JPH09167A - 酸性リン脂質の濃縮法 - Google Patents

酸性リン脂質の濃縮法

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JPH09167A
JPH09167A JP15744595A JP15744595A JPH09167A JP H09167 A JPH09167 A JP H09167A JP 15744595 A JP15744595 A JP 15744595A JP 15744595 A JP15744595 A JP 15744595A JP H09167 A JPH09167 A JP H09167A
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lecithin
mixed solvent
acetone
lower alcohol
acidic
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JP15744595A
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English (en)
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Tomoshige Umeda
智重 梅田
Yoshihisa Katsuragi
能久 桂木
Kazuya Otsuji
一也 大辻
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Kao Corp
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Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 レシチンを低級アルコールとアセトンの混合
溶媒で処理し、当該混合溶媒画分を除去する酸性リン脂
質の濃縮法。 【効果】 本発明の方法によれば、レシチンから比較的
簡易にしかも、アセトン又は低級アルコール各々単独で
用いる場合に比較して格段に高い濃度の酸性リン脂質を
含有する脂質混合物を得ることができる。また、当該脂
質混合物は、乳化剤あるいは苦味抑制剤として有用であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品、経口用医薬、化
粧料用の乳化剤、苦味抑制剤等に有用な酸性リン脂質を
レシチンから高濃度に濃縮する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、レシチン、特に大豆から得られる
油を含有したペースト状の脂質混合物は、その原料由来
と考えられる中性脂質、脂肪酸、炭水化物、蛋白質、無
機塩、ステロール、色素等の様々な不純物を含有してお
り、それら特有の色と風味のため、特に食品に添加した
場合、食品本来のもつ色相と風味を損ねてしまうという
欠点があった。一方、レシチンには、食品、経口用医
薬、化粧品用の乳化剤あるいは苦味抑制剤として有用な
酸性リン脂質も含まれている。そこで、前記不純物を除
去する方法として、アセトンで処理する方法(米国特許
第3268335号等)、アルコール、例えばエタノー
ル等で処理する方法(米国特許第2945869号公
報、同第2724649号公報、特公昭59−5263
号公報、特開昭59−51253号公報)、含水アルコ
ール又は非極性有機溶剤とを組み合わせた2相分配系に
おいてレシチンを抽出する方法(特開昭54−6120
0号公報)等があるが、不純物の除去としては不十分で
あるか、又はホスファチジルコリンの濃縮を目的とした
ものである。また、前記酸性リン脂質をレシチンから取
り出す方法としては、レシチンから抽出、分離されたリ
ン脂質類縁体を、化学修飾又は酵素処理により改質する
方法があり、例えば、油糧種子、キャベツ、米ぬか等の
植物由来のホスホリパーゼD、あるいは微生物(特開平
2−312551号公報)が産出するホスホリパーゼD
を用い、中性リン脂質であるホスファチジルコリンを加
水分解し、ホスファチジン酸を得る方法、ホスホリパー
ゼDを用いてリン酸基のエステル交換を行い、ホスファ
チジルコリンをホスファチジルグリセロール(特開平3
−22991号公報)あるいはホスファチジルセリン等
へと変換する方法等がある。さらに、脂質混合物中の酸
性リン脂質濃度を高めるため、脂質混合物を酵素分解し
たり、溶剤分画処理した後、アセトン処理、膜分離等の
処理を行う方法がある。
【0003】しかしながら、これらの方法によってもレ
シチンから得られる酸性リン脂質の濃度は十分とは言え
ず、さらに高濃度の酸性リン脂質を得る方法が望まれて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、レシチンから高濃度に酸性リン脂質を得る方法を提
供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者らは、鋭意検討した結果、レシチンを低級アルコ
ールとアセトンの混合溶媒で処理すれば、酸性リン脂質
が高濃度で得られることを見出し、本発明を完成するに
至った。すなわち、本発明は、レシチンを低級アルコー
ルとアセトンの混合溶媒で処理し、当該混合溶媒画分を
除去する酸性リン脂質の濃縮法を提供するものである。
【0006】本発明で用いられる原料のレシチンは、特
に制限されないが、大豆レシチン、卵黄レシチン、菜種
レシチン、コーンレシチン等の動植物より得られる脂質
混合物が挙げられ、その中でも、特に大豆レシチンが好
ましい。また、レシチンの形態は、ペースト状、粉末状
いずれでもよい。レシチンの純度も特に制限されず、予
め公知の精製法により不純物を取り除いたもの、あるい
は、既知の手段により酸性リン脂質の濃度を高めたもの
を用いてもよいが、好ましくは、純度40%以上のもの
がよい。
【0007】レシチン中には、酸性リン脂質の他に、ホ
スファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノー
ルアミン(PE)又はこれらのリゾ体等の中性リン脂
質;トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド等
の中性脂質;脂肪酸、ステロール脂質及び糖脂質等をい
かなる割合で含んでいてもよいが、例えば中性リン脂質
10〜60重量%、中性脂質0〜60重量%、酸性リン
脂質5〜80重量%、その他5〜50重量%含まれてい
るのが好ましい。本発明の酸性リン脂質の濃縮法は、レ
シチンを低級アルコールとアセトンの混合溶媒で処理す
ることが必要である。
【0008】低級アルコールとしては、特に制限されな
いが、メタノール、イソプロパノール、エタノールが挙
げられ、このうち、特に、エタノールが好ましい。
【0009】低級アルコールとアセトンとの比率は、特
に制限されないが、濃縮効果を上げるため、重量比で1
/99〜99/1が好ましく、10/90〜95/5が
特に好ましい。
【0010】また、レチシンと低級アルコールとアセト
ンの混合溶媒の割合は、特に制限されないが、レシチン
1重量部に対し、混合溶媒を0.1〜100重量部、好
ましくは、1〜50重量部、特に好ましくは5〜35重
量部である。レシチンに対し、混合溶媒の量が少なすぎ
ると濃縮効率が悪くなり、逆に多すぎると回収率が低下
し、好ましくない。
【0011】レシチンを低級アルコールとアセトンの混
合溶媒で処理する方法は特に制限されないが、室温以
上、好ましくは25℃〜60℃の温度でレシチンと当該
混合溶媒の混合物を攪拌・ろ過し、当該混合溶媒の抽出
残渣を得る方法が挙げられる。この抽出操作は、2〜3
回繰り返し行うことが好ましい。得られた抽出残渣から
含液している当該混合溶媒を除去して酸性リン脂質濃縮
物を得ることが好ましい。
【0012】本発明の方法により得られる酸性リン脂質
としては、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホス
ファチジン酸(PA)、ホスファチジルセリン(P
S)、リゾホスファチジン酸(L−PA)が挙げられ、
これらは、各々如何なる割合で含まれていても構わない
が、特に、リン脂質中(中性リン脂質と酸性リン脂質の
合計量)、PAとPIの合計量が50〜90重量%、好
ましくは、60〜85重量%含まれていることが好まし
い。
【0013】本発明の方法により得られた酸性リン脂質
を高濃度に含む脂質混合物(以下、「酸性リン脂質濃縮
法」という場合もある)は、食品の苦味抑制剤として用
いる場合、さらに、当該脂質混合物中に含まれる中性脂
質や中性リン脂質を公知の方法によって除去することに
より苦味低減化効果を高めることができる。
【0014】本発明の方法により得られた酸性リン脂質
濃縮物は、飲料を含む食品、医薬品又は化粧品に好まし
く用いることができる。
【0015】本発明の方法により得られた酸性リン脂質
濃縮物の適用対象とされる食品の例としては、グレープ
フルーツ、オレンジ、レモン等の柑橘類及びこれらを含
む果汁;トマト、ピーマン、セロリ、ウリ、ニンジン、
ジャガイモ、アスパラガス等の野菜及びこれらを含む野
菜汁及び野菜ジュース;ソース、醤油、味噌、うま味調
味料及び唐辛子等の調味料;豆乳、豆乳などの大豆食
品;クリーム、ドレッシング、マヨネーズ及びマーガリ
ン等の乳化食品;魚肉、すり身及び魚卵等の水産加工食
品;ピーナツ等のナッツ類;納豆等の発酵商品;肉類及
び食肉加工品;ビール、コーヒー、ココア、紅茶、緑
茶、発酵茶、半発酵茶、清涼飲料、及び機能性飲料等の
飲料;漬物類;めん類;粉末スープを含むスープ類;チ
ーズ、牛乳等の乳製品類;パン・ケーキ類;スナック菓
子、チューインガム、チョコレートなどの菓子類;キャ
ンディー類;健康食品等を挙げることができる。
【0016】本発明の方法により得られた酸性リン脂質
濃縮物の適用対象とされる経口用医薬としては、従来か
ら医薬品として用いられている各種の苦味を呈する薬物
を挙げることができる。特に、塩基性薬物(例えば、ス
トリキニーネ、キニーネ、パパベリン、ベルベリン、ブ
ロメタジン、ブルシン、プロプラノロール、クロルプロ
マジンなど)の酸付加塩の苦味低減に有効である。酸付
加塩の例としては、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、
クエン酸塩、炭酸塩等の鉱酸塩及び有機酸塩を挙げるこ
とができる。
【0017】また、適用対象とされる化粧品としては、
顔面に用いる化粧品及び口腔に用いられる化粧品が挙げ
られる。顔面に用いられる化粧品の例としては、化粧
水、乳液、クリーム、パック、口紅、ファンデーショ
ン、ヒゲ剃り補助剤、アフターシェーブローション、ク
レンジングフォーム及びクレンジングジェルを挙げるこ
とができる。また、口腔に用いられる化粧品としては、
例えば、歯磨き、マウスウォッシュ、及びマウスリンス
を挙げることができる。このような苦味を有する化粧品
中の苦味を呈する成分としては、例えば、アルキル硫酸
ナトリウム、モノアルキルリン酸ナトリウム等の界面活
性剤、メントール、リナロール、フェニルエチルアルコ
ール、プロピオン酸エチル、ゲラニオール、リナリール
アセテート、ベンジルアセテート等の香料、メチルパラ
ベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等の殺菌剤、
乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿剤、8−アセチル化蔗
糖、ブルシン等のアルコール変性剤、乳酸アルミニウム
等の収れん剤等を挙げることができる。
【0018】
【発明の効果】本発明の方法によれば、レシチンから比
較的簡易に、しかも、アセトン又は低級アルコール各々
単独で用いる場合に比較して格段に高い濃度の酸性リン
脂質を含有する脂質混合物を得ることができる。また、
当該脂質混合物は、乳化剤あるいは苦味抑制剤として有
用である。
【0019】
【実施例】次に本発明を実施例により、さらに具体的に
説明するが、これは、単に例示であって本発明を制限す
るものではない。
【0020】実施例1 表1に示す組成の大豆レシチン(SLP−ペースト;ツ
ルーレシチン工業社製)100gをエタノール80重量
部とアセトン20重量部の混合溶媒500mlで攪拌・ろ
過を行い、第1抽出残渣を得た。次に、第1抽出残渣物
を同割合の当該混合溶媒で攪拌・ろ過し第2抽出残渣を
得た。この操作をくり返し、得られた抽出残渣の脱溶剤
を行った。
【0021】実施例2 大豆レシチンの代わりに精製大豆レシチン(SLP−
W;ツルーレシチン工業社製)を用いた以外は実施例1
と同様の方法に従い、酸性リン脂質濃縮物を得た。
【0022】比較例1 大豆レシチンの代わりに精製大豆レシチンを用い、エタ
ノール80重量部とアセトン20重量部の混合溶媒の代
わりにアセトンを用いた以外は、実施例1と同様の方法
に従い、脂質混合物を得た。
【0023】比較例2 大豆レシチンの代わりに精製大豆レシチンを用い、エタ
ノール80重量部とアセトン20重量部の混合溶媒の代
わりに95%エタノールを用いた以外は、実施例1と同
様の方法に従い、脂質混合物を得た。
【0024】比較例3 精製大豆レシチン(SLP−W;ツルーレシチン工業社
製)10gをヘキサン200gに溶解し、300ml分液
ロートに入れ、これに90%エタノール5gを加え、激
しく振とうした。振とう後、下層を除去し、さらに上記
エタノールを同量加え、同様の操作を行った。この操作
を都合6回繰り返し、上層を回収し、溶剤をトッピンク
して、脂質混合物を得た。
【0025】
【表1】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レシチンを低級アルコールとアセトンの
    混合溶媒で処理し、当該混合溶媒画分を除去することを
    特徴とする酸性リン脂質の濃縮法。
  2. 【請求項2】 レシチンが大豆レシチン、卵黄レシチ
    ン、菜種レシチン及びコーンレシチンから選ばれる1種
    以上である請求項1記載の酸性リン脂質の濃縮法。
  3. 【請求項3】 低級アルコールがエタノールである請求
    項1又は2記載の酸性リン脂質の濃縮法。
  4. 【請求項4】 低級アルコールとアセトンの混合溶媒を
    レシチン1重量部に対して0.1〜100重量部用いる
    請求項1〜3いずれか1項記載の酸性リン脂質の濃縮
    法。
JP15744595A 1995-06-23 1995-06-23 酸性リン脂質の濃縮法 Pending JPH09167A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1305882C (zh) * 2005-04-30 2007-03-21 海城后英生物工程有限公司 大豆卵磷脂的加工工艺
WO2011061995A1 (ja) * 2009-11-20 2011-05-26 キユーピー 株式会社 精製卵黄リン脂質組成物の製造方法およびこれにより得られた精製卵黄リン脂質組成物を用いた医薬品組成物、化粧品組成物、または食品組成物
JP2016144419A (ja) * 2015-02-06 2016-08-12 サントリーホールディングス株式会社 果汁含有アルコール飲料
US9567356B2 (en) 2012-10-24 2017-02-14 Cargill, Incorporated Method for the fractionation of phospho-lipids from phospholipid-containing material

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US9567356B2 (en) 2012-10-24 2017-02-14 Cargill, Incorporated Method for the fractionation of phospho-lipids from phospholipid-containing material
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