JPH09165609A - 高炉の操業方法 - Google Patents

高炉の操業方法

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JPH09165609A
JPH09165609A JP26702896A JP26702896A JPH09165609A JP H09165609 A JPH09165609 A JP H09165609A JP 26702896 A JP26702896 A JP 26702896A JP 26702896 A JP26702896 A JP 26702896A JP H09165609 A JPH09165609 A JP H09165609A
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JP
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furnace
coke
slag
raw material
charging
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JP26702896A
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English (en)
Inventor
Shinji Kamishiro
親司 上城
Takanobu Inada
隆信 稲田
Shinichi Suyama
真一 須山
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】炉容積の大きな高炉の安定操業と、低Si、低S
の溶銑を安定操業の下で得る高炉操業方法の提供。 【解決手段】(1) 炉内容積が2500m3以上で炉口半径がR0
の高炉に鉄源原料とコークスとを交互に層状に装入する
方法であって、鉄源原料およびコークスの装入落下位置
をRをR≦ 0.6 R0 とする高炉の操業方法。 (2) 上記(1) の方法で鉄源原料と造滓剤を混合していな
いコークスを装入し、造滓剤を混合したコークスの装入
落下位置RfをRf> 0.6 R0 とする高炉の操業方法。ただ
し、Rおよび Rf は、ストックレベルにおける炉軸心か
らの半径方向の距離である。 【効果】造滓剤を炉壁部近傍に安定して供給されるの
で、半径方向のガス流分布が安定して低Si、低Sの溶銑
が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炉壁周辺部および
炉中心部のガス流れ変動を低減させることにより安定操
業を達成し、さらに造滓剤を高炉の炉壁近傍に装入する
ことによって低Si、低Sの溶銑を安定操業のもとで得る
ことのできる高炉の操業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高炉操業においては、鉄源原料(鉄源原
料とは、焼結鉱および鉱石を意味し、以下、単に「鉱
石」と記す)を円滑に還元・溶解して、課せられた量の
銑鉄を安定に製造する(いわゆる安定操業)という反応
器としての基本使命を果たすことはもとより、これに加
えてコスト低減のための改善が強く迫られている。
【0003】このようなコスト低減のための施策は、安
定操業が保証されて初めて意味を持つものである。即
ち、操業の安定度は、炉内を上昇する還元ガス流れに対
して、装入物の荷下がり、溶銑および溶滓の流下を如何
に円滑に維持するかに掛かっている。このため、実操業
では、炉頂半径方向の装入物分布を制御して、炉内気体
・固体・液体の物流バランスの調整が日常的に行われて
いる(特公昭64-9373 号公報、特開昭61-227109 号公報
参照)。しかるに、所望の半径方向の物流バランスを得
るためには、装入物分布の制御手段は、要求される分布
を的確に且つ安定に造り込むに十分な機能を持つもので
なくてはならない。しかし、現実には装入物分布の造り
込みが不十分であったり、あるいは安定性に欠けること
に起因して、操業が変動することは枚挙にいとまがな
い。
【0004】たとえば、ベル式あるいはベルレス式高炉
において、装入物がムーバブルアーマープレートでの異
常反発、大ベルの偏損耗、分配シュートの旋回速度の偏
差などの原料装入時に生じる外乱影響因子によって、装
入物の分布が不適切となり、炉況が変動する。
【0005】高炉操業におけるコスト低減の一つとし
て、羽口からの微粉炭吹き込み操業がおこなわれてい
る。しかし、微粉炭を羽口に吹き込むとレースウエイの
高温部において、微粉炭中の灰分のSiO2が下記 (1)式の
反応を起こしてSiOガスを発生させ、これが滴下してき
た溶銑中に吸収されて溶銑中のSiを増加させる。また、
微粉炭中のSがレースウエイ内でガス化し、溶銑中のS
濃度を上昇させる。
【0006】SiO2+C=SiO+CO・・・・・(1) 溶銑中のSiやS濃度の上昇は、後工程での処理費用の増
加をきたし、コスト低減に反する結果となる。そこで、
SiおよびSの低減を目的とする技術として、ミルスケー
ルと造滓剤(フラックス)の混合物を羽口から吹き込ん
で、溶銑中のSiを調整する方法が提案されている(特
開平1−168802号公報参照)。また、本出願人
は、高炉の炉頂からCaO、MgOを含む造滓剤を炉周辺部
のコークス層だけに装入する方法を提案した(特開平5-
311217号公報参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】炉頂半径方向の装入物
分布を制御する手段として、ベル式高炉ではムーバブル
アーマープレートを、ベルレス式高炉では旋回シュート
が用いられるが、前述の外乱影響因子によって装入物の
分布が不適切となり、炉況が変動する。また、羽口から
造滓剤を吹込むためには、設備の新設あるいは改造と、
その後の維持管理にコストがかかる。さらに、塩基性物
質を吹き込むことによる温度低下を羽口部で熱補償する
必要があり、熱補償が不十分で吹込粉体の昇温、溶融が
十分に進展しない場合にはレースウエイの通気性の悪化
を引き起こす、という欠点がある。本発明の目的は、原
料を外乱影響因子に影響されることなく高炉に装入して
ガス流れを安定化させて安定操業することと、造滓剤を
炉壁側に確実に装入して低Si、低Sの溶銑を安定操業の
もとに得る方法を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鉄源原料と
造滓剤を外乱影響因子に影響されることなく装入する方
法について種々研究した結果、両者の装入落下位置を規
定することによって、鉄源原料を外乱影響因子に影響さ
れることなく装入でき、しかも造滓剤を炉壁側に安定し
て装入できることを知見し、本発明を完成した。
【0009】本発明の要旨は、下記の(1) および(2) に
示す高炉の操業方法にある。
【0010】(1) 炉内容積が2500m3以上で炉口半径がR0
の高炉に鉄源原料とコークスとを交互に層状に装入する
方法であって、鉄源原料およびコークスの装入落下位置
をRとするとき、下記式を満たす範囲とする高炉の操
業方法。
【0011】R≦ 0.6 R0 ・・・ ただし、Rは、ストックレベルにおける炉軸心からの半
径方向の距離である。(2) 炉内容積が2500m3以上で炉口
半径がR0の高炉に鉄源原料とコークスとを交互に層状に
装入する方法であって、鉄源原料と造滓剤を混合してい
ないコークスの装入落下位置をR、造滓剤を混合したコ
ークスの装入落下位置をRfとするとき、それぞれ下記
式および式を満たす範囲とする高炉の操業方法。
【0012】R≦ 0.6 R0 ・・・ Rf> 0.6 R0 ・・・ ただし、Rおよび Rf は、ストックレベルにおける炉軸
心からの半径方向の距離である。
【0013】本発明で使用される造滓剤は、CaOを主と
して含有する石灰石、MgOを主として含有する蛇紋岩、
CaOおよびMgOを主として含有するドロマイト、マグネ
サイトなどであり、これらは単独または複合して使用す
ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の第1は、コークスおよび
鉄源原料の装入落下位置Rを炉口半径R0の0.6 倍以下と
することにより、装入物層厚を均一化し、ガス流れを均
一にして安定操業を達成するものである。これは、原料
の装入落下位置を炉口半径の 0.6倍以下とすることによ
り、装入物の物性あるいは堆積挙動の外乱による変動や
装入装置の分布制御性の不完全さに起因する装入物分布
の変動を最小限に抑え且つ分布制御性の自由度の拡大を
図ることが可能となり、特に、最近重要視されてきた炉
中心部および炉壁部において、装入物分布制御不適正に
よる炉況変動は抑えられるからである。
【0015】以下、本発明方法を模型実験の結果に基づ
いて詳細に説明する。
【0016】I.原料の装入落下位置を炉口半径の 0.6
倍以下とすること:炉容積1750m3,2500m3,3800m3,5050m
3 に相当する実機を1/20に縮小したベル・アーマ式およ
びベルレス式模型炉を製作し、造滓剤を混合していない
原料の装入実験を行った。
【0017】模型試験では、コークスおよび鉱石の粒径
は、実炉内でそれらが上昇還元ガスによって受ける運動
量比に等しくなるようにフルード数(Froude数)を一致
させる相似条件と、1/20に縮小する幾何学的相似条件を
組み合わせることを前提にして設定した。また、コーク
スおよび鉱石の装入量は、それらの層厚を1/20に縮小す
る幾何学的相似条件を前提にし、実炉と模型炉における
それらの嵩密度を考慮して、実炉と模型炉のto/tc が等
しくなるように設定した。
【0018】実験条件を表1に示す。なお、ベル・アー
マ式模型炉では、アーマプレート枚数を実機取付数の1/
2 にしており、その傾斜角度を変化させて、原料落下位
置を調整した。また、ベルレス式模型炉における装入旋
回数はコークス、鉱石ともに12とし、旋回シュート角度
を変化させて原料落下位置を調整した。
【0019】
【表1】
【0020】そして、各装入条件に対して3回の実験を
行い、炉中心部および方位角45°ピッチでとった炉壁周
辺部に堆積したコークスおよび鉱石の層厚tcおよびtoを
サウンヂングロッドに連結したプロフィール計を用いて
測定した。炉壁周辺部の各方位で実測されたto/tc の標
準偏差を算出し、3回の実験における標準偏差の平均値
を炉壁周辺部to/tc 分布偏差とした。また、炉中心部to
/tc 偏差は、3回の実験で実測されたto/tc の標準偏差
である。
【0021】図1は、原料落下位置が炉壁周辺部のto/t
c 分布偏差に及ぼす影響を炉別に示す図であり、(a) は
ベルレス装入法の場合、(b) はベル・アーマ装入法の場
合を示す。
【0022】図1に示すように、原料落下位置Rを炉壁
側から炉中心側に移動させることにより、炉壁周辺部の
to/tc 分布偏差は小さくなる傾向を示し、Rを 0.6R0
下の炉中心側とした場合では、炉壁周辺部のto/tc 分布
偏差は小さく、装入物分布は均一化する。しかし、Rを
0.8R0以上の炉壁側とした場合では、炉壁周辺部のto/t
c 分布偏差が大きくなる。
【0023】この理由は、次のとおりである。すなわ
ち、ムーバブルアーマ角度あるいは旋回シュート角度を
調整して、コークスまたは鉱石あるいはその両方の落下
位置を炉壁周辺部付近で細かく調整し、さらに旋回シュ
ートでは旋回数も調整して、炉壁周辺部のコークス層厚
tc、鉱石層厚toの微妙な調整がおこなわれる。このto/t
c の制御が細かくなるほど、先に述べた外乱変動因子の
影響が顕在化する。このため、炉壁周辺部のto/tc 分布
偏差が大きくなる。
【0024】原料落下位置Rを 0.8R0以上の炉壁側とし
た場合では、原料堆積層のプロフィールは、炉壁部から
炉中心部に向かって下り勾配の斜面を形成する。しか
し、Rを 0.6R0以下の炉中心側とした場合では、原料堆
積層のプロフィールは、炉中間部あるいは炉中心部から
炉壁部に向かって下り勾配の斜面を形成する。そして、
コークス層崩れは鉱石落下位置に対応する炉中心寄りで
発生するが、層崩れしたコークスは面積の大きな炉壁部
に向かって流れ込むため、炉壁周辺部のコークス層厚の
増加量は小さく、変動を受ける量も小さくなる。
【0025】原料落下位置Rを 0.6R0以下としたときの
炉壁周辺部のto/tc 分布偏差の低減効果は、実機相当25
00m3以上のB炉(2500m3)、C炉(3800m3)、D炉(5050m3)
で明瞭に認められるが、1750m3のA炉ではあまり明瞭で
はない。従って、本発明を実施する高炉の炉容積は2500
m3以上とするのがよい。
【0026】図2は、原料落下位置が炉中心部to/tc 偏
差に及ぼす影響を示す図であり、(a) はベルレス装入法
の場合、(b) はベル・アーマ装入法の場合を示す図であ
る。図2に示すように、原料落下位置Rを炉壁側から炉
中心側に移動することにより、炉中心部のto/tc 偏差
(時間的な変動)は減少傾向を示し、Rが 0.6R0以下か
ら炉中心側では、偏差は低い値にほぼ安定化している。
【0027】このように原料落下位置Rを 0.6R0以下の
炉中心側に設定することにより、炉中心部のto/tc の偏
差を従来の炉壁部近傍装入法よりも低くできる理由は、
つぎのとおりである。コークス層崩れは鉱石落下位置に
対応する炉中心側で発生するが、落下位置を炉中心側と
した場合、堆積層頂点でつくる円形の稜線の長さが短く
なり、層崩れしたコークスは面積の大きな炉壁周辺部に
向かって流れ込み、その一部が炉中心部に流入する。従
って、原料を炉中心側に装入すると、コークス層崩れに
よる炉中心部のコークス層厚の上昇量は、炉壁部近傍装
入に比べて小さくなり、変動を受ける量も極めて僅かと
なる、と考えられる。
【0028】II.装入物分布の変動が高炉の操業に及ぼ
す影響:装入物分布偏差(変動)は、ガス流分布の偏差
(変動)を惹起し、炉頂でのガス利用率分布の偏差(変
動)として現れる。一方、炉内部においては融着帯形状
の偏差(変動)を引き起こす。
【0029】ここで、装入物分布の変動は、空間的な変
動(具体的にはto/tc の円周方向偏差)と時間的な変動
とに分けることができる。
【0030】装入物分布に円周方向偏差が生ずること
は、局部的にガス流の衰弱した部位、あるいは極度に成
長した部位が存在することとなる。しかし、装入物分布
制御装置は、基本的に半径方向の装入物層厚分布を制御
する機能しか持たないため、炉壁部ガス流を抑制した制
御を行った状況では、円周方向偏差の大きな部位で未還
元・未溶融原料が羽口部に流下する現象の発生、および
逆に、炉壁部ガス流を強めた状況では、偏差の大きな部
位でガス抜けの発生の危険を生じる。いずれも安定操業
を阻害する危険がある。
【0031】一方、装入物分布が時間的に変動した場
合、これに応じてガス流分布の変動、融着帯形状の変動
を起こして炉内通気性が変動するこことなり、送風圧変
動となり安定操業を阻害する。
【0032】従って、装入物分布の変動を抑制すること
は、操業安定度向上に効果をもたらすのである。
【0033】III .造滓剤を炉壁側に装入すること:本
発明の第2は、コークスおよび鉄源原料の装入落下位置
Rを炉口半径R0の0.6 倍以下とすることによって、装入
物層厚を均一化し、ガス流れを均一にして安定操業を達
成し、さらに造滓剤を混合したコークスの装入落下位置
Rfを炉口半径R0の 0.6倍以上とすることによって、造滓
剤を炉壁側に装入し、低Si、低Sの溶銑を得ようとする
ものである。
【0034】前述の模型炉を用いて造滓剤を混合したコ
ークスの堆積テストを行った。実験条件を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】実験は各条件に対して3回づつ行い、コー
クス、鉱石および造滓剤を混合したコークスの落下位置
を変えつつ装入し、半径方向での造滓剤の分布変化を測
定した。
【0037】測定結果は、どの場合も同様の傾向を示し
たので、C炉の結果を図3〜図6に示す。また、炉壁部
を 0.6R0〜1.0R0 、炉中心部を 0〜0.4R0 と定義して、
造滓剤存在率の和を表3に示した。なお、存在率の和を
炉壁部と炉中心部とを合計してものは1.00にならない値
である。
【0038】
【表3】
【0039】図3は、造滓剤を混合していない原料(鉱
石、コークス)の落下位置Rを0.4R0 とし、造滓剤を混
合したコークスの落下位置Rfを変化させた場合の層頂半
径方向の造滓剤存在率の分布を示す図である。図3およ
び表3から、造滓剤を混合したコークスの落下位置Rfを
0.6R0〜1.0R0 の範囲にすれば、造滓剤は炉壁部( 0.6
R0〜1.0R0 )に存在し、炉壁部の存在率は0.98以上と高
く、炉中心部は0.02であり、良好な分布が得られてい
る。
【0040】図4は、造滓剤を混合していない原料の落
下位置Rを0.6R0 とし、造滓剤を混合したコークスの落
下位置Rfを変化させた場合の層頂半径方向の造滓剤存在
率の分布を示す図である。図4および表3から、造滓剤
を混合したコークスの落下位置Rfが0.65R0、 0.8R0およ
び1.0R0 のとき、炉壁部の造滓剤存在率が0.88以上と高
く、炉中心部の造滓剤は0.17以下であり、良好な分布が
得られている。しかし、Rfが 0.6R0の場合には、炉壁部
の造滓剤存在率が0.44であり、炉半径方向にわたって平
均化され、好ましい分布ではない。
【0041】図5は、造滓剤を混合していない原料の落
下位置Rを0.8R0 とし、造滓剤を混合したコークスの落
下位置Rfを変化させた場合の層頂半径方向の造滓剤存在
率の分布を示す図である。図5および表3から、造滓剤
を混合したコークスの落下位置Rfが1.0R0 および0.8R0
のとき、炉壁部の造滓剤存在率が0.93以上と高く、炉中
心部の造滓剤は0.03であり、良好な分布が得られてい
る。しかし、Rfが0.65R0および0.6R0 のとき、炉中心部
の造滓剤存在率は0.67、0.83と高く、好ましい分布では
ない。
【0042】図6は、造滓剤を混合していない原料の落
下位置Rを1.0R0 とし、造滓剤を混合したコークスの落
下位置Rfを変化させた場合の層頂半径方向の造滓剤存在
率の分布を示す図である。図6および表3から、いずれ
も炉中心部の造滓剤は0.09以上であり、好ましい分布で
はない。
【0043】図3から図6および表3の結果から、造滓
剤を混合したコークスの落下位置Rfが造滓剤を混合して
いない原料の落下位置Rよりも大きな範囲(炉壁側)に
装入すると、造滓剤の存在率は炉壁部で高く、炉中心部
で低くなる。さらに、造滓剤を混合していない原料の落
下位置Rを炉口半径の0.6 倍以下の炉心側の位置とする
ことで、炉壁部の造滓剤存在率を高くできることがわか
る。
【0044】炉壁部で造滓剤の存在率が高くなる理由
は、原料堆積層のプロフィールにある。
【0045】図7は、前述のIの実験において、原料落
下位置Rを変化させたときの原料落下位置から炉壁側の
堆積層表面の傾斜角を示す図である。原料落下位置が炉
壁から炉中心に移動するにつれ傾斜角は大きくなり、落
下位置が0.6R0 以下では、原料落下位置から炉壁に向か
う傾斜角が原料落下位置から炉中心に向かう傾斜角より
も大きくなる。このことは、造滓剤を炉壁部に確実に装
入できる理由である。IおよびIIの実験から、高炉を安
定に操業するためには、原料の落下位置Rを炉口半径の
0.6 倍以下の炉中心側の位置とすることが良いことがわ
かる。さらに、炉壁部に安定して造滓剤を装入するに
は、III の実験から、造滓剤を混合していない原料の落
下位置Rを炉口半径の0.6 倍以下の炉中心側の位置と
し、さらに造滓剤を混合したコークスの落下位置Rfを炉
口半径の0.6 倍以上の炉壁側の位置とすることが良いこ
とがわかる。
【0046】
【実施例】
(実施例1)実施例の対象高炉の炉容積と原料装入条件
を表4に示す。原料落下位置Rの調整は、ベル・アーマ
装入ではアーマ角度を変えて行い、ベルレス装入では一
重リング装入でシュート角度を変えて行った。Rの制御
範囲は、発明例では0.35R0〜0.60R0、従来例では0.80R0
〜0.84R0、比較例では0.47R0〜0.80R0とした。
【0047】
【表4】
【0048】炉壁周辺部を上昇する周辺流の方位別変動
を評価するため、ストックレベルより約3〜4m下方の
炉壁直近部の円周方向4ヶ所に設けたゾンデを用いて、
ガス組成を検出し、方位別の還元ガス利用率(=CO2vo
l.%/(CO+CO2)vol.%)を算出した。そして、装入条件が
3日以上一定している時期を捉え、4ヶ所のゾンデの各
時間データから円周方向の還元ガス利用率の平均値と標
準偏差を求め、その平均値に対する標準偏差の比率を3
日以上1週間までにわたって平均した値を炉壁周辺部ガ
ス利用率変動比率とした。
【0049】また、周辺流および中心流を含む炉内上昇
全ガス流の経時変動を評価するため、炉頂ガス組成の1
時間平均データから算出される全炉平均の還元ガス利用
率の3日以上1週間までにわたる平均値と標準偏差を求
め、その平均値に対する標準偏差の比率を全炉ガス利用
率経時変動指数とした。
【0050】図8は、原料落下位置が炉壁周辺部ガス利
用率変動指数に及ぼす影響を炉別に示す図である。図に
示すように、原料落下位置が0.6R0 以下の範囲で炉壁周
辺部ガス利用率変動指数は、0.8R0 以上の範囲に比べて
低くなっている。これは、原料落下位置を0.6R0 以下の
範囲とすると、炉壁周辺部の装入物分布偏差が、前述し
たように0.8R0 以上の範囲よりも低減され、ガス流れ周
辺流の方位別変動が少なくなって、周辺流が安定化した
ことによると考えられる。
【0051】図9は、原料落下位置が全炉ガス利用率経
時変動比率に及ぼす影響を炉別に示す図である。図に示
すように、原料落下位置Rが0.6R0 以下の範囲で全炉ガ
ス利用率経時変動比率は、0.8R0 以上の範囲に比べて低
くなっている。これは原料落下位置が0.6R0 以下の範囲
では、前述したように炉中心部および特に炉壁周辺部の
装入物分布偏差が低減され、炉内上昇全ガス流の経時変
動が少なくなることによると考えられる。
【0052】一方、操業安定度の尺度の一つとして「炉
況指数」を調査した。ここで、「炉況指数」とは、送風
圧チャートの送風圧データの曲線の長さをチャート送り
長さで除したものを意味し、送風圧の変動が全くなけれ
ば1となる量である。
【0053】図10は、原料落下位置が炉況指数に及ぼす
影響を炉別に示す図である。風圧変動は、原料落下位置
Rが0.6R0 以下の範囲では、0.8R0 以上の範囲に比べて
低いレベルに維持されていることがわかる。ただし、原
料落下位置を炉中心側(0.3R0 以下)とすると、風圧変
動が再び悪化する傾向が見られる。これは、原料落下位
置を炉中心近傍とすると、堆積する原料の粒径が低下
し、炉芯部の通気性が悪化するためと考えられる。従っ
て、ガス流変動を抑制する観点からは効果的であるとは
いえ、装入の全てのバッチの原料落下位置を0.3R0 以下
で長期に続けると好ましくないと考えられる。
【0054】図8から図10において、炉容積の小さい高
炉(1850m3、○印で示すBF4 )では、原料落下位置を変
化させても「炉壁周辺部ガス利用率変動指数」、「全炉
ガス利用率経時変動比率」、「炉況指数」を変化させな
い。即ち、炉容積の小さい高炉では効果が得られないこ
とがわかる。
【0055】以上の結果から、造滓剤を含まない原料の
装入落下位置Rを0.6R0 以下とすることにより、炉内上
昇ガス流分布の時間的・方位的安定化が実現され、炉容
積の大きい高炉(2500m3以上)の安定操業を維持できる
ことが明らかとなった。
【0056】(実施例2)表4に示す2号高炉および4
号高炉を用いて、造滓剤を混合したコークスの装入落下
位置を変えた操業を行い、溶銑中のSi含有量とS含有量
の変化を調査した。
【0057】2号高炉において、造滓剤(蛇紋岩10 kg/
pt)を混合したコークスおよび鉱石の装入落下位置Rを
0.80R0として操業した期間A(ベース)の後、炉内への
1装入単位のコークスを4:1に分割して、後者のコー
クスに造滓剤(蛇紋岩18 kg/pt+ドロマイト19 kg/pt相
当量)を混合し、鉱石の装入落下位置Rと造滓剤を混合
したコークスの装入落下位置Rfを表5に示すように変化
させて装入し、それぞれ3日間操業した。評価として、
炉況指数、溶銑中のSi含有量およびS含有量の変化を調
査し、それらの結果を表5に示した。
【0058】
【表5】
【0059】これらの結果から、発明例の期間B〜Gの
操業では、鉱石および単味のコークスの装入落下位置R
を0.6R0 以下(本発明で定めた範囲)とし、かつ造滓剤
を混合したコークスの落下位置Rfを0.6R0 を超える範囲
(本発明で定めた範囲)としたので、炉況指数が1.14〜
1.16の範囲に安定しており、溶銑中のSi濃度は0.35〜0.
40重量%の範囲に、S濃度は 0.010〜0.013 重量%の範
囲に、いずれも低下した。鉱石および単味のコークスを
炉中心側に装入することによって高炉の安定操業をもた
らし、造滓剤を混合したコークスを炉壁側に装入するこ
とによって溶銑中のSiおよびSを低減できることがわか
る。
【0060】これに対し、比較例のH、JおよびKの操
業では、鉱石および単味のコークスの装入落下位置Rお
よび造滓剤を混合したコークスの落下位置Rfが発明の範
囲から外れるものである。期間HおよびJの操業では、
造滓剤を混合したコークスの落下位置Rfを0.50R0、0.62
R0と炉心側としたため、造滓剤が炉心側に装入され、炉
況指数が 1.18 、1.17と高く、また溶銑中のSi濃度は0.
45、0.46重量%、S濃度はいずれも0.015 重量%と高く
なった。また、期間Kの操業では、鉱石および単味のコ
ークスの装入落下位置Rが0.80R0、0.79R0と炉壁側にあ
り、しかも造滓剤を混合したコークスの落下位置Rfが0.
5R0 と炉心側にあるため、造滓剤が炉心側に装入され、
炉況指数が 1.20 と高く、また溶銑中のSi濃度は0.46重
量%、S濃度は0.016 重量%と高い。
【0061】期間Lの操業では、鉱石および単味のコー
クスの装入落下位置Rを0.84R0、造滓剤を混合したコー
クスの落下位置Rfを0.90R0とした従来例である。炉況指
数が1.24 と高く、また溶銑中のSi濃度は0.46重量%、
S濃度は0.017 重量%と高い。これは、造滓剤が炉心側
に装入されたものと考えられる。また、期間MおよびN
の操業では、本発明で定めた装入条件であるが、高炉の
炉容積が1850m3と小さいため、炉況指数が大きく、安定
操業が得られていない。
【0062】
【発明の効果】本発明の方法は、原料の装入落下位置を
炉口半径の0.6 倍の位置から中心側とすることにより、
炉内のガス流分布を均一化させて高炉の安定操業を達成
できる。また、造滓剤を混合していない原料の装入落下
位置を炉口半径の0.6 倍の位置から中心側とし、かつ造
滓剤を混合した原料の装入落下位置を炉口半径の0.6 倍
の位置から炉壁側とすることにより、炉内のガス流分布
を均一化させて高炉の安定操業の達成と、低Si、低Sの
溶銑を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】原料落下位置が炉壁周辺部のto/tc 分布偏差に
及ぼす影響を炉別に示す図であり、(a) はベルレス装入
の場合、(b) はベル・アーマ装入の場合を示す。
【図2】原料落下位置が炉中心部のto/tc 分布偏差に及
ぼす影響を炉別に示す図であり、(a) はベルレス装入の
場合、(b) はベル・アーマ装入の場合を示す。
【図3】直前に装入された原料の落下位置が炉口の半径
0.4R0の場合の造滓剤存在率の炉口半径方向の変化を示
す図である。
【図4】直前に装入された原料の落下位置が炉口の半径
0.6R0の場合の造滓剤存在率の炉口半径方向の変化を示
す図である。
【図5】直前に装入された原料の落下位置が炉口の半径
0.8R0の場合の造滓剤存在率の炉口半径方向の変化を示
す図である。
【図6】直前に装入された原料の落下位置が炉口の半径
1.0R0の場合の造滓剤存在率の炉口半径方向の変化を示
す図である。
【図7】原料落下位置Rを変化させたときの原料落下位
置から炉壁側の堆積層表面の傾斜角を示す図である。
【図8】原料落下位置が炉壁周辺部のガス利用率変動指
数に及ぼす影響を示す図である。
【図9】原料落下位置が全炉ガス利用率経時変動比率に
及ぼす影響を示す図である。
【図10】原料落下位置が炉況指数に及ぼす影響を示す
図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炉内容積が2500m3以上で炉口半径がR0の高
    炉に鉄源原料とコークスとを交互に層状に装入する方法
    であって、鉄源原料とコークスの装入落下位置をRとす
    るとき、下記式を満たす範囲とすることを特徴とする
    高炉の操業方法。 R≦ 0.6 R0 ・・・ ただし、Rは、ストックレベルにおける炉軸心からの半
    径方向の距離である。
  2. 【請求項2】炉内容積が2500m3以上で炉口半径がR0の高
    炉に鉄源原料とコークスとを交互に層状に装入する方法
    であって、鉄源原料と造滓剤を混合していないコークス
    の装入落下位置をR、造滓剤を混合したコークスの装入
    落下位置をRfとするとき、それぞれ下記式および式
    を満たす範囲とすることを特徴とする高炉の操業方法。 R≦ 0.6 R0 ・・・ Rf> 0.6 R0 ・・・ ただし、Rおよび Rf は、ストックレベルにおける炉軸
    心からの半径方向の距離である。
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