JPH09165460A

JPH09165460A - 帯電防止処理方法

Info

Publication number: JPH09165460A
Application number: JP7325286A
Authority: JP
Inventors: Takashi Kikuchi; 隆菊池; Akihiko Dobashi; 明彦土橋
Original assignee: Hitachi Chemical Co Ltd
Current assignee: Showa Denko Materials Co Ltd
Priority date: 1995-12-14
Filing date: 1995-12-14
Publication date: 1997-06-24

Abstract

(57)【要約】【課題】プラスチック製フィルム、板、成型品等に予め
帯電防止処理を行わずとも、粘着フィルムを貼り付け剥
離することにより、塵や埃、ゴミ等の付着を防止する帯
電防止処理方法を提供すること。【解決手段】支持体の片面に帯電防止剤を含む粘着剤層
を設けてなる粘着フィルムを製品表面に貼り付け、その
後剥離することで帯電防止剤を転写する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック製フ
ィルム、板、成型品等の帯電防止処理方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、プラスチック製フィルム、
板、成型品等は、静電気により塵や埃、ゴミ等を吸着
し、商品価値を低下させる、印刷や塗装を阻害する等の
問題が発生するために、帯電防止処理を行っている。こ
の帯電防止処理方法としては、プラスチック材料に直接
帯電防止剤を練り込む方法や、プラスチック製品の表面
に帯電防止剤を塗布する方法が一般に用いられてきた。
しかし、プラスチック材料に帯電防止剤を直接練り込む
方法は、プラスチック材料に異物を添加することであ
り、成型加工性を低下させる、プラスチック製品の物性
や外観、色相を低下させる等の欠点がある。また、プラ
スチック製品の表面に帯電防止剤を塗布する方法は、ス
プレー、ハケ、ロール等での塗布や浸漬する方法がある
が、いずれも専用の設備が必要であり作業時間がかかる
等の欠点がある。また、一般に、帯電防止剤を適量表面
に塗布するには有機溶剤や水で希釈する必要があるた
め、溶剤を除去するための乾燥工程が必要になる。更
に、有機溶剤を用いた場合には揮発により作業環境が悪
化する等の欠点がある。一方、このようなプラスチック
製フィルム、板、成型品は、輸送時、加工時の傷防止、
汚れ防止のために表面保護用粘着フィルムを貼り付ける
ことが多い。この場合に、プラスチック製フィルム、
板、成型品に練り込み式又は表面塗布式の帯電防止処理
を行っていると、粘着フィルムにより帯電防止処理効果
が消失する、低下する等の問題が発生する。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる状況
に鑑みなされたもので、プラスチック製フィルム、板、
成型品に予め帯電防止処理を行わずとも、帯電防止剤入
りの粘着フィルムを貼り付けることにより、帯電防止処
理ができる方法を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成するために鋭意検討した結果、フィルム状支持体
の片面に帯電防止剤を含む粘着剤層を設けてなる粘着フ
ィルムを被着体に貼り付け、その後剥離することによ
り、予め被着体に帯電防止処理を行わずとも被着体表面
に帯電防止処理ができることを見い出し、発明に至っ
た。すなわち本発明は、フィルム状支持体の片面に帯電
防止剤を含む粘着剤層を設けてなる粘着フィルムを被着
体に貼り付け、その後剥離することを特徴とする被着体
表面の帯電防止処理方法に関する。本発明の対象とする
製品としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリメタクリル酸エステル、アクリロニトリル−ブ
タジエン−スチレン共重合体（ＡＢＳ樹脂）、ポリ塩化
ビニル、ポリ塩化ビニリデンに代表されるプラスチック
製フィルム、板、成型品等が挙げられる。これらのプラ
スチック製品は、帯電防止処理を行わないと、塵や埃、
ゴミを吸着し、商品価値が低下する、印刷や塗装を阻害
する等の問題が発生し易いとの特徴がある。

【０００５】

【発明の実施の形態】本発明の粘着フィルムに用いる粘
着剤には、一般に用いられるアクリル系粘着剤、天然ゴ
ム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、エチレン−酢酸ビニル
共重合体（ＥＶＡ）系粘着剤、シリコン系粘着剤等、及
びこれらの混合系粘着剤を用いることができ、その厚み
は、通常１〜２０μｍとすることが適当である。また、
粘着剤層の形成方法としては、一般に有機溶剤に溶解し
粘度を調整した粘着剤を支持体上に塗工する方法が用い
られるが、この他、粘着剤を溶融し塗工する方法や水に
分散し塗工する方法等の公知の方法を用いることができ
る。

【０００６】本発明の粘着フィルムの粘着剤に添加され
る帯電防止剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エス
テル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチ
レンアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルア
ミン脂肪酸エステル類、Ｎ−ヒドロキシエチル−Ｎ−２
−ヒドロキシアルキルアミン類、アルキルジエヤノール
アミド類に代表されるノニオン系界面活性剤、アルキル
フォスフェート塩類、アルキルスルホン酸塩類、アルキ
ルベンゼンスルホン酸塩類に代表されるアニオン系界面
活性剤、４級アンモニウム塩類、アミド４級アンモニウ
ム塩類に代表されるカチオン系界面活性剤、アルキルベ
タイン類、アルキルイミダゾリニウムベタイン類に代表
される両性系界面活性剤が挙げられ、また、これら２種
類以上の混合物であってもよい。

【０００７】粘着剤への帯電防止剤の添加量は、粘着剤
１００重量部に対して０．１〜２０重量部が好ましく、
更に好ましくは０．５〜５重量部である。０．１重量部
より少ないと目的とした被着体表面の帯電防止効果が得
られない。これは、粘着剤中に十分な帯電防止剤を含ま
ないため、被着体表面への転写量が少なく、十分な帯電
防止効果が得られないためと考えられる。一方、２０重
量部より多いと被着体に貼り付けるために必要な粘着力
が得られなくなり、実質的に粘着フィルムとして使用で
きなくなる。また、この粘着剤には、必要に応じて、充
填剤、軟化剤、粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、着色剤等を適量添加してもよい。

【０００８】本発明の粘着フィルムに用いられる支持体
としては、粘着フィルムの支持体として一般に用いられ
るポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポ
リエステル、ポリアミド等のプラスチック製フィルムや
紙、布等が挙げられる。これら支持体の厚さは、特に制
限はないが、通常１０μｍ〜２０００μｍであり、好ま
しくは２０μｍ〜２００μｍである。また、必要に応じ
て、支持体には一般に使用される酸化防止剤、滑剤、着
色剤等の添加剤を含んでもよい。更に、本発明の粘着フ
ィルムには、必要に応じて、支持体と粘着剤の密着力を
得るために、コロナ処理、プラズマ処理といった支持体
の表面処理や下塗り剤の塗布等を行ってもよく、また、
粘着フィルムの巻き戻し性を調整する等の目的のために
粘着フィルム背面に、背面処理剤の塗布を行ってもよ
い。被着体への粘着フィルムの貼り付け方法としては、
被着体と粘着剤が隙間なく密着する方法が適しており、
被着体の形状により手貼り、機械貼り等の公知の方法で
貼り付けることができる。被着体と粘着剤に隙間がある
と、その部分の帯電防止効果が得られず、塵や埃、ゴミ
を吸着する、印刷や塗装を阻害する等の問題が発生する
場合がある。

【０００９】また、粘着フィルムを貼り付けて剥離する
までの期間については、特に制限されることはなく、貼
り付け後直ちに剥離してもよいし、また、剥離困難や糊
残り等の問題が発生しない期間内で貼り付け剥離するこ
とができる。このような特徴から、必要に応じて、発明
の粘着フィルムは被着体の加工時、輸送時、保管時の保
護も兼ねることができる。本発明の粘着フィルムの技術
的ポイントは、プラスチック製フィルム、板、成型品等
に予め帯電防止処理を行わずとも、粘着フィルムを貼り
付け剥離することで帯電防止剤を転写させ、製品表面の
帯電防止処理ができることである。このために、支持体
の片面に帯電防止剤を含む粘着剤層を設けてなる粘着フ
ィルムをプラスチック製フィルム、板、成型品等の製品
表面に貼り付け、その後剥離することにより、帯電防止
処理効果が得られる。

【００１０】

【実施例】以下実施例により具体的に説明するが、本発
明はこれに限定されるものではない。実施例１アクリル酸ブチル８５重量部、アクリロニトリル１０重
量部、アクリル酸５重量部からなるフクリル酸エステル
系共重合体をエマルジョン重合法で合成した。この共重
合体をトルエンで１０％濃度に溶解し、この溶液の１０
０重量部（固形分）に対し、イソシアネート系架橋剤
（日本ポリウレタン（株）製、商品名コロネートＬ）を
５重量部、アルキルフォスフェート系帯電防止剤（東邦
化学工業（株）製、商品名フォスファノールＲＤ−５１
０Ｙ）を０．５重量部を配合した粘着剤溶液を調整し
た。次に、インフレーション法で製膜した厚さ６０μｍ
の低密度ポリエチレンフィルムの粘着剤を塗布する面に
コロナ処理を行い、配合した粘着剤溶液を乾燥後の厚さ
が５μｍとなるよう塗布乾燥することにより、粘着フィ
ルムを作製した。得られた粘着フィルムをアクリル板に
ゴムロールで貼り付け、３０分後に剥離し室内に放置し
たときの埃の付着程度を観察した。また、アクリル板に
対する粘着力を測定し、表１に結果をまとめて示す。

【００１１】実施例２実施例１におけるアルキルフォスフェート系帯電防止剤
の添加量が１重量部である以外は、実施例１と同様に実
施した。結果を表１に示す。

【００１２】実施例３実施例１におけるアルキルフォスフェート系帯電防止剤
の添加量が５重量部である以外は、実施例１と同様に実
施した。結果を表１に示す。

【００１３】比較例１実施例１で添加したアルキルフォスフェート系帯電防止
剤を添加しない以外は、実施例１と同様に実施した。結
果を表１に示す。

【００１４】比較例２実施例１におけるアルキルフォスフェート系帯電防止剤
の添加量が０．０１重量部である以外は、実施例１と同
様に実施した。結果を表１に示す。

【００１５】比較例３実施例１におけるアルキルフォスフェート系帯電防止剤
の添加量が５０重量部である以外は、実施例１と同様に
実施した。結果を表１に示す。

【００１６】比較例４アクリル板に全く粘着フィルムを貼り付けずに、室内に
放置したときの埃の付着程度を観察した。

【００１７】上記の実施例１〜３は、粘着フィルムがア
クリル板に対し、適度の粘着力を有し貼り付け性が良好
であり、また、粘着フィルム剥離後の埃の付着が少な
く、十分な帯電防止効果が確認された。比較例１、２
は、粘着フィルムの貼り付け性は良好であるが、帯電防
止剤が粘着剤に添加されてないか又は添加量が少ないた
め、粘着フィルム剥離後の埃の付着が顕著に観察され帯
電防止効果は見られなかった。比較例３は、粘着剤への
帯電防止剤添加量が多いため、粘着フィルムの粘着性が
なくなりアクリル板へ貼り付かない。

【００１８】

【表１】注）１．アクリル板の埃付着試験アクリル板に粘着フィルムを貼付圧力６ｋｇ／ｃｍ、貼
付速度２ｍ／分の条件でゴムロールを用いて貼り付け、
室温で３０分間放置後、粘着フィルムを剥離した。この
アクリル板を気温２３℃、湿度６０％ＲＨの室内に１週
間放置し、埃の付着程度を目視で確認した。結果は以下
の記号で表示した。 ○ ：目立った埃の付着は見られない。 × ：顕著な埃の付着が見られる。 − ：粘着フィルムを貼り付けることができず、未評
価。２．アクリル板に対する粘着力アクリル板に粘着フィルムを貼付圧力６ｋｇ／ｃｍ、貼
付速度２ｍ／分の条件でゴムロールを用いて貼り付け、
室温で３０分間放置後、粘着フィルムを剥離速度０．２
ｍ／２分、剥離角度９０度、雰囲気温度２３℃で剥離し
たときの荷重を測定し、粘着力とした。

【００１９】

【発明の効果】本発明によれば、プラスチック製フィル
ム、板、成型品等に予め帯電防止処理を行わずとも、粘
着フィルムを貼り付け剥離することにより、塵や埃、ゴ
ミ等の付着を防止する帯電防止処理が可能である。更
に、本発明の粘着フィルムは、必要に応じて、製品の加
工時、輸送時、保管時の保護も兼ねることができる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】製品表面の帯電防止処理方法において、フ
ィルム状支持体の片面に帯電防止剤を含む粘着剤層を設
けてなる粘着フィルムを製品表面に貼り付け、その後剥
離することで帯電防止剤を転写することを特徴とする帯
電防止処理方法。
【請求項２】粘着剤層に含まれる帯電防止剤の添加量が
粘着剤１００重量部に対して、０．１〜２０重量部であ
る請求項１記載の帯電防止処理方法。