JPH0873735A - 光学部品用ポリアミド樹脂組成物、および光通信用部品 - Google Patents

光学部品用ポリアミド樹脂組成物、および光通信用部品

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JPH0873735A
JPH0873735A JP6214752A JP21475294A JPH0873735A JP H0873735 A JPH0873735 A JP H0873735A JP 6214752 A JP6214752 A JP 6214752A JP 21475294 A JP21475294 A JP 21475294A JP H0873735 A JPH0873735 A JP H0873735A
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JP
Japan
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polyamide resin
earth element
optical
rare earth
resin composition
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JP6214752A
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English (en)
Inventor
Shinji Aramaki
晋司 荒牧
Manabu Kawa
学 加和
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Structures Or Materials For Encapsulating Or Coating Semiconductor Devices Or Solid State Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 希土類元素を高濃度で、均一に含有してな
り、従来にない成形加工性と耐熱性を有し、かつ、簡便
な方法で製造可能な光学部品用材料、この材料の製造方
法、およびこれら材料から成形された光学部品を提供す
ること。 【構成】 希土類元素陽イオンを0.01〜25重量%
含有するポリアミド樹脂よりなり、この希土類元素陽イ
オンの吸収波長を除く1300〜1550nmの波長領
域での3mm厚さに光線透過率が、50%以上であるポ
リアミド樹脂組成物。 【効果】 上記目的が達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学部品用ポリアミド
樹脂組成物、および光通信用部品に関する。詳しくは、
希土類元素陽イオンを含有するポリアミド樹脂よりな
り、特に、近赤外領域の光に対して優れた透明性を有す
る光学部品用ポリアミド樹脂組成物、その製造方法、お
よびその用途に関する。本発明の樹脂組成物は、希土類
元素陽イオン由来の特定波長の光の吸収とこれに伴う蛍
光の発生、または高屈折率を有する等の特徴を持ち、光
増幅器を始めとする光通信用部品、非線形光学材料、レ
ンズ等の幅広い光学分野で利用される。
【0002】
【従来の技術】従来、光学分野で製品を製造するのに使
用される材料は、無機ガラスが圧倒的に多かった。これ
は、無機ガラスの持つ広い波長領域での優れた光線透過
率、耐熱性、耐薬品性、耐水性、表面硬度、耐摩耗性、
低い線膨張係数等の特性によるものである。近年、有機
高分子材料の製造技術の進歩により、アクリル系樹脂、
スチレン系樹脂、および芳香族ポリカーボネート系樹脂
のような透明非晶性の熱可塑性樹脂が開発され、無機ガ
ラスにない特徴、例えば優れた成形加工性、軽量性、靱
性等を生かした用途、例えばカメラや眼鏡用レンズ材
料、自動車のヘッドランプカバー材料等のとしての用途
が広がりつつあるが、かかる汎用用途においては、今な
お、長い使用実績のある無機ガラスが、主流を占めてい
る。
【0003】一方、新しい分野、例えば光通信や電子情
報等の分野では、光伝達時の損失(信号強度の低下)の
増幅機能や波長変換機能等において、従来の無機ガラス
にはない性質を有する光学材料が求められている。かか
る機能化の実現には、一般にこれら機能を発揮する元素
や分子構造単位を導入することが必要であり、材料への
混合または化学的変性がなされるが、無機材料では有機
高分子材料に比べ、かかる機能化または複合化への適応
性の点で十分ではなかった。
【0004】最近、光ファイバ増幅器材料として、エル
ビウム等の希土類元素の陽イオンを添加した無機ガラス
が注目されている(例えば、エレクトロニクス,199
0年9月号,56〜60ページ、またはOPTRONI
CS,1990年11号,47〜53参照)。これは、
エルビウム陽イオン原子中の電子の可視〜近赤外領域の
光線による励起と、約1.5μmの波長の蛍光発生現象
を応用したものである。しかし、無機ガラスをマトリッ
クスとした場合には、エルビウム陽イオンの溶解度が比
較的低いため、たかだか数100ppmの添加でこの陽
イオンの会合によるクラスター形成が顕著となり、これ
以上添加しても逆に励起効率の減少、即ち光増幅機能の
頭打ち現象が見られるという欠点があった。また、無機
ガラス材料であるため、靱性や成形加工性は必ずしも満
足できるものではなかった。
【0005】こうした欠点を改善する目的で、例えば1
991年度電子情報通信学会予稿集4−232等には、
金属アルコキシドと希土類元素の塩化物を原料とし、均
質な溶液中での加水分解縮合反応により、高濃度かつ均
一に希土類元素を含む石英膜を得る方法が開示されてい
る。しかし、かかる方法ではクラッキングや基板から石
英膜の剥離が生ずるため、基板に厚い石英膜を成形する
のは難しいなどの成形加工上の問題があった。
【0006】他方、有機高分子材料への希土類元素陽イ
オンの添加も検討されている。例えば、特開平5−86
189号公報には、有機基を有するクロロシラン類と希
土類元素の塩化物を原料として得られる希土類元素が、
高分子鎖中に取り込まれたポリシロキサンが開示されて
いる。また、特開平5−88026号公報には、希土類
元素のアセチルアセトン錯体のような有機溶媒への溶解
性や耐酸化性に優れた錯体を、ポリアクリレートやポリ
シロキサン中に含む材料が開示されている。更に、高分
子学会予稿集,Vol.43(1),29(1994)
には、アクリル酸やメタクリル酸のような重合性有機酸
の希土類元素陽イオン塩を合成し、かかる希土類陽イオ
ン担持モノマーを重合または共重合させ、陽イオン濃度
を10重量%程度まで高めることのできる材料が報告さ
れている。これらの方法により、成形加工性に優れる有
機高分子材料に対し、希土類元素陽イオンを高濃度で添
加することができるが、合成法が煩雑であり、産業上の
応用において経済的制約となり得ること、および使用さ
れる樹脂は、比較的耐熱性が低いといった欠点があっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、希土類元素
を高濃度で均一に含有してなり、従来にない成形加工性
と耐熱性を有し、かつ簡便な方法で製造可能な光学部品
用材料を提供すること、これら材料から成形された光学
用部品を提供すること、などを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に記載の発明においては、希土類元素陽イ
オンを0.001〜25重量%含有するポリアミド樹脂
よりなり、この希土類元素陽イオンの吸収波長を除く1
300〜1550nmの波長領域での3mm厚における
光線透過率が50%以上であることを特徴とする光学部
品用ポリアミド樹脂組成物とする、という手段を講じて
いるものである。また、請求項3に記載の発明において
は、希土類元素陽イオンの塩水溶液にポリアミドモノマ
ーを溶解し、得られた溶液を昇温して水を留去するとと
もにポリアミドを重合せしめるという製造方法をとる、
という手段を講じているものである。さらに、請求項4
に記載の発明においては、請求項1または請求項2に記
載の光学部品用ポリアミド樹脂組成物より得られた光通
信用部品とする、という手段を講じているものである。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいてポリアミド樹脂とは、主鎖中にアミド結合(−N
HCO−)を含み加熱溶融できる重合体を言う。本発明
においては、可視〜近赤外線領域の光線における透過率
が優れたポリアミド樹脂が好適である。上記ポリアミド
樹脂の原料は、ジアミン類とジカルボン酸類、ラクタム
類、または重合可能なω−アミノ酸類、ジアミン類とジ
カルボン酸類からなる塩、およびこれら原料のオリゴマ
ーである。
【0010】こうしたポリアミド原料の具体例は、次の
通りである。なお、本発明は以下に例示したものに限定
されるものではない。 ジアミン類:テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレン
ジアミン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシ
ル)メタン(ラロミンとも称す)等の脂肪族ジアミン、
キシリレンジアミン類等 ジカルボン酸類:アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジ
カルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナ
フタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、二量体
化脂肪酸類、イミノジ酢酸、オキシジ酢酸、チオジ酢
酸、1,4−フェニレンオキシジ酢酸、1,3−フェニ
レンジオキシジ酢酸、2,6−ナフタレンジオキシジ酢
酸等の芳香環を含むジカルボン酸等 ラクタム類:カプロラクタム、ウンデカノラクタム、ド
デカノラクタム等 重合可能なω−アミノ酸類:6−アミノカプロン酸、1
1−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等
【0011】本発明において使用できるポリアミド樹脂
の具体例としては、ポリテトラメチレンアジパミド(ナ
イロン46)、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポ
リヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘ
キサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキ
サメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデ
カノラクタム(ナイロン11)、ポリドデカノラクタム
(ナイロン12)等の脂肪族ポリアミド、テレフタル酸
および/またはイソフタル酸とヘキサメチレンジアミン
とから得られるポリアミド、アジピン酸とメタキシリレ
ンジアミンとから得られるポリアミド、テレフタル酸お
よび/またはイソフタル酸とアジピン酸とヘキサメチレ
ンジアミンとから得られるポリアミド、テレフタル酸お
よび/またはイソフタル酸とアジピン酸とメタキシリレ
ンジアミンとから得られるポリアミド、共重合成分とし
て1,3−フェニレンジオキシジ酢酸を含む共重合ポリ
アミド、共重合成分として2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸を含む共重合ポリアミドなどの芳香族ポリアミド等
が挙げられる。これらは単独でも、複数種を混合したも
のであってもよい。
【0012】透明性、耐熱性、耐水性、耐気体透過性等
の観点から、特に好ましいポリアミド樹脂は、芳香族ポ
リアミドである。芳香族ポリアミドのうち、テレフタル
酸および/またはイソフタル酸とヘキサメチレンジアミ
ンとから得られるポリアミド、アジピン酸とメタキシリ
レンジアミンとから得られるポリアミド、テレフタル酸
および/またはイソフタル酸とアジピン酸とメタキシリ
レンジアミンとから得られるポリアミドが、原料の入手
容易性の点で好適である。
【0013】なお、これらのポリアミド樹脂の分子量に
は特に制限はないが、通常、数平均重合度が70〜50
0の範囲で選ぶことができる。靱性および成形性の点か
ら、100〜400の範囲で選ぶのが好ましい。また、
ポリアミド樹脂の組成を変化させること、例えば芳香族
基を含有するモノマーの種類、使用量等を選ぶこと、に
より屈折率を調整することができる。
【0014】一般に、光ファイバ等を用いる光通信に
は、通常、珪素ガラスのファイバにおいて光損失が最も
少ない等の理由で、好適な波長領域である1300〜1
550nm程度の波長の近赤外領域の光が通信光として
用いられる。従って、本発明のポリアミド樹脂組成物
は、上記波長領域での光線透過率が優れていることが望
ましい。通常、以下に説明する希土類元素陽イオンの吸
収波長を除く1300〜1550nmの波長領域の光線
透過率が、3mm厚において50%以上である必要があ
る。光線透過率が50%に満たない場合には、希土類元
素陽イオンの分散が悪く、透明性に問題があるので光学
材料として不適当である。ポリアミド樹脂組成物の光線
透過率で、好ましいのは60%以上、更に好ましくは7
0%以上、最も好ましくは75%以上である。
【0015】上記の通り、上記の波長領域において、光
線透過率の高いポリアミド樹脂組成物にするには、ポリ
アミド樹脂を構成するモノマー成分を、炭素−水素結
合、炭素−重水素結合、または炭素−フッ素結合とする
ことにより、炭素−水素結合由来の赤外(IR)領域の
吸収の倍音成分が上記の近赤外波長領域に含まれない様
にして、上記波長領域での光線透過率を高めることが可
能である。
【0016】本発明においては、上記ポリアミド樹脂に
希土類元素陽イオンを含有させる。希土類元素陽イオン
は、樹脂組成物に特異な光学特性、例えば、光増幅作
用、波長変換作用などを付与する機能を果たす。本発明
に用いられる希土類元素とは、周期律表の3A族に含ま
れるスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、およ
びランタノイドとして総称される以下の元素、即ちラン
タン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(P
r)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマ
リウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム
(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(D
y)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリ
ウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム
(Lu)のいずれかを表す。本発明のポリアミド樹脂組
成物は、希土類元素を陽イオンの形で含むが、希土類元
素陽イオンは単独でも、複数種混合してもよい。
【0017】希土類元素陽イオンの価数には制限はな
く、通常2価または3価陽イオンとして用いられ、通
常、塩の形態で使用される。塩としては、塩化物、臭化
物、ヨウ化物、硝酸塩、過塩素酸塩、臭素酸塩、酢酸
塩、硫酸塩等がポリアミド樹脂への分散性の点で好適で
ある。また、複硝酸塩、複硫酸塩、キレート化物も使用
可能である。上記陽イオンのフッ化物、炭酸塩、りん酸
塩、シュウ酸塩等も使用可能であるが、ポリアミド樹脂
への分散性が劣る場合があるので、配合分散させる場合
に特別の配慮が必要である。
【0018】本発明に好適な希土類元素を含む塩として
は、塩化プラセオジム、臭化プラセオジム、ヨウ化プラ
セオジム、硝酸プラセオジム、過塩素酸プラセオジム、
臭素酸プラセオジム、酢酸プラセオジム、硫酸プラセオ
ジム等のプラセオジム塩、塩化ネオジム、臭化ネオジ
ム、ヨウ化ネオジム、硝酸ネオジム、過塩素酸ネオジ
ム、臭素酸ネオジム、酢酸ネオジム、硫酸ネオジム等の
ネオジム塩、塩化ユーロピウム、臭化ユーロピウム、ヨ
ウ化ユーロピウム、硝酸ユーロピウム、過塩素酸ユーロ
ピウム、臭素酸ユーロピウム、酢酸ユーロピウム、硫酸
ユーロピウム等のユーロピウム塩、塩化ジスプロシウ
ム、臭化ジスプロシウム、ヨウ化ジスプロシウム、硝酸
ジスプロシウム、過塩素酸ジスプロシウム、臭素酸ジス
プロシウム、酢酸ジスプロシウム、硫酸ジスプロシウム
等のジスプロシウム塩、塩化エルビウム、臭化エルビウ
ム、ヨウ化エルビウム、硝酸エルビウム、過塩素酸エル
ビウム、臭素酸エルビウム、酢酸エルビウム、硫酸エル
ビウム等のエルビウム塩等を挙げることができる。
【0019】このうち、光増幅器の用途では、近赤外線
の蛍光発生能を有するプラセオジム塩、ネオジム塩、お
よびエルビウム塩が特に好適であり、中でもシリカガラ
ス等の無機ガラスのファイバに好適な信号波長である1
300〜1550nm程度の波長の蛍光発生能のあるネ
オジム塩、プラセオジム塩、およびエルビウム塩が最も
好適である。また、ユーロピウム塩とジスプロシウム塩
を組合せて用いると、蛍光発生が長時間持続する残光特
性が得られる場合がある。
【0020】本発明のポリアミド樹脂組成物は、希土類
元素陽イオンを0.001〜25重量%(重量%はイオ
ンとして)含有する。この量が0.001重量%未満で
あると光増幅作用等の望ましい性質がほとんど発揮され
ず、逆に25重量%を超えるとこの陽イオンの分散性が
極端に悪くなる場合があり、いずれも好ましくない。光
増幅器や光導波路等の光通信用部品とする場合には、こ
の陽イオンの含有量は、蛍光強度の観点から0.01〜
20重量%の範囲で選ぶのが好ましく、更に好ましくは
0.1〜15重量%、最も好ましくは0.5〜10重量
%である。なお、希土類元素陽イオンの含量は、650
℃程度の温度の電気炉中で有機成分を燃焼させた場合の
灰分の定量、または蛍光X線分析等の物理化学的手法等
により測定することができる。
【0021】本発明のポリアミド樹脂組成物は、前記の
通り、希土類元素陽イオンの吸収波長を除く1300〜
1550nmの波長領域の光線透過率は、3mm厚にお
いて50%以上である必要がある。ここで、希土類元素
陽イオンの吸収波長とは、例えば、エルビウムでは98
0nmや1530nm等、ネオジムでは820nm等、
プラセオジムでは1017nm等が挙げられる。樹脂組
成物の光線透過率を優れた上記範囲にするには、希土類
元素陽イオンを樹脂マトリックス中に良好に分散させる
必要がある。この陽イオンのドメインの平均分散粒径
は、小さい程好ましいが、通常100nm以下、好まし
くは70nm以下、更に好ましくは50nm以下、更に
好ましくは40nm以下、最も好ましくは30nm以下
である。
【0022】通信光の減衰を回復せしめる役目を持つ光
ファイバー増幅器などの光増幅器においては、通信光波
長の蛍光を発生する希土類元素を有効に励起せしめる励
起光(ポンプ光)を常時通過させ続け、通信光パルスに
よる誘導放出現象によりこのパルス波形と同一の蛍光を
発生せしめ増幅作用とする。従って、本発明の樹脂組成
物を光増幅器用途として用いる場合には、希土類元素陽
イオン由来の励起光における蛍光発生能を有することが
必要である。
【0023】希土類元素陽イオンをポリアミド樹脂へ添
加する方法には、特に制限はなく、例えば(1) ポリアミ
ド樹脂モノマーへの上記陽イオンの添加の後、溶融重合
法やアニオン重合法等の公知のポリアミド合成法でポリ
アミドを生成せしめる方法、(2) ポリアミド樹脂溶液に
上記陽イオンを添加して混合したあと溶媒を除去する方
法、または(3) ポリアミド樹脂と上記陽イオンとを溶融
混練する方法、等が挙げられる。
【0024】これらのうち、上記(1) の方法が、ポリア
ミド樹脂中での陽イオンの分散性の点で最も好適であ
る。特に好適な方法は、上記陽イオンの塩の水溶液にポ
リアミド製造用モノマーを溶解し、得られた均一溶液を
昇温して水を留去するとともに、モノマーを重合せしめ
る溶融重合法である。この方法により、既存のポリアミ
ド製造プロセスをそのまま生かすことが可能であり、産
業上非常に有利な方法である。なお、ポリアミド樹脂組
成物を希釈用マスターバッチとして使用する場合、その
希釈方法には制限はないが、通常、二軸押出機等の強度
の剪断を加えることのできる装置にて溶融混合してなさ
れる。
【0025】本発明のポリアミド樹脂組成物には、透明
性を損なわない範囲で、必要に応じ、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、、
ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、
ポリエステルエーテルアミド、ポリエーテルエラストマ
ー、スチレン系熱可塑性エラストマーまたはその酸変性
品、アクリルゴム、コアシェル型アクリルゴム、アイオ
ノマー樹脂、ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリカー
ボネート、芳香族ポリエステル、エポキシ樹脂等の他の
熱可塑性樹脂;フュームドシリカ、タルク、カオリナイ
ト、ガラスビーズ、ガラスフレーク、クレー、炭酸カル
シウム、硫酸カルシウム、アルミナ、チタニア、ジルコ
ニア等の無機充填材;ステアリン酸カルシウム、ステア
リン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛等の滑剤;その他ポ
リアミド樹脂に使用される熱安定剤、紫外線吸収剤、顔
料、カーボンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛、酸
化防止剤、可塑剤、帯電防止剤等の添加剤を混合するこ
とができる。
【0026】本発明の光学部品用ポリアミド樹脂組成物
は、優れた成形加工性を有するので、ポリアミド樹脂の
成形に採用されている各種の成形方法によって、目的と
する成形品の製造が可能である。成形方法としては、例
えば、射出成形法、Tダイ製膜やインフレーション成形
法を含む押出成形法、ブロー成形法、真空成形法や圧空
成形法などの差圧成形法、圧縮成形等が挙げられる。こ
のような成形法により、任意の形状の射出成形品、シー
ト、フィルム、積層フィルム、棒状成形品、ファイバ、
フィラメント、ヤーン、中空成形品等の成形品とするこ
とができる。なお、シートやフィルム、または中空成形
品とする場合には、ポリアミド樹脂の成形に採用されて
いる延伸も可能である。
【0027】本発明の光学部品用ポリアミド樹脂組成物
は、優れた成形加工性、軽量性、靱性、透明性、光増幅
作用、波長変換作用、および高屈折率等の特徴を生か
し、任意の形状の光学部品に利用できる。例えば、光増
幅器、光導波路、光ファイバ等の光通信用部品、非線形
光学素子、レンズ、暗中蛍光材料等の用途例が挙げられ
る。また、本発明の樹脂組成物は、可視領域での光線透
過率も良好であるため、可視光用のレンズ等に用いるこ
とも好ましい。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明は、その要旨を超えない限りにおいて
これら実施例により何ら限定されるものではない。 [評価方法] (1) 蛍光測定 2枚のカバーグラス(約150nm厚)の間に、乾燥し
た試料を挟み、カバーグラスごと280℃に加熱したあ
と、試料の厚さが約0.5mm程度になるよう押しつぶ
して、透明な試料板とした。このカバーグラスに挟まれ
たままの試料につき、島津製作所(株)製のUV−31
00S型紫外−可視−近赤外吸光光度計により、300
〜1700nmの波長領域の吸光スペクトルを測定し、
吸光度のピークに相当する吸光波長を求め、下記の蛍光
測定の励起波長とした。ユーロピウムを含む試料では、
上記の吸光スペクトル測定で得られたユーロピウム由来
の吸光波長を励起波長とし、(株)日立製作所製F−3
000型蛍光光度計により、300〜700μmの波長
領域の蛍光スペクトルを測定した。エルビウム、プラセ
オジム、またはネオジムを含む試料では、それぞれ15
00nmまたは1300nm付近の近赤外領域の蛍光を
発生することが知られているので、吸光スペクトル測定
で得られた各々の元素由来の吸光波長を励起波長とし、
可視光カットフィルターを装着した近赤外カメラによ
り、近赤外蛍光の有無を観察した。
【0029】(2) 光線透過率 (株)日本製鋼所製の射出成形機(J28SA)を使用
し、乾燥した試料から、3mm厚の平板を成形した。こ
の際の成形条件は、バレル温度設定280℃、射出速度
最大、金型温度80℃とした。こうして得た3mm厚の
平板の光線透過率スペクトルを、上記の吸光光度計によ
り400〜1550nmの波長領域で測定した。そし
て、希土類元素陽イオン由来の吸光波長を除いたこの波
長領域での光線透過率の最小値を求めた。 (3) 希土類元素陽イオンの含量 試料約2gを精秤し、600℃の電気炉内で完全に灰化
させた残渣の重量分率より算出し表1に表示した。 (4) 屈折率 代表的試料について、23℃でアッベ式屈折率計により
測定した。
【0030】[実施例1]酢酸エルビウム(III)4水塩
(和光純薬(株)製試薬)25.1gを脱塩水95ml
に攪拌しながら100℃で溶解し、これにε−カプロラ
クタム100gと6−アミノカプロン酸5gを加え12
0℃に昇温した。得られた均一溶液を、容量600ミリ
リットルのオートクレーブに封入し、大気圧下、予め用
意したテレフタル酸18.5g、イソフタル酸46.0
g、およびヘキサメチレンジアミンの80重量%水溶液
56.2gを脱塩水98.2gに混合して調製した塩水
を、約5分かけてオートクレーブに加えた。得られた均
一溶液は、120℃で30分間攪拌した後、内圧を3.
5気圧に保持しながら、150℃の温度で、加えた水の
約90%を留出せしめた。更に、内圧を14気圧に保持
しながら、約3時間かけて280℃まで昇温して水を留
去した。次いで、内温を280℃に保持したまま放圧し
て大気圧とし、この状態で更に2時間重縮合反応を行っ
た。得られたポリアミド樹脂組成物は、ピンク色を呈し
ており透明であった。また、この組成物につき屈折率を
測定したところ、1.59であった。得られた組成物に
つき吸光スペクトルを測定したところ、エルビウム由来
の吸光ピークが980nmに現れ、これを励起波長とし
て蛍光を測定した。評価結果を表−1に示す。
【0031】[実施例2]実施例1に記載の例におい
て、酢酸エルビウム(III)4水塩に代えて酢酸プラセオ
ジム(III)2水塩(和光純薬(株)製試薬)を用いた他
は、同例におけると同様の操作を行った。得られた組成
物についての評価結果を、表−1に示す。
【0032】[実施例3]実施例1に記載の例におい
て、酢酸エルビウム(III)4水塩に代えて酢酸ユーロピ
ウム(III)4水塩(和光純薬(株)製試薬)を用いた他
は、同例におけると同様の操作を行った。得られた組成
物についての評価結果を、表−1に示す。
【0033】[実施例4]実施例1に記載の例におい
て、酢酸エルビウム(III)4水塩に代えて酢酸ネオジム
(III)1水塩(和光純薬(株)製試薬)を用いた他は、
同例におけると同様の操作を行った。得られた組成物に
ついての評価結果を、表−1に示す。
【0034】[実施例5]実施例1に記載の例におい
て、ε−カプロラクタムと6−アミノカプロン酸を加え
ず、また上記の塩水をテレフタル酸37g、イソフタル
酸92g、ラロミン46.1g、およびヘキサメチレン
ジアミンの80重量%水溶液84.3gを脱塩水19
6.4gに混合して得た塩水に変更した他は、同例にお
けると同様の操作を行った。この組成物のガラス転移点
をDSCにより測定したところ160℃であった。得ら
れた組成物についての評価結果を、表−1に示す。
【0035】[実施例6]実施例1に記載の例におい
て、酢酸エルビウム(III)4水塩を175gに変更した
他は、同例におけると同様の操作を行った。得られた組
成物の灰分は25.8重量%であり、光線透過率の最小
値は35%であった。次いでこの組成物の乾燥チップ2
0重量%と三菱化成(株)製ノバミッドX21(酸成
分:テレフタル酸/イソフタル酸=2.5/1、ジアミ
ン成分:ヘキサメチレンジアミンである非晶性芳香族ポ
リアミド、数平均重合度は約90、ノバミッドは登録商
標)の乾燥チップ80重量%をドライブレンドし、直径
30mmの単軸スクリュを持つ押出機にて、スクリュ回
転50rpm、280℃の条件で溶融混合して得た溶融
ブレンド物を得た。得られた溶融ブレンド物についての
評価結果を、表−1に示す。
【0036】[比較例1]実施例1に記載の例におい
て、酢酸エルビウム(III)4水塩を加えなかった他は、
同例におけると同様の操作を行った。実施例1同様に屈
折率を測定したところ1.56であった。得られた組成
物についての評価結果を、表−1に示す。
【0037】[比較例2]実施例1に記載の例におい
て、酢酸エルビウム(III)4水塩を4mg使用した他は
全て同じ操作を行った。吸光スペクトル測定において、
Er陽イオン由来の吸光ピークは確認できなかったの
で、蛍光スペクトル測定は行わなかった。得られた組成
物についての評価結果を、表−1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】本発明は、次の様な特別に有利な効果を
奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。 1.本発明のポリアミド樹脂組成物は、希土類元素陽イ
オンを含有し、可視〜近赤外領域の光に対する光線透過
率が優れているため、この陽イオン由来の吸光及び蛍光
発生能を有する。また、この陽イオンの存在により屈折
率の上昇が認められる。 2.本発明のポリアミド樹脂組成物は、優れた成形加工
性、軽量性、靱性を有するため、光増幅器等の光通信部
品を始めとする様々な光学部品として非常に有用であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G02F 1/35 504 H01L 23/29 23/31

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希土類元素陽イオンを0.001〜25
    重量%含有するポリアミド樹脂よりなり、この希土類元
    素陽イオンの吸収波長を除く1300〜1550nmの
    波長領域での3mm厚における光線透過率が50%以上
    であることを特徴とする、光学部品用ポリアミド樹脂組
    成物。
  2. 【請求項2】 希土類元素がエルビウム(Er)、プラ
    セオジム(Pr)、およびネオジム(Nd)のいずれか
    であることを特徴とする、請求項1に記載の光学部品用
    ポリアミド樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 希土類元素陽イオンの塩水溶液にポリア
    ミドモノマーを溶解し、得られた溶液を昇温して水を留
    去するとともにポリアミドを重合せしめることを特徴と
    する、請求項1または請求項2に記載の光学部品用ポリ
    アミド樹脂組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または請求項2に記載の光学部
    品用ポリアミド樹脂組成物より得られたものであること
    を特徴とする、光通信用部品。
JP6214752A 1994-09-08 1994-09-08 光学部品用ポリアミド樹脂組成物、および光通信用部品 Pending JPH0873735A (ja)

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WO2002058084A3 (en) * 2001-01-16 2003-04-17 Du Pont Transparent paramagnetic polymer
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