JPH0874535A - バルブタイミング可変装置 - Google Patents

バルブタイミング可変装置

Info

Publication number
JPH0874535A
JPH0874535A JP513295A JP513295A JPH0874535A JP H0874535 A JPH0874535 A JP H0874535A JP 513295 A JP513295 A JP 513295A JP 513295 A JP513295 A JP 513295A JP H0874535 A JPH0874535 A JP H0874535A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
shaft
cam
pin
pin member
valve timing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP513295A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3622244B2 (ja
Inventor
Eiichi Kamiyama
栄一 神山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP00513295A priority Critical patent/JP3622244B2/ja
Publication of JPH0874535A publication Critical patent/JPH0874535A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3622244B2 publication Critical patent/JP3622244B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Valve-Gear Or Valve Arrangements (AREA)
  • Valve Device For Special Equipments (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、軸の周方向に摺動可能な嵌合部材
の凹状係合部に、軸から突出可能なピン部材を係合させ
て軸と嵌合部材を結合させ、バルブタイミングを変化さ
せるバルブタイミング可変装置において、バルブタイミ
ングを変化させる時には、常に正規な係合位置でのピン
の係合を実現することを目的とする。 【構成】 ピン部材7を常に突出方向に付勢する第1付
勢手段と、バルブタイミングを変化させる時にピン部材
7を突出方向に付勢する第2付勢手段9とを具備し、嵌
合部材6の凹状係合部13は、ピン部材7の先端部の正
規の係合位置13bへ滑らかに通じる第1溝13cを有
し、第1付勢手段によってピン部材7に作用する第1付
勢力は、軸4と嵌合部材6とを結合させるほど大きくは
なく、第2付勢手段9によってピン部材7に作用する第
2付勢力と第1付勢力との和は、軸4と嵌合部材6とを
結合可能とする大きさである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カムシャフトに設けら
れたカムの動作を吸気バルブ又は排気バルブ等の機関バ
ルブへ伝達するか否かを選択可能としてバルブタイミン
グを切り換えるバルブタイミング可変装置に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンの低回転域における使いやすさ
即ち、低速高トルクを保持しつつ高速域におけるエンジ
ンの出力トルクの向上を図るために、プロフィールの異
なる低速用と高速用の2種類のカムをカムシャフトに設
け、エンジンの低速回転域では低速用カムで、高速回転
域では高速用カムでバルブを駆動する動弁機構がある。
このバルブタイミングを可変とする機構を具体的に述べ
るとカムプロフィールの異なる第1と第2のカムを常に
1つのバルブに接触するようにカムシャフトに設ける。
そして、第1のカムをカムシャフトに回転自在に取り付
けることで、第1のカムと形状が異なる第2のカムのタ
イミングでバルブを駆動する。他方、ピンで第1のカム
とカムシャフトを結合させることで第1のカムの形状に
伴うタイミングでバルブを駆動する。そして、機関の運
転状態に応じて、ピンでカムとカムシャフトを結合又は
それを解除することにより、バルブタイミングを切り換
えている。
【0003】このカムシャフトと第1のカムとをピンに
よって結合する方法として、カムシャフト内に設けた油
圧回路によりピンをカムロブ内に設けた凹状係合部に押
し出してカムシャフトとカムとを結合駆動している。し
かし、このカムシャフトはエンジンからの出力を受けて
常に高速で回転しているため、ピンが凹状係合部に係合
しにくいといった問題がある。特開昭62−13190
7号公報には、カムロブ側に設けた凹状係合部に常にピ
ンをカムシャフト内へ付勢するバネ部材が配置され、そ
れによりカムシャフト内へ押し込まれてカムシャフトと
共に回転するピンを油圧により凹状係合部に係合させる
際に、ピンがこのバネ部材を徐々に押圧してピンの先端
部が凹状係合部の正規の係合位置に達するように、凹状
係合部の円周方向の片側に正規の係合位置に通じる助走
溝を設けることが記載されている。このような構造によ
って、バルブタイミングを変化させるために、ピンが助
走溝上に移動する以前に油圧を作用させている場合に
は、ピンの先端部が確実に凹状係合部における正規の係
合位置に達し、ピンと凹状係合部との良好な係合を実現
することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
において、バネ部材によりカムシャフト内に押し込めら
れたピンが助走溝上の途中に位置している時にピンに油
圧を作用させると、ピンが凹状係合部の正規の係合位置
に対向するまでの時間で、ピンがバネ部材を十分に押圧
することができず、ピンの先端部が凹状係合部における
正規の係合位置に達する以前の中途半端な位置で係合を
開始しカムシャフトを回転させようとする。この状態で
カムシャフトとカムが回転するとピンに大きな力が働
き、この結果として、ピンに応力が集中し、耐久性悪化
や破損といった問題が生じる。
【0005】従って、本発明の目的は、軸の周方向に摺
動可能な嵌合部材の凹状係合部に、軸から突出可能なピ
ン部材を係合させることにより、軸と嵌合部材を結合さ
せてバルブタイミングを変化させるバルブタイミング可
変装置において、軸と嵌合部材とを結合させることを意
図する時には、常に正規な係合位置でのピンと凹状係合
部との良好な係合を実現することを可能とし、ピンの耐
久性悪化及び破損を防止することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明による請求項1に
記載のバルブタイミング可変装置は、軸の周方向に摺動
可能な嵌合部材の凹状係合部に、軸から突出可能なピン
部材を係合させることにより、軸と嵌合部材を結合させ
てバルブタイミングを変化させるバルブタイミング可変
装置において、前記軸と前記嵌合部材とを結合させるこ
とを意図しない時においても前記ピン部材を突出方向に
付勢する第1付勢手段と、前記軸と嵌合部材とを結合さ
せることを意図する時に前記ピン部材を突出方向に付勢
する第2付勢手段とを具備し、前記嵌合部材の凹状係合
部は、前記ピン部材が前記軸の動作に伴い前記凹状係合
部へ近づく側において、前記嵌合部材における前記軸と
の第1接触位置と前記ピン部材の先端部の正規の係合位
置とを滑らかに接続する第1溝を有し、前記第1付勢手
段によって前記ピン部材に作用する第1付勢力は、前記
ピンの先端部が前記係合位置に達する時でも、前記嵌合
部材に作用する外力に逆らって前記軸と前記嵌合部材と
を結合させるほど大きくはなく、前記第2付勢手段によ
って前記ピン部材に作用する第2付勢力と前記第1付勢
力との和は、前記ピンの先端部が前記係合位置に達する
時には、前記嵌合部材に作用する外力に逆らって前記軸
と前記嵌合部材とを結合可能とする大きさであることを
特徴とする。
【0007】本発明による請求項2に記載のバルブタイ
ミング可変装置は、請求項1に記載のバルブタイミング
可変装置において、前記嵌合部材の前記凹状係合部は、
さらに、前記ピン部材が前記軸の動作に伴い前記凹状係
合部から遠ざかる側において、前記ピン部材の先端部の
正規の係合位置と前記嵌合部材における前記軸との第2
接触位置とを滑らかに接続する第2溝を有し、前記第2
溝は前記係合位置側の第1傾斜面と前記第2接触位置側
の第2傾斜面とを有し、前記軸の動作に伴い前記ピン部
材によって前記第2溝へ作用する押圧力に対する反力に
おける前記ピン部材を前記軸へ押し込める方向の分力
が、前記第1付勢力と前記第2付勢力との和より小さく
なるように、前記第1傾斜面の角度が設定され、前記分
力が前記第1付勢力と前記第2付勢力との和より大きく
なるように、前記第2傾斜面の角度が設定されているこ
とを特徴とする。
【0008】本発明による請求項3に記載のバルブタイ
ミング可変装置は、請求項1に記載のバルブタイミング
可変装置において、前記軸がカムシャフトであり、前記
嵌合部材がカムであり、前記凹状係合部は、前記カムに
おいて、前記カムシャフト中心に対してカムノーズ部と
反対側の部分に形成されていることを特徴とする。
【0009】本発明による請求項4に記載のバルブタイ
ミング可変装置は、請求項1に記載のバルブタイミング
可変装置において、前記軸にはそれぞれが互いに異なる
開閉弁動作を機関バルブに与えるための少なくとも二つ
の嵌合部材が配置され、前記第2付勢手段は、前記軸と
前記二つの嵌合部材のうちの選択した一方とを結合させ
ることを意図する時に、前記一方の嵌合部材を前記軸に
結合させるための前記ピン部材だけを付勢する選択付勢
手段であることを特徴とする。
【0010】本発明による請求項5に記載のバルブタイ
ミング可変装置は、請求項4に記載のバルブタイミング
可変装置において、前記軸がロッカアーム軸であり、前
記二つの嵌合部材がカムシャフトに固定された二種類の
カムによってそれぞれ駆動されるフォロアであることを
特徴とする。
【0011】本発明による請求項6に記載のバルブタイ
ミング可変装置は、請求項4に記載のバルブタイミング
可変装置において、前記選択付勢手段は前記軸内の軸線
方向における二つの設定位置の間を往復運動可能なピス
トン部材を具備し、前記ピストン部材は、一方の設定位
置において、その両端部の一方が前記二つのピン部材の
一方をその突出方向に前記第2付勢力で付勢すると同時
に、他方のピン部材は前記ピストン部材の中央部に設け
られた凹みによって付勢されず、他方の設定位置におい
て、その両端部の他方が前記二つのピン部材の他方をそ
の突出方向に前記第2付勢力で付勢すると同時に、一方
のピン部材は前記ピストン部材の中央部に設けられた凹
みによって付勢されないことを特徴とする。
【0012】
【作用】前述の請求項1に記載のバルブタイミング可変
装置は、軸と嵌合部材を結合させるためのピン部材が、
この結合を意図しない時においても第1付勢手段によっ
て突出方向に付勢され、嵌合部材の凹状係合部には、軸
との第1接触位置からピン部材の正規の係合位置へ滑ら
かに接続された第1溝を有しているために、ピン部材の
先端部がこの第1溝に沿って移動して正規の係合位置へ
達する。第1付勢手段によってピン部材に作用する第1
付勢力は比較的小さいために、この時において、嵌合部
材に作用する外力に逆らって軸と嵌合部材とは結合され
ないが、嵌合部材と軸とを結合させるためにピン部材に
第2付勢力を作用させれば、この時にピン部材が第1溝
上に位置していても、ピン部材のストロークを急激に増
加させる必要はなく、ピン部材は第1溝に沿って確実に
凹状係合部の正規の係合位置に達する。
【0013】前述の請求項2に記載のバルブタイミング
可変装置は、請求項1に記載のバルブタイミング可変装
置において、嵌合部材の凹状係合部はその正規の係合位
置と嵌合部材における軸との第2接触位置とを滑らかに
接続する第2溝を有し、第1付勢手段による第1付勢力
だけがピン部材に作用する時には、ピン部材の先端部は
第1及び第2溝に沿って滑らかに凹状係合部を通過す
る。ピン部材の先端部がこの第2溝の係合位置側の第1
傾斜面上に位置する時には、軸の動作に伴いピン部材を
介して第2溝へ作用する押圧力に対する反力におけるピ
ン部材を軸へ引っ込める方向の分力が、第1付勢力と第
2付勢力との和より小さいために、この位置で第2付勢
手段により第2付勢力がピン部材に作用すると、嵌合部
材が軸の動作方向にわずかに進行してピン部材の先端部
が凹状係合部の正規の係合位置に係合し、嵌合部材と軸
とが結合される。また、ピン部材の先端部がこの第2溝
の第2接触位置側の第2傾斜面と接触する時には、前述
の分力が第1付勢力と第2付勢力との和より大きくなる
ために、第2付勢手段により第2付勢力がピン部材に作
用しても、ピン部材は軸内へ押し込められ、ピン部材の
先端部が凹状係合部の正規の係合位置と係合しようとし
て嵌合部材が軸の動作方向に大きく進行したり、ピン部
材が凹状係合部の中途半端な位置で係合することは防止
される。
【0014】前述の請求項3に記載のバルブタイミング
可変装置は、請求項1に記載のバルブタイミング可変装
置において、軸がカムシャフトであり、嵌合部材がカム
であり、凹状係合部は、カムにおいて、カムシャフト中
心に対してカムノーズ部と反対側の部分に形成されてい
るために、カムの凹状係合部近傍には、カムノーズ部に
より機関バルブを開弁する際の比較的大きな反力が作用
しない。
【0015】前述の請求項4に記載のバルブタイミング
可変装置は、請求項1に記載のバルブタイミング可変装
置において、軸にはそれぞれが互いに異なる開閉動作を
機関バルブに与えるための少なくとも二つの嵌合部材が
配置され、第2付勢手段は、軸と二つの嵌合部材のうち
の選択した一方とを結合させることを意図する時に、こ
の一方の嵌合部材を前記軸に結合させるための前記ピン
部材だけを付勢する選択付勢手段であるために、一方の
嵌合部材が軸と結合されている時は、他方の嵌合部材は
軸の周方向に摺動可能となっていて一方の嵌合部材によ
る機関バルブの開閉動作に影響を与えることはなく、二
つの嵌合部材により機関バルブに与えられる開閉動作を
自由に設定することができる。
【0016】前述の請求項5に記載のバルブタイミング
可変装置は、請求項4に記載のバルブタイミング可変装
置において、軸がロッカアーム軸であり、二つの嵌合部
材がカムシャフトに固定された二種類のカムによってそ
れぞれ駆動されるフォロアであり、選択付勢手段によっ
て、一方のフォロアだけがロッカアーム軸に結合され、
対応するカムの動作によりロッカアームが機関弁を開閉
動作させる。
【0017】本発明による請求項6に記載のバルブタイ
ミング可変装置は、請求項4に記載のバルブタイミング
可変装置において、選択付勢手段は軸内の軸線方向にお
ける二つの設定位置の間を往復運動可能なピストン部材
を具備し、このピストン部材を一方の設定位置にするこ
とにより、ピストン部材の両端部の一方によって二つの
ピン部材の一方がその突出方向に第2付勢力で付勢され
ると同時に、他方のピン部材はピストン部材の中央部に
設けられた凹みによって付勢されず、また他方の設定位
置にすることにより、ピストン部材の両端部の他方によ
って二つのピン部材の他方が第2付勢力で付勢されると
同時に、一方のピン部材はピストン部材の中央部に設け
られた凹みによって付勢されないために、二つの嵌合部
材のうちの一つだけを軸に結合させることが可能とな
る。
【0018】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。図1及び2は、本発明の第1実施例である
バルブタイミング可変装置の概略図であり、これらの図
において、バルブタイミング可変装置1は、バルブ2
と、このバルブ2の頂部に取り付けられたバルブリフタ
3と、このバルブリフタ3を駆動するカムシャフト4と
プライマリカム5、5’とセカンダリカム6から構成さ
れている。このプライマリカム5、5’はカムシャフト
4に固定されており、カムシャフト4が回転するのに同
期して回転するようになっている。一方、セカンダリカ
ム6とプライマリカム5、5’とはカムプロフィールの
形状が相違し、カムシャフト4に形成されたボール移動
孔12に沿ってカムシャフトの半径方向に移動可能な係
合ピンであるボール7の位置によって、回転するカムシ
ャフト4に対して結合又は回転自在とに切り換わるよう
になっている。これらのプライマリカム5、5’又はセ
カンダリカム6はカムシャフト4が回転することにより
バルブリフタ3を駆動し、バルブ2をリフト駆動するこ
とになる。
【0019】また、このカムシャフト4内には、ピスト
ン孔11を摺動可能なピストン9が備えられているとと
もに、カムシャフト4は図示しないカムシャフトベアリ
ングに回転可能に軸支されている。そして、カムシャフ
ト4およびカムシャフトベアリングに設けられた油路8
を通してカムシャフト4内に設けられたピストン9に油
圧Pが供給され、油圧Pによってピストン9の位置を制
御している。ボール7が係合するセカンダリカム6の凹
部13は、カムシャフト4の回転に伴いボール7が凹部
13へ近づく側において、セカンダリカムとカムシャフ
トとの第1接触位置13a及びボール7の正規の係合位
置であるその頂部13bを滑らかに接続する第1溝13
cと、カムシャフト4の回転に伴いボール7が凹部13
から遠ざかる側において、セカンダリカムとカムシャフ
トとの第2接触位置13d及びボール7の正規の係合位
置13bを滑らかに接続する第2溝13eとを有してい
る。
【0020】ピストン9は、油路8に油圧Pが供給され
ていないときには、リターンスプリング10のばね力に
より所定の係合離脱位置(図2のピストン9によって表
される位置)とされ、ピストン9の中央部に形成された
環状凹みによってボール7には油圧に伴うボール突出方
向の付勢力は作用しないようになっている。一方、油路
8に油圧Pが供給されているときには、リターンスプリ
ング10のバネ力に抗して所定の係合位置(図1のピス
トン9によって表される位置)に移動され、ピストン9
の端部によってボール7にはその突出方向の大きな付勢
力が作用する。また、前述の係合離脱位置からこの係合
位置に達するまでにおいても、環状凹みの傾斜面によっ
てボール7には油圧に伴うボール突出方向の付勢力が作
用するようになっている。油路Pは、機関の運転状態に
応じて、図示しないオイルポンプに接続される油圧経路
内に設けられた電磁油圧制御弁を電子制御ユニットによ
り開閉することによりON、OFF制御される。ここ
で、請求項1〜6のピン部材とは、本実施例においてボ
ール7に相当するものである。
【0021】ピストン9が係合離脱位置にある時のボー
ル7、セカンダリカム6、及びカムシャフト4の挙動が
図3(a)〜(d)に示されており、この時において、
ボール7は、カムシャフト4と共にカムシャフトの中心
回りに回転するために、第1付勢力として遠心力が作用
し、セカンダリカム6の凹部13と対向する位置におい
て、図3(b)に示すように、第1溝13cに沿って正
規の係合位置13bに達する。しかしながら、この遠心
力は比較的小さいものであるために、セカンダリカム6
がバルブリフタ3を押し下げることよりセカンダリカム
6に作用する反力に逆らって、セカンダリカム6とカム
シャフト4との結合を維持することはできず、図3
(c)に示すように、ボール7はカムシャフト4内に押
し込められ、カムシャフト4はセカンダリカム6に対し
て自在に回転する。
【0022】図3に示す状態から油路8を介してピスト
ン孔11に油圧が供給された時の挙動が図4(a)〜
(d)に示されている。何時の時点で油圧が作用したか
にかかわらず、ボール7には前述したように遠心力が作
用するために、ボール7はセカンダリカム6の凹部13
における正規の係合位置13bに達し、この時に、ボー
ル7に第2付勢力として油圧によるピストン9の押圧力
が既に作用していれば、この押圧力はかなり大きなもの
であるために、セカンダリカム6に作用する前述の反力
に逆らってセカンダリカム6とカムシャフト4との結合
は維持され、図4(c)〜(d)に示すように、セカン
ダリカム6によるバルブリフタ3を介してのバルブ駆動
が開始される。このように、ボール7は、常にセカンダ
リカム6の凹部13に沿って移動するために、例えば、
第1溝13c上で油圧が作用した場合において、ピン部
材がカムシャフト内に押し込められたまま回転する従来
のように、ボール7を凹部13の正規の係合位置に移動
させるために急激にボールのストロークを増加させる必
要はなく、何時の時点で油圧を作用させてもボール7と
凹部13との確実な係合を実現することができる。
【0023】このようにしてセカンダリカム6とカムシ
ャフト4とが結合された時の挙動を図5(a)〜(d)
に示す。また、この状態からピストン9への油圧の供給
を停止した時の挙動が図6(a)〜(d)に示されてお
り、バルブ閉弁中のセカンダリカム6へ作用する反力が
非常に小さい時には、ボール7に作用する前述の遠心力
によってセカンダリカム6とカムシャフト4との結合が
維持され、図6(a)〜(c)に示すように、セカンダ
リカム6のカムノーズ部がバルブリフタ3を押し下げる
直前までセカンダリカム6はカムシャフト4と共に回転
し、その後、図6(d)に示すように、ボール7の係合
が外れて、カムシャフト6は図3と同様にセカンダリカ
ム6に対して自在に回転する。
【0024】次に、遠心力によってセカンダリカム6の
凹部13に沿って移動するボール7が、凹部13の第2
溝13e上に位置する時に、油圧が作用する場合につい
て詳しく説明する。図7(a)はこの時の状態図であ
り、図7(b)はボール7とセカンダリカム6の第2溝
13eとの接触部近傍のS部拡大図である。図7(b)
において、第2溝13eは、凹部13におけるボール7
の正規の係合位置13b及びセカンダリカム6のカムシ
ャフトとの第2接触位置13dを滑らかに接続するため
のボール7より大きな所定半径を有する曲面Aと傾斜面
Bとから構成されている。
【0025】第2溝13eにおけるボール7との当接点
Rは、カムシャフト4の回転に伴いボール7によって当
接点Rとカムシャフト中心とを結ぶ方向に対して垂直方
向に押圧されている。この押圧力の方向と第2溝13e
とのなす角度をrとすると、この角度(以下、接触角)
rは、第2接触位置13d側のP点と正規の係合位置1
3b側のQ点において相違しており、P点での接触角を
1 、Q点での接触角をr2 とすると、両者にはr1
2 の関係が成り立つ。さらに、ボール7が第2溝13
eの曲面A上に位置する時には、常に、その接触角rは
2 より大きくなる。P点での力の関係を図8(a)
に、Q点での力の関係を図8(b)に示す。尚、図8
(a)及び(b)において、ボール7は見やすくするた
め実際より小さく表している。ここで、前述の押圧力
は、カムシャフト4の回転に伴うものであるために、ボ
ール7の第2溝13eに対する当接点Rの位置にかかわ
らず等しく、ボール7には常に所定の反力Fが作用す
る。この所定の反力Fは、第2溝13eを垂直方向に押
圧する第1分力Fqとボール7をカムシャフト4内へ押
し戻す方向の第2分力Fpとに分けられる。この時、接
触角rが小さいと図8(a)に示すように第2分力Fp
が大きくなり、接触角rが大きいと図8(b)に示され
るように第2分力Fpは小さくなる。つまり、接触角r
が小さくなればボール7をカムシャフト4内へ押し戻す
力Fpは大きくなり、接触角rが大きくなれば押し戻す
力Fpは小さくなる。
【0026】図8(c)は接触角rとカムシャフト4内
へボール7を押し戻す力Fpの関係を示す。尚、前述の
遠心力と油圧力とによってカムシャフト中心から外側へ
ボール7を押し出す力をF0 とし、R点を基準としてカ
ムシャフト中心とした回転方向へどれくらいずれたかを
示すずれ量をθとする。ここで、図8(c)は係合部同
志の位相のずれθに応じたボールを押し戻す力Fpと押
し出す力F0 との関係を示したものである。これを見る
と、凹部13の第2溝13eにおいて、位相差θがθ>
|θ2 |、θ>|θ1 |のときにはFp>F0 となり現
時点においてボール7がカムシャフト4内に押し戻さ
れ、カムシャフト4とセカンダリカム6とは結合され
ず、ボール7が次に凹部13に達した時に結合される。
また位相差θがθ2 <θ<θ1 のときにはFp<F0
なり、θ=0のときF0 −Fpが正の値でかつ最大とな
るため、セカンダリカム6がわずかに回転して、ボール
7が正規の係合位置13bに係合し、カムシャフト4と
セカンダリカム6が一体となって回転することになる。
また、油圧Pが作用していない時には遠心力だけの力F
1 となり、常に、ボール7が固定されずに回転し続け
る。
【0027】従来技術では、第2溝の角度設定におい
て、このようなことが考慮されていないために、第2溝
における位相差θが比較的大きい位置でピン部材に油圧
が作用する時に、前述のFpが小さくなり、この位置で
ピン部材と凹部とが係合してセカンダリカムとカムシャ
フトとの不完全な結合をもたらしたり、また、ボール7
が凹部13の正規の係合位置に係合しようとしてセカン
ダリカム6を急激に回転させて非常に大きなカム(バル
ブ運動)加速度が発生し、バルブのジャンプ等異常運動
を引き起こす恐れがある。上記実施例では、図8(c)
の力関係図からわかるように微小角度のずれでは正規の
係合位置13bへ瞬時に戻り、油圧Pの掛かるタイミン
グが少しでも遅れると1回係合を見送ってから次のサイ
クルに確実に係合するために、前述のバルブの異常運動
を防止することができる。
【0028】図9に本発明の第2実施例を示す。第1実
施例との違いは、図7(b)との比較から明確なよう
に、第2溝13eの傾斜面が、異なる傾斜角度を有する
第1及び第2傾斜面B’,C’から構成されていること
である。ボール7に作用する遠心力及び油圧力を考慮し
て、前述の考え方に基づき、第1傾斜面B’は、それ上
にボール7が位置する場合には、油圧が作用してもボー
ル7をカムシャフト4内へ確実に押し戻すように角度設
定され、第2傾斜面C’は、それ上にボール7が位置す
る場合には、油圧が作用する時にボール7を確実に正規
の係合位置に係合させるように、角度設定されている。
それにより、ボール7が第2溝上に位置する時に油圧が
作用する場合において、セカンダリカム6とカムシャフ
ト4とを結合させるか否かが第1傾斜面B’と第2傾斜
面C’とで明確に区別され、結合に際しての前述の問題
を確実に防止することができる。
【0029】図10に本発明の第3実施例を示す。これ
は、前記第1実施例のバルブタイミング可変装置のボー
ル7及び凹部13を複数設けたもので、係合可能な位相
はカムシャフト1回転に1回のみである。このように複
数係合部を設けることにより、係合部1つ当たりの回転
拘束力が軽減できるため、ピストンに作用する油圧を小
さくすることができる。
【0030】図11に本発明の第4実施例を示す。これ
は、請求項3のバルブタイミング可変装置であり、第1
実施例と同様に、セカンダリカムやプライマリカムに適
用することにより、第1実施例と同様の効果が生じるこ
とはいうまでもなく、第4実施例では、バルブを駆動す
るカムプロフィール部分であるカムノーズ部のカムシャ
フト中心軸に対して反対側に凹部13を設けている。そ
の結果、一般的に、バルブを駆動するときに生じる反作
用としてカムノーズがカムシャフト側に付勢力により押
されることになるが、第4実施例のような構成とするこ
とにより、カムとカムシャフトとの接触する面積を大き
くすることができ、面圧を低減することができるため、
係合部の耐久性向上を図ることができる。
【0031】図12、13、14、及び15に本発明の
第5実施例を示す。本実施例は、カムがロッカアームを
介してバルブを駆動する動弁機構に本発明を適用した場
合である。図12において、20はロッカアーム軸であ
り、それには二つの機関バルブ2を同時に駆動するため
の第1及び第2ロッカアーム21a,21bが固定され
ている。第1及び第2ロッカアーム21a,21bの間
において、ロッカアーム軸20には、第1及び第2フォ
ロア22a,22bが揺動可能に嵌合されている。図1
2の分解斜視図である図13に示すように、第1及び第
2フォロア22a,22bと中空のロッカアーム軸20
との間に前述同様な第1及び第2ボール23a,23b
とピストン24とを使用する係合機構が設けられてい
る。ロッカアーム軸20内へピストン24を挿入するた
めの開口部20aは、蓋部材25により密閉される。ロ
ッカアーム軸20の第1及び第2ロッカアーム21a,
21bの両側に形成された孔26a,26bは、ロッカ
アーム軸20内に位置するピストン24の両端へ油圧を
提供するための油供給孔である。
【0032】図14に示すように、第1及び第2フォロ
ア22a,22bの先端上部には、カムシャフト27に
固定された異なるプロフィールを有する第1及び第2カ
ム28a,28bが当接し、第1及び第2フォロア22
a,22bがそれぞれ異なる揺動動作を行うようになっ
ている。本実施例のバルブタイミング可変装置は、前述
同様な係合機構を使用していずれか一方のフォロア22
a又は22bをロッカアーム軸20に結合させることに
より、バルブタイミングを変化させるものである。
【0033】図15はロッカアーム軸20の長手方向部
分断面図である。同図に示すように、ロッカアーム軸2
0の両端部は軸受け29a,29bによって回動可能に
支持されている。ロッカアーム軸20内の空間におい
て、ピストン24は、この空間内に形成された第1スト
ッパ30aと、前述の蓋部材に形成された第2ストッパ
30bとによって両端の位置が規制され、前述の油供給
孔26a,26bの一方から作動油を供給することによ
り他方の油供給孔から作動油が排出され、ピストン24
は、図15(a)及び(c)に示すような第1及び第2
所定位置の間を移動するようになっている。図15
(b)は第1及び第2所定位置の間の中間位置を示して
いる。このようなピストン24の移動に際して、ピスト
ン24の両端部24a,24bは、ロッカアーム軸20
内の空間を油密に摺動し、作動油がピストン24の中央
部に設けられた環状凹み24cに侵入しないようになっ
ている。
【0034】図15(a)に示されたピストン24の第
1所定位置において、第1ボール23aがピストン24
の一方の端部24aによってロッカアーム軸20から強
制的に押し出されて第1フォロア22aの凹部に係合
し、第1フォロア22aとロッカアーム軸20とが結合
される一方で、ピストン24の中央部に設けられた環状
凹み24cによって第2ボール23bには突出方向の付
勢力は作用せず、第2フォロア22bとロッカアーム軸
20とは結合されないために、第1カム27aの動作に
よりバルブが駆動される。
【0035】また、図15(C)に示されたピストン2
4の第2所定位置において、第2ボール23bがピスト
ン24の他方の端部24bによってロッカアーム軸20
から強制的に押し出されて第2フォロア22bの凹部に
係合し、第2フォロア22bとロッカアーム軸20とが
結合される一方で、ピストン24の中央部に設けられた
環状凹み24cによって第1ボール23aには突出方向
の付勢力は作用せず、第1フォロア22aとロッカアー
ム軸20とは結合されないために、第2カム27bの動
作によりバルブが駆動される。ピストン24は、一方の
所定位置から他方の所定位置に切り換わる途中で、図1
5(B)に示すように第1及び第2ボール23a,23
bの両方を突出方向に付勢しない状態があるために、両
方のフォロアが瞬間的においても同時にロッカアーム軸
20に結合されることはない。
【0036】第1及び第2フォロア22a,22bに形
成された凹部は、詳細には図示されていないが、第1又
は第2実施例で説明したと同様な形状を有しており、第
1及び第2ボール23a,23bとの係合に際して、第
1溝によって、何時の時点で油圧を作用させても、ボー
ルと凹部との確実な係合を実現することができると共
に、第2溝によって、フォロアの急激な回動に伴うバル
ブのジャンプ等異常運動は防止される。
【0037】前述した第1実施例のように、プライマリ
カムが固定されたカムシャフトに対してセカンダリカム
を結合又は摺動可能とすることにより、バルブタイミン
グを変化させる機構においては、プライマリカムのカム
ノーズ部の形状は、カムシャフトに結合されたセカンダ
リカムのカムノーズ部の形状に対して投影的に突出する
部分がないように選択されなければならない。なぜな
ら、セカンダリカムがカムシャフトに結合されている場
合においてもプライマリカムはカムシャフトと共に回転
するものであり、プライマリカムに前述した突出部分が
存在すると、この突出部分がセカンダリカムによる機関
バルブの開閉動作に影響を与えるためである。このよう
に、プライマリカムとセカンダリカムのプロフィール
は、自由に選択することができず、例えば、機関バルブ
の開弁時期及び閉弁時期を同時に早めるようにバルブタ
イミングを変化させることはできない。
【0038】しかしながら、本実施例においては、機関
バルブに異なる開閉動作を与える第1及び第2フォロア
22a,22bは、その一方がロッカアーム軸20に結
合されている時には、他方がロッカアーム軸20に対し
て揺動自在となっているために、カムシャフトに固定さ
れた二つのカムのプロフィールは、互いに影響されるこ
となく自由に選択することができ、二種類のバルブタイ
ミングを自在に設定することが可能となる。
【0039】図16は本発明の第6実施例を示してお
り、第5実施例との違いは、ピストン24を一方の所定
位置方向に付勢する弾性部材、例えばバネ31が、ピス
トン24をこの所定位置方向に付勢するための油圧を提
供する油圧系の代わりに設けられていることである。こ
のような構造によっても前述同様なピストン24の動作
を実現することができ、油圧系26は一つとなるため
に、第5実施例に比較して構造を簡単化することができ
る。
【0040】第5実施例において、ピストン24の両端
に油圧を作用させないようにすれば、機関バルブを開弁
させる際の反力によって第1及び第2フォロア22a,
22bはロッカアーム軸20に対して自在に回動するよ
うになり、ピストン24の位置は、図15(b)に示す
ような中間位置となる。この時には、第5実施例の構造
では機関バルブは閉弁状態に維持される。しかしなが
ら、第5実施例において、カムシャフト27に,一方の
ロッカアーム21a又は21bに当接して第1及び第2
カム28a,28bのカムノーズ部に対して投影的に突
出する部分がないように形状が選択された第3カムを追
加することにより、ピストン24が第1所定位置にある
時には第1カムにより機関バルブが駆動され、ピストン
24が第2所定位置にある時には第2カムにより機関バ
ルブが駆動され、さらに、ピストン24が中間位置にあ
る時には第3カムにより機関バルブが駆動され、このよ
うに三段階にバルブタイミングを変化させることが可能
となる。もちろん、第6実施例においても、ピストン2
4を中間位置とする弾性部材31の付勢力と等しい値と
なるように油圧を制御することで、ピストン24を中間
位置に維持させることができ、カムシャフトに同様な第
3カムを設ければ、三段階のバルブタイミングの切り換
えが実現できる。
【0041】第5及び第6実施例に示した、二つのフォ
ロアのいずれかをロッカアーム軸に結合させる構造は、
もちろん、カムシャフトに回転自在に嵌合するように設
けられた二つのカムに適用させることも可能である。ま
た、カムシャフト又はロッカアーム軸に、回転又は揺動
自在な単一のカム又はフォロアを嵌合させ、第1及び第
2実施例において説明した係合機構を設けることで、機
関運転中に機関バルブを意図的に閉弁状態とさせること
も可能である。このようなバルブタイミング可変機構
を、ヘリカルポートとストレートポートがそれぞれ吸気
バルブを介して燃焼室に通じる内燃機関のストレートポ
ート側の吸気バルブに適用すれば、機関低負荷時におい
て、ストレートポート側の吸気バルブを閉弁状態とする
ことができ、ストレートポートにスワール制御弁を設け
なくても、吸気はヘリカルポートだけを通り燃焼室内へ
供給され、燃焼室内に強いスワールを生成することが可
能となる。
【0042】これまで説明した全ての実施例において、
カムシャフト又はロッカアーム軸等の軸に、カム又はフ
ォロア等の嵌合部材を結合又は結合解除させるための軸
から突出する部材としてボールを使用したが、これは本
発明を限定するものではなく、第1実施例の変更実施例
として図17に示す第7実施例のように、ボールに代え
て角柱部材7’を使用しても、第1付勢力としてこの角
柱部材7’に作用する遠心力によって角柱部材7’は、
嵌合部材6’の第1溝13c’及び第2溝13e’を有
する凹状係合部13’に沿って移動し、何時の時点で第
2付勢力としての油圧が角柱部材7’に作用しても、角
柱部材7’を凹状係合部13’の正規の係合位置13
b’に、嵌合部材6’の異常に大きな回動動作を伴わず
に、確実に係合させることができる。また、全ての実施
例において、ボール又は角柱部材等のピン部材に作用さ
せる第1付勢力は遠心力を利用したが、もちろん、適当
な大きさの油圧力、バネ又はゴム等による弾性力、又は
電磁力等の力を利用することも可能であり、これは実施
例において油圧とされた第2付勢力にも言えることであ
る。
【0043】
【発明の効果】このように、本発明による請求項1に記
載のバルブタイミング可変装置によれば、軸と嵌合部材
を結合させるためのピン部材が、軸と嵌合部材とを結合
させることを意図しない時にも、第1付勢手段によって
突出方向に付勢され、嵌合部材の凹状係合部に設けられ
たピン部材の正規の係合位置へ滑らかに接続された第1
溝に沿って移動するために、比較的小さな第1付勢力し
かピン部材に作用していない時には、嵌合部材に作用す
る外力に逆らって軸と嵌合部材とは結合されないが、ピ
ン部材に第2付勢力を作用させると、この時にピン部材
が第1溝上に位置していても、ピン部材はストロークを
急激に増加させることなく第1溝に沿って確実に凹状係
合部の正規の係合位置に達し、ピン部材が凹状係合部の
中途半端な位置で係合して、ピン部材に大きな力が作用
し、ピン部材が破損したり、また耐久性が悪化したりす
ることは防止される。
【0044】また、請求項2に記載のバルブタイミング
可変装置によれば、前述した請求項1に記載のバルブタ
イミング可変装置の効果に加えて、嵌合部材の凹状係合
部はその正規の係合位置と嵌合部材における軸との第2
接触位置とを滑らかに接続する第2溝を有し、ピン部材
の先端部がこの第2溝の係合位置側の第1傾斜面上に位
置する時に第2付勢力がピン部材に作用すると、軸の動
作に伴いピン部材を介して第2溝へ作用する押圧力に対
する反力におけるピン部材を軸へ引っ込める方向の分力
が、この時には第1付勢力と第2付勢力との和より小さ
いために、嵌合部材が軸の動作方向にわずかに進行して
ピン部材の先端部が凹状係合部の正規の係合位置に係合
し、嵌合部材と軸とが結合される。また、ピン部材の先
端部がこの第2溝の第2接触位置側の第2傾斜面上に位
置する時に第2付勢力がピン部材に作用すると、前述の
分力が第1付勢力と第2付勢力との和より大きくなるた
めに、ピン部材は、軸内へ押し込められて軸と共に回動
し、その後、第1溝に沿って凹状係合部の正規の係合位
置に係合し、嵌合部材と軸とが結合される。それによ
り、ピン部材が第2溝の第2傾斜面上に位置する時に第
2付勢力が作用する場合に、ピン部材が軸内へ押し込ま
れずにこの位置で凹状係合部に係合して、ピン部材に大
きな力が作用し、ピン部材が破損したり、また、ピン部
材の先端部が凹状係合部の正規の係合位置と係合しよう
として嵌合部材が軸の動作方向に大きく進行して、バル
ブが急激に開弁される等のバルブの異常運動を引き起こ
すことは防止される。
【0045】また、請求項3に記載のバルブタイミング
可変装置によれば、前述した請求項1に記載のバルブタ
イミング可変装置の効果に加えて、軸がカムシャフトで
あり、嵌合部材がカムであり、凹状係合部は、カムにお
いて、カムシャフト中心に対してカムノーズ部と反対側
の部分に形成されているために、カムノーズ部により機
関バルブを開弁する際の比較的大きな反力が作用するカ
ムのおけるカムシャフトとの接触面は、その面圧が凹部
によって増大することはなく、カムの耐久性が悪化する
ことは防止される。
【0046】また、請求項4に記載のバルブタイミング
可変装置によれば、前述した請求項1に記載のバルブタ
イミング可変装置の効果に加えて、軸にはそれぞれが互
いに異なる開閉動作を機関バルブに与えるための少なく
とも二つの嵌合部材が配置され、第2付勢手段は、軸と
二つの嵌合部材の一方とを結合させることを意図する時
に、この一方の嵌合部材を軸に結合させるためのピン部
材だけを付勢する選択付勢手段であるために、一方の嵌
合部材が軸と結合されている時は、他方の嵌合部材は軸
の周方向に摺動可能となっており、二つの嵌合部材によ
り機関バルブに与えられる開閉動作を自由に設定するこ
とができ、バルブ開弁及び閉弁時期を同時に早めるよう
にバルブタイミングを変化させることが可能となる。
【0047】また、請求項5に記載のバルブタイミング
可変装置によれば、前述した請求項4に記載のバルブタ
イミング可変装置の効果に加えて、軸がロッカアーム軸
であり、二つの嵌合部材がカムシャフトに固定された二
種類のカムによってそれぞれ駆動されるフォロアであ
り、選択付勢手段によって、一方のフォロアだけがロッ
カアーム軸に結合され、対応するカムの動作によりロッ
カアームが機関弁を開閉動作させるために、結合解除さ
れた場合においてフォロアはロッカアーム軸に対して揺
動するものであり、カムシャフトに対して回転するカム
に比較して摺動面の磨耗が少なく、この装置全体の耐久
性を向上させることができる。
【0048】また、請求項6に記載のバルブタイミング
可変装置によれば、前述した請求項4に記載のバルブタ
イミング可変装置の効果に加えて、選択付勢手段は軸内
の軸線方向における二つの設定位置の間を往復運動可能
なピストン部材を具備し、このピストン部材を一方の設
定位置にすることにより、ピストン部材の両端部の一方
によって二つのピン部材の一方がその突出方向に第2付
勢力で付勢されると同時に、他方のピン部材はピストン
部材の中央部に設けられた凹みによって付勢されず、ま
た他方の設定位置にすることにより、ピストン部材の両
端部の他方によって二つのピン部材の他方が第2付勢力
で付勢されると同時に、一方のピン部材はピストン部材
の中央部に設けられた凹みによって付勢されないため
に、比較的簡単な構造で二つの嵌合部材のうちの一つだ
けを軸に結合させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるバルブタイミング可変装置の第1
実施例におけるセカンダリカムとカムシャフトとの結合
状態を示す概略図である。
【図2】本発明によるバルブタイミング可変装置の第1
実施例におけるセカンダリカムとカムシャフトとの回転
自在状態を示す概略図である。
【図3】本発明によるバルブタイミング可変装置の第1
実施例における回転自在状態の時の挙動図である。
【図4】本発明によるバルブタイミング可変装置の第1
実施例における回転自在状態から結合状態となる時の挙
動図である。
【図5】本発明によるバルブタイミング可変装置の第1
実施例における結合状態の時の挙動図である。
【図6】本発明によるバルブタイミング可変装置の第1
実施例における結合状態から回転自在状態となる時の挙
動図である。
【図7】本発明によるバルブタイミング可変装置の第1
実施例における凹状係合部の形状を示す図であり、
(a)は全体図、(b)は(a)のS部拡大図である。
【図8】本発明によるバルブタイミング可変装置の第1
実施例における第2溝上に位置するボールに作用する力
関係を説明する図であり、(a)はボールの第2溝に対
する接触角が小さい場合、(b)はボールの第2溝に対
する接触角が大きい場合、(c)は接触角とボールを押
し戻す力との関係を示すグラフである。
【図9】本発明によるバルブタイミング可変装置の第2
実施例における図7に相当する凹状係合部の形状を示す
図である。
【図10】本発明によるバルブタイミング可変装置の第
3実施例におけるボール係合時の図である。
【図11】本発明によるバルブタイミング可変装置の第
4実施例におけるボール係合時の図である。
【図12】本発明によるバルブタイミング可変装置の第
5実施例を示す斜視図である。
【図13】図12の分解斜視図である。
【図14】図12の側面図である。
【図15】図12のロッカアーム軸の長手方向断面図で
ある。
【図16】本発明によるバルブタイミング可変装置の第
6実施例を示す図15に相当する図である。
【図17】本発明によるバルブタイミング可変装置の第
7実施例を示す図7に相当する図であり、(a)は全体
図、(b)は(a)のU部拡大図である。。
【符号の説明】
1…バルブタイミング可変装置 2…バルブ 3…バルブリフタ 4…カムシャフト 5,5’…プライマリカム 6…セカンダリカム 7…ボール 8…油路 9…ピストン 10…リターンスプリング 11…ピストン孔 12…ボール移動孔 13…凹部 20…ロッカアーム軸 21a…第1ロッカアーム 21b…第2ロッカアーム 22a…第1フォロア 22b…第2フォロア 23a…第1ボール 24…ピストン 27…カムシャフト 28a…第1カム 28b…第2カム 31…弾性部材

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸の周方向に摺動可能な嵌合部材の凹状
    係合部に、軸から突出可能なピン部材を係合させること
    により、軸と嵌合部材とを結合させてバルブタイミング
    を変化させるバルブタイミング可変装置において、前記
    軸と前記嵌合部材とを結合させることを意図しない時に
    おいても前記ピン部材を突出方向に付勢する第1付勢手
    段と、前記軸と前記嵌合部材とを結合させることを意図
    する時に前記ピン部材を突出方向に付勢する第2付勢手
    段とを具備し、前記嵌合部材の凹状係合部は、前記ピン
    部材が前記軸の動作に伴い前記凹状係合部へ近づく側に
    おいて、前記嵌合部材における前記軸との第1接触位置
    と前記ピン部材の先端部の正規の係合位置とを滑らかに
    接続する第1溝を有し、前記第1付勢手段によって前記
    ピン部材に作用する第1付勢力は、前記ピンの先端部が
    前記係合位置に達する時でも、前記嵌合部材に作用する
    外力に逆らって前記軸と前記嵌合部材とを結合させるほ
    ど大きくはなく、前記第2付勢手段によって前記ピン部
    材に作用する第2付勢力と前記第1付勢力との和は、前
    記ピンの先端部が前記係合位置に達する時には、前記嵌
    合部材に作用する外力に逆らって前記軸と前記嵌合部材
    とを結合可能とする大きさであることを特徴とするバル
    ブタイミング可変装置。
  2. 【請求項2】 前記嵌合部材の前記凹状係合部は、さら
    に、前記ピン部材が前記軸の動作に伴い前記凹状係合部
    から遠ざかる側において、前記ピン部材の先端部の正規
    の係合位置と前記嵌合部材における前記軸との第2接触
    位置とを滑らかに接続する第2溝を有し、前記第2溝は
    前記係合位置側の第1傾斜面と前記第2接触位置側の第
    2傾斜面とを有し、前記軸の動作に伴い前記ピン部材に
    よって前記第2溝へ作用する押圧力に対する反力におけ
    る前記ピン部材を前記軸へ押し込める方向の分力が、前
    記第1付勢力と前記第2付勢力との和より小さくなるよ
    うに、前記第1傾斜面の角度が設定され、前記分力が前
    記第1付勢力と前記第2付勢力との和より大きくなるよ
    うに、前記第2傾斜面の角度が設定されていることを特
    徴とする請求項1に記載のバルブタイミング可変装置。
  3. 【請求項3】 前記軸がカムシャフトであり、前記嵌合
    部材がカムであり、前記凹状係合部は、前記カムにおい
    て、前記カムシャフト中心に対してカムノーズ部と反対
    側の部分に形成されていることを特徴とする請求項1に
    記載のバルブタイミング可変装置。
  4. 【請求項4】 前記軸にはそれぞれが互いに異なる開閉
    弁動作を機関バルブに与えるための少なくとも二つの嵌
    合部材が配置され、前記第2付勢手段は、前記軸と前記
    二つの嵌合部材のうちの選択した一方とを結合させるこ
    とを意図する時に、前記一方の嵌合部材を前記軸に結合
    させるための前記ピン部材だけを付勢する選択付勢手段
    であることを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミ
    ング可変装置。
  5. 【請求項5】 前記軸がロッカアーム軸であり、前記二
    つの嵌合部材がカムシャフトに固定された二種類のカム
    によってそれぞれ駆動されるフォロアであることを特徴
    とする請求項4に記載のバルブタイミング可変装置。
  6. 【請求項6】 前記選択付勢手段は前記軸内の軸線方向
    における二つの設定位置の間を往復運動可能なピストン
    部材を具備し、前記ピストン部材は、一方の設定位置に
    おいて、その両端部の一方が前記二つのピン部材の一方
    をその突出方向に前記第2付勢力で付勢すると同時に、
    他方のピン部材は前記ピストン部材の中央部に設けられ
    た凹みによって付勢されず、他方の設定位置において、
    その両端部の他方が前記二つのピン部材の他方をその突
    出方向に前記第2付勢力で付勢すると同時に、一方のピ
    ン部材は前記ピストン部材の中央部に設けられた凹みに
    よって付勢されないことを特徴とする請求項4に記載の
    バルブタイミング可変装置。
JP00513295A 1994-06-30 1995-01-17 バルブタイミング可変装置 Expired - Fee Related JP3622244B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP00513295A JP3622244B2 (ja) 1994-06-30 1995-01-17 バルブタイミング可変装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14916594 1994-06-30
JP6-149165 1994-06-30
JP00513295A JP3622244B2 (ja) 1994-06-30 1995-01-17 バルブタイミング可変装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0874535A true JPH0874535A (ja) 1996-03-19
JP3622244B2 JP3622244B2 (ja) 2005-02-23

Family

ID=26339039

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP00513295A Expired - Fee Related JP3622244B2 (ja) 1994-06-30 1995-01-17 バルブタイミング可変装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3622244B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006299875A (ja) * 2005-04-19 2006-11-02 Honda Motor Co Ltd 内燃機関の動弁装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006299875A (ja) * 2005-04-19 2006-11-02 Honda Motor Co Ltd 内燃機関の動弁装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP3622244B2 (ja) 2005-02-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0588336B1 (en) Valve operating device for an internal combustion engine
US6427653B1 (en) System for driving and controlling CAM for internal combustion engine
JPH01294907A (ja) 内燃機関の弁作動状態切換装置
JP2002021517A (ja) 4サイクルエンジンの動弁装置
JP3200131B2 (ja) エンジンの弁作動装置
JP5850202B2 (ja) 多気筒エンジンの動弁装置
JPH08177427A (ja) エンジンの弁作動装置
JPH10317928A (ja) エンジンの弁作動装置
US8109245B2 (en) Variable valve apparatus
JPH0874535A (ja) バルブタイミング可変装置
US10018082B2 (en) Variable valve mechanism
JP2586163B2 (ja) アーム中継式往復動装置
JP3310513B2 (ja) 内燃機関の動弁装置
JPH09256827A (ja) エンジンの動弁装置
JPH0523763Y2 (ja)
JPH05321622A (ja) エンジンの弁作動装置
JPH0693820A (ja) 内燃機関の動弁装置
JP2599698B2 (ja) 内燃機関の動弁装置
JPH0455207Y2 (ja)
JPH0693821A (ja) 内燃機関の動弁装置
JPH0366489B2 (ja)
JPH0523764Y2 (ja)
JP3357487B2 (ja) エンジンの弁作動装置
JPH02223616A (ja) エンジンの弁作動装置
JP2848683B2 (ja) 内燃機関の動弁装置

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040727

A521 Written amendment

Effective date: 20040921

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20041102

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20041115

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees