JPH09109359A - 蛇行防止機能を備えた輪転機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 輪転機において、印刷部におけるウェブ耳端
位置を高精度で制御可能とする。 【解決手段】 給紙部３の巻取１からウェブ２を引き出
し、下流側の張力を一定に保ちながら搬送するインフィ
ード部５と、その下流の印刷部６との間に、ウェブ２の
蛇行を防止するエッジガイドコントローラ４を配置し、
張力一定で走行中のウェブに対して蛇行修正を行い、高
精度での耳端位置制御を可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、各種輪転印刷機、
コータなどのように、巻取からウェブを引き出し、その
ウェブに対して円筒形の処理部材（版胴、コーティング
ローラ等）を用いて所望の処理を施す輪転機に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の輪転機をグラビア輪転印刷機を例
にとって説明すると、従来のグラビア輪転印刷機は、図
５に示すように、長尺をウェブを巻き取った巻取１をセ
ットし、ウェブ２を繰り出す給紙部３と、そのウェブ２
の耳端位置を制御して蛇行を防止するエッジガイドコン
トローラ４と、巻取１からウェブ２を引き出し、下流側
のウェブ張力を制御しながら搬送するインフィード部５
と、その下流に配置され、走行中のウェブに印刷を行う
版胴６ａ、圧胴６ｂ等を備えた印刷部（加工部）６等を
備えている。

【０００３】ここで、エッジガイドコントローラ４は、
図６、図７に示すように、定位置に配置されたガイドロ
ール８ａ、８ｂと、その下方に配置された一対の移動ガ
イドロール９ａ、９ｂと、この移動ガイドロール９ａ、
９ｂを保持し、ウェブ走行路の中心線Ｏ−Ｏ上に位置す
る支軸１０を中心としてウェブ走行路の幅方向に揺動可
能な揺動フレーム１１と、その揺動フレーム１１を揺動
させる油圧シリンダ等の操作部１２と、移動ガイドロー
ル９ｂの下流におけるウェブ２の耳端位置を検出する検
出器１３と、その検出器１３で検出した耳端位置の偏倚
量に応じて操作部１２を制御する調節機１４等を有して
おり、検出器１３がウェブ２の耳端位置を検出し、その
結果を基に調節機１４が操作量を決定し、操作部１２を
制御して揺動フレーム１１をその操作量に応じて揺動さ
せ、移動ガイドロール９ａ、９ｂをウェブ走行路に対し
て幅方向に動かして、ウェブ２の耳端位置を所定の位置
となるように制御し、蛇行を防止している。

【０００４】また、インフィード部５は、図８に示すよ
うに、ウェブ２を搬送するためのインフィードロール１
５及びピンチロール１６と、そのインフィードロール１
５に接続されたモータ１７と、インフィードロール１５
の下流に配置されたダンサーロール２０と、そのダンサ
ーロール２０に連結されたエアシリンダ２１と、制御装
置２２等を備えている。ダンサーロール２０は通常、ウ
ェブ２の張力とエアシリンダ２１のダンサーロール２０
を引っ張る力が釣り合った状態で静止しており、インフ
ィードロール１５と印刷部６の間のウェブ２の張力が変
動した時、エアシリンダ２１の働きによりウェブ２の張
力が一定になるようにダンサーロール２０が動く。ま
た、ダンサーロール２０が原点から移動した時には、そ
のダンサーロール２０が元の原点位置に戻るよう、制御
装置２２がモータ１７を制御し、インフィードロール１
５の角速度を制御している。かくして、インフィード部
５の下流のウェブ２の張力が常時一定に保たれるように
制御される。

【０００５】このように、グラビア輪転印刷機では印刷
部６の上流に、エッジガイドコントローラ４を配置して
ウェブ２の耳端位置を制御し、且つインフィード部５を
配置してウェブ２の張力を制御することにより、印刷部
６における横見当、縦見当を一定に保持していた。ここ
で、従来装置では、図５に示すように、ウェブの流れ方
向に対して、エッジガイドコントローラ４をインフィー
ド部５の前に即ち上流に配置していた。この理由は、エ
ッジガイドコントローラ４は、ウェブ２を支持した移動
ガイドロール９ａ、９ｂをウェブの幅方向に揺動させて
ウェブ２の走行位置を変化させるためウェブ張力に外乱
となる可能性があり、これをインフィード部５の後ろに
配置すると印刷部６に入るウェブに張力変動が生じ、印
刷動作に悪影響を与える恐れがあるためである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の輪転機
では、エッジガイドコントローラ４による蛇行修正能力
が低く、このため、印刷部におけるウェブの耳端位置
が、かなり（例えば、１．０ｍｍ程度）変動していた。
最近、この耳端位置制御の精度向上（例えば、０．３ｍ
ｍ以下）が要望されているが、従来の輪転機では耳端位
置制御の精度向上に限度があった。

【０００７】また、印刷機等の輪転機では、給紙部３に
給紙ペースタ機能が設けられ、ウェブ２を繰出中の巻取
１の残量が少なくなり紙継ぎが必要となった時に、繰り
出されているウェブ２を、新たな巻取からのウェブの先
端に貼り付け、新たなウェブを引き出して印刷機に通す
という動作を行っているが、このペースタ時には、蛇行
修正能力が低下し、印刷部における耳端位置の変動が大
きくなるという問題もあった。このように印刷部におけ
る耳端位置変動が大きいと、各印刷ユニット毎の色がず
れて印刷不良（横見当不良という）を発生しやすくな
り、かかる横見当不良が生じると、その後、印刷面を全
面除去せざるを得ず、全面に１色を塗工するコーター等
の輪転機では問題ないが、色合わせが必要な印刷機では
横見当不良によるロス（損紙、ヤレ）の増大につながる
という問題があった。また、印刷部における耳端位置変
動が大きいと、その変動を生じてもウェブに支障なく印
刷を行うようにするためウェブ両側のマージンを大きく
せざるを得ず、かかるマージンは後の工程で断裁除去さ
れるものであることから、マージンの大きさに比例して
ロスが大きくなるという問題もあった。

【０００８】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、ウェブの蛇行修正精度を向上させ、輪転機の印刷
部等の加工部におけるウェブの耳端位置を高精度で制御
することの可能な輪転機を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明者等は従来装置に
おける耳端位置制御の精度が低い原因を検討の結果、次
の事項を見出した。すなわち、従来は給紙部３とインフ
ィード部５の間にエッジガイドコントローラ４を配置し
ているが、インフィード部５によって巻取１から引き出
されているウェブ２は張力変動が大きく、特にペースタ
時には、張力変動が一層大きくなり、このため、エッジ
ガイドコントローラ４を通過するウェブ２は、伸び縮み
及びバタツキによって長さが変わり、エッジ位置の測定
が正確にできず、このため、制御ゲインを上げることが
できず、高精度な蛇行修正ができなかった。また、エッ
ジガイドコントローラ４を通過するウェブ２は、張力変
動を生じているのみならず、その張力が低いが、この張
力は、エッジガイドコントローラ４の移動ガイドロール
９ａ、９ｂの移動量に対するウェブ２の幅方向への移動
量に影響しており、この張力が低いため、移動ガイドロ
ール９ａ、９ｂのウェブ耳端位置変更に対する効目が低
く、且つその効目が張力変動によって変動しており、こ
れも高精度な蛇行修正ができない理由となっていた。従
って、ウェブの張力変動が少なく且つ張力が高い位置に
エッジガイドコントローラを配置することで、高精度の
蛇行修正が可能である。

【００１０】本発明はかかる知見に基づいてなされたも
ので、巻取からウェブを引き出し、下流側のウェブ張力
を制御しながら搬送するインフィード部と、その下流に
配置され、走行中のウェブに対して所定の加工を行う加
工部とを備えた輪転機において、前記インフィード部と
加工部との間に、ウェブの蛇行を防止するエッジガイド
コントローラを配置したことを特徴とする、蛇行防止機
能を備えた輪転機を要旨とする。

【００１１】インフィード部の下流は、インフィード部
によって張力制御されるためウェブの張力変動が小さく
なっており、本発明ではこの位置にエッジガイドコント
ローラを配置したことにより、ウェブの耳端位置の検出
を正確に行うことが可能となり、しかも、この位置のウ
ェブ張力はインフィード部の前よりも大きく設定されて
いるため、エッジガイドコントローラによる蛇行修正の
効率が良くなり、結局、蛇行修正精度を向上することが
できる。

【００１２】本発明を適用可能な輪転機としては、グラ
ビア印刷機、オフセット印刷機等の各種輪転印刷機、コ
ーター、ラミネーター等を挙げることができるが、横見
当調整に高精度を要求される輪転印刷機が特に好適であ
る。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施態様を
説明する。図１は本発明をグラビア輪転印刷機に適用し
た実施例を示す概略断面図であり、図５〜８に示す従来
例と同一又は同様な部品には同一符号を付して示してい
る。図１において、本実施例のグラビア輪転印刷機は、
巻取１をセットし、ウェブ２を繰り出す給紙部３の下流
に、巻取１からウェブ２を引き出し、下流側のウェブ張
力を制御しながら搬送するインフィード部５を配置し、
その下流に、そのウェブ２の耳端位置を制御して蛇行を
防止するエッジガイドコントローラ４を配置し、その下
流に、走行中のウェブに印刷を行う版胴６ａ、圧胴６ｂ
等を備えた印刷部（加工部）６を配置している。すなわ
ち、エッジガイドコントローラ４を、従来とは異なり、
インフィード部５と印刷部６との間に配置している。こ
こで使用するエッジガイドコントローラ４、インフィー
ド部５は、図６〜図８に示す従来のものと同様である。
その他の構成も従来と同様である。

【００１４】上記構成のグラビア輪転印刷機では、イン
フィード部５が給紙部３の巻取１からウェブ２を引き出
し、下流側のウェブ張力が一定になるように制御して搬
送し、その下流位置においてエッジガイドコントローラ
４がウェブ２の耳端位置を検出し、その耳端位置が一定
となるようにウェブ２の幅方向の位置を制御して蛇行修
正を行っており、ウェブ２は一定の張力で且つ蛇行しな
い状態で印刷部６に入り、所定の印刷が行われる。

【００１５】ここで、エッジガイドコントローラ４を通
過するウェブ２は、その張力をインフィード部５で制御
されているため、通常の運転時のみならず、ペースタ時
においても張力変動がきわめて小さくなっており、この
ため、伸び縮みやバタツキがあまり発生しておらず、耳
端位置を検出器１３（図６参照）で正確に検出可能であ
る。しかも、この位置のウェブ２の張力が大きく且つ安
定しているため、エッジガイドコントローラ４の移動ガ
イドローラ９ａ、９ｂの移動量に対するウェブ２の幅方
向の移動量が大きく且つ安定している。かくして、効率
良く、高精度でウェブ２の耳端位置を一定位置に制御で
き、高精度での蛇行修正ができる。更に、このエッジガ
イドコントローラ４は印刷部６の直前に配置されるた
め、ウェブ２は蛇行のない状態で印刷部６に送り込ま
れ、印刷部６におけるウェブ２の耳端位置は高精度で一
定位置に保持され、横見当のずれをきわめて小さくでき
る。かくして、横見当ロスを小さく出来る。なお、エッ
ジガイドコントローラ４による蛇行修正時には、ウェブ
２を支持している移動ガイドローラ９ａ、９ｂが移動
し、ウェブの左右におけるパス長が変化し、張力変動が
生じることが懸念されたが、実際には、インフィード部
５による張力制御のためか、張力変動はほとんど発生せ
ず、トラブルは生じないことが判明した。

【００１６】図２は、図１に示すグラビア輪転印刷機を
通常に運転した時（従って、エッジガイドコントローラ
４は作動させている）のインフィード部５の前（上流）
のウェブ張力、インフィード部５の後ろ（下流）のウェ
ブ張力、インフィード部５の後ろ（下流）の右側のみの
張力、インフィード部５の後ろ（下流）の左側のみの張
力を測定した結果を示すグラフである。このグラフから
明らかなように、インフィード部５の前のウェブ張力は
大きく変動しているが、後ろのウェブ張力はあまり変動
しておらず、しかも、その張力の絶対値が大きくなって
おり、従って、この位置にエッジガイドコントローラ４
を配置することで、良好な耳端制御が可能となる。図２
に示すデータを採った時における横見当のずれ（印刷部
６におけるウェブの耳端位置の変動量に相当）を測定し
たところ、約０．１ｍｍ以下であった。なお、図５に示
す従来のグラビア輪転印刷機を同一条件で運転した時の
横見当のずれは、約０．４ｍｍ程度であった。

【００１７】図３は、図１に示すグラビア輪転印刷機
を、エッジガイドコントローラ４は作動させないで運転
した時のインフィード部５の後ろのウェブ張力、インフ
ィード部５の後ろの右側のみの張力、インフィード部５
の後ろの左側のみの張力を測定した結果を示すグラフで
ある。図２、図３を比較すると分かるように、両グラフ
におけるインフィード部５の後ろのウェブ張力、インフ
ィード部５の後ろの右側のみの張力、インフィード部５
の後ろの左側のみの張力のそれぞれの変動は、いずれも
小さくほとんど同じであり、従って、インフィード部５
の後ろにエッジガイドコントローラ４を配置し、作動さ
せても、その部分のウェブ張力変動にはほとんど影響を
与えておらず、何ら支障はない。

【００１８】図４は、図１に示すグラビア輪転印刷機に
おけるペースタ時のインフィード部５の前のウェブ張
力、インフィード部５の後ろのウェブ張力を測定した結
果を示すグラフである。このグラフから分かるように、
ペースタ時にはインフィード部５の前には急激な張力変
動が生じているが、後ろでは張力変動はきわめて小さく
なっており、従って、この位置に配置したエッジガイド
コントローラ４により、ペースタ時においても高精度で
の蛇行修正が可能である。

【００１９】なお、上記実施例では、エッジガイドコン
トローラ４として、図６、図７に示す構成のものを用い
たが、本発明に用いるエッジガイドコントローラは、こ
の構成に限らず、ウェブの蛇行修正を行うことの可能な
ものを適宜使用可能である。また、インフィード部５に
ついても同様である。

【００２０】

【発明の効果】以上に説明したように、本発明は、イン
フィード部と加工部との間に、ウェブの蛇行を防止する
エッジガイドコントローラを配置したことにより、ウェ
ブの張力変動の少ない位置で且つウェブ張力の高い位置
で、ウェブの耳端位置制御を行っており、このため、効
率良く且つ高精度で蛇行修正を行うことができ、加工部
における横見当ずれがきわめて小さくなり、横見当不良
によるロスを小さくできるという効果を有している。

【００２１】また、給紙ペースタ機能を備えた輪転機に
おけるペースタ時においても、インフィード部の後ろで
は張力変動がきわめて小さく制御されるため、やはりエ
ッジガイドコントローラが有効に作用し、高精度での蛇
行修正が可能であり、横見当不良によるロスを小さくで
きるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明をグラビア輪転印刷機に適用した実施例
を示す概略側面図

【図２】図１に示すグラビア輪転印刷機の運転時のウェ
ブ張力を測定した結果を示すグラフ

【図３】図１に示すグラビア輪転印刷機を、エッジガイ
ドコントローラを作動させないで運転した時のウェブ張
力を測定した結果を示すグラフ

【図４】図１に示すグラビア輪転印刷機のペースタ時の
ウェブ張力を測定した結果を示すグラフ

【図５】従来のグラビア輪転印刷機の概略側面図

【図６】図１及び図５に示すグラビア輪転印刷機に設け
たエッジガイドコントローラを示す概略構成図

【図７】図６のエッジガイドコントローラの移動ガイド
ローラ、揺動フレーム等の概略平面図

【図８】図１及び図５に示すグラビア輪転印刷機に設け
たインフィード部を示す概略構成図

【符号の説明】

１ 巻取 ２ ウェブ ３ 給紙部 ４ エッジガイドコントローラ ５ インフィード部 ６ 印刷部（加工部） ９ａ、９ｂ 移動ガイドロール １０ 揺動フレーム １１ 支軸 １２ 操作部 １３ 検出器 １４ 調節機 １５ インフィードロール ２０ ダンサーロール

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 巻取からウェブを引き出し、下流側のウ
   ェブ張力を制御しながら搬送するインフィード部と、そ
   の下流に配置され、走行中のウェブに対して所定の加工
   を行う加工部とを備えた輪転機において、前記インフィ
   ード部と加工部との間に、ウェブの蛇行を防止するエッ
   ジガイドコントローラを配置したことを特徴とする、蛇
   行防止機能を備えた輪転機。
2. 【請求項２】 前記輪転機が輪転印刷機であることを特
   徴とする請求項１記載の、蛇行防止機能を備えた輪転
   機。