アミノレブ
リン酸としては、放射性同位元素(ラジオアイソトー
プ)である14Cや3H(トリチウム:T)でラベルし
た、いわゆるホットな化合物が極少量流通しているにす
ぎない。
リン酸としては、放射性同位元素(ラジオアイソトー
プ)である14Cや3H(トリチウム:T)でラベルし
た、いわゆるホットな化合物が極少量流通しているにす
ぎない。
【0004】しかしながら、これらホットな化合物は、
高感度で測定できる反面不安定であり、被検者や取扱い
者が放射線で被爆するおそれがあり、更に極めて高価で
あるという欠点を有していた。
高感度で測定できる反面不安定であり、被検者や取扱い
者が放射線で被爆するおそれがあり、更に極めて高価で
あるという欠点を有していた。
【0005】これに対し、13C、15N及び2H(以下
「D」ということもある)というような非放射性のいわ
ゆるステイブルアイソトープは、安定な上に放射線によ
る障害を発生しない。またステイブルアイソトープの中
でも13Cや15Nは、近年急速な発達を見せている核磁気
共鳴法(NMR)により高感度で簡易にそして場合によ
っては非破壊的に測定できるようになってきており、天
然での存在比の低さと合わせ理想的なラベル原子として
注目されている。また、Dは天然型のHと比較してNM
Rで検出できないため負の造影剤として利用できる。
「D」ということもある)というような非放射性のいわ
ゆるステイブルアイソトープは、安定な上に放射線によ
る障害を発生しない。またステイブルアイソトープの中
でも13Cや15Nは、近年急速な発達を見せている核磁気
共鳴法(NMR)により高感度で簡易にそして場合によ
っては非破壊的に測定できるようになってきており、天
然での存在比の低さと合わせ理想的なラベル原子として
注目されている。また、Dは天然型のHと比較してNM
Rで検出できないため負の造影剤として利用できる。
【0006】このような理由によりステイブルアイソト
ープでラベルした5−アミノレブリン酸が注目されてお
り、例えば13Cのラベルに関しては特開昭62−111
954号公報や特開平2−111747号公報に記載の
方法が知られている。しかし、これらに開示されている
13Cを有する5−アミノレブリン酸の製造方法は、煩雑
で収率が低い化学合成法であり、5位に13Cを有する5
−アミノレブリン酸の要求があるにもかかわらず、いま
だ市販に至っていないのが現状である。また、炭素以外
の他の核種でラベルした5−アミノレブリン酸は製造方
法すら知られていない。
ープでラベルした5−アミノレブリン酸が注目されてお
り、例えば13Cのラベルに関しては特開昭62−111
954号公報や特開平2−111747号公報に記載の
方法が知られている。しかし、これらに開示されている
13Cを有する5−アミノレブリン酸の製造方法は、煩雑
で収率が低い化学合成法であり、5位に13Cを有する5
−アミノレブリン酸の要求があるにもかかわらず、いま
だ市販に至っていないのが現状である。また、炭素以外
の他の核種でラベルした5−アミノレブリン酸は製造方
法すら知られていない。
【0007】従って本発明の目的は、各種の同位体を含
む5−アミノレブリン酸の工業的に有利な方法を提供す
ることにある。
む5−アミノレブリン酸の工業的に有利な方法を提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】斯かる実状において本発
明者らは、鋭意研究を行った結果、同位体を有するグリ
シンを原料として用い、これに5−アミノレブリン酸を
産生する微生物又はこの微生物由来の酵素を作用させれ
ば、同位体を有する5−アミノレブリン酸を工業的に有
利に製造し得ることを見出し本発明を完成した。
明者らは、鋭意研究を行った結果、同位体を有するグリ
シンを原料として用い、これに5−アミノレブリン酸を
産生する微生物又はこの微生物由来の酵素を作用させれ
ば、同位体を有する5−アミノレブリン酸を工業的に有
利に製造し得ることを見出し本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明は、構成原子の少なくと
も1つが12C、1H、14N及び16O以外の同位体で置換
されたグリシンを、5−アミノレブリン酸産生微生物又
はこの微生物由来の酵素に作用させることを特徴とする
構成原子の少なくとも1つが 12C、1H、14N及び16O
以外の同位体で置換された5−アミノレブリン酸の製造
方法を提供するものである。
も1つが12C、1H、14N及び16O以外の同位体で置換
されたグリシンを、5−アミノレブリン酸産生微生物又
はこの微生物由来の酵素に作用させることを特徴とする
構成原子の少なくとも1つが 12C、1H、14N及び16O
以外の同位体で置換された5−アミノレブリン酸の製造
方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において原料として用いら
れるグリシンは、その構成原子の少なくとも1つが
12C、1H、14N及び16O以外の同位体で置換されたも
の(以下、同位体置換グリシンということがある)であ
れば特に制限されない。これら同位体としては、2H、3
H、11C、13C、14C、13N、15N、17O、18Oが挙げ
られるが、ラジオアイソトープよりもステイブルアイソ
トープで置換されたグリシンを用いるほうが、被爆や安
定性の面から好ましい。このようなステイブルアイソト
ープとしては、13C、15N、2H(D)等が挙げられ
る。また原料同位体置換グリシンとしては、メチレン基
の炭素原子が13Cであるもの、窒素原子が15Nであるも
の又はメチレン基の水素原子の1又は2個がDであるも
のが好ましい。これら原料同位体置換グリシンは、1カ
所が同位体で置換されていても良いし、複数の箇所が同
位体で置換されていても良い。当然すべての原子が同位
体で置換されていても良い。このような同位体置換グリ
シンは公知の方法で製造することができ、また市販品
(昭光通商(株)製,Glycine−15N N15−
0119、Glycine−2−13C C13−011
9、Glycine−2−13C,15N M−0019、
Glycine−2,2−D2 D−2083、Gly
cine−U−D5 D−2084;アルドリッチ社
製,Glycine−15N 29,929−4、Gly
cine−2−13C27,943−9、Glycine
−2−13C,15N 29,932−4、Glycine
−2,2−D2 33,645−9、Glycine−
U−D5 17,583−8)を用いてもよい。
れるグリシンは、その構成原子の少なくとも1つが
12C、1H、14N及び16O以外の同位体で置換されたも
の(以下、同位体置換グリシンということがある)であ
れば特に制限されない。これら同位体としては、2H、3
H、11C、13C、14C、13N、15N、17O、18Oが挙げ
られるが、ラジオアイソトープよりもステイブルアイソ
トープで置換されたグリシンを用いるほうが、被爆や安
定性の面から好ましい。このようなステイブルアイソト
ープとしては、13C、15N、2H(D)等が挙げられ
る。また原料同位体置換グリシンとしては、メチレン基
の炭素原子が13Cであるもの、窒素原子が15Nであるも
の又はメチレン基の水素原子の1又は2個がDであるも
のが好ましい。これら原料同位体置換グリシンは、1カ
所が同位体で置換されていても良いし、複数の箇所が同
位体で置換されていても良い。当然すべての原子が同位
体で置換されていても良い。このような同位体置換グリ
シンは公知の方法で製造することができ、また市販品
(昭光通商(株)製,Glycine−15N N15−
0119、Glycine−2−13C C13−011
9、Glycine−2−13C,15N M−0019、
Glycine−2,2−D2 D−2083、Gly
cine−U−D5 D−2084;アルドリッチ社
製,Glycine−15N 29,929−4、Gly
cine−2−13C27,943−9、Glycine
−2−13C,15N 29,932−4、Glycine
−2,2−D2 33,645−9、Glycine−
U−D5 17,583−8)を用いてもよい。
【0011】本発明に用いる微生物は、5−アミノレブ
リン酸を産生する微生物であるが、このうち5−アミノ
レブリン酸の生合成にC4経路を使うものが好ましい。
このような微生物は酵母、カビ、光合成細菌、リゾビウ
ム等多岐にわたるがこれらの微生物の中でとりわけ光合
成細菌は高い5−アミノレブリン酸生産能力を有してお
り、特にロドスピリウム属(Rhodospirillum属)、ロド
シュウドモナス属(Rhodopseudomonas属)、クロマチウ
ム属(Chromatium属)、ロドバクター属(Rhodobacter
属)、更にロドバクターセファロイデス(Rhodobacter
sphaeroides)が高い能力を有している。また、5−ア
ミノレブリン酸の生産性を向上させた変異株を用いるこ
ともできる。このような変異株としては、例えば工業技
術院生命工学工業技術研究所に寄託されたCR−520
(FERM P−14672)、CR−450(FER
MP−14085)、CR−386(FERM P−1
3159)、CR−286(FERM P−1254
2)等を挙げることが出来る。
リン酸を産生する微生物であるが、このうち5−アミノ
レブリン酸の生合成にC4経路を使うものが好ましい。
このような微生物は酵母、カビ、光合成細菌、リゾビウ
ム等多岐にわたるがこれらの微生物の中でとりわけ光合
成細菌は高い5−アミノレブリン酸生産能力を有してお
り、特にロドスピリウム属(Rhodospirillum属)、ロド
シュウドモナス属(Rhodopseudomonas属)、クロマチウ
ム属(Chromatium属)、ロドバクター属(Rhodobacter
属)、更にロドバクターセファロイデス(Rhodobacter
sphaeroides)が高い能力を有している。また、5−ア
ミノレブリン酸の生産性を向上させた変異株を用いるこ
ともできる。このような変異株としては、例えば工業技
術院生命工学工業技術研究所に寄託されたCR−520
(FERM P−14672)、CR−450(FER
MP−14085)、CR−386(FERM P−1
3159)、CR−286(FERM P−1254
2)等を挙げることが出来る。
【0012】5−アミノレブリン酸を産生する微生物を
用いて目的物である同位体置換5−アミノレブリン酸を
製造するには、上記微生物を前記同位体置換グリシン及
びレブリン酸等の存在下培養し、その培養物から目的と
する同位体置換5−アミノレブリン酸を採取すればよ
い。同位体置換グリシンの培地への添加量は1mM〜50
0mM、特に5mM〜240mMとすることが望ましく、レブ
リン酸の添加量は親株を用いる場合は10mM〜300m
M、特に20mM〜180mMとすることが望ましく、上述
の変異株を用いる場合は0.1mM〜100mM、特に1mM
〜30mMとすることが望ましい。
用いて目的物である同位体置換5−アミノレブリン酸を
製造するには、上記微生物を前記同位体置換グリシン及
びレブリン酸等の存在下培養し、その培養物から目的と
する同位体置換5−アミノレブリン酸を採取すればよ
い。同位体置換グリシンの培地への添加量は1mM〜50
0mM、特に5mM〜240mMとすることが望ましく、レブ
リン酸の添加量は親株を用いる場合は10mM〜300m
M、特に20mM〜180mMとすることが望ましく、上述
の変異株を用いる場合は0.1mM〜100mM、特に1mM
〜30mMとすることが望ましい。
【0013】上記微生物の培養条件は、特に制限される
ものではなく、例えば、上記CR−450の場合は、通
常のロドバクター属の微生物と同様な条件で培養できる
(特開平7−246088号公報)。すなわち、CR−
450の培養条件は、特に限定されるものではなく、一
般には10〜40℃、好ましくは20〜35℃の好気条
件において培養すればよく、また、上記培地のpHは5〜
8、特に5.5〜7.5とすることが好ましい。なお、
5−アミノレブリン酸の生産時にpHが変化する場合に
は、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化カリウム等
のアルカリ溶液や塩酸、硫酸、リン酸等の酸を用いてpH
を調整することが好ましい。
ものではなく、例えば、上記CR−450の場合は、通
常のロドバクター属の微生物と同様な条件で培養できる
(特開平7−246088号公報)。すなわち、CR−
450の培養条件は、特に限定されるものではなく、一
般には10〜40℃、好ましくは20〜35℃の好気条
件において培養すればよく、また、上記培地のpHは5〜
8、特に5.5〜7.5とすることが好ましい。なお、
5−アミノレブリン酸の生産時にpHが変化する場合に
は、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化カリウム等
のアルカリ溶液や塩酸、硫酸、リン酸等の酸を用いてpH
を調整することが好ましい。
【0014】また、同位体置換5−アミノレブリン酸の
生産はこれらの微生物の増殖と同時に行うこともでき、
菌体の増殖と独立して行うこともできる。この場合、使
用する微生物は、増殖基菌体、休止菌体のいずれでもよ
く、そのまま同位体置換5−アミノレブリン酸の生産に
使用することができるが、遠心分離等の方法により集菌
し、培地やリン酸緩衝液等の適当な溶媒に再懸濁させる
などの方法を採用することにより、菌濃度を高くして用
いることもできる。
生産はこれらの微生物の増殖と同時に行うこともでき、
菌体の増殖と独立して行うこともできる。この場合、使
用する微生物は、増殖基菌体、休止菌体のいずれでもよ
く、そのまま同位体置換5−アミノレブリン酸の生産に
使用することができるが、遠心分離等の方法により集菌
し、培地やリン酸緩衝液等の適当な溶媒に再懸濁させる
などの方法を採用することにより、菌濃度を高くして用
いることもできる。
【0015】培養物から同位体置換5−アミノレブリン
酸を採取するには、培養により同位体置換5−アミノレ
ブリン酸は菌体外に分泌されるので通常、培養液から、
イオン交換樹脂を用いる等の手段により分離すればよ
い。
酸を採取するには、培養により同位体置換5−アミノレ
ブリン酸は菌体外に分泌されるので通常、培養液から、
イオン交換樹脂を用いる等の手段により分離すればよ
い。
【0016】上記以外に本発明に適用できる同位体置換
5−アミノレブリン酸の生産方法としては、例えば特開
平3−172191号公報、特開平6−169758号
公報、特開平5−95782号公報、特開平6−141
875号公報、特開平6−153915号公報、特願平
6−316251号公報等に記載の方法が挙げられる。
5−アミノレブリン酸の生産方法としては、例えば特開
平3−172191号公報、特開平6−169758号
公報、特開平5−95782号公報、特開平6−141
875号公報、特開平6−153915号公報、特願平
6−316251号公報等に記載の方法が挙げられる。
【0017】一方、5−アミノレブリン酸産生微生物由
来の酵素を用いて同位体置換5−アミノレブリン酸を製
造するには、原料として同位体置換グリシンを用いる以
外は公知の方法(特開平6−169758号公報)によ
り行うことができる。
来の酵素を用いて同位体置換5−アミノレブリン酸を製
造するには、原料として同位体置換グリシンを用いる以
外は公知の方法(特開平6−169758号公報)によ
り行うことができる。
【0018】詳細には、例えば次の様にして同位体置換
5−アミノレブリン酸を製造することができる。まず、
酵素としては、5−アミノレブリン酸産生微生物の培養
物をそのまま用いるか、又は遠心分離器等で菌体分離し
たものを用いる。なお、分離した菌体は、更に、リン酸
緩衝液等の溶液で洗浄し、該溶液に懸濁させて使用する
こともできる。また、菌体由来の酵素は、常法により精
製したものを使用することが望ましい。すなわち、例え
ば、上記した菌体の懸濁液を、超音波、フレンチプレ
ス、高圧ホモジナイザ等により破砕処理して得られた菌
体破砕物を、遠心分離等により固液分離した後、カラム
精製、電気泳動等の一般的精製手段により精製酵素とし
たものを使用する。
5−アミノレブリン酸を製造することができる。まず、
酵素としては、5−アミノレブリン酸産生微生物の培養
物をそのまま用いるか、又は遠心分離器等で菌体分離し
たものを用いる。なお、分離した菌体は、更に、リン酸
緩衝液等の溶液で洗浄し、該溶液に懸濁させて使用する
こともできる。また、菌体由来の酵素は、常法により精
製したものを使用することが望ましい。すなわち、例え
ば、上記した菌体の懸濁液を、超音波、フレンチプレ
ス、高圧ホモジナイザ等により破砕処理して得られた菌
体破砕物を、遠心分離等により固液分離した後、カラム
精製、電気泳動等の一般的精製手段により精製酵素とし
たものを使用する。
【0019】更に、これらの休止菌体や菌体由来の酵素
は、固定化すると単位体積当たりの酵素量が多くなるた
め、固定化したものを使用すると、効率良く反応を行う
ことができる。この固定化は、アルギン酸カルシウム
法、ポリアクリルアミドゲル法、ポリウレタン樹脂法、
光架橋樹脂法等の常法により行うことができる。
は、固定化すると単位体積当たりの酵素量が多くなるた
め、固定化したものを使用すると、効率良く反応を行う
ことができる。この固定化は、アルギン酸カルシウム
法、ポリアクリルアミドゲル法、ポリウレタン樹脂法、
光架橋樹脂法等の常法により行うことができる。
【0020】これらの休止菌体や菌体由来の酵素に、同
位体置換グリシンとコハク酸等を、リン酸緩衝液中で接
触させると、反応が生じて同位体置換5−アミノレブリ
ン酸が製造される。
位体置換グリシンとコハク酸等を、リン酸緩衝液中で接
触させると、反応が生じて同位体置換5−アミノレブリ
ン酸が製造される。
【0021】このときの反応条件は、CR−17株の変
異・分離の場合の条件(特開平6−169758号公
報)と同様とするのが好ましい。なお、酵素を使用する
場合は、光照射は不要である。
異・分離の場合の条件(特開平6−169758号公
報)と同様とするのが好ましい。なお、酵素を使用する
場合は、光照射は不要である。
【0022】この反応において、エネルギー源として、
ATP(アデノシン三リン酸)、ピリドキサールリン
酸、CoA(コエンザイムA)、またメタノール、エタ
ノール、水素、ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチ
ド(NAD)、ホルムアルデヒド、蟻酸等の電子供与体
を適宜添加するのが好ましい。なお、この反応におい
て、5−アミノレブリン酸デヒドラターゼの活性阻害物
質を添加することができる。以上の如くして得られた同
位体置換5−アミノレブリン酸は、粗精製物をそのまま
用いてもよいし、目的に応じて常法により精製してもよ
い。
ATP(アデノシン三リン酸)、ピリドキサールリン
酸、CoA(コエンザイムA)、またメタノール、エタ
ノール、水素、ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチ
ド(NAD)、ホルムアルデヒド、蟻酸等の電子供与体
を適宜添加するのが好ましい。なお、この反応におい
て、5−アミノレブリン酸デヒドラターゼの活性阻害物
質を添加することができる。以上の如くして得られた同
位体置換5−アミノレブリン酸は、粗精製物をそのまま
用いてもよいし、目的に応じて常法により精製してもよ
い。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、同位体置換5−アミノ
レブリン酸を工業的に有利に製造することができる。
レブリン酸を工業的に有利に製造することができる。
【0024】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。
【0025】実施例1 表1に示した組成の培地(培地1)1Lを、2Lの発酵
槽に入れ、121℃で15分間滅菌し、室温に冷却し
た。上記の発酵槽に、あらかじめ培地200mlを入れた
1L容の坂口フラスコでしんとう培養して増殖させた光
合成細菌変異株CR−520(FERM P−1467
2)を接種し、30℃、通気量0.1v/v/m、攪拌
数200回転で培養を行った。培養開始後48時間後に
グリシン−15Nを3g(Atom%−99、昭光通商
(株)製、レブリン酸、グルコース、酵母エキスがそれ
ぞれ5mM、50mM、1%になるように加え、また、pHが
6.5から7になるように1N水酸化ナトリウム及び1
N硫酸で調整した。更に、通気量を0.014v/v/
mに減少させ窒素ガスを0.086/v/v/mにて供
給した。攪拌数は500回転とした。この条件で培養を
84時間まで行った。培養後の5−アミノレブリン酸の
濃度は2.3g/Lであった。
槽に入れ、121℃で15分間滅菌し、室温に冷却し
た。上記の発酵槽に、あらかじめ培地200mlを入れた
1L容の坂口フラスコでしんとう培養して増殖させた光
合成細菌変異株CR−520(FERM P−1467
2)を接種し、30℃、通気量0.1v/v/m、攪拌
数200回転で培養を行った。培養開始後48時間後に
グリシン−15Nを3g(Atom%−99、昭光通商
(株)製、レブリン酸、グルコース、酵母エキスがそれ
ぞれ5mM、50mM、1%になるように加え、また、pHが
6.5から7になるように1N水酸化ナトリウム及び1
N硫酸で調整した。更に、通気量を0.014v/v/
mに減少させ窒素ガスを0.086/v/v/mにて供
給した。攪拌数は500回転とした。この条件で培養を
84時間まで行った。培養後の5−アミノレブリン酸の
濃度は2.3g/Lであった。
【0026】得られた培養液をBiochem. J. (1984) 21
9, 883-889 に記載の前処理方法に基づき前処理し、2
−メチル−3−アセチル−4−(3−プロピオン酸ペン
タフルオロベンジルエステル)ピロールを生成せしめ、
GC/MS分析により得られた 14Nを有する5−アミノ
レブリン酸由来の136(M+−(C7H2F5+CH2C
O2))の分子ピークと15Nを有する5−アミノレブリ
ン酸由来の137(M+−(C7H2F5+CH2CO2))
の分子ピークの比を比較し、ラベル化率を求めたところ
ラベル化率は48%であった。本実施例より目的通りグ
リシンの含有した同位体が生産された5−アミノレブリ
ン酸に移行していることがわかる。
9, 883-889 に記載の前処理方法に基づき前処理し、2
−メチル−3−アセチル−4−(3−プロピオン酸ペン
タフルオロベンジルエステル)ピロールを生成せしめ、
GC/MS分析により得られた 14Nを有する5−アミノ
レブリン酸由来の136(M+−(C7H2F5+CH2C
O2))の分子ピークと15Nを有する5−アミノレブリ
ン酸由来の137(M+−(C7H2F5+CH2CO2))
の分子ピークの比を比較し、ラベル化率を求めたところ
ラベル化率は48%であった。本実施例より目的通りグ
リシンの含有した同位体が生産された5−アミノレブリ
ン酸に移行していることがわかる。
【0027】
【表1】
【0028】実施例2 加えるグリシン−15Nの量を6gとする以外は実施例1
と同様に実施したところ生産された5−アミノレブリン
酸の濃度は2.6g/L、ラベル化率は88%であっ
た。本実施例より添加するラベルグリシンの濃度が高い
ほど得られる5−アミノレブリン酸のラベル化率は高く
なることがわかる。
と同様に実施したところ生産された5−アミノレブリン
酸の濃度は2.6g/L、ラベル化率は88%であっ
た。本実施例より添加するラベルグリシンの濃度が高い
ほど得られる5−アミノレブリン酸のラベル化率は高く
なることがわかる。
【0029】実施例3 グリシン−2−13Cを6g(Atom%−99、昭光通
商(株)製)を用いた以外は実施例2と同様に実施した
ところ、得られた5−アミノレブリン酸の濃度は2.5
g/Lであり、12Cを有する5−アミノレブリン酸由来
の136(M+−(C7H2F5+CH2CO2))の分子ピ
ークと13Cを有する5−アミノレブリン酸の137(M
+−(C7H2F5+CH2CO2))の分子ピークの比によ
り計算したラベル化率は91%であった。
商(株)製)を用いた以外は実施例2と同様に実施した
ところ、得られた5−アミノレブリン酸の濃度は2.5
g/Lであり、12Cを有する5−アミノレブリン酸由来
の136(M+−(C7H2F5+CH2CO2))の分子ピ
ークと13Cを有する5−アミノレブリン酸の137(M
+−(C7H2F5+CH2CO2))の分子ピークの比によ
り計算したラベル化率は91%であった。
【0030】実施例4 グリシン−2,2−D2を6g(Atom%−98、昭
光通商(株)製)を用いた以外は実施例2と同様に実施
したところ、得られた5−アミノレブリン酸の濃度は
2.3g/Lであり、Hを有する5−アミノレブリン酸
由来の136(M +−(C7H2F5+CH2CO2))の分
子ピークとDを有する5−アミノレブリン酸由来の13
7(M+−(C7H2F5+CH2CO2))の分子ピークの
比により計算したラベル化率は79%であった。
光通商(株)製)を用いた以外は実施例2と同様に実施
したところ、得られた5−アミノレブリン酸の濃度は
2.3g/Lであり、Hを有する5−アミノレブリン酸
由来の136(M +−(C7H2F5+CH2CO2))の分
子ピークとDを有する5−アミノレブリン酸由来の13
7(M+−(C7H2F5+CH2CO2))の分子ピークの
比により計算したラベル化率は79%であった。
【0031】実施例5 実施例3と同様に培養した菌体をトリス塩酸バッファー
(pH8.1)で3回洗浄し、フレンチプレスにより破砕
し蛋白質濃度10mg/mlの粗酵素液を調整した。これに
ATP10mM、CoA−SH1mM、ピリドキサールリン
酸1mM、スクシニルCoA2mM、塩化マグネシウム10
mM、トリス塩酸バッファー50mM、グルタチオン0.3
g/L、グリシン−2−13C(Atom%−99、昭光
通商(株)製)を1g/Lとなるように添加し、33℃
で3時間インキュベートした。インキュベート後、得ら
れた5−アミノレブリン酸の濃度は0.18g/Lであ
った。実施例3と同様の方法で求めたラベル化率は98
%であった。以上より酵素法によっても同位体を含む5
−アミノレブリン酸が製造可能なことがわかる。この実
施例からは生産量は培養法よりも低下しているがラベル
化率が高いという利点がある。更に、酵素法は一般に生
体よりも放射線障害に強いので放射線同位体を含む5−
アミノレブリン酸の生産に有利であることが予想され
る。
(pH8.1)で3回洗浄し、フレンチプレスにより破砕
し蛋白質濃度10mg/mlの粗酵素液を調整した。これに
ATP10mM、CoA−SH1mM、ピリドキサールリン
酸1mM、スクシニルCoA2mM、塩化マグネシウム10
mM、トリス塩酸バッファー50mM、グルタチオン0.3
g/L、グリシン−2−13C(Atom%−99、昭光
通商(株)製)を1g/Lとなるように添加し、33℃
で3時間インキュベートした。インキュベート後、得ら
れた5−アミノレブリン酸の濃度は0.18g/Lであ
った。実施例3と同様の方法で求めたラベル化率は98
%であった。以上より酵素法によっても同位体を含む5
−アミノレブリン酸が製造可能なことがわかる。この実
施例からは生産量は培養法よりも低下しているがラベル
化率が高いという利点がある。更に、酵素法は一般に生
体よりも放射線障害に強いので放射線同位体を含む5−
アミノレブリン酸の生産に有利であることが予想され
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 享 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内 (72)発明者 堀田 康司 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内 (72)発明者 高岡 日出男 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内
Claims (4)
- 【請求項1】 構成原子の少なくとも1つが12C、
1H、14N及び16O以外の同位体で置換されたグリシン
を、5−アミノレブリン酸産生微生物又はこの微生物由
来の酵素に作用させることを特徴とする構成原子の少な
くとも1つが12C、1H、14N及び16O以外の同位体で
置換された5−アミノレブリン酸の製造方法。 - 【請求項2】 原料グリシンがメチレン基の炭素原子が
13Cであるグリシンであり、目的物が5位の炭素原子が
13Cである5−アミノレブリン酸である請求項1記載の
製造方法。 - 【請求項3】 原料グリシンが15Nを有するグリシンで
あり、目的物が15Nを有する5−アミノレブリン酸であ
る請求項1記載の製造方法。 - 【請求項4】 原料グリシンがメチレン基の水素原子の
少なくとも1つが2Hであるグリシンであり、目的物が
5位の炭素原子上の水素原子の少なくとも1つが2Hで
ある5−アミノレブリン酸である請求項1記載の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7333345A JPH09168393A (ja) | 1995-12-21 | 1995-12-21 | 同位体を有する5−アミノレブリン酸の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7333345A JPH09168393A (ja) | 1995-12-21 | 1995-12-21 | 同位体を有する5−アミノレブリン酸の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09168393A true JPH09168393A (ja) | 1997-06-30 |
Family
ID=18265081
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7333345A Pending JPH09168393A (ja) | 1995-12-21 | 1995-12-21 | 同位体を有する5−アミノレブリン酸の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09168393A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008029272A (ja) * | 2006-07-31 | 2008-02-14 | Cosmo Oil Co Ltd | 5−アミノレブリン酸の製造方法 |
-
1995
- 1995-12-21 JP JP7333345A patent/JPH09168393A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008029272A (ja) * | 2006-07-31 | 2008-02-14 | Cosmo Oil Co Ltd | 5−アミノレブリン酸の製造方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040518 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20041124 |