JPH09126985A - 通過するガスに対する材料の透過係数等を測定する方法と装置 - Google Patents
通過するガスに対する材料の透過係数等を測定する方法と装置Info
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Abstract
る。 【解決の手段】 この方法は、測定しようとするガスに
材料をさらす段階と、いくつかの時間増分にわたって材
料のアウトガス特性を測定して、測定された値を表す指
数関数表現を形成する段階と、拡散係数D及び溶解係数
Sに対して指数関数表現を解く段階と、拡散係数Dと溶
解係数Sの積を形成することによって材料の透過係数P
を計算する段階を有している。
Description
ermeability)に関する特性を測定するための方法及び装
置に関する。さらに詳しくは、この発明はバリヤ用(ガ
スの拡散を防止するための物をいう)材料の拡散係数、
溶解(solubility)係数、透過係数を測定するための方法
と装置に関する。
量を測定するための装置は従来から知られている。例え
ば、1971年11月9日に特許された米国特許第3,61
8,361号には、フィルムのガス透過性を測定するための
初期のシステムが開示されている。同じように、197
1年7月6日に特許された米国特許第3,590,634 号に
は、膜を通過する通過性を測定するための別の装置が開
示されている。1984年8月14日に特許された米国
特許第4,467,927 号には、複数のテストセルの中でフィ
ルムを通過る気体の通過性を測定するための装置が開示
されている。これらの装置はすべて、酸素の存在に応じ
て電気化学変換を行う酸素検出器と組み合わせて動作す
る。こうした酸素検出器の一つが、1965年12月1
4日に特許された米国特許第3,223,597 号に開示されて
いる。別の形の酸素検出器が、1978年4月18日に
特許された米国特許第4,085,024 号に開示されている。
これら初期の特許のすべてや、また最近の特許の多く
は、酸素検出器と組み合わせたテストセル構造を利用し
ており、テストセルの決められたチャンバ内の酸素の量
を表す電気信号を発生するようになっている。テストさ
れるバリヤ材料サンプルは一般にテストセルの中にクラ
ンプされ、二つのチャンバを形成する。一方のチャンバ
には最初は酸素はなく、窒素などの不活性ガスが充填さ
れている。他方のチャンバは最初は酸素が充満してい
る。これらの初期条件から先へ進むまえに、まずテスト
する材料サンプルからすべての酸素を放出させる必要が
ある。ガスの放出は、前述した両方のチャンバの中へ窒
素などの不活性ガスを通し、酸素含有量がゼロになるま
で、あるいはゼロ近くに減少するまで酸素含有量につい
てテストガスをモニタし、そのあとで前述した初期条件
から先へ進める。このテストプロセスは、テストガス中
の酸素濃度が定常レベルに達するまで不活性テストガス
の流れをモニタする必要があるが、これは何時間もの動
作時間を要することになる。一般に、こうしたテストに
必要な時間の長さは材料の透過係数に比例し、材料の厚
みに逆比例する。浸透係数は温度に比例し、またそれよ
りも程度は小さいが圧力に比例する。このタイプのテス
トの目的は、定常状態にあるときにテスト膜を通過する
酸素の量を測定することである。そして、酸素の測定は
一般に前述した従来の特許に開示されているような装置
を用いて行われる。
えられたサンプルを通過するガスの量によって行われ
る。これは容器あるいは本質的にフラットなサンプルで
ある。測定結果は、決められた時間の間にサンプルを通
過するガスの容積あるいは重量によって与えられる。容
器の場合には、これは容器当り時間当りのガスの容積あ
るいは重量になる。フラットなサンプルの場合には、そ
れは単位面積当り時間当りのガスの容積あるいは重量で
ある。得られたこれらの測定結果は、そのテストの条件
と関連づけられる。正式には、これらは透過係数の値で
はなく、特定のテスト条件におけるそのサンプルを通過
するそのガスの通過率(transmission rate) である。
のフラットなフィルム(PET)を用いた場合O2 に対
する通過率は1気圧、気温30゜C、湿度5%以下の条
件ににおいて、7.5 cc/(1平方メートル・1日)
である。
た)の定義は、0.254mm (1ミル) の厚みのフィルムに対
する標準温度及び圧力(STP)(760 mmHg、0 ゜
C)における通過率で示される。通過するガスの量はお
およそフィルムの厚みに反比例する。このテスト条件に
おいては、0.254mm (1ミル) のフィルムは2.54mm(10)ミ
ルのサンプルに比べて10倍のO2 を通過させる。即ち、
通過率0.254mm(1 ミル) =75cc/(m2 ・1 日) であ
る。これを0 °Cデータの値に修正すると正式に定義さ
れた透過率になる。
至浸透はその材料の固有の物理特性の結果である。こう
した特性については、過去30年にわたる当該分野におけ
るすべての文献に正式に定義されている。これらの特性
とは、材料中における対象とするガスに対する材料の溶
解係数と、材料中でのガスの拡散速度である。溶解係
数”S”は、その材料の単位容積中に溶解するガスの容
積、すなわち(cm3 /cm3 )として定義している。
拡散係数”D”は、材料中をガスが移動する速度、すな
わち(cm2 /sec)として定義している。溶解係
数”S”と、拡散係数”D”の積は、透過係数”P”と
呼ばれる。この場合には、単位は((cm3/sec)
/(cm2 /cm))であり、”材料の厚みセンチメー
トル当り秒当り平方センチメートル面積当りのガスの立
方センチメートル”と解釈される。透過係数”P”は、
実際の材料の透過係数Pactual、すなわち与えられた材
料サンプル中におけるガスの透過率に、簡単な変換ファ
クタによって関係付けられる。この変換ファクタは、”
厚みセンチメートル当り秒当りの立方センチメートル”
を、”平方メートル面積当り及び厚みミリメートル当り
日当りの立方センチメートル”を用いた標準に変換す
る。この変換ファクタは、Pactual=P/(2.94×10
-12 )である。
知られている。透過ないし浸透に関しては何年にもわた
って文献であらゆる側面から検討されてきている。しか
し、材料を通過するガスの透過性を測定する新しい方法
を理解するには背景の理解が必要である。材料中へのガ
スの吸収や放出(description) の理論的な解析について
は、ジェー・フランク(J. Frank)によって彼の著書で
あるマセマティックス・オブ・ディフュージョン(Ma
thematics of Diffusion)の第
2版(Clarendon Press、Oxfor
d、England(1975))の中に記載されてい
る。
スタティック(isostatic) と呼ばれている。これは、サ
ンプルの一方のサイドが対象とするガスへさらされるよ
うな形でサンプルが取り付けられる場合をいう。他方の
サイドは、そのガスがゼロレベルかあるいは非常に低い
レベルになるように隔絶される。このようにして、サン
プルを通過するガスを時間の関数として測定することが
できる。
不活性ガスを流すことによってアウトガスが行われる。
ここで、アウトガスとは材料中に吸収されているガスを
放出させることを言う。次に、一方のサイドに浸透性の
テストガスが流され、他方のサイドではテストガスの非
常に低い濃度にも感度を有するセンサに達するように不
活性ガスが流される。センサが設けられたサイドのテス
トガス濃度が、材料サンプルを通過する定常的な透過現
象に対応する定常値に達するまで待つことによって、最
終的な測定結果が得られる。一般に、定常的な条件が成
立するまで待つのに要する時間は、中程度の性能のバリ
ヤに対してさえも通常は非常に長い。例えば、30゜Cに
おける2.54mm(10 ミル) (10-2インチ)の厚みのPET
フィルムは、約7.5 (cm3 /M2 )/日、すなわち日
当り平方メートル当り7.5 立方センチメートルの通過
(透過)の値を有する。今日のバリヤの多くにおける通
過測定値は、この値の1/10以下である。こうした材料に
おいては、2.54mm(10 ミル)のサンプルの準備的なアウ
トガスに約21時間かかり、浸透測定には約29時間かか
る。
定を行うのに必要な時間を大きく短縮することができれ
ば、非常に好ましいことであろう。こうした測定を行う
のに必要な装置はかなり高価であり、複雑である。従っ
て、材料のサンプル一つを測定するのに、そうした装置
を有するステーションを数日にわたって独占的に使用す
る必要がある。非常にたくさんのサンプルを測定する必
要のある場合には、そうした測定を行うのに必要な装置
が設置されたテストステーションの数を、テストスケジ
ュールに合わせるために多くしなければならないことに
なる。従って、テスト時間全体を短くするために実施可
能なプロセス全体にわたるどのような修正も、当該分野
においては非常に有用であり、意義のあることである。
時間でバリヤ材料の拡散係数及び溶解係数を測定するた
めの方法及び装置からなっている。この発明によれば、
材料を通過して長れるサンプルガスの浸透性すなわち透
過率を、利用可能な従来の技術に比べて著しく短い時間
で計算することが可能である。この方法は、こうした測
定にこれまで使用されていたのと同じ装置によって行わ
れるが、結果は、その材料に対してアウトガスを行いそ
のあと通過性測定を行うという二段階のかわりに、材料
のアウトガス特性を測定することによって行われる。こ
の方法は、材料の通過特性はアウトガスプロセス中にお
けるその材料の複雑で非線形的な振舞いを解析すること
によって予測できるという認識と、材料の通過性はその
材料のアウトガス特性に正比例するという認識から導か
れている。簡単に言えば、この方法は、ガスが飽和され
た材料をアウトガスする段階と、例えば酸素などのアウ
トガスされたガスの、予め決められた時間にわたる指数
関数的な減衰率を観測する段階からなっている。ある材
料のアウトガス曲線は二つの指数関数の和によってかな
りよく近似できることが実験的にわかっている。ある与
えられた材料に対するアウトガス曲線に沿った点を測定
して、その材料の拡散係数”D”及び溶解係数”S”の
測定値を得ることができる。いったんこれらの係数を求
めれば、材料を通過するガスの透過率は数学的に即座に
導き出される。
ば、必要な測定時間はおよそ40倍のファクタで全体的に
短縮され、従来の既存の方法と比べるとおよそ4 倍のフ
ァクタで感度が改善されるであろう。従って、この発明
の主な目的は、従来知られているものよりもずっと短い
時間で材料の浸透性を測定する、従って材料を通過する
ガスの透過率の測定することである。この発明の別の目
的及び利点は、従来可能であったものよりもずっと高い
感度でそうした測定を行うことである。この発明のその
他の目的や利点は以下の説明や特許請求の範囲、そして
添付の図面を参照することによって明かになろう。
施の形態を説明する。まず、図1を参照する。図面に
は、この発明の方法を実行するために使用できる装置が
示されている。図には、従来からガス透過及び浸透性測
定に一般的に使用されているタイプの測定セル10が示
されている。測定セル10は二つの分離可能な対部材1
0a、10bを有している。二つの対部材10a、10
bは材料サンプル16を間に挟んでいっしょにクランプ
され、材料サンプル16によって分離された内部の二つ
のチャンバ18、20を形成する。チャンバ18の中へ
は一対のガス通路17、19が開口しており、チャンバ
20の中へは一対のガス通路21、22が開口してい
る。通路17、21にはそれぞれ導管23、24が連結
されている。導管23、24は単一の導管25へ一体に
連結されている。導管25は二方向のバルブ30へ連結
されている。バルブ30は第1のガス供給源G1と第2
のガス供給源G2へ連結されている。ガス供給源G1、
G2はどちらかが導管25へ連結されるように、しかし
同時には連結されないようになっている。通路19、2
2にはそれぞれ導管26、27が連結されている。導管
26、27は単一の導管31へ一体に連結されている。
導管31は二方向のバルブ32へ連結されている。バル
ブ32はガス供給源G1とセンサ35へ連結されてい
る。導管31はガス供給源G1かセンサ35のどちらか
へ連結されるように、しかし同時には連結されないよう
になっている。センサ35は大気中へ排気するための排
気用導管36を有している。
でもよいし、不活性ガスの流れの中に含まれる微量のテ
ストガスの濃度を検出することのできる別のタイプのセ
ンサでもよい。センサ35はコンピュータプロセッサ3
9へ接続された電気出力ライン38を有しており、アナ
ログ−デジタル変換器を介して信号をデジタル値に変換
し、センサ35を流れるテストガスの検出濃度に比例す
る信号をコンピュータプロセッサ39へ発生する。
クステーションなどのビジュアルディスプレイ装置33
へ接続されている。ビジュアルディスプレイ装置33は
センサ35からの信号や、拡散係数、溶解係数、通過率
あるいは透過係数といった材料サンプル16及びテスト
ガスに関係するすべてのことがらをグラフ的あるいは数
値的に表示する。コンピュータプロセッサ39は、内部
メモリを有し、コンピュータプログラムを理解する能力
を有する汎用のデジタルコンピュータからなる市販され
ている多くのコンピュータプロセッサの任意のものを利
用することができる。ここに開示されているこの発明の
方法の、ある値の計算に関係する段階は、コンピュータ
ープログラミング技術に習熟した通常の技術者によって
作成されたソフトウェアを用いてコンピュータプロセッ
サ39によって行われる。この分野においては、以下の
説明において述べられ示唆されているこの発明の数学的
段階のすべてを解くためのプログラムもその中に含むよ
うな複雑な数学的問題を解くためにコンピュータプログ
ラムを開発することは周知のことである。
G1を材料サンプル16に飽和させるのと、センサ35
を介して必要な測定を行う両方の目的に使用することが
できる。これとは違って、別のチャンバあるいは他の場
所を使用して、テストガスG1を材料サンプル16へ飽
和させることもできる。測定セル10を使用してテスト
ガスG1を材料サンプル16へ飽和させる場合には、バ
ルブ30を操作して導管25をガス供給源G1へ接続
し、バルブ32を操作して導管31をガス供給源G1へ
接続して戻す。次にガス供給源G1からのガスを両方の
チャンバ18、20へ十分に長い時間にわたって流し
て、材料サンプル16をガス供給源G1からのガスに完
全にさらして、材料サンプル16にガス供給源G1から
のガスを確実に飽和させる。飽和を行わせるのに必要な
時間の長さは実験的に決めることができる。そして、こ
の時間の間に外部測定は必要とされない。材料サンプル
16にテストガスを飽和させたあと、測定プロセスを開
始することができる。
ガス段階を実行することによって、確実にチャンバ1
8、20の中にテストガスが入っていないようにする必
要がある。この準備的なアウトガス段階は、測定セル1
0中の両方のチャンバ18、20を不活性ガスのガス供
給源G2へ接続し、両方のチャンバ18、20に数分に
わたって不活性ガスを流すことによって行われる。アウ
トガス段階は、ガスのセンサ35によって測定すること
ができる。センサ35は、不活性ガスを測定セル10の
両側に流すにつれてテストガスの量が急激に減少し、次
に、それまでに材料サンプル16が吸収していたテスト
ガスをアウトガスするにつれてテストガスの濃度が徐々
に増加するのを検出する。このアウトガスプロセスが始
まるときに、センサ35からの電気信号をとびとびの時
間間隔で記録することによって測定を開始する。測定さ
れた信号はデジタル値に変換され、コンピュータプロセ
ッサ39の中に蓄積される。これらの測定信号は、各測
定値が記録されるときのそれぞれの時間に関係付けられ
る。このようにして記録され蓄積されたデータは、一般
に非線形の指数関数減衰曲線を辿る。データは引き続い
て、時間の関数としてビジュアルディスプレイ装置33
の上にプロットされ、表示される。
的な測定プロセスに対するアウトガス測定の両方を示す
時間曲線である。準備的なアウトガス段階は、時間T1
まで続く。この時間T1は、センサ35によって測定さ
れるガス濃度レベルをモニタし、測定された濃度レベル
が最初は測定値が急激に増大したあと降下し始めるまで
待つことによって決定される。これが図2において曲線
部分40に示されている。曲線部分40は急速に上昇す
る非線形曲線である。上昇する曲線部分40は、図1に
示されている装置によって測定される。この曲線部分の
特徴的な形は、多くの影響によって支配されている。そ
うした影響の中には、最初にセンサを通るガスに対する
センサ35の比較的遅い応答が含まれる。時間T1にお
いて、センサ35の応答は安定し、チャンバ18、20
の中を流れる不活性ガスの流れは、材料サンプル16か
らアウトガスされるテストガスを拾い(pick up) 始め
る。そのあと、センサ35はセンサ35を流れる不活性
ガス中のテストガスの濃度をモニタし続ける。この濃度
は減衰曲線に従う。時間T2までにおそらく十分なデー
タが記録され、この発明によって材料特性を完全に決定
することができるであろうが、アウトガス特性は時間T
3まで定期的に測定される。
トガス段階を実施するにはおよそ20時間を必要とし、通
過測定段階を行うにはさらにおよそ30時間を必要とし
た。この発明の方法によれば、時間T2までに必要なデ
ータが収集され、2 時間以内で測定プロセスを完了する
ことができる。この発明と、そこから導き出される改良
された結果は、材料を通過するガスの通過率の測定と計
算につながる材料サンプルの透過係数が、材料のアウト
ガス特性を支配する特性と同じであるということからき
ている。さらに、材料のアウトガス特性は二つの指数関
数項の和で与えられる指数関数によって非常によく近似
できることがわかった。また、これらの指数関数項が適
切に定義されたときには、測定されたアウトガス応答曲
線を予測することが可能なことがわかった。この現象の
観測と解析によって、以下で説明するこの発明が導かれ
る。
拡散係数と溶解係数によって制御されることがわかる。
もしアウトガスを材料のフィルムあるいは膜の一方のサ
イドだけで観測するのであれば、アウトガス測定は膜材
料の厚みの半分だけに対して行われていることを認識す
る必要がある。すなわち、膜のもう一方のサイドも同じ
速度でアウトガスしていると仮定する必要がある。アウ
トガスは指数関数曲線に従うこと、あるいは材料の拡散
係数”D”及び溶解係数”S”に関係する多数の指数関
数の和に従うことは実験的にわかっている。曲線近似法
を用いることによって、指数関数曲線を求め、材料の透
過係数の値を計算することが可能である。図2のアウト
ガス曲線50はKe-xt の形を有する二つの指数関数の
和によってよく近似できることが実験的にわかってい
る。
この図はアウトガスの曲線50を示しており、曲線を時
間ゼロ(t1=0 )まで外挿している。特に、アウトガ
スの曲線50は指数関数からなる曲線51、52の和と
して表せることを実験的に示すことができる。ここに、
曲線51は y1 (t)=K1 e-at の形を有し、曲線
52は y2 (t)=K2 e-bt の形を有しており、従
って、曲線50は y(t)=y1 (t)+y2 (t)=K1 e-at +K2 e-bt という式で表すことができる。指数”a”及び”b”の
値は、実際の測定結果に対して曲線近似法を適用するこ
とによって実験的に決定することができる。時間t
4 (図3を参照のこと)のあと、前述した式の第2項は
十分に小さくなって無視することができ、関数は実質的
にy(t)=K1 e-at になる。
で与えられる指数関数曲線に従うと仮定して、K1 と指
数”a”の値を決定する必要がある。指数関数曲線の特
性は、任意の時間増分tiに対して、その時間増分の最
初と最後におけるy(t)の値の比が一定であるという
ことである。すなわち、時間増分tiを、時間t4 と時
間t5 の間の時間、あるいは時間t5 と時間t6 の間の
時間(これらは等しい時間間隔であると仮定する)に選
ぶと、比(y(t4 )/y(t5 ))は比(y(t5 )
/y(t6 ))に等しい、などである。これは指数関数
曲線の真実で正しい特性であるから、y(t)曲線を等
しい時間増分tiで測定し、比が(比の値R1 で)等し
くなるような曲線上の点に達するまで、上述した実際の
測定比を計算することが可能となる。比が等しくなるこ
の点においては、測定されたy(t)曲線はy(t)=
K1 e-at の形を有する一つの指数関数で表される。さ
らに、その点における比の測定値がR1 であるとする
と、R1 =e-at である。ここで、t=tiである。こ
の式の対数をとることによって、 Ln(R1 )=−ati あるいは −a=Ln
(R1 )/ti が得られる。K1 の値は、曲線y1 (t)=K1 e-at
を時間ゼロまで外挿することによって得られる。ここ
で、y(t4 )/R1 4=K1 である。なぜなら、4番目
の時間増分に当たるt4から時間ゼロまで戻るには4回の
増分tiが存在するからである(図3を参照のこと)。
上述のことを要約すると、測定されたカーブ50におい
て、例えばt1での値とt2での値の比を(1/2)と
したときに、(1/2),(2/3),(3/4),
(4/5)・・・・と比の値を求めていくと、最初は比
の値が変化していくのに対し、徐々に比の値が安定しは
じめ、やがて一定の値に安定する。図4の場合、タイミ
ングt4以後は比の値R1で安定することを示してい
る。このことは、タイミングt4以後はカーブ50が一
つの指数関数で近似できることを意味する。この認識は
本発明によってみいだされたものである。また比の値が
変化するタイミングt4以前においては、比の値が安定
しない以上、一つの指数関数では近似できない。この場
合を調べると、この間の関数y(t)は、先に求めた一
つの指数関数に、も一つの指数関数をたしあわせること
によって良く近似されることが確認された。
た解き方によって、K1 と指数”a”の値が求まる。我
々は、この式の指数関数的な減衰は材料サンプル中にお
けるガスの拡散速度によって支配される、すなわち指
数”a”は拡散係数Dに関係する事をみいだした。周知
の材料サンプルをテストすることによって、指数”a”
は、拡散係数Dと、材料サンプルの厚みの二分の一”l
(エル)”の両方に依存することが実験的にわかった。
その関係は、次の式 a=M(D/l2 )で与えられ
る。ここでMは常数であり、M=2.4 である。定数”
M”は特定の材料の成分構成に関係するかもれない。し
かし、周知のプラスチックフィルム材料を用いた実験に
よってM=2.4 の値が実験的に求められる。まだテスト
していない材料に対しては、Mに対する値を変えなけれ
ばならないこともあり得る。しかし、その場合には、こ
の発明ではこの定数に対する新しい値を選択することが
可能である。前述した式を拡散係数Dに対して解くと、 D=(l2 )(Ln R1 )/2.4(ti) となる。
いる装置を用いてテストし測定しているある材料の拡散
係数Dを、その材料に対して測定されたアウトガス曲線
の最初の部分で決定できることを示している。一般に、
この決定は従来の方法において可能であったものより
も、何時間も短い時間で行うことができる。その材料サ
ンプルに対する拡散係数Dを決定すると、残った仕事は
同じ材料に対する溶解係数Sを求め、これらの値を使っ
て周知の式P=S・Dによって通過係数Pを計算するこ
とである。溶解係数は、材料サンプルがテストしている
ガスを吸収する能力を表す測定量になり、材料サンプル
からアウトガスされるガスの全体の量と、材料サンプル
それ自身の容積の比で表される。すなわちS=Vtot/
Vsampleである。材料サンプルの容積は、材料サンプル
の面積と材料サンプルの厚みの積として即座に求められ
る。材料サンプルからアウトガスされるテストガスの全
容積は、図3の曲線50の下側の面積で近似することが
できる。このためには、式y(t)=K1 e-at +K2
e-bt を積分する必要がある。
た。第2項は、図2の測定された曲線からy1 (t)を
差し引くことによって求めることができる。ここで、曲
線のゼロ点は時間T1 から始まる、すなわち図3の時間
t1 はゼロに対応し、図2の時間T1 に対応すると仮定
する。図3の曲線50から曲線51を点ごとに差し引く
ことによって、式y2 (t)=K2 e-bt を表すものと
して曲線52をプロットすることができる。
における第1項に関して前述したのと同じ方法によって
求めることができる。y2 (t)曲線をゼロまで外挿し
て、定数K2 を決定することができる。同じような時間
増分比を測定して、y2 (t)曲線に対する一定の減衰
比を表す比R2 を求めることができる。従って、指数”
b”の値はb=Ln(R2 )/tiとして求めることが
できる。ここに、tiはまえに決めた時間増分である。
そのあと、式K1 e-at +K2 e-bt をt=0からt=
∞まで積分して、材料サンプルからアウトガスされたテ
ストガスの全容積Vtot を求める。積分値は式(K1 /
a+K2 /b)から求めることができる。従って、溶解
係数Sを S=Vtot /Vsampleの式にしたがって求め
る。
て計算することができる。材料サンプルの実際の通過性
すなわちそのガス通過率は、前述した変換ファクタを適
用することによって計算することができる。動作時に
は、曲線50をプロットするための測定は図1の装置に
よって、あるいはこれと等価なガスセンサ配線によって
行うことができる。ガスセンサ出力のプロットされたサ
ンプルの数を絶えずテストして、比R1 を求めるための
条件を決定することができる。その時点で、材料サンプ
ルの透過係数を求めるためのここに説明した方法を実行
するために、センサ35からそれ以上のデータを収集す
る必要はなくなる。実際、ここで説明した装置及び方法
によれば、こうした決定にこれまで必要であった何時間
という時間のかわりに、数分でこの決定を行うことがで
きる。
脱しない限り、他の形によっても実現が可能である。従
って、上述した実施の形態は単に説明のためのものであ
り、発明を制限するものではない。この発明の範囲に関
しては、上述した説明よりも添付の特許請求の範囲を参
照すべきである。
る。
Claims (6)
- 【請求項1】 通過するガスに対する材料の透過係数を
測定する方法であり a)その材料(16)を測定しようとするガスにさらす
工程と、 b)その材料から放出される前記ガスの量を時間が経過
する毎に測定し、放出されたガスの量(y)を時間の関
数として表す曲線(50)をプロットする工程と、 c)均一な時間増分(ti)を選択し、プロットした前
記曲線を均一な時間増分ti(t2 −t1 ;t3 −
t2 ;・・・)毎に分割する工程と、 d)各時間増分tiの最初と最後におけるyの値を測定
し、その比R1 を求め、二つの連続した比R1 がほぼ等
しくなるn番目及び(n+1)番目の時間増分まで前記
の比R1 を求め続ける工程と、 e)K1 =y(tn)/R1 n 及び−a=(Ln
R1 )/tiとして、y1(t)=K1 e-at と言う式
を確立する工程であり、ここでy(tn)はn番目の時
間増分において測定されたガスの量であり、Ln R1
はR1の対数である工程と、 f)式y1 (t)=K1 e-at で表される第2の曲線
(51)をプロットし、前記工程(b)でプロットした
前記曲線(50)から前記第2の曲線(51)を差し引
いて、式y2 (t)=K2 e-bt で表される第3の曲線
(52)を生成する工程と、 g)前記第3の曲線(52)の均一な時間増分tiの最
初と最後におけるy2の値を測定し、時間増分tiの最
初と最後におけるy2 の値の比R2 を求める工程と、 h)式K2 =y2 (tn)/R2 n からK2 を解き、式
b=(Ln R2 )/tiから”b”を解く工程と、 i)”l(エル)”を前記材料の厚みの半分とし”V”
を前記材料の容積として、式D=a・l2 /2.4 によっ
て拡散係数”D”を計算し、式(K1 /a+K2 /b)
/Vによって溶解係数”S”を計算する工程と、 j)式P=S・Dによって前記材料の透過係数”P”を
計算する工程と、 を有する方法。 - 【請求項2】 テストガスに対する材料の透過係数を測
定するための方法であって、 a)材料(16)中にテストガスを吸収させる工程と、 b)不活性ガスが充填されているチャンバ(18、2
0)の中に材料を設置し、材料から放出されるテストガ
スの量を時間の経過とともに測定する工程と、 c)所定の時間が経過する毎にその経過時間の前後にお
いて測定された2つの測定値の比を求め、その所定時間
毎に求められる連続する二つの比を比較し、連続する二
つの比がほぼ等しくなる時間Tを求める工程と、 d)時間Tのあとに測定されるテストガスの放出量に近
似するK1 e-at の形の指数関数表現を確立する工程
と、 e)l(エル)を前記材料の厚みの1/2 としたとき、式
D=a・l2 /2.4を用いて、表現K1 e-at から拡
散係数Dを計算する工程と、 f)T以下のすべての時間tに対する測定量から前記表
現K1 e-at を差し引くことによってK2 e-bt の指数
表現を確立し、すべての時間tに対して前記測定量に近
似する表現K1 e-at +K2 e-bt を確立する工程と、 g)前記指数関数表現K1 e-at +K2 e-bt をすべて
の時間tにわたって積分し、この積分した結果を前記材
料の容積で割って溶解係数Sを求める工程と h)積S・Dを求めて前記材料の透過係数を求める工程
と、 を有する方法。 - 【請求項3】 予め決められた厚みを有する材料サンプ
ル(16)の放出ガス特性を測定し、測定された特性を
y(t)=K1 e-at +K2 e-bt の形を有する曲線に
近似することによって、材料サンプル16の拡散係数D
を測定するための方法であって、 a)測定しようとするガスに材料サンプル(16)をさ
らす工程と、 b)ある時間にわたって検出されたガスの量を表す電気
出力信号を発生するガス検出器35への通路を有するシ
ールされたチャンバの中に前記材料サンプルを閉じ込め
る工程と、 c)時間の関数として、前記電気出力信号の曲線y
(t)をプロットする工程と、 d)時間の増分tiを選択し、この選択された時間増分
の最初と最後における前記曲線の値y(t)とy(t+
ti)を測定し、測定された値の比R1がn番目の時間
増分とn+1番目の時間増分において等しくなるまで求
め、等しくなったときの比をR1 の確定値とする工程
と、 e)そのn番目及びそのあとの時間増分に対するy
(t)曲線を、Mを実験的に決められた定数、l(エ
ル)を材料サンプルの厚みの半分の値、Dを材料サンプ
ルの拡散係数としたとき、指数値”a”が(M・D)/
l2 で求められるy(t)=K1 e-at の式で近似する
工程と、 f)n番目の時間増分において形成された比R1 の対数
値”C1 ”を求める工程と、 g)Mの値をおよそ2.4 に設定する工程と、 h)前記材料サンプルの拡散係数Dを、式D=(C1 ・
l2 )/(2.4 )tiによって計算する工程と、 を有する方法。 - 【請求項4】請求項3に記載の方法で求められた拡散係
数から、さらに次の工程を実施して前記材料から放出さ
れたガスに対する材料の溶解係数Sを計算する方法であ
り、 a)値R1 n を計算し、定数K1 を値y(tn )/R1
n に等しくし、指数”a”をC1 /tiに等しくするこ
とによって、式K1 e-at の係数の値を決定する工程
と、 b)前記で確定された式K1 e-at を、すべての時間”
t”に対して、プロットされた曲線y(t)=K1 e
-at +K2 e-bt から差し引いて、y2(t)=K2 e
-bt に対応する残された曲線をプロットする工程と、 c)前記時間増分tiを選択し、この選択された時間増
分の最初と最後における前記残された曲線の値y
2 (t)とy2 (t+ti)を測定し、その二つの値の
比が、m番目の時間増分における比とm+1番目におけ
る比が等しくなるまで求め、等しくなった時の比R2 を
求める工程と、 d)そのm番目の時間増分において求められた比R2 の
対数値”C2 ”を求める工程と、 e)値R2 m を計算し、定数K2 を値y(tm )/R2
m に等しくし、指数”b”をC2 /tiに等しくする工
程と、 f)前記材料サンプルの容積Vを測定する工程と、 g)式S=(K1 /a+K2 /b)/Vによって、前記
材料サンプルから放出されたガスに対する材料の溶解係
数Sを計算する工程と、 を有する。 - 【請求項5】 請求項3の方法で求められた拡散係数D
と、請求項4の方法で求められた溶解係数Sとの積を求
めることによって、前記材料サンプルの透過係数P=S
・Dを決定する方法。 - 【請求項6】 材料から放出されるガス特性を測定する
ことによってその材料の拡散係数Dを測定する装置であ
って、 a)前記材料(16)を保持するためのシール可能なチ
ャンバ(18、20)を有する測定セル(10)と、 b)ガスのセンサ(35)と、 c)コンピュータプロセッサ(39)と、 d)グラフィックディスプレイ(33)とを有し、 前記チャンバがセルの外部まで延びる排気通路(26、
27)を有し、 前記センサが前記チャンバからのガスを受容するために
前記排気通路へ連結されており、 前記センサがこのセンサによって検出されるガスの量に
対応した電気信号を出力する回路を有し、 前記コンピュータプロセッサが前記電気信号出力回路に
接続されており、 前記プロセッサが前記出力回路からの信号を均一な時間
増分毎にサンプリングしてこのサンプリングされた信号
をデジタル値に変換する装置を有し、 前記プロセッサが前記時間増分の最初と最後における前
記デジタル値の比を求め、求められた比がほぼ等しくな
るときの時間増分の回数(n、n+1)を識別するため
の装置を有し、前記プロセッサが、K1 =y(tn)/
R1 n 及びa=(Ln R1 )/tiとしたときにy1
(t)=K1 e-at の形を有する指数関数からなる式を
確立するための装置を有し、ここでy(tn)はn番目
の時間増分におけるサンプリング値であり、R1 は等し
くなった前記の比であり、tiは時間増分であり、 前記プロセッサが、l(エル)を材料の厚みの半分とし
たときに、D=a・l2 /2.4 の式によって拡散係数D
を計算するための装置を有し、 前記グラフィックディスプレイ33が、式y1 (t)=
K1 e-at を表示するための装置と値Dを表示するため
の装置とを有することを特徴とする装置。
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