JPH09168200A

JPH09168200A - ステレオ音像拡大装置

Info

Publication number: JPH09168200A
Application number: JP7347992A
Authority: JP
Inventors: Kenji Kamata; 健二鎌田; Takatsugu Kuwano; 孝嗣桑野; Akihiro Fujita; 明裕藤田
Original assignee: Kawai Musical Instrument Manufacturing Co Ltd
Current assignee: Kawai Musical Instrument Manufacturing Co Ltd
Priority date: 1995-12-15
Filing date: 1995-12-15
Publication date: 1997-06-24

Abstract

(57)【要約】【課題】本発明は、２チャンネルのスピーカ再生におい
て、音質劣化が少なく、しかも簡単且つ安価なステレオ
音像拡大装置を提供することを目的とする。【解決手段】第１の入力信号から第２の入力信号を減算
して差信号を生成する第１の演算部１０と、該第１の演
算部からの差信号をフィルタリングしてフィルタ差信号
を生成するフィルタ手段１３と、第１の入力信号と該フ
ィルタ手段からのフィルタ差信号とを加算し、以て第１
の出力信号を生成する第２の演算部１１と、該第２の入
力信号から該フィルタ手段からのフィルタ差信号を減算
し、以て第２の出力信号を生成する第３の演算部１２と
を有するステレオ音像拡大装置であって、該フィルタ手
段１３は一次ローパスフィルタで構成されていることを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば電子楽器、
ゲーム機、音響機器等に適用されるものであり、ステレ
オ音像を制御する技術分野に属する。

【０００２】

【従来の技術】従来、左チャンネル用のオーディオ信号
と右チャンネル用のオーディオ信号とを生成し、これら
を左右のスピーカにそれぞれ供給し、同時に音を発生さ
せて音像を定位させる技術が知られている。以下、これ
を「２チャンネルのスピーカ再生」という。しかし、こ
の従来の音像定位技術では、主として左右の音量のバラ
ンスを変えることにより音像定位を制御するように構成
されているので、左右の平面的なパンニングしかできな
かった。しかも、この音像定位技術では、左右のスピー
カの間にしか音像を定位させることができなかった。

【０００３】ところで、最近、再生音に逆相の音を混合
することによって音像を左右のスピーカの外側に定位さ
せる技術が開発されている。この技術を用いれば、ステ
レオ音像を拡大できるので、サウンドステージの大幅な
拡大が可能である。かかる技術として、例えば、ＷＯ９
４／１６５３８（ＰＣＴ／ＵＳ９３／１２６８８）号
に、「音像操作装置及び音像拡大方法（SOUND IMAGE MA
NIPULATION APPARATUS AND METHOD FOR SOUND IMAGE EN
HANCEMENT)」が開示されている。以下これを「先行技
術」という。この先行技術では、左チャンネル用の入力
信号と右チャンネル用の入力信号との差信号が生成され
る。この差信号は、ポテンショメータでその大きさが適
宜調整されてバンドパスフィルタに供給される。バンド
パスフィルタは所定帯域成分のみを抽出し、以てフィル
タ差信号を生成する。そして、一方のチャンネル用の入
力信号にバンドパスフィルタからのフィルタ差信号が加
算され、当該チャンネル用の出力信号（オーディオ信
号）が生成される。同様に、他方のチャンネル用の入力
信号からバンドパスフィルタからのフィルタ差信号が減
算され、当該チャンネル用の出力信号（オーディオ信
号）が生成される。この左右両チャンネル用のオーディ
オ信号は、それぞれ左右のスピーカに供給される。この
先行技術に係る音像操作装置及び音像拡大方法によれ
ば、音像を左右のスピーカの外側に定位させることがで
きる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、先行技
術に係る音像操作装置では、ポテンショメータを調整し
てステレオ音像の拡大効果を大きくしようとすると、バ
ンドパスフィルタの中心周波数が強調されて音質が劣化
するという問題がある。この音質の劣化は、甚だしい場
合は、入力ソースを再生できない程度に至ることもあ
る。

【０００５】そこで、本発明は、２チャンネルのスピー
カ再生において、音質劣化が少なく、しかも簡単且つ安
価なステレオ音像拡大装置を提供することを目的とす
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明のステレオ音像拡
大装置は、上記課題を解決するために、第１の入力信号
から第２の入力信号を減算して差信号を生成する第１の
演算部と、該第１の演算部からの差信号をフィルタリン
グしてフィルタ差信号を生成するフィルタ手段と、第１
の入力信号と該フィルタ手段からのフィルタ差信号とを
加算し、以て第１の出力信号を生成する第２の演算部
と、該第２の入力信号から該フィルタ手段からのフィル
タ差信号を減算し、以て第２の出力信号を生成する第３
の演算部とを有するステレオ音像拡大装置であって、該
フィルタ手段は一次ローパスフィルタで構成されている
ことを特徴とする。

【０００７】本発明のステレオ音像拡大装置は、アナロ
グ信号又はデジタル信号を取り扱うことができる。アナ
ログ信号を取り扱うステレオ音像拡大装置においては、
第１の演算部、フィルタ手段、第２の演算部及び第３の
演算部の全部又は一部をハードウエアで構成することが
できる。また、デジタル信号を取り扱うステレオ音像拡
大装置においては、第１の演算部、フィルタ手段、第２
の演算部及び第３の演算部の全部又は一部をデジタルシ
グナルプロセッサ（以下、「ＤＳＰ」という。）又は中
央処理装置（以下、「ＣＰＵ」という。）によるソフト
ウエア処理で構成することができる。

【０００８】ここで、第１の入力信号を左チャンネル用
入力信号Ｌｉｎ、第２の入力信号を右チャンネル用入力
信号Ｒｉｎとすると、第１の演算部は、左チャンネル用
入力信号Ｌｉｎから右チャンネル用入力信号Ｒｉｎを減
算し、以て差信号ＳＤ（＝Ｌｉｎ−Ｒｉｎ）を生成す
る。この差信号ＳＤは、左右のパンニングが強い成分の
みを抽出した音に対応する。また、第１の演算部におけ
る減算によって、波長が長い低域成分は差信号ＳＤから
取り除かれる。なお、この低域成分は定位感にあまり作
用しない。この差信号ＳＤは、一次ローパスフィルタに
供給される。

【０００９】一次ローパスフィルタでは、差信号ＳＤか
ら位相変化が少ない高域成分が取り除かれ、以てフィル
タ差信号ＳＦが生成される。そして、第２の演算部は、
一次ローパスフィルタからのフィルタ差信号ＳＦを、左
チャンネル用入力信号Ｌｉｎに加算する。従って、第１
の出力信号（左チャンネル用出力信号Ｌｏｕｔ）は「２
Ｌｉｎ−Ｒｉｎ」を反映した信号となる。一方、第３の
演算部は、右チャンネル用入力信号Ｒｉｎから一次ロー
パスフィルタからのフィルタ差信号ＳＦを減算する。従
って、第２の出力信号（右チャンネル用出力信号Ｒｏｕ
ｔ）は「２Ｒｉｎ−Ｌｉｎ」を反映した信号となる。こ
のようにして生成された左チャンネル用出力信号Ｌｏｕ
ｔ及び右チャンネル用出力信号Ｒｏｕｔをそれぞれ左右
のスピーカに供給すれば、音像を左右のスピーカの外側
に定位させることができる。

【００１０】本ステレオ音像拡大装置によれば、フィル
タ手段として、一次ローパスフィルタを用いたので、先
行技術に開示された音像操作装置のように、バンドパス
フィルタの中心周波数が強調されて音質が劣化するとい
う問題が解消される。また、フィルタ手段として一次ロ
ーパスフィルタを用いたので、先行技術に開示された音
像操作装置に比べ、構成が簡単になる。即ち、先行技術
に開示された音像操作装置に使用されているフィルタに
比べ、フィルタをハードウエアで構成する場合は、その
ハードウエア量を略半分にすることができる。また、フ
ィルタをＤＳＰ又はＣＰＵで構成する場合は、ＤＳＰ又
はＣＰＵの演算量が略半分になる。

【００１１】なお、以上の説明では、第１の入力信号を
左チャンネル用入力信号Ｌｉｎとし、第２の入力信号を
右チャンネル用入力信号Ｒｉｎとしたが、第１の入力信
号を右チャンネル用入力信号Ｒｉｎとし、第２の入力信
号を左チャンネル用入力信号Ｌｉｎとしてもよい。この
場合、第１の出力信号は右チャンネル用出力信号Ｒｏｕ
ｔとなり、第２の出力信号は左チャンネル用出力信号Ｌ
ｏｕｔとなる。

【００１２】また、本発明のステレオ音像拡大装置は、
第１のスピーカ及び第２のスピーカを更に備え、第１の
出力信号を第１のスピーカに、第２の出力信号を第２の
スピーカにそれぞれ供給するように構成できる。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明のステレオ音像拡大
装置の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明す
る。

【００１４】図１は、本発明のステレオ音像拡大装置の
一実施の形態の構成を示すブロック図である。図１にお
いて、外部からの左チャンネル用入力信号Ｌｉｎは、第
１の演算部１０及び第２の演算部１１に供給される。ま
た、外部からの右チャンネル用入力信号Ｒｉｎは、第１
の演算部１０及び第３の演算部１２に供給される。外部
に接続される機器としては、左チャンネル用の信号及び
右チャンネル用の信号の出力端子を有する電子楽器、ゲ
ーム機、音響機器等が挙げられる。

【００１５】第１の演算部１０は、左チャンネル用入力
信号Ｌｉｎから右チャンネル用入力信号Ｒｉｎを減算し
て差信号ＳＤを生成する。この第１の演算部１０は、例
えば、左チャンネル用入力信号Ｌｉｎがアナログ信号で
ある場合は演算増幅器で、デジタル信号である場合はＤ
ＳＰ又はＣＰＵによる減算処理で構成することができ
る。この第１の演算部１０から出力される差信号ＳＤ
は、一次ローパスフィルタ１３に供給される。

【００１６】なお、第１の演算部１０は、減算結果に所
定の乗算係数を乗算する乗算部（図示しない）を設ける
ように構成してもよい。この場合、乗算係数は、外部
（例えば図示しないＣＰＵ）から供給するように構成で
きる。この所定の乗算係数は、左チャンネル用出力信号
Ｌｏｕｔ及び右チャンネル用出力信号Ｒｏｕｔに対して
差信号ＳＤを混合する割合を増減するために使用するこ
とができる。

【００１７】一次ローパスフィルタ１３は、第１の演算
部１０からの差信号ＳＤの高域成分を除去し、フィルタ
差信号ＳＦとして出力する。差信号ＳＤがアナログ信号
の場合は、一次ローパスフィルタ１３として、例えば抵
抗ＲとキャパシタＣとから成る周知のフィルタを用いる
ことができる。また、差信号ＳＤがデジタル信号の場合
は、一次ローパスフィルタ１３として、遅延素子、係数
乗算器及び加算器で構成されるデジタルフィルタを用い
ることができる。更に、差信号ＳＤがデジタル信号の場
合は、遅延素子、係数乗算器及び加算器の機能をＤＳＰ
又はＣＰＵの処理で実現することもできる。この一次ロ
ーパスフィルタ１３としては、例えばカットオフ周波数
７００ＨｚのＩＩＲ型のフィルタを用いることができ
る。この一次ローパスフィルタ１３からのフィルタ差信
号ＳＦは、第２の演算部１１及び第３の演算部１２に供
給される。

【００１８】第２の演算部１１は、左チャンネル用入力
信号Ｌｉｎと一次ローパスフィルタ１３からのフィルタ
差信号ＳＦとを加算し、左チャンネル用出力信号Ｌｏｕ
ｔを生成する。この第２の演算部１１は、例えば、左チ
ャンネル用入力信号Ｌｉｎがアナログ信号である場合は
演算増幅器で、デジタル信号である場合はＤＳＰ又はＣ
ＰＵによる加算処理で構成することができる。この第２
の演算部１１からの左チャンネル用出力信号Ｌｏｕｔ
は、本ステレオ音像拡大装置の外部に出力される。

【００１９】第３の演算部１２は、右チャンネル用入力
信号Ｒｉｎから一次ローパスフィルタ１３からのフィル
タ差信号ＳＦを減算し、右チャンネル用出力信号Ｒｏｕ
ｔを生成する。この第３の演算部１２は、例えば、右チ
ャンネル用入力信号Ｒｉｎがアナログ信号である場合は
演算増幅器で、デジタル信号である場合はＤＳＰ又はＣ
ＰＵによる減算処理で構成することができる。この第３
の演算部１２からの右チャンネル用出力信号Ｒｏｕｔ
は、本ステレオ音像拡大装置の外部に出力される。

【００２０】以上の構成において、本ステレオ音像拡大
装置の動作につき、信号の流れに沿って説明する。

【００２１】左チャンネル用入力信号Ｌｉｎ及び右チャ
ンネル用入力信号Ｒｉｎが入力されると、第１の演算部
１０は差信号ＳＤを生成し、一次ローパスフィルタ１３
に供給する。一次ローパスフィルタ１３は、この差信号
ＳＤの高域成分が除去されたフィルタ差信号ＳＦを生成
し、第２の演算部１１及び第３の演算部１２に供給す
る。そして、第２の演算部１１においては、左チャンネ
ル用入力信号Ｌｉｎにフィルタ差信号ＳＦが加算されて
左チャンネル用出力信号Ｌｏｕｔが生成される。ここ
で、フィルタ差信号ＳＦは「Ｌｉｎ−Ｒｉｎ」に基づき
得られるので、左チャンネル用出力信号Ｌｏｕｔは「２
Ｌｉｎ−Ｒｉｎ」を反映した信号となる。同様に、第３
の演算部１２においては、右チャンネル用入力信号Ｒｉ
ｎからフィルタ差信号ＳＦが減算されて右チャンネル用
出力信号Ｒｏｕｔが生成される。この右チャンネル用出
力信号Ｒｏｕｔは「２Ｒｉｎ−Ｌｉｎ」を反映した信号
となる。

【００２２】これらの左チャンネル用出力信号Ｌｏｕｔ
及び右チャンネル用出力信号Ｒｏｕｔを、それぞれ左右
のスピーカに供給して音を発生させれば、左チャンネル
用スピーカの内側に定位していた音像は左チャンネル用
スピーカの更に左側に定位し、また、右チャンネル用ス
ピーカの内側に定位していた音像は右チャンネル用スピ
ーカの更に右側に定位する。これにより、ステレオ音像
は拡大される。

【００２３】図２は、図１に示したステレオ音像拡大装
置の変形例である。この変形例では、第１の演算部１０
は、右チャンネル用入力信号Ｒｉｎから左チャンネル用
入力信号Ｌｉｎを減算して差信号ＳＤを生成し、一次ロ
ーパスフィルタ１３は、フィルタ差信号ＳＦを生成す
る。そして、第２の演算部１１では、左チャンネル用入
力信号Ｌｉｎからフィルタ差信号ＳＦが減算されて左チ
ャンネル用出力信号Ｌｏｕｔが生成される。ここで、フ
ィルタ差信号ＳＦは、「Ｒｉｎ−Ｌｉｎ」に基づき得ら
れるので、左チャンネル用出力信号Ｌｏｕｔは「２Ｌｉ
ｎ−Ｒｉｎ」を反映した信号となる。同様に、第３の演
算部１２においては、右チャンネル用入力信号Ｒｉｎに
フィルタ差信号ＳＦが加算されて右チャンネル用出力信
号Ｒｏｕｔが生成される。この右チャンネル用出力信号
Ｒｏｕｔは「２Ｒｉｎ−Ｌｉｎ」を反映した信号とな
る。このように、この変形例においても、上述したステ
レオ音像拡大装置と同様の左チャンネル用出力信号Ｌｏ
ｕｔ及び右チャンネル用出力信号Ｒｏｕｔが生成される
ので、上述した効果と同様の効果を奏する。

【００２４】次に、上述したステレオ音像拡大装置を利
用した音像拡大システムの例について、図３を参照しな
がら説明する。図３において、パーソナルコンピュータ
は、ＭＩＤＩデータを音源モジュールに送る。音源モジ
ュールは、受信したＭＩＤＩデータに従って、左チャン
ネル用入力信号Ｌｉｎ及び右チャンネル用入力信号Ｒｉ
ｎを生成する。これら左チャンネル用入力信号Ｌｉｎ及
び右チャンネル用入力信号Ｒｉｎは、本発明のステレオ
音像拡大装置に供給される。そして、本ステレオ音像拡
大装置において、上述したような処理が行われることに
より、左チャンネル用出力信号Ｌｏｕｔ及び右チャンネ
ル用出力信号Ｒｏｕｔが生成される。これら左右チャン
ネル用出力信号Ｌｏｕｔ及びＲｏｕｔは、それぞれ左チ
ャンネル用スピーカ及び右チャンネル用スピーカに供給
される。この両スピーカから発生された音によって形成
される音像は左右のスピーカの外側に定位する。

【００２５】なお、この音像拡大システムでは、パーソ
ナルコンピュータから音源モジュールにＭＩＤＩデータ
を送信する構成としたが、ＭＩＤＩデータに限定され
ず、楽音を制御できるデータであれば種々のタイプの楽
音制御データを用いることができる。また、パーソナル
コンピュータの代わりに、楽音制御データを記憶可能な
装置、例えば電子楽器、シーケンサ、その他の種々の装
置を用いることができる。更に、左チャンネル用入力信
号Ｌｉｎ及び右チャンネル用入力信号Ｒｉｎを生成する
装置も音源モジュールに限定されない。音源モジュール
の代わりに、例えば、電子楽器、ゲーム機、音響機器等
を用いることができる。

【００２６】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明のステレオ
音像拡大装置によれば、２チャンネルのスピーカ再生に
おいて、音質劣化が少なく、しかも簡単且つ安価なステ
レオ音像拡大装置を提供することができる。また、本発
明のステレオ音像拡大装置によれば、入力された信号に
対し音像をスピーカの外側に定位させるように制御する
ので、サウンドステージの大幅な拡大が可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のステレオ音像拡大装置の一実施の形態
の構成を示すブロック図である。

【図２】本発明のステレオ音像拡大装置の変形例を示す
図である。

【図３】本発明のステレオ音像拡大装置を使用した音像
拡大システムの一例を示す図である。

【符号の説明】

１０第１の演算部１１第２の演算部１２第３の演算部１３一次ローパスフィルタ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】第１の入力信号から第２の入力信号を減
算して差信号を生成する第１の演算部と、該第１の演算部からの差信号をフィルタリングしてフィ
ルタ差信号を生成するフィルタ手段と、該第１の入力信号と該フィルタ手段からのフィルタ差信
号とを加算し、以て第１の出力信号を生成する第２の演
算部と、該第２の入力信号から該フィルタ手段からのフィルタ差
信号を減算し、以て第２の出力信号を生成する第３の演
算部とを有するステレオ音像拡大装置であって、該フィルタ手段は一次ローパスフィルタで構成されてい
ることを特徴とするステレオ音像拡大装置。
【請求項２】第１のスピーカ及び第２のスピーカを更
に備え、前記第１の出力信号を該第１のスピーカに、前
記第２の出力信号を該第２のスピーカにそれぞれ供給す
ることを特徴とする請求項１に記載のステレオ音像拡大
装置。