JPH09120114A - 写真用支持体の製造方法 - Google Patents

写真用支持体の製造方法

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JPH09120114A
JPH09120114A JP27766295A JP27766295A JPH09120114A JP H09120114 A JPH09120114 A JP H09120114A JP 27766295 A JP27766295 A JP 27766295A JP 27766295 A JP27766295 A JP 27766295A JP H09120114 A JPH09120114 A JP H09120114A
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JP
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film
layer
polyester
weight
acid
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JP27766295A
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English (en)
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Takatoshi Yajima
孝敏 矢島
Toshiaki Shibue
俊明 渋江
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Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Publication date
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  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 巻ぐせ低減のための熱処理をロール状で実施
した場合の爪折れ状の面状故障の発生が軽減され、かつ
ポリエステルフィルムの表面が白く曇るという問題の改
良された写真用支持体の製造方法の提供。 【構成】 下引層及び/又はバック層を有するポリエス
テルフィルムからなる写真用支持体を製造するに際し
て、ポリエステルの未延伸シート又は一軸延伸フィルム
の表面に、下引層及び/又はバック層を塗設した後、二
軸延伸を完了し、続いて熱固定して、該ポリエステルを
フィルム状に形成し、更にTg−30℃以上Tg以下で
熱処理することを特徴とする写真用支持体の製造方法
(但しTgはポリエステルフィルムのガラス転移温度で
ある)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カメラの小型化を
可能とする写真用支持体の製造方法に関し、特に巻ぐせ
低減されたポリエステルフィルムからなる写真用支持体
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、写真感光材料への要求は多様化し
ており、特にカメラの小型化を目的として、写真感光材
料の薄膜化及び写真用カートリッジの巻芯の小径化の要
求がある。このために写真感光材料用の支持体として
は、優れた機械的強度、寸法安定性、更に巻ぐせが付き
にくいなどの性質が要求されている。
【0003】これらの要求に対して、従来から使われて
きたトリアセチルセルロースフィルム(以下TACフィ
ルム)に代わって、公開技報94−6023号には巻ぐ
せ低減のためにガラス転移温度(以下Tg)以下で熱処
理されたポリエチレンナフタレンジカルボキシレートフ
ィルム(以下PENフィルム)が提案されている。
【0004】巻ぐせ低減のための熱処理は、ウェブ状で
搬送しながら実施した場合、長大な熱処理工程を必要と
するため現実的ではない。このためロール状で実施でき
る方法が望まれていた。ところで、巻ぐせ低減のための
熱処理を行うには、公開技報94−6023に記載され
ているように、次ぎの方法がある。
【0005】(1)素ベース→熱処理→表面処理(両
面)→下塗及び/又はバック層塗設 (2)素ベース→表面処理(両面)→熱処理→下塗及び
/又はバック層塗設 (3)素ベース→表面処理(両面)→下塗及び/又はバ
ック層塗設→熱処理 (4)素ベース→表面処理(両面)→バック層(又は下
塗層)塗設→熱処理→下塗層(又はバック層)塗設 素ベースとは表面処理・熱処理及び下塗・バック層塗設
を施していない二軸延伸、熱固定されたポリエステルフ
ィルムのことである。表面処理とはグロー放電、紫外線
照射処理、コロナ処理、火炎処理などの表面活性化処理
のことで、下塗層やバック層との接着の向上を達成する
ことである。下塗層とは、写真乳剤層との接着の向上を
達成するための層である。バック層は帯電防止層、耐傷
性付与層、滑り層、耐くっつき防止層、カール防止層、
透明磁気記録層などである。尚、上記下塗(層)は、下
引(層)とも呼ばれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】(1)の方法は、素ベ
ースの表面は非常に平滑で滑らないため、熱処理時の熱
収縮応力による巻締まりによってポリエステルフィルム
同志が強く密着して変形し爪折れ状の面状故障が多数発
生するという問題がある。
【0007】(2)の方法は、表面処理により素ベース
の表面の滑り性は殆ど変化しないため、やはりポリエス
テルフィルム同志が強く密着して変形し爪折れ状の面状
故障が多数発生するという問題がある。
【0008】(3)や(4)の方法は、素ベースの表面
の滑り性が、マット剤やワックス、活性剤などによる滑
り層の付与により大幅に改良できる可能性があり、上記
のような問題を軽減でき、熱処理が実施できると考えら
れた。ところが、この方法では、熱処理の後のポリエス
テルフィルムの表面が白く曇るという問題があることが
分かり、このままでは実用化ができない状況であった。
【0009】従って、本発明の目的は、巻ぐせ低減のた
めの熱処理をロール状で実施した場合の爪折れ状の面状
故障の発生が軽減され、かつポリエステルフィルムの表
面が白く曇るという問題が改良された写真用支持体の製
造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以
下の構成により達成される。
【0011】1.下引層及び/又はバック層を有するポ
リエステルフィルムからなる写真用支持体を製造するに
際して、ポリエステルの未延伸シート又は一軸延伸フィ
ルムの表面に、下引層及び/又はバック層を塗設した
後、二軸延伸を完了し、続いて熱固定して、該ポリエス
テルをフィルム状に形成し、更にTg−30℃以上Tg
以下で熱処理することを特徴とする写真用支持体の製造
方法(但しTgはポリエステルフィルムのガラス転移温
度である)。
【0012】2.前記下引層及び/又はバック層が、ビ
ニルポリマーラテックス又は水溶性コポリエステルを塗
布乾燥することにより形成されたことを特徴とする前記
1に記載の写真用支持体の製造方法。
【0013】3.前記ポリエステルフィルムがポリエチ
レン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを70重
量%以上含有していることを特徴とする前記1又は前記
2に記載の写真用支持体の製造方法。
【0014】素ベース→表面処理(両面)→下塗及び/
又はバック層塗設→熱処理、又は素ベース→表面処理
(両面)→バック層(又は下塗層)塗設→熱処理→下塗
層(又はバック層)塗設の熱処理方法で、ポリエステル
フィルムの表面が白く曇るという問題の発生した理由
は、ポリエステルフィルム中の副生成物や分解物などの
低分子量物質が熱固定時にポリエステルフィルム表面か
ら揮散し一部はポリエステルフィルム表面に付着する。
この後下塗層やバック層を塗設すると、これらの層中に
低分子量物質が移行し、更に巻ぐせ低減のための熱処理
で下塗層やバック層表面に析出したものと考えた。本方
法でポリエステルフィルムの表面が白く曇るという問題
が改良される理由は、その詳細は不明であるが、熱固定
前に下塗層やバック層を塗設することでバリアー効果が
生じポリエステルフィルム表面から低分子量物質の揮散
が防止できた結果ではないかと推定される。
【0015】以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムを
構成するポリエステルは、特に限定されるものではない
が、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分
とするフィルム形成性を有するポリエステルであること
が好ましい。
【0017】主要な構成成分のジカルボン酸成分として
は、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−
ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボ
ン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエ
ーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、
シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン
酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニル
ケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸な
どを挙げることができる。また、ジオール成分として
は、エチレングリコール、プロピレングリコール、テト
ラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロ
パン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス
フェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジ
エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイド
ロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることが
できる。
【0018】これらを主要な構成成分とするポリエステ
ルの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの点か
ら、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸及び/又は
2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分とし
て、エチレングリコール及び/又は1,4−シクロヘキ
サンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステル
が好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレート又は
ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート
を主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸
と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコー
ルからなる共重合ポリエステル、及びこれらのポリエス
テルの二種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエ
ステルが好ましい。ポリエステルに対してポリエチレン
−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが70重量%
以上含有していると、透明性、機械的強度、寸法安定性
などに高度に優れたフィルムが得られる。
【0019】ポリエチレンテレフタレートを主構成成分
とするフィルムに比べポリエチレン−2,6−ナフタレ
ンジカルボキシレートを主構成成分とするフィルムの方
が機械的強度や耐熱性に優れていることは良く知られて
いる。一方、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカル
ボキシレートを主構成成分とするフィルムには、蛍光を
発光する性質や樹脂の価格が高いなどの不利な面もあ
る。従って、使用される目的に応じて、通常はポリエチ
レンテレフタレートを主構成成分とするフィルムを使用
し、特に高度に薄膜化が必要な場合や高い温度で酷使さ
れるような場合はポリエチレン−2,6−ナフタレンジ
カルボキシレートを主構成成分とするフィルムを使用す
れば良い。更に両者を混合することによりお互いの欠点
を補うこともできる。
【0020】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムを
構成するポリエステルは、本発明の効果を阻害しない範
囲であれば、更に他の共重合成分が共重合されていても
良いし、他のポリエステルが混合されていても良い。こ
れらの例としては、先に挙げたジカルボン酸成分やジオ
ール成分、又はそれらから成るポリエステルを挙げるこ
とができる。
【0021】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムを
構成するポリエステルには、フィルムのデラミネーショ
ンを起こし難くするため、スルホネート基を有する芳香
族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体、ポリオ
キシアルキレン基を有するジカルボン酸又はそのエステ
ル形成性誘導体、ポリオキシアルキレン基を有するジオ
ールなどを共重合してもよい。中でもポリエステルの重
合反応性やフィルムの透明性の点で、5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル
酸、4−ナトリウムスルホフタル酸、4−ナトリウムス
ルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸及びこれらのナ
トリウムを他の金属、(例えばカリウム、リチウムな
ど)やアンモニウム塩、ホスホニウム塩などで置換した
化合物又はそのエステル形成性誘導体、ポリエチレング
リコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体及び
これらの両端のヒドロキシ基を酸化するなどしてカルボ
キシル基とした化合物などが好ましい。この目的で共重
合される割合としては、ポリエステルを構成する二官能
性ジカルボン酸を基準として、0.1〜10モル%が好
ましい。
【0022】また、フィルムの耐熱性を向上する目的で
は、ビスフェノール系化合物、ナフタレン環又はシクロ
ヘキサン環を有する化合物を共重合することができる。
これらの共重合割合としては、ポリエステルを構成する
二官能性ジカルボン酸を基準として、1〜20モル%が
好ましい。
【0023】本発明に用いられるポリエステルには、ラ
イトパイピング現象を防止する目的で、染料を含有させ
ることが好ましい。このような目的で配合される染料と
しては、その種類に特に限定があるわけではないが、フ
ィルムの製造上、耐熱性に優れていることが必要であ
り、アンスラキノン系やペリノン系の染料が挙げられ
る。また、色調としては、一般の写真感光材料に見られ
るようにグレー染色が好ましい。これらの染料として
は、Bayer社製のMACROLEXシリーズ、住友
化学株式会社製のSUMIPLASTシリーズ、三菱化
成株式会社製のDiaresinシリーズなどの中から
一種単独で、もしくは二種以上の染料を必要な色調とな
るように混合して用いることができる。この際、フィル
ムの分光透過率を400〜700nmの波長範囲で50
%以上85%以下とするように染料を用いることが、ラ
イトパイピング現象を防止し、かつ良好な写真プリント
を得る上で好ましい。
【0024】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムに
は、必要に応じて易滑性を付与することもできる。易滑
性付与手段としては、特に限定はないが、ポリエステル
に不活性無機粒子を添加する外部粒子添加方法、ポリエ
ステルの合成時に添加する触媒を析出させる内部粒子析
出方法、或いは界面活性剤などをフィルム表面に塗布す
る方法などが一般的である。これらの中でも、析出する
粒子を比較的小さくコントロールできる内部粒子析出方
法が、フィルムの透明性を損なうことなく易滑性を付与
できるので好ましい。触媒としては、公知の各種触媒が
使用できるが、特にCa、Mnを使用すると高い透明性
が得られるので好ましい。これらの触媒は一種でも良い
し、二種以上を併用しても良い。
【0025】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムは
異種のポリエステルからなる多層構成であっても良い。
例えば、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ
ートユニットを主構成成分とするポリエステルからなる
層をA層、他のポリエステルからなる層をB層或いはC
層とした場合、A層とB層とからなる二層構成でも良い
し、A層/B層/A層、A層/B層/C層、B層/A層
/B層又はB層/A層/C層などの三層構成でも良い。
更に四層以上の構成であってもかまわない。A層の厚み
は、ポリエステルフィルムの全体の厚みに対し、30%
以上の厚みであることが好ましく、更に50%以上の厚
みであることが好ましい。B層或いはC層を構成するポ
リエステルとして、透明性、機械的強度、寸法安定性な
どの優れたポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレンジカルボキシレート或いは他のホモポリエス
テル、或いは他の共重合ポリエステルを用いることで、
A層単独では得られない、その他のポリマーの特性を付
与することができる。
【0026】更に、本発明の二軸延伸ポリエステルフィ
ルムが多層構成を有する場合は、上記のライトパイピン
グ防止、易滑性などの機能付与、又は紫外線吸収剤など
の上記以外の各種添加剤は、表面層のみに添加すればよ
いので、フィルムの透明性を高く維持できる。
【0027】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの
原料のポリエステルの合成方法は、特に限定があるわけ
ではなく、従来公知のポリエステルの製造方法に従って
製造できる。例えば、ジカルボン酸成分をジオール成分
と直接エステル化反応させる直接エステル化法、初めに
ジカルボン酸成分としてジアルキルエステルを用いて、
これとジオール成分とでエステル交換反応させ、これを
減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去することに
より重合させるエステル交換法を用いることができる。
この際、必要に応じてエステル交換触媒或いは重合反応
触媒を用い、或いは耐熱安定剤を添加することができ
る。また、合成時の各過程で着色防止剤、酸化防止剤、
結晶核剤、すべり剤、安定剤、ブロッキング防止剤、紫
外線吸収剤、粘度調節剤、消泡剤、透明化剤、帯電防止
剤、pH調整剤、染料、顔料などを添加させてもよい。
【0028】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルム
は、下記の方法で求めたフィルムの巻ぐせカールが11
0m-1以下であることが好ましい。フィルムの巻ぐせカ
ールがあまり大きいと、写真感光材料の現像処理工程
で、プレスプライス工程の搬送性や仕分け作業時の作業
性が劣る。また、巻ぐせカールは適度にある方が、フィ
ルムカートリッジからフィルム先端部を出させるのが容
易となり、いわゆるベロ出し性に優れるので好ましい。
従って、フィルムの巻ぐせカールのより好ましい範囲は
5〜90m-1である。
【0029】<巻ぐせカール>巾35mm、長さ120
0mmの寸法の写真感光材料を、23℃、55%RHの
条件下で1日調湿した後、その写真感光層側を内側にし
て直径7mmの巻き芯に巻き付け戻らないように固定す
る。次いで、このフィルムをポリエチレン製のパトロー
ネケースに入れ、50℃、20%RHの条件下で4時間
加熱処理し、更に23℃、55%RHの条件下で1時間
放冷する。その後フィルムを巻き芯から解放し、フィル
ムの巻きの外側の端を上にしてクリップでつまみ、ぶら
さげる。この状態で更に、23℃、55%RHの条件下
で1時間放置する。こうした後、フィルムの下端の巻ぐ
せカールの程度を曲率半径の逆数で求める。単位はm-1
である。
【0030】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの
厚みは特に限定がある訳ではない。その使用目的に応じ
て必要な強度を有する様に設定すればよい。特にフィル
ムがカラーネガやリバーサルなどに代表される撮影用ロ
ール状写真感光材料に用いられる場合は、20〜125
μm、特に40〜90μmであることが好ましい。ま
た、医用や印刷用写真フィルムに用いられる場合は、5
0〜200μm、特に60〜150μmであることが好
ましい。この範囲より薄いと、必要な強度が得られない
場合があり、厚いと従来の写真感光材料用支持体に対し
ての優位性がなくなってしまう。
【0031】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムに
は、巾方向のカール(いわゆるアンチカール)を付与す
ることが、写真印画紙への焼付け工程で、すり傷の発生
やピントのぼけなどの問題がない写真感光材料を得る上
で好ましい。なお、フィルムのカールの凸側に写真感光
層を設け、かつその面を内側にして巻いた場合にその効
果が発揮される。
【0032】この様な目的でフィルムに付与するカール
の程度は、設ける写真感光層の厚み、弾性率、吸湿膨張
係数などにより変化するので一概に決められないが、写
真感光材料としたときに写真感光層側が凸にならない範
囲でできるだけフラットになるように付与すればよく、
通常、23℃、20%RHの条件下で5m-1〜50m-1
である。なお、カールの程度は、以下の様にして求めた
値である。
【0033】<巾方向のカール度>フィルムから巾35
mm、長さ2mmの寸法に切出した試験片を、23℃、
20%RHの条件下で1日調湿した後、サンプルの巾方
向のカールの曲率半径をメートルで求め、その逆数で巾
方向のカール度を表す。単位はm-1である。
【0034】フィルムに巾方向のカールを付与する方法
は、特に限定があるわけではなく、例えば、吸湿膨張係
数の異なる層を積層する方法、共重合成分や主構成成分
の異なるポリエステルを積層する方法、固有粘度の異な
る同種又は異種のポリエステルを積層する方法、更に三
層構成とし、両外層の厚みを変化させる方法、表裏の延
伸条件や熱固定条件を変化させフィルムの厚み方向で分
子配向や結晶化度の分布を持たせる方法などが挙げられ
る。また、レゾルシンなどで薬液処理する方法なども挙
げられる。
【0035】また、本発明の二軸延伸ポリエステルフィ
ルムは、ヘーズが3%以下であることが好ましい。更に
好ましくは1%以下0.1%以上である。ヘーズが3%
より大きいとフィルムを写真感光材料用支持体として用
いた場合、写真用印画紙に焼付けた画像がぼけてしまい
不鮮明になる。ヘーズがあまり小さすぎるとフィルムの
取扱い性が著しく悪くなる。上記ヘーズは、ASTM−
D1003−52に従って測定したものである。
【0036】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの
Tgは、60℃以上が好ましく、更に70℃以上が好ま
しい。Tgは示差走査熱量計で測定するところのベース
ラインが偏奇し始める温度と、新たにベースラインに戻
る温度との平均値として求められる。Tgがこの値以上
であると、現像処理機の乾燥工程でのフィルムが変形が
ない感光材料が得られる。
【0037】次に、本発明の二軸延伸ポリエステルフィ
ルムの製造方法について説明する。未延伸シートを得る
方法及び縦方向に一軸延伸する方法は、従来公知の方法
で行うことができる。例えば、原料のポリエステルをペ
レット状に成型し、熱風乾燥又は真空乾燥した後、溶融
押出し、Tダイよりシート状に押出して、静電印加法な
どにより冷却ドラムに密着させ、冷却固化させ、未延伸
シートを得る。次いで、得られた未延伸シートを複数の
ロール群及び/又は赤外線ヒーターなどの加熱装置を介
してポリエステルのガラス転移温度(Tg)からTg+
100℃の範囲内に加熱し、一段又は多段縦延伸する方
法である。延伸倍率は、通常2.5倍〜6倍の範囲で、
続く横延伸が可能な範囲とする必要がある。シートが多
層構成の場合の延伸温度の設定は各構成層のポリエステ
ルのTgのなかで最も高いTgを基準にすることが好ま
しい。
【0038】この際、ポリエステルを積層する場合も、
従来公知の方法でよい。例えば、複数の押出機及びフィ
ードブロック式ダイ或いはマルチマニフォールド式ダイ
による共押出法、積層体を構成する単層フィルム又は積
層フィルム上に積層体を構成するその他の樹脂を押出機
から溶融押出し、冷却ドラム上で冷却固化させる押出ラ
ミネート法、積層体を構成する単層フィルム又は積層フ
ィルムを必要に応じてアンカー剤や接着剤を介して積層
するドライラミネート法などが挙げられる。中でも、製
造工程が少なくてすみ、各層間の接着性が良好な共押出
法が好ましい。
【0039】次に、上記の様にして得られた縦方向に一
軸延伸されたポリエステルフィルムを、Tg〜Tm−2
0℃の温度範囲内で、横延伸し、次いで熱固定する。横
延伸倍率は通常3〜6倍であり、また、縦、横延伸倍率
の比は、得られた二軸延伸フィルムの物性を測定し、好
ましい特性を有するように適宜調整する。本発明の場
合、巾方向の弾性率が長手方向の弾性率より大きくなる
ようにすることが好ましい。使用目的に応じて変化させ
ても良い。この時、2つ以上に分割された延伸領域で温
度差を1〜50℃の範囲で順次昇温しながら横延伸する
と巾方向の物性の分布が低減でき好ましい。更に横延伸
後、フィルムを、その最終横延伸温度以下でTg−40
℃以上の範囲に0.01〜5分間保持すると巾方向の物
性の分布が更に低減でき好ましい。
【0040】熱固定は、その最終横延伸温度より高温
で、Tm−20℃以下の温度範囲内で通常0.5〜30
0秒間熱固定する。この際、2つ以上に分割された領域
で温度差を1〜100℃の範囲で順次昇温しながら熱固
定することが好ましい。
【0041】熱固定されたフィルムは通常Tg以下まで
冷却され、フィルム両端のクリップ把持部分をカットし
ロール状に巻き取られる。この際、最終熱固定温度以
下、Tg以上の温度範囲内で、巾方向及び/又は長手方
向に0.1〜10%弛緩処理することが好ましい。ま
た、冷却は、最終熱固定温度から室温までを毎秒1℃以
上100℃以下の冷却速度で徐冷することが寸法安定性
の点で好ましい。特に、Tg+50℃からTgまでを、
毎秒1℃以上100℃以下の冷却速度で徐冷することが
好ましい。冷却、弛緩処理する手段は特に限定はなく、
従来公知の手段で行えるが、特に複数の温度領域で順次
冷却しながら、これらの処理を行うことが、フィルムの
寸法安定性向上の点で好ましい。なお、冷却速度は、最
終熱固定温度をT1 ,フィルムが最終熱固定温度からT
gに達するまでの時間をtとしたとき、(T1 −Tg)
/tで求めた値である。これら熱固定条件、冷却、弛緩
処理条件のより最適な条件は、フィルムを構成するポリ
エステルにより異なるので、得られた二軸延伸フィルム
の物性を測定し、好ましい特性を有するように適宜調整
することにより決定すればよい。
【0042】また、上記フィルム製造に際し、ポリエス
テルフィルムの強度を向上させる目的で、多段縦延伸、
再縦延伸、再縦横延伸、横・縦延伸など公知の延伸フィ
ルムに用いられる延伸を行ってもよい。
【0043】本発明では、上記二軸延伸が完了するまで
に、ポリエステルの未延伸シート又は一軸延伸フィルム
表面に、下引層及び/又はバック層を1層以上塗設する
ことに特徴がある。
【0044】下引層及び/又はバック層は、ポリエステ
ルの未延伸シート又は一軸延伸フィルム表面の片面、好
ましくは両面に塗設する。特に一軸延伸フィルム表面に
塗設すると続くテンター式横延伸機で乾燥機を兼ねられ
るので好ましい。
【0045】下引層及びバック層に用いることのできる
素材は特に限定されないが、例えばバインダーとして
は、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、メタク
リル酸、アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸を出
発原料とする共重合体を始めとして、ポリエチレンイミ
ン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、エポ
キシ樹脂、グラフト化ゼラチン、ニトロセルロースなど
やこれらの混合物などを挙げることができる。特に塩化
ビニリデン、ブタジエン、メタクリル酸、アクリル酸、
イタコン酸、無水マレイン酸を出発原料とする共重合体
やポリエステルが好ましい。
【0046】これら下引層及びバック層中には界面活性
剤、帯電防止剤、アンチハレーション剤、クロスオーバ
ーカット剤、着色染料、顔料、増粘剤、塗布助剤、カブ
リ防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、
エッチング処理剤、磁性粉、マット剤などの各種添加剤
を一種又は二種以上含有していてもよい。
【0047】下引層及びバック層を塗設する方法は特に
限定はなく、従来から知られている各種の方法を用いる
ことができる。例えば上記の素材を適当な溶媒に溶かし
た溶液或いは分散液とし、エアーナイフコーター、ディ
ップコーター、カーテンコーター、ワイヤーバーコータ
ー、グラビアコーター、エクストルージョンコーターな
どを用いてフィルム表面に塗布し、乾燥する方法が挙げ
られる。この際、必要に応じてコロナ放電処理、紫外線
処理、グロー放電処理、プラズマ処理、火炎処理などの
表面活性化処理する方法やレゾルシン処理、フェノール
類処理、アルカリ処理、アミン処理、トリクロル酢酸処
理などのエッチング処理する方法を用いても良い。もち
ろんこれらの処理を組合せてもよい。中でもコロナ放電
処理が好ましく用いられる。また、作業環境の点から塗
布液は水分散液(ポリマーラテックス)或いは水溶液で
あることが好ましい。
【0048】ポリマーラテックスは通常のラテックス重
合法によって容易に作ることが出来る。
【0049】(合成例) P−1の合成 1リットルの4つ口フラスコに撹拌器、温度計、滴下ロ
ート、窒素導入管、還流冷却器を施し、窒素ガスを導入
し、脱酸素を行いつつ、蒸留水350mlを加えて内温
が80℃となるまで加熱した。下記化7の分散剤を4.
5g添加し、更に重合開始剤として過硫酸アンモニウム
0.45gを添加し、次いでブチルアクリレート120
g、スチレン60g、グリシジルメタクリレート120
gの混合モノマーを1時間かけてゆっくりと滴下し、8
時間撹拌を続けてた後、反応させ乳白色のラテックスコ
ポリマーを得た。これを水蒸気蒸留で未反応のモノマー
を除去する。その後冷却しアンモニア水でpH6に調整
しビニルコポリマーラテックスP−1を得た。
【0050】本発明に有用なビニルコポリマーの例を下
記に示したが、これらに限定されるものではない。これ
らP−2〜P−12のコポリマーラテックスはP−1と
同様に合成し得たものである。
【0051】
【化1】
【0052】
【化2】
【0053】
【化3】
【0054】水溶性の例としては水性コポリエステルが
あり、水性コポリエステルは主構成成分、親水性構成成
分とその他の変性成分とからなっている。
【0055】該水性コポリエステルの主構成成分として
はテレフタル酸又はナフタレンジカルボン酸とエチレン
グリコールとからなるポリエステル部分であり、全コポ
リエステルに対して40モル%以上は必要で、好ましく
は50〜85モル%である。
【0056】該水性コポリエステルの親水性構成成分と
してはカルボン酸又はスルホン酸等の官能基を側鎖に有
する芳香族ジカルボン酸とグリコールとからなる親水性
コポリエステル部分であり、全コポリエステルに対して
5〜35モル%含まれるのが好ましく、更に7〜30モ
ル%、特に10〜25モル%あるのが好ましい。官能基
を有する芳香族ジカルボン酸としては、5−ナトリウム
スルホイソフタル酸、2−ナトリウムスルホイソフタル
酸、4−ナトリウムスルホイソフタル酸、4−ナトリウ
ムスルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸等を挙げる
ことが出来る。中でも金属塩スルホイソフタル酸が好ま
しく、金属イオンはナトリウム、カリウム、リチウム、
セシウム等のアルカリ金属で、ナトリウムが好ましい。
【0057】該水性コポリエステルの親水性構成成分と
しては官能基が主鎖に有するポリアルキレングリコール
とジカルボン酸とからなる親水性コポリエステル部分で
あり、全コポリエステルに対して3〜20重量%含まれ
ることが好ましく、特に4〜15重量%あれば好まし
い。ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレン
グリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ−コ−エ
チレングリコール−コ−プロピレングリコールが挙げら
れるが、ポリエチレングリコールが好ましい。ポリエチ
レングリコールの数平均分子量は特に限定されないが、
好ましくは10〜10,000で、より好ましくは20
〜8,000、特に好ましくは30〜3,000であ
る。
【0058】該水性コポリエステルのその他の変性構成
成分としての酸成分とグリコール成分を、下記に示す
が、これらに限定されるものではない。
【0059】ジカルボン酸としては、テレフタル酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸、他のナフタレンジカ
ルボン酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、アジ
ピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバ
チン酸等の脂肪族ジカルボン酸、ポリエチレンオキシド
ジカルボン酸、ポリプロピレンオキシドジカルボン酸等
のポリエーテルジカルボン酸等が挙げられるが、アジピ
ン酸、スベリン酸、アゼライン酸が好ましく、特にアジ
ピン酸が好ましく用いられる。脂肪族ジカルボン酸のポ
リエステル全重量に対して3〜10重量%がよく、好ま
しくは4〜8重量%であるが、ポリアルキレングリコー
ルとこの脂肪族ジカルボン酸とを共に用いる場合には、
合わせて3〜20重量%が好ましく、特に4〜15重量
%が好ましい。これらのジカルボン酸はカルボン酸のま
ま、或いはジメチルエステル、炭素数1〜8のジハーフ
エステルの形でエステル化反応或いは重合反応に用いる
ことが出来るが、エステルの場合、ジメチルエステル、
ジエチレングリコールハーフエステルが好ましい。
【0060】グリコールとしては、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペン
チルグリコール、p−キシリデングリコール、1,4−
シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、
トリエチレングリコール等を挙げることが出来る。
【0061】本発明に係わる水性コポリエステル樹脂の
固有粘度は0.30〜0.85が好ましく、下引性能か
ら特に0.40〜0.60が好ましい。
【0062】水性コポリエステル樹脂の合成は、従来公
知のポリエステルの製造法に従って行うことが出来、ま
た、前記変性ポリエステルの項で述べたエステル化及び
重合法をそのまま応用出来、触媒、添加剤等についても
同様であり、ここでは省略する。水性コポリエステル樹
脂の具体的な合成方法は米国特許第4,217,441
号、特開平5−210199号に記載されており、これ
らの方法によって本発明に有用なコポリエステル樹脂は
合成され得る。
【0063】水性コポリエステルの合成例を以下に示
す。
【0064】(CP−1の合成)テレフタル酸ジメチル
エステル38.74重量部、イソフタル酸ジメチルエス
テル31.95重量部、ナトリウム−5−スルホイソフ
タル酸ジメチルエステル10.34重量部、エチレング
リコール54.48重量部を混合し、酢酸カルシウム一
水塩0.073重量部及び酢酸マンガン0.024重量
部を添加し、窒素気流下において170〜220℃でメ
タノールを留去しながらエステル交換反応を行った後、
リン酸トリメチル0.05重量部、重合触媒として三酸
化アンチモン0.04重量部及び1,4−シクロヘキシ
ルジカルボン酸17.17重量部を加え220〜235
℃の反応温度でほぼ理論量の水を留去してエステル化を
行った。その後更に反応系内を減圧、昇温し、最終的に
280℃、0.2mmHgで2時間重縮合を行った。得
られたコポリエステル樹脂CP−1の固有粘度(前記同
様)は0.45であった。得られた水性コポリエステル
は帯電防止組成物に使用するため95℃の熱水中で3時
間撹拌し30%の水溶液とした。
【0065】(CP−2の合成)テレフタル酸83重量
部、イソフタル酸41.5重量部、エチレングリコール
77重量部に酢酸カルシウム一水和物0.1重量部を添
加し、常法によりエステル化反応を行った。得られた生
成物に5−ナトリウムスルホジ(β−ヒドロキシエチ
ル)イソフタル酸55重量部をエチレングリコール溶液
(濃度35重量%)として加え、ポリエチレングリコー
ル(平均重合度2,000)13重量部、三酸化アンチ
モン0.05重量部、テトラメチルアンモニウムハイド
ロオキサイド0.15重量部,リン酸トリメチルエステ
ル0.13重量部を添加した。次いで徐々に255℃に
昇温、減圧して行き、280℃、0.2mmHgで1.
5時間重合を行い、冷却して、固有粘度0.52を有す
るコポリエステル樹脂CP−2を得た。得られた水性コ
ポリエステルを帯電防止組成物に使用するため95℃の
熱水中で3時間撹拌し30重量%の水溶液とした。
【0066】(CP−3の合成)テレフタル酸95重量
部、イソフタル酸20重量部、エチレングリコール90
重量部に酢酸亜鉛二水塩0.1重量部を添加し、定法に
よりエステル化反応を行った。得られた生成物に5−ナ
トリウムスルホジ(β−ヒドロキシエチル)イソフタル
酸45重量部とアジピン酸8重量部をエチレングリコー
ル溶液を濃度35重量%として加え、三酸化アンチモン
0.07重量部、リン酸トリメチルエステル0.13重
量部を添加した。次いで窒素気流下徐々に255℃に昇
温、減圧して行き、エチレングリコールを流出させ、2
85℃、0.7mmHgで重合を行い、固有粘度0.5
0を有するコポリエステル樹脂CP−3を得た。得られ
た水性コポリエステルを帯電防止組成物に使用するため
95℃の熱水中で3.5時間撹拌し30重量%の水分散
液とした。
【0067】また塩化ビニリデンを含むポリマーラテッ
クスとしては、市販の塩化ビニリデンラテックスが好適
に使用できる。例えば、クレハロンラテックス DOA
X−1、クレハロンラテックス DOAX−2、サラン
ラテックス L−302、サランラテックス L−50
2、を例示することができる。これ等の塩化ビニリデン
ラテックスは、塩化ビニリデンを主成分とする共重合体
であり、塩化ビニリデンの割合が共重合体に対して、4
5〜99.5%であることがポリエステルフィルムとの
接着力が優れるので好ましい。
【0068】下引層及びバック層は一層又は二層以上か
ら構成されていてもよく、更に、帯電防止層、易滑性
層、バリアー層、アンチハレーション層、クロスオーバ
ーカット層、紫外線吸収層、磁気記録層、透明磁気記録
層などが含まれていても良い。
【0069】こうして下引層及び/又はバック層が塗設
された二軸延伸及び熱固定されたポリエステルフィルム
は、エッジ部分が切除されロール状に巻き取られる。
ポリエステルフィルムをロール状に巻き取るに際して
は、そのポリエステルフィルムの幅方向の両端部を嵩高
くし、ポリエステルフィルムの表裏が接触しにくくする
ためにエンボス加工を行うことが好ましい。エンボス加
工は、通常、金属やゴムなどのバックロール上でポリエ
ステルフィルムに刻印の刻まれたエンボスリングを押し
当てることで、加工できる。加工は常温でも可能である
が、Tg+20℃以上、融点(Tm)+30℃以下で加
工することにより、エンボスの嵩高さの耐熱性が向上す
るので好ましい。
【0070】エンボス加工する位置は、フィルムを巻き
取る際にフィルム同志が強く密着するのを防止できれば
よいので少なくともフィルムの両端に加工すればよい
が、フィルム巾が広い場合は、必要に応じて中央部分に
も加工することが好ましい。フィルム巾方向に50cm
から2mの間隔でエンボス加工することでフィルム同志
が強く密着するのを防止できる。
【0071】エンボスの幅は、5mm以上50mm以下
が好ましい。一ヶ所に加工するエンボスの条数は、一条
でも二条でもそれ以上であってもかまわない。エンボス
の嵩高さは、通常5〜100μmが好ましく、更に好ま
しくは6〜30μmである。低すぎるとフィルム同志の
密着を防止できない場合があり、高すぎるとフィルム端
部が変形する場合がある。個々のエンボスの嵩高さの差
は通常10μm以内が巻きずれを防止することができる
ので好ましい。
【0072】この後、必要に応じて、下引層の第二層目
以上及び/又はバック層の第二層目以上を塗設してもよ
い。これら用いられる素材やバインダー、塗布方法、添
加剤などは、前述のものが挙げられる。
【0073】以上のようにして得られたポリエステルフ
ィルムは、まだ巻ぐせが付きやすい性質なので、更にポ
リエステルフィルムを、そのTg以下、Tg−30℃以
上の温度で熱処理を行う。処理温度は高いほど短時間で
巻ぐせカールの低減効果が得られるが、あまり高温で
は、フィルムのシワや押されや折れが発生しやすくなる
場合がある。処理温度が低いときは長い処理時間が必要
となるが、低すぎると十分な巻ぐせカールの低減効果が
得られなくなる。処理時間は、特に限定はないが、0.
1時間以上から巻ぐせカールの低減効果が認められ、長
時間にするほど高い効果が得られるので所望の効果が得
られるように適宜設定することができるが、あまり長い
と生産性に劣るので通常1500時間までが現実的であ
る。好ましくは0.5時間以上200時間以内である。
【0074】巻芯としては、特に限定はされないが、熱
処理温度やポリエステルフィルムロールの重量に耐える
ことが必要であり、アルミ、ステンレス、真鍮、銅、
鉄、ジュラルミン、チタンなどの金属製の巻芯、3Al
23−2SiO2,BaTiO3,ZrO2などのセラミ
ック製の巻芯、ガラス繊維、カーボン繊維、ボロン繊
維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、綿、紙などにフ
ェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ポ
リイミド樹脂、ナイロン樹脂、飽和ポリエステル樹脂、
ポリアクリル樹脂、ポリメタクリル樹脂、フッ素樹脂、
不飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロ
ピレン樹脂、セルロースエステル樹脂、ゴム、酢酸ビニ
ル、塩化ビニル及びこれらの共重合体やブレンド物を含
浸させた繊維強化樹脂製の巻芯などが挙げられる。中で
もガラス繊維又はポリエステル繊維などで強化された繊
維強化樹脂製の巻芯が好ましい。
【0075】尚、巻芯の表面は平滑なほどよく、表面粗
さ(RMAX)で2.0μm以下が好ましい。これらの例
としては上記の巻芯の表面を研磨したものが挙げられ
る。巻芯の直径は、あまり小さすぎると巻芯部にしわな
どが発生しやすく、大きすぎると設備が大型になり過ぎ
るので、通常75mm以上1000mm以内、更に15
0mm以上1000mm以内が好ましい。勿論断面は真
円で偏芯が少ないほど好ましい。
【0076】熱処理に必要な時間は、Tg−30℃以上
Tg以下の温度に0.1時間〜1500時間、好ましく
は0.5時間以上200時間保持する。この時間には、
昇温及び冷却に要する時間は含まれていない。昇温及び
冷却は、ロール内部の温度分布の均一化のために可能な
限りゆっくり行うことが好ましい。通常24時間以上1
68時間以内の時間を掛けて室温からTg−30℃以上
Tg以下の温度まで昇温し、24時間以上168時間以
内の時間を掛けてTg−30℃以上Tg以下の温度から
室温まで冷却するのが好ましい。
【0077】また、ポリエステルフィルムをロール状で
熱処理する場合、フィルムの自重のため、ロールの上部
に当たるフィルムの変形が強くなる場合がある。これを
防止するには熱処理中にロールを連続で、又は断続的に
回転させることが好ましい。
【0078】次に、写真感光材料を形成する方法につい
て説明する。
【0079】写真感光材料は、本発明の写真用支持体の
少なくとも一方の側に写真乳剤層が設けられており、写
真乳剤層はハロゲン化銀乳剤を塗設することによって形
成することができる。写真乳剤層は、写真用支持体の片
面又は両面に設けることができる。また、写真乳剤層
は、それぞれの面に一層又は二層以上設けることができ
る。ハロゲン化銀乳剤は、写真用支持体上に直接或いは
他の層、例えば、ハロゲン化銀乳剤を含まない親水性コ
ロイド層を介して塗設することができる。また、ハロゲ
ン化銀乳剤層は、異なる感度、例えば高感度及び低感度
の各ハロゲン化銀乳剤層に分けて塗設してもよい。この
場合、各ハロゲン化銀乳剤層の間に中間層を設けてもよ
い。更に、ハロゲン化銀乳剤層の上や中間層、或いはハ
ロゲン化銀乳剤層と写真用支持体の間の任意の場所に親
水性コロイド層、保護層、アンチハレーション層、バッ
キング層、マスキング層などの非感光性層を設けてもよ
い。
【0080】ハロゲン化銀乳剤は、例えばリサーチ・デ
ィスクロージャー(以下、RDと略す。)No.176
43、22〜23頁(1979年12月)の“1.乳剤
製造法(Emulsion preparation
and types)”、及びRD No.1871
6、648頁、グラフキデ著「写真の物理と化学」ポー
ルモンテル社刊(P.Glkides,Chemie
et PhyziquePhotographique
,Paul Montel,1967)、ダフィン著
「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G.F.D
affin,Photographic Emulsi
on Chemistry FocalPress 1
966)、ゼリクマン等著「写真乳剤の製造と塗布」、
フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman e
tal,Making andcoating Pho
tographic Emulsion,FocalP
ress 1964)などに記載された方法を用いて調
製することができる。
【0081】ハロゲン化銀乳剤は、米国特許3,57
4,628号、同3,665,394号及び英国特許
1,413,748号などに記載された単分散乳剤も好
ましい。
【0082】ハロゲン化銀乳剤には、物理熟成、化学熟
成及び分光増感を行うことができる。このような工程で
使用される添加剤は、RD No.17643、RD
No.18716及びRD No.308119(それ
ぞれ、以下、RD17643、RD18716及びRD
308119と略す。)に記載されている。表1にその
記載箇所を示す。
【0083】
【表1】
【0084】写真感光材料がカラー写真感光材料である
場合、使用することができる写真用添加剤は上記RDに
記載されている。表2にその関連のある記載箇所を示
す。
【0085】
【表2】
【0086】写真感光材料がカラー写真感光材料である
場合、種々のカプラーを使用することができ、その具体
例は下記RD17643及びRD308119に記載さ
れている。表3にその関連ある記載箇所を示す。
【0087】
【表3】
【0088】またこれら添加剤は、RD308119
1007頁XIV項に記載されている分散法などにより、
写真感光層に添加することができる。
【0089】写真感光材料がカラー写真感光材料である
場合には、前述のRD308119VII−K項に記載さ
れているフィルター層や中間層などの補助層を設けるこ
とができる。
【0090】上記カラー写真感光材料を構成する場合、
前述のRD308119VII−K項に記載されている順
層、逆層、ユニット構成などの様々な層構成をとること
ができる。
【0091】写真感光材料を現像処理するには、例えば
T.H.ジェームズ著、セオリイオブ ザ フォトグラ
フィック プロセス第4版(The Theory o
fThe Photografic Process
Forth Edition)第291頁〜第334頁
及びジャーナル オブ ザ アメリカン ケミカル ソ
サエティ(JournaI of the Ameri
can Chemical Society)第73
巻、第3,100頁(1951)に記載されている、そ
れ自体公知の現像剤を使用することができる。また前記
カラー写真感光材料は前述のRD17643 28〜2
9頁、RD18716 615頁及びRD308119
XIXに記載された通常の方法によって、現像処理するこ
とができる。
【0092】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0093】以下の実施例において、ガラス転移温度及
び融点、フィルムヘーズ、固有粘度、弾性率、破断強度
の各物性値及び熱処理後の白化現象、爪折れ故障の評価
ランクは下記により求められたものである。
【0094】(1)ガラス転移温度Tg及び融点Tm フィルム或いはペレット10mgを、毎分300cm3
の窒素気流中、300℃で溶融し、直ちに液体窒素中で
急冷する。この急冷サンプルを示差走査型熱量計(理学
電器社製、DSC8230型)にセットし、毎分100
ccの窒素気流中、毎分10℃の昇温速度で昇温し、T
g及びTmを検出する。Tgはベースラインが偏奇し始
める温度と、新たにベースラインに戻る温度との平均
値、Tmはその吸熱ピークのピーク温度とした。なお、
測定開始温度は、測定されるTgより50℃以上低い温
度とする。
【0095】(2)フィルムヘーズ ASTM−D1003−52に従って測定した。
【0096】(3)固有粘度 フィルム或いはペレットを、フェノールと1,1,2,
2−テトラクロロエタンの混合溶媒(重量比60/4
0)に溶かし、濃度0.2g/dl、0.6g/dl、
1.0g/dlの溶液を作製し、ウベローデ型粘度計に
より、20℃で、それぞれの濃度(C)における比粘度
(ηsp)を求める。次いで、ηsp/CをCに対してプロ
ットし、得られた直線を濃度ゼロに補外して を求める。単位は、dl/gで示される。
【0097】(4)弾性率及び破断強度 フィルムを、巾10mm、長さ200mmの大きさに切
出し、23℃、55%RHの条件下で12時間調湿した
後、(株)オリエンテック社製テンシロン(RTA−1
00)を用い、チャック間を100mmにし、引張り速
度100mm/分で引張り試験をし弾性率及び破断強度
を求めた。
【0098】(5)熱処理後の白化現象の評価 下引層、バック層を有する熱処理後のフィルムについ
て、白化の程度を目視で評価した。評価は下記の基準に
よりランク付けした。なおランク付けの実用性は、写真
感光材料としての品質の許容性に基づいて決定されたも
のであり、ランク○以上であることが必要である。
【0099】 ランク 白化の程度 ◎ 白化なし ○ 僅かに白化が認められる × 明らか白化が認められる。
【0100】(6)爪折れ故障の評価 フィルム10m2当たりの爪折れの発生数を目視により
求め、下記の基準によりランク付けした。なおランク付
けの実用性は、写真感光材料としての品質の許容性に基
づいて決定されたものであり、ランク○以上であること
が必要である。
【0101】 ランク 爪折れの発生数 ◎ 0個 ○ 1〜3個 × 4個以上。
【0102】実施例1 以下のようにして、ポリエステルフィルムを準備した。
【0103】(ポリエステルA)2,6−ナフタレンジ
カルボン酸ジメチル100重量部、エチレングリコール
60重量部にエステル交換触媒として酢酸カルシウム水
和物0.1重量部を添加し、常法に従ってエステル交換
反応を行った。得られた生成物に、三酸化アンチモン
0.05重量部、リン酸トリメチルエステル0.03重
量部を添加した。次いで、徐々に昇温、減圧にし、29
0℃、0.5mmHgで重合を行い、固有粘度0.60
のポリエチレン−2,6−ナフタレートを得た。
【0104】(ポリエステルB)ポリエステルAにバイ
エル社製染料マクロレックス グリーンG、マクロレッ
クス バイオレットB、マクロレックス レッドEGを
1:1:1の割合で添加し、押出し機を用いて染料濃度
が2000ppmのマスターペレットを作製した。
【0105】以上のようにして得られた各々のポリエス
テルを用いて、以下のようにしてフィルムを得た。
【0106】ポリエステルAとポリエステルBを重量比
9:1の割合になるようにタンブラー型混合機でブレン
ドした。この後、150℃で8時間真空乾燥した後、3
00℃でTダイから層状に溶融押出し、50℃の冷却ド
ラム上に静電印加しながら密着させ、冷却固化させ,未
延伸シートを得た。この未延伸シートをロール式縦延伸
機を用いて、135℃で縦方向に3.3倍延伸した。
【0107】得られた一軸延伸フィルムの両面に8W/
2・minのコロナ放電処理を施し、フィルムの片方
の面には下記の感光層側の下引液(a−1)、そしてフ
ィルムの他の面には下記のバック層側の下引液(b−
1)を、それぞれ二軸延伸・熱固定後の出来上り膜厚が
0.5μmと0.1μmになるように塗設した。更に続
けてテンター式横延伸機を用いて、第一延伸ゾーン14
5℃で総横延伸倍率の50%延伸し、更に第二延伸ゾー
ン155℃で総横延伸倍率3.3倍となるように延伸し
た。次いで、100℃で2秒間熱処理し、更に第一熱固
定ゾーン200℃で5秒間熱固定し、第二熱固定ゾーン
240℃で15秒間熱固定した。次いで横方向に5%弛
緩処理しながらTgまで60秒かけて冷却し、更に室温
まで60秒かけて冷却し、フィルムをクリップから解放
した。
【0108】次いで、巾1.5mにスリットしその幅方
向の両端部に270℃にコントロールされたエンボスリ
ングを押込み量と押込み圧力を調節して押付けながら高
さ15μm、巾10mmのエンボス加工を施した。
【0109】次に、下引液(a−1)の塗設面に8W/
2・minのコロナ放電処理を施し、下引液(a−
1)の塗設面に上層塗布液(a−2)を、乾燥後の膜厚
が0.1μmになるように塗布し、115℃で乾燥し
た。更に、バック層側の下引液(b−1)の塗設面に帯
電防止塗布液(b−2)、帯電防止上層塗布液(b−
3)、磁気記録層塗布液(b−4)をそれぞれ乾燥後の
膜厚が0.1μm、0.1μm、1.0μmになるよう
に順次塗布乾燥(乾燥温度90℃)した。
【0110】以上の様にして得られた下引層及びバック
層を有するポリエステルフィルムを、直径300mmの
SUS製の巻芯に、初期張力40kgf、最終張力35
kgfとなるように張力を変化させながら長さ1500
m巻き取った。
【0111】この後、巻ぐせ低減のための熱処理を施し
た。温度制御可能な熱風式オーブンを用いて48時間か
けて室温(25℃)から110℃まで定速度で昇温し、
そのまま24時間保持し、更に48時間かけて定速度で
室温まで冷却した。
【0112】 《感光層側の下引液(a−1)の調製》 P−2(固形分30%) 270g 化合物(UL−1) 0.8g ヘキサメチレン−1,6−ビスエチレンウレア 0.6g 水で1リットルに仕上げる。
【0113】 《上層塗布液(a-2)》 ゼラチン 10g 化合物(UL−1) 0.2g 化合物(UL−2) 0.2g N,N′,N″−トリスアクリロイル−1,3,5−トリメチレン トリアミン 0.1g シリカ粒子(平均粒径:3μm) 0.1g 水で1リットルに仕上げる。
【0114】 《バック層側の下引液(b−1)の調製》 P−1(固形分30%) 270g 化合物(UL−1) 0.8g ヘキサメチレン−1,6−ビスエチレンウレア 0.6g 水で1リットルに仕上げる。
【0115】
【化4】
【0116】《金属酸化物複合体微粒子導電性帯電防止
剤の作製》塩化第二錫230重量部、三酸化アンチモン
23重量部、をエタノール3,000重量部に溶解し均
一溶液を得た。この溶液に1Nの水酸化ナトリウム水溶
液を上記溶液のpHが3、になるまで滴下し、コロイド
状態酸化第二錫と酸化アンチモンの共沈殿を得た。得ら
れた共沈殿を50℃に24時間放置し、赤褐色のコロイ
ド状沈殿を得た。赤褐色コロイド状沈殿を遠心分離によ
り分離した。過剰なイオンを除くため沈殿に水を加え遠
心分離によって水洗した。この操作を3回繰り返し過剰
イオンを除去した。過剰イオンを除去したコロイド状沈
殿200重量部を1,500重量部に分散し、600℃
に加熱した焼成炉に噴霧し、青みがかった平均粒径0.
2μmの酸化錫−酸化アンチモン複合体の微粒子粉末を
得た。この微粒子粉末の比抵抗は25Ω・cmであっ
た。上記微粒子粉末40重量部と水60重量部の混合液
をpH7.0に調整し、撹拌機で粗分散の後、横型サン
ドミル(商品名ダイノミル;WILLYA.BACHO
FENAG社製)で滞留時間が30分になるまで分散し
て調整した。
【0117】 《帯電防止塗布液b−2》 上記金属酸化物複合体導電性粒子分散液 100重量部 ゼラチン 10重量部 水 100重量部 メタノール 600重量部 化合物(UL−1) 0.1重量部 《帯電防止上層塗布液b−3》 セルローストリアセテート 10重量部 アセトン 700重量部 メタノール 150重量部 ジクロルメタン 140重量部 《磁気記録層塗布液b−4》カルナバワックス 10重
量部をトルエン150重量部で加熱溶解後冷却し、これ
にシクロヘキサノン75重量部とメチルエチルケトン1
50重量部を混合した後、旭化成(株)製ニトロセルロ
ースBTH−1/2 100重量部(固形分70重量
%)及びCo被着γ−Fe23(長軸0.8μm、Fe
2+/Fe3+=0.2、Hc=600エルステッド)5重
量部を加え、ディゾルバーで1時間混和し、その後サン
ドミルで分散し、分散液とした。
【0118】実施例2 実施例1で使用した帯電防止塗布液(b−2)、帯電防
止上層塗布液(b−3)の代わりに、帯電防止塗布液
(b−11)、帯電防止上層塗布液(b−12)を使用
した以外は実施例1と同様にして実施した。
【0119】 《帯電防止塗布液(b−11)》 ゼラチン 20g 下記π電子系導電性ポリマー(成分) 100mg/m2になる重量 架橋剤A 5g 化合物(UL−1) 0.6g 化合物(UL−2) 0.2g 平均粒径3μmのシリカ粒子 0.1g 水で1リットルに仕上げた。
【0120】 《帯電防止上層塗布液(b−12)》 化合物(UL−1) 0.2g 化合物(UL−2) 0.2g N,N′,N″−トリスアクリロイル−1,3,5−トリメチレン トリアミン 0.1g ゼラチン 10g 平均粒径3μmのシリカ粒子 0.1g 水で1リットルに仕上げる。
【0121】架橋剤A:CH2=CHSO2(CH22
2CH=CH2 なお、上記π電子系導電性ポリマーはポリ(3,4−エ
チレンジオキシ−チオフェン)であり、下記のごとく合
成される。
【0122】《ポリ−3,4−ジエトキシチオフェンの
合成》ポリスチレンスルホン酸(数平均分子量3,70
0)30gを1.5lの水に溶かし、窒素気流下、その
中に72ミリモルのK228、0.375ミリモルの
Fe2(SO43、210ミリモルの3,4−ジエトキ
シチオフェンを加え、20℃で24時間撹拌反応させ
た。これに更に750mlの水そ加え、強酸性及び弱塩
基性イオン交換樹脂(それぞれアンバーライト(商品
名)IR120とIRA400をその中に加えミックス
ベッドとして室温で8時間撹拌して脱塩を行った。その
後、イオン交換樹脂を濾別し、ポリ−3,4−ジエトキ
シチオフェンの分散液を得た。濃縮精製したポリマーを
元素分析とNMRによりこのものは平均重合度40であ
った。
【0123】実施例3 実施例1で使用した感光層側の下引液(a−1)とバッ
ク層側の下引液(b−1)を、感光層側の下引液(a−
20)とバック層側の下引液(b−20)に変更し、帯
電防止塗布液(b−2)、帯電防止上層塗布液(b−
3)の使用をやめた以外は実施例1と同様にして実施し
た。
【0124】 《下引液a−20及びb−20の調製》 前記CP−1 540g 化合物(UL−4) 60g 架橋剤C 12g 硫酸アンモニウム 0.5g ポリエチレングリコール 6g 水で1リットルに仕上げる。
【0125】
【化5】
【0126】比較例1 実施例1で一軸延伸フィルム作製後に、コロナ放電処
理、感光層側の下引液(a−1)の塗布,バック層側の
下引液(b−1)の塗布を行わなかった以外は実施例1
と同様にして二軸延伸・熱固定したポリエステルフィル
ムを得た。次いで、実施例1と同様にしてスリット及び
エンボス加工を施した。
【0127】得られたポリエステルフィルムの両面に8
W/m2・minのコロナ放電処理を施し、フィルムの
片方の面には上記の感光層側の下引液(a−1)、そし
てフィルムの他の面には上記のバック層側の下引液(b
−1)を、それぞれ膜厚が0.5μmと0.1μmにな
るように塗布し、115℃で乾燥した。
【0128】次いで、実施例1と同様にして、上層塗布
液(a−2)、帯電防止塗布液(b−2)、帯電防止上
層塗布液(b−3)、磁気記録層塗布液(b−4)をそ
れぞれ順次塗設した。
【0129】以上の様にして得られた下引層及びバック
層を有するポリエステルフィルムを、実施例1と同様に
してロール状に巻取、巻ぐせ低減のための熱処理を施し
た。
【0130】比較例2 比較例1で巻ぐせ低減のための熱処理を、コロナ放電処
理、感光層側の下引液(a−1)の塗布,バック層側の
下引液(b−1)を塗設する前の二軸延伸・熱固定した
ポリエステルフィルムに対して施した以外は比較例1と
同様にして実施した。
【0131】比較例3 実施例2で一軸延伸フィルム作製後に、コロナ放電処
理、感光層側の下引液(a−1)の塗布,バック層側の
下引液(b−1)の塗布を行わなかった以外は実施例2
と同様にして二軸延伸・熱固定したポリエステルフィル
ムを得た。次いで、実施例2と同様にしてスリット及び
エンボス加工を施した。
【0132】得られたポリエステルフィルムの両面に8
W/m2・minのコロナ放電処理を施し、フィルムの
片方の面には上記の感光層側の下引液(a−1)、そし
てフィルムの他の面には上記のバック層側の下引液(b
−1)を、それぞれ膜厚が0.5μmと0.1μmにな
るように塗布し、115℃で乾燥した。
【0133】次いで、実施例2と同様にして、上層塗布
液(a−2)、帯電防止塗布液(b−11)、帯電防止
上層塗布液(b−12)、磁気記録層塗布液(b−4)
をそれぞれ順次塗設した。以上の様にして得られた下引
層及びバック層を有するポリエステルフィルムを、実施
例2と同様にしてロール状に巻取、巻ぐせ低減のための
熱処理を施した。
【0134】比較例4 比較例3で巻ぐせ低減のための熱処理を、コロナ放電処
理、感光層側の下引液(a−1)の塗布,バック層側の
下引液(b−1)を塗布する前の二軸延伸・熱固定した
ポリエステルフィルムに対して施した以外は比較例3と
同様にして実施した。
【0135】比較例5 実施例3で一軸延伸フィルム作製後に、コロナ放電処
理、感光層側の下引液(a−20)の塗布,バック層側
の下引液(b−20)の塗布を行わなかった以外は実施
例3と同様にして二軸延伸・熱固定したポリエステルフ
ィルムを得た。次いで、実施例3と同様にしてスリット
及びエンボス加工を施した。
【0136】得られたポリエステルフィルムの両面に8
W/m2・minのコロナ放電処理を施し、フィルムの
片方の面には上記の感光層側の下引液(a−20)、そ
してフィルムの他の面には上記のバック層側の下引液
(b−20)を、それぞれ膜厚が0.5μmと0.1μ
mになるように塗布し、115℃で乾燥した。
【0137】次いで、実施例3と同様にして、上層塗布
液(a−2)、磁気記録層塗布液(b−4)をそれぞれ
順次塗設した。以上の様にして得られた下引層及びバッ
ク層を有するポリエステルフィルムを、実施例3と同様
にしてロール状に巻取、巻ぐせ低減のための熱処理を施
した。
【0138】比較例6 比較例5で巻ぐせ低減のための熱処理を、コロナ放電処
理、感光層側の下引液(a−20)の塗布,バック層側
の下引液(b−20)を塗布する前の二軸延伸・熱固定
したポリエステルフィルムに対して施した以外は比較例
5と同様にして実施した。
【0139】実施例4 実施例1で使用した感光層側の下引液(a−1)とバッ
ク層側の下引液(b−1)を、それぞれ(a−30)と
(b−30)に変更した以外は、実施例1と同様にして
実施した。
【0140】 《感光層側の下引液(a−30)及びバック層側の下引液(b−30)》 クレハロンラテックス DOAX−1(10%水分散液) 250g (呉羽化学株式会社) ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(10%水溶液) 5mg 水を加えて1リットルに仕上げる。
【0141】以上により得られたポリエステルフィルム
の厚みはいずれも90μmで、物性値は、いずれも同じ
値を示し以下のようであった。尚、厚み及び下記の物性
値は、下引層及びバック層を剥離して求めたものであ
る。
【0142】 Tg 120℃ Tm 270℃ ヘーズ 0.5% 固有粘度 0.58dl/g 弾性率 タテ方向 650kg/mm2 ヨコ方向 700kg/mm2 破断強度 タテ方向 22kg/mm ヨコ方向 24kg/mm2 各実施例、比較例について、熱処理による白化現象及び
爪折れ故障の評価を行った。結果を一括して表4に示し
た。
【0143】
【表4】
【0144】以上の結果から明らかなように、本発明の
写真用支持体の製造方法は熱処理による白化現象及び爪
折れ故障が改良された良好な写真用支持体が得られるこ
とが分かる。
【0145】
【発明の効果】本発明による写真用支持体の製造方法
は、巻ぐせ低減のための熱処理をロール状で実施した場
合の爪折れ状の面状故障の発生を軽減することができ、
かつポリエステルフィルムの表面が白く曇るという問題
を改良することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03C 1/81 G03C 1/81 1/91 1/91 1/93 1/93 // B29K 67:00 B29L 9:00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下引層及び/又はバック層を有するポリ
    エステルフィルムからなる写真用支持体を製造するに際
    して、ポリエステルの未延伸シート又は一軸延伸フィル
    ムの表面に、下引層及び/又はバック層を塗設した後、
    二軸延伸を完了し、続いて熱固定して、該ポリエステル
    をフィルム状に形成し、更にTg−30℃以上Tg以下
    で熱処理することを特徴とする写真用支持体の製造方法
    (但しTgはポリエステルフィルムのガラス転移温度で
    ある)。
  2. 【請求項2】 前記下引層及び/又はバック層が、ビニ
    ルポリマーラテックス又は水溶性コポリエステルを塗布
    乾燥することにより形成されたことを特徴とする請求項
    1に記載の写真用支持体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ポリエステルフィルムがポリエチレ
    ン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを70重量
    %以上含有していることを特徴とする請求項1又は請求
    項2に記載の写真用支持体の製造方法。
JP27766295A 1995-10-25 1995-10-25 写真用支持体の製造方法 Pending JPH09120114A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2014203894A1 (ja) * 2013-06-19 2017-02-23 富士フイルム株式会社 ポリエステルフィルム、偏光板及び画像表示装置

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