JPH09166797A - 非線形光学材料およびその製造方法 - Google Patents

非線形光学材料およびその製造方法

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JPH09166797A
JPH09166797A JP7326913A JP32691395A JPH09166797A JP H09166797 A JPH09166797 A JP H09166797A JP 7326913 A JP7326913 A JP 7326913A JP 32691395 A JP32691395 A JP 32691395A JP H09166797 A JPH09166797 A JP H09166797A
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matrix
optical material
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cuprous halide
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Yoshiyuki Ono
好之 小野
Katsuhiro Sato
克洋 佐藤
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    • G02F1/355Non-linear optics characterised by the materials used
    • G02F1/361Organic materials
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G73/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a linkage containing nitrogen with or without oxygen or carbon in the main chain of the macromolecule, not provided for in groups C08G12/00 - C08G71/00
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハロゲン化第1銅の変質が防止された、優れ
た非線形光学効果を有する非線形光学材料、およびそれ
を簡単な装置で低温で容易に製造する方法を提供する。 【解決手段】 入射光に対して非線形応答を示す非線形
光学材料であって、官能基を有するマトリックス形成性
物質における該官能基の反応に伴って析出したハロゲン
化第1銅粒子がマトリックス中に分散され、かつ、該マ
トリックス中にハロゲン化第1銅の変質を防ぐ化合物が
含有されている。この非線形光学材料は、官能基を有す
るマトリックス形成性物質とハロゲン化第1銅の変質を
防ぐ化合物との混合物に、ハロゲン化第1銅を混合して
均一溶液を形成し、次いで、官能基を反応させてマトリ
ックスを形成すると同時に、ハロゲン化第1銅微粒子を
マトリックス中に析出させることにより製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非線形光学効果を有す
る半導体微粒子を分散させた非線形光学材料およびその
製造方法に関する。より詳しくは、有機高分子化合物ま
たは有機高分子化合物を含む混合媒体中に、ハロゲン化
第1銅微粒子を分散、析出させた非線形光学材料および
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】情報処理の高度化に伴って、光コンピュ
ターの基幹技術となる光理論素子や光スイッチ等の実現
化を目的として、非線形光学効果の大きい材料の探索が
進められている。従来、非線形光学材料としては、Li
NbO3 、BaTiO3 、KH2 PO4 等の無機強誘電
体、GaAs等を用いた量子井戸構造半導体、4′−ニ
トロベンジリデン−3−アセトアミノ−4−メトキシア
ニリン(MNBA)、2−メチル−4−ニトロアニリン
(MNA)等の有機単結晶、ポリジアセチレン、ポリア
リーレンビニレン等の共役有機高分子、CdS、CdS
Se等をガラス中に分散させた半導体微粒子分散ガラス
等が知られている。
【0003】特に、1983年に米国でJainとLi
ndによって、ガラス中に半導体微粒子が分散された、
いわゆる色ガラスフィルターが高い3次の非線形光学効
果を示すこと[例えば、J.Opt.Soc.Am.,
73,647(1983)]が発見されて以来、半導体
微粒子分散ガラスは、高い非線形光学感受率と高速応答
性を併せ持つ有望な非線形光学材料として、精力的に研
究が進められている。
【0004】ところで、この種のガラスを製造するに当
っては、分散媒としてのガラスまたはその出発原料の粉
末と半導体または金属の原料粉末との混合物を加熱溶融
してガラス融液とし、このガラス融液を金属板等にキャ
ストする等の手段で室温付近まで急冷して、半導体構成
元素がイオンとして溶解した過冷却ガラス固溶体を得た
後、適当な温度で一定時間再熱処理することにより半導
体微粒子を析出させる、いわゆる溶融急冷法が一般的に
用いられている。しかしながら、この方法では、100
0℃以上の高温で半導体原料を加熱する必要があり、半
導体原料の分解、蒸発が起こるため、適用できる半導体
の種類、添加できる半導体の量に限りがあり、実用化の
ため、より高い非線形光学効果を有する材料を実現する
上で障害となっていた。
【0005】また、その他のプロセスとして、スパッタ
リング法により、ターゲットとしてガラスまたはSiO
2 とCdS、CdTe等の単体半導体多結晶とを用い
て、半導体微粒子分散ガラスを作製する方法が提案され
ている(例えば、J.Appl.Phys.,63
(3),957(1988)、特開平2−307832
号公報等)。さらに、ガラス以外のマトリックスとし
て、高分子化合物を用いて、蒸着等の気相法により高分
子化合物中に半導体微粒子を分散させる方法が提案され
ている(特開平3−119326号公報、特開平3−1
40035号公報)。
【0006】これらの気相法による方法によれば、上記
溶融急冷法に比べ、より多くの半導体を添加することが
できる。しかしながら、無機マトリックス、有機マトリ
ックスのいずれの場合でも、作製装置が高価であり、ま
た、成膜速度が遅いため、薄膜形成には採用できるもの
の、厚膜化が困難であった。また、得られる素子の形態
が薄膜に限られるため、その用途が限定されるという欠
点があった。
【0007】上記問題を解決する手段として、ゾルゲル
法により形成されるシリカゲルマトリックス中に半導体
微粒子または金属微粒子を分散、保持させて、低温で半
導体微粒子分散ガラスを調製する方法が提案されてい
る。このような方法としては、例えば、予めCVD法等
の方法により調製された半導体微粒子をシリコンアルコ
キシドの加水分解溶液(ゾル溶液)中に分散させた後、
ゲル化してガラス中に半導体微粒子を固定化する方法
(特開平2−271933号公報)、シランカップリン
グ剤を含むゾル溶液中に半導体微粒子を添加または析出
させた後、ゲル化してガラス中に半導体微粒子を固定化
する方法(特開平3−199137号公報)、酢酸カド
ミウムを含有するシリカゲルを形成した後、この酢酸カ
ドミウムと硫化水素ガスとを反応させ、シリカゲル中に
硫化カドミウム微粒子を析出させて、半導体微粒子分散
ガラスを得る方法[日本セラミック協会1989年年次
大会講演予稿集,講演番号2F20、J.Non−Cr
yst.Solids,122,101(1990)]
等が知られている。
【0008】しかしながら、従来のゾルゲル法で一般に
用いられているテトラアルコキシシランを使用した場
合、ゲルを乾燥させる段階においてクラックが入りやす
く、また、素子化するために基板上に薄膜を形成する場
合には、充分な膜厚が得られないという問題があった。
したがって、素子として充分な膜厚を得るためには、
0.1μm以下程度の薄膜を塗布した後、この膜を数百
℃以上で焼成し、その膜の上にまた薄膜を塗布するとい
う、塗布・焼成を繰り返して適当な膜厚の膜を得る方法
が採用されている。
【0009】さらに、ゾルゲル法により形成されるシリ
カゲルマトリックス中に半導体微粒子を分散させる方法
として、予め半導体微粒子を別の手段により作製し、ゾ
ル溶液中に分散させる方法を採用した場合には、半導体
微粒子を作製する工程が付加されるため、工程が複雑に
なるばかりでなく、粒径が数百nm以下の微粒子を用い
るため、微粒子の取扱いが著しく困難であり、製造プロ
セス上好ましくないという問題があった。また、このよ
うな微粒子は凝集しやすく、媒質中に均一に分散させる
ことは難しいものであった。
【0010】また、特開平2−271933号公報に
は、超音波分散または界面活性剤を添加して、微粒子の
分散状態を改善することが有効であると記載されてい
る。しかしながら、超音波分散の場合は、薄膜形成を行
う場合の塗布・乾燥時の微粒子の凝集は避けられず、ま
た、界面活性剤を添加する場合は、添加した界面活性剤
が加熱処理時に分解または揮散して、微粒子が再凝集す
るという問題があった。
【0011】この問題に対して、特開平3−19913
7号公報には、界面活性剤の代わりにシランカップリン
グ剤を用いることが開示されており、微粒子の凝集の問
題を解決することが試みられている。この方法において
は、シランカップリング剤がゾル中では界面活性剤と同
様の働きをし、かつ、加水分解によりマトリックスに結
合するため、熱的にも安定になり、比較的分解されにく
いという特徴をもっている。さらに、上記公報には、ゾ
ルに添加する半導体微粒子の取扱いの問題を解決する手
段として、半導体原料を予め溶液として添加し、対イオ
ン源溶液または反応ガスにより、ゾル中に半導体微粒子
を生成させる方法が提案されている。しかしながら、こ
の方法を採用した場合、溶液中で析出する微粒子は、拡
散に問題があり、量子サイズ効果を有する半導体微結晶
を均一に析出させることは難しく、効果は不充分なもの
であった。
【0012】また、半導体原料イオンを含んだゲル固体
を作製した後に、硫化水素ガス等による後処理を施すこ
とにより半導体微粒子を析出させる方法は、微粒子の取
り扱いによる複雑な規定の問題や、不均一な分散の問題
はないものの、硫化水素のような非常に毒性の強いガス
を使用することから、作業環境上危険性が高く、安全確
保のため複雑な工程をとらざるを得ないという問題があ
った。さらに、後処理により微粒子を析出させる方法
は、半導体微粒子または金属微粒子の原料として、反応
媒質に可溶なものを用い、溶液中に均一に溶解すること
により、微粒子を媒質中に均質に析出させることが可能
になるといる利点を有するが、用いる原料によっては、
適当な溶媒が存在せず、そのために添加できる微粒子の
濃度が制限される場合があるという問題があった。
【0013】また、ゾルゲル法は、溶融急冷法に比べれ
ば、低温のプロセスではあるが、600℃程度の温度ま
で加熱する必要があり、したがって、加熱による半導体
原料の分解等の問題を解決するためには、より低温で操
作するプロセスがの出現が望まれている。
【0014】一方、非線形光学効果を示す半導体微粒子
または金属微粒子についても、種々の検討がなされてい
るが、特に励起子のボーア半径が小さく励起子の閉じ込
め効果が有効に働くことから、大きな3次の非線形光学
効果が期待されるハロゲン化第1銅微粒子を用いること
が検討されている。(例えば、Jornal ofNo
n−Crystalline Solids 134
(1991)71−76、Journal of Am
erican Ceramic Society 74
(1991)238−240、日本化学会誌No.10
(1992)1231−1236等)。これ等のハロゲ
ン化第1銅は、従来の媒質の原料として用いられていた
テトラエトキシシラン〔Si(OCH2 CH3 4 〕等
のシラン化合物に対して溶解しないため、溶媒が限定さ
れており、しかも溶解度が低いために、ゾル溶液中に均
一に溶解できる量が低く、その結果、生成物であるゲル
においても低濃度の微粒子しか析出させることができな
かった。一般的に、添加する微粒子の濃度が高い方が、
より高い非線形光学効果を期待することができるので、
例えば、ハロゲン化第1銅を高密度に添加して高い非線
形光学効果を示す材料を得る手法が望まれている。
【0015】本発明者等は、以上のような事情に鑑み、
高密度に金属微粒子または半導体微粒子が分散され、ま
た十分な膜厚を有し、クラックのない薄膜として使用可
能な非線形光学素子を提供する方法を提案した(特開平
7−244305号)。すなわち、官能基を有するマト
リックス形成性物質の溶液に、金属若しくは半導体、ま
たはその前駆体を混合して均一溶液を形成し、次いでそ
の官能基を反応させてマトリックスを形成すると同時
に、金属微粒子または半導体微粒子をマトリックス中に
析出させるものである。しかしながら、この方法は、酸
化されやすい材料、例えばハロゲン化第1銅を析出させ
る場合、加熱析出過程において、一部が酸化、分解等に
より変質してしまい、ハロゲン化第1銅の励起子による
吸収以外の吸収により黄色ないし褐色の着色が生じ、光
学特性上、不十分なものであった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、ハロ
ゲン化第1銅の変質が防止された、優れた非線形光学効
果を有する非線形光学材料を提供することにある。本発
明の他の目的は、上記の非線形光学材料を簡単な装置で
低温で容易に製造することができる非線形光学材料の製
造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、ハロゲン
化第1銅微粒子を分散、保持する媒体を形成する材料に
ついて、鋭意研究を重ねた結果、ハロゲン化第1銅の変
質を防止する化合物をマトリックス形成性物質に含有さ
せることによって、優れた光学特性を有する非線形光学
材料が製造可能であることを見出し、本発明を完成する
に至った。
【0018】すなわち、本発明の非線形光学材料は、入
射光に対して非線形応答を示すものであって、官能基を
有するマトリックス形成性物質における該官能基の反応
に伴って析出したハロゲン化第1銅粒子がマトリックス
中に分散され、かつ、該マトリックス中にハロゲン化第
1銅の変質を防ぐ化合物が含有されていることを特徴と
する。
【0019】本発明の非線形光学材料の製造方法は、官
能基を有するマトリックス形成性物質とハロゲン化第1
銅の変質を防ぐ化合物との混合物に、ハロゲン化第1銅
を混合して均一溶液を形成し、次いで、該官能基を反応
させてマトリックスを形成すると同時に、ハロゲン化第
1銅微粒子をマトリックス中に析出させることを特徴と
する。
【0020】本発明によれば、ハロゲン化第1銅と官能
基を有する高分子や低分子化合物等のマトリックス形成
性物質とハロゲン化第1銅の変質を防止する化合物とを
混合して官能基を反応させることにより、反応によって
析出したハロゲン化第1銅は酸化、分解等の変質が防止
される。
【0021】ここで、官能基を有するマトリックス形成
性物質とは、官能基を有する高分子や低分子化合物と、
ハロゲン化第1銅の変質を防止する化合物の、それぞれ
少なくとも1種ずつを含有し、最終的にマトリックスに
なるものを意味する。すなわち、官能基を有するマトリ
ックス形成性物質は、官能基の反応後に最終的に形成さ
れるマトリックス中に含まれる無機高分子、有機高分
子、低分子化合物を形成するための物質であり、最終的
な組成物の中で、ハロゲン化第1銅微粒子を除いた成分
を形成するための物質である。また、機械的特性、屈折
率、誘電率等の物性の調整のために、マトリックス形成
性物質は、官能基を有しない高分子等と混合して用いて
もよい。
【0022】ここで官能基の反応とは、ハロゲン化第1
銅と官能基の相互作用を減少または消失させ、ハロゲン
化第1銅の析出を促す反応を言い、官能基の反応前は、
官能基とハロゲン化第1銅との相互作用により溶解を助
長し、すなわち、ドープ量を促進させ、反応後は、ハロ
ゲン化第1銅微粒子の析出を促す反応である。官能基の
種類および官能基の反応は、上記の要件を満たす限り特
に限定されるものではなく、例えば、特開平7−244
305号公報に記載されている種々の反応を用いること
ができる。例えば官能基としては、カルボキシル基、ア
ミノ基、アミド基、ヒドロキシル基等があげられ、官能
基の反応としては、分子内、または分子間での環化反
応、縮合反応、付加反応、脱離反応等により構造の変化
を起こす反応があげられる。これらの反応は、熱、触媒
等を用いた化学処理、光等によって引き起こされ、具体
的には、下記のような反応が例示される。すなわち、
(1)加熱処理または化学処理によるイミド環形成反
応、(2)カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基
またはカルボン酸無水物基等の官能基とイソシアネート
基またはエポキシ基等との反応、(3)アミノ化合物の
酸処理による酸付加塩形成反応、および(4)その他の
反応に大別することができる。
【0023】本発明の非線形光学材料の一例として、下
記のものがあげられる。すなわち、熱硬化または化学処
理により形成された高分子化合物、特に下記式(1)で
示される繰り返し構造単位を有する高分子化合物と、酸
化防止剤等のハロゲン化第1銅の変質を防止する化合物
を含有するマトリックス中にハロゲン化第1銅微粒子が
分散されたものを例示することができる。
【化1】 (式中、Xは炭素数が2以上の4価の有機基を表し、Y
は炭素数が2以上の2価の有機基を表す。)
【0024】本発明の非線形光学材料は、ハロゲン化第
1銅と相互作用し、溶解を助長する少なくとも1種の官
能基を有するマトリックス形成性物質、例えば高分子化
合物と、酸化防止剤等のハロゲン化第1銅の変質を防ぐ
化合物とを含む混合溶液中に、ハロゲン化第1銅を混合
し、均一溶液を得た後、溶剤を除去し、その後、加熱処
理または化学処理することによって作製される。
【0025】本発明の非線形光学材料の好ましい態様
は、熱硬化可能な材料、特に下記式(2)で示される繰
り返し構造単位を有する高分子化合物を、官能基を有す
るマトリックス形成性物質として使用し、熱処理するこ
とによって、或いは化学処理することにより、ハロゲン
化第1銅微粒子を析出させることによって製造されたも
のである。
【0026】
【化2】 (式中、Xは炭素数が2以上の4価の有機基を表し、Y
は炭素数が2以上の2価の有機基を表す。)
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、上記のようなマトリックス形成のため
の前駆体として使用される前記式(2)で示される繰り
返し構造単位を有する高分子化合物について、具体的に
説明すると、前記式(2)におけるXとしては、下記に
記載の構造式で示される有機残基を例示することができ
る。
【0028】
【化3】 (式中、kは1〜6の整数を表わす。)
【0029】また、Yとしては、下記に記載の構造式で
示される有機残基を例示することができる。
【化4】
【化5】 (式中、aは1〜1000の整数を表わす。)
【0030】ここで例示した高分子化合物は、Xで示さ
れる構造を有するテトラカルボン酸二無水物とYで示さ
れる構造を有するジアミンから合成することができる。
これらの高分子化合物は、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルアセトアミド、n−メチルピロリドン、ジメチルス
ルホキシド、ジメチルスルホンアミド、m−クレゾー
ル、p−クロロフェノール、ジメチルイミダゾリン、テ
トラメチル尿素、ジグライム、トリグライム、テトラグ
ライム等の極性有機溶剤に可溶であり、スピンコーティ
ングやディップコーティング等の塗布方法により、容易
にフィルム化でき、ファイバー状に加工することもでき
る。これらの高分子化合物は、ジメチルアセトアミド等
の溶媒中30℃で固有粘度[η]が0.1〜6dl/g
の範囲にあることが好ましい。なお、本明細書におい
て、固有粘度は、種々ポリマー濃度における相対粘度の
測定値から計算した各濃度での相対粘度または還元比粘
度を、濃度0に補外することにより求められる値であ
る。またこれらの高分子化合物は、官能基としてアミド
酸構造を多く有しており、種々の無機元素および無機化
合物と相互作用する。そのため、これらの高分子化合物
は、その溶液中においてもまた溶剤を除去した固体中に
おいても、金属や半導体、或いはその原料物質である化
合物を比較的高濃度で安定に溶解する。さらにこれらの
高分子化合物を加熱するか、或いは、無水酢酸・ピリジ
ン混合溶剤中に浸して化学処理を施すと、下記に示す反
応が起こる。上記の混合溶剤の成分比は、1:1付近が
好ましい。
【0031】
【化6】 (式中、nは重合度を表わす。)
【0032】なお、加熱処理は、50〜400℃の温
度、好ましくは100〜300℃の温度で実施すること
ができる。また、化学処理に使用する溶剤は、上記の
他、無水酢酸・ピリジン・ベンゼン混合溶剤、無水酢酸
・ピリジン・ジメチルアセトアミド混合溶剤等も使用す
ることができる。また、上記の溶解、加熱および化学処
理は、全て真空中または不活性雰囲気中で行うのが好ま
しい。
【0033】上記反応が起こると、マトリックスである
高分子化合物が有していたアミド酸構造が消える代わり
にイミド環構造が形成されると共に、高分子化合物中に
溶解していたドーパントであるハロゲン化第1銅が析出
してくる。ここでマトリックスの機械的特性、屈折率、
誘電率等の物性の調整のため、他の高分子化合物等を混
合してもよい。
【0034】本発明において、マトリックス中に析出す
るハロゲン化第1銅微粒子としては、非線形光学特性を
与えるものであれば、如何なるものであってもよい。例
えば、CuCl、CuBr、CuIなどの微粒子があげ
られる。これらの材料は、0.01〜99重量%、好ま
しくは0.1〜95重量%の範囲で含有させる。
【0035】本発明における非線形光学材料において
は、非線形光学効果を与える材料として、励起子のボー
ア半径が小さく励起子の閉じ込め効果が有効に働くハロ
ゲン化第1銅微粒子を用いているため、大きな3次の非
線形光学効果が期待される。
【0036】本発明において、ハロゲン化第1銅の変質
を防ぐ化合物は、特に限定されるものではないが、ハロ
ゲン化第1銅の変質を防止し、ハロゲン化第1銅と相互
作用する官能基を有するマトリックス形成性物質と共通
の溶剤に可溶であり、それ自身および加熱生成物が使用
する光の波長、すなわち、ハロゲン化第1銅が大きな非
線形光学効果を示す波長で吸収が十分小さいものが好ま
しい。
【0037】この様な化合物としては、例えば、ヒドロ
キノン等のキノン類、BHT(2,6−ジ−t−ブチル
−4−メチルフェノール)、BHA(t−ブチルヒドロ
キシアニソール)等のフェノール類、亜リン酸トリフェ
ニル等の亜リン酸エステル類等の各種酸化防止剤があげ
られる。また、直接酸化防止効果はもたないが、酸化防
止剤と共存するとその効果を強める作用を持つアスコル
ビン酸、クエン酸、リン酸等の相乗剤や、酸化防止剤が
酸化された際に生成される物質の着色をおさえる着色防
止剤を併用してもよい。ハロゲン化第1銅の変質を防ぐ
化合物のその他の例として、亜硫酸塩等の低級酸素酸
や、FeCl2 、SnCl2 、CrCl2、VCl2
の低原子価状態にある金属の塩類等の各種還元剤も使用
することができる。中でもSnCl2 は、ハロゲン化第
1銅の変質を有効に防止し、かつそれ自身の酸化体であ
るSnO2 も無色であり、さらに加熱後も結晶性の粒子
を形成しないため、高い透明性が維持される。したがっ
て、本発明において最も有効な化合物として用いること
ができる。これらのハロゲン化第1銅の変質を防ぐ化合
物は、0.01〜99重量%、好ましくは0.1〜95
重量%の範囲で含有させる。
【0038】本発明において、非線形光学材料を製造す
る場合、高分子化合物を含有する溶液中に、ハロゲン化
第1銅を添加して溶解する調液工程、得られた溶液と塗
布する工程、溶剤を除去する工程、高分子化合物を熱処
理または化学処理する工程等の全ての工程を、窒素或い
はアルゴン等の不活性雰囲気中で行なうのが好ましい。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例によってさらに具体的
に説明する。 実施例1 乾燥窒素気流下にて、ジメチルアセトアミド100ml
中に、下記式(3)で示される2,2−ビス[4−(4
−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフロロプロパン
0.498gを溶解し、完全に溶解した後、下記式
(4)で示される4,4′−(ヘキサフロロイソプロピ
リデン)フタル酸無水物0.431gを徐々に加えた。
続いて乾燥窒素気流下にて、10〜15℃に保ちなが
ら、1時間ゆっくり撹拌し、さらに20〜25℃に保ち
ながら2時間撹拌を続けて、下記式(5)で示される高
分子化合物の溶液を得た。この高分子化合物の溶液に、
SnCl2 0.28gを溶解し、ほとんど無色で透明な
溶液を得た。さらにこの溶液に、CuCl0.15gを
添加し、撹拌混合して、ごくうすい黄緑色の透明な溶液
を得た。なお、以上の混合操作は全て乾燥窒素雰囲気下
で行った。
【0040】
【化7】 (式中、n′は約300である。)
【0041】得られた溶液を乾燥窒素雰囲気中でガラス
基板上にスピンコートし、無色透明なフィルムを得た。
このフィルムを1×10-5Torrの真空下で250℃
で30分間熱処理を行った。析出物の有無をX線回折法
により調べたところ、上記の熱処理でCuClが析出し
ていることが確認された(図1参照)。なお、CuCl
以外の結晶の析出は認められなかった。さらに透過電子
顕微鏡により析出物の粒径を調べたところ、10〜50
nmであることが確認された。得られた高分子化合物・
CuCl複合フィルムは、析出物の粒径が十分に小さい
ため、透明で色は無色であった。このフィルムの吸収ス
ペクトルを図2に示す。吸収スペクトルの測定は室温で
行った。372nmにCuClのZ12励起子吸収サブバ
ンド構造、380nmにCuClのZ3 励起子吸収サブ
バンド構造が明瞭に認められた。励起子の吸収と、好ま
しくないそれ以外の吸収を比較する指標として、Z12
起子吸収の吸光度と500nmでの吸光度の比:Abs
(励起子)/Abs(500nm)、Z12励起子吸収の
吸光度と400nmでの吸光度の比:Abs(励起子)
/Abs(400nm)、およびZ12励起子吸収の吸光
度と350nmでの吸光度の比:Abs(励起子)/A
bs(350nm)を算出した。その結果を表1に示
す。
【0042】比較例1 実施例1と同様にして前記式(5)で示される高分子化
合物の溶液を得た。この高分子化合物の溶液に、CuC
l0.15gを添加し、撹拌混合して、青緑色の透明な
溶液を得た。以上の混合操作は全て乾燥窒素雰囲気下で
行った。得られた溶液を乾燥窒素雰囲気中でガラス基板
上にスピンコートし、うすい青緑色の透明なフィルムを
得た。このフィルムを1×10-5Torrの真空下で2
50℃で30分間熱処理を行った。析出物の有無をX線
回折法により調べたところ、上記の熱処理でCuClが
析出していることが確認された(図3参照)。なお、C
uCl以外の結晶の析出は認められなかった。
【0043】さらに透過電子顕微鏡により析出物の粒径
を調べたところ、10〜50nmであることが確認され
た。得られた高分子化合物・CuCl複合フィルムは、
析出物の粒径が十分に小さいため、透明であったが、う
すい黄褐色の着色がみられた。このフィルムの吸収スペ
クトルを図4に示す。吸収スペクトルの測定を室温で行
ったところ、367nmにCuClのZ12励起子吸収サ
ブバンド構造、380nmにCuClのZ3 励起子吸収
サブバンド構造が明瞭に認められるが、実施例1に比べ
て不明瞭であった。また、励起子の吸収以外の長波長側
にまでのびた非常にブロードな吸収により、測定波長領
域で全体的に吸収が認められた。励起子の吸収と、好ま
しくないそれ以外の吸収を比較する指標として、実施例
1と同様にAbs(励起子)/Abs(500nm)、
Abs(励起子)/Abs(400nm)、およびAb
s(励起子)/Abs(350nm)を算出した。その
結果を表1に示すが、実施例1に比較して、明らかに値
が小さく、光学特性としては劣ったものであった。
【0044】実施例2 実施例1と同様にして前記式(5)で示される高分子化
合物の溶液を得た。この高分子化合物の溶液に、BHT
(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)
0.05gを溶解してほとんど、無色で透明な溶液を得
た。さらにこの溶液にCuCl0.15gを添加し、撹
拌混合して、薄い黄緑色の透明な溶液を得た。なお以上
の混合操作は全て乾燥窒素雰囲気下で行った。得られた
溶液を乾燥窒素雰囲気中でガラス基板上にスピンコート
し、無色透明なフィルムを得た。このフィルムを1×1
-5Torrの真空下で250℃で30分間熱処理を行
った。析出物の有無をX線回折法により調べたところ、
上記の熱処理でCuClが析出していることが確認され
た。なお、CuCl以外の結晶の析出は認められなかっ
た。得られた高分子化合物・CuCl複合フィルムは、
析出物の粒径が十分に小さいため、透明で色は薄い黄色
であった。このフィルムの吸収スペクトルの測定を室温
で行ったところ、372nmにCuClのZ12励起子吸
収サブバンド構造、380nmにCuClのZ3 励起子
吸収サブバンド構造が明瞭に認められた。励起子の吸収
と好ましくないそれ以外の吸収を比較する指標として、
実施例1と同様にAbs(励起子)/Abs(500n
m)、Abs(励起子)/Abs(400nm)、およ
びAbs(励起子)/Abs(350nm)を算出し
た。その結果を表1に示す。
【0045】実施例3 実施例1と同様にして前記式(5)で示される高分子化
合物の溶液を得た。この高分子化合物の溶液に、亜リン
酸トリフェニル0.05gを溶解してほとんど、無色で
透明な溶液を得た。さらにこの溶液にCuCl0.15
gを添加し、撹拌混合して、薄い黄緑色の透明な溶液を
得た。なお以上の混合操作は全て乾燥窒素雰囲気下で行
った。得られた溶液を乾燥窒素雰囲気中でガラス基板上
にスピンコートし、無色透明なフィルムを得た。このフ
ィルムを1×10-5Torrの真空下で250℃で30
分間熱処理を行った。析出物の有無をX線回折法により
調べたところ、上記の熱処理でCuClが析出している
ことが確認された。なお、CuCl以外の結晶の析出は
認められなかった。得られた高分子化合物・CuCl複
合フィルムは、析出物の粒径が十分に小さいため、透明
で色は薄い黄色であった。このフィルムの吸収スペクト
ルの測定を室温で行ったところ、372nmにCuCl
のZ12励起子吸収サブバンド構造、380nmにCuC
lのZ3 励起子吸収サブバンド構造が明瞭に認められ
た。励起子の吸収と好ましくないそれ以外の吸収を比較
する指標として、実施例1と同様にAbs(励起子)/
Abs(500nm)、Abs(励起子)/Abs(4
00nm)、およびAbs(励起子)/Abs(350
nm)を算出した。その結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】実施例4 実施例1と同様にして前記式(5)で示される高分子化
合物の溶液を得た。この高分子化合物の溶液に、SnC
2 0.28gを溶解してほとんど、無色で透明な溶液
を得た。さらにこの溶液にCuBr0.22gを添加
し、撹拌混合して、薄い黄緑色の透明な溶液を得た。な
お以上の混合操作は全て乾燥窒素雰囲気下で行った。得
られた溶液を乾燥窒素雰囲気中でガラス基板上にスピン
コートし、うすい黄緑色の透明なフィルムを得た。この
フィルムを1×10-5Torrの真空下で250℃で3
0分間熱処理を行った。析出物の有無をX線回折法によ
り調べたところ、上記の熱処理でCuBrが析出してい
ることが確認された(図5参照)。なお、CuBr以外
の結晶の析出は認められなかった。得られた高分子化合
物・CuBr複合フィルムは、析出物の粒径が十分に小
さいため、透明で色はごく薄い黄色であった。このフィ
ルムの吸収スペクトルを図6に示す。吸収スペクトルの
測定は室温で行った。410nmにCuBrのZ12励起
子吸収サブバンド構造、390nmにCuBrのZ3
起子吸収サブバンド構造が明瞭に認められた。励起子の
吸収と好ましくないそれ以外の吸収を比較する指標とし
て、実施例1と同様にAbs(励起子)/Abs(50
0nm)、Abs(励起子)/Abs(450nm)、
およびAbs(励起子)/Abs(400nm)を算出
した。その結果を表2に示す。
【0048】比較例2 実施例1と同様にして前記式(5)で示される高分子化
合物の溶液を得た。この高分子化合物の溶液に、CuB
r0.22gを添加し、撹拌混合して、青緑色の透明な
溶液を得た。なお以上の混合操作は全て乾燥窒素雰囲気
下で行った。得られた溶液を乾燥窒素雰囲気中でガラス
基板上にスピンコートし、うすい青緑色の透明なフィル
ムを得た。このフィルムを1×10-5Torrの真空下
で250℃で30分間熱処理を行った。析出物の有無を
X線回折法により調べたところ、上記の熱処理でCuB
rが析出していることが確認された(図7参照)。な
お、CuBr以外の結晶の析出は認められなかった。得
られた高分子化合物・CuBr複合フィルムは、析出物
の粒径が十分に小さいため、透明であったが、黄褐色の
着色がみられた。このフィルムの吸収スペクトルを図8
に示す。吸収スペクトルの測定は室温で行った。410
nmにCuBrのZ12励起子吸収サブバンド構造、39
0nmにCuBrのZ3 励起子吸収サブバンド構造が明
瞭に認められるが、実施例4に比べて不明瞭であった。
また、励起子の吸収以外の長波長側にまでのびた非常に
ブロードな吸収により、測定波長領域で全体的に吸収が
認められた。励起子の吸収と好ましくないそれ以外の吸
収を比較する指標として、実施例1と同様にAbs(励
起子)/Abs(500nm)、Abs(励起子)/A
bs(450nm)、およびAbs(励起子)/Abs
(400nm)を算出した。その結果を表2に示すが、
実施例4に比較して明らかに値が小さく、光学特性とし
ては劣ったものであった。
【0049】実施例5 実施例1と同様にして前記式(5)で示される高分子化
合物の溶液を得た。この高分子化合物の溶液に、BHT
(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)
0.05gを溶解してほとんど、無色で透明な溶液を得
た。さらにこの溶液にCuBr0.22gを添加し、撹
拌混合して、薄い黄緑色の透明な溶液を得た。なお以上
の混合操作は全て乾燥窒素雰囲気下で行った。得られた
溶液を乾燥窒素雰囲気中でガラス基板上にスピンコート
し、うすい黄緑色の透明なフィルムを得た。このフィル
ムを1×10-5Torrの真空下で250℃で30分間
熱処理を行った。析出物の有無をX線回折法により調べ
たところ、上記の熱処理でCuBrが析出していること
が確認された。なお、CuBr以外の結晶の析出は認め
られなかった。得られた高分子化合物・CuBr複合フ
ィルムは、析出物の粒径が十分に小さいため、透明で色
は薄い黄色であった。このフィルムの吸収スペクトルの
測定を室温で行ったところ、410nmにCuBrのZ
12励起子吸収サブバンド構造、390nmにCuBrの
3 励起子吸収サブバンド構造が明瞭に認められた。励
起子の吸収と好ましくないそれ以外の吸収を比較する指
標として、実施例1と同様にAbs(励起子)/Abs
(500nm)、Abs(励起子)/Abs(450n
m)、およびAbs(励起子)/Abs(400nm)
を算出した。その結果を表2に示す。
【0050】実施例6 実施例1と同様にして前記式(5)で示される高分子化
合物の溶液を得た。この高分子化合物の溶液に、亜リン
酸トリフェニル0.05gを溶解してほとんど、無色で
透明な溶液を得た。さらにこの溶液にCuBr0.22
gを添加し、撹拌混合して、薄い黄緑色の透明な溶液を
得た。なお以上の混合操作は全て乾燥窒素雰囲気下で行
った。得られた溶液を乾燥窒素雰囲気中でガラス基板上
にスピンコートし、うすい黄緑色の透明なフィルムを得
た。このフィルムを1×10-5Torrの真空下で25
0℃で30分間熱処理を行った。析出物の有無をX線回
折法により調べたところ、上記の熱処理でCuBrが析
出していることが確認された。なお、CuBr以外の結
晶の析出は認められなかった。得られた高分子化合物・
CuBr複合フィルムは、析出物の粒径が十分に小さい
ため、透明で色は薄い黄色であった。このフィルムの吸
収スペクトルの測定を室温で行ったところ、410nm
にCuBrのZ12励起子吸収サブバンド構造、390n
mにCuBrのZ3 励起子吸収サブバンド構造が明瞭に
認められた。励起子の吸収と好ましくないそれ以外の吸
収を比較する指標として、実施例1と同様にAbs(励
起子)/Abs(500nm)、Abs(励起子)/A
bs(450nm)、およびAbs(励起子)/Abs
(400nm)を算出した。その結果を表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】本発明の非線形光学材料は、上記のよう
にマトリックスの官能基の変化により析出された高い非
線形光学効果を有するハロゲン化第1銅の微粒子が、マ
トリックス中に高濃度に、酸化等による変質を起こすこ
となく安定に分散されて形成されているから、基板上に
薄膜を形成した場合、十分な膜厚を有するクラックのな
い高い非線形光学効果を示す非線形光学素子となる。ま
た、本発明の非線形光学材料は、非線形光学効果が高
く、機械的強度、光学的透明性に優れており、したがっ
て、光スイッチ、光メモリ、波長変換、光学系の自動補
正および光コンピューティング等、オプトエレクトロニ
クスの分野に有効に使用される。
【0053】また、本発明の方法によれば、低温にて、
かつ簡便に非線形光学素子を作製することができる。ま
た、溶液状態から出発して機能性のゲル体が作製される
から、複雑な製造過程を必要とせず、簡便にゲル体の形
状を変化させることができ、したがって、本発明によれ
ば、膜状、板状、ブロック状或いはファイバー状等、任
意の形状に成形することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の高分子化合物・CuCl複合フィ
ルムのX線回折スペクトル図である。(CuKα線使
用)
【図2】 実施例1の高分子化合物・CuCl複合フィ
ルムの吸収スペクトル図である。
【図3】 比較例1の高分子化合物・CuCl複合フィ
ルムのX線回折スペクトル図である。(CuKα線使
用)
【図4】 比較例1の高分子化合物・CuCl複合フィ
ルムの吸収スペクトル図である。
【図5】 実施例4の高分子化合物・CuBr複合フィ
ルムのX線回折スペクトル図である。(CuKα線使
用)
【図6】 実施例4の高分子化合物・CuBr複合フィ
ルムの吸収スペクトル図である。
【図7】 比較例2の高分子化合物・CuBr複合フィ
ルムのX線回折スペクトル図である。(CuKα線使
用)
【図8】 比較例2の高分子化合物・CuBr複合フィ
ルムの吸収スペクトル図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入射光に対して非線形応答を示す非線形
    光学材料において、官能基を有するマトリックス形成性
    物質における該官能基の反応に伴って析出したハロゲン
    化第1銅粒子がマトリックス中に分散され、かつ、該マ
    トリックス中にハロゲン化第1銅の変質を防ぐ化合物が
    含有されていることを特徴とする非線形光学材料。
  2. 【請求項2】 官能基の反応がイミド環形成反応である
    請求項1に記載の非線形光学材料。
  3. 【請求項3】 ハロゲン化第1銅の変質を防ぐ化合物
    が、塩化すず(II)である請求項1に記載の非線形光学
    材料。
  4. 【請求項4】 入射光に対して非線形応答を示す非線形
    光学材料の製造方法において、官能基を有するマトリッ
    クス形成性物質とハロゲン化第1銅の変質を防ぐ化合物
    との混合物に、ハロゲン化第1銅を混合して均一溶液を
    形成し、次いで、該官能基を反応させてマトリックスを
    形成すると同時に、ハロゲン化第1銅微粒子をマトリッ
    クス中に析出させることを特徴とする非線形光学材料の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 官能基の反応がイミド環形成反応である
    請求項4記載の非線形光学材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 ハロゲン化第1銅の変質を防ぐ化合物
    が、塩化すず(II)である請求項4に記載の非線形光学
    材料の製造方法。
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