JPH09146007A - 光学系 - Google Patents

光学系

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JPH09146007A
JPH09146007A JP7299718A JP29971895A JPH09146007A JP H09146007 A JPH09146007 A JP H09146007A JP 7299718 A JP7299718 A JP 7299718A JP 29971895 A JP29971895 A JP 29971895A JP H09146007 A JPH09146007 A JP H09146007A
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JP
Japan
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lens
light
optical system
diffractive lens
mask
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JP7299718A
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English (en)
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Fumiyoshi Imamura
文美 今村
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光軸上の複数の点を同時に重ねて観察するこ
とができ、露光装置の位置合わせ用光学顕微鏡に適用し
た場合には、マスクと基板、既存のパターンとマスク、
マスクとマスクなど離れた複数の素子を同時に重ねて観
察することができ、したがって容易に位置合わせを行う
ことができるよう適切に構成した光学系を提供すること
を目的とするものである。 【解決手段】 回折光学素子を含まない照明光学系7
と、回折型レンズ1、正パワーを有する少なくとも一つ
の屈折レンズ素子、および負パワーを有する少なくとも
一つの屈折レンズ素子を含む屈折レンズ系4からなる観
察光学系とを有する光学系であって、回折型レンズ1
を、これにより生成される強度が最も強い回折次数の回
折光の強度に対して、70%以上の強度を有する別の回
折次数の回折光を生成するよう構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、回折光学素子を
利用した光学系、とりわけ顕微鏡の光学系に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】半導体やマイクロマシン等の分野では、
フォトリソグラフィを用いて素子を製造する場合が多
い。このフォトリソグラフィを用いる素子の製造におい
ては、基板に塗布したフォトレジストをフォトマスクを
介して露光して、レジストにパターンを形成した後、エ
ッチングによって基板に所望の形状を形成するという方
法がよく用いられる。
【0003】ここで、フォトマスクを用いて露光を行う
際には、基板とマスクとを正確に位置合わせする必要が
ある。このため、この種の露光装置には、通常、光学顕
微鏡が設けられている。また、特開平2−51217号
公報に開示されているように、マスクと基板とにそれぞ
れアライメントマークとしてフレネルゾーンプレートを
形成して、両者を位置合わせする方法もある。この方法
は、各フレネルゾーンプレートを複数の波長を含む光で
照明し、その際に発生する波長毎の複数の焦点にあうよ
うな色収差を有する対物レンズを組み合わせて、フレネ
ルゾーンプレートと基板とを位置合わせするものであ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、基板の
片面にパターンを形成する場合には、光学顕微鏡で観察
することによって、基板とマスクとの位置合わせを行う
ことが可能である。しかしながら、この位置合わせにお
いては、一般に、フォトレジストを保護するために、基
板とマスクとを僅かに、例えば数μm程度離している。
このため、高解像度の画像を得るために、高NAの対物
レンズを用いて観察しようとすると、被写界深度が浅く
なって、基板とマスクとを同時に結像状態で見ることが
困難になってしまう。また、既にパターンを形成した
後、その上に更にフォトレジストを塗布し、パターンに
合わせてマスクの位置を決めて露光する場合には、フォ
トレジスト層が非常に厚いと、同様に既存のパターンと
マスクとを同時に観察することが困難になる。
【0005】さらに、基板の片面だけでなく、両面にパ
ターンを形成する場合、例えば、既にパターンが形成さ
れている基板の裏面に、表面のパターンに合わせて更に
パターンを形成する場合には、表面のパターンと裏面の
マスクとを同時に観察する必要があるため、従来の光学
顕微鏡では観察できないという問題がある。この問題
は、基板の両面にそれぞれマスクを置き、マスク同士を
位置を合わせて露光する場合にも、両マスクを同時に観
察する必要があることから、同様に生じるものである。
このような問題を解決する方法として、基板の両側に顕
微鏡光学系を装着することが考えられるが、このような
構成は、両光学系の光軸を合わせることが極めて難し
く、また装置がおおがかりになるという問題が生じるこ
とになる。
【0006】また、上記の特開平2−51217公報に
開示されているように、フレネルゾーンプレートを基板
およびマスクにそれぞれ形成して位置合わせする場合に
は、事前に特別なパターンを基板に形成する必要があ
る。さらに、ここで用いられる対物レンズには、極めて
高度な設計、製作技術が要求されることから、実現には
膨大な時間と費用を要するという問題がある。また、フ
ルネルゾーンプレートおよび対物レンズは、それぞれあ
る特定の状態に対応したもので、他の状態の場合には、
その状態に対応する別のフルネルゾーンプレートおよび
対物レンズを用意しなければならないため、汎用性がな
いという問題もある。
【0007】この発明は、上述した従来の問題点に着目
してなされたもので、光軸上の複数の点を同時に重ねて
観察することができ、露光装置の位置合わせ用光学顕微
鏡に適用した場合には、マスクと基板、既存のパターン
とマスク、マスクとマスクなど離れた複数の素子を同時
に重ねて観察することができ、したがって容易に位置合
わせを行うことができるよう適切に構成した光学系を提
供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明は、回折光学素子を含まない照明光学系
と、回折型レンズ、正パワーを有する少なくとも一つの
屈折レンズ素子、および負パワーを有する少なくとも一
つの屈折レンズ素子を含む屈折レンズ系からなる観察光
学系とを有する光学系であって、前記回折型レンズを、
該回折型レンズで生成される強度が最も強い回折次数の
回折光の強度に対して、70%以上の強度を有する別の
回折次数の回折光を生成するよう構成したことを特徴と
するものである。
【0009】前記回折型レンズは、レリーフ格子を有す
るのが、明るい像を得ると共に、所望の回折効率を有す
る回折型レンズを容易に得る点で好ましい。
【0010】前記観察光学系を構成する前記回折型レン
ズおよび前記屈折レンズ系は、それらの間隔を変更し得
るように、光軸方向に相対的に移動可能に構成するの
が、複数の焦点の間隔を変更する点で好ましい。
【0011】なお、この明細書において、回折型レンズ
とは、例えば、後藤顕也:“回折を利用した光学素子
(1)”、「光学」第22巻、第10号、1993年1
0月、第635〜642頁、および、後藤顕也:“回折
を利用した光学素子(2)”、「光学」第22巻、第1
1号、1993年11月、第730〜737頁に記載さ
れているように、同心円状のパターンを有し、レンズ作
用を有する回折光学素子のことをいう。また、光源から
の照明光が試料に達するまでの光路を照明用光路とい
い、その光路上の光学系を照明光学系という。さらに、
試料から観察者の目、あるいはCCDカメラ、写真フィ
ルムなどの受光面までの光路を観察用光路といい、その
光路上の光学系を観察光学系という。
【0012】また、図1AおよびBに示すように、断面
がブレーズ形状のレリーフ格子の回折次数mは、
【数1】d( sinθ− sinθ′)=mλ d :回折格子のピッチ θ :入射光と光軸のなす角度 θ′:回折光と光軸のなす角度 λ :光の波長 により定義する。ここで、角度θおよびθ′は、左回り
を正とし、ピッチdは、レリーフ格子の厚さが薄い部分
から厚い部分への向きを正とする。したがって、図1A
に示す回折光は、+m次光であり、図1Bに示す回折光
も、+m次光である。
【0013】
【発明の実施の形態】この発明においては、観察光学系
を構成する回折型レンズを、最も強度が強い回折光と、
その回折光の強度に対して70%以上の強度を有する別
の回折次数の回折光との、少なくとも2つの回折光を生
成するよう構成する。このように構成すると、回折型レ
ンズに、ある波長の光が入射すると、強度が略等しい複
数の回折次数の回折光が発生することになる。
【0014】説明を簡単にするために、図2に示すよう
に、回折型レンズ1に平行光を入射し、2つの回折光、
例えば0次光2と+1次光3が発生し、+1次光3に対
して回折型レンズ1が凸レンズの作用をする場合を考え
る。回折光が屈折レンズ4に入射すると、0次光2は平
行光のため、屈折レンズ4の焦点位置5に集光する。こ
れに対し、+1次光3は収束光のため、焦点位置5より
も手前の点6に集光する。つまり、0次光2と+1次光
3とで2つの集光点ができることになる。したがって、
回折型レンズ1に光を入射するのではなく、この回折型
レンズ1側から見ると、2点にピントが合うことになる
ので、2点を同時に重ねて観察することが可能となる。
【0015】なお、この発明においては、照明光学系中
には、回折型レンズを含まない。したがって、照明光は
一度も回折型レンズを透過することなく、すなわち回折
によって複数の光束に分割されることなく試料に達する
ことになるので、無駄のない照明ができる。また、この
発明において、屈折レンズ系は、正パワーを有する少な
くとも一つの屈折レンズ素子と、負パワーを有する少な
くとも一つの屈折レンズ素子とを含む。
【0016】また、この発明においては、回折型レンズ
をレリーフ格子とする。このように構成すると、レリー
フ格子は、表面に深さ方向の構造を有するパターンによ
って光を回折するので、遮光部がなく、したがってレリ
ーフ格子に入射する光は、レリーフ格子のどの部分に入
射してもほぼ全てが透過し、明るい像を得ることが可能
となる。しかも、各回折次数の回折効率は、表面のパタ
ーンの深さに依存するので、その深さを適切に設定する
ことにより、所望の回折効率を有する回折型レンズを容
易に得ることが可能となる。
【0017】さらに、この発明においては、観察光学系
を構成する回折型レンズおよび屈折レンズ系を、それら
の間隔が変化するように、相対的に光軸方向に移動可能
に構成する。ここで、回折型レンズは、一般に、複数の
回折光を発生するので、回折型レンズに、例えば平行光
を入射すると、それぞれの回折光が屈折レンズでそれぞ
れ屈折して、それぞれ異なる場所で集光することにな
る。つまり、発生する回折光の数だけ焦点ができること
になる。したがって、回折型レンズおよび屈折レンズ系
を相対的に光軸方向に移動して、それらの間隔を変化さ
せると、各焦点の間隔も変わることになる。
【0018】例えば、図2において、回折型レンズ1を
光軸方向に動かすか、屈折レンズ4を光軸方向に動かす
か、あるいは両者を光軸方向に動かして、両者の間隔を
変えたとする。このとき、回折型レンズ1による像(無
限遠像、虚像を含む)が屈折レンズ4にとっての物点と
なり、その屈折レンズ4による像が最終像になると考え
ると、回折型レンズ1による像の位置は、回折次数によ
って異なるので、間接型レンズ1と屈折レンズ4との間
隔が変わると、屈折レンズ4の縦倍率が変わって、最終
像の間隔が変わる。
【0019】また、回折型レンズ1による像(無限遠
像、虚像を含む)が屈折レンズ4にとっての物点にな
り、その屈折レンズ4による像が最終像になると考える
と、回折型レンズ1による像の位置は、回折次数によっ
て異なるので、回折型レンズ1と屈折レンズ4との間隔
が変わると、屈折レンズ4の縦倍率が変わって、最終像
の間隔が変わると考えることもできる。
【0020】以下、図面を参照して、この発明の実施の
形態について説明する。図3は、この発明の一実施形態
における光学系の概略図である。照明系7は、光源8、
コレクターレンズ9、絞り10およびコンデンサーレン
ズ11を有し、この照明系7で透明な試料12を照明し
て、試料12を透過した光を屈折レンズ4を経て回折型
レンズ1に入射させる。
【0021】回折型レンズ1は、最も強度が強い回折光
と、その回折光の強度に対して70%以上の強度を有す
る別の回折次数の回折光との、少なくとも2つの回折光
を生成するよう構成する。ここで、上記の少なくとも2
つの回折光の強度が、他の回折次数光の強度のほぼ5倍
以上であれば、他の回折次数光はその影響が相対的に小
さくなり、観察に影響を与えない。このように回折型レ
ンズ1を構成すれば、図2において説明したように、例
えば回折型レンズ1に平行光を入射すると、複数の回折
光、例えば0次光2と1次光3とが発生し、0次光は直
進して屈折レンズ4に入射し、1次光3は中心方向に収
束して屈折レンズ4に入射して、屈折レンズ4を透過し
た後、それぞれ点5および点6に結像する。つまり、焦
点が2つできることになる。このような原理に基づき、
以下説明するように、試料12の照明系側の面上の一点
5と、観察系側の面上の一点6は、同一の像点13に結
像する。
【0022】回折型レンズ1に入射した点5からの光
は、0次光として直進して、結像レンズ14で屈折さ
れ、点13に集光する。したがって、点13は、点5の
像点となる。また、回折型レンズ1に入射した点6から
の光は、1次光の方向に強く回折されて、点5からの光
と同方向に進む。したがって、結像レンズ14で点5か
らの光と同じ方向に屈折され、同じ点、つまり点13に
集光する。したがって、点13は、点6の像点ともな
る。このように、点13は、点5および点6の像点とな
るので、離れた2カ所の点5および点6の像は同時に重
なって見えることになる。同様に、3つ以上の回折次数
光を発生する回折型レンズを用いれば、離れた3点以上
の像を重ねて見ることができるようになる。
【0023】なお、図3において、屈折レンズ4、結像
レンズ14は、収差補正上、正パワーを有する少なくと
も一つの屈折レンズ素子と、負パワーを有する少なくと
も一つの屈折レンズ素子とを含む複数枚のレンズ素子で
構成する。このように、屈折レンズ4および結像レンズ
14は、それぞれレンズ全系では正パワーであるが、負
パワーの素子を含ませることにより、収差、とりわけ像
面湾曲収差、色収差を補正することができる。
【0024】観察光学系および照明光学系7は、試料1
2を介して対向させる。また、照明光学系7の光路上に
回折型レンズを配置すると、照明光は試料12に達する
以前に回折型レンズで回折され、一部が光路から外れ
て、試料12を照射する光の強度が低下すると共に、光
路から外れた光や、回折型レンズでの反射光等によりフ
レアーが発生するおそれがある。このため、この実施形
態では、照明光学系7中に回折型レンズを含ませること
なく、光源8からの照明光を、屈折レンズ系のみを通し
て試料12に導くようにする。このようにすれば、不用
な回折を受けることなく、試料12を照明することがで
きるので、照明光の回折による強度低下や、フレアーの
発生を有効に抑えることができ、明るく鮮明な像を得る
ことができる。
【0025】図3に示す構成の光学系を、露光装置の観
察用光学顕微鏡に用いれば、照明光の波長域で透明な基
板の裏面に形成したパターンに合わせて表面のフォトレ
ジストを露光する場合や、両面同時にマスクを介して露
光する場合などに、既存のパターンとマスク、あるいは
マスクとマスクなどを同時に重ねて観察することができ
るので、容易に位置合わせを行うことができる。したが
って、事前に基板やマスクに位置合わせのための特別な
回折パターンやマークを形成する必要がないので、その
ための時間や費用を要せず、より容易で安価に素子を製
造することができる。
【0026】また、単焦点の顕微鏡を用いる場合、両面
を同時に見るためには、基板の両側に観察光学系を置く
必要があるが、図3に示す光学系を用いれば、観察光学
系は片側にあればよいので、両側に観察光学系を配置す
る場合に比べ、装置を小型にできる。ここで、基板が、
例えばガラスなど可視光を透過する材料からなる場合に
は、照明光として可視光を用いることができる。また、
基板が、例えばSiなどのように、可視域で不透明で、
赤外域で透明な場合には、赤外光を照明光として用いる
ことにより観察することができる。
【0027】以上、2重焦点の光学系の場合について説
明したが、回折型レンズ1として3つの回折次数光を発
生するものを用いた場合には、3重焦点の光学系を実現
することができ、例えば、マスクと基板とマスク、とい
うように3つの要素を同時に重ねて、容易に位置を合わ
せることができる。また、回折型レンズ1で発生する回
折光の数は4つ以上でもよく、この場合には焦点の数が
4つ以上になり、さらに多くの点を同時に重ねて見るこ
とのできる光学系を実現することができる。
【0028】この発明の好適実施形態では、図3に示す
回折型レンズ1を、レリーフ格子をもって構成する。レ
リーフ格子は、その表面に深さ方向に構造をもつパター
ンを有し、そのパターンで光を回折するもので、遮光部
がなく、全面を光が通り、僅かに反射する以外、入射光
は全て透過する。したがって、明るい像を得ることがで
きる。なお、他の回折素子として、遮光部と透過部とを
交互に並べたパターンで光を回折するゾーンプレートレ
ンズがあるが、これは遮光部があるために、入射光が半
分しか透過せず、像が暗くなってしまう。
【0029】また、ゾーンプレートレンズは回折効率が
一定であるが、レリーフ格子はパターンの上部と下部の
位相差、すなわちパターンの深さで回折効率が決まる。
したがって、パターンの深さを適切に設定することによ
り、回折効率を容易に設定することができるので、容易
に望みの回折効率を有する回折型レンズを得ることがで
きる。
【0030】ここで、レリーフ格子としては、図4A〜
Cに示すように、断面が左右対称な凸部を連続的に配列
したもの、あるいは図4Dに示すように、断面がブレー
ズ形状のものが特に適している。図4Aに示すレリーフ
格子は、凸部の断面形状が矩形のものであり、図4Bの
ものは二等辺三角形であり、図4Cのものは台形であ
る。これらのような形状のレリーフ格子は、パターンの
深さに関係なく、±m次光の回折効率が等しくなる。し
たがって、多焦点光学系に±m次光を用いて、常に強度
が等しい±m次光による像を得ることができる。また、
強度が等しいことから、両方の像を見比べ易くなり、位
置合わせが容易になる。
【0031】図5は、回折型レンズ1として、図4A〜
Cに示すように、断面が左右対称な凸部を連続的に配列
したものを用いた場合の光学系の構成を示すものであ
る。図5において、点15は、+m次光に対応する物点
であり、点16は、−m次光に対応する物点である。そ
の他の構成および作用は、図3と同様である。
【0032】また、図4A〜Cに示すレリーフ格子の中
でも、特に、図4Aに示す断面形状が矩形のものが望ま
しい。すなわち、矩形のレリーフ格子は、±1次光の回
折効率が最大で40.5%であり、凸部の断面形状が左
右対称な他の形状のレリーフ格子、例えば図4Bおよび
Cに示すものに比べて大きい。したがって、他のレリー
フ格子を用いた場合に比べて、±1次光による像の光強
度が強くなり、より明るく、見やすい像を得ることがで
きる。また、回折効率についても、矩形状の凸部の深さ
と、凸部の幅および凸部に挟まれた凹部の幅の比とに依
存するため、凸部の深さと、凸部および凹部の幅の比と
を変えれば、容易に最適化することができる。
【0033】この発明の好適実施形態においては、矩形
のレリーフ格子のパターンの凸部の幅と、ピッチとの比
βを、 0.41<β<0.59 (1) とし、凸部の上部と下部との位相差φを、 (m−0.4)π<φ<(m+0.4)π (2) 但し、m=1,2,3,・・・ とする。ここで、比βは、図6に示すように、凸部の幅
をa、ピッチをbとするとき、 β=a/b と定義する。
【0034】図7は、矩形のレリーフ格子のパターン凸
部の上部と下部との位相差がmπのときの回折効率のβ
依存特性を示すものである。上記(1)式の範囲は、図
7の(a)で示す範囲であり、この範囲では±1次光の
回折効率が高い。したがって、±1次光を用いることに
より、より明るい像を得ることができる。
【0035】図8は、βが0.5で、mが1の場合の回
折効率のφ依存特性を示すものである。上記(2)式の
範囲は、図8の(a)で示す範囲であり、この範囲では
±1次光の回折効率が高い。特に、φ=π近辺では、±
1次光の回折効率が高く、他の回折光の回折効率が十分
低いので、±1次光を用いて2重焦点を得ることがで
き、これにより2点の明るい像を同時に重ねて見ること
ができる。また、上記(2)式の範囲内の両端の領域で
は、0次光の回折効率も高く、±1次光の回折効率に近
いので、±1次光と0次光とを用いて3重焦点を得るこ
とができ、これにより3点の明るい像を同時に重ねて見
ることができる。
【0036】なお、±1次光を用いて2重焦点光学系を
得る場合には、位相差φを、 (m−0.12)π<φ<(m+0.12)π 但し、m=1,2,3,・・・ とするのが望ましい。この範囲は、図8の(b)で示す
範囲であり、この範囲では、±1次光の回折効率が高
く、0次光の回折効率は、±1次光の回折効率の10%
以下で、十分小さい。また、±2次光の回折効率は0で
あり、±3次光の回折効率は、±1次光の11%程度と
十分小さい。したがって、この範囲では、より強度の強
い±1次光を用いて2重焦点を得ることができるので、
より明るい像を得ることができる。
【0037】また、0次光と±1次光とを用いて3重焦
点光学系を得る場合には、位相差φは、 (m−0.38)π<φ<(m−0.34)π あるいは、 (m+0.34)π<φ<(m+0.38)π 但し、m=1,2,3,・・・ とするのが望ましい。これらの範囲は、図8の(c)で
示す範囲であり、その各範囲では、0次光および±1次
光の回折効率が特に近く、0次光の回折効率は、±1次
光の回折効率に対して±15%の範囲内で一致する。ま
た、±2次光の回折効率は0で、±3次光の回折効率は
±1次光の11%程度と十分に小さい。このように、図
8の(c)で示す範囲では、±1次光および0次光は、
他の次数光に比べて強度が強く、しかもほぼ等しいの
で、±1次光と0次光とを用いて像の強度がより等しい
3重焦点光学系を得ることができる。
【0038】上述した凸部の断面が矩形のレリーフ格子
においては、その回折効率は、パターンの深さの変化に
対して周期性があり、位相差φがπだけ変わると、回折
効率はもとに戻る。したがって、mは自然数であれば何
でもよいが、mが大きくなるほどパターンの深さが深く
なって、製作が困難になるので、mは3以下とするのが
望ましい。
【0039】次に、レリーフ格子の断面を、図4Dに示
すようなブレーズ形状とする場合について説明する。こ
の場合には、パターンの凸部の上部と下部との位相差φ
を、 {(2m−1)/2−0.02}π<φ<{(2m−
1)/2+0.02}π 但し、m=1,2,3,・・・ とするのが、特に望ましい。この範囲は、図9の(a)
で示す範囲である。なお、図9は、断面が図4Dに示す
ようなブレーズ形状のレリーフ格子における回折効率φ
依存特性を示すもので、ここでは、0<φ<π、m=1
の場合を示している。
【0040】図9の(a)で示す範囲では、+1次光と
0次光の回折効率が±15%の範囲で一致する。また、
+2次光および+3次光の回折効率は、それぞれ+1次
光の12%および4%程度で、+1次光に比べて十分小
さい。したがって、+1次光および0次光は、他の次数
光に比べて強度が強く、しかもほぼ等しいので、これら
+1次光と0次光とを用いて、像の強度がより等しい2
重焦点光学系を得ることができる。同様に、あるmに対
しては、+m次光と+(m−1)次光の強度が、他の次
数光に比べて強くなるので、これらの回折光を用いる2
重焦点光学系を得ることができる。なお、この場合も、
mは自然数であれば何でもいいが、凸部が矩形の場合と
同様に、mが大きくなるとパターンの深さが深くなり、
製作が困難になるので、mは3以下であるのが望まし
い。
【0041】この発明の他の実施形態においては、観察
光学系を構成する回折型レンズ1および屈折レンズ4
は、それらの間隔を変更し得るように、光軸方向に相対
的に移動可能に構成する。例えば、図10に示すよう
に、回折型レンズ1および屈折レンズ4を、それぞれ移
動手段17aおよび17bにより光軸方向に移動可能に
構成する。
【0042】以下、かかる構成により回折型レンズ1と
屈折レンズ4との間隔を変えた場合について、図2を用
いて説明する。図2において、回折型レンズ1、あるい
は屈折レンズ4を光軸方向に動かして、回折型レンズ1
と屈折レンズ4との間隔を変えたとする。このとき、回
折型レンズ1による像(無限遠像、虚像を含む)が屈折
レンズ4にとっての物点になり、その屈折レンズ4によ
る像が最終像になると考えると、回折型レンズ1による
像の位置は、回折次数によって異なるので、回折型レン
ズ1と屈折レンズ4との間隔が変わると、屈折レンズ4
の縦倍率が変わって、最終像の間隔が変わる。
【0043】このように、図2の光学系の回折型レンズ
1および/または屈折レンズ4を光軸方向に動かして、
回折型レンズ1と屈折レンズ4の間隔を変えられるよう
にすれば、焦点間隔を変えることができる。したがっ
て、図10においては、例えば移動手段17aを用いて
回折型レンズ1を、屈折レンズ4との間隔が広がる方向
に移動すると、点5の位置は変わらず、点6の位置が、
屈折レンズ4に近い方向に移動する。したがって、点5
と点6との間隔が広がるので、より離れた2カ所の像を
同時に重ねて見ることができるようになる。
【0044】また、逆に、移動手段17aにより回折型
レンズ1を、屈折レンズ4との間隔が狭まる方向に移動
させると、点5の位置は変わらず、点6の位置が、屈折
レンズ4から離れる方向に移動する。したがって、点5
と点6との間隔が狭まるので、より接近した2カ所の像
を同時に重ねて見ることができるようになる。
【0045】以上は、回折型レンズ1を光軸方向に移動
させた場合であるが、屈折レンズ4を移動手段17bを
用いて光軸方向に移動させても、あるいは回折型レンズ
1および屈折レンズ4の双方をそれぞれの移動手段17
aおよび17bを用いて移動させても、同様の効果を得
ることができる。
【0046】図10に示す観察光学系を有するこの発明
にかかる光学系を、露光装置の観察用光学顕微鏡に用い
れば、マスクと基板との間隔を変えても、焦点間隔を変
えることにより、マスクと基板とを同時に重ねて見るこ
とができるので、マスクと基板との間隔にかかわらず容
易に位置合わせを行うことができる。また、厚さの異な
る基板に変えても、焦点間隔を変えることで容易に対応
できるので、種々の試料を観察することができ、汎用性
を高めることができる。
【0047】なお、図10において、回折型レンズ1
は、断面形状がブレーズ形状のレリーフ格子で、パター
ンの上部と下部との位相差φは、 0.48π<φ<0.52π とするのが、特に望ましく、この範囲で、0次光と+1
次光とを用いて2重焦点光学系を得ることができる。
【0048】このような回折型レンズ1を用いた場合に
は、先ず、移動手段17bで屈折レンズ4を光軸方向に
動かす。例えば、屈折レンズ4を図示しない試料に近づ
く方向に動かすと、回折型レンズ1と屈折レンズ4との
間隔が広がるため、2焦点の間隔は広がり、0次光の焦
点5は試料に近づく方向に動くので、これにより0次光
の焦点5を観察したい2点のうち下側の点に合うように
することができる。
【0049】次に、移動手段17aで回折型レンズ1を
光軸方向に動かす。ここで、0次光は、回折型レンズ1
への入射光が回折されずに、入射方向と同じ方向に透過
したものであるから、回折型レンズ1を光軸方向に動か
しても、0次光の焦点5の試料に対する位置は変わらな
い。これに対し、+1次光の焦点6の試料に対する位置
は、例えば、回折型レンズ1を試料に近づく方向に動か
すと、試料に近づく方向に移動するので、これにより+
1次光の焦点6を観察したい2点のうち上側の点に在る
ようにすることができる。
【0050】このように、断面形状がブレーズ形状のレ
リーフ格子で、パターンの上部と下部との位相差φが、 0.48π<φ<0.52π の回折型レンズ1を用いれば、移動手段17bで屈折レ
ンズ4を光軸方向に動かして、0次光による像のピント
を合わせ、次に、移動手段17aで回折型レンズ1を光
軸方向に動かして、0次光に像のピントを合わせたまま
+1次光による像のピントを合わせることができるの
で、容易に観察したい2点の像のピントを合わせること
ができる。
【0051】以上説明したように、回折型レンズと屈折
レンズとを組み合わせれば、多焦点の光学系を得ること
ができ、また、回折型レンズと屈折レンズとの間隔を変
えるようにすれば、多焦点の間隔を変えることができ
る。ここで、一例として、表1に示す回折型レンズおよ
び屈折レンズの8種類の組み合わせを用いた場合の2焦
点間の間隔の数値例を表2に示す。ただし、表1におい
て、回折型レンズの焦点距離は、1次光の焦点距離を示
す。また、表2では、表1の8種類の組み合わせについ
て、回折型レンズと屈折レンズとの間隔を、50mmか
ら95mmまで変化させた場合の2焦点の間隔を示す。
なお、表2において、回折型レンズと屈折レンズとの間
隔は、回折型レンズの後側主点と屈折レンズの前側主点
との間隔であり、2焦点間の間隔は、近軸の計算値であ
る。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】この発明の他の実施形態では、観察光学系
を構成する回折型レンズを着脱自在に構成する。このよ
うに構成すれば、回折型レンズを光路中にを挿入するこ
とにより、既に述べたように複数の焦点を有する光学系
を構成することができ、また回折型レンズを光路中から
外すことにより、単焦点を有する光学系を構成すること
ができる。
【0055】このように、回折型レンズを着脱可能にし
た光学系を、露光装置の観察用顕微鏡に用いれば、回折
型レンズを外し、普通の単焦点の顕微鏡にして、大まか
な位置合わせをし、その後、回折型レンズを挿入して多
焦点顕微鏡として、マスクと基板、既存のパターンとマ
スク、マスクとマスクなどに焦点を合わせて、厳密に位
置合わせを行うことができる。また、マスクと基板、既
存のパターンとマスク、マスクとマスクなどの間隔が非
常に狭く、従来の光学系で十分に観察できる場合や、必
要とする位置合わせの精度が低く、低倍率で観察しても
位置合わせが十分できる場合などには、回折型レンズを
外して、従来通りに位置合わせを行うことができる。さ
らに、種々のパワーの回折型レンズを用意すれば、各焦
点の位置や間隔などを容易に変えることができる。
【0056】また、上記のように、回折型レンズを着脱
可能に構成する場合には、回折型レンズの着脱に対応さ
せて、入射光の波長域を限定する波長制限手段を設け、
これにより回折型レンズを挿入した場合には、入射光の
波長域をある領域に制限し、回折型レンズを外した場合
には、入射光の波長域を制限しないようにして、試料を
透過、あるいは反射した光を、それが含む全波長域で観
察用光路を透過させるようにするのが好ましい。
【0057】ここで、制限する波長域は、用途に応じて
決定する。例えば、±1次光を用いて2重焦点光学系を
構成している場合には、入射光の波長域を、±1次光の
回折効率が他の次数光の回折効率に比べて十分高くなる
波長領域に制限する。このようにすれば、観察に用いる
光の波長は、±1次光の回折効率が高くなる波長域とな
るので、±1次光を用いた明るい像を得ることができ
る。また、±1次光の回折効率が低くなり、他の次数光
が強くなる波長域の光は遮られるので、他の次数光によ
る像が除去され、必要な像のみを鮮明に得ることができ
る。したがって、光源として、白色光源を用いることが
でき、回折型レンズを外して単焦点にしたときに、白色
光で観察することができる。
【0058】また、波長域を制限することにより、以下
に説明するような効果も得られる。すなわち、回折型レ
ンズを外した状態で、光学系全体の色収差を補正してあ
る場合には、回折型レンズを挿入することによって色収
差が発生する場合がある。この場合、回折型レンズの挿
入に応じて、入射光の波長域を適当な波長域に制限すれ
ば、狭い波長域の光のみ用いて像を得ることができるの
で、色収差の影響を少なくできる。なお、この場合、制
限する波長域は、例えば、多重焦点を得るために使用す
る回折光の回折効率が高くなる波長域とするのが好まし
い。このようにすれば、不要な回折光の回折効率が高く
なる波長域の光は遮られ、必要な回折光のみ使用して像
を得ることができるので、光源が白色光源であっても、
明るく、鮮明な像を得ることができる。
【0059】上記の波長制限手段は、回折型レンズと一
体に形成したバンドパスフィルターをもって構成するの
が好ましい。このように構成すれば、回折型レンズを光
路中に挿入するだけで、回折型レンズと一体に形成され
たバンドパスフィルターによって、入射光の波長を限定
することができる。この場合、バンドパスフィルターの
透過率が最大になる波長は、多重焦点を得るために使用
する回折光の強度が、最も強い回折光の強度に対して7
0%以上となるような波長域内に存在することが望まし
い。
【0060】すなわち、回折格子の回折効率には、波長
依存性がある。図11は、d線で0次光と+1次光の回
折効率がほぼ等しくなる回折格子の、回折効率の波長依
存性を示すものである。この回折格子は、凸部の断面形
状が鋸歯形状のもので、図11から明らかなように、0
次光と+1次光の回折効率が±30%の範囲で一致する
のは、図中の(a)の範囲で、この範囲を外れると、0
次光と+1次光との強度差が大きくなって、見にくくな
る。したがって、観察に用いる光の波長域は、図11の
(a)の範囲に含まれることが望ましい。
【0061】そこで、上述したように、バンドパスフィ
ルターの透過率がピークとなる波長を、強度が最も強い
回折光の強度に対して70%以上の強度を有する別の回
折光が生成される波長域内に存在させるようにすれば、
バンドパスフィルターを透過する波長域は、多重焦点を
得るために必要な回折光の回折効率が互いにほぼ等しく
なる波長域付近となり、回折効率が互いに大きく異なる
波長域の光や、不要な回折次数光の回折効率が大きくな
る波長域の光が遮断される。例えば、回折型レンズが上
記のような0次光と+1次光を生成するものである場合
には、観察に用いる光の強度が最大となる波長域が図1
1の(a)の範囲内となって、0次光と+1次光との強
度が大きく異なる波長域の光はカットされる。したがっ
て、光源が白色光源であっても、強度がほぼ等しい明る
い像を得ることができる。
【0062】この発明の他の実施形態においては、図1
2に示すように、回折型レンズ1と屈折レンズ4とを図
示しない1つの鏡枠で一体に結合して、対物レンズ18
を構成する。このように構成すれば、回折型レンズ1と
屈折レンズ4とが同じ対物レンズ18中に含まれるの
で、対物レンズ18を通常の単焦点の対物レンズに取り
替えれば、簡単に単焦点の光学系にすることができる。
また、回折型レンズ1や屈折レンズ4の異なる対物レン
ズ18を何種類か用意すれば、対物レンズ18を取り替
えることにより、倍率や焦点間隔などの異なる光学系を
簡単に得ることができ、様々な試料に簡単に対応するこ
とができる。
【0063】ここで、好ましくは、回折型レンズ1を光
軸方向に移動可能に構成する。この場合の移動手段17
aは、例えば、鏡枠から突出した突起部を鏡枠のまわり
に形成したガイド穴に沿って回動することにより、回折
型レンズ1を光軸方向に移動させるよう構成することが
できる。このように構成すれば、回折型レンズ1と屈折
レンズ4との間隔を変えることができるので、既に述べ
たように、焦点5と焦点6との間隔を変えることがで
き、したがって観察したい場所の間隔が種々変わって
も、容易にピントを合わせて見ることができる。
【0064】以上、照明が透過照明の場合について説明
したが、この発明は、落射照明の場合でも有効に適用で
き、同様の効果を得ることができる。図13は、落射照
明の場合の光学系の概略図を示すもので、光源8、コレ
クターレンズ9、絞り10、リレーレンズ22を含む照
明系7からの照明光を、ハーフミラー19で試料12の
方に折り曲げ、屈折レンズ4を通して試料12を照射す
るようにしている。
【0065】試料12からの反射光のうち、点5からの
光は、屈折レンズ4で屈折され、ハーフミラー19を透
過したのち、回折型レンズ1に垂直に入射する。回折型
レンズ1に入射した光は、0次光として直進し、結像レ
ンズ14で屈折されて、点13に集光する。したがっ
て、点13は点5の像点となる。また、点6からの光
は、屈折レンズ4で屈折され、ハーフミラー19を透過
したのち、回折型レンズ1に入射し、ここで1次光の方
向に強く回折されて、点5からの光と同じ方向に進み、
点5からの光と同様に、結像レンズ14で屈折されて、
同じ点13に集光する。したがって、点13は点6の像
点ともなり、点5および点6の像を同時に重ねて見るこ
とができる。
【0066】図13に示す光学系においては、回折型レ
ンズ1を、ハーフミラー19と結像レンズ14との間に
配置している。このように配置すれば、光源8からの照
明光は、回折型レンズ1を通らずに試料12に達し、照
明用光路上には回折型レンズ1が存在しないことにな
る。ここで、もし、回折型レンズ1が照明用光路上にあ
ると、照明光は試料12に達する前に回折型レンズ1で
回折され、回折型レンズ1に入射した光の一部が光路か
ら外れ、試料12を照明する光の強度が低下することに
なる。また、その光路から外れた光や回折型レンズ1で
の反射光などのために、フレアーが発生する可能性もあ
る。しかし、図13に示すように、回折型レンズ1を照
明用光路外に配置すれば、照明光は不要な回折を受けず
に済むので、照明光の回折による強度低下や、フレアー
の発生を有効に抑えることができ、明るく鮮明な像を得
ることができる。
【0067】図13に示す光学系を、露光装置の観察用
光学顕微鏡に用いれば、マスクと基板を少し離して位置
合わせを行う場合に、高倍率で観察してもマスクと基板
とを同時に重ねて見ることができるので、両者を容易に
精度良く位置合わせすることができる。また、既に形成
したパターンの上に塗布したフォトレジストを露光する
場合にも、既存のパターンとマスクとを同時に重ねて見
ることができるので、容易にマスクの位置合わせを行う
ことができる。さらに、マスクや基板からの反射光を観
察するので、照明光は基板を透過する必要がなく、した
がって基板がSiなどの場合にも、可視光用いて観察す
ることができる。
【0068】なお、結像レンズ14により結像される像
は、接眼レンズ(図示せず)を通して直接観察するよう
にしてもよいが、図14に示すように、結像位置にCC
Dカメラなどの受光素子20を配置して、モニター21
で観察することもできる。このようにすれば、特に、照
明光として赤外光など可視域外の光を用いた場合などに
有効となる。
【0069】以上説明した実施形態によれば、光軸上の
複数の点を同時に重ねて見ることができる。したがっ
て、露光装置の位置合わせ用光学顕微鏡に用いれば、マ
スクと基板、既存のパターンとマスク、マスクとマスク
など離れた複数の素子を同時に重ねて見ることができ、
容易に位置合わせを行うことができるようになる。ま
た、観察光学系を構成する回折型レンズ1あるいは屈折
レンズ4を光軸方向に動かして、それらの間隔を変える
ようにすれば、焦点の間隔を変えることができ、容易に
様々な試料を見ることができる。
【0070】付記 1.回折光学素子を含まない照明光学系と、回折型レン
ズ、正パワーを有する少なくとも一つの屈折レンズ素
子、および負パワーを有する少なくとも一つの屈折レン
ズ素子を含む屈折レンズ系からなる観察光学系とを有す
る光学系であって、前記回折型レンズを、該回折型レン
ズで生成される強度が最も強い回折次数の回折光の強度
に対して、70%以上の強度を有する別の回折次数の回
折光を生成するよう構成したことを特徴とする光学系。 2.付記項1記載の光学系において、前記回折型レンズ
は、レリーフ格子を有することを特徴とする光学系。 3.付記項2記載の光学系において、前記レリーフ格子
は、断面が左右対称な凸部を連続的に配列したレリーフ
格子であることを特徴とする光学系。 4.付記項3記載の光学系において、前記凸部の断面形
状が矩形であることを特徴とする光学系。 5.付記項4記載の光学系において、前記凸部の幅と、
レリーフ格子のピッチとの比βが、 0.41<β<0.59 であり、前記凸部の上部と下部とでの位相差φが、 (m−0.4)π<φ<(m+0.4)π 但し、m=1,2,3,・・・ であることを特徴とする光学系。 6.付記項5記載の光学系において、前記凸部の上部と
下部とでの位相差φが、 (m−0.12)π<φ<(m+0.12)π 但し、m=1,2,3,・・・ であることを特徴とする光学系。 7.付記項5記載の光学系において、前記凸部の上部と
下部とでの位相差φが、 (m−0.38)π<φ<(m−0.34)π あるいは、 (m+0.34)π<φ<(m+0.38)π 但し、m=1,2,3,・・・ であることを特徴とする光学系。 8.付記項2記載の光学系において、前記レリーフ格子
の断面形状がブレーズ形状で、パターンの上部と下部と
での位相差φが、 {(2m−1)/2−0.02}π<φ<{(2m−
1)/2+0.02}π 但し、m=1,2,3,・・・ であることを特徴とする光学系。 9.付記項1記載の光学系において、前記観察光学系を
構成する前記回折型レンズおよび前記屈折レンズ系を、
それらの間隔を変更し得るように、光軸方向に相対的に
移動可能に構成したことを特徴とする光学系。 10.付記項9記載の光学系において、前記回折型レン
ズは、断面形状がブレーズ形状のレリーフ格子で、パタ
ーンの上部と下部とでの位相差φが、 0.48π<φ<0.52π であることを特徴とする光学系。 11.観察用光路中に回折型レンズと屈折レンズ系とを
含む光学系において、前記回折型レンズが観察光路中に
着脱可能であることを特徴とする光学系。 12.付記項1記載の光学系において、前記回折型レン
ズが観察用光路中に着脱可能であることを特徴とする光
学系。 13.付記項11または12記載の光学系において、前
記回折型レンズの着脱に応じて、入射光の波長域を限定
する波長制限手段を設けたことを特徴とする光学系。 14.付記項13記載の光学系において、前記波長制限
手段は、前記回折型レンズと一体に形成したバンドパス
フィルターで、該バンドパスフィルターの透過率がピー
クとなる波長域が、強度が最も強い回折光の強度に対し
て70%以上の強度を有する別の回折光が生成される波
長域にあることを特徴とする光学系。
【0071】
【発明の効果】請求項1記載の光学系によれば、複数の
焦点を有するので、同時に複数の点を重ねて見ることが
できる。したがって、この光学系を露光装置の位置合わ
せ用光学顕微鏡に用いれば、同時に複数の点を重ねて見
ることのできる顕微鏡を得ることができるので、マスク
と基板とが少し離れている場合でも、マスクおよび基板
の両方にピントを合わせて、両方を同時に観察しなが
ら、両者の位置合わせを容易に行うことができる。ま
た、高倍率で焦点深度が浅くなっても、マスクと基板と
を同時に重ねて見ることができるので、容易に精密な位
置合わせができる。
【0072】さらに、既に形成してあるパターンとマス
クとを位置合わせしてパターン上のフォトレジストを露
光する場合でも、パターンとマスクとを同時に重ねて見
ることができるので、容易に位置を合わせて、精度よく
露光することができる。さらにまた、裏面に形成したパ
ターンに合わせて表面のレジストをマスクを介して露光
する場合や、基板の両面のレジストを両面にあるマスク
を介して露光する場合にも、裏面のパターンとマスク、
基板の両側のマスクとマスクを同時に重ねて見ることが
できる。また、一方向から両側を見ることができるの
で、光学系は基板の片側にのみあればよく、したがって
両側に光学系を配置する場合に比べて、装置を小型にで
きる。
【0073】また、位置合わせのために、事前に基板や
マスクに特別な回折パターンやマークなどを形成しなく
てもよいので、そのための時間や費用がかからないとい
う利点もある。さらに、回折型レンズが照明光学系の光
路上に存在しないので、照明光が試料に達する前に不要
な回折を受けることがなく、回折による照明光の光量の
低下や不要次数光などによるフレアーの発生を有効に抑
えることができ、したがって明るく鮮明な像を得ること
ができる。
【0074】請求項2記載の光学系によれば、回折型レ
ンズがレリーフ格子であるので、回折型レンズに入射し
た光をほぼ全て透過させることができ、したがって明る
い像を得ることができる。また、レリーフ格子の回折効
率は表面のパターンの深さで決まるので、パターンの深
さを適切に設定することにより容易に回折効率を設定す
ることができ、所望の回折効率を有する回折型レンズを
容易に得ることができる。
【0075】請求項3記載の光学系によれば、強度がほ
ぼ等しい複数の回折光を生成する回折型レンズを用い
て、複数の焦点の間隔を変えることができるので、見た
い場所の間隔が変わっても焦点の間隔を変えて、再びそ
の場所にピントを合わせることができる。したがって、
マスクと基板との間隔を変えても、基板自体の厚さが変
わっても、容易に見たい場所を重ねて見ることができ、
様々な状況で容易に位置合わせを行うことができる。ま
た、様々な試料に対応できるので、装置の汎用性を高め
ることができる。また、強度が等しく、不要な回折光に
よる像より強度が強い像で観察することができるので、
観察し易く、位置合わせがし易くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】回折次数について説明するための図である。
【図2】多重焦点について説明するための図である。
【図3】この発明の一実施形態における光学系の概略図
である。
【図4】レリーフ格子の断面形状の4つの例を示す図で
ある。
【図5】この発明の他の実施形態における光学系の概略
図である。
【図6】矩形状レリーフ格子の断面形状を示す図であ
る。
【図7】矩形状レリーフ格子の回折効率のβ依存性を示
す図である。
【図8】矩形状レリーフ格子の回折効率のφ依存性を示
す図である。
【図9】ブレーズ形状レリーフ格子の回折効率のφ依存
性を示す図である。
【図10】この発明のさらに他の実施形態における光学
系の概略図である。
【図11】ブレーズ形状レリーフ格子の回折効率の波長
依存性を示す図である。
【図12】この発明のさらに他の実施形態における光学
系の概略図である。
【図13】同じく、さらに他の実施形態における光学系
の概略図である。
【図14】同じく、さらに他の実施形態における光学系
の概略図である。
【符号の説明】
1 回折型レンズ 2 0次光 3 +1次光 4 屈折レンズ 5 0次光の焦点 6 +1次光の焦点 7 照明光学系 8 光源 9 コレクターレンズ 10 絞り 11 コンデンサーレンズ 12 試料 13 像点 14 結像レンズ 15 +m次光の焦点 16 −m次光の焦点 17a,17b 移動手段 18 対物レンズ 19 ハーフミラー 20 受光素子 21 モニター 22 リレーレンズ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回折光学素子を含まない照明光学系と、
    回折型レンズ、正パワーを有する少なくとも一つの屈折
    レンズ素子、および負パワーを有する少なくとも一つの
    屈折レンズ素子を含む屈折レンズ系からなる観察光学系
    とを有する光学系であって、 前記回折型レンズを、該回折型レンズで生成される強度
    が最も強い回折次数の回折光の強度に対して、70%以
    上の強度を有する別の回折次数の回折光を生成するよう
    構成したことを特徴とする光学系。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の光学系において、 前記回折型レンズは、レリーフ格子を有することを特徴
    とする光学系。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の光学系において、 前記観察光学系を構成する前記回折型レンズおよび前記
    屈折レンズ系を、それらの間隔を変更し得るように、光
    軸方向に相対的に移動可能に構成したことを特徴とする
    光学系。
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