JPH0912643A - 抗菌性高吸水性樹脂およびその製造方法 - Google Patents

抗菌性高吸水性樹脂およびその製造方法

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JPH0912643A
JPH0912643A JP16404395A JP16404395A JPH0912643A JP H0912643 A JPH0912643 A JP H0912643A JP 16404395 A JP16404395 A JP 16404395A JP 16404395 A JP16404395 A JP 16404395A JP H0912643 A JPH0912643 A JP H0912643A
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Japan
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antibacterial
chloride
halide
resin
water
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JP16404395A
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Takamasa Nonaka
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Nippon Chemical Industrial Co Ltd
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Nippon Chemical Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 例えばトリエチルビニルベンジルホスホニウ
ムクロライドとアクリルアミドとを、架橋剤の存在下で
架橋重合させて得られた抗菌性高吸水性樹脂およびその
製造方法。 【効果】 本発明によって、樹脂自体の機能として、短
時間の接触で優れた抗菌作用を示し、さらに抗菌性物質
の溶出が殆ど無い抗菌性高吸水性樹脂が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、細菌による汚染が実質
的に生じない優れた抗菌性を有する高吸水性樹脂および
その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、吸水性樹脂は、高吸水性および保
水性の両方の特性を有するため、例えば生理用品、紙お
むつ等の衛生材、農園芸用土壌保水剤、種子コーティン
グ剤、育苗用シート、食品鮮度保持包装材、食品・流通
用ドリップ吸収材、ゲル芳香剤、使い捨てカイロ、シー
リング材、コンクリート養生・改質剤等の幅広い分野で
使用されている。しかし、例えば吸水性樹脂を用いて製
造した吸水性シートは、吸水性樹脂が吸水すると、吸水
性シートの表面材も含水状態となり、そのため表面にカ
ビや細菌が繁殖しやすくなるという欠点がある。例え
ば、吸水性シートを生理用品、紙おむつなどの衛生材に
使用した場合は、排出物を長時間保持したりするため、
細菌が繁殖し、また臭気等が問題になる。また、食品用
ドリップシートなどに使用した場合は、鮮魚類や肉類な
どから出る水に微生物が繁殖しやすく、シートの表面に
細菌が繁殖し、食品の鮮度が劣化したりする。土木用シ
ーリング材などに使用した場合は、長時間の地下埋設に
より、その接合部にカビや細菌が繁殖し、シーリング材
を劣化したりする問題点がある。
【0003】そこで、かかる問題点の解決のために、例
えば抗菌作用を有する銀イオンを保持するゼオライトと
高吸水性樹脂を2枚の膜で挟んで吸水性シートにする方
法(特開昭63−156540号公報)や、高吸水性樹
脂に銀を含む水溶解性ガラスを均一に混合して抗菌作用
を付与させる方法(特開平1−153748号公報)
や、さらにポリオレフィン系樹脂と高吸水性樹脂の混合
系に、ジンク2−ピリジンチオール−1−オキサイド系
の抗菌剤を混合する方法(特開平5−9344号公報)
など、無機または有機系の抗菌剤を樹脂に添加した、い
わゆる添加型抗菌性吸水性樹脂が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように提案された抗菌性吸水性樹脂は、抗菌剤を添加し
たものであって、例えば、光などにより変色したり、樹
脂の熱加工時に抗菌剤が分解したり、抗菌力の持続性が
不十分であったり、さらには抗菌剤が溶出するなどの問
題点がある。また、有機系の抗菌剤は、その有毒性によ
り食品用、生理用品等に使用することは困難である。本
発明は上記のような従来の課題を解決に鑑み、樹脂自体
の機能として、短時間の接触で優れた抗菌作用を示し、
さらに抗菌性物質の溶出が殆ど無い抗菌性高吸水性樹脂
を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討の
結果、上記のような従来の課題を解決することができ
た。すなわち本発明は、次の一般式(1)
【0006】
【化3】
【0007】(式中、R1、R2およびR3は同種または
異種の炭素数1〜14のアルキル基を表し、X-はハロ
ゲン原子を表す)で示されるアルキルビニルベンジルホ
スホニウムハライドとアクリルアミドとを、架橋剤の存
在下で架橋重合させて得られた抗菌性高吸水性樹脂を提
供するものである。
【0008】また本発明は、アルキルベンジルホスホニ
ウムハライドが、トリエチルビニルベンジルホスホニウ
ムクロライド、トリプロピルビニルベンジルホスホニウ
ムクロライド、トリブチルビニルベンジルホスホニウム
クロライド、トリヘキシルビニルベンジルホスホニウム
クロライドおよびトリオクチルビニルベンジルホスホニ
ウムクロライドからなる群から選択される少なくとも1
種である前記の抗菌性高吸水性樹脂を提供するものであ
る。
【0009】さらに本発明は、架橋剤が、メチレンビス
アクリルアミドまたはメチレンビスメタクリルアミドで
ある前記の抗菌性高吸水性樹脂を提供するものである。
【0010】さらにまた本発明は、アルキルビニルベン
ジルホスホニウムハライド:アクリルアミド:架橋剤の
配合割合(モル%)が、それぞれ0.5〜10:90〜
98:1〜5の範囲である前記の抗菌性高吸水性樹脂を
提供するものである。
【0011】また本発明は、架橋重合体の含りん量がP
として0.1〜1.0ミリモル/gの範囲である前記の抗
菌性高吸水性樹脂を提供するものである。
【0012】さらに本発明は、上記一般式(1)で示さ
れるアルキルビニルベンジルホスホニウムハライドおよ
びアクリルアミドをモノマー成分とし、架橋剤および触
媒の存在下、溶媒中で該モノマー成分を共重合させるこ
とを特徴とする抗菌性高吸水性樹脂の製造方法を提供す
るものである。
【0013】以下、本発明をさらに詳細に説明する。本
発明に係る抗菌性高吸水性樹脂は、前述のとおり、一般
式(1)のアルキルビニルベンジルホスホニウムハライ
ドとアクリルアミドとが架橋された共重合体であること
が大きな特徴となっている。 (アルキルベンジルホスホニウムハライド)一般式
(1)のアルキルベンジルホスホニウムハライドにおい
て、R1、R2およびR3としては、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、
ヘプチル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基
等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等
のアリール基;ベンジル基、フェニチル基等のアラルキ
ル基;前記アルキル基、アリール基、アラルキル基をヒ
ドロキシ基またはアルコキシ基で置換した基等が挙げら
れ、中でも好ましくはヘプチル、オクチル等のアルキル
基、フェニル、トリル等のアリール基、さらに好ましく
は、アルキル基であるのがよい。また、R1、R2および
3は、同一の基であっても、そうでなくともよい。
【0014】Xのハロゲン原子としては、例えばフッ
素、塩素、臭素またはヨウ素(I-,I3 -)のハロゲン
原子が挙げられ、中でも塩素イオンおよび臭素イオンが
好ましい。
【0015】また、R1〜R3がメチル基、エチル基のよ
うな低級アルキル基である場合は、水溶性であり、ま
た、アルコール等の有機溶媒にも溶解する。逆に、R1
〜R3がペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等の高級
アルキル基になるほど水に対する溶解度が減少する傾向
を示す。抗菌効果は、アルキル基の場合、その長さの影
響を受け、例えばメチル、エチル、ブチル、オクチルと
抗菌効果が高くなる傾向がみられる。しかし、吸水性は
逆に小さくなる傾向を示すことから、樹脂の使用目的に
応じて適宜設計すればよい。また、R1〜R3内の一つだ
けが例えば、オクタデシル(C18)のような高級アル
キル基、他の二つがメチル基のような低級アルキル基で
ある場合、細胞膜攻撃性が高く抗菌効果は高い。
【0016】本発明に用いられるアルキルベンジルホス
ホニウムハライドは、一般式(1)に示すものであれば
とくに限定されるものではないが、その好適な例として
は、トリエチルビニルベンジルホスホニウムクロライ
ド、トリプロピルビニルベンジルホスホニウムクロライ
ド、トリブチルビニルベンジルホスホニウムクロライ
ド、トリヘキシルビニルベンジルホスホニウムクロライ
ド、トリオクチルビニルベンジルホスホニウムクロライ
ド等が挙げられる。
【0017】(アクリルアミド)本発明において、“ア
クリルアミド”とは、アクリルアミドのほか、メタクリ
ルアミドおよびN−メチルアクリルアミドなどのN−ア
ルキルアミドも含むことを意味する。なお、必要に応じ
て他の水溶性ビニル化合物を併用することも差し支えな
い。
【0018】(架橋剤)本発明に用いられる架橋剤はと
くに制限されるものではないが、例えばメチレンビスア
クリルアミド、メチレンビスメタクリルアミドおよびエ
チレングリコールジメタクリラート等が好適に用いられ
る。
【0019】(配合割合)本発明に係る抗菌性高吸水性
樹脂において、これを構成する上記モノマー成分の配合
割合は、モノマーの種類や樹脂の用途により異なり、任
意に設計できるものではあるが、アルキルビニルベンジ
ルホスホニウムハライド0.5〜10モル%、アクリル
アミド90〜98モル%および架橋剤1〜5モル%の割
合に基づくものであり、好ましくは、アルキルビニルベ
ンジルホスホニウムハライド1〜5モル%、アクリルア
ミド92〜96モル%および架橋剤2〜5モル%の範囲
がよい。この配合割合によれば、本発明に係る抗菌性高
吸水性樹脂においては、含りん量がPとして0.1〜1.
0ミリモル/gの範囲が好ましいといえる。
【0020】アルキルビニルベンジルホスホニウムハラ
イドが0.5モル%未満の場合は、樹脂の抗菌性が不十
分となり、逆に上記アルキルビニルベンジルホスホニウ
ムハライドの含量が増加すると、吸水量および抗菌性も
高くなるが、10モル%を超えるとあまり経済的ではな
い。また架橋剤が1モル%未満にあっては、樹脂が水溶
性となって吸水性ゲルとしての物性が劣る傾向にあり、
逆に5モル%を超えると吸水性が悪くなる等、いずれに
せよ樹脂の物性劣化を招くことになる。
【0021】また、必要に応じて他のビニルモノマー、
例えばアクリル酸、メタクリル酸およびそれらのアルキ
ルエステル等を適量使用することもできる。
【0022】(アルキルベンジルホスホニウムハライド
とアクリルアミドとの重合)本発明において、アルキル
ベンジルホスホニウムハライドとアクリルアミドとの重
合は、架橋剤の存在下行われる。
【0023】上記重合は、ラジカル重合触媒を用いれば
よいが、そのラジカル重合触媒としては、過酸化水素、
過酸化ベンゾイル、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソ
プロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオ
キシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシ
ビバレート、t−ブチルパーオキシジイソブチレート、
t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ラウ
ロイルパーオキサイド等の過酸化物、アゾビスイソブチ
ロニトリル、アゾビスイソバレリアル酸、アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビ
ス(2−アミジノプロパン)塩酸塩等のアゾ化合物、過
硫酸アンモニム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩等のラジ
カル重合触媒や、これらと亜硫酸水素ナトリウム、亜流
酸アンモニウム、L−アスコルビン酸、第一鉄塩等の還
元剤との組合わせによるレドックス系開始剤が用いられ
る。
【0024】重合系溶媒としては、例えばメタノール、
エタノール、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、n−ヘキサン、シクロヘキ
サン等が挙げられ、これらは1種または2種以上を使用
することができる。
【0025】本発明において重合条件は、各種原料によ
って異なるが、重合温度は室温〜100℃、好ましくは
10〜80℃、重合時間は3〜48時間、好ましくは5
〜30時間である。重合終了後、必要に応じて加水分解
し、精製、乾燥、粉砕処理を行えば、本発明の抗菌性高
吸水性樹脂が得られる。
【0026】かくして得られる本発明の抗菌性高吸水性
樹脂は、様々な細菌類例えば大腸菌や黄色ブドウ球菌、
真菌類、藻類等に有効な抗菌性を示す。また、熱や溶媒
に対して極めて高い安定性を有する。また、本発明の抗
菌性高吸水性樹脂は、水に溶けることなく自重の数十〜
数百倍もの水を吸収し、保持する能力を有する。
【0027】また、本発明の抗菌性高吸水性樹脂は、上
記共重合の際または重合後、必要に応じ吸水性速度を向
上させるために、アタパルジャイト、カオリン、タル
ク、ケイ藻土を添加することができ、さらに必要に応じ
て各種の樹脂用充填剤、例えばパルプ、木粉、合成繊維
などの有機質、ガラス繊維、ガラス粉、微粉シリカ、ア
ルミナ、アパタイト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、
雲母、シラスなどの無機質を配合することができる。ま
た発泡剤、消泡剤、老化防止剤、熱安定化剤、酸化防止
剤、染色剤、顔料、着色剤等も少量添加することができ
る。そのほか粘性や強度の向上を目的として、熱可塑性
樹脂のエマルジョン、合成ゴムのラテックス、水溶性高
分子を混合することができる。
【0028】本発明の抗菌性高吸水性樹脂は、その使用
目的に応じ、無定形粉末状、球形粒状粉体、短繊維状、
長繊維状、不織布状、フィルム状等の種々の形状にする
ことができる。本発明の抗菌性高吸水性樹脂は、優れた
抗菌性を有するために、生理用品、紙おむつ等の衛生
材、食品鮮度保持包装材、食品・流通用のドリップ吸収
材、農業・園芸用土壌保水剤、船底防汚塗料、高吸水性
繊維、結露防止材、高透水性分離膜等の幅広い分野に利
用できる。また、同時に帯電防止性、難燃性、防汚性を
付与することができる。
【0029】
【作用】本発明の抗菌性高吸水性樹脂の基本骨格を以下
に示す。なお、X-としてCl-および架橋剤としてN,
N'−メチレンビスアクリルアミドを用いた例である。
【0030】
【化4】
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。抗菌性高吸水性樹脂の合成 3種のアルキルベンジルホスホニウムハライド(以下T
RVBということがある)、すなわちトリブチルビニル
ベンジルホスホニウムクロライド(以下TBVBとい
う)、トリヘキシルビニルベンジルホスホニウムクロラ
イド(以下THVBという)およびトリオクチルビニル
ベンジルホスホニウムクロライド(以下TOVBとい
う)、アクリルアミド(以下AAmという)および架橋
剤としてN,N−メチレンビスアクリルアミド(以下M
BAAという)を、規定されたモル%で、ジメチルスル
ホキシド(以下DMSOという)20mlに溶解し、重合
開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを所定モル%
加え、重合試験管に入れた。水浴中で60分間窒素置換
し、密封した後、50℃で振盪しながら重合し、共重合
体を合成した。得られた共重合体を、DMSO、イオン
交換水およびアセトンで膨潤−収縮を繰り返して未反応
のモノマー等を除去し、精製し、次いで細かく粉砕し、
風乾後、真空乾燥機で24時間乾燥し、乾燥した共重合
体をさらに14〜32メッシュおよび32〜60メッシ
ュにふるい分けし、抗菌性高吸水性樹脂を得た。
【0032】TRVB、AAmおよびMBAAの配合割
合を以下の表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】TRVBには上記のように3種類を実験に
用いたが、上記配合割合により得られた樹脂の含りん量
は、以下の表2に示される。
【0035】
【表2】
【0036】吸水量の測定 合成した本発明の抗菌性高吸水性樹脂(サンプル)を、
不織布製の袋に入れ、サンプルに対して過剰のイオン交
換水または塩化ナトリウム水溶液に浸す。所定時間後、
液体から袋を取り出し、サンプル表面および袋表面の水
分をふき取り、その重量(A)を測定する。なお、あら
かじめ袋自体の吸水重量(B)およびサンプルの乾燥重
量(C)も測定しておく。吸水量(W)は、次式で定義
される。また、下記実験において液体への浸漬時間は、
基本的に、吸水量が飽和するのに十分な48時間とし
た。この式は、樹脂1gあたり吸水された液体のgを意味
している。
【0037】
【数1】W=(A−B−C)/C
【0038】様々な因子と樹脂の吸水量との関係につい
て実験を行った。その概要は: 様々な温度と樹脂の吸水量との関係(図1); 架橋剤の含量と樹脂の吸水量との関係(図2および
図3); 様々なアルキルベンジルホスホニウムハライドの含
量と吸水量との関係(図4); 様々な濃度の塩化ナトリウム水溶液および架橋剤と
樹脂の吸水量との関係(図5、図6および図7);およ
び 様々な濃度の塩化ナトリウム水溶液およびアルキル
ベンジルホスホニウムハライドと樹脂の吸水量との関係
(図8、図9および図10);である。
【0039】次に、上記実験およびその結果について詳
述する。 様々な温度と樹脂の吸水量との関係 サンプルとして、TBVB:AAm:MBAA=2:9
5:3(モル%)、THVB:AAm:MBAA=2:
94:4(モル%)およびTOVB:AAm:MBAA
=2:93:5(モル%)を用い、20〜35℃の温度
でのイオン交換水の吸水量を調べた。その結果を図1に
示す。図1から、温度が変化しても吸水量が変化せず、
安定していることが判る。
【0040】 架橋剤の含量と樹脂の吸水量との関係 まず、アルキルベンジルホスホニウムハライド(TRV
B)として一定の配合割合のTBVBを用い、架橋剤M
BAAの配合割合を2モル%〜5モル%の範囲で変化さ
せ、室温で浸漬時間0〜48時間でのイオン交換水の吸
水量を調べた。その結果を図2に示す。図2から架橋剤
の配合割合が3〜5モル%の範囲では、浸漬時間が約6
時間から吸水量が飽和しているが、架橋剤が2モル%で
あると、浸漬時間の経過とともに吸水量が増加している
ことが判る。このことは、架橋剤の量が吸水速度および
吸水量に大きく影響されることを意味する。次に、アル
キルベンジルホスホニウムハライド(TRVB)とし
て、TBVBの他、THVBおよびTOVBについて、
架橋剤MBAAの配合割合を2モル%〜5モル%の範囲
で変化させ、室温で浸漬時間48時間でのイオン交換水
および0.9重量%NaCl水溶液の吸水量をそれぞれ
調べた。その結果を図3に示す。なお対照として、TR
VBを使用しないものも用い、併せて実験を行った。図
3から、TRVBを含むこれらの樹脂は、イオン交換水
中で高い吸水量を示すことおよびTBVBやTHVBを
含む樹脂はNaCl溶液中では吸水量が減少するもの
の、なおかなり高い吸水量を示すことが判った。また、
架橋剤MBAAの配合割合により、吸水量が大きく変化
していることが判る。なお、対照のサンプルでは、イオ
ン交換水およびNaCl溶液中においてほとんど同じ吸
水量を示した。
【0041】 様々なアルキルベンジルホスホニウム
ハライドの含量と吸水量との関係 アルキルベンジルホスホニウムハライド(TRVB)と
して、TBVB、THVBおよびTOVBの配合割合を
1〜5モル%の範囲で変化させ、室温で浸漬時間48時
間でのイオン交換水の吸水量を調べた。その結果を図4
に示す。図4から、TRVBの配合割合の増加に伴って
吸水量も増加していることおよびTBVB、THVB、
TOVBを含む樹脂の順序であることが判る。
【0042】 様々な濃度の塩化ナトリウム水溶液お
よび架橋剤と樹脂の吸水量との関係 架橋剤MBAA2〜5モル%の配合割合の範囲におい
て、イオン交換水、0.009重量%、0.09重量%お
よび0.9重量%NaCl水溶液の場合の室温で浸漬時
間48時間での吸水量の変化を調べた。その結果を図5
〜図7に示す。アルキルベンジルホスホニウムハライド
(TRVB)としては、TBVB(図5)、THVB
(図6)およびTOVB(図7)を用いた。図5〜図7
の結果から、いずれも架橋剤MBAAの配合割合の増加
に伴って吸水量は低下し、また吸水量はイオン交換水が
一番高く、続いて0.009重量%、0.09重量%、
0.9重量%NaCl水溶液の順となっていることが判
る。
【0043】 様々な濃度の塩化ナトリウム水溶液お
よびアルキルベンジルホスホニウムハライドと樹脂の吸
水量との関係 アルキルベンジルホスホニウムハライド(TRVB)と
して、TBVB(図8)、THVB(図9)およびTO
VB(図10)の配合割合を1〜5モル%の範囲で変化
させ、室温で浸漬時間48時間での、0.009重量
%、0.09重量%および0.9重量%NaCl水溶液の
吸水量の変化を調べた。その結果を図8〜図10に示
す。図8〜図10から、TOVBを除き、吸水量は0.
009重量%NaCl水溶液が一番高く、次に0.09
重量%、0.9重量%NaCl水溶液の順となっている
ことが判る。
【0044】抗菌性高吸水性樹脂の抗菌活性の測定 サンプルとして、TOVBが1〜5モル%の配合割合の
抗菌性高吸水性樹脂および対照としてTOVBが0モル
%の高吸水性樹脂を用いた。グラム陰性菌の代表として
エシエリヒア・コリ(Escherichia coli)IFO3301を
本試験に用い、所定の菌数の菌懸濁液(イオン交換水お
よび0.9重量%NaCl水溶液)を調製した(60m
l)。この菌懸濁液にサンプルを0.025g加え、30
℃で6時間振盪し、残存生菌数を調べた。なお、残存生
菌数は、9mlの無菌水に菌懸濁液1mlを接種し10倍希
釈し(必要に応じて数段階希釈する)、中和剤を加え樹
脂の活性を不活化し、その菌懸濁液0.1mlを平面培地
に広げ、孵卵器に入れ、30℃で15〜24時間増殖さ
せた後、コロニー数を計測し、下記式により算出した。
【0045】
【数2】生菌数 = M×10x/0.1 式中、Mはコロニー数、xは希釈回数である。
【0046】実験の結果を図11に示す。図11から、
イオン交換水の場合、TOVBの配合割合の増加に伴っ
て抗菌活性も増加していることが判る。なお、NaCl
溶液の場合の抗菌活性は、イオン交換水の場合ほど高く
はなかった。
【0047】また、この実験結果から菌体除去係数を算
出した。菌体除去係数とは、次の式により算出される。
【0048】
【数3】菌体除去係数D(ml/g・h) = (V/Wt・
t) log (No/Nt) 式中、Vは菌懸濁液の容量(ml)、Wtは樹脂の乾燥重
量(g)、tは接触時間(h)、Noは初期生菌数(cel
l/ml)およびNtは規定時間接触した後の生菌数(cel
l/ml)をそれぞれ表す。
【0049】その結果を以下の表3に示す。
【0050】
【表3】 表 3 TOVBモル% 菌体除去係数D(ml/g・h) イオン交換水 0.9重量%NaCl水溶液 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1 572 92 2 380 50 3 1384 88 4 1508 96 5 2368 111
【0051】表3の結果から、TOVBを含む樹脂は、
その含量と共に抗菌性は向上すること、またその傾向は
イオン交換水中でとくに大きいことが判る。
【0052】次に、サンプルとしてTOVB:AAm:
MBAA=5:92:3モル%の乾燥樹脂および膨潤樹
脂を使用し、サンプルと菌懸濁液との接触時間を0〜2
4時間に設定したこと以外は、上記実験を繰り返し、抗
菌活性を調べた(イオン交換水)。対照として、TOV
B0モル%を使用した。その結果を図12に示す。図1
2から、本発明の抗菌性高吸水性樹脂は、菌懸濁液に乾
燥樹脂をそのまま加えても、また水で一度膨潤させた樹
脂を加えても抗菌能に差はあるものの、いずれも優れた
抗菌活性を有することが判る。
【0053】
【発明の効果】本発明によって、樹脂自体の機能とし
て、短時間の接触で優れた抗菌作用を示し、さらに抗菌
性物質の溶出が殆ど無い抗菌性高吸水性樹脂が提供され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】様々な温度と樹脂の吸水量との関係を示す図で
ある。
【図2】架橋剤の含量と樹脂の吸水量との関係を示す図
である。
【図3】架橋剤の含量と樹脂の吸水量との関係を示す図
である。
【図4】様々なアルキルベンジルホスホニウムハライド
の含量と吸水量との関係を示す図である。
【図5】様々な濃度の塩化ナトリウム水溶液および架橋
剤と樹脂の吸水量との関係を示す図である。
【図6】様々な濃度の塩化ナトリウム水溶液および架橋
剤と樹脂の吸水量との関係を示す図である。
【図7】様々な濃度の塩化ナトリウム水溶液および架橋
剤と樹脂の吸水量との関係を示す図である。
【図8】様々な濃度の塩化ナトリウム水溶液およびアル
キルベンジルホスホニウムハライドと樹脂の吸水量との
関係を示す図である。
【図9】様々な濃度の塩化ナトリウム水溶液およびアル
キルベンジルホスホニウムハライドと樹脂の吸水量との
関係を示す図である。
【図10】様々な濃度の塩化ナトリウム水溶液およびア
ルキルベンジルホスホニウムハライドと樹脂の吸水量と
の関係を示す図である。
【図11】本発明の抗菌性高吸水性樹脂の抗菌活性を示
す図である。
【図12】本発明の抗菌性高吸水性樹脂の抗菌活性を示
す図である。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式(1) 【化1】 (式中、R1、R2およびR3は同種または異種の炭素数
    1〜14のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表
    す)で示されるアルキルビニルベンジルホスホニウムハ
    ライドとアクリルアミドとを、架橋剤の存在下で架橋重
    合させて得られた抗菌性高吸水性樹脂。
  2. 【請求項2】 アルキルベンジルホスホニウムハライド
    が、トリエチルビニルベンジルホスホニウムクロライ
    ド、トリプロピルビニルベンジルホスホニウムクロライ
    ド、トリブチルビニルベンジルホスホニウムクロライ
    ド、トリヘキシルビニルベンジルホスホニウムクロライ
    ドおよびトリオクチルビニルベンジルホスホニウムクロ
    ライドからなる群から選択される少なくとも1種である
    請求項1に記載の抗菌性高吸水性樹脂。
  3. 【請求項3】 架橋剤が、メチレンビスアクリルアミド
    またはメチレンビスメタクリルアミドである請求項1ま
    たは2に記載の抗菌性高吸水性樹脂。
  4. 【請求項4】 アルキルビニルベンジルホスホニウムハ
    ライド:アクリルアミド:架橋剤の配合割合(モル%)
    が、それぞれ0.5〜10:90〜98:1〜5の範囲
    である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の抗菌性
    高吸水性樹脂。
  5. 【請求項5】 架橋重合体の含りん量がPとして0.1
    〜1.0ミリモル/gの範囲である請求項4に記載の抗菌
    性高吸水性樹脂。
  6. 【請求項6】 次の一般式(1) 【化2】 (式中、R1、R2およびR3は同種または異種の炭素数
    1〜14のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表
    す)で示されるアルキルビニルベンジルホスホニウムハ
    ライドおよびアクリルアミドをモノマー成分とし、架橋
    剤および触媒の存在下、溶媒中で該モノマー成分を共重
    合させることを特徴とする抗菌性高吸水性樹脂の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 アルキルベンジルホスホニウムハライド
    が、トリエチルビニルベンジルホスホニウムクロライ
    ド、トリプロピルビニルベンジルホスホニウムクロライ
    ド、トリブチルビニルベンジルホスホニウムクロライ
    ド、トリヘキシルビニルベンジルホスホニウムクロライ
    ドおよびトリオクチルビニルベンジルホスホニウムクロ
    ライドからなる群から選択される少なくとも1種である
    請求項6に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 架橋剤が、メチレンビスアクリルアミド
    またはメチレンビスメタクリルアミドである請求項6ま
    たは7に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 アルキルビニルベンジルホスホニウムハ
    ライド:アクリルアミド:架橋剤の配合割合(モル%)
    が、それぞれ0.5〜10:90〜98:1〜5の範囲
    である請求項6ないし8のいずれか1項に記載の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 架橋重合体の含りん量がPとして0.
    1〜1.0ミリモル/gの範囲である請求項9に記載の製
    造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1062714C (zh) * 1997-10-28 2001-03-07 中国石油化工集团公司 水不溶性聚季鏻盐型杀菌剂
CN1062712C (zh) * 1997-08-29 2001-03-07 中国石油化工总公司 一种水不溶性聚季鏻盐型杀菌剂及其制备
CN1062713C (zh) * 1997-08-29 2001-03-07 中国石油化工总公司 一种水不溶性聚季鏻盐型杀菌剂及其制备
US9299757B2 (en) 2014-03-17 2016-03-29 Samsung Display Co., Ltd. Display device and method of fabricating the same

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