JP2813393B2 - 半導体含有ガラスの製造方法 - Google Patents

半導体含有ガラスの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、半導体微結晶を含有してなる半導体含有ガ
ラスの製造方法に関する。本発明の方法によって得られ
る半導体含有ガラスは、光スイッチや光波長変換素子
等、光情報分野において用いられる大きな非線形光学効
果を有するガラス材料として利用される。
[背景技術] 半導体微結晶を含有したガラスは、 光双安定性を有する、 ps(ピコ秒)オーダーの光緩和時間を有する、 量子サイズ効果が存在する、 等の点から、光スイッチや光波長変換素子等に利用可能
な非線形光学材料として注目されている。
このような半導体微結晶を含有したガラス(以下、半
導体含有ガラスという)としては、1%程度のCdSxSe
(1-x)微結晶を含んだ多成分ガラスが一般的に知られて
おり、フィルターガラスとして市販されている。この半
導体含有ガラスは、マトリックスとなるガラスの原料と
半導体の原料とを加熱してガラス融液とした後、このガ
ラス融液を急冷、再加熱処理することにより製造され
る。
しかしながら、このような溶融法による従来の半導体
含有ガラスは、ガラス融液の調製時に半導体原料の揮発
が生じるために半導体微結晶の含有濃度が低い、急冷後
の再加熱処理で半導体微結晶が無秩序に成長するために
半導体微結晶の大きさが均一でない、薄膜化することが
困難である等の点から、非線形光学材料として有用であ
るとは言い難い。
このため、半導体微結晶の含有濃度の向上、半導体微
結晶の大きさの均一化あるいは薄膜化等を目的として、
ゾル−ゲル法、CVD法、スパッタリング法、同時蒸着
法、リソグラフィー法、多孔質ガラスの利用等の、新し
い非晶質材料作製技術を用いた半導体含有ガラスの作製
が種々試みられている。
また同時に、種々の非線形光学特性および光学特性を
有する半導体含有ガラスを得るために、種々の半導体を
用いて、半導体含有シリカガラスを得る試みがなされて
いる。
これにともない、前述のCdSxSe(1-x)微結晶を含有し
た半導体含有ガラスの他に、半導体としてCuS、CdS、Cu
Cl、Au、Si、Mn2O3、In/GaAs、GaAs、InP、CdSe、ZnS
e、CdTe、CdSxSe(1-x-y)Tey等の微結晶または微粒子を
含有した半導体含有ガラスが試作されている。
[発明の目的] 本発明の目的は、半導体含有ガラスの現況に鑑み、新
たな半導体物質を含有した半導体含有ガラスの製造方法
を提供することにある。
[発明の構成] 本発明は、上記目的を達成するためになされたもので
あり、本発明の半導体含有ガラスの製造方法は、ガラス
マトリックス中にPbSe,PbTeおよびZnTeからなる群より
選択された少なくとも1種の半導体微結晶が析出した半
導体含有ガラスをゾル−ゲル法により製造するにあた
り、ゾル−ゲル法によってシリカガラスまたは多成分ガ
ラスを製造する際に用いられるゾル溶液に半導体の原料
となる金属元素であるPbおよび/またはZnと前記半導体
の原料となる非金属元素であるSeおよび/またはTeとを
含有させることによって混合ゾル溶液を調製し、この混
合ゾル溶液をゲル化および乾燥することによってドライ
ゲルを作製し、さらに該ドライゲルに熱処理を施して前
記の半導体微結晶を析出させることを特徴とするもので
ある。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の方法によって製造される半導体含有ガラス
は、上述のように、PbSe、PbTeおよびZnTeからなる群よ
り選択された少なくとも1種の半導体微結晶を含有する
ものであり、このときのガラスマトリックスは、シリカ
ガラスであっても多成分ガラスであってもよい。
半導体微結晶の含有率は特に限定されるものではな
い。また、半導体微結晶の粒子径も特に限定されるもの
ではないが、粒子径が1000Åを超えると光が散乱され透
過率が低下し、また量子サイズ効果が著しく低下する等
の理由により光学材料としては不適となるので、1000Å
以下、特に100Å以下であることが好ましい。
本発明の方法では、半導体微結晶の含有濃度、半導体
微結晶の大きさの均一性あるいは得られるガラスの形状
の自由度等の点や、含有させることのできる半導体の種
類の制限がゆるい点等から、上記の半導体含有ガラスを
ゾル−ゲル法により製造する。
ゾル−ゲル法によって半導体含有ガラスを製造する方
法としては、 半導体の原料となる金属元素および非金属元素を含
むゾル溶液、半導体が溶解したゾル溶液および還元する
ことにより半導体となる化合物が溶解したゾル溶液のい
ずれかのゾル溶液を調製し、このゾル溶液をゲル化、乾
燥してドライゲルを得、このドライゲルをガラス化する
前に熱処理することにより、あるいはガラス化の際の熱
処理により、半導体微結晶を析出させる、 半導体の原料となる金属元素および非金属元素のう
ちの一方を含むゾル溶液を調製し、このゾル溶液をウエ
ットゲルとした後、このウエットゲルに、半導体を構成
する金属元素および非金属元素のうちの残りの一方を含
む溶液を含ませてからドライゲルとし、このドライゲル
をガラス化する前に熱処理することにより、あるいはガ
ラス化の際の熱処理により、半導体微結晶を析出させ
る、 半導体の原料となる金属元素および非金属元素のう
ちの一方を含むゾル溶液を調製し、ゲル化、乾燥して得
たドライゲルに、半導体を構成する金属元素および非金
属元素のうちの残りの一方を含む溶液を含ませた後、こ
のドライゲルをガラス化する前に熱処理することによ
り、あるいはガラス化の際の熱処理により、半導体微結
晶を析出させる、 ガラスマトリックスの組成に応じたゾル溶液をゲル
化させてウエットゲルとし、このウエットゲルに、半導
体の原料となる金属元素および非金属元素を含む溶液、
半導体が溶解した溶液または還元することにより半導体
となる化合物が溶解した溶液のいずれかの溶液を含ませ
てからドライゲルとし、このドライゲルをガラス化する
前に熱処理することにより、あるいはガラス化の際の熱
処理により、半導体微結晶を析出させる、 ガラスマトリックスの組成に応じたゾル溶液をゲル
化させてドライゲルとし、このドライゲルに、半導体の
原料となる金属元素および非金属元素を含む溶液、半導
体が溶解した溶液または還元することにより半導体とな
る化合物が溶解した溶液のいずれかの溶液を含ませた
後、このドライゲルをガラス化する前に熱処理すること
により、あるいはガラス化の際の熱処理により、半導体
微結晶を析出させる、 等がある。
本発明の方法では、まず、ゾル−ゲル法によってシリ
カガラスまたは多成分ガラスを製造する際に用いられる
ゾル溶液に、半導体の原料となる金属元素であるPbおよ
び/またはZnと前記半導体の原料となる非金属元素であ
るSeおよび/またはTeとを含有させることによって、混
合ゾル溶液を調製する。
ここで、ゾル−ゲル法によってシリカガラスまたは多
成分ガラスを製造する際に用いられる上記のゾル溶液
は、SiO2、Al2O3、ZrO2、TiO2、B2O3、P2O5、PbO、Ba
O、SrO、Li2O、Na2O、K2O等の通常のガラス構成酸化物
に対応する金属アルコキシド(本明細書においては、Si
アルコキシドも金属アルコキシドに含めるものとする)
および/またはその誘導体(例えば、メチルトリエトキ
シシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ト
リフルオロプロピルトリメトキシシラン等)を原料とし
て用い、当該原料を目的とする半導体含有ガラスのガラ
スマトリックスの組成に応じて配合することによって調
製される。
また、上記の混合ゾル溶液は、ガラスマトリックス中
に析出させようとする半導体の組成に応じて、例えば下
記(A)および(B)の各原料、すなわち、 (A)Pbおよび/またはZnについての金属単体、金属酸
化物、金属ハロゲン化物、無機酸塩(硝酸塩、燐酸塩
等)、有機酸塩(酢酸塩、蓚酸塩等)、金属有機化合物
(金属アルコキシド、アルキル金属化合物等)、金属錯
体(キレート化合物等)等、 (B)Seおよび/またはTeの各元素について、単体、金
属と反応して半導体を形成する無機化合物(セレン酸、
亜セレン酸、二酸化セレン、四塩化セレン、塩化セレニ
ル、テルル酸、亜テルル酸、二酸化テルル、四塩化テル
ル、セレン酸アンモニウム、テルル酸アンモニウム、臭
化水素酸、ヨウ化水素酸、臭化アンモニウム、ヨウ化ア
ンモニウム等)、金属と反応して半導体を形成する有機
化合物(セレノ尿素、ピアセレノール、セレン酸エステ
ル、テルル酸エステル、セレンアルコキシド、テルルア
ルコキシド等)等、 の中から水、有機溶媒、無機溶媒、またはゾル−ゲル法
によりシリカガラスあるいは多成分ガラスを製造する際
に用いられる前述のゲル溶液に溶解させ得る物質を選択
し、これらの原料を、そのまま、あるいは水溶液、有機
溶媒溶液または無機溶媒溶液とし、これと前記のゾル溶
液とを混合することにより調製することができる。
さらには、還元することにより所望の半導体となる化
合物(テルル酸亜鉛、セレン酸鉛、テルル酸鉛、酢酸亜
鉛とテルル粉末の混合物、硝酸鉛と二酸化セレンの混合
物、酢酸鉛と四塩化テルルの混合物等)の水溶液、有機
溶媒溶液あるいは無機溶媒溶液を調製し、この溶液と、
ゾル−ゲル法によりシリカガラスあるいは多成分ガラス
を製造する際に用いられる前述のゾル溶液とを混合する
ことによっても、上記の混合ゾル溶液を調製することが
できる。
ゾル−ゲル法によってシリカガラスまたは多成分ガラ
スを製造する際に用いられる前述のゾル溶液に上記半導
体の原料となる金属元素および非金属元素を含有させる
ために使用される原料(以下、当該原料を半導体微結晶
原料という)を添加する時期は、金属アルコキシドおよ
び/またはその誘導体の加水分解前、中、後のいずれで
もよい。
上述のようにして調製される混合ゾル溶液の組成は、
前述のように限定されるものではなく、目的とする半導
体含有ガラスの用途あるいは半導体含有ガラスに要求さ
れる反射率、屈折率、熱膨張率、耐候性等の特性に応じ
て、最適の組成を選択することができる。
本発明の方法では、次いで、上述した混合ゾル溶液を
ゲル化および乾燥することによってドライゲルを作製す
る。
混合ゾル溶液のウエットゲル化およびウエットゲルの
ドライゲル化は、通常のゾル−ゲル法における処理と同
様であり、例えば以下のようにして行うことができる。
まず、混合ゾル溶液を加水分解して、ウエットゲル化
させる。加水分解は、金属アルコキシドおよび/または
その誘導体と水とを混合し、攪拌することにより行われ
る。また、Siアルコキシドおよび/またはその誘導体と
他の金属アルコキシドおよび/またはその誘導体とを用
いる場合には、加水分解速度の遅いSiアルコキシドおよ
び/またはその誘導体を先に加水分解した後、他の金属
アルコキシドおよび/またはその誘導体を加えて混合
し、さらに加水分解することもできる。
金属アルコキシドおよびその誘導体以外の原料は、金
属アルコキシドおよび/またはその誘導体の加水分解
前、中、後のいかんにかかわらず加えることができる
が、添加の時期はその原料の性質によって選択される。
また、金属アルコキシドおよびその誘導体以外の原料は
特に溶液として添加する必要はなく、ゲル化以前のゾル
溶液において溶解し、均質となれば、添加の方法は問わ
ない。
加水分解に使用される水の量は、主原料とする金属ア
ルコキシドおよび/またはその誘導体の種類にもよる
が、金属アルコキシドおよび/またはその誘導体のモル
量の2倍程度でよく、これを上回る水を使用することに
よって、加水分解時間を短縮することもできる。さら
に、加水分解時に触媒として塩酸、硝酸、酢酸等の酸、
またはNH4OH、ピリジン、ピペラジン等の塩基を使用す
ることで反応時間を短縮することができる。触媒の量
は、金属アルコキシドおよび/またはその誘導体のモル
量の1×10-3〜1倍程度とすればよい。
加水分解は室温でも進行するが、40〜200℃程度に加
熱することで反応時間をより短縮することができる。た
だし、80℃を上回る温度では溶媒、水、金属アルコキシ
ドおよび/またはその誘導体の急激な蒸発が生じるので
好ましくなく、その場合には、冷却器を使用し加熱還流
を行うことで溶媒等の蒸発を防ぐことができる。
このような加水分解処理を施すことにより、ウエット
ゲルを得ることができる。
ウエットゲルをドライゲル化する際の乾燥時間は、ウ
エットゲルの大きさ、形状、残留する水分量、乾燥温度
等にもよるが、通常、10時間〜4週間程度でよい。その
後、徐々に温度を上げ150℃まで加熱すると、残留水分
のより少ないドライゲルが得られる。加熱速度を速くす
ると、ゲルの急激な収縮が起こり破壊する恐れがあるた
め、通常は10℃/時間以下で行われる。
本発明の方法では、上述したようにしてドライゲルを
作製した後、当該ドライゲルに熱処理を施してPbSe,PbT
eおよびZnTeからなる群より選択された少なくとも1種
の半導体微結晶を析出させる。
上記の熱処理は、ドライゲルをガラス化する前に行っ
てもよいし、ドライゲルをガラス化する際の熱処理に上
記の熱処理を兼ねさせてもよい。
ドライゲルをガラス化する前に熱処理して半導体微結
晶を析出させる場合は、大気中、酸化雰囲気中、不活性
ガス雰囲気中、あるいは還元雰囲気中で室温〜400℃に
加熱することが好ましい。この後、大気中、酸化雰囲気
中、不活性ガス雰囲気中、あるいは還元雰囲気中雰囲気
中で400〜1300℃に加熱することにより、半導体微結晶
が析出したドライゲルがガラス化されて、半導体含有ガ
ラスが得られる。ガラス化を400℃未満で行った場合に
は、ゲル固化体が充分にガラス化されず、水分や有機物
が残存するため好ましくない。また、ガラス化を1300℃
を超える温度で行った場合には、ガラスマトリックスの
結晶化や、半導体微結晶の粗大化、半導体微結晶の酸
化、揮発、分解等が起きるため好ましくない。
ドライゲルをガラス化する際の熱処理により半導体微
結晶を析出させる場合は、大気中、酸化雰囲気中、不活
性ガス雰囲気中、あるいは還元雰囲気中で400〜1300℃
に加熱することが好ましい。この熱処理により、半導体
微結晶の析出およびドライゲルのガラス化が起こり、半
導体含有ガラスが得られる。
なお半導体微結晶の大きさは、半導体微結晶を析出さ
せた後にガラス化する場合には、半導体微結晶を析出さ
せる際の雰囲気、処理温度および処理時間、ならびにガ
ラス化の際の雰囲気、処理温度および処理時間に依存す
る。また、ガラス化の際に半導体微結晶を析出させる場
合には、ガラス化の際の雰囲気、処理温度および処理時
間に依存する。したがって、これらの処理条件を適宜選
択することにより、任意の大きさの半導体微結晶を含有
した半導体含有ガラスを得ることができる。
本発明の方法によって得られる半導体含有ガラスの形
状は、混合ゾル溶液をゲル化させる際の容器の形状に大
きく依存するため、混合ゾル溶液をゲル化させる際の容
器の形状を適宜選択することにより、所望形状の半導体
含有ガラスを得ることができる。また、混合ゾル溶液を
基板上に塗布した後にゲル化およびガラス化させること
により、薄膜形状の半導体含有ガラスを得ることがで
き、ゾル溶液の基板上への塗布、ゲル化およびガラス化
を所望回数繰り返すことにより、厚膜形状の半導体含有
ガラスを得ることができる。
[実施例] 以下、本発明の実施例について説明する。
実施例1 テトラエトキシシラン[Si(OC2H5]354.3gを、
0.15モル/リットル塩酸(HCl)水溶液30.0gとエタノー
ル(C2H5OH)76.6gとの混合溶液に撹拌しながら徐々に
滴下した。全てのSi(OC2H5を加えた後、さらに1
時間撹拌して、Si(OC2H5の部分加水分解溶液460.8
gを得た。この部分加水分解溶液に、酢酸鉛三水塩[Pb
(CH3COO)・3H2O]2.786gをメタノール(CH3OH)60g
に溶解した溶液を加え、1時間撹拌した。また、セレン
(Se)0.552gを13モル/リットル硝酸(HNO3)水溶液7
5.0gに溶解した溶液をH2O90.0gとC2H5OH76.6gとで希釈
し、o−フェニレンジアミン[C6H4(NH2]7.56gを
加えて調製したピアセレノール溶液を、上記ゾル液へ加
えて1時間撹拌した。
得られた混合ゾル溶液をポリメチルペンテンやポリプ
ロピレン製の容器に移して放置し、ゲル化、乾燥させ
て、Pb元素およびSe元素を含むドライゲルを得た。
このドライゲルを電気管状炉に入れ、大気中400℃で
5時間加熱して残留有機物の酸化除去を行った後、雰囲
気を3%のH2と97%のN2とからなる混合ガスに置換し、
このH2/N2混合ガスを毎分50mlの割合で流しながら、500
℃で2時間加熱することにより、PbSe微結晶の析出およ
びガラス化を図って、2重量%のセレン化鉛(PbSe)を
含有したSiO2ガラスからなる半導体含有ガラスを製造し
た。
この半導体含有ガラスにおいては、X線回折測定によ
ってPbSe結晶のみが認められ、他の結晶物の存在はなか
った。また、この半導体含有ガラスの光吸収スペクトル
の吸収端から求めたエネルギーギャップ値は0.99eVであ
り、この値は大きなPbSe単結晶のエネルギーギャップ値
(0.25eV)に比べて0.74eVも高いものであった。
半導体含有ガラスが大きな非線形性を持つためには、
量子サイズ効果の発現が大きく影響し、この量子サイズ
効果により、小さな粒子径の半導体ほど大きなエネルギ
ーギャップを持つようになる。したがって、PbSe単結晶
のエネルギーギャップ値を比べて0.74eVも高いエネルギ
ーギャップ値を有している本実施例の半導体含有ガラス
においては、量子サイズ効果が顕著に現れていることが
わかる。
実施例2 Seに代えてテルル(Te)を用い、C6H4(NH2を用
いなかった以外は実施例1と同様にして、5重量%のテ
ルル化鉛(PbTe)を含有したSiO2ガラスからなる半導体
含有ガラスを製造した。
この半導体含有ガラスにおいては、X線回折測定によ
ってPbTe結晶のみが認められ、他の結晶物の存在はなか
った。さらに、実施例1と同様にしてPbTe結晶のエネル
ギーギャップ値を求めたところ、1.23eVであった。この
エネルギーギャップ値は、大きなPbTe単結晶のエネルギ
ーギャップ値(0.33eV)に比べて0.90eVも高く、量子サ
イズ効果が顕著に現れていることがわかる。
実施例3 Pb(CH3COO)・3H2Oに代えて酢酸亜鉛二水塩[Zn
(CH3COO)・2H2O]を用いた以外は実施例2と同様に
して、5重量%のテルル化亜鉛(ZnTe)を含有したSiO2
ガラスからなる半導体含有ガラスを製造した。
この半導体含有ガラスにおいては、X線回折測定によ
ってZnTe結晶のみが認められ、他の結晶物の存在はなか
った。さらに、実施例2と同様にしてZnTe結晶のエネル
ギーギャップ値を求めたところ、2.55eVであった。この
エネルギーギャップ値は、大きなZnTe単結晶のエネルギ
ーギャップ値(2.26eV)に比べて0.29eVも高く、量子サ
イズ効果が顕著に現れていることがわかる。
実施例4 実施例1と同様にしてSi(OC2H5の部分加水分解
溶液460.8gを得、この部分加水分解溶液に、Zn(CH3CO
O)・2H2O2.332gをCH3OH60gに溶解した溶液を加え
て、1時間攪拌した。その後、四塩化テルル(TeCl4
2.792gをC2H5OH100gに溶解した溶液を、3.5モル/リッ
トルHNO3水溶液171.2gとC2H5OH76.6gとで希釈すること
により調製した溶液を入れて1時間攪拌した。
得られた混合ゾル溶液を実施例3と同様にしてゲル
化、乾燥させてドライゲルを得、さらに実施例3と同様
に熱処理して、2重量%のZnTeを含有したSiO2ガラスか
らなる半導体含有ガラスを製造した。
この半導体含有ガラスにおいては、X線回折測定によ
ってZnTe結晶のみが認められ、他の結晶物の存在はなか
った。さらに、実施例3と同様にしてZnTe結晶のエネル
ギーギャップ値を求めたところ、2.87eVであり、量子サ
イズ効果が顕著に現れていることがわかる。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明の半導体含有ガラスの製
造方法によれば、半導体として新たな半導体を含有した
半導体含有ガラスを得ることができ、当該該半導体含有
ガラスにおいては、大きな量子サイズ効果が発現する。
したがって本発明によれば、非線形光学材料として有
用な、新たな半導体含有ガラスが提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−174337(JP,A) 特開 平3−141134(JP,A) 特開 平2−307832(JP,A) 特開 平2−271933(JP,A) 特開 昭64−79038(JP,A) 平成元年秋季第50回応用物理学会学術 講演予講集第3分冊 第773頁(平成元 年9月27日)応用物理学会

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラスマトリックス中にPbSe,PbTeおよびZ
    nTeからなる群より選択された少なくとも1種の半導体
    微結晶が析出した半導体含有ガラスをゾル−−ゲル法に
    より製造するにあたり、 ゾル−ゲル法によってシリカガラスまたは多成分ガラス
    を製造する際に用いられるゾル溶液に半導体の原料とな
    る金属元素であるPbおよび/またはZnと前記半導体の原
    料となる非金属元素であるSeおよび/またはTeとを含有
    させることによって混合ゾル溶液を調製し、この混合ゾ
    ル溶液をゲル化および乾燥することによってドライゲル
    を作製し、さらに該ドライゲルに熱処理を施して前記の
    半導体微結晶を析出させることを特徴とする半導体含有
    ガラスの製造方法。
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平成元年秋季第50回応用物理学会学術講演予講集第3分冊 第773頁(平成元年9月27日)応用物理学会

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JPH03187951A (ja) 1991-08-15

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