JPH0899138A - パイプの接続方法及びパイプの接続部の構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 銅パイプとアルミパイプの接続において、ア
ルミパイプの挿入端近くに環鍔状のフランジを設け、こ
のフランジを銅パイプに挿入した互いの重合部で、銅パ
イプの表面から機械的圧力を加え、加圧部に塑性変形を
与えたとき、フランジに備える厚みと剛性により、両者
の圧着を可能にする。 【構成】 アルミパイプの挿入端近くに膨出拡大された
環鍔状のフランジを形成し、このフランジを銅パイプの
大径部に挿入すると共に銅パイプの開口をカシメてアル
ミパイプを銅パイプに連結し、この状態で、アルミパイ
プのフランジの円周面と胴パイプが重合する箇所を銅パ
イプの外周面から周方向へ筋状に一周するように圧力を
加え、前記銅パイプの加圧部の内面側を筋状に変形膨出
させてアルミパイプのフランジの円周面を一周する筋状
に圧着する接着部を設けてなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、銅パイプとアルミニュ
ウムパイプにおけるパイプの接続方法及びパイプの接続
部の構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、家庭用冷房装置、自動販売機、冷
蔵庫等に設ける冷凍機は、蒸発器により蒸発した低圧の
気体を圧縮機で高圧の気体にして凝縮器へ送り、凝縮器
で液体となり、この液体は膨張弁を介して低圧にして蒸
発器へ還元する冷凍サイクルにより蒸発器の吸熱作用で
周囲を冷却する装置であることは良く知られている。

【０００３】ところで、アルミニュウムは熱伝導に優
れ、加工も容易なことから、前記蒸発器にはアルミニュ
ウムフインにアルミニュウムパイプを設けてなるものが
提供されている。そして前記圧縮機には銅パイプが設け
られており、この蒸発器のアルミニュウムパイプと圧縮
機の銅パイプとはユニオン継手等の接続手段によって気
密に接続されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする問題点】蒸発器のアルミニュ
ウムパイプと圧縮機の銅パイプとは気密に接続されなけ
ればならないが、アルミニュウムと銅との接続におい
て、アルミニュウムが熱に弱いことからろう付けが不可
能であり、これに対し、アルミニュウムと銅とは圧接に
よるのが最も適する一般的な接続手段であるとしても、
互いのパイプの端部を突き合わせて接続しても引っ張り
力に弱いために離れ易い問題があり、また、例えば一方
のパイプの中に他のパイプの端部を挿入して互いの重合
部を圧接しようとしても、パイプの内部に加圧部材を挿
入することが不可能なために、パイプの内部側から圧力
を加えることができず、それ故に、パイプの両面側、即
ち、パイプの外周面と内周面との両側から圧力を加えて
圧接することは不可能であり、このような理由から、蒸
発器のアルミニュウムパイプと圧縮機の銅パイプとの接
続にはユニオン継手のような接続手段を採用せざるを得
ないのである。しかしながら、このような接続手段はユ
ニオン継手の製造費が高価で不経済でもある等の問題点
があった。

【０００５】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、アルミニュウムパイプの
挿入端近くに膨出拡大する環鍔状のフランジを形成して
このフランジに厚みと剛性を備えさせ、このフランジを
銅パイプの端部に設けた大径部に挿入し、このフランジ
と大径部との互いの重合部で、銅パイプの表面から機械
的圧力を加え、加圧部に塑性変形を与えて圧接すること
により銅パイプの内面側へ変形膨出する周方向の凸条を
アルミニュウムパイプのフランジの円周面に食い込み圧
着してなるパイプの接続方法及びパイプの接続構造を提
供するものである。

【０００６】

【問題点を解決するための手段】上記目的を達成するた
めに、本発明にかかるパイプの接続方法は、アルミニュ
ウムパイプは挿入端部近くに膨出拡大された環鍔状のフ
ランジを一体に形成し、銅パイプの接続端部に奥端から
開口側へ段階的に拡径する２段の大径部を形成し、前記
銅パイプの奥端の大径部にアルミニュウムパイプの先端
を挿入してフランジを銅パイプの開口側の大径部に挿入
位置すると共に銅パイプの開口をカシメてアルミニュウ
ムパイプを銅パイプに連結し、この状態で、アルミニュ
ウムパイプのフランジの円周面と胴パイプが重合する箇
所の前記銅パイプの外周面から周方向へ筋状に一周する
ように圧力を加え、前記銅パイプの加圧部の内面側を筋
状に変形膨出させてアルミニュウムパイプのフランジの
円周面を一周する筋状に圧着するものである。

【０００７】また、本発明のパイプの接続構造は、アル
ミニュウムパイプは挿入端部近くに膨出拡大された環鍔
状のフランジを有し、銅パイプは接続端部に奥端から開
口側へ段階的に拡径する２段の大径部を有し、前記アル
ミニュウムパイプの挿入端部を前記２段の大径部に挿入
し、前記アルミニュウムパイプのフランジを開口側の大
径部に位置させ、フランジの円周面と銅パイプとの重合
部で胴パイプの外周面から周方向へ筋状に一周する圧力
を加えて銅パイプの内面側へ変形膨出する筋状の凸条を
アルミニュウムパイプの円周面を一周する筋状に食い込
み圧着する接着部を設けてなるものである。

【０００８】

【作用】銅パイプの大径部の外周面から加圧ロ−ラを周
方向へ一周するよう回転移動させながら圧力を加えたと
き、大径部の表面は加圧ロ−ラの圧力を高めていくにし
たがって、大径部の表面に周方向へ一周する筋状の凹溝
が形成されそして大径部の内面側へ筋状の凸条となって
変形膨出し、この大径部の内面側へ膨出した凸条が、大
径部に圧入されているアルミニュウムパイプのフランジ
の円周面に食い込んでアルミニュウムの円周面を圧接し
て両者の強固な圧着が得られる。そしてアルミニュウム
パイプのフランジ部分は厚みがあり、剛性を有している
ので、大径部の内面の筋状の凸条の食い込み圧接を十分
に受け止め、アルミニュウムパイプと銅パイプの境界が
見えないまでに圧着され、そして両者の高い気密性と良
好な接続を得ることができる。

【０００９】

【実施例】実施例について図面を参照して説明すると、
図１は本発明の冷凍機に設けられる蒸発器の一部切欠し
て示す斜視図、図２はアルミニュウムパイプと銅パイプ
の挿入する前の接続端部の要部拡大断面図、図３はアル
ミニュウムパイプの先端を銅パイプの大径部に挿入して
カシメ処理して示す要部拡大断面図、図４はアルミニュ
ウムパイプを銅パイプの大径部に挿入してフランジの重
合部に加圧ロ−ラにより加工を施す状態を示す断面図、
図５はアルミニュウムパイプのフランジと銅パイプの大
径部との圧着部を示す要部拡大断面図で、冷凍機の蒸発
器１はアルミニュウムフィン２にアルミニュウムパイプ
３を設けてなり、この蒸発器１のアルミニュウムパイプ
３と圧縮機（図示せず）に設けられた銅パイプ４との接
続において、アルミニュウムパイプ３は挿入端部近くに
膨出拡径する環鍔状のフランジ５を一体に形成し、この
フランジ５は所望の厚みと剛性が備えられるようにし、
銅パイプ４は接続端部に段部６及び７を介して段階的に
拡径する奥端側の大径部８と開口側の大径部９を形成
し、即ち、開口側の大径部９を奥端側の大径部８より大
きい口径に形成し、前記蒸発器１のアルミニュウムパイ
プ３の先端を奥端側の大径部８に挿入してアルミニュウ
ムパイプ３のフランジ５が段部７に接触するように開口
側の大径部９に挿入する。そして、図３に示すように、
開口側の大径部９をフランジ５の側面に接着させ且つ開
口先端がアルミニュウムパイプ３に所定長さの筒状に接
着するようにカシメ１０を施してアルミニュウムパイプ
３と銅パイプ４を連結し、この状態で、アルミニュウム
パイプ３のフランジ５の円周面と銅パイプ４との重合部
１１に、図４に示すように、スリ−ロ−ラタイプになる
加圧装置の加圧ロ−ラ１２を装着して銅パイプ４の外周
面から加圧ロ−ラ１２を周方向へ一周するように回転移
動させながら圧力を加えると、３個の加圧ロ−ラ１２が
自転しながらフランジ５と大径部９の重合部１１の外周
を公転し、加圧ロ−ラ１２の圧力を高めていくにしたが
って重合部１１の表面で周方向へ筋状の凹溝１３となっ
て重合部１１の内面側へ筋状の凸条１４が変形膨出し、
この凸条１４が大径部９に圧入するアルミニュウムパイ
プ３のフランジ５の円周面に食い込み圧接する方法によ
り、銅パイプ４の大径部９の重合部１１とアルミニュウ
ムパイプ３のフランジ５の円周面とを周方向へ一周して
筋条に圧着する。

【００１０】また、加圧ロ−ラ１２の圧力を受けて変形
膨出する重合部１１の凸条１４は、図５に拡大して示す
ように、この凸条１４の食い込みによる圧力を受けたア
ルミニュウムパイプ３のフランジ５の円周面との境界が
認められないまでに圧着し、重合部１１におけるアルミ
ニュウムパイプ３と銅パイプ４との良好な接着が得られ
る。

【００１１】なお、銅パイプ４の開口側の大径部９は、
アルミニュウムパイプ３のフランジ５の円周面を大径部
９に圧入する程度の内径に形成し、そして、銅パイプ４
の大径部９の外面から与える加圧力がフランジ５の円周
面に良好に伝えられるように形成するのが好ましい。

【００１２】更に、この実施例では、冷凍機の蒸発器１
のアルミニュウムパイプ３と圧縮器の銅パイプ４の接続
について説明したが、特に冷凍機のパイプの接続に限定
されるものではなく、アルミニュウムパイプと銅パイプ
の接続に広く適用できることはいうまでもない。また、
加圧装置は、パイプの表面に周方向の圧力を加えること
ができるものであれば、この実施例で使用するようなス
リ−ロ−ラタイプのものに限定するものではない。

【００１３】本発明は上記のような構成であるから、銅
パイプとアルミニュウムパイプの接続において、アルミ
ニュウムパイプに厚みと剛性を備えるフランジを設ける
ことにより、銅パイプにアルミニュウムパイプを圧入
し、アルミニュウムパイプのフランジと銅パイプとの互
いの重合部で、銅パイプの表面から機械的圧力を加え、
加圧部に塑性変形を与えて圧接し、銅パイプの内面側へ
変形膨出して周方向へ一周する凸条をアルミニュウムの
フランジの円周面に食い込みによる良好な圧着が得ら
れ、接続部での気密性を確保し、堅固で確実な接続が得
られ、加工も容易で安価に提供できる等の効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の蒸発器の一部切欠して示す斜視図であ
る。

【図２】本発明のアルミニュウムパイプと銅パイプの挿
入する前の接続端部の要部拡大断面図である。

【図３】本発明のアルミニュウムパイプの先端を銅パイ
プの大径部に挿入してカシメ処理して示す要部拡大断面
図である。

【図４】本発明のアルミニュウムパイプを銅パイプの大
径部に挿入してフランジの重合部に加圧ロ−ラにより加
工を施す状態を示す断面図である。

【図５】本発明のアルミニュウムパイプのフランジと銅
パイプの大径部との圧着部を示す要部拡大断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 蒸発器 ２ アルミニュウムフィン ３ アルミニュウムパイプ ４ 銅パイプ ５ フランジ ６ 段部 ７ 段部 ８ 大径部 ９ 大径部 １０ カシメ １１ 重合部 １２ 加圧ロ−ラ １３ 凹溝 １４ 凸条

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 アルミニュウムパイプは挿入端部近くに
   膨出拡大された環鍔状のフランジを一体に形成し、銅パ
   イプの接続端部に奥端から開口側へ段階的に拡径する２
   段の大径部を形成し、前記銅パイプの奥端の大径部にア
   ルミニュウムパイプの先端を挿入してフランジを銅パイ
   プの開口側の大径部に挿入位置すると共に銅パイプの開
   口をカシメてアルミニュウムパイプを銅パイプに連結
   し、この状態で、アルミニュウムパイプのフランジの円
   周面と胴パイプが重合する箇所の前記銅パイプの外周面
   から周方向へ筋状に一周するように圧力を加え、前記銅
   パイプの加圧部の内面側を筋状に変形膨出させてアルミ
   ニュウムパイプのフランジの円周面を一周する筋状に圧
   着することにより構成したパイプの接続方法。
2. 【請求項２】 アルミニュウムパイプは挿入端部近くに
   膨出拡大された環鍔状のフランジを有し、銅パイプは接
   続端部に奥端から開口側へ段階的に拡径する２段の大径
   部を有し、前記アルミニュウムパイプの挿入端部を前記
   ２段の大径部に挿入して前記アルミニュウムパイプのフ
   ランジを銅パイプの開口側の大径部に位置し、フランジ
   の円周面と銅パイプとの重合部で胴パイプの外周面から
   周方向へ筋状に一周する圧力を加えて銅パイプの内面側
   へ変形膨出する筋状の凸条をアルミニュウムパイプの円
   周面を一周する筋状に食い込み圧着する接着部を設けて
   なることを特徴とするパイプの接続部の構造。