JP2991395B2 - 5−アミノレブリン酸生産微生物および5−アミノレブリン酸の製造方法 - Google Patents

5−アミノレブリン酸生産微生物および5−アミノレブリン酸の製造方法

Info

Publication number
JP2991395B2
JP2991395B2 JP4333521A JP33352192A JP2991395B2 JP 2991395 B2 JP2991395 B2 JP 2991395B2 JP 4333521 A JP4333521 A JP 4333521A JP 33352192 A JP33352192 A JP 33352192A JP 2991395 B2 JP2991395 B2 JP 2991395B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aminolevulinic acid
strain
acid
producing
medium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP4333521A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06153915A (ja
Inventor
誠司 西川
圭太郎 渡辺
徹 田中
康司 堀田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KOSUMO SOGO KENKYUSHO KK
Original Assignee
KOSUMO SOGO KENKYUSHO KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by KOSUMO SOGO KENKYUSHO KK filed Critical KOSUMO SOGO KENKYUSHO KK
Priority to JP4333521A priority Critical patent/JP2991395B2/ja
Publication of JPH06153915A publication Critical patent/JPH06153915A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2991395B2 publication Critical patent/JP2991395B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、5−アミノレブリン酸
を高濃度で蓄積することのできる微生物と、この微生物
を培養して5−アミノレブリン酸を高収率で製造する方
法とに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】5−
アミノレブリン酸は、テトラピロール化合物の前駆体と
して広く生物圏に存在し、生体中で重要な役割を果たし
ている化合物である。5−アミノレブリン酸は、除草
剤、殺虫剤、植物成長調節剤、植物の光合成増強剤とし
て優れた効果を示し、しかも人畜に対して毒性を示さ
ず、分解性が高いため環境への残留性もないなどの優れ
た性質を示す天然化合物である(特開昭61−5028
14号、特開平2−138201号公報など参照)。
【0003】しかし、5−アミノレブリン酸は、生産コ
ストが高く、除草剤、殺虫剤、植物成長調節剤、植物の
光合成増強剤として使用するには実用性に欠ける(Ch
emical Week/October,29,19
84)。このような現状において、多くの化学合成法が
検討されている(例えば、特開平2−111747号公
報参照)が、未だ十分な方法が開発されていない。
【0004】一方、光合成細菌などの微生物を用いた5
−アミノレブリン酸の製造方法も検討されている(特開
平2−92293号、同3−172191号公報など参
照)が、これまでの方法では、生産量が低く、必ずしも
満足できるものではない。
【0005】また、微生物に5−アミノレブリン酸を生
産させる際に良く用いられる方法として、(微生物によ
り生産される5−アミノレブリン酸が、生体系中におい
て5−アミノレブリン酸デヒドラターゼにより代謝され
るのを防ぐべく、)5−アミノレブリンデヒドラターゼ
阻害剤(例えば、レブリン酸など)を添加する方法があ
る。しかし、これまで用いられてきた方法では、生産さ
れる5−アミノレブリン酸の10〜100倍以上の阻害
剤の添加が必要である。このような5−アミノレブリン
酸デヒドラターゼ阻害剤の大量使用は、微生物の生育や
機能をも著しく阻害する他に、生産コストの高騰や、精
製分離の困難などの多くの問題を招来する。
【0006】また、光合成細菌を用いて5−アミノレブ
リン酸を生産させるためには、通常、嫌気条件下におい
て培養時に十分に光を照射する必要がある。これは、5
−アミノレブリン酸合成酵素が光によって誘導されるか
らであるが、同時に5−アミノレブリン酸デヒドラター
ゼも強く誘導されてしまうため、上記のように5−アミ
ノレブリン酸デヒドラターゼ阻害剤を大量に添加する必
要が生じるのみならず、光照射による大量培養は、培養
工学上、実用化にはなお多くの困難な問題を招来するこ
とが予想される。
【0007】本発明は、以上の諸点を考慮し、低濃度の
5−アミノレブリン酸阻害剤を添加するのみで、実用的
な濃度で5−アミノレブリン酸を生産することのできる
5−アミノレブリン酸生産微生物と、この微生物の培養
期間中の一部または全部を好気的に行うことで、光照射
時間を大幅に減少させることのできる5−アミノレブリ
ン酸の製造方法とを提案することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために研究を重ねた結果、(1)光合成細
菌またはその変異株を変異処理させたものの中に、5−
アミノレブリン酸に対するミカエリス定数の増加した5
−アミノレブリン酸デヒドラターゼ変異酵素を有する菌
株が存在すること、(2)この菌株を使用すれば、5−
アミノレブリン酸の製造に要する5−アミノレブリン酸
デヒドラターゼ阻害剤(例えば、レブリン酸など)を、
大幅に減少させることができること、(3)しかも、こ
の菌株を使用する場合、5−アミノレブリン酸デヒドラ
ターゼを、特異的、かつ十分に抑制することができるた
め、好気培養においても、これまで達成することのでき
なかった著量の5−アミノレブリン酸を蓄積することが
できること、を確認して、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、 (1)ロドバクターセファロイデス Rhodobac
ter sphaeroides)に属し、5−アミノ
レブリン酸に対するミカエリス定数が野生株を1とした
とき、1.2〜100に増大した5−アミノレブリン酸
デヒドラターゼ変異酵素を有し、かつ (2)工業技術院微生物工業研究所に微工研菌寄第13
159号として寄託されていることを特徴とする5−ア
ミノレブリン酸生産微生物と、 (3)上記の微生物を用いることを特徴とする5−アミ
ノレブリン酸の製造方法とに関する。
【0010】以下、本発明の5−アミノレブリン酸生産
微生物および5−アミノレブリン酸の製造方法の詳細を
説明する。先ず、本発明の5−アミノレブリン酸生産微
生物は、光合成細菌であるロドバクターセファロイデス
(Rhodobacter sphaeroides)
あるいはその変異株を親株とし、これを変異処理して得
られるものであって、5−アミノレブリン酸に対するミ
カエリス定数が増大した5−アミノレブリン酸デヒドラ
ターゼ変異酵素を有するものである。このような性質を
有する本発明の5−アミノレブリン酸生産微生物の分離
方法の詳細を、以下に例示する。
【0011】上記の親株が増殖し得る培地成分を含む液
体培地を試験管に調製し、滅菌した後、親株を接種し、
光照射下において静置培養する。増殖した菌体を緩衝液
で洗浄した後、変異操作を行う。この変異操作として
は、通常の変異手法を用いることができる。例えば、紫
外線,電離放射線などの物理的変異原を寒天培地上の親
株に照射したり、エチルメタンスルフォネート(EM
S)、N−メチル−N′−ニトロ−N−ニトロソグアニ
ジン(NTG)、エチルニトロソ尿素(ENU)などの
アルキル化剤やブロモデオキシウリジン(BrdUr
d)などの塩基アナログなどの化学的変異原を添加した
緩衝液中で親株を培養する方法を用いることができる。
【0012】上記のような変異手法によって処理した菌
を、さらに緩衝液で洗浄し、寒天培地などに撒き、培養
する。なお、この培養により生育した変異株の中から、
上記の性質を示す菌株を選択するには、以下のような工
程にて行う。 1.これらの変異株を、実施例で使用した培地2のよう
な培地で増殖させ、菌体を集菌後、適当な緩衝液で洗浄
して、緩衝液中で細胞を破砕し、遠心分離して未破砕の
細胞を取り除く。 2.上記の1の工程で得られた無細胞抽出液を用いて、
5−アミノレブリン酸デヒドラターゼ反応液(後述の実
施例1参照)を用いて酵素反応を行う。 3.上記の2の反応を、基質である5−アミノレブリン
酸濃度を適当に変化させた条件で行い、各濃度おにける
反応速度を求める。 この反応速度の測定方法は、反応速度が求められれば、
どのような方法でもよいが、例えば、エイリッヒの比色
定量法(J.Biol,Chem.,219,435,
(1956)参照)でポルフォビリノーゲン生成量、S
ATTOの方法(J.Nutr.Sci.Vitami
nol.,27,439,(1981)参照)により総
ポリフィリン量を求め、数1に示す式により反応速度を
算出すればよい。
【0013】
【数1】
【0014】このようにして求められた反応速度と、5
−アミノレブリン酸濃度とからミカエリス定数を求め
る。その方法は、幾つも知られているが、例えば、酵素
反応速度の逆数と5−アミノレブリン酸濃度の逆数をプ
ロットする、いわゆるリンネバー−バークプロット
(「酵素反応機構」:田伏岩夫訳、東京大学出版会、な
ど参照)により求められる回帰直線と基質濃度軸の交点
からミカエリス定数を求める。この方法は、リンネバー
−バークの方法(上記の「酵素反応機構」など参照)と
して一般的に用いられるミカエリス定数の算出法であ
り、求められたミカエリス定数(Km値)は、酵素の基
本的性質のうち酵素と基質(本発明では、5−アミノレ
ブリン酸)との親和性を評価するのに用いることがで
き、一般に、Kmの増加は、親和性の減少とみなすこと
ができる。
【0015】4.上記の3と同様の条件より求めた野性
株の5−アミノレブリン酸デヒドラターゼのミカエリス
定数と比較し、増大しているものを選択すればよい。具
体的には、測定条件にもよるが、野性株のミカエリス定
数を1としたとき、約1.2〜100とする。ただし、
この酵素のミカエリス定数が余りに大きくなった菌株
は、この酵素反応により得られるポルフォビリノーゲン
などが生成しないか、あるいは不足するなどの理由で、
生育が悪くなることがあるため、約1.5〜10のミカ
エリス定数をもつ菌株が好ましいと推測される。なお、
ミカエリス定数が大きくなったために生育阻害がかかっ
てしまう場合でも、ポルフォビリノーゲンなどの栄養源
を培地中に添加することでその阻害が解除されるよう場
合は、この限りでない。
【0016】以上の分離・変異操作によって得られる菌
株の例であるCR−386は、親株であるロドバクター
・セファロイデスとほぼ同じ菌学的性質を有し、かつ5
−アミノレブリン酸に対するミカエリス定数が増大した
5−アミノレブリン酸デヒドラターゼ変異酵素を有す
る。また、本菌株は、好気条件で培養することにより、
光照射の必要がなくなるため、培養工学上有利である。
このCR−386は、工業技術院微生物工業研究所に、
微工研菌寄第13159号(FERM P−1315
9)として寄託されている。
【0017】また、本発明の製造方法に用いられる微生
物としては、光合成細菌であるロドバクターセファロイ
デスの野生株あるいはその変異株を親株として得られる
変異株のうち、5−アミノレブリン酸に対するミカエリ
ス定数が増大した5−アミノレブリン酸デヒドラターゼ
変異酵素を有する菌株であればいかなる菌株でもよい。
【0018】なお、生産培養を、好気条件や複合培地で
行う場合に用いる菌株には、変異に用いる親株として5
−アミノレブリン酸合成酵素の酸素分圧や複合培地成分
による抑制が外れた菌株を用い、これを変異処理し、上
記の1〜4の工程により選択したものを用いることが好
ましい。このような性質を示す親株としては、工業技術
院微生物工業研究所に、微工研菌寄第12542号とし
て寄託されているCR−286株を例示することができ
る。
【0019】以下、5−アミノレブリン酸の製造方法を
説明する。先ず、培地としては、上記の分離・変異操作
に用いる培地に、酵母エキス,乾燥酵母,ペプトン,肉
エキス,麦芽エキス,コーンスティープリカー,カザミ
ノ酸などの天然成分を添加した複合培地を使用する。培
養条件は、前述の分離・変異操作の条件と同様である。
ただし、この場合、約0.5〜50kluxの光照射嫌
気条件が望ましい。また、培養液のpHは、5〜10の
範囲内で、HCl水溶液またはNaOH水溶液を用いて
一定のpH値に保つことにより、より高濃度の5−アミ
ノレブリン酸を生成することができる。
【0020】さらに、培養中に5−アミノレブリン酸の
プレカーサであるグリシンとコハク酸を添加すると、よ
り高濃度の5−アミノレブリン酸を生成することができ
るが、培養と同時にグリシンとコハク酸を添加すると、
菌株の増殖速度が遅くなるため、ある程度増殖した時点
で添加することが好ましい。菌の生育が対数増殖期中期
を過ぎた後に、添加するとなおよい。添加量は、グリシ
ンとコハク酸のいずれの場合も、余り少なすぎると添加
効果がなく、逆に余り多すぎても菌体の生育が阻害され
るため、培地全体に対し、約10〜80mmol/l、
特に約15〜45mmol/lの範囲内とすることが好
ましい。添加方法は、一度に全量添加してもよいが、連
続的にまたは断続的に添加してもよい。
【0021】また、このとき、5−アミノレブリン酸デ
ヒドラターゼの阻害物質を添加することもできる。例え
ば、この阻害物質としてレブリン酸を使用する場合、レ
ブリン酸の添加方法は、菌株の培養開始時(あるいはグ
リシンとコハク酸の添加時)から一定の間隔で少量(同
量)ずつ添加してもよいし、培養開始時(あるいはグリ
シンとコハク酸の添加時)に全量添加しておいてもよ
い。菌の生育が対数増殖期中期を過ぎた後に、添加する
となおよい。
【0022】以上のようにして得られる培養液または反
応液中の5−アミノレブリン酸は、常法により精製する
ことができる。例えば、溶剤抽出などの方法によって回
収することができ、このときカラムクロマトグラフィな
どの公知の精製方法を適宜併用することもできる。
【0023】
【作用】本発明で提供する、5−アミノレブリン酸に対
するミカエリス定数の増加した5−アミノレブリン酸デ
ヒドラターゼ変異酵素を有する光合成細菌は、該菌が生
産する5−アミノレブリン酸を、その2分子を縮合させ
てポルフォビリノーゲンに転化する活性が著しく低下し
ている。このため、本発明の製造方法によれば、5−ア
ミノレブリン酸デヒドラターゼ阻害剤を、細菌自身の生
育、活性を抑制しない範囲内で添加するのみでよい。こ
の結果、5−アミノレブリン酸生産微生物の生育が良好
となり、5−アミノレブリン酸の生産量も非常に大きい
ものとなる。
【0024】
【実施例】
実施例1 表1に示す光合成細菌用の最小培地であるグルタメート
・マレート培地(培地1)の培地成分に2gの酵母エキ
スを加え、蒸留水1リットル(以下、「L」と記し、m
lを「mL」と記す)に溶かして培地2を調製した。
【0025】
【表1】
【0026】上記の培地2の10mLを21mmφの試
験管に分注して、121℃で15分間滅菌し、冷却し
た。これにCR−286株の一白金耳を植菌後、5kl
uxの光照射下の嫌気条件下で48時間静置培養した。
別の21mmφの試験管に培地2を10mL分注し、上
記と同様にして滅菌した。これに、上記の培養液0.5
mLを植え継ぎ、好気条件下、30℃,250rpmで
8時間往復振とう培養した。この培養液を、洗浄のた
め、15000rpmにて30秒間遠心分離し、その上
清を捨て、遠心分離前と同量のトリス・マレイン酸緩衝
液(pH6.0)に懸濁させた。この洗浄操作を、さら
に2度繰り返した。
【0027】この後、再び15,000rpmにて30
秒間遠心分離し、その上清を捨て、100μg/mLの
NTGを含むトリス・マレイン酸緩衝液(pH6.0)
に懸濁させ、好気条件下、30℃で80分間静置培養し
た。このようにして変異処理した菌を、上記と同様の方
法で3回洗浄した後、滅菌した培地2の試験管に植え継
ぎ、好気条件下、30℃,250rpmで2日間往復振
とう培養した。培地2に寒天15g/Lを添加し、12
1℃で15分間滅菌して調製した寒天プレートに、上記
の培養液を希釈して塗布し、好気条件下、30℃で4日
間培養した。これにより、約10,000株のコロニー
を得た。
【0028】次に、1L容ル式瓶に培地2を調製した。
これを121℃で15分間滅菌し、冷却した。上記のよ
うにCR−286株をNTGで変異処理して得られた菌
株を、10mLの培地2を分注し上記と同様にして滅菌
した21mmφの試験管にて、5kluxの光照射下の
嫌気条件下で、48時間静置培養した。培養後のものを
上記のル式瓶に植菌し、5kluxの光照射下の嫌気条
件下、30℃で静置培養した。48時間後、遠心分離に
より集菌して、トリス−塩酸緩衝液(40mM,pH
8.1)で洗浄後、超音波破砕装置にて破砕し、10,
000rpmで遠心分離して得られた上清を、5−アミ
ノレブリン酸デヒドラターゼ粗酵素液とした。
【0029】トリス−塩酸緩衝液(40mM,pH8.
1)の1mL中に、KCl33mMと、MgCl26.
5mMとを含み、さらに上記の粗酵素液を蛋白量換算で
1.0mg/mLとなるような量で含む酵素反応液(5
−アミノレブリン酸デヒドラターゼ反応液)を調製し、
これに5−アミノレブリン酸を各種の濃度で含有するよ
うに加え、37℃でインキュベートした。60分後、5
vol%トリクロロ酢酸を2mL加えて反応を停止させ
た。これを、3500rpmで10分間遠心分離し、上
清を1mL採り、エイリッヒの比色定量法によりポルフ
ォビリノーゲンの生成量(a)を調べた。さらに、別の
上清1mLを採り、SATTOの方法により総ポルフィ
リンの量(b)を調べた。これらの量a,bから、前述
の数1の式によってポルフォビリノーゲン生成速度を求
めた。
【0030】そして、上記の酵素反応液に加えられる5
−アミノレブリン酸濃度の逆数と、それぞれの反応速度
の逆数をプロットして回帰直線を求め、この回帰直線と
5−アミノレブリン酸濃度の逆数軸との交点よりミカエ
リス定数を求めた。求めたKm値を表2に示す。
【0031】比較例1 用いる菌株をロドバクター・セファロイデスCR−28
6株とする以外は、実施例1と同様の処理を行い、求め
たKm値を表2に示す。
【0032】比較例2 用いる菌株をロドバクター・セファロイデスIFO12
203株とする以外は、実施例1と同様の処理を行い、
求めたKm値を表2に示す。
【0033】実施例2 CR−286の変異株の中から選ばれたCR−386株
を、実施例1と同様に培養し、粗酵素液を調製し、幾つ
かの一定の5−アミノレブリン酸濃度の酵素反応液に対
してレブリン酸を各種濃度で添加した。これ以外は、実
施例1と同様にして酵素反応を行い、酵素反応速度を求
めた。この酵素反応速度の逆数とレブリン酸濃度をプロ
ットし、各5−アミノレブリン酸濃度について回帰直線
を求めた。それぞれの回帰直線は、一点で交わり、交点
のレブリン酸濃度軸の値から阻害物質定数(Ki値)を
求めた。この方法は、ディクソンの方法(上記の「酵素
反応機構」など参照)として知られている阻害物質の効
果を調べる一般的な方法であり、求められたKi値は、
酵素と阻害物質の親和性を表している。一般的に、Ki
値がKm値に比べて小さいほど、阻害剤の効果は大きく
なる。求めたKi値は、表2に併せて示す。
【0034】比較例3 用いる菌株をロドバクター・セファロイデスCR−28
6株とする以外は、実施例2と同様の処理を行い、Ki
値を求めた。求めたKi値は、表2に併せて示す。
【0035】比較例4 用いる菌株をロドバクター・セファロイデスIFO12
203株とする以外は、実施例2と同様の処理を行い、
Ki値を求めた。求めたKi値は、表2に併せて示す。
【0036】
【表2】
【0037】表2から明らかなように、CR−286の
変異株の中から、Km値が親株(CR−286(比較例
1))に比べて増大している株を発見することができた
(実施例1参照)。この新たな変異株を、CR−386
株と命名し(微工研菌寄第13159号)、以下の5−
アミノレブリン酸の製造例に供した。また、CR−38
6は、5−アミノレブリン酸デヒドラターゼのレブリン
酸に対するKi値が親株(CR−286(比較例3))
に比べて殆ど変化しておらず、5−アミノレブリン酸に
対する親和性のみが特異的に変化した株であることが判
り、この株のレブリン酸の阻害効果は、親株に比べて非
常に大きくなっていることがわかる(実施例2参照)。
【0038】実施例3 培地1に酵母エキス10g/Lとなるように加え、これ
を21mmφの試験管2本に、10mLづつを分注し、
121℃で15分間滅菌し、冷却した。これにCR−3
86株を−白金耳植菌し、30℃、5kluxの光照射
下の嫌気条件下で静置培養した。48時間後、グリシン
とコハク酸をそれぞれ30mMと、レブリン酸を上記の
試験管の1本には5mMを、別の1本には30mMをそ
れぞれ加え、さらに30℃、5kluxの光照射下の嫌
気条件下で静置培養し、レブリン酸添加後、24時間後
および48時間後に生成した5−アミノレブリン酸をエ
ーリッヒ法により比色定量した。結果を表3に示す。
【0039】比較例5 使用した菌株をCR−286株とする以外は、実施例3
と同様にして5−アミノレブリン酸を製造し、定量し
た。結果を表3に示す。
【0040】比較例6 使用した菌株をロドバクター・セファロイデスIFO1
2203とする以外は、実施例3と同様にして5−アミ
ノレブリン酸を製造し、定量した。結果を表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】表3から明らかなように、CR−386株
は、低濃度のレブリン酸の添加で、5−アミノレブリン
酸を著量に蓄積することがわかる。
【0043】実施例4 2Lの培地1に20gの酵母エキスを加えた培地3を調
製し、5L容坂口フラスコに1Lづつ分注し、121℃
で15分間滅菌し、室温に冷却した。培地2の10mL
を分注し、上記と同様にして滅菌した2本の21mmφ
の試験管にて、48時間、5kluxの光照射下で培養
したCR−386株を、上記坂口フラスコに植菌した。
これを、好気条件下、30℃、100rpmで48時間
振とう培養し、無菌的に遠心分離して集菌した後、1L
の培地3を含む1L容ル式瓶に無菌的に移して懸濁させ
た。これに、グリシンとコハク酸をそれぞれ60mM
と、レブリン酸を30mM加え、30℃、5kluxの
光照射下の嫌気条件下で静置培養し、96時間後に生成
した5−アミノレブリン酸をエーリッヒ法により比色定
量した結果、1.6g/Lの5−アミノレブリン酸が生
産されていることが確認された。
【0044】実施例5 表4に示した組成の培地1Lを、内容量2Lの醗酵槽に
入れ、121℃で15分間滅菌し、室温に冷却した。
【0045】
【表4】
【0046】上記の醗酵槽に、予め培地4を200mL
入れた1L容の坂口フラスコで好気条件下で振とう培養
して増殖させたCR−386を植菌し、好気条件下、3
0℃、150rpm、0.1v/v/mで培養した。培
養期間中、1N水酸化ナトリウムおよび1N硫酸で、p
Hを6.5から7.0の間に保持した。48時間後、グ
リシンとコハク酸をそれぞれ30mMと、レブリン酸を
15mMを添加し、さらに酵母エキス10gを無菌的に
添加して、上記と同じ条件で培養を続けた。レブリン酸
を添加してから48時間後に生成した5−アミノレブリ
ン酸をエーリッヒ法により比色定量した結果、0.75
g/Lの5−アミノレブリン酸が生産されていることが
確認された。
【0047】以上の実施例3,4,5から明らかなよう
に、培養期間の一部または全部を好気培養とした場合、
あるいは嫌気条件下でも光照射を行う場合、いずれの条
件においても、本発明の微生物CR−386株によれ
ば、5−アミノレブリン酸を高濃度で生産することがわ
かる。
【0048】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の5−アミ
ノレブリン酸に対するミカエリス定数の増加した5−ア
ミノレブリン酸デヒドラターゼ変異酵素を有する光合成
細菌を用いれば、5−アミノレブリン酸を高生産させる
ために添加する5−アミノレブリン酸デヒドラターゼ阻
害剤を、細菌の生育を妨げない範囲内のみの添加で充分
であることが、はじめて可能になった。したがって、本
発明によれば、5−アミノレブリン酸生産微生物の生育
が良好になり、この結果として5−アミノレブリン酸の
製造量も大幅に向上する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀田 康司 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社 コスモ総合研究所 研究開発センター内 (56)参考文献 Biotechnology Let ters,Vol.13,No.8 (1991)p.589−594 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 1/20 C12P 13/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロドバクターセファロイデス(Rhod
    obacter sphaeroides)に属し、
    −アミノレブリン酸に対するミカエリス定数が野生株
    1としたとき、1.2〜100に増大した5−アミノレ
    ブリン酸デヒドラターゼ変異酵素を有することを特徴と
    する5−アミノレブリン酸生産微生物。
  2. 【請求項2】 工業技術院微生物工業研究所に微工研菌
    寄第13159号として寄託されていることを特徴とす
    る請求項1記載の5−アミノレブリン酸生産微生物。
  3. 【請求項3】 請求項1,2に記載の微生物を用いるこ
    とを特徴とする5−アミノレブリン酸の製造方法。
JP4333521A 1992-11-18 1992-11-18 5−アミノレブリン酸生産微生物および5−アミノレブリン酸の製造方法 Expired - Fee Related JP2991395B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4333521A JP2991395B2 (ja) 1992-11-18 1992-11-18 5−アミノレブリン酸生産微生物および5−アミノレブリン酸の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4333521A JP2991395B2 (ja) 1992-11-18 1992-11-18 5−アミノレブリン酸生産微生物および5−アミノレブリン酸の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06153915A JPH06153915A (ja) 1994-06-03
JP2991395B2 true JP2991395B2 (ja) 1999-12-20

Family

ID=18266977

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4333521A Expired - Fee Related JP2991395B2 (ja) 1992-11-18 1992-11-18 5−アミノレブリン酸生産微生物および5−アミノレブリン酸の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2991395B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1041154B1 (en) * 1994-12-20 2003-03-12 Cosmo Research Institute Process for the preparation of 5-aminolevulinic acid
WO2014148539A1 (ja) 2013-03-22 2014-09-25 コスモ石油株式会社 5-アミノレブリン酸又はその塩の製造方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Biotechnology Letters,Vol.13,No.8(1991)p.589−594

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06153915A (ja) 1994-06-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1041154B1 (en) Process for the preparation of 5-aminolevulinic acid
Lanzilotta et al. Microbial reduction of ketopantoyl lactone to pantoyl lactone
JP3026190B2 (ja) 5−アミノレブリン酸生産微生物及びこれを用いた5−アミノレブリン酸の製造法
US5217883A (en) Process for producing amino acid
EP0079241B1 (en) Process for producing glutathione
JP3014171B2 (ja) 4−ハロ−3−ヒドロキシブチルアミドの製造法
JP2991395B2 (ja) 5−アミノレブリン酸生産微生物および5−アミノレブリン酸の製造方法
EP0343330A2 (en) Biotransformation of L-tyrosine and L-phenylalanine to 2,5-dihydroxyphenylacetic acid
JP2816422B2 (ja) 微生物による5−アミノレブリン酸の製造方法
US4540665A (en) Process for producing D-β-hydroxyalkanoic acid
EP1018546B1 (en) Microorganisms producing 5-aminolevulinic acid and processes for producing 5-aminolevulinic acid by using the same
JPH06169758A (ja) 微生物及び5−アミノレブリン酸の製造方法
JP2970966B2 (ja) 微生物及び5−アミノレブリン酸の製造方法
JP2663172B2 (ja) クロストリジウム・バイファーメンタンス
JP2005065658A (ja) 不飽和脂肪酸又はその誘導体の製造法
JP3066273B2 (ja) 5−アミノレブリン酸生産微生物
JP3413294B2 (ja) 2,5−ジヒドロキシピリジンの製造法および2,5−ジヒドロキシピリジン生産菌
US5716815A (en) Method for preparing dimethylcarboxylic acid compounds
JP3118175B2 (ja) 5−アミノレブリン酸生産菌及びその選抜方法
KR0144638B1 (ko) 코프로폴피린iii을 생산하는 미생물 및 이를 이용한 코프로폴피린 iii의 제조방법
JPH0378106B2 (ja)
EP0205303A2 (en) Microbiological method of producing ethylene
JPS6142559B2 (ja)
JPS6319153B2 (ja)
JPH02257874A (ja) ロドコッカス属細菌及びそれを用いる2―ヒドロキシ酪酸の製造法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071015

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081015

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091015

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101015

Year of fee payment: 11

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees