JP3841014B2 - 高炉操業方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、炉頂からの鉱石およびコークスの装入方法を規定することにより、高炉内のガス流分布の変動を抑え、安定な銑鉄生産を維持することができる高炉操業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高炉を安定にしかも効率よく操業するには、炉内を上昇するガスと、炉内を降下するコークスおよび鉄鉱石、焼結鉱などの鉄原料(以下、これら鉄原料を「鉱石」と記す)との熱交換ならびに反応を効率よく行わせることが必要であり、そのためには、炉内の通気性、通液性を良好に保つことが重要である。
【0003】
炉下部に設置された羽口から吹き込まれる熱風とコークスとの反応によって生成する還元性ガス(CO、H2)の作用で、鉱石は炉内を降下しつつ徐々に加熱、還元され、軟化融着帯を形成した後、溶融し、溶銑および溶滓として炉芯コークス層の隙間を滴下して炉底に溜まる。この溶銑、溶滓は定期的に、または連続的に出銑口から抜き出される。
【0004】
さらに、近年、高炉の操業はコークス比の低減を狙って羽口から熱風とともに微粉炭を吹き込む高PCI操業へ移行しており、炉頂から装入するコークス量は鉱石量に比較して相対的に低下してきている。そのため、コークスを炉頂から半径方向に均一になるように装入しようとしても、炉の中心部近傍においてコークス堆積量が低下することがある。その結果、同部における鉱石の割合が局所的に増加し、ガス流れの迂回や還元反応の停滞が生じ、その結果、炉況異常が引き起こされる可能性が生じることとなる。
【0005】
この問題を解決するために、多くの方法が提案されている。例えば、特許第2808343号公報は、コークスを高炉の中心部に装入するコークスと炉の半径方向全体に装入する散布コークスとに分け、散布コークスを炉の半径方向全体にわたって装入する直前または直後に、中心部装入コークスを高炉中心部に装入し、そのあと、鉱石とコークスの混合層を装入する技術が開示されている。中心部装入コークスの粒径を、前記混合層におけるコークスの混合量に応じて規定するとともに、炉内に装入された混合層中のコークスのうち粗いものほど再分離を受けやすく炉中心部に偏析することを利用して、先に述べたようなコークス堆積量が低下しがちな炉中心部およびその周辺部分におけるコークスの適正な配置状態を実現させ、同部におけるガス流分布の変動や還元反応の停滞を抑制し、通気性の改善を狙った技術である。
【0006】
なお、ここで、混合層中のコークスのうち粗いものほど炉中心部に偏析するのは、炉内に装入された混合層中のコークスが、炉内に堆積した装入物の表面(以下、単に「斜面」ともいう)を流下する過程で、鉱石との密度差、粒径差による分級によって鉱石から再分離し、粒径の大きいものが炉中心部に偏析する(すなわち、粒径差と密度差による粒子偏析現象が生じる)からである。
【0007】
また、特許第2724208号公報には、高炉内に鉱石およびコークスを交互に層状に装入する際に、鉱石に予めコークスを混合しておき、この混合比に応じて混合されるコークスの粒径を調整する技術が開示されている。局所的な鉱石割合の増大が懸念される部分にコークスを混合した鉱石を配置することによって鉱石の溶融滴下開始温度を低下させず、還元特性の向上を図り、効率の良い高炉操業を行おうとするものである。
【0008】
一方、特許第2752502号公報には、コークスを大塊、中塊、小塊の3種類のサイズに篩い分けし、鉱石に大塊コークスと小塊コークスを混入させた混合層と、中塊コークスとを交互に高炉に装入する技術が提示されている。これは、前述したように、混合層中のコークスは、炉内装入後、斜面を流下する際に、粗いものほど再分離を受けやすく、その結果炉中心部に偏析するコークスが多くなることを利用して、高炉中心ガス流を確保し、高炉の圧力損失増加を防ぐことを目的としている。
【0009】
さらに、特許第2822861号公報には、コークスの単独装入と鉱石およびコークスの同時装入とを繰り返し行うに際し、鉱石の粗粒部分の粒径と、鉱石と同時装入するコークスの粒径との比を規定する技術が開示されている。高炉内に混合状態で同時装入された鉱石とコークスは炉内に堆積する際に粒径差と密度差による粒子偏析現象によってコークスを中心部近傍に堆積させ、同部の局所的な鉱石の存在割合の増加を抑制し、安定な高炉操業を目指すものである。
【0010】
しかしながら、上記従来の技術においては、以下に述べるような問題がある。すなわち、前記特許第2808343号公報に記載される技術においては、混合層中のコークスの再分離による中心部への偏析を前提としており、特許第2724208号公報に記載の技術では、混合層による高温通気抵抗の低下を利用しているにもかかわらず、いずれも混合層中の鉱石とコークスの粒径比についての規定がないため、混合層中のコークスが炉内半径方向でどこに偏析するかは、予測できないだけでなく、原料粒径構成条件などの変動による影響を受け、その制御が不可能であるという問題がある。
また、特許第2752502号公報に記載の技術では、混合層中のコークスを大塊コークスと小塊コークスに規定している。さらに、特許第2822861号公報に記載の技術においては、変動要因となる原料粒度構成の一部を規定(すなわち、鉱石の粗粒部分の粒径と、鉱石と同時装入するコークスの粒径との比を規定)しており、その点において、上記の、混合層中の鉱石とコークスの粒径比についての規定がない、という問題点を一部解決する技術である。しかし、これらの技術はいずれも粒径差と密度差による粒子偏析現象を利用して混合層中のコークスの堆積位置を制御するものであり、そのためには、混合層自体の堆積状態の安定性が必須であるにもかかわらず、いずれの技術においても、混合層をコークス層上に装入しているため、混合層がコークス層上に装入される際の落下衝撃によって、落下点付近の斜面の崩れ等、斜面崩壊により斜面の形状(斜面プロフィール)が乱れ、混合層中のコークスの堆積位置の制御が不能となるという重要な問題点が存在しており、これによってもたらされる装入物分布の変動が高炉操業の不安定を引き起こす要因となるおそれがある。
【0011】
特に、高PCI操業または低燃料比操業にあっては、鉱石に対するコークスの装入割合(質量比)が減少しているため、中心部にコークス、またはコークスと鉱石の混合物を別系統から装入したとしても、炉周辺部分に落下したコークスが中心部近辺まで流れ込む量が減少するので、中心部周辺に局所的に鉱石の割合が多い領域が存在することになる。その結果、この中心部近傍部分において局所的に鉱石の溶解が遅れ、鉱石の融着位置が極度に炉下部へ低下し、未還元や未溶解の鉱石が羽口近傍に降下すると、急激な吸熱反応である直接還元を誘発し、高炉を熱不足にならしめ、高炉操業に支障をきたす。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来の技術における問題点を解決すべくなされたものであって、その目的は、炉内半径方向のうち局所的に鉱石の存在比率が高い領域を排除し、鉱石に混合したコークスを所定位置(中心部近傍)に確実に配置させ、中心部近傍(以下、「炉中心部」または単に「中心部」といえば、炉内の中心部近傍をいう)以外の高炉半径方向における鉱石とコークスの存在比率を均等に保つことにより、装入物分布制御の精度と安定性を高め、ガス流れを安定化させて安定操業を維持することができる高炉操業方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、コークス、鉱石、および鉱石とコークスの混合物を繰り返し炉内に装入して行う高炉操業において、鉱石とコークスの混合物を安定した堆積状態を維持できる鉱石層の斜面に装入することにより、装入時の落下点付近における斜面プロフィールの乱れを回避し、炉内に堆積した鉱石とコークスの混合層内での粒子偏析現象を効果的に利用してコークスを炉中心部に偏析させることにより上記目的を達成したもので、その要旨は、下記(1)および(2)に記載の高炉操業方法にある。
【0014】
(1)高炉炉頂部からコークス、鉱石、および鉱石とコークスの混合物を繰り返し炉内に装入し、層状に堆積させて高炉を操業するに際し、コークスを炉内半径方向全域に堆積させた後、鉱石を2分割したうちの一方の鉱石を炉内半径方向全域に堆積させ、その直上に他方の平均粒径dが炉口径の0.2%以下の鉱石に平均粒径が1.2×d以上のコークスを混合した鉱石とコークスの混合物を装入する高炉操業方法。
【0015】
(2)高炉炉頂部からコークス、鉱石、および鉱石とコークスの混合物を繰り返し炉内に装入し、層状に堆積させて高炉を操業するに際し、コークスを炉内半径方向全域に堆積させた後、炉中心部にコークス、またはコークスと鉱石の混合物を装入し、次いで残りの鉱石を2分割したうちの一方の鉱石を炉内半径方向全域に堆積させ、その直上に他方の平均粒径dが炉口径の0.2%以下の鉱石に平均粒径が1.2×d以上のコークスを混合した鉱石とコークスの混合物を装入する高炉操業方法。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態と作用効果を、高炉模型を用いて行った装入実験結果に基づいて説明する。なお、模型は4000m3規模の高炉の炉頂部の縮尺1/20の模型で、炉頂部のスケール(炉口径)を変更できるように構成されている。
【0018】
実験は、装入条件を変えて原料装入を行い、炉内で堆積させた後の鉱石とコークスの半径方向分布を測定することにより行った。特に、鉱石とコークスの混合物を炉内に装入する際に、装入直前の炉内堆積状態(すなわち、装入前の斜面を構成する粒子がコークスであるか鉱石であるか)が装入後の混合層内での鉱石とコークスの偏析分離に及ぼす影響の調査を行った。
【0019】
装入実験に用いた鉱石の粒径は炉口径の0.1%から0.2%まで、鉱石に混合するコークスの粒径は鉱石の粒径の0.7倍から1.6倍までとした。また、炉内半径方向全域にわたって装入する鉱石とコークス混合物におけるコークスの混合比率は、混合物中の鉱石に対するコークスの質量百分率で2%から5%までとした。
【0020】
安定な高炉操業を行うためには炉中心部において十分なガス流速を維持することが必要であり、そのためには、炉中心部のO/Cを低めに維持することが重要である。本装入実験では、鉱石およびコークスを炉内に装入し、堆積させた後の炉中心部近傍における中心O/Cを測定し、評価項目とした。なお、「中心O/C」とは、鉱石、コークスを炉内に装入し、堆積させた後の、炉の中心軸から半径方向へ20%までの範囲内の装入物のO/Cを装入物全体の平均O/Cで除した値である。本発明者らの検討結果によると、安定したガス流を維持するためには、中心O/Cは、0.5以下であることが望ましい。
【0021】
装入実験結果を表1にまとめて示す。同表において、「混合層中のコークス粒径比率」とは、炉内に装入する鉱石とコークスの混合物中の鉱石の平均粒径に対する同じく混合物中のコークスの平均粒径の比である。また、[評価]の欄の○印は、中心O/Cが0.5以下で、良好な結果を示す場合である。また、×印は、中心O/Cが0.5を超え、不良であることを示す。
【0022】
【表1】
【0023】
表1において、ケース1およびケース2は、コークスを炉内に装入し、堆積させたコークス斜面上に鉱石とコークスの混合物を装入した場合の結果を示す。また、図1は、このとき炉内に形成される鉱石とコークスの混合層中におけるコークスの偏在状態を模式的に示す断面図で、同図中の符号Cを付した一点鎖線は高炉の中心軸、符号Wは炉壁を表す。
【0024】
図1において、炉内に装入されたコークスはコークス層1を形成する。このときの、すなわち、次に装入される鉱石とコークスの混合物装入前のコークス層の斜面は破線Aで表される。このコークス層の斜面A上に鉱石とコークスの混合物が装入されるのであるが、鉱石はコークスの約3倍程度の質量を有するため、鉱石とコークスの混合物(鉱石が主体)がコークス斜面上に落下した際の衝撃力も約3倍となり、落下点付近(図1の矢印を付した部分)を起点としてコークス層の斜面Aが一部崩壊する。しかし、この崩壊したコークスは、斜面下流まで移動することなく、崩壊点の近傍から斜面下端の中間部付近までの間に滞留し、結果としていびつな斜面形状が形成される。図1中に示した実線Bが鉱石とコークスの混合物装入後のコークス層の斜面を示す。
【0025】
したがって、落下した鉱石とコークスの混合物は、スムーズに斜面を流下することができず、混合層2中のコークスは、混合層2内での分級効果を十分に受けられず、鉱石からの再分離が行われにくい。このため、図1に示すように、混合層2中のコークス(図中に×印で表示)は落下点付近と斜面下端の中間部付近までの間に堆積するに留まり、混合層中の鉱石の大部分が、炉内の中間部から中心部付近に流れ込みながら堆積していく現象が認められ、同部に局所的にO/Cが高い領域が存在することとなる。
【0026】
この現象は、ケース1のように混合層中のコークス粒径が鉱石粒径の0.7倍の場合、ケース2のように1.5倍の場合のいずれでも生じ、中心O/Cは、それぞれ0.85、0.77に留まり、安定したガス流を維持するために望ましい0.5以下にはならない。
【0027】
以上の結果から、混合する鉱石とコークスの粒径比に関係なく、鉱石とコークスの混合物をコークス層上に装入すると、混合層内のコークスを中心部近傍に偏析させることができないことがわかる。 したがって、半径方向におけるO/C分布制御性に支障をきたすこととなり、特に、高PCI操業または低燃料比操業下にあっては、中心部近傍に局所的に鉱石の割合が多い領域が存在し、鉱石の溶解遅れ、直接還元の誘発を招き、高炉操業への悪影響を抑制することができなくなるおそれが大きい。
【0028】
次に、表1のケース5、6、8およびケース9は、鉱石斜面上に鉱石とコークスの混合物を装入した場合の結果を示す。また、図2は、このとき炉内に形成される鉱石とコークスの混合層中におけるコークスの偏在状態を模式的に示す図である。
【0029】
図2において、符号Cを付した一点鎖線は高炉の中心軸、符号Wは炉壁を表す。鉱石を2分割したうちの一方の鉱石(コークスを混合していない鉱石のみ)を炉内半径方向全域に堆積させた結果形成されたのが鉱石層3であり、その上に鉱石とコークスの混合物が装入され、混合層4が形成されている。
【0030】
この場合、斜面は、質量がコークスに比べて大きく、衝撃力に対して安定した堆積状態を維持できる鉱石で構成されているので、鉱石とコークスの混合物を装入しても落下点近傍で斜面の崩れが生じることがないため、図2に示すように、斜面下流にかけて混合物が流れ込みながら、混合層4中のコークス(図中に×印で表示)は分級効果により鉱石から再分離し、斜面下流の炉の中心部近傍まで到達する。そして、表1に示すように、ケース5、6、8およびケース9のいずれのケースでも、中心O/Cは、安定したガス流を維持するために望ましい0.5以下となっている。
【0031】
ケース5、6、8およびケース9のうちのケース5およびケース6は、混合層中のコークス粒径比率(コークスの平均粒径/鉱石の平均粒径)を1.2〜1.6の範囲内で変化させた場合である。この結果から明らかなように、混合層中のコークス粒径比率が増大するとともに中心O/Cが減少する。中心O/Cは、コークス粒径が鉱石粒径の1.2倍を超えるケース5およびケース6では、0.1以下となっている。これは、混合層中のコークスの分級効果が混合する鉱石とコークスの粒径比に依存し、ケース5およびケース6では、混合層中のコークスが、効率のよい分級が行われて再分離するため、炉中心部にコークスが偏在しやすいことによるものである。
【0032】
また、この分級効果は、粒子同士の分級、篩い分け現象の繰り返し回数によって影響されるため、粒子径に対して分級に必要な十分な距離がとれるか否かによってその効果が異なってくると推定される。
【0033】
ケース5、6、8およびケース9は、混合層中の鉱石の粒径および炉口径を変えることによって、炉口径に対する混合層中の鉱石粒径の比を百分率で0.1%から0.2%の範囲で変化させた場合である。十分な分級効果を得るためには、炉口径に対する鉱石粒径の比(百分率)が0.2%以下であること(斜面長さに換算すると、鉱石粒径の250倍以上の長さの斜面)が必要と判断される。
【0034】
以上、説明したように、本発明(上記(1)に記載の発明)において、コークスを炉内半径方向全域に堆積させた後、鉱石を2分割したうちの一方の鉱石(コークスを混合していない鉱石のみ)を炉内半径方向全域に堆積させ、その直上に他方の鉱石にコークスを混合した鉱石とコークスの混合物を装入するのは、コークスに比べて質量がかなり大きく、衝撃力に対して安定した堆積状態を維持できる鉱石層を炉内半径方向全域に形成させることにより、鉱石とコークスの混合物を装入したときの斜面プロフィールの乱れを回避するためである。
【0035】
一方、中心部以外の高炉半径方向については、上記(1)に記載するように、コークスを炉内半径方向全域に堆積させ、その後鉱石を炉内半径方向全域に堆積させ、その直上に、すなわち鉱石を堆積させた炉内半径方向全域にわたって、平均粒径dが炉口径の0.2%以下の鉱石と平均粒径が1.2×d以上のコークスの混合物を装入するので、鉱石とコークスの存在比率を均等に保つことができる。
【0036】
このような装入方法を採ることによって、炉内に堆積した鉱石とコークスの混合層内での粒子偏析現象を効果的に利用してコークスを炉中心部に偏析させることができ、一方中心部以外の高炉半径方向における鉱石とコークスの存在比率を均等に保つことができるので、装入物分布制御の精度と安定性を高め、ガス流れを安定化させて安定操業を維持することが可能となる。
【0037】
本発明(上記(2)に記載の発明)において、コークスを炉内半径方向全域に堆積させた後、炉中心部にコークス、またはコークスと鉱石の混合物を装入し、次いで残りの鉱石を2分割したうちの一方の鉱石を炉内半径方向全域に堆積させ、その直上に他方の平均粒径dが炉口径の0.2%以下の鉱石に平均粒径が1.2×d以上のコークスを混合した鉱石とコークスの混合物を装入するのは、上述したコークスの炉中心部における偏析をより確実に生じさせ、中心部におけるガス流を強化するためである。
【0038】
炉中心部に装入するのは、コークスのみでもよいし、鉱石の一部にコークスを混合した混合物でもよい。これらの炉中心部への装入量、また、コークスと鉱石の混合物を装入する場合のコークスの混合比率は、炉中心部におけるガス流れに対する影響等を勘案しながら適宜定めればよい。
【0039】
以下、実施例により本発明の効果を具体的に説明する。
【0040】
【実施例】
炉頂装入装置を備え、炉口径を変更できる円筒形高炉模型(4000m3規模の高炉の縮尺1/20の模型)を用い、原料の装入、排出を連続的に行いながら、下方に設置した羽口から送風し、炉頂部の半径方向ガス流分布を測定した。高炉模型(装置)の下部には、実炉を想定した送風機および荷下がりを模擬した原料の切り出し用のテーブルフィーダーが設けられ、装置上部には、炉頂部の装入条件に応じた粒子充填構造に基づき形成されるガス流速分布を計測することができるように、複数のガス流速計が取り付けられている。
【0041】
実験は、装入条件、具体的にはコークス、鉱石、鉱石とコークスの混合物等の装入順序、炉口径に対する鉱石粒径の比(百分率)および混合層中のコークス粒径比率(コークスの平均粒径/鉱石の平均粒径)を変更し、ガス流分布に及ぼす影響を調査した。なお、炉内半径方向全域にわたって装入する鉱石とコークスの混合物におけるコークスの混合比率は、混合物中の鉱石に対するコークスの質量百分率で3%とした。
【0042】
実験結果を表2にまとめて示す。表2において、「装入順序」とは、コークス、鉱石、鉱石とコークスの混合物等の炉頂からの装入順序であり、この装入順序の欄において、「C」は炉内半径方向全域に堆積させるコークスを、「M」は炉内半径方向全域に堆積させる鉱石とコークスの混合物を、「O」は炉内半径方向全域に堆積させる鉱石を表す。また、「cm」は炉中心部に装入する鉱石とコークスの混合物を、「cc」は炉中心部に装入するコークスを意味する。したがって、例えば「CMO」とは、「コークスを炉内半径方向全域に堆積させ」、その上に「鉱石とコークスの混合物を堆積させ」、次いで「鉱石を炉内半径方向全域に堆積させる」ことを表す。
【0043】
「ガス流分布偏差」とは、所定の装入条件でコークスおよび鉱石の装入を開始してから排出されるまでの工程を2サイクル経過した後、次の3サイクル目から4サイクル目までの間の半径方向各点におけるガス流速の時間的変動の標準偏差の総和を示す指標である。この値が小さいほどガス流れが安定していることを示す。
【0044】
また、「中心ガス流分布指数」とは、炉頂部で測定した全断面当たりの平均ガス流速に対する中心部のガス流速の比を表す指数で、この値が大きいほど中心ガス流が強化されていることを示す。ガス流全体を安定化させ得る中心ガス流を確保するには、この値が5以上であることが好ましい。
【0045】
【表2】
【0046】
比較例1は、コークス斜面上に鉱石とコークスの混合物を装入した場合で(前記図1参照)、中心部ガス流速が相対的に低いため中心部ガス流分布指数が小さく、ガス流分布の変動が大きかった。コークス斜面の一部崩壊により混合層中のコークスが炉中心部まで運ばれることなく、半径方向の中間部分に滞留し、結果的に中心部近傍のO/Cが局所的に上昇したものと推定される。
【0047】
比較例2は、比較例1において、従来、分級効果が十分に生じるとされる鉱石の平均粒径に対するコークスの平均粒径比を1.7まで(比較例1では、1.1)増加させた場合である。しかしながら、中心部ガス流分布指数は依然として小さく、かつガス流分布偏差は高かった。これは、コークス斜面上に鉱石とコークスの混合物を装入しているため、装入時に落下点付近で斜面プロフィールの乱れが生じ、分級効果が発現しなかったものと考えられる。
【0048】
そこで、実施例1では、混合層中の鉱石の平均粒径に対するコークスの平均粒径比は1.7のままとし、装入順序を変えて、鉱石斜面上に鉱石とコークスの混合物を装入したところ、中心部ガス流が強化され、ガス流分布偏差が低下した。これは、鉱石層が安定した堆積状態を維持できたため鉱石とコークスの混合物が装入されても斜面プロフィールの乱れが生じず、鉱石とコークスの混合層中での分級が効果的に行われ、中心部近傍の局所的な高O/C領域が排除されたためである。
【0049】
比較例3と比較例4は、中心部におけるガス流を強化させる目的で、コークスを炉内半径方向全域に堆積させた後、コークスまたはコークスと鉱石の混合物を炉中心部に装入した場合で、比較例3は炉中心部にコークスと鉱石の混合物を装入した場合、比較例4は、コークスを装入した場合である。いずれの場合も、中心ガス流の幾分の強化は認められたが、依然としてガス流分布の変動は抑制できなかった。
【0050】
実施例2は、比較例3に対して混合層の装入順序を変更し、炉中心部にコークスと鉱石の混合物を装入した後、鉱石を装入、その後鉱石とコークスの混合物を装入した場合、また、実施例3は、比較例4に対して混合層の装入順を変更し、炉中心部にコークスを装入した後、鉱石を装入、その後鉱石とコークスの混合物を装入した場合である。いずれも、ガス流分布偏差が低下し、中心ガス流分布指数が上昇した。
【0053】
実施例6は、混合層中の鉱石およびコークスの粒径を低下させた場合である。中心ガス流が強化され、ガス流分布の変動が低下した。混合層中の鉱石およびコークスの粒径の低下にもかかわらず、効果的な分級が行われる斜面長さが確保されたため、中心部近傍の局所的な高O/C領域が排除されたことが、中心ガス流の強化とガス流れ分布の安定化に寄与したことを示している。
【0054】
【発明の効果】
本発明の高炉操業方法によれば、高PCI操業または低燃料比操業時においても、炉内半径方向のうち局所的に鉱石の存在比率が高い領域を排除して鉱石に混合したコークスを炉中心部に確実に配置させるとともに、中心部以外の高炉半径方向における鉱石とコークスの存在比率を均等に保つことにより、装入物分布制御の精度と安定性を高め、ガス流れを安定化させて安定操業を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】炉内のコークス層斜面上に鉱石とコークスの混合物を装入して形成された混合層中におけるコークス偏在状態を模式的に示す断面図である。
【図2】炉内の鉱石層斜面上に鉱石とコークスの混合物を装入して形成された混合層中におけるコークス偏在状態を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1:コークス層
2:混合層
3:鉱石層
4:混合層
C:高炉の中心軸
W:炉壁
A:混合物装入前のコークス層の斜面
B:混合物装入後のコークス層の斜面
Claims (2)
- 高炉炉頂部からコークス、鉱石、および鉱石とコークスの混合物を繰り返し炉内に装入し、層状に堆積させて高炉を操業するに際し、コークスを炉内半径方向全域に堆積させた後、鉱石を2分割したうちの一方の鉱石を炉内半径方向全域に堆積させ、その直上に他方の平均粒径dが炉口径の0.2%以下の鉱石に平均粒径が1.2×d以上のコークスを混合した鉱石とコークスの混合物を装入することを特徴とする高炉操業方法。
- 高炉炉頂部からコークス、鉱石、および鉱石とコークスの混合物を繰り返し炉内に装入し、層状に堆積させて高炉を操業するに際し、コークスを炉内半径方向全域に堆積させた後、炉中心部にコークス、またはコークスと鉱石の混合物を装入し、次いで残りの鉱石を2分割したうちの一方の鉱石を炉内半径方向全域に堆積させ、その直上に他方の平均粒径dが炉口径の0.2%以下の鉱石に平均粒径が1.2×d以上のコークスを混合した鉱石とコークスの混合物を装入することを特徴とする高炉操業方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002130683A JP3841014B2 (ja) | 2002-05-02 | 2002-05-02 | 高炉操業方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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