JPH09160304A

JPH09160304A - 静電潜像現像剤用キャリア及びそれを用いた静電潜像現像剤並びに画像形成方法

Info

Publication number: JPH09160304A
Application number: JP32463695A
Authority: JP
Inventors: Susumu Yoshino; 進吉野; Ishi Kin; 石金; Koichi Takashima; 紘一高島
Original assignee: Fuji Xerox Co Ltd
Current assignee: Fujifilm Business Innovation Corp
Priority date: 1995-12-13
Filing date: 1995-12-13
Publication date: 1997-06-20

Abstract

(57)【要約】【課題】コートキャリヤにおいても所望の帯電性を実
現し、簡便に製造でき、長寿命の静電潜像現像剤用キャ
リア及びそれを用いた中間調再現性の優れた画像を形成
しうる静電潜像用現像剤並びにその現像剤を用いた画像
形成方法を提供する。【解決手段】キャリア芯材上に樹脂及び導電性粉末か
らなる被覆層を有する静電潜像現像剤用キャリアにおい
て、導電性粉末の平均一次粒子径を（Ｂ）μｍ、樹脂コ
ート厚みを（Ａ）μｍとしたとき、両者の関係が下記式
を満足することを特徴とする。（Ａ）≦（Ｂ）≦（Ａ）＋３（μｍ）ここで被覆層形成樹脂が、少なくともフッ素系樹脂及び
シリコーン樹脂からなる群から選択される一種又は二種
以上を含有し、樹脂コート厚みが０．１〜１０μｍであ
ることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法、静電
記録法において静電潜像のために使用される静電潜像現
像剤用キャリア及びそれを用いた静電潜像現像剤並びに
画像形成方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、電子写真法においては、感光体や
静電記録体上に種々の手段を用いて静電潜像を形成し、
この静電潜像にトナーと呼ばれる検電性微粒子を付着さ
せて、静電潜像を現像する方法が一般的に使用されてい
る。

【０００３】この現像に際しては、キャリアと呼ばれる
担体粒子をトナー粒子と混合し、両者を相互に摩擦帯電
させて、トナーに適当量の正または負の電荷を付与して
いる。キャリアは、一般に表面に被膜層を有するコート
キャリアと、表面に被膜層を有しない非コートキャリア
とに大別されるが、現像剤寿命等を考慮した場合には、
コートキャリアの方が優れていることから、種々のタイ
プのコートキャリアが開発され、かつ実用化されてい
る。

【０００４】コートキャリアに要求される特性は種々あ
るが、トナーに適度な帯電性（電荷量や電荷分布）を付
与すること、トナーの適切な帯電性を長期にわたって維
持すること、この為に要求される耐衝撃性、耐磨耗性、
そして湿度や温度等の環境変化に対しても、トナーの帯
電性を変化させないことが特に重要であり、種々のコー
トキャリアが提案されている。

【０００５】このような課題に対して、長寿命のコート
キャリアを提供する目的で、特開昭６１−８０１６１号
公報、同６１−８０１６２号公報、同６１−８０１６３
号公報には、含窒素フッ素化アルキル（メタ）アクリレ
ートとビニル系モノマーとの共重合体や、フッ素化アル
キル（メタ）アクリレートと含窒素ビニル系モノマーと
の共重合体等の樹脂でキャリア芯材表面をコートする技
術が提案されている。これらによれば、比較的長寿命の
キャリアは得られるものの、樹脂コートに伴うキャリア
の絶縁化によって、現像時におけるキャリアの帯電性が
低下するため、特に黒ベタ部でエッジ効果が出る等ソリ
ッドの再現性に劣る、被写体が写真のように中間調の場
合には非常に再現性の悪い画像となる等の欠点を有して
いた。

【０００６】一方、ソリッドの再現性を改善する目的
で、コート膜中に導電材料を分散させたキャリアが、特
開平１−１０１５６０号公報、特開平１−１０５２６４
号公報に提案されている。このようなコートキャリアの
電気抵抗は、コート被膜中に分散された導電材料間の接
触確率に依存しているが、コート被膜中における導電材
料の分散制御が困難であり、さらに、孤立した導電材料
が存在することになるため、導電材料の分散量に対して
効率的な帯電性が得られない。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
における上記のような問題点に鑑みてなされたものであ
る。従って、本発明の目的は、キャリア表面を樹脂で被
覆したコートキャリアにおいても、現像剤の抵抗が高く
ならず、所望の帯電性が得られ、従って、中間調再現性
の優れた画像を形成することができ、さらに、非常に寿
命の長い静電潜像現像剤用キャリアを提供することにあ
る。

【０００８】本発明の他の目的は、コート被膜中の導電
材料を効率よく作用させ、しかも簡便に製造できる静電
潜像現像剤用キャリアを提供することにある。

【０００９】本発明の他の目的は、前記の特性を有する
静電潜像現像用キャリアを用いた中間調再現性の優れた
画像を形成することができる静電潜像現像剤であって、
且つ、内部に帯電制御剤を含有しないカラートナーと共
に用いるのに適した静電潜像現像剤を提供することにあ
る。

【００１０】また、本発明の目的は、この優れた特性を
備えた静電潜像現像剤を用いた中間調再現性の優れた画
像を形成することができる画像形成方法を提供すること
にある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明者等は、従来の技
術における上述のような欠点を改善すべく、静電潜像現
像用キャリアについて鋭意研究し、検討した結果、静電
潜像現像用キャリアにおいて、該キャリアがキャリア芯
材上に樹脂及び導電性粉末からなる被覆層を有する静電
潜像現像剤用キャリアであって、導電性粉末が樹脂コー
ト層表面に露出するように被覆層内に保持されることで
上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成する
に至った。

【００１２】すなわち、本発明の第一の静電潜像現像剤
用キャリアは、キャリア芯材上に樹脂及び導電性粉末か
らなる被覆層を有する静電潜像現像剤用キャリアであっ
て、該導電性粉末の平均一次粒子径を（Ｂ）μｍ、樹脂
コート厚みを（Ａ）μｍとしたとき、両者の関係が下記
式を満足することを特徴とする。（Ａ）≦（Ｂ）≦（Ａ）＋３（μｍ）このとき、前記キャリアを被覆する樹脂は、少なくとも
フッ素系樹脂及びシリコーン樹脂からなる群から選択さ
れる一種又は二種以上を含有することが好ましく、前記
キャリア芯材の平均粒径が１０〜５００μｍであること
が好ましく、さらに、前記樹脂コート厚みが０．１〜１
０μｍであることが好ましい。

【００１３】また、本発明の静電潜像現像剤は、結着樹
脂と着色剤からなるトナー粒子と、キャリア芯材上に樹
脂及び導電性粉末からなる被覆層を有するキャリアと、
からなる静電潜像現像剤において、該導電性粉末の平均
一次粒子径を（Ｂ）μｍ、樹脂コート厚みを（Ａ）μｍ
としたとき、両者の関係が下記式を満足することを特徴
とする。

【００１４】（Ａ）≦（Ｂ）≦（Ａ）＋３（μｍ）この静電潜像現像剤に用いられる前記トナー粒子は、カ
ラートナー粒子であることが本発明の効果の観点から好
適である。

【００１５】また、本発明の静電潜像現像剤において
は、前記キャリア芯材の被覆層を構成する樹脂が、少な
くともフッ素系樹脂及びシリコーン樹脂からなる群から
選択される一種又は二種以上を含有することが好まし
く、前記キャリア芯材の平均粒径が１０〜５００μｍで
あることが好ましく、さらに、前記樹脂コート厚みが
０．１〜１０μｍであることが好ましい。

【００１６】さらに、本発明の画像形成方法は、潜像担
持体に潜像を形成する工程と、該潜像を現像剤を用いて
現像する工程と、現像されたトナー像を転写体上に転写
する工程と、転写体上のトナー像を加熱定着する工程
と、を含む画像形成方法において、該現像剤として、前
記特定の静電潜像現像剤を用いることを特徴とする。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。

【００１８】本発明の静電潜像現像用キャリアが適用し
うる形態としては、磁性体を樹脂中に分散させた、いわ
ゆる磁性体分散型キャリア、金属粉体表面に樹脂を被膜
した樹脂コートキャリアのいずれかに限定するものでな
く、いずれに用いてもその効果は有効である。

【００１９】本発明において用いられる磁性体又はキャ
リア芯材の素材としては、鉄、鋼、ニッケル、コバルト
等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化
物、ガラスビーズ等があげられるが、画像形成に磁気ブ
ラシ法を用いる観点からは、磁性金属、磁性酸化物から
選ばれることが望ましい。

【００２０】磁性体分散型キャリア用の磁性体として用
いられる場合の平均粒径は、一般的に０．０５μｍ〜１
μｍ程度であり、０．１μｍ〜０．６μｍのものが好ま
しい。キャリア芯材の平均粒径としては、一般的には１
０μｍ〜５００μｍのものが用いられ、好ましくは３０
μｍ〜１５０μｍのものが用いられる。

【００２１】本発明において、使用される導電性粉末と
しては、金、銀、銅などの金属粉末やカーボンブラッ
ク、更に酸化チタン、酸化亜鉛などの半導電性酸化物、
酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニ
ウム、チタン酸カリウム等の粉末表面を酸化スズやカー
ボンブラック、金属で被覆したもの等が挙げられ、その
固有抵抗が１０¹⁰Ω・ｃｍ以下のものが好ましい。

【００２２】これらの導電性粉末の平均一次粒子径を
（Ｂ）（μｍ）、その樹脂コート厚みを（Ａ）（μｍ）
としたとき、（Ａ）と（Ｂ）との関係は下記式を満足す
るものでなければならない。

【００２３】（Ａ）≦（Ｂ）≦（Ａ）＋３（μｍ）上記式を満足するとき、キャリア芯材の被覆層に含まれ
る導電性粉末は、粉末単体で絶縁性の樹脂でコートされ
たキャリア芯材と接点をもちながら、かつ、キャリアの
被覆層表面に露出するように存在することができる。こ
のことから、導電性無機粉はそのほとんどが樹脂コート
膜中で導電路として作用し、さらに、単体で作用できる
ために、カーボンブラックのストラクチャーを制御する
如き分散技術をさほど必要としない。従って、導電性粉
末の樹脂コート膜への添加量を少なくすることができ、
キャリア製造におけるコストダウンが可能となる。

【００２４】ここで、導電性粉末の平均一次粒子径が樹
脂コート厚みより小さい〔（Ａ）＜（Ｂ）〕と、導電性
粉末が単体で樹脂コート膜中の導電路として作用できな
くなり、一次粒子径が上記範囲の上限を超える〔（Ａ）
＋３（μｍ）＜（Ｂ）〕と、キャリア表面被覆層から導
電性粉末が脱落し易くなって複写回数の増加にともなっ
て画像変動がでる虞があり、いずれも好ましくない。

【００２５】導電性粉末の平均一次粒子径は、０．１μ
ｍを超え１３μｍ未満の範囲であり、且つ、樹脂コート
厚みとの関係が前記式を満たす範囲で、キャリアの使用
目的（所望の帯電特性）に応じて適宜選択することがで
きる。

【００２６】キャリアの被覆層を構成する樹脂として
は、ポリオレフィン系樹脂（例えば、ポリエチレン、ポ
リプロピレン等）、ポリビニル及びポリビニリデン系樹
脂（例えば、ポリスチレン等）、アクリル樹脂、ポリア
クリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルア
ルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポ
リビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル及びポリビ
ニルケトン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボ
ネート、アミノ樹脂（例えば、尿素−ホルムアルデヒド
樹脂）、エポキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサ
ン結合からなる直鎖状シリコン樹脂及びその変性品、フ
ッ素樹脂（例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ
フッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリ
フルオロエチレン）等が挙げられる。

【００２７】本発明の静電潜像現像剤用キャリアにおけ
る被覆層に用いる樹脂に特に制限はないが、低表面エネ
ルギー材料であるフッ素系樹脂及びシリコーン系樹脂か
らなる群から選択される一種又は二種以上を含有するの
が、キャリア表面の汚染を抑制する観点から好適であ
る。

【００２８】キャリア芯材の表面に被覆層を形成する方
法としては、導電性粉末を前記樹脂中に予め分散した
後、芯材にコートする方法を適用することが、被覆層中
の導電性粉末の付着状態の観点から好ましい。分散方法
としては、コート樹脂を溶剤に溶解した後、導電性粉末
を添加して、サンドミル、ボールミル、ホモミキサー等
の公知の機械的分散手段により分散する方法が挙げられ
る。

【００２９】導電性粉末の配合量は、前記コート樹脂の
０．０１〜５０重量％の範囲であることが好ましく、
０．０１重量％未満であると導電性が不充分となり、５
０重量％を超えると付着強度が低下するためいずれも好
ましくない。

【００３０】導電性粉末を分散したコート樹脂によりキ
ャリア芯材上に被覆層を形成する方法には、特に制限は
なく、公知の被覆方法、例えば、キャリア芯材である粉
末を、被膜層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被膜層形
成用溶液をキャリア芯材の表面に噴霧するスプレー法、
キャリア芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被膜
層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中
でキャリア芯材と被膜層形成用溶液を混合し、溶剤を除
去するニーダーコーター法等が挙げられ、いずれも適用
することができるが、本発明においてはニーダーコータ
ー法が、特に好ましく用いられる。この方法によれば、
処理するキャリア粉に機械的にシェアをかけながらコー
ティングを完了するので、導電性粉体がキャリア芯材と
接点を持ちやすくなる。

【００３１】被膜層形成用塗布液に使用する溶剤は、前
記コート樹脂を溶解するものであれば特に限定されるも
のではなく、用いられるコート樹脂に適合するように選
択することができる。一般的には、例えば、トルエン、
キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチ
ルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ンなどのエーテル類が使用できる。

【００３２】形成される樹脂コート層の膜厚（樹脂コー
ト厚み）は、通常０．１〜１０μｍ、好ましくは０．４
〜４μｍの範囲である。この樹脂コート厚みは、キャリ
ア芯材の比重をρ_D、キャリア芯材の平均粒径をＤ、コ
ートした樹脂の比重をρ_Cと樹脂の全コート量をＷ_Cと
したとき、下記式によって簡易に計算される。

【００３３】

【数１】

【００３４】上記式から、好適な樹脂コート厚みに調整
することにより、導電性粉末の平均一次粒径と樹脂コー
ト厚みとの関係が良好な範囲にあるコートキャリアを簡
単に調製することができる。

【００３５】この静電潜像現像用キャリアは、好適な導
電性と、樹脂コートによる長寿命とを両立した優れた性
能を示すものである。

【００３６】次に、本発明の静電潜像現像剤について説
明する。本発明の静電潜像現像剤は、前記の静電潜像現
像用キャリアと、結着樹脂と着色剤からなるトナー粒子
と、からなるものであり、黒色用としてもカラー用とし
ても好適に使用しうるが、特にカラートナー粒子との組
合せにおいて、効果が著しい。

【００３７】即ち、通常、カラートナーには熱保完性の
観点から外添剤が多く使用されているが、外添剤がキャ
リアと接触するとキャリアに移行してキャリアのコート
樹脂を摩耗させ、樹脂の帯電制御力が低下する虞があっ
た。耐摩耗性を向上するために樹脂コートの厚みを大き
くすると、高抵抗キャリアとなり、低抵抗のキャリアが
好ましいカラー現像剤用には不適であるという問題があ
る。本発明の静電潜像現像剤に用いられるキャリアは、
樹脂コートの膜厚は好適な範囲であり、しかも被覆層表
面に導電性粉末である無機粉末が露出しているために耐
摩耗性が良好で、且つ、抵抗が低いので、カラートナー
粒子と併用するのに好適なキャリア特性を備えている。

【００３８】本発明の現像剤に使用されるトナー粒子の
着色剤としては、カーボンブラック、ニグロシン、アニ
リンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウル
トラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイ
エロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブル
ー、マラカイトグリーン・オキサレート、ランプブラッ
ク、ローズベンガル、Ｃ．Ｉ．ピグメント・レッド４
８：１、Ｃ．Ｉ．ピグメント・レッド１２２、Ｃ．Ｉ．
ピグメント・レッド５７：１、Ｃ．Ｉ．ピグメント・イ
エロー９７、Ｃ．Ｉ．ピグメント・イエロー１２、Ｃ．
Ｉ．ピグメント・ブルー１５：１、Ｃ．Ｉ．ピグメント
・ブルー１５：３などを代表的なものとして例示するこ
とができる。

【００３９】また、トナー粒子の結着樹脂としては、ス
チレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プ
ロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン、
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢
酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル、アク
リル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシ
ル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタク
リル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノ
カルボン酸エステル、ビニルメチルエーテル、ビニルエ
チルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテ
ル、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニ
ルイソプロペニルケトン等のビニルケトン等の単独重合
体あるいは共重合体を例示することができ、特に代表的
な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリ
ル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキ
ル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ス
チレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン
酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレンを挙げるこ
とができる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エ
ポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、
パラフィン、ワックス類等も代表的な結着樹脂として挙
げることができる。

【００４０】これらの結着樹脂の中でも、特にポリエス
テルを結着樹脂とした場合が好ましく、例えば、ビスフ
ェノールＡと多価芳香族カルボン酸とを主単量体成分と
した重縮合物よりなる線状ポリエステル樹脂が好ましく
使用できる。

【００４１】また物性の観点からは、軟化点が９０〜１
５０℃、ガラス転移点が５０〜７０℃、数平均分子量が
２０００〜６０００、重量平均分子量が８０００〜１５
００００、酸価５〜３０、水酸基価５〜４０を示す樹脂
が、結着樹脂として特に好ましく使用できる。

【００４２】本発明の現像剤に用いられるトナー粒子に
は、前記着色剤、結着樹脂に加えて、所望により公知の
帯電制御剤、定着助剤等の添加剤を配合することができ
る。

【００４３】本発明の静電潜像現像剤は、本発明の静電
潜像現像剤用キャリアにトナー粒子を添加し、キャリア
表面をトナー粒子が被覆する状態で構成されるが、キャ
リアに対するトナー粒子の添加量は公知の範囲で用いら
れる。

【００４４】本発明の静電潜像現像剤によれば、現像時
におけるキャリアの帯電性が低下することなく、ソリッ
ドの再現性が良好で、且つ、被写体が写真のように中間
調の場合にも非常に再現性の良い画像が得られるという
利点を有する。

【００４５】次に、本発明の画像形成方法について説明
する。本発明の画像形成方法は、潜像担持体に潜像を形
成する工程と、該潜像を現像剤を用いて現像する工程
と、現像されたトナー像を転写体上に転写する工程と、
転写体上のトナー像を加熱定着する工程と、を含む画像
形成方法において、現像剤として、前記した本発明の静
電潜像現像剤を用いることを特徴とするものであり、こ
の方法によれば、現像剤の寿命が長く、また、中間調の
画像の再現性が良好であり、繰り返し画像形成を行って
も、画像劣化を防止し得るという優れた効果を示す。

【００４６】

【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれに限定されるものではない。

【００４７】（実施例１）キャリアの製造キャリアＡフェライト粒子（平均粒径；５０μｍ）１００重量部トルエン１４重量部スチレンメタクリレート共重合体２．０重量部酸化スズでコートしたホウ酸アルミニウム（平均粒径；１μｍ）０．５重量部キャリア芯材であるフェライト粒子を除く上記成分をサ
ンドミルで１０分間分散し、被膜層形成液を調合した。
さらに、この被膜層形成液とフェライト粒子とを真空脱
気型ニーダーにいれ、温度６０℃において１０分撹拌し
た後、減圧して溶剤であるトルエンを留去して、導電性
粉末であるホウ酸アルミニウムを分散したコート樹脂か
らなる被膜層を芯材上に形成したキャリアＡを得た。

【００４８】計算により得られた樹脂コートの膜厚は
０．８μｍであった。（Ａ＝０．８）≦（Ｂ＝１）≦（３．８）（μｍ）（実施例２）キャリアＢフェライト粒子（平均粒径；５０μｍ）１００重量部トルエン１４重量部スチレンメタクリレート共重合体１．６重量部パーフルオロアクリレート共重合体０．５重量部酸化スズでコートしたホウ酸バリウム（平均粒径；２μｍ）１重量部フェライト粒子を除く上記成分をホモミキサーで１０分
間分散し、被膜層形成液を調合し、更に、この被膜層形
成液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダーにいれ、
温度６０℃におて３０分撹拌した後、減圧してトルエン
を留去して、導電性粉末であるホウ酸バリニウムを分散
した、フッ素系樹脂を含むコート樹脂からなる被膜層を
芯材上に形成したキャリアＢを得た。

【００４９】計算により得られた樹脂コートの膜厚は
０．８４μｍであった。（Ａ＝０．８４）≦（Ｂ＝２）≦（３．８４）（μｍ）（比較例１）キャリアＣ実施例２のキャリアＢの調整において、酸化スズでコー
トした硫酸バリウム（平均径；２μｍ）を酸化スズでコ
ートした硫酸バリウム（平均径；０．３μｍ）に変えた
以外は実施例２と同様にしてキャリアＣを得た。

【００５０】計算により得られた樹脂コートの膜厚は
０．８４μｍであった。（Ａ＝０．８４）＞（Ｂ＝０．３）（μｍ）（比較例２）キャリアＤ実施例２のキャリアＢの調整において酸化スズでコート
した硫酸バリウム（平均径；２μｍ）を除いた他は実施
例２と同様にしてキャリアＤを得た。

【００５１】計算により得られた樹脂コートの膜厚は２
μｍであった。（比較例３）キャリアＥフェライト粒子（平均粒径；５０μｍ）１００重量部トルエン１４重量部スチレンメタクリレート共重合体０．５重量部フェライト粒子を除く上記成分をサンドミルで１０分間
分散し、被膜層形成液を調合し、更に、この被膜層形成
液とフェライト粒子を真空脱気型ニーダーにいれ、温度
６０℃において１０分撹拌した後、減圧してトルエンを
留去して、スチレンメタクリレート共重合体からなる被
膜層を形成したキャリアＥを得た。

【００５２】計算により得られた樹脂コートの膜厚は
０．２μｍであった。現像剤の調製上記実施例１、２および比較例１〜３のキャリアそれぞ
れ１００重量部を、下記の製造方法で作成した平均粒径
８μｍのトナーＡ（マゼンタトナー）６重量部と混合し
て５種類の現像剤を調整した。得られた現像剤をそれぞ
れ現像剤１〜５とした。トナーＡ線状ポリエステル樹脂１００重量％（テレフタル酸／ビスフェノールＡエチレンオキサイド付加物／シクロヘキサンジメタノールから得られた線状ポリエステル；Ｔｇ＝６２℃、Ｍｎ＝４，０００、Ｍｗ＝３５，０００、酸価＝１２、水酸価＝２５）マゼンタ顔料（Ｃ．Ｉ．ピグメントレッド５７）３重量％上記混合物をエクストルーダーで混練し、ジェットミル
で粉砕した後、風力式分級機で分散してｄ５０＝８μｍ
のマゼンタトナー粒子を得た。画像形成これらの現像剤１〜５を使用して、電子写真複写機
（Ａ−Ｃｏｌｏｒ６３０、富士ゼロックス（株）製）に
よって、下記の項目についてコピーテストを行った。

【００５３】初期画像：中温中湿（２２℃５５％ＲＨ）
において形成された画像を目視で評価し、エッジ効果の
有無を判定した。

【００５４】複写１０枚後トナー帯電量：高温高湿（２
８℃８５％ＲＨ）、中温中湿（２２℃５５％ＲＨ）、低
温低湿（１０℃１５％ＲＨ）の各雰囲気下でコピーを１
０枚作成した後のトナー帯電量（μＣ／ｇ）を測定し
た。なお、帯電量はＣＳＧ（チャージ・スペクトログラ
フ法）の画像解析により測定した値である。

【００５５】複写１００００枚後トナー帯電量：中温中
湿（２２℃５５％ＲＨ）雰囲気下でコピーを１００００
枚作成した後のトナー帯電量をＣＳＧ法により測定し
た。

【００５６】その結果を下記表１に示す。

【００５７】

【表１】

【００５８】表１に明らかなように、実施例１、２の静
電潜像現像用キャリアを用いた現像剤１及び２の場合
は、エッジ効果のない良好な画像が得られた。このとき
測定した画像濃度は１〜１．２と安定していた。

【００５９】また、高温高湿から低温低湿までの雰囲気
条件に拘らず、トナーの帯電量は安定しており環境によ
る影響を受けにくいことがわかった。さらに、複写１０
０００枚後のトナー帯電量も初期（複写１０枚後）と殆
ど異ならず、安定なトナー帯電量を示しており、耐久性
も良好であることが確認された。

【００６０】これに対してコート膜厚に対して粒径の小
さい導電性粉末を使用した比較例１のキャリアＣを用い
た現像剤３の場合は、トナーの帯電量が低めであり、や
やエッジ効果のある画像が得られた。また、導電性粉末
を含まず、フッ素系樹脂を含有した樹脂コート層を有す
る比較例２のキャリアＤを用いた現像剤４の場合は、特
に、中温中湿から低温低湿の雰囲気下で、帯電量がやや
低く、得られた画像にもエッジ効果がはっきりみられ
た。導電性粉末を含まない樹脂コート層を有する比較例
３のキャリアＥを用いた現像剤５の場合は、初期にはエ
ッジ効果のない画像が得られたが、複写１００００枚後
のトナー帯電量が著しく低下しており、現像剤としての
耐久性に欠けることがわかった。

【００６１】

【発明の効果】本発明の静電潜像現像剤用キャリアは、
上記の構成を有するため、現像剤の帯電性が良好であ
り、中間調再現性の優れた画像を得られ、さらに、長時
間連続的に使用しても、良好な帯電付与能力を維持して
いる。また、この静電潜像現像剤用キャリアを用いた静
電潜像現像剤は、中間調再現性の優れた画像を得られ、
現像剤の耐久性に優れている。本発明の現像剤を用いた
画像形成方法によれば、中間調再現性の優れた画像を、
連続的に得ることができ、連続使用による画像の劣化を
防止しうる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】キャリア芯材上に樹脂及び導電性粉末か
らなる被覆層を有する静電潜像現像剤用キャリアにおい
て、該導電性粉末の平均一次粒子径を（Ｂ）μｍ、樹脂コー
ト厚みを（Ａ）μｍとしたとき、両者の関係が下記式を
満足することを特徴とする静電潜像現像剤用キャリア。（Ａ）≦（Ｂ）≦（Ａ）＋３（μｍ）
【請求項２】前記樹脂が、少なくともフッ素系樹脂及
びシリコーン樹脂からなる群から選択される一種又は二
種以上を含有することを特徴とする請求項１記載の静電
潜像現像用キャリア。
【請求項３】前記キャリア芯材の平均粒径が１０〜５
００μｍであることを特徴とする請求項１記載の静電潜
像現像用キャリア。
【請求項４】前記樹脂コート厚みが０．１〜１０μｍ
であることを特徴とする請求項１記載の静電潜像現像用
キャリア。
【請求項５】結着樹脂と着色剤からなるトナー粒子
と、キャリア芯材上に樹脂及び導電性粉末からなる被覆
層を有するキャリアと、からなる静電潜像現像剤におい
て、該導電性粉末の平均一次粒子径を（Ｂ）μｍ、樹脂コー
ト厚みを（Ａ）μｍとしたとき、両者の関係が下記式を
満足することを特徴とする静電潜像現像剤。（Ａ）≦（Ｂ）≦（Ａ）＋３（μｍ）
【請求項６】前記トナー粒子が、カラートナー粒子で
あることを特徴とする請求項５記載の静電潜像現像剤。
【請求項７】前記キャリア芯材の被覆層を構成する樹
脂が、少なくともフッ素系樹脂及びシリコーン樹脂から
なる群から選択される一種又は二種以上を含有すること
を特徴とする請求項５記載の静電潜像現像剤。
【請求項８】前記キャリア芯材の平均粒径が１０〜５
００μｍであることを特徴とする請求項５記載の静電潜
像現像剤。
【請求項９】前記樹脂コート厚みが０．１〜１０μｍ
であることを特徴とする請求項５記載の静電潜像現像
剤。
【請求項１０】潜像担持体に潜像を形成する工程と、
該潜像を現像剤を用いて現像する工程と、現像されたト
ナー像を転写体上に転写する工程と、転写体上のトナー
像を加熱定着する工程と、を含む画像形成方法におい
て、該現像剤として、請求項５に記載の静電潜像現像剤を用
いることを特徴とする画像形成方法。